JP2011031526A - 蒸着膜積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な樹脂組成物で形成される基材と蒸着膜が良好に密着した積層体であって、蒸着膜を形成することによるガスバリア性や耐水性等のバリア性に優れ、かつこれらの性能の耐久性にも優れた蒸着膜積層体を提供する。
【解決手段】基材の上に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜がこの順に積層された積層体であって、ポリオレフィン樹脂が、炭素数2〜4のアルケンからなるオレフィン成分(A)を主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル成分(B)を2〜40質量%含むポリオレフィン樹脂である蒸着膜積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、基材の上に接着剤となる樹脂層を介して蒸着膜が形成された積層体であって、基材に密着性よく蒸着膜が形成されている蒸着膜積層体に関するものである。
ポリアミド、ポリエステルなどに代表される様々な樹脂組成物の表面処理技術の一つとして蒸着法が挙げられる。例えば、樹脂フィルムに高度なガスバリア性を付与する手段として、フィルムにアルミニウムなどの金属を蒸着する方法、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれるダイヤモンドとグラファイトの中間的構造を有する非結晶炭素薄膜を積層する方法、金属酸化物や金属窒化物を蒸着する方法などが知られている。また、真空蒸着法などにより、樹脂成型体の表面をメッキ塗装する手法もよく用いられている。
基材となる樹脂組成物表面上に上記のような蒸着膜を形成する場合、樹脂組成物と蒸着膜との密着性は非常に重要な要因である。例えばガスバリア性を付与する蒸着膜の場合、基材となる樹脂組成物と蒸着膜との密着性が不十分であると、ピンホールが残ったり、曲げなどに対してクラックが発生したりするという問題があり、十分なバリア性を得ることができない。また、意匠性を目的とした金属蒸着の場合も、基材となる樹脂組成物と金属蒸着膜との密着性が不十分であると、金属蒸着膜が剥がれ基材の樹脂表面がむき出しになってしまう。
このような蒸着膜のクラックや剥がれ、ピンホールの発生を抑えるために、基材となる樹脂表面にあらかじめ高分子樹脂をアンカーコートする方法が用いられることがある。しかし、基材となる樹脂組成物の種類によって良く密着する場合とそうでない場合があり、基材となる樹脂組成物によってアンカーコートの種類を選定しなければならない(例えば、特許文献1)。
また、アンカーコート層による密着性改善効果だけでは不十分な場合には、蒸着膜と親和性の優れた素材からなるオーバーコート層を形成し、蒸着膜とオーバーコート層が複合されたガスバリア性層を基材となる樹脂フィルム上に積層することによって、クラックや剥がれによる効果の低下を抑制する方法も用いられているが、加工工程が増えるという問題点があった(特許文献2)。
特許第3248373号 特開2003−260750
本発明は、上記課題を解決するものであり、様々な樹脂組成物で形成される基材と蒸着膜が良好に密着した積層体であって、蒸着膜を形成することによるガスバリア性や耐水性等のバリア性に優れ、かつこれらの性能の耐久性にも優れた蒸着膜積層体を提供すること、及び本発明の蒸着膜積層体を操業性よく製造することができる製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特定組成のポリオレフィン樹脂を蒸着膜のアンカーコート層に用いることにより、様々な素材からなる基材や蒸着膜に対して良好な密着性を有し、かつ耐屈曲性等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)基材の上に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜がこの順に積層された積層体であって、ポリオレフィン樹脂が、炭素数2〜4のアルケンからなるオレフィン成分(A)を主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル成分(B)を2〜40質量%含むポリオレフィン樹脂であることを特徴とする蒸着膜積層体。
(2)基材の上に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜がこの順に積層された積層体の製造方法であって、ポリオレフィン樹脂を塩基性化合物とともに水性媒体に分散したポリオレフィン樹脂水性分散体とし、該水性分散体を基材上に塗布、乾燥することによってポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成し、次いで蒸着膜を形成することを特徴とする蒸着膜積層体の製造方法。
本発明の蒸着膜積層体は、様々な素材からなる基材と蒸着膜を採用することができ、両者が良好に密着しているため、蒸着膜を形成することによって気体や液体の透過度が低くなり、バリア性に優れるものである。さらに、曲げなどに対しても基材と蒸着膜の密着性が低下することなく、耐屈曲性に優れているため、バリア性等の性能の耐久性に優れている。また、本発明の蒸着膜積層体の製造方法によれば、本発明の蒸着膜積層体を作業環境を悪化させることなく、操業性よく得ることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の蒸着膜積層体は、基材の上に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜がこの順に積層された積層体である。つまり、様々な素材からなる基材と蒸着膜層との密着性を向上させるために、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を基材と蒸着膜との間に設ける必要がある。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分(A)を主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル成分(B)を一定量含むものである。
主成分であるオレフィン成分(A)は、モノマー単位として炭素数2〜4のアルケン成分からなる必要がある。炭素数2〜4のアルケンとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等などが挙げられ、これらのモノマーは2種以上を用いてもよい。特に、基材および蒸着膜に対する良好な密着性、耐屈曲性の観点から、エチレン、プロピレンが好ましい。炭素数が4を超えると、生産性に乏しく高価になり、基材および蒸着膜との密着性が低下する場合がある。
さらに本発明におけるポリオレフィン樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル成分(B)を2〜40質量%含有しているものである。(メタ)アクリル酸エステル成分(B)を含有していることにより、ポリオレフィン樹脂は様々な素材の基材および蒸着膜の両者に対する密着性が向上し、耐屈曲性にも優れた蒸着膜積層体を得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル成分(B)の含有量は、2〜40質量%であることが必要であり、中でも3〜30質量%であることが好ましく、さらには5〜20質量%であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分(B)としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられ、これらを単体で用いても、これらの混合物を用いてもよい。中でも、基材および蒸着膜との密着性や工業的に入手し易い点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜」または「メタクリル酸〜」を意味する。
(メタ)アクリル酸エステル成分(B)は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂の融点は、特に限定されないが、各種材料からなる基材と蒸着膜との密着性の観点から、60〜150℃であることが好ましい。さらには、70〜140℃であることが好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂の融点が60℃未満の場合、蒸着膜積層体の耐熱性が劣る恐れがあり、一方、融点が150℃を超えると、蒸着膜との密着性に劣る場合がある。
また、本発明におけるポリオレフィン樹脂の分子量は、特に限定されないが、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)としては、0.01〜3000g/10分が好ましく、より好ましくは0.5〜1000g/10分、さらに好ましくは1〜500g/10分、最も好ましくは1〜280g/10分のものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂のMFRが0.01g/10分未満では、樹脂の溶液化や分散化が困難となりやすい。一方、ポリオレフィン樹脂のMFRが3000g/10分を超えると、基材および蒸着膜への密着性が低下しやすくなり、また硬くてもろくなり耐屈曲性が低下することがある。
本発明におけるポリオレフィン樹脂としては、日本ポリエチレン社製レクスパールRBシリーズ、住友化学社製アクリフトシリーズなどを用いることができる。
ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の形成方法としては、コーティング、ディッピング、共押出し、押し出しラミネーティングなど公知の方法を用いることができるが、コーティング法においては、ポリオレフィン樹脂を液状媒体と混合して使用することが好ましい。
液状媒体としては、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トリメチルフォスフェート、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、イソプロパノール(IPA)、ノルマルプロパノール等の有機溶媒が挙げられる。
本発明においては、環境への影響を考慮し、液状媒体としては水を用いた水性媒体(水または、水と水溶性の有機溶媒との混合液をいう)を用いることが好ましい。水溶性の有機溶媒としては、イソプロパノール(IPA)やノルマルプロパノール等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に分散させるには、本発明におけるポリオレフィン樹脂中に酸変性成分(C)が0.01〜40質量%含有されていることが好ましい。つまり、本発明におけるポリオレフィン樹脂は、酸変性成分(C)を0.01〜40質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
酸変性成分(C)としては、中でも不飽和カルボン酸が好ましい。不飽和カルボン酸は、分子内に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。
酸変性成分(C)は、ポリオレフィン樹脂中に、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)等により共重合されていることが好ましく、特にその形態は限定されない。なお、樹脂中に導入された酸無水物は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、水性媒体中では、その一部、または全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造をとる場合がある。
本発明におけるポリオレフィン樹脂中に含まれる酸変性成分(C)の量は、水性媒体中に分散させる際の分散性、基材および蒸着膜との密着性を満足させる点から、0.01〜40質量%であることが好ましく、中でも0.05〜20質量%であることが好ましく、さらには0.5〜8質量%であることが好ましく、1〜4質量%であることが最も好ましい。酸変性成分(C)の含有量が0.01質量%未満では、ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に分散させる場合にその分散化が困難となりやすい。酸変性成分(C)の含有量が40質量%を超えると、ポリオレフィン樹脂の極性が高くなり、極性の低い樹脂との密着性が低下してしまい、極性の低い樹脂を基材に用いることが困難となる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、必要に応じて架橋剤を含有させ、架橋処理を施したものであってもよい。架橋剤としては、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらをポリオレフィン樹脂とともに用いてポリオレフィン樹脂に架橋処理を施すと、基材および蒸着膜の両者に対する密着性がさらに向上し、耐屈曲性も向上する。
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルシリーズ、アルケマ社製ボンダインシリーズなどを用いることができる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂中には、その効果を損なわない範囲であれば、成分(B)、成分(C)以外の成分を含有していてもよい。
このような成分としては、例えば、1−ペンテン、4−メチルー1−ペンテン、3−メチルー1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル類、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビニリデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄など、およびこれらの混合物が挙げられる。
そして、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層としては、上記のようなポリオレフィン樹脂とともに必要に応じて他の樹脂を用いてもよい。ただし、ポリオレフィン樹脂が奏する効果(基材および蒸着膜の両者に対する密着性が向上し、耐屈曲性にも優れる)を損なわない範囲とするものであり、樹脂層中のポリオレフィン樹脂の占める割合は70質量%以上であることが好ましい。
他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、脂肪酸アミド樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散体として、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成する場合、上記したような他の重合体の水性分散体や水溶性ポリマーを含有する場合がある。中でもポリウレタン樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂が好ましく、これらをポリオレフィン樹脂とともに用いると、基材および蒸着膜の両者に対する密着性がさらに向上し、耐屈曲性も向上する。
本発明の蒸着膜積層体において、上記したようなポリオレフィン樹脂を含む樹脂層は、基材の上に積層されるものであるが、基材の全面もしくは一部分に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層が積層されていればよい。
ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の厚さは、基材および蒸着膜との密着性、経済性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、中でも0.1〜5μmが好ましく、さらには0.1〜3μmが好ましい。ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の厚さが0.01μm未満の場合、基材や蒸着膜との十分な密着性が得られず、バリア性や耐屈曲性に劣る場合がある。また、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の厚さが10μmを超えると性能的には特に問題はないが、生産性やコスト的に不利であるなどの問題が生じる。
次に基材について説明する。
本発明の蒸着膜積層体の基材の素材は特に限定されないが、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂などの樹脂、またはこれらの樹脂の混合物や積層体などが挙げられる。
基材の厚さ、形状は特に限定されないが、汎用性や取り扱い性を考慮すると、厚さ1〜200μmのフィルム形状とすることが好ましい。したがって、基材としては、中でも熱可塑性樹脂からなるフィルムが好ましい。なお、フィルムとしては、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、製法も限定されない。
次に、蒸着膜について説明する。
本発明における蒸着膜は、アルミニウムなどの金属層、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの金属酸化物、窒化ケイ素や窒化アルミニウムなどの金属窒化物からなる無機物層、ダイヤモンドライクカーボン層、フッ素などの各種元素をドーピングしたダイヤモンドライクカーボン層、金属めっき層などが挙げられる。
また、蒸着膜の厚さも特に限定されないが、0.0005〜2μmが好ましく、0.001〜1μmがより好ましく、0.005〜0.1μmがさらに好ましい。2μmを超えると曲げなどによってクラックが発生しやすくなったり、界面での剥離が起こったりするので好ましくなく、薄すぎると蒸着膜によるバリア機能が発現しない恐れがある。
蒸着膜を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理気相成長法(PVD法)、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法などの化学気相成長法(CVD法)、メッキ蒸着など公知の方法が挙げられる。
次に、本発明の蒸着膜積層体の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、基材の上に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜がこの順に積層された本発明の蒸着膜積層体の製造方法であるが、ポリオレフィン樹脂を塩基性化合物とともに水性媒体に分散したポリオレフィン樹脂水性分散体とし、この水性分散体を基材上に塗布、乾燥することによってポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成し、次いで蒸着膜を形成する製造方法である。
上述したように、本発明の蒸着膜積層体のポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成するには、コーティング、ディッピング、共押出し、押し出しラミネーティングなど公知の方法を用いることができるが、本発明の製造方法においては、中でも簡易な設備で低コストで行うことができるコーティング(塗布)法を採用するものである。
そして、コーティング(塗布)によってポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成する際に、環境への負荷が少なく、簡便な工程で得ることが可能となるため、本発明においては、ポリオレフィン樹脂を塩基性化合物とともに水性媒体に分散したポリオレフィン樹脂水性分散体を作製する。このポリオレフィン樹脂水性分散体を基材上に塗布・乾燥することによってポリオレフィン樹脂を含む層を形成する。
この場合、本発明におけるポリオレフィン樹脂は酸変性成分(C)を含む酸変性ポリオレフィン樹脂とし、酸変性ポリオレフィン樹脂と塩基性化合物とを水性媒体に分散した水性分散体を作製することが好ましい。
具体的な塗布方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂の水性分散体をポリオレフィンフィルム上に、マイヤーバーコーティング、エアナイフコーティング、スプレーコーティング、浸漬によるコーティングなどの手法を用いて塗布する方法が挙げられる。そして、塗布後は水性媒体が揮発し除去されるまで乾燥を行う。必要に応じて、減圧乾燥する方法を用いてもよい。
また、本発明におけるポリオレフィン樹脂の水性分散体中には、乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化合物を実質的に含有しないことが性能面、衛生面から好ましい。
ここで、「乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化合物を実質的に含有しない」とは、水性分散体の製造において、水性化促進や水性分散体の安定化の目的で積極的にこれらの不揮発性の薬剤や化合物を系に添加せずに、結果的にこれらを含有しないことを意味し、添加量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で樹脂成分に対して0.1質量%未満添加しても差し支えない。
本発明におけるポリオレフィン樹脂の水性分散体は、ポリオレフィン樹脂、塩基性化合物、水性媒体(水または、水と水溶性の有機溶媒との混合液をいう)を80〜280℃の温度で混合する方法によって調製することができる。この方法により、乳化剤成分や保護コロイド作用を有する化合物等の不揮発性水性分散化助剤を含有しなくとも、粒子径が微細で良好な水性分散体を得ることができる。
本発明で言う乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイドを有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂の水性分散体において、塩基性化合物を含有することによって、ポリオレフィン樹脂のカルボキシル基が中和される。そして、中和によって生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。
ポリオレフィン樹脂の水性分散体を調製する際に使用する塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミンなどのアミン類、アルカリ金属化合物などが挙げられる。
塩基性化合物の中でも被膜形成時に揮発する化合物が被膜の耐水性の面から好ましく、沸点が30〜250℃の有機アミン化合物、より好ましくは30〜200℃の有機アミン化合物が好ましい。沸点が30℃未満の場合は、ポリオレフィン樹脂を水性分散体とする際に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると塗布後に乾燥によって有機アミン化合物を揮発させることが困難になり、衛生的に好ましくない場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
塩基性化合物の添加量はポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.6〜2.5倍当量がより好ましく、0.8〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると被膜形成時の乾燥時間が長くなったり、ポリオレフィン樹脂の水性分散体が着色したりする場合がある。
本発明におけるポリオレフィン樹脂の水性分散体を作成する際に使用する水性媒体は、水または、水と水溶性の有機溶媒との混合液をいうが、水溶性の有機溶媒としては、20℃における水に対する溶解性が50g/L以上でかつ30〜250℃の沸点を有する、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類などが挙げられる。
なお、水性分散体中に含有される有機溶媒は、ポリオレフィン樹脂の水性分散体を塗布した後、必要に応じて、脱溶剤処理によってその一部または全てを除去しても構わない。脱溶剤処理は、加熱や減圧などの方法によって実施することができる。
また、本発明の蒸着膜積層体は、基材の全面もしくは一部分に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層が積層され、さらに蒸着膜が積層されているものであるが、この条件を満たす範囲で、基材、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜以外の成分(層)を含んでいてもよい。例えば、基材とポリオレフィン樹脂を含む樹脂層との間に、両者の密着性をより高めるための密着層を含んでいてもよい。例えば、基材をフィルム形状とする場合、本発明におけるポリオレフィン樹脂を成膜方法でフィルム化し、基材のフィルムとともに2枚を積層し、2枚の間に密着層として接着剤等を介して接着したものであってもよい。また、蒸着膜層の上から、例えば、ポリエチレン樹脂フィルムやポリプロピレン樹脂フィルムなどのシーラントフィルムをラミネート加工したものであってもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施例によって何ら制限されるものではない。なお、後述する各種の特性は、以下の方法によって測定または評価した。
(1)ポリオレフィン樹脂の組成
オルトジクロロベンゼン(d)中、120℃にてH−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。
(2)ポリオレフィン樹脂の融点
ポリオレフィン樹脂の融点を示差走査熱量測定に基づいて測定した。
(3)ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS 6730記載の方法(190℃、2160g荷重)で測定した。
(4)ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度
ポリオレフィン樹脂水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、ポリオレフィン樹脂固形分濃度を求めた。
(5)ポリオレフィン樹脂水性分散体の粘度
株式会社トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計(B型粘度計)を用い、温度20℃における水性分散体の回転粘度を測定した。
(6)ポリオレフィン樹脂水性分散体における樹脂粒子の平均粒径
日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径(mn)、体積平均粒子径(mv)を求めた。
(7)ポリオレフィン樹脂水性分散体中の有機溶媒の含有率
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n-ブタノール]を用い、水性分散体または水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶媒の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
(8)蒸着膜積層体のヘイズ(曇価)
JIS K7105 に準じて、日本電色工業株式会社製のNDH2000「濁度、曇り度計」を用いて、得られた蒸着膜積層体全体の「ヘイズ(%)」を測定した。なお、蒸着膜積層体としては、基材がポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのもののみを用いて測定した。
(9)蒸着膜積層体の密着性評価
得られた蒸着膜積層体の蒸着面にセロハンテープ(ニチバン社製TF-12)を貼り付け、テープを一気に剥がした場合の剥がれの程度を目視で評価した。なお、実施例15〜17、比較例3においては、蒸着膜積層体として基材がPETフィルムのものとポリプロピレン(PP)フィルムのもののみを評価した。
○:全く剥がれなし、△:一部剥がれ、×:全て剥がれ
(10)蒸着膜積層体の酸素透過度
モコン社製酸素バリア測定器(OX−TRAN 2/20)により、得られた蒸着膜積層体の酸素透過度を20℃、85%RHの条件で測定した。なお、蒸着膜積層体としては、基材がPETフィルムのものとナイロン6(N6)フィルムのもののみを用いて測定した。
(11)蒸着膜積層体の水蒸気透過度
モコン社製の透湿度測定器(PERMATRAN−W3/31MW)により、得られた蒸着膜積層体の水蒸気透過度を、40℃、100%RHの条件で測定した。なお、蒸着膜積層体としては、基材がPETフィルムのものとPPフィルムのもののみを用いて測定した。
(12)蒸着膜積層体の耐屈曲性
上記の(10)の酸素透過度、又は(11)の水蒸気透過度を測定した後の蒸着膜積層体に、ゲルボフレックス100回(20℃、65%RH、約15cmのストロークで1分間に40往復)の処理を行い、処理後の蒸着膜積層体の酸素透過度又は水蒸気透過度を処理前と同様にして測定した。
処理後の蒸着膜積層体の酸素透過度又は水蒸気透過度と、基材(PETフィルムとN6フィルム)の酸素透過度又は水蒸気透過度を用いて、下式によって処理後の蒸着膜積層体の酸素透過度および水蒸気透過度の指標をそれぞれ算出し、以下の4段階で耐屈曲性を評価した。
(a)処理後の酸素透過度の指標(%)=〔(処理後の蒸着膜積層体の酸素透過度)/(基材の酸素透過度)〕×100
◎:指標が5%未満
○:指標が5%以上、10%未満
△:指標が10%以上、20%未満
×:指標が20%以上
(b)処理後の水蒸気透過度の指標(%)=〔(処理後の蒸着膜積層体の水蒸気透過度)/(基材の水蒸気透過度)〕×100
◎:指標が5%未満
○:指標が5%以上、10%未満
△:指標が10%以上、20%未満
×:指標が20%以上
参考例1
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂〔ボンダインHX−8290(ア)、アルケマ社製〕、有機溶媒として60.0gのイソプロパノール(以下、IPA)、塩基性化合物として3.0g(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量)のトリエチルアミン(以下、TEA)および177.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
参考例2
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の製造)
ポリオレフィン樹脂としてボンダインHX−8210(イ)(アルケマ社製)を用いた以外は参考例1と同様にしてポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。
参考例3
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3の製造)
ポリオレフィン樹脂としてボンダインTX−8030(ウ)(アルケマ社製)を用い、有機溶媒(IPA)量を表2のように変更した以外は参考例1と同様にしてポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。
参考例4
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4の製造)
参考例1で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体(E−1)を250g、蒸留水40gを0.5リットルの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱していき、水性媒体を留去した。約95gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、濾液の固形分濃度を測定したところ、25.8質量%であった。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度が25.0質量%になるように調整し、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を得た。
参考例5
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−5の製造)
ポリオレフィン樹脂としてエチレン−アクリル酸共重合体樹脂〔プリマコール5980I(エ)、アクリル酸20質量%共重合体、ダウケミカル製〕を用いた。ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのエチレン−アクリル酸共重合体樹脂〔プリマコール5980I(エ)、ダウケミカル社製〕、有機溶媒として16.8g(樹脂中のアクリル酸のカルボキシル基に対して1.0倍当量)のTEA、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を100℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁のポリオレフィン樹脂水性分散体E−5を得た。
ポリオレフィン樹脂水性分散体「E−1」〜「E−5」の製造に使用したポリオレフィン樹脂の組成、MFR、融点を表1に示す。
参考例1〜5で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体「E−1」〜「E−5」の組成、特性値を表2に示す。
参考例6
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−6の製造)
参考例1で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を攪拌しておき、E−1の固形分100質量部に対してポリウレタン樹脂水性分散体(アデカボンタイターHUX−380、アデカ社製)を固形分換算で15質量部添加し、室温で30分間、撹拌してポリオレフィン樹脂水性分散体(E−6)を得た。
参考例7〜11
(ポリオレフィン樹脂水性分散体(E−7)〜(E−11)の製造)
添加剤として、ポリウレタン樹脂水性分散体(NeoRez R−600、楠本化成社製)、ロジン系エマルション(スーパーエステルE−720、荒川化学工業社製)、テルペン系エマルション(タマノルE−100、荒川化学工業社製)、メラミン化合物(サイメル327、三井サイテック社製)、オキサゾリン基含有化合物(エポクロスWS−700、日本触媒社製)を固形分換算で表3に示す量を添加した以外は水性分散体E−6の製造と同様にしてポリオレフィン樹脂水性分散体(E−7)〜(E−11)を得た。
参考例6〜11で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体「E−6」〜「E−11」の組成、特性値を表3に示す。
実施例1
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(2軸延伸フィルム:エンブレットPET12、厚み12μm、ユニチカ社製、酸素透過度850ml/m・day・MPa)、ナイロン6(N6)フィルム(2軸延伸フィルム:エンブレム、厚み15μm、ユニチカ社製、酸素透過度800ml/m・day・MPa)、ポリプロピレン(PP)フィルム(OP U−1、厚み20μm、東セロ社製、水蒸気透過度10g/m・day)の3種類の熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いた。
それぞれの基材にポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を乾燥後の厚みが1μmになるようにマイヤーバーでコート(塗布)した後、100℃で1分間、乾燥させ、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成した。
次にポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の上に、酸化珪素の蒸着膜(膜厚0.03μm)を真空蒸着法により形成させ、蒸着膜積層体(蒸着膜積層フィルム)を得た。
実施例2〜10、比較例3
使用するポリオレフィン樹脂水性分散体を表4に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして蒸着膜積層体を得た。
実施例11
酸化珪素の蒸着膜に変えて窒化珪素の蒸着膜(膜厚0.02μm)を真空蒸着法により形成した以外は、実施例1と同様にして蒸着膜積層体を得た。
比較例1
ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成せず、基材に直接、酸化珪素の蒸着膜(膜厚0.03μm)を真空蒸着法により形成させた以外は、実施例1と同様にして蒸着膜積層体を得た。
比較例2
酸化珪素の蒸着膜に変えて窒化珪素の蒸着膜(膜厚0.02μm)を真空蒸着法により形成した以外は、比較例1と同様にして蒸着膜積層体を得た。
実施例12
PET樹脂を、Tダイを備えた押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シリンダー温度260℃、Tダイ温度280℃でシート状に押し出し、表面温度10℃に調節された冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み120μmの未延伸フィルムを得、これを基材とした。
続いて、未延伸フィルムをグラビアロール式コーターに導きポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を水で希釈した液をコート(塗布)し、80℃の熱風ドライヤー中で45秒間乾燥した。次に、フィルムをテンター式同時2軸延伸機に供給し、温度100℃で2秒間予熱した後、95℃で縦方向に3倍、横方向に3.5倍の倍率で延伸した。なお、横方向弛緩率は5%であった。延伸後形成されたポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の厚みは0.1μmであった。
次にポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の上に、酸化珪素の蒸着膜(膜厚0.03μm)を真空蒸着法により形成させ、蒸着膜積層体を得た。
実施例13
N6樹脂を、Tダイを備えた押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シリンダー温度260℃、Tダイ温度270℃でシート状に押し出し、表面温度10℃に調節された冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み150μmの未延伸フィルムを得、これを基材とした。基材を変更した以外は実施例12と同様にしてポリオレフィン樹脂を含む樹脂層と蒸着膜を形成し、蒸着膜積層体を得た。
実施例1〜13、比較例1〜3で得られた蒸着膜積層体の評価結果を表4に示す。
表4から明らかなように、実施例1〜13の蒸着膜積層体は、基材となる樹脂フィルム表面にポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成し、さらにその上に酸化珪素もしくは窒化珪素の蒸着膜を設けた本発明の蒸着膜積層体であることから、基材と蒸着膜との密着性が良好であり、酸素透過度が低くバリア性に優れるとともに、屈曲処理後の酸素透過度の値もほとんど変わらず、耐屈曲性にも優れたものであった。中でも実施例5〜10の蒸着膜積層体は、基材と蒸着膜の密着性に特に優れ、耐屈曲性が極めて良好であった。
一方、比較例1、2の蒸着膜積層体は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層が形成されておらず、基体と蒸着膜との密着性が十分でなく、耐屈曲性に劣るものであった。比較例3の蒸着膜積層体は、(メタ)アクリル酸エステル成分(B)を含有しないポリオレフィン樹脂を用いたものであったため、基体と蒸着膜との密着性が十分でなく、耐屈曲性に劣るものであった。
実施例14
基材として、PETフィルム(2軸延伸フィルム:エンブレットPET100、厚み100μm、ユニチカ社製、水蒸気透過度10g/m・day)、実施例1と同様のPPフィルムを用いた。
それぞれの基材にポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を乾燥後の厚みが0.5μmになるようにマイヤーバーでコート(塗布)した後、100℃で1分間、乾燥させ、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成した。
次にポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の上に、膜厚0.05μmのダイヤモンドライクカーボン膜をプラズマCVD法を用いて蒸着した蒸着膜積層体を得た。
実施例15〜16
使用するポリオレフィン樹脂水性分散体を表5に示すものに変更した以外は、実施例14と同様にして蒸着膜積層体を得た。
比較例4
ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成せず、基材に直接、膜厚0.05μmのダイヤモンドライクカーボン膜をプラズマCVD法を用いて蒸着した以外は、実施例14と同様にして蒸着膜積層体を得た。
実施例14〜16、比較例4で得られた蒸着膜積層体の評価結果を表5に示す
表5から明らかなように、実施例14〜16の蒸着膜積層体は、基材となる樹脂フィルム表面にポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成し、さらにその上にダイヤモンドライクカーボン膜を設けた本発明の蒸着膜積層体であることから、基材と蒸着膜との密着性が良好であり、水蒸気透過度が低くバリア性に優れるとともに、屈曲処理後の水蒸気透過度の値もほとんど変わらず、耐屈曲性にも優れたものであった。
一方、比較例4の蒸着膜積層体は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層が形成されておらず、基体と蒸着膜との接着性が十分でなく、水蒸気透過度が高くバリア性に劣るとともに、耐屈曲性にも劣るものであった。
実施例17
基材として、ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂成型体(プリマロイA1700N、三菱化学社製)を用い、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を乾燥後の厚みが1μmになるようにアプリケーターでコート(塗布)した後、100℃で1分間、乾燥させ、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成した。
次にポリオレフィン樹脂を含む樹脂層の上に、膜厚0.1μmのアルミニウム層を蒸着した蒸着膜積層体(アルミニウム蒸着樹脂成型体)を得た。得られた蒸着膜積層体は、樹脂の変形を繰り返してもアルミニウム蒸着膜が剥がれることがなく、良好な金属光沢外観を示した。
実施例18
使用するポリオレフィン樹脂水性分散体をE−7に変更した以外は、実施例17と同様に行い、蒸着膜積層体を得た。得られた蒸着膜積層体は、樹脂の変形を繰り返してもアルミニウム蒸着膜が剥がれることがなく、極めて良好な金属光沢外観を示した。
比較例5
ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成せず、基材に直接、膜厚0.1μmのアルミニウム層を蒸着した以外は、実施例17と同様に行い、蒸着膜積層体を得た。得られた蒸着膜積層体は、樹脂の変形を繰り返すと、アルミニウム蒸着膜が剥がれ、良好な金属光沢性外観を維持することができなかった。

Claims (4)

  1. 基材の上に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜がこの順に積層された積層体であって、ポリオレフィン樹脂が、炭素数2〜4のアルケンからなるオレフィン成分(A)を主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル成分(B)を2〜40質量%含むポリオレフィン樹脂であることを特徴とする蒸着膜積層体。
  2. ポリオレフィン樹脂が酸変性成分(C)を0.01〜40質量%含む酸変性ポリオレフィン樹脂である請求項1記載の蒸着膜積層体。
  3. 基材が、熱可塑性樹脂からなるフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸着膜積層体。
  4. 基材の上に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜がこの順に積層された積層体の製造方法であって、ポリオレフィン樹脂を塩基性化合物とともに水性媒体に分散したポリオレフィン樹脂水性分散体とし、該水性分散体を基材上に塗布、乾燥することによってポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を形成し、次いで蒸着膜を形成することを特徴とする蒸着膜積層体の製造方法。
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