JP2016047647A - 積層フィルム - Google Patents

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剛正 吉野
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Abstract

【課題】金属箔上に接着層が形成された積層フィルムであって、金属箔とシーラント層との接着性に優れるとともに、ブロッキングが抑制されているため、ロール状に巻き取ることも巻き出すこともでき、ロール状で保管や輸送することが可能な積層フィルムを提供する。
【解決手段】金属箔の片面に接着層が形成されてなる積層フィルムであり、接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、不揮発性水性化助剤(B)0.3〜3質量部とを含有することを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属箔の片面に接着層が形成されてなる積層フィルムに関するものであり、詳しくは、接着層が形成されているにもかかわらず、ロール状に巻き取ることができる積層フィルムに関するものである。
従来から包装材料として、アルミニウム箔などの金属箔などからなるバリア層の上に、シーラント層としてポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したものが多く使用されている。この場合、シーラント層は、接着層(プライマー、アンカーコートなどとも呼ばれる)を介してバリア層に積層されるのが一般的である。すなわち、包装材料は、バリア層上に接着層を形成して積層フィルムを作製し、次いで、積層フィルムの接着層上にシーラント層を積層して製造されている。
一方、特許文献1には、金属材料に酸変性ポリオレフィン樹脂の被膜を設けた積層金属材料が提案されている。
特開2002−348523号公報
特許文献1に記載された積層金属材料を構成する被膜は、優れた防錆性を有し、耐アルカリ性、耐水性、耐溶剤性、加工性、および金属材料への良好な密着性を有するものである。しかしながら、この積層金属材料は、ロール状に巻き取ると、酸変性ポリオレフィン樹脂の被膜がその表裏面の金属材料を接着してブロッキングしやすくなることがあり、ずれが生じた場合の位置微調整ができず、ロール状に巻き取ることが困難となることがあった。また、ロール状に巻き取れたとしても、ブロッキングのためロールから積層金属材料を巻き出すことが困難となることがあった。したがって、金属材料上に酸変性ポリオレフィン樹脂の被膜が形成された積層金属材料を包装材料として使用する場合は、被膜を形成した金属材料を巻き取ることなく、すぐに積層金属材料の被膜上にシーラント層を積層して包装材料を製造しなければならず、金属材料上に被膜が形成された積層金属材料は、ロール状に巻き取って保管することや輸送することは困難であった。
本発明は、上記のような問題点を解決するものであって、金属箔上に接着層が形成された積層フィルムであって、金属箔とシーラント層との接着性に優れるとともに、ブロッキングが抑制されているため、ロール状に巻き取ることも巻き出すこともでき、ロール状で保管や輸送することが可能な積層フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酸変性ポリオレフィン樹脂と不揮発性水性化助剤とを特定の割合で含有する接着層が形成された積層フィルムが上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)金属箔の片面に接着層が形成されてなる積層フィルムであり、接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、不揮発性水性化助剤(B)0.3〜3質量部とを含有することを特徴とする積層フィルム。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1質量%以上含有することを特徴とする(1)記載の積層フィルム。
(3)不揮発性水性化助剤(B)の重量平均分子量が2500以上であることを特徴とする(1)または(2)記載の積層フィルム。
(4)不揮発性水性化助剤(B)が水溶性高分子であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)金属箔を構成する金属が、アルミニウム、銅またはステンレス鋼であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)ロール状に巻き取られてなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
本発明の、金属箔の片面に接着層が形成されてなる積層フィルムは、接着層が、酸変性ポリオレフィン樹脂と不揮発性水性化助剤とを特定の割合で含有するため、金属箔とシーラント層との接着性に優れるとともに、耐ブロッキング性という接着性と相反する効果を有しているため、ロール状に巻き取ることも巻き出すことも容易にでき、ロール状で保管や輸送することが可能なものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、不揮発性水性化助剤(B)とを含有する接着層が、金属箔の片面に形成されたものである。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を構成するオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のアルケンや、ノルボルネン等のシクロアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。中でもエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましく、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンが特に好ましい。また、2種類以上のオレフィン成分が共重合されていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)におけるオレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、基材密着性等のポリオレフィン樹脂由来の特性が失われてしまうことがある。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、後述する樹脂の水性化(液状化)の点から、また接着層と基材との密着性の点から、酸変性されていることが必要であり、不飽和カルボン酸成分を含有して酸変性されることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)における不飽和カルボン酸成分の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1〜25質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることがさらに好ましく、1〜8質量%であることが特に好ましく、1〜5質量%であることが最も好ましい。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、シーラント層、特にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなるシーラント層との密着性を向上させる理由から、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有することが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、良好な密着性を持たせるために、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが最も好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が40質量%を超えると、オレフィン由来の樹脂の性質が失われ、密着性が低下することがある。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、シーラント層との密着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。)
また、上記成分以外に他の成分を酸変性ポリオレフィン樹脂(A)全体の10質量%以下程度、含有していてもよい。他の成分としては、ジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の具体例としては、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられ、中でもエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体が最も好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン(a1)−アクリル酸エステル(a4)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a1/a4/a5)は、95/4/1〜50/40/10であることが好ましく、94/5/1〜60/36/4であることがより好ましく、92/7/1〜62/35/3であることが特に好ましい。
また、プロピレン(a2)−ブテン(a3)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a2/a3/a5)は、95/4/1〜53/40/7であることが好ましく、94/5/1〜60/34/6であることがより好ましく、92/7/1〜62/33/5であることが特に好ましい。
また、プロピレン(a2)−エチレン(a1)−ブテン(a3)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a2/a1/a3/a5)は、95/3/1/1〜50/15/28/7であることが好ましい。
また、エチレン(a1)−プロピレン(a2)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a1/a2/a5)は、1/98/1〜50/40/10であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが0.01〜500g/10分であることが好ましく、0.1〜400g/10分であることがより好ましく、1〜300g/10分であることがさらに好ましく、5〜200g/10分であることが特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、樹脂の水性化が困難となることがある。一方、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが500g/10分を超えると、得られる接着層は硬くてもろくなる傾向にあり、接着層の割れにより、密着性が低下しやすい。
本発明の積層フィルムを構成する接着層に含有される不揮発性水性化助剤(B)としては、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられ、例えば、乳化剤、水溶性高分子、保護コロイド作用を有する化合物、高酸価の酸変性化合物などが挙げられる。不揮発性水性化助剤(B)が高分子である場合、耐ブロッキング性向上の観点から、重量平均分子量は2500以上であることが好ましい。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、ポリエチレングリコール、ゼラチン、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、アラビアゴム等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、アラビアゴム、カゼイン等が挙げられる。
高酸価の酸変性化合物としては、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩等が挙げられる。
中でも、不揮発性水性化助剤(B)は、少量添加することで金属箔に対して耐ブロッキング性の効果を発揮するという点で水溶性高分子が好ましい。さらに、耐ブロッキング性と金属箔とシーラント層との接着性を両立する観点から、ポリビニルアルコールまたはポリエチレングリコールがより好ましい。
不揮発性水性化助剤(B)として使用することができるポリビニルアルコールとしては、ビニルエステルの重合体を完全または部分ケン化したものなどが挙げられる。ケン化方法としては、公知のアルカリケン化法や酸ケン化法を採用することができる。中でも、メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度としては、耐ブロッキング性向上の観点から、80〜99.9モル%が好ましく、90〜99.9モル%がより好ましく、95〜99.9モル%がさらに好ましい。80モル%未満であると、耐ブロッキング性が低下する傾向がある。
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、2500以上(平均重合度57以上)が好ましく、2500〜300000(平均重合度57〜6820)がより好ましく、20000〜200000(平均重合度455〜4545)がさらに好ましく、22000〜110000(平均重合度500〜2500)が特に好ましく、22000〜44000(平均重合度500〜1000)が最も好ましい。重量平均分子量が2500未満であると耐ブロッキング性が低下する場合がある。また、重量平均分子量が300000を超えると水性分散体とした場合の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
また、本発明の効果を損ねない範囲で、ビニルエステルに対し他のビニル化合物を共重合することも可能である。他のビニル化合物であるビニル系モノマーとしては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類や;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩;エチレンなど炭素数2〜30のα−オレフィン類;アルキルビニルエーテル類;ビニルピロリドン類、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。エチレンを共重合した場合、即ち、エチレン−ビニルアルコール共重合体の場合のエチレンの含有量としては、密着性の観点から50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。
なお、ポリビニルアルコールとしては、市販のものが使用できる。具体的には、日本酢ビ・ポバール社製の「J−ポバール」、クラレ社製の「クラレポバール」「エクセバール」、電気化学工業社製の「デンカ ポバール」などを好適に用いることができる。
不揮発性水性化助剤(B)として使用することができるポリエチレングリコールとしては、重量平均分子量が2500以上であるものが好ましい。ポリエチレングリコールの重量平均分子量が2500未満であると、得られた積層フィルムは、ロール状に巻き取った際にブロッキングしやすくなることがある。
本発明の積層フィルムを構成する接着層は、金属箔とシーラント層との接着性の観点から、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、不揮発性水性化助剤(B)を0.3〜3質量部含有することが必要であり、0.4〜2質量部含有することが好ましく、0.5〜1質量部含有することがより好ましい。不揮発性水性化助剤(B)の含有量が0.3質量部未満であると、得られる積層体は耐ブロッキング性に劣り、含有量が3質量部を超えると、シーラント層との接着性が低下する。
接着層の量は、接着面の面積に対して、0.001〜5g/mの範囲であることが好ましく、0.01〜3g/mであることがより好ましく、0.02〜2g/mであることがさらに好ましく、0.03〜1g/mであることが特に好ましく、0.05〜1g/mであることが最も好ましい。接着層の量が0.001g/m未満では、十分な接着性が得られない傾向にあり、一方、5g/mを超える場合には、経済的に不利となる傾向にある。
本発明の積層フィルムは、金属箔の片面に接着層が形成されたものである。金属箔を有する積層フィルムを使用して得られる包装材料は、液体や気体を遮断して、包装された内容物を保存することができる。
金属箔を構成する金属としては、アルミニウム、銅またはステンレス鋼であることが好ましい。金属箔の厚みは、特に限定されないが、経済的な面から3〜50μmであることが好ましい。
金属箔における、接着層が形成される表面は、酸化膜が形成されていてもよい。
本発明の積層フィルムは、たとえば、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と不揮発性水性化助剤(B)を含有する水性分散体を、金属箔の片面に塗布、乾燥することによって、製造することができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)および不揮発性水性化助剤(B)は、後述するような方法で、水性媒体中に分散または溶解させることで、水性分散体に加工することが可能である。この水性分散体は、水性媒体中に、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は主に分散した状態で、不揮発性水性化助剤(B)は主に溶解した状態で含有する。ここで、水性媒体とは、水または、水を含む液体からなる媒体であり、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散安定化に寄与する中和剤や水溶性の有機溶媒などが含まれていてもよい。
水性分散体の製造方法は、特に限定されないが、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体と不揮発性水性化助剤(B)の水溶液を、個別に作成しておいてからそれぞれを混合する方法や、水性媒体に固形の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と不揮発性水性化助剤(B)とを一括して仕込み、同一の系内で両者を分散、溶解する方法などを採用することができる。
次に酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体について説明する。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、水性媒体中に分散し水性分散体に加工することが可能である。分散させる方法としては、自己乳化法や強制乳化法など公知の分散方法を採用すればよい。なお、上述したように、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散の際に、予め不揮発性水性化助剤(B)を原料として特定量仕込み、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と一括して水性分散化させる方法を採用してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、水性媒体中で酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分を塩基性化合物によって中和することで得られるアニオン性の水性分散体を使用することが、接着性の観点から好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を水性分散化させる際に用いる水性媒体は、水または、水を含む液体からなる媒体であり、分散安定化に寄与する中和剤や水溶性の有機溶媒などが含まれていてもよい。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体;さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられる。なお、これら有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、沸点が140℃以下の揮発性の水溶性有機溶媒を用いることが、接着層を形成する際に残存を少なくするために好ましい。具体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどが挙げられる。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分を中和するのに用いる塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属等が挙げられる。なお、塩基性化合物は2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、沸点が140℃以下の揮発性の塩基性化合物を用いることが、接着層を形成する際に残存を少なくするために好ましい。具体的には、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。
不揮発性水性化助剤(B)の水性媒体への溶解方法としては、公知の方法を採用すればよく、具体的には、水性媒体として水を用い、不揮発性水性化助剤(B)を水に仕込み攪拌しながら加熱し溶解させる方法が一般的である。
このようにして得られた不揮発性水性化助剤(B)の溶液を、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体に特定量添加することで、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と不揮発性水性化助剤(B)と水性媒体とを含有する水性分散体を得ることが可能である。不揮発性水性化助剤(B)の溶液の添加の際は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体を攪拌しながら添加することが好ましい。
水性分散体中の分散粒子の数平均粒子径は、500nm以下であることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。数平均粒子径が500nmを超えると、水性分散体の保存安定性が低下する傾向にあったり、均一な厚みの塗布が困難となり、その結果、安定した効果が得られなくなることがある。なお、水性分散体中の分散粒子は、通常、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散粒子のことを意味する。
また、水性分散体の固形分濃度(不揮発成分濃度)は、水性分散体全体に対して1〜50質量%の範囲であることが好ましい。
水性分散体は、本発明の効果を損ねない限りにおいて、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、不揮発性水性化助剤(B)以外の樹脂が含有されていてもよく、具体的には酸変性ポリオレフィン樹脂(A)に対して30質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。その他の樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
さらに水性分散体には、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)または不揮発性水性化助剤(B)を架橋するための架橋剤が含有されていてもよい。架橋剤としては、多価イソシアネート化合物、多価メラミン化合物、尿素化合物、多価エポキシ化合物、多価カルボジイミド化合物、多価オキサゾリン基含有化合物、多価ヒドラジド化合物、多価ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの含有量は、耐ブロッキング性を考慮して適宜決定すればよいが、具体的には、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と不揮発性水性化助剤(B)の総和100質量部に対して、20質量%以下の範囲で含有されていることが好ましい。
上記のような、その他の樹脂や架橋剤は、水性分散体への添加、混合のしやすさの観点から、水溶性または水性分散性のものを用いることが好ましい。
本発明において、接着層を形成する方法としては、上記方法で調製した水性分散体を金属箔の一方の面に塗布して、水性媒体の一部または全てを乾燥し、塗膜を形成させる方法、また、剥離紙上に水性分散体を塗布し、水性媒体の一部または全てを乾燥させて一旦塗膜を形成し、後に金属箔の一方の面にこれを転写する方法などが挙げられる。中でも、環境面や性能面、接着層の量を調整しやすくする点などから、水性分散体を、金属箔の一方の面に塗布して水性媒体の一部または全てを乾燥させる方法が好ましい。
水性分散体の塗布方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが挙げられる。
水性分散体を金属箔表面に均一に塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理または乾燥のための加熱処理に供することにより、水性媒体の一部または全てを乾燥し、均一な塗膜、即ち接着層を金属箔表面に密着させて形成することができる。乾燥の際は、水性媒体の全てを乾燥させることが、接着性を良好にする観点から好ましい。乾燥のための加熱処理の条件としては、温度は150〜300℃が好ましく、160〜280℃がより好ましく、180〜250℃がさらに好ましく、時間は0.5〜10秒が好ましく、0.7〜8秒がより好ましく、1〜5秒がさらに好ましい。
本発明の積層フィルムは、接着層上にシーラント層を形成することにより、包装材料として使用することができる。
上記の方法により本発明の積層フィルムを製造し、次いで積層フィルムの接着層上にインラインでシーラント樹脂を溶融押出(押出ラミネート)することによって、シーラント層を積層して包装材料が得られるが、本発明の積層フィルムは、製造直後にインラインでシーラント層を積層せずに、一旦ロール状に巻き取って保管や輸送したのち、オフラインでシーラント層を積層して包装材料を得ることができる。後者の方法は、包装材料の製造において、特に好ましい方法である。
包装材料を構成するシーラント層としては、従来から知られたシーラント樹脂が使用できる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。また、アイオノマーやポリオレフィン樹脂以外の複層シーラント層として、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂、バリア機能があるポリオレフィン樹脂とポリオレフィン樹脂を共押出で複合されたフィルムが挙げられ、中でも低温シール性からポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。
シーラント層の厚みは、特に限定されないが、包装材料への加工性や金属箔との接着性などから、10〜60μmが好ましく、15〜40μmがより好ましい。
また、シーラント層に高低差が5〜20μmの凸凹を設けることで、シーラント層の滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
接着層上にシーラント層を積層する方法としては、特に限定されないが、例えば、接着層とシーラント樹脂フィルムとを熱によってラミネートする方法(熱ラミネート、ドライラミネート)、シーラント樹脂を溶融させて接着層上に押出し、冷却固化させて積層する方法(押出ラミネーション法)などが挙げられ、押出ラミネーション法が好ましい。押出しの際の溶融シーラント樹脂温度としては、接着性を良好にする観点から、200〜400℃の範囲が好ましく、250〜350℃の範囲がより好ましく、280〜330℃の範囲がさらに好ましい。また、押出しの際の溶融シーラント樹脂には、接着性を向上させたりライン速度を向上させるために、オゾン処理などの処理を施しても構わない。
本発明の積層フィルムを包装材料に使用する場合、通常、金属箔は外側に、シーラント層は内側(内容物側)にされる。また、包装材料としての用途、必要な性能(易引裂性やハンドカット性)、包装材料として要求される剛性や耐久性(例えば、耐衝撃性や耐ピンホール性など)などを考慮した場合、必要に応じて金属箔の外側に他の層を積層することもできる。通常は、金属箔の外側に基材層、紙層、第2のシーラント層、不織布層などを伴って使用される。他の層を積層する方法としては公知の方法、たとえば、他の層との層間に接着剤層を設けてドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法や押出しラミネート法などを採用すればよい。接着剤としては、1液タイプのウレタン系接着剤、2液タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィンの水性分散体などを用いることが可能である。また、本発明における接着層を形成するための水性分散体を他の層の接着に用いても特に構わない。
具体的な積層体構成としては、一般な包装材料や蓋材、詰め替え容器などに好適に用いることが可能な、基材層/金属箔/接着層/シーラント層や、紙容器、紙カップなどに好適に用いることが可能な、第2のシーラント層/紙層/金属箔/接着層/シーラント層、第2のシーラント層/紙層/ポリオレフィン樹脂層/基材層/金属箔/接着層/シーラント層、紙層/金属箔/接着層/シーラント層や、チューブ容器などに好適に用いることが可能な、第2のシーラント層/金属箔/接着層/シーラント層などが挙げられる。これら積層体は必要に応じて、印刷層やトップコート層などを設けてあっても構わない。
基材層としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ナイロン6、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などのポリアミド樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアクリルニトリル樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6ナイロン/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体などが用いられ、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。紙層としては、紙や合成紙などが挙げられる。第2のシーラント層の材料としては、シーラント層と同様の材料が挙げられる。
これら他の層は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよく、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしてもよい。
他の層の厚みは、包装材料としての適性、積層する場合の加工性を考慮して決定すればよく、特に制限されないが、実用的には1〜300μmの範囲で、用途によっては300μm以上のものを採用すればよい。
包装材料の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラシック、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ(胴部と底部のブランク板を作製し、該ブランク板をカップ成形機で筒状の胴部と、該胴部の一方の開口端に底部を成形、熱接着してなる紙カップ容器など)、蓋材、など種々あり、最内層のシーラント層にポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂製チャックを設けて、チャック付き包装袋とすることもできる。本発明における接着層を形成するための水性分散体はその様なチャックとの接着性にも優れる。さらに深絞り成型にも適している。
包装材料は様々な内容物に対して良好な耐性を有していることから、特に、揮発性を有する内容物や刺激性の強い内容物の包装材料として好適であり、中でも香り成分、香辛料成分、薬効成分を有する製品や電解液の包装材料として最適である。具体的には、アルコール(例えば50質量%以上の高濃度アルコール)、アルコール飲料、酸化防止剤、亜硫酸塩、芳香剤、香料、入浴剤(液体タイプ、粉末タイプ)、香辛料(チョウジ、唐辛子)、湿布剤、貼付剤、医薬品、電池電解液、トイレタリー製品、界面活性剤、シャンプー、リンス、洗剤、車用洗浄剤、パーマ液、防虫剤、殺虫剤、消毒液、消臭剤、育毛剤、食酢、歯磨き剤、化粧品、現像液、毛染め剤、歯磨き粉、マスタード、食酢、油、カレー、粉末キムチの素、タバスコ(キダチトウガラシを原料とした香辛料、登録商標)、塩基性物質を含んだ物、酸性物物質を含んだ物の包装材料に好適に使用される。バリア性の包装材料において層間の接着強度が低下する原因の詳細は不明であるが、内容物の揮発成分がバリア層に遮蔽され、バリア層と接着層の界面付近に蓄積されることにより接着層が膨潤、溶解などの劣化を起すためと考えられる。
本発明の積層フィルムは、包装材料以外の用途にも使用することができる。包装材料以外の用途としては、例えば、断熱フィルム部材などの建材用途、太陽電池素子材料部材、照明部材、フィルムコンデンサ部材などの電子部材用途などが挙げられる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.接着層構成成分、水性分散体の特性
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
H−NMR分析装置(日本電子社製、ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS K7210:1999記載の方法に準じて行った。
ボンダインHX−8290については190℃、2160g荷重で測定し、A−1については160℃、2160g荷重で測定し、A−2については150℃、2160g荷重で測定した。
(3)ポリビニルアルコールのケン化度および平均重合度
JIS K6726:1994記載の方法に準じて測定した。
(4)水性分散体の分散粒子の数平均粒子径(mn)、体積平均粒子径(mw)
マイクロトラック粒度分布計(日機装社製、UPA150、MODEL No.9340、動的光散乱法)を用いて求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(5)重量平均分子量
(5−1)酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量
酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgのポリオレフィン樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合は、オルトジクロロベンゼンで溶解した。
(5−2)ポリビニルアルコールの重量平均分子量
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、その平均重合度とビニルアルコールの分子量44とから、次の式で算出した。
重量平均分子量=平均重合度×44
(5−3)ポリエチレングリコール、カルボキシル基含有ポリエチレンワックスの重量平均分子量
ポリエチレングリコール、または、カルボキシル基含有ポリエチレンワックスの重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KD−802(1本)、KD−806(2本)を連結して用いた。)を用い、溶離液としてジメチルホルムアミドを用い測定した。ポリエチレングリコール、または、カルボキシル基含有ポリエチレンワックスをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し測定用試料とした。ポリエチレングリコール標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。
2.積層フィルムの特性
(1)接着層の量(塗工量)
予め面積および質量を計測した基材に水性分散体を所定量塗工し、100℃で2分間乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗工前の基材の質量を差し引くことで塗工量を求めた。塗工量と塗工面積から単位面積当りの層量(g/m)を計算した。
(2)耐ブロッキング性評価
アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に、乾燥後の塗布量が約5g/mになるように水性分散体をメイヤーバーで塗工し、150℃で120秒間乾燥して塗膜を得た。塗膜面上に、さらに上記と同様のアルミニウム箔を重ね合わせた状態で、0.1MPaの負荷をかけ、30℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置した。
このサンプルを、15mm幅で切り出し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで、耐ブロッキング性を次の4段階で評価した。
◎:剥離強度が0.2N/15mm以下
○:剥離強度が0.2N/15mmを超え、0.4N/15mm以下
△:剥離強度が0.4N/15mmを超え、1.0N/15mm以下
×:剥離強度が1.0N/15mmを超える
本発明においては、耐ブロッキング性の評価が◎、○、△であるものを実用に耐えうるものとした。
(3)ポリオレフィンフィルムとの密着性
実施例、比較例で得られた水性分散体のうち、オレフィン成分の主成分がプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を、延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、OPU−1、厚み50μm(以下、PP))の未処理面上に、また、オレフィン成分の主成分がエチレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を、ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、V−1、厚み30μm(以下、PE))の未処理面上に、乾燥後の塗布量が約2g/mになるように、それぞれメイヤーバーで塗工して塗膜を得た。150℃で120秒間乾燥した後、塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:塗膜に全く剥がれがなかった。
△:塗膜の一部に剥がれが生じた。
×:塗膜の全て剥がれた。
本発明においては、○であるものを実用に耐えうるものとした。
(4)金属箔とシーラント層との接着性
実施例、比較例で得られた水性分散体のうち、オレフィン成分の主成分がプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に乾燥後の塗布量が約2g/mになるようにメイヤーバーでコートし、150℃で120秒間乾燥した。アルミニウム箔の塗工面と、シーラント層形成用延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、OPU−1、厚み50μm)のコロナ処理面が接するように重ね合わせて、ヒートプレス機(シール圧3kg/cmで5秒間)にて120℃でプレスして、アルミニウム箔/接着層/PPフィルムの構成を有する積層体を得た。
また、実施例、比較例で得られた水性分散体のうち、オレフィン成分の主成分がエチレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に乾燥後の塗布量が約2g/mになるようにメイヤーバーでコートし、150℃で120秒間乾燥した。アルミニウム箔の塗工面と、シーラント層形成用ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、V−1、厚み30μm)のコロナ処理面が接するように重ね合わせて、ヒートプレス機(シール圧3kg/cmで5秒間)にて120℃でプレスして、アルミニウム箔/接着層/PEフィルムの構成を有する積層体を得た。
これらのサンプルを、15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで、金属箔と、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムからなるシーラント層との接着性を次の4段階で評価した。
◎:剥離強度が8N/15mm以上
○:剥離強度が5N/15mm以上、8N/15mm未満
△:剥離強度が3N/15mm以上、5N/15mm未満
×:剥離強度が3N/15mm未満
本発明においては、金属箔とシーラント層との接着性の評価が、◎、○であるものを、実用に耐えうるものであるとした。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)およびその水性分散体、不揮発性水性化助剤(B)の水溶液は、以下の方法によって製造した。
1.酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の製造
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂A−1
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って撹拌下、酸成分として無水マレイン酸32.0g、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂A−1を得た。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂A−2
プロピレン−エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=82/18質量%、重量平均分子量85000)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を180℃に保って攪拌下、酸成分として無水マレイン酸35.0g、ラジカル発生剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド6.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂A−2(重量平均分子量40000)を得た。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂A−3
プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン/1−ブテン=80/20質量%)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。
この析出させた樹脂を、トリエチルアミンのアセトン溶液(質量比:トリエチルアミン/アセトン=1/4)で1回洗浄し、その後アセトンで洗浄することで未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂A−3を得た。
2.酸変性ポリオレフィン樹脂(A)水性分散体の製造
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(アルケマ社製、ボンダインHX−8290、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=80/18/2質量%、以下、HX−8290)、60.0gのイソプロパノール(以下、IPA)、4.5g(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.8倍当量)のトリエチルアミン(以下、TEA)および175.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−1(プロピレン/ブテン/エチレン/無水マレイン酸=60.7/22.4/10.6/6.3質量%)、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、6.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン(以下、DMEA)および188.1gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、150gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−2(プロピレン/エチレン/無水マレイン酸=75/17/8質量%)、60gのIPA、340gのテトラヒドロフラン、30gのDMEAおよび420gの蒸留水を仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。系内温度を150℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの電源を切り自然冷却した。
内温が80℃まで下がったところで容器を開封して、120.0gのテトラヒドロフラン、20.0gのDMEAおよび100.0gの蒸留水からなる原料を追加投入した。その後、容器を密閉し、ヒーターの電源を入れ、撹拌翼の回転速度を300rpmの状態で再度加熱(再昇温)した。系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの出力を、内温80℃になるように調整した。
内温が80℃になったところで、真空ポンプを使って系内を徐々に減圧して、テトラヒドロフラン、IPA、水を除去した。テトラヒドロフラン、IPA、水を800g以上除去した後、ヒーターの電源を切り、自然冷却した。系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中の固形分濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−3(プロピレン/ブテン/無水マレイン酸=76.5/19.2/4.3質量%)、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、8.0gのDMEAおよび137.0gの蒸留水を、ガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。
その後、空冷にて内温が80℃になるまで冷却し、開封して、45.0gのテトラヒドロフラン、5.0gのDMEAおよび30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。
そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
得られた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の特性とその製造に用いた酸変性ポリオレフィン樹脂の特性を表1に示す。
Figure 2016047647
3.不揮発性水性化助剤(B)の水溶液の製造
(1)ポリビニルアルコール水溶液B−1、2
ポリビニルアルコールとして、日本酢ビ・ポバール社製VC−10(重合度1000(重量平均分子量40000)、ケン化度99.5モル%、以下、VC−10)、同JL−25E(重合度2500(重量平均分子量100000)、ケン化度79.0モル%、以下、JL−25E)を用い、水との加熱、攪拌によって8質量%ポリビニルアルコール水溶液を得た。「VC−10」の水溶液をB−1、「JL−25E」の水溶液をB−2とした。
(2)ポリエチレングリコールの水溶液B−3、4
ポリエチレングリコールとしてナカライテスク社製#2,000(重量平均分子量1850〜2150、以下、PEG2000)を用い、熱水に溶解して、20質量%のポリエチレングリコール水溶液B−3を得た。
また、ポリエチレングリコールの水溶液B−4として、ナカライテスク社製#20,000の30質量%溶液(ポリエチレングリコール:重量平均分子量15000〜25000、以下、PEG20000)を用いた。
(3)カルボキシル基含有ポリエチレンワックスの水溶液B−5
カルボキシル基含有ポリエチレンワックスとして、BYK社製CERAFLOUR950(重量平均分子量4310、以下950)を用い、熱水に溶解して、20質量%のカルボキシル基含有ポリエチレンワックス水溶液B−5を得た。
(4)ポリエチレンワックスの水性分散体B−6
ポリエチレンワックスの水性分散体である日本精鑞社製EMUSTAR−0443(以下、443)に水を加えて、固形分濃度を20%としたものを用いた。
(5)パラフィンワックスの水性分散体B−7
パラフィンワックスの水性分散体である日本精鑞社製EMUSTAR−0135(以下、0135)に水を加えて、固形分濃度を20%としたものを用いた。
(6)キャンデリラワックスの水性分散体B−8
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、40.0gの東亜化成社製キャンデリラワックスTOWAX−432(酸価:15.8、ケン化価:55.4、以下、W−1と称す)、8.8gのモルホリン(ナカライテスク社製)及び151.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を400rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を100℃に保ってさらに10分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度600rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、淡黄色の均一なキャンデリラワックスの水性分散体B−8を得た。固形分濃度は20.0質量%、数平均粒子径は0.27μmであった。
実施例1
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体E−1と、不揮発性水性化助剤の水溶液B−1(不揮発性水性化助剤としてポリビニルアルコールVC−10を含有)を用いて、「E−1」中の酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して「B−1」中のポリビニルアルコールの含有量が0.5質量部になるように「E−1」と「B−1」とを攪拌しながら混合し、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールとを含有する水性分散体を得た。さらに、水性分散体の固形分濃度が8質量%となるように水を加え攪拌した。
得られた水性分散体を、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に乾燥後の塗布量が約2g/mになるようにメイヤーバーでコートし、150℃で120秒間乾燥して、積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムを用いて、アルミニウム箔を重ね合わせた場合の耐ブロッキング性を評価し、また、シーラント層形成用ポリエチレンフィルムを重ね合わせて熱プレスした場合の金属箔とシーラント層との接着性を評価した。また得られた水性分散体を用いて、ポリエチレンフィルムに塗膜を形成し、テープ剥離して、塗膜とポリエチレンフィルムとの密着性を評価した。
実施例2〜23、比較例1〜15
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体と不揮発性水性化助剤の水溶液または水性分散体の種類、また酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対する不揮発性水性化助剤の含有量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、水性分散体と積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと水性分散体を用いて、実施例1と同様に、耐ブロッキング性、金属箔とシーラント層との接着性、密着性を評価した。なお、オレフィン成分の主成分がプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を使用した実施例11〜23、比較例10〜15においては、ポリエチレンフィルムに代えてシーラント層形成用ポリプロピレンフィルムを用いて、金属箔とシーラント層との接着性、密着性を評価した。
実施例1〜23および比較例1〜15で得られた積層フィルム、水性分散体の評価結果を表2に示す。
Figure 2016047647
実施例1〜23のように、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して不揮発性水性化助剤(B)が0.3〜3質量部である接着層が金属箔に形成された積層フィルムは、金属箔を重ね合わせてもブロッキングすることがなく、またシーラント層形成用ポリオレフィンフィルムを重ね合わせて熱プレスすると金属箔とシーラント層との接着性に優れるものであった。また接着層はポリオレフィンフィルムとの密着性に優れるものであった。
一方、比較例1、2、4、10、11、13、15のように、不揮発性水性化助剤(B)の含有量が0.3質量部未満であると、積層フィルムは耐ブロッキング性に劣り、比較例3、5、12、14のように、不揮発性水性化助剤(B)の含有量が3質量部を超えると、接着層はポリオレフィンフィルムとの密着性が劣り、積層フィルムは金属箔とシーラント層との接着性が低下する傾向にあった。比較例6〜9は、接着層が、本発明で規定する不揮発性水性化助剤を含有しないため、積層フィルムは、耐ブロッキング性に劣っていた。

Claims (6)

  1. 金属箔の片面に接着層が形成されてなる積層フィルムであり、接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、不揮発性水性化助剤(B)0.3〜3質量部とを含有することを特徴とする積層フィルム。
  2. 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
  3. 不揮発性水性化助剤(B)の重量平均分子量が2500以上であることを特徴とする請求項1または2記載の積層フィルム。
  4. 不揮発性水性化助剤(B)が水溶性高分子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 金属箔を構成する金属が、アルミニウム、銅またはステンレス鋼であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. ロール状に巻き取られてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。

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