JP2016047647A - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属箔の片面に接着層が形成されてなる積層フィルムであり、接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、不揮発性水性化助剤(B)0.3〜3質量部とを含有することを特徴とする積層フィルム。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)金属箔の片面に接着層が形成されてなる積層フィルムであり、接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、不揮発性水性化助剤(B)0.3〜3質量部とを含有することを特徴とする積層フィルム。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1質量%以上含有することを特徴とする(1)記載の積層フィルム。
(3)不揮発性水性化助剤(B)の重量平均分子量が2500以上であることを特徴とする(1)または(2)記載の積層フィルム。
(4)不揮発性水性化助剤(B)が水溶性高分子であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)金属箔を構成する金属が、アルミニウム、銅またはステンレス鋼であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)ロール状に巻き取られてなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
本発明の積層フィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、不揮発性水性化助剤(B)とを含有する接着層が、金属箔の片面に形成されたものである。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)におけるオレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、基材密着性等のポリオレフィン樹脂由来の特性が失われてしまうことがある。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)における不飽和カルボン酸成分の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1〜25質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることがさらに好ましく、1〜8質量%であることが特に好ましく、1〜5質量%であることが最も好ましい。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、良好な密着性を持たせるために、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが最も好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が40質量%を超えると、オレフィン由来の樹脂の性質が失われ、密着性が低下することがある。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、シーラント層との密着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。)
また、プロピレン(a2)−ブテン(a3)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a2/a3/a5)は、95/4/1〜53/40/7であることが好ましく、94/5/1〜60/34/6であることがより好ましく、92/7/1〜62/33/5であることが特に好ましい。
また、プロピレン(a2)−エチレン(a1)−ブテン(a3)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a2/a1/a3/a5)は、95/3/1/1〜50/15/28/7であることが好ましい。
また、エチレン(a1)−プロピレン(a2)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a1/a2/a5)は、1/98/1〜50/40/10であることが好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、ポリエチレングリコール、ゼラチン、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、アラビアゴム等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、アラビアゴム、カゼイン等が挙げられる。
高酸価の酸変性化合物としては、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩等が挙げられる。
中でも、不揮発性水性化助剤(B)は、少量添加することで金属箔に対して耐ブロッキング性の効果を発揮するという点で水溶性高分子が好ましい。さらに、耐ブロッキング性と金属箔とシーラント層との接着性を両立する観点から、ポリビニルアルコールまたはポリエチレングリコールがより好ましい。
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度としては、耐ブロッキング性向上の観点から、80〜99.9モル%が好ましく、90〜99.9モル%がより好ましく、95〜99.9モル%がさらに好ましい。80モル%未満であると、耐ブロッキング性が低下する傾向がある。
金属箔を構成する金属としては、アルミニウム、銅またはステンレス鋼であることが好ましい。金属箔の厚みは、特に限定されないが、経済的な面から3〜50μmであることが好ましい。
金属箔における、接着層が形成される表面は、酸化膜が形成されていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、水性媒体中に分散し水性分散体に加工することが可能である。分散させる方法としては、自己乳化法や強制乳化法など公知の分散方法を採用すればよい。なお、上述したように、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散の際に、予め不揮発性水性化助剤(B)を原料として特定量仕込み、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と一括して水性分散化させる方法を採用してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、水性媒体中で酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分を塩基性化合物によって中和することで得られるアニオン性の水性分散体を使用することが、接着性の観点から好ましい。
また、水性分散体の固形分濃度(不揮発成分濃度)は、水性分散体全体に対して1〜50質量%の範囲であることが好ましい。
水性分散体を金属箔表面に均一に塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理または乾燥のための加熱処理に供することにより、水性媒体の一部または全てを乾燥し、均一な塗膜、即ち接着層を金属箔表面に密着させて形成することができる。乾燥の際は、水性媒体の全てを乾燥させることが、接着性を良好にする観点から好ましい。乾燥のための加熱処理の条件としては、温度は150〜300℃が好ましく、160〜280℃がより好ましく、180〜250℃がさらに好ましく、時間は0.5〜10秒が好ましく、0.7〜8秒がより好ましく、1〜5秒がさらに好ましい。
上記の方法により本発明の積層フィルムを製造し、次いで積層フィルムの接着層上にインラインでシーラント樹脂を溶融押出(押出ラミネート)することによって、シーラント層を積層して包装材料が得られるが、本発明の積層フィルムは、製造直後にインラインでシーラント層を積層せずに、一旦ロール状に巻き取って保管や輸送したのち、オフラインでシーラント層を積層して包装材料を得ることができる。後者の方法は、包装材料の製造において、特に好ましい方法である。
シーラント層の厚みは、特に限定されないが、包装材料への加工性や金属箔との接着性などから、10〜60μmが好ましく、15〜40μmがより好ましい。
また、シーラント層に高低差が5〜20μmの凸凹を設けることで、シーラント層の滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
1H−NMR分析装置(日本電子社製、ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d2)を溶媒とし、120℃で測定した。
JIS K7210:1999記載の方法に準じて行った。
ボンダインHX−8290については190℃、2160g荷重で測定し、A−1については160℃、2160g荷重で測定し、A−2については150℃、2160g荷重で測定した。
JIS K6726:1994記載の方法に準じて測定した。
マイクロトラック粒度分布計(日機装社製、UPA150、MODEL No.9340、動的光散乱法)を用いて求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(5−1)酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量
酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgのポリオレフィン樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合は、オルトジクロロベンゼンで溶解した。
(5−2)ポリビニルアルコールの重量平均分子量
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、その平均重合度とビニルアルコールの分子量44とから、次の式で算出した。
重量平均分子量=平均重合度×44
(5−3)ポリエチレングリコール、カルボキシル基含有ポリエチレンワックスの重量平均分子量
ポリエチレングリコール、または、カルボキシル基含有ポリエチレンワックスの重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KD−802(1本)、KD−806(2本)を連結して用いた。)を用い、溶離液としてジメチルホルムアミドを用い測定した。ポリエチレングリコール、または、カルボキシル基含有ポリエチレンワックスをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し測定用試料とした。ポリエチレングリコール標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。
(1)接着層の量(塗工量)
予め面積および質量を計測した基材に水性分散体を所定量塗工し、100℃で2分間乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗工前の基材の質量を差し引くことで塗工量を求めた。塗工量と塗工面積から単位面積当りの層量(g/m2)を計算した。
アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に、乾燥後の塗布量が約5g/m2になるように水性分散体をメイヤーバーで塗工し、150℃で120秒間乾燥して塗膜を得た。塗膜面上に、さらに上記と同様のアルミニウム箔を重ね合わせた状態で、0.1MPaの負荷をかけ、30℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置した。
このサンプルを、15mm幅で切り出し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで、耐ブロッキング性を次の4段階で評価した。
◎:剥離強度が0.2N/15mm以下
○:剥離強度が0.2N/15mmを超え、0.4N/15mm以下
△:剥離強度が0.4N/15mmを超え、1.0N/15mm以下
×:剥離強度が1.0N/15mmを超える
本発明においては、耐ブロッキング性の評価が◎、○、△であるものを実用に耐えうるものとした。
実施例、比較例で得られた水性分散体のうち、オレフィン成分の主成分がプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を、延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、OPU−1、厚み50μm(以下、PP))の未処理面上に、また、オレフィン成分の主成分がエチレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を、ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、V−1、厚み30μm(以下、PE))の未処理面上に、乾燥後の塗布量が約2g/m2になるように、それぞれメイヤーバーで塗工して塗膜を得た。150℃で120秒間乾燥した後、塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:塗膜に全く剥がれがなかった。
△:塗膜の一部に剥がれが生じた。
×:塗膜の全て剥がれた。
本発明においては、○であるものを実用に耐えうるものとした。
実施例、比較例で得られた水性分散体のうち、オレフィン成分の主成分がプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、150℃で120秒間乾燥した。アルミニウム箔の塗工面と、シーラント層形成用延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、OPU−1、厚み50μm)のコロナ処理面が接するように重ね合わせて、ヒートプレス機(シール圧3kg/cm2で5秒間)にて120℃でプレスして、アルミニウム箔/接着層/PPフィルムの構成を有する積層体を得た。
また、実施例、比較例で得られた水性分散体のうち、オレフィン成分の主成分がエチレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、150℃で120秒間乾燥した。アルミニウム箔の塗工面と、シーラント層形成用ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、V−1、厚み30μm)のコロナ処理面が接するように重ね合わせて、ヒートプレス機(シール圧3kg/cm2で5秒間)にて120℃でプレスして、アルミニウム箔/接着層/PEフィルムの構成を有する積層体を得た。
これらのサンプルを、15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度200mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで、金属箔と、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムからなるシーラント層との接着性を次の4段階で評価した。
◎:剥離強度が8N/15mm以上
○:剥離強度が5N/15mm以上、8N/15mm未満
△:剥離強度が3N/15mm以上、5N/15mm未満
×:剥離強度が3N/15mm未満
本発明においては、金属箔とシーラント層との接着性の評価が、◎、○であるものを、実用に耐えうるものであるとした。
1.酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の製造
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂A−1
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って撹拌下、酸成分として無水マレイン酸32.0g、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂A−1を得た。
プロピレン−エチレン共重合体(プロピレン/エチレン=82/18質量%、重量平均分子量85000)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を180℃に保って攪拌下、酸成分として無水マレイン酸35.0g、ラジカル発生剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド6.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂A−2(重量平均分子量40000)を得た。
プロピレン−ブテン共重合体(プロピレン/1−ブテン=80/20質量%)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。
この析出させた樹脂を、トリエチルアミンのアセトン溶液(質量比:トリエチルアミン/アセトン=1/4)で1回洗浄し、その後アセトンで洗浄することで未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂A−3を得た。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(アルケマ社製、ボンダインHX−8290、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=80/18/2質量%、以下、HX−8290)、60.0gのイソプロパノール(以下、IPA)、4.5g(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.8倍当量)のトリエチルアミン(以下、TEA)および175.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−1(プロピレン/ブテン/エチレン/無水マレイン酸=60.7/22.4/10.6/6.3質量%)、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、6.9gのN,N−ジメチルエタノールアミン(以下、DMEA)および188.1gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、150gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−2(プロピレン/エチレン/無水マレイン酸=75/17/8質量%)、60gのIPA、340gのテトラヒドロフラン、30gのDMEAおよび420gの蒸留水を仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。系内温度を150℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの電源を切り自然冷却した。
内温が80℃まで下がったところで容器を開封して、120.0gのテトラヒドロフラン、20.0gのDMEAおよび100.0gの蒸留水からなる原料を追加投入した。その後、容器を密閉し、ヒーターの電源を入れ、撹拌翼の回転速度を300rpmの状態で再度加熱(再昇温)した。系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した後、ヒーターの出力を、内温80℃になるように調整した。
内温が80℃になったところで、真空ポンプを使って系内を徐々に減圧して、テトラヒドロフラン、IPA、水を除去した。テトラヒドロフラン、IPA、水を800g以上除去した後、ヒーターの電源を切り、自然冷却した。系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中の固形分濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−3(プロピレン/ブテン/無水マレイン酸=76.5/19.2/4.3質量%)、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、8.0gのDMEAおよび137.0gの蒸留水を、ガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。
その後、空冷にて内温が80℃になるまで冷却し、開封して、45.0gのテトラヒドロフラン、5.0gのDMEAおよび30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。
そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
(1)ポリビニルアルコール水溶液B−1、2
ポリビニルアルコールとして、日本酢ビ・ポバール社製VC−10(重合度1000(重量平均分子量40000)、ケン化度99.5モル%、以下、VC−10)、同JL−25E(重合度2500(重量平均分子量100000)、ケン化度79.0モル%、以下、JL−25E)を用い、水との加熱、攪拌によって8質量%ポリビニルアルコール水溶液を得た。「VC−10」の水溶液をB−1、「JL−25E」の水溶液をB−2とした。
ポリエチレングリコールとしてナカライテスク社製#2,000(重量平均分子量1850〜2150、以下、PEG2000)を用い、熱水に溶解して、20質量%のポリエチレングリコール水溶液B−3を得た。
また、ポリエチレングリコールの水溶液B−4として、ナカライテスク社製#20,000の30質量%溶液(ポリエチレングリコール:重量平均分子量15000〜25000、以下、PEG20000)を用いた。
カルボキシル基含有ポリエチレンワックスとして、BYK社製CERAFLOUR950(重量平均分子量4310、以下950)を用い、熱水に溶解して、20質量%のカルボキシル基含有ポリエチレンワックス水溶液B−5を得た。
ポリエチレンワックスの水性分散体である日本精鑞社製EMUSTAR−0443(以下、443)に水を加えて、固形分濃度を20%としたものを用いた。
パラフィンワックスの水性分散体である日本精鑞社製EMUSTAR−0135(以下、0135)に水を加えて、固形分濃度を20%としたものを用いた。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、40.0gの東亜化成社製キャンデリラワックスTOWAX−432(酸価:15.8、ケン化価:55.4、以下、W−1と称す)、8.8gのモルホリン(ナカライテスク社製)及び151.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を400rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を100℃に保ってさらに10分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度600rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、淡黄色の均一なキャンデリラワックスの水性分散体B−8を得た。固形分濃度は20.0質量%、数平均粒子径は0.27μmであった。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体E−1と、不揮発性水性化助剤の水溶液B−1(不揮発性水性化助剤としてポリビニルアルコールVC−10を含有)を用いて、「E−1」中の酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して「B−1」中のポリビニルアルコールの含有量が0.5質量部になるように「E−1」と「B−1」とを攪拌しながら混合し、酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールとを含有する水性分散体を得た。さらに、水性分散体の固形分濃度が8質量%となるように水を加え攪拌した。
得られた水性分散体を、アルミニウム箔(三菱アルミニウム社製、厚み15μm)上に乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、150℃で120秒間乾燥して、積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムを用いて、アルミニウム箔を重ね合わせた場合の耐ブロッキング性を評価し、また、シーラント層形成用ポリエチレンフィルムを重ね合わせて熱プレスした場合の金属箔とシーラント層との接着性を評価した。また得られた水性分散体を用いて、ポリエチレンフィルムに塗膜を形成し、テープ剥離して、塗膜とポリエチレンフィルムとの密着性を評価した。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体と不揮発性水性化助剤の水溶液または水性分散体の種類、また酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対する不揮発性水性化助剤の含有量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、水性分散体と積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムと水性分散体を用いて、実施例1と同様に、耐ブロッキング性、金属箔とシーラント層との接着性、密着性を評価した。なお、オレフィン成分の主成分がプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を使用した実施例11〜23、比較例10〜15においては、ポリエチレンフィルムに代えてシーラント層形成用ポリプロピレンフィルムを用いて、金属箔とシーラント層との接着性、密着性を評価した。
一方、比較例1、2、4、10、11、13、15のように、不揮発性水性化助剤(B)の含有量が0.3質量部未満であると、積層フィルムは耐ブロッキング性に劣り、比較例3、5、12、14のように、不揮発性水性化助剤(B)の含有量が3質量部を超えると、接着層はポリオレフィンフィルムとの密着性が劣り、積層フィルムは金属箔とシーラント層との接着性が低下する傾向にあった。比較例6〜9は、接着層が、本発明で規定する不揮発性水性化助剤を含有しないため、積層フィルムは、耐ブロッキング性に劣っていた。
Claims (6)
- 金属箔の片面に接着層が形成されてなる積層フィルムであり、接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部と、不揮発性水性化助剤(B)0.3〜3質量部とを含有することを特徴とする積層フィルム。
- 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
- 不揮発性水性化助剤(B)の重量平均分子量が2500以上であることを特徴とする請求項1または2記載の積層フィルム。
- 不揮発性水性化助剤(B)が水溶性高分子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 金属箔を構成する金属が、アルミニウム、銅またはステンレス鋼であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- ロール状に巻き取られてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
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