JP2003171512A - ポリオレフィン樹脂水性分散体、及びその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂水性分散体、及びその製造方法

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JP2003171512A
JP2003171512A JP2001371518A JP2001371518A JP2003171512A JP 2003171512 A JP2003171512 A JP 2003171512A JP 2001371518 A JP2001371518 A JP 2001371518A JP 2001371518 A JP2001371518 A JP 2001371518A JP 2003171512 A JP2003171512 A JP 2003171512A
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polyolefin resin
aqueous dispersion
mass
compound
resin
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JP2001371518A
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Yoshito Shiba
賢人 志波
Masashi Okamoto
昌司 岡本
Akifumi Yamada
昌文 山田
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粒子径が小さく、低温で容易に造膜でき、透明
性に優れた被膜を形成することが可能で、しかも他の重
合体の水性分散体、金属イオン、無機粒子、あるいは架
橋剤等の添加剤との混合安定性に優れ、しかも、PETやP
Pに良好な密着性を有する被膜を形成することができる
水性分散体を提供する。 【解決手段】特定組成のポリオレフィン樹脂、有機アミ
ン化合物、乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化
合物、及び水を必須成分とする数平均粒子径が0.5μm以
下のポリオレフィン樹脂水性分散体およびその製造方
法。 ポリオレフィン樹脂:不飽和カルボン酸またはその無水
物(A1)、エチレン系炭化水素(A2)、式(I)〜(IV)の
いずれかで示される少なくとも1種の化合物(A3)とか
ら構成される共重合体であって、0.01≦(A1)/{(A
1)+(A2)+(A3)}×100<5、(A2)/(A3)=60/4
0〜100/0 を満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子量が高く、エ
チレン系炭化水素成分を主成分とし、しかも不飽和カル
ボン酸成分の含有量が少ないポリオレフィン樹脂を数平
均粒子径0.5μm以下で水性媒体中に分散した水性分散
体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護、省資源、消防法等によ
る危険物規制、職場環境改善の立場から有機溶剤の使用
が制限される傾向にあり、様々な樹脂の水性分散体の開
発が行われている。
【0003】一般に、エチレン系炭化水素成分の含有量
が低い樹脂の水性分散体は、乳化剤や保護コロイド作用
を有する化合物の存在下で、乳化重合あるいは懸濁重合
して得られることが知られている。しかしながら、樹脂
中のオレフィン含有量が高くなるにつれて、重合時の反
応圧力が高くなるため、装置面や安全面を考慮すると、
前記方法で安定な水性分散体を得ることが困難になる。
オレフィン含有量の高い樹脂は、一般に高圧エチレンプ
ラント等で高圧ラジカル重合して得られており、通常、
水性分散体の状態では得られない。
【0004】一方、エチレン系炭化水素成分が高い樹脂
であっても、不飽和カルボン酸成分の共重合率を高くす
ることでポリオレフィン樹脂水性分散体を得ることがで
きる。例えば、不飽和カルボン酸の含有量が20質量%程
度のエチレン−アクリル酸共重合樹脂やエチレン−メタ
クリル酸共重合樹脂等のエチレン−不飽和カルボン酸共
重合樹脂の水性分散体は従来から知られており、特に、
アルカリ金属化合物やアンモニアを用いると前記樹脂の
水分散液は製造が容易であり、広く用いられている。し
かし、エチレン−不飽和カルボン酸共重合樹脂中の不飽
和カルボン酸の含有量が少なくなるにつれて、樹脂の水
性化は困難になる。特開2000−72879号公報、
特開2000−119398号公報には、不飽和カルボ
ン酸の含有量が5〜30質量%のエチレン−不飽和カルボ
ン酸共重合樹脂の水性分散体、及びその製法が記載され
ているが、実質的には不飽和カルボン酸の含有量が15質
量%以上のものしか例示されていない。
【0005】エチレン−不飽和カルボン酸共重合樹脂中
の不飽和カルボン酸含有量が多くなると水性化は容易に
なるが、種々の化合物と反応性を有するカルボキシル基
量が増えるために、製造後に、他の添加剤、特にカルボ
キシル基と反応性を有する化合物を添加した場合の混合
安定性が著しく低下してしまう。さらに、ポリオレフィ
ン樹脂中のカルボキシルキ量が増すために樹脂の親水性
が増加し、疎水性の基材への接着性が低下してしまう。
【0006】不飽和カルボン酸含有量が低いポリオレフ
ィン樹脂の水性分散化方法としては、樹脂を有機溶剤に
溶解するか、あるいは、溶融して液状化しておき、乳化
剤や保護コロイドの存在下、機械的に水性媒体中に分散
せしめることが行われている。例えば、特公昭58−4
2207号公報には、カルボキシル基含有ポリオレフィ
ンワックスを添加することで、ポリオレフィン樹脂を水
に分散する方法が記載されている。特開昭62−252
478号公報、特開平5−163420号公報、特開平
9−296081号公報には、様々な乳化剤を用いてポ
リオレフィン樹脂を水に分散する方法が記載されてい
る。しかしながら、このような方法では分子量が高く、
不飽和カルボン酸含有量が5質量%未満のポリオレフィ
ン樹脂を水性媒体中に数平均粒子径0.1μm以下という微
細な大きさに微分散することはできない。また、特開平
7−82423号公報には、ポリオキシエチレン脂肪酸
アミド型ノニオン系界面活性剤のような特殊な乳化剤を
用いて平均粒子径0.5μmに微分散する方法が記載されて
いる。しかし、この方法を用いても、分子量が高く、不
飽和カルボン酸含有量が5質量%未満のポリオレフィン
樹脂を水性媒体中に数平均粒子径0.5μm以下(または重
量平均粒子径0.5μm以下)という微細な大きさに微分散
することはできない。
【0007】さらに、上記のような方法で作製したポリ
オレフィン樹脂の水性分散体の最低造膜温度は、使用す
るポリオレフィン樹脂の融点に依存してしまい、一般
に、融点が60℃以上の不飽和カルボン酸含有量が5質量
%未満であるポリオレフィン樹脂を用いた場合の最低造
膜温度は50℃以上となり、室温では造膜しない。
【0008】つまり、分子量が高く、エチレン系炭化水
素成分を主成分とし、しかも不飽和カルボン酸成分の含
有量が5質量%未満と少ないポリオレフィン樹脂を水性
媒体中に数平均粒子径0.5μm以下の微細な大きさに微分
散し、さらに、室温で造膜するような水性分散体は得ら
れていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
ような問題に対して、分子量が高く、エチレン系炭化水
素成分を主成分とし、しかも不飽和カルボン酸成分の含
有量が5質量%未満と少ないポリオレフィン樹脂を水性
媒体中に数平均粒子径0.5μm以下という微細な大きさに
微分散する方法、及び室温で造膜可能なポリオレフィン
樹脂水性分散体、及びその製造方法を提供しようとする
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、特定組成のポリオ
レフィン樹脂、有機アミン化合物、乳化剤あるいは保護
コロイド作用を有する化合物、及び水を必須成分とし、
密閉容器中で加熱、攪拌することで、ポリオレフィン樹
脂を水性媒体中に数平均粒子径0.5μm以下に安定に微分
散できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、
本発明の要旨は以下のとおりである。下記ポリオレフィ
ン樹脂、有機アミン化合物、乳化剤あるいは保護コロイ
ド作用を有する化合物、及び水を必須成分とし、ポリオ
レフィン樹脂の数平均粒子径が0.5μm以下であることを
特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。 ポリオレフィン樹脂: (A1)不飽和カルボン酸またはその無水物、(A2)エチ
レン系炭化水素、(A3)下記式(I)〜(IV)のいずれ
かで示される少なくとも1種の化合物とから構成される
共重合体であって、各構成成分(A1)〜(A3)の質量比
が下記式(1)、(2)をみたすポリオレフィン樹脂。 0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100<5 (1) (A2)/(A3)=60/40〜100/0 (2)
【0011】
【化3】
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明で用いられるポリオレフィン樹脂は不飽和カルボン
酸またはその無水物(A1)成分をこの樹脂全体〔(A1)
+(A2)+(A3)〕に対して0.01質量%以上、5質量%
未満、より好ましくは0.1質量%以上、5質量%未満、さ
らに好ましくは0.5質量%以上、5質量%未満含有してい
る必要があり、1〜4質量%が最も好ましい。(A1)成分
の含有量が0.01質量%未満の場合は、樹脂を水性化(液
状化)することが困難になり、良好な水性分散体を得る
ことが難しい。一方、不飽和カルボン酸またはその無水
物の含有量が5質量%を超えた場合は、水性化はし易く
なるが、疎水性の基材との密着性が低下したり、他の添
加剤との混合安定性が低下してしまう恐れがある。
【0013】ポリオレフィン樹脂の(A1)成分として用
いることのできる不飽和カルボン酸またはその無水物
は、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカル
ボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具
体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無
水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル
酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフ
エステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好
ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
また不飽和カルボン酸は、ポリオレフィン樹脂中に共重
合されていれば良く、その形態は限定されるものではな
く、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト
共重合等が挙げられる。
【0014】本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、下
記式(I)〜(IV)のいずれかで示される(A3)成分が
構成成分として必要であり、この成分によって、ポリオ
レフィン樹脂に親水性が付与されるため、(A1)成分が
5質量%未満であっても、乳化剤や保護コロイドの添加
なしに水性化することができる。エチレン系炭化水素
(A2)成分と(A3)成分との質量比(A2)/(A3)は、
60/45〜100/0の範囲であることが必要であり、65/35
〜100/0であることが好ましく、70/30〜99/1である
ことがより好ましく、70/30〜97/3であることがさら
に好ましく、75/25〜97/3であることが特に好まし
い。〔(A2)+(A3)〕に対する(A3)成分の含有比率
が40質量%を超えると、(A2)成分によるポリオレフィ
ン樹脂としての性質が失われ、耐水性等の性能が低下す
る。
【0015】
【化4】
【0016】本発明のポリオレフィン樹脂を構成するエ
チレン系炭化水素(A2)成分としては、エチレン、プロ
ピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1
−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが挙げられ、こ
れらの混合物を用いることもできる。この中で、エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数
2〜4のアルケンがより好ましく、特にエチレンが好ま
しい。
【0017】本発明のポリオレフィン樹脂を構成する上
記式(I)〜(IV)のいずれかで示される(A3)成分と
しては、例えば、式(I)で代表される(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、式
(II)で代表されるマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジ
エチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル
類、式(III)で代表される(メタ)アクリル酸アミド
類、式(IV)で代表されるメチルビニルエーテル、エチ
ルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ
酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン
酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類
ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化し
て得られるビニルアルコール、などが挙げられ、これら
の混合物を用いることもできる。この中で、式(I)で
示される(メタ)アクリル酸エステル類がより好まし
く、(メタ)アクリル酸メチル、あるいは(メタ)アク
リル酸エチルが特に好ましい。
【0018】本発明に用いるポリオレフィン樹脂として
は、エチレン、アクリル酸メチルあるいはアクリル酸エ
チル、無水マレイン酸からなる三元共重合体が最も好ま
しい。ここで、アクリル酸エステル単位は、後述する樹
脂の水性化の際に、エステル結合のごく一部が加水分解
してアクリル酸単位に変化することがあるが、そのよう
な場合には、それらの変化を加味した各構成成分の比率
が規定の範囲にあればよい。
【0019】なお、本発明におけるポリオレフィン樹脂
を構成する無水マレイン酸単位等の不飽和カルボン酸無
水物単位は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が
脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、特に塩基
性化合物を含有する水性媒体中では、その一部、または
全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造を取
りやすくなる。また、本発明において、樹脂のカルボキ
シル基量を基準として量を規定する場合には、樹脂中の
酸無水物基はすべて開環してカルボキシル基をなしてい
ると仮定して算出する。
【0020】本発明に用いられるポリオレフィン樹脂に
は、その他のモノマーが、少量、共重合されていても良
い。例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハ
ロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭
素、二硫化硫黄等が挙げられる。
【0021】本発明に用いるポリオレフィン樹脂は、分
子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフ
ローレートが、0.01〜500g/10分、好ましくは0.1〜300
g/10分、より好ましくは0.1〜250g/10分、さらに好ま
しくは0.5〜200g/10分、最も好ましくは1〜100g/10分
のものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂のメ
ルトフローレートが0.01g/10分未満では、樹脂の水性
化は困難になり、良好な水性分散体を得ることが難し
い。一方、ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが
500g/10分を超えると、その水性分散体から得られる被
膜は、硬くてもろくなり、機械的強度が低下する。
【0022】本発明に用いるポリオレフィン樹脂の合成
法は特に限定されない。一般的には、ポリオレフィン樹
脂を構成するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧
ラジカル共重合して得られる。また、不飽和カルボン
酸、あるいはその無水物はグラフト共重合(グラフト変
性)されていても良い。
【0023】本発明の水性分散体は、上記のポリオレフ
ィン樹脂が水性媒体に分散もしくは溶解されている。こ
こで、水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒
体であり、後述する水溶性の有機溶剤を含有していても
よい。
【0024】また、本発明の水性分散体中に分散してい
るポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径(以下、mn)
は、水性分散体の保存安定性が向上するという点から、
0.5μm以下である必要があり、0.3μm以下が好ましく、
0.2μm以下がより好ましく、0.1μm未満が最も好まし
い。さらに、重量平均粒子径(以下、mw)に関しても、
0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、0.
2μm以下が最も好ましい。粒子の分散度(mw/mn)は、
水性分散体の保存安定性、及び低温造膜性の点から、1
〜3が好ましく、1〜2.5がより好ましく、1〜2が特に好
ましい。
【0025】本発明の水性分散体における、樹脂含有率
は、成膜条件、目的とする樹脂被膜の厚さや性能等によ
り適宜選択でき、特に限定されるものではないが、コー
ティング組成物の粘性を適度に保ち、かつ良好な被膜形
成能を発現させる点で、1〜60質量%が好ましく、3〜55
質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好まし
く、10〜45質量%が特に好ましい。
【0026】本発明でいう乳化剤としては、カチオン性
乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるい
は両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられる
もののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオ
ン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル
塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、ア
ルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアル
キルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネー
ト等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸
エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブ
ロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エ
チレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体など
のポリオキシエチレン構造を有する化合物やソルビタン
誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベ
タイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げら
れる。
【0027】保護コロイド作用を有する化合物として
は、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビ
ニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワ
ックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、
カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックス
などの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレ
フィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレ
イン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリ
ル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、
イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)ア
クリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽
和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含
有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその
塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラ
チン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散
安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
【0028】乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する
化合物の添加量は、ポリオレフィン樹脂水性分散体中の
ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜20質量
部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.01〜
7質量部が特に好ましい。乳化剤あるいは保護コロイド
作用を有する化合物の添加量が20質量部を超えると、得
られる塗膜の耐水性が著しく低下してしまう。
【0029】本発明の水性分散体において、ポリオレフ
ィン樹脂中のカルボキシル基は、塩基性化合物によって
中和されていることが好ましい。中和によって生成した
カルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間
の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。
【0030】水性化の際に用いる有機アミン化合物は、
沸点が30〜250℃、より好ましくは50〜200℃の有機アミ
ン化合物が好ましい。沸点が30℃未満の場合は、後述す
る樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が
完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると
樹脂被膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させ
ることが困難になり、被膜の耐水性が悪化する場合があ
る。
【0031】有機アミン化合物の具体例としては、トリ
エチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ア
ミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノ
ールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピル
アミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシ
プロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、
sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノ
プロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3
−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリ
ン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を
挙げることができる。有機アミン化合物の添加量はポリ
オレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍
当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ま
しく、1.01〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満
では、有機アミン化合物の添加効果が認められず、3.0
倍当量を超えると被膜形成時の乾燥時間が長くなった
り、水分散液が着色する場合がある。
【0032】本発明においては、ポリオレフィン樹脂の
水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性
化の際に有機溶剤を添加することが必要である。使用す
る有機溶剤量は、水性媒体中の40質量%以下が好まし
く、1〜40質量%であることがより好ましく、2〜35質量
%がさらに好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。有
機溶剤量が40質量%を超える場合には、実質的に水性媒
体とはみなせなくなり、本発明の目的のひとつ(環境保
護)を逸脱するだけでなく、使用する有機溶剤によって
は水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
【0033】一般に、水性分散体に含有される有機溶剤
は、その一部をストリッピングと呼ばれる操作で系外へ
留去させることができるが、本発明の水性分散体におい
ても、この操作によって、水性分散体中の有機溶剤量を
上記の範囲内で適度に減量してもよく、10質量%以下と
することができ、3質量%以下であれば、環境上好まし
い。ストリッピングによって有機溶剤を留去するには、
装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くするなどの生
産プロセスにおける処置が必要となるため、こうした生
産性を考慮した有機溶剤量の下限は0.01質量%程度(本
発明の測定に使用した分析機器の検出限界)である。し
かし、0.01質量%未満であっても水性分散体としての性
能は特に問題とはならない。本発明の水性分散体は、ス
トリッピングによって有機溶剤量を低くしても、特に性
能面での影響はなく、各種用途に良好に使用することが
できる。
【0034】ストリッピングの方法としては、常圧また
は減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤
を留去する方法を挙げることができる。有機溶剤の含有
率はガスクロマトグラフィーで定量することができる。
また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が
高くなるために、例えば、粘度が上昇し作業性が悪くな
るような場合には、予め水性分散体に水を添加しておく
こともできる。
【0035】有機溶剤としては、良好な水性分散体を得
るという点から、ポーリング(Pauling)の電気陰性度
が3.0以上の原子(具体的には酸素、窒素、フッ素、塩
素)を分子内に1個以上有しているものを用いることが
好ましい。さらにその中でも、20℃における水に対する
溶解性が5g/L以上のものが好ましく用いられ、さら
に好ましくは10g/L以上である。
【0036】本発明において使用される有機溶剤の具体
例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−
アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−ア
ミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エ
チル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノー
ル、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコ
ール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロ
ン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の
エーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イ
ソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸
−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピ
オン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭
酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、
エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチ
レングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリ
コールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコー
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコ
ールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、
さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−
メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコー
ル、アセト酢酸エチル等が挙げられ、中でも沸点が30〜
250℃のものが好ましく、50〜200℃のものが特に好まし
い。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用しても
良い。なお、有機溶剤の沸点が30℃未満の場合は、樹脂
の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化の効率が
十分に高まらない場合がある。沸点が250℃を超える有
機溶剤は樹脂被膜から乾燥によって飛散させることが困
難であり、被膜の耐水性が悪化する場合がある。
【0037】上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促
進に効果が高く、しかも水性媒体中から有機溶剤を除去
し易いという点から、エタノール、n−プロパノール、
イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモ
ノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエ
ーテルが好ましく、低温乾燥性の点からイソプロパノー
ルが特に好ましい。
【0038】本発明の方法で作製したポリオレフィン樹
脂水性分散体は、最低造膜温度が50℃以下である。特
に、室温での造膜性に優れ、分散しているポリオレフィ
ン樹脂の融点よりも低い温度でも透明性の高い被膜を形
成することができる。ここでは、造膜性や透明性の目安
として、室温でポリオレフィン樹脂水性分散体をコート
したコートフィルムの「ヘーズ(曇価)」を用いる。基材
としてヘーズ2.0〜5.0(%)のPETフィルムを用い、こ
れにポリオレフィン樹脂水性分散体を乾燥後コート膜厚
2μmでコートし、25℃で乾燥する。こうして得られたコ
ートフィルム全体のヘーズが20.0(%)以下である。こ
の値は、10.0(%)以下がより好ましく、8.0(%)以
下が特に好ましい。
【0039】次に、ポリオレフィン樹脂水性分散体の製
造方法について説明する。本発明のポリオレフィン樹脂
水性分散体を得るための方法は特に限定されないが、た
とえば、既述の各成分、すなわち、特定組成のポリオレ
フィン樹脂、有機アミン化合物、乳化剤あるいは保護コ
ロイド作用を有する化合物、及び水を好ましくは密閉可
能な容器中で加熱、攪拌する方法を採用することがで
き、この方法が最も好ましい。この方法によれば、特定
組成のポリオレフィン樹脂を数平均粒子径0.5μm以下で
安定に水性分散体とすることができる。
【0040】容器としては、液体を投入できる槽を備
え、槽内に投入された水性媒体と樹脂粉末ないしは粒状
物との混合物を適度に撹拌できるものであればよい。そ
のような装置としては、固/液撹拌装置や乳化機として
広く当業者に知られている装置を使用することができ、
0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好まし
い。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されない。
【0041】水性化に用いられるポリオレフィン樹脂の
形状は特に限定されないが、水性化速度を速めるという
点から、粒子径1cm以下、好ましくは0.8cm以下の粒状な
いしは粉末状のものを用いることが好ましい。
【0042】この装置の槽内に水、有機アミン化合物、
好ましくは有機溶剤、及び乳化剤あるいは保護コロイド
作用を有する化合物とからなる水性媒体、並びに粒状な
いしは粉末状のポリオレフィン樹脂を投入し、好ましく
は40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の
温度を100〜250℃、好ましくは110〜200℃、さらに好ま
しくは110〜180℃の温度に保ちつつ、好ましくは5〜120
分間攪拌を続けることによりポリオレフィン樹脂を十分
に水性化させ、その後、好ましくは攪拌下で40℃以下に
冷却することにより、水性分散体を得ることができる。
槽内の温度が100℃未満の場合は、ポリオレフィン樹脂
の水性化が困難になる。槽内の温度が250℃を超える場
合は、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下する恐れがあ
る。槽内の加熱方法としては槽外部からの加熱が好まし
く、例えば、オイルや水を用いて槽を加熱する、あるい
はヒーターを槽に取り付けて加熱を行うことができる。
槽内の冷却方法としては、例えば、室温で自然放冷する
方法や0〜40℃のオイルまたは水を使用して冷却する方
法を挙げることができる。
【0043】なお、この後、必要に応じてさらにジェッ
ト粉砕処理を行ってもよい。ここでいうジェット粉砕処
理とは、ポリオレフィン樹脂水性分散体のような流体
を、高圧下でノズルやスリットのような細孔より噴出さ
せ、樹脂粒子同士や樹脂粒子と衝突板等とを衝突させ
て、機械的なエネルギーによって樹脂粒子をさらに細粒
化することであり、そのための装置の具体例としては、
A.P.V.GAULIN社製ホモジナイザー、みずほ工業社製マイ
クロフルイタイザーM-110E/H等が挙げられる。
【0044】このようにして得られた水性分散体の固形
分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度
となるように水性媒体を留去したり、水により希釈した
りする方法が挙げられる。
【0045】上記のようにして、本発明の水性分散体
は、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に分散又は溶解さ
れ、均一な液状に調製されて得られる。ここで、均一な
液状であるとは、外観上、水性分散体中に沈殿、相分離
あるいは皮張りといった、固形分濃度が局部的に他の部
分と相違する部分が見いだされない状態にあることをい
う。
【0046】また、水性分散体製造における水性化収率
は、得られた水性分散体中に残存する粗大粒子の量によ
って知ることができる。具体的には、水性分散体を300
メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平
織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、フィルター上に残
存する樹脂量を測定する。なお、残存樹脂が多く収率が
低い場合でも、製造工程中で上記の濾過を行って、こう
した粗大粒子を除去すれば、以降の工程で水性分散体と
しての使用は可能である。本発明における水性化収率
は、条件によってやや低下する場合もあるが、概ねきわ
めて良好であり、粗大粒子はほとんど残存することなく
水性化が達成される。
【0047】このようにして製造したポリオレフィン樹
脂水性分散体は、低温造膜性に優れており、樹脂の融点
以下の乾燥条件においても透明な被膜を形成することが
できる。
【0048】本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体
は、不飽和カルボン酸の含有量が低いため、様々な添加
剤との混合安定性に優れる。例えば、他の重合体の水性
分散体、金属イオン、無機粒子、あるいは架橋剤等を添
加することができる。
【0049】他の重合体の水性分散体としては、特に限
定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデ
ン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン
−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジ
エン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ
(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミ
ド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタ
ン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹
脂等の水性分散体を挙げることができる。これらは、2
種以上を混合して使用しても良い。
【0050】通常、水性分散体において、カルボキシル
アニオン等の電気的な反発力によって微粒子の安定を付
与している場合、各種金属イオンを添加することによ
り、微粒子が凝集し、分散液の安定性が低下することが
よく知られている。これに対して、本発明の水性分散体
は、例えばコーティング剤として性能を付与する目的
で、金属イオンを添加した場合にも、安定性に優れてい
る。金属イオンの種類は、目的に応じて選定され特に限
定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カルシ
ウム、バリウム、マグネシウム、亜鉛、銅、コバルト、
アルミニウムなどを用いることができる。これらは、2
種以上を混合して使用しても良い。また、添加量も特に
限定されず、幅広い添加量範囲で使用できるが、コーテ
ィング剤として用いる場合には、金属イオンとして、ポ
リオレフィン樹脂のカルボキシル基量に対して10〜90モ
ル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましい。
【0051】無機粒子としては、酸化マグネシウム、酸
化亜鉛、酸化すず等の金属酸化物、炭酸カルシウム、シ
リカなどの無機粒子や、バーミキュライト、モンモリロ
ナイト、ヘクトライト、合成雲母等の水膨潤性の層状無
機化合物を添加することができる。これらの無機粒子の
平均粒子径は水性分散体の安定性の面から0.005〜10μm
が好ましく、より好ましくは0.005〜5μmである。な
お、無機粒子は、2種以上を混合して使用しても良い。
【0052】耐水性などの各種の塗膜性能をさらに向上
させるために、架橋剤を水性分散体中の樹脂100質量部
に対して0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜60質量部添
加することができる。架橋剤の添加量が0.01質量部未満
の場合は、塗膜性能の向上の程度が小さく、100質量部
を超える場合は、加工性等の性能が低下してしまう。架
橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシ
ル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、
多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、
このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素
化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキ
サゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シラン
カップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を
組み合わせて使用しても良い。
【0053】さらに、本発明の水性分散体に、必要に応
じてレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、
紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、亜鉛華、カ
ーボンブラック等の顔料あるいは染料を添加して、本発
明の水性分散体をコーティング剤や塗料として使用する
ことができる。また、水性分散体の安定性を損なわない
範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を水性分散
体に添加することも可能である。
【0054】上記に示した他の重合体の水性分散体、金
属イオン、無機粒子、架橋剤、レベリング剤、消泡剤、
ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、顔料あるいは
染料などの添加剤は2種類以上、組み合わせて用いても
良い。
【0055】本発明の水性分散体から得られる樹脂組成
物は、様々な基材との密着性に優れるため、接着剤とし
て使用することができる。例えば、金属、ガラス、プラ
スチックの成形体、フィルム、紙等に使用することがで
きる。
【0056】次に、本発明の水性分散体の使用方法につ
いて説明する。本発明の水性分散体は、被膜形成能に優
れているので、公知の成膜方法、例えばグラビアロール
コーティング、リバースロールコーティング、ワイヤー
バーコーティング、リップコーティング、エアナイフコ
ーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコ
ーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各
種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温
付近でセッティングした後、乾燥又は乾燥と焼き付けの
ための加熱処理に供することにより、均一な樹脂被膜を
各種基材表面に密着させて形成することができる。この
ときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブン
や赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度
や加熱時間としては、被コーティング物である基材の特
性や後述する硬化剤の種類、配合量等により適宜選択さ
れるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度と
しては、30〜250℃が好ましく、60〜230℃がより好まし
く、80〜210℃が特に好ましく、加熱時間としては、1秒
〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、5秒〜10
分が特に好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポ
リオレフィン中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十
分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種
類によって適宜選定することが望ましい。
【0057】また、本発明の水性分散体を用いて形成さ
れる樹脂被膜の厚さとしては、その用途によって適宜選
択されるものであるが、0.01〜100μmが好ましく、0.1
〜50μmがより好ましく、0.2〜30μmが特に好ましい。
樹脂被膜の厚さが上記範囲となるように成膜すれば、均
一性に優れた樹脂被膜が得られる。なお、樹脂被膜の厚
さを調節するためには、コーティングに用いる装置やそ
の使用条件を適宜選択することに加えて、目的とする樹
脂被膜の厚さに適した濃度の水性分散体を使用すること
が好ましい。このときの濃度は、調製時の仕込み組成に
より調節することができる。また、一旦調製した水性分
散体を適宜希釈、あるいは濃縮して調節してもよい。
【0058】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、各種の特性については以下の方法によって測定又は
評価した。 (1)ポリオレフィン樹脂の構成 オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H-NMR分
析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。 (2)水性化後のエステル基の残存量 水性化後のポリオレフィン水性分散を150℃で乾燥させ
た後、オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H
-NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い、水性化前の
アクリル酸エステルのエステル基量を100としてエステ
ル基の残存率(%)を求めた。 (3)ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度 ポリオレフィン分散体を適量秤量し、これを150℃で残
存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、ポリ
オレフィン樹脂固形分濃度を求めた。 (4)ポリオレフィン樹脂水性分散体の粘度 トキメック社製、DVL-BII型デジタル粘度計(B型粘度
計)を用い、温度20℃における水性分散体の回転粘度
を測定した。 (5)ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒径 日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODE
L No.9340)を用い、数平均粒子径、重量平均粒子径を
求めた。 (6)水性化収率 水性化後の水性分散体を300メッシュのステンレス製フ
ィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2
MPa)した際に、フィルター上に残存する樹脂質量を測
定し、仕込み樹脂質量より収率を算出した。 (7)水性分散体の外観 水性分散体の色調を目視観察により評価した。 (8)塗膜の耐水性 水性分散体をPETフィルム(ユニチカ社製延伸PETフィル
ム、エンブレットPET12,厚み12μm)上に乾燥後の塗膜
厚みが約1μmになるようにメイヤーバーでコートし、20
0℃で2分間乾燥した。このようにして作製したコートフ
ィルムを水道水に1日、浸漬した後、コート層の溶解、
あるいは剥離の有無を目視で評価した。 ○:外観に変化なし。 ×:コート層が溶解、あるいは剥離する。 (9)ポットライフ ポリオレフィン樹脂水性分散体を室温で90日放置したと
きの外観を、次の3段階で評価した。 ○:外観に変化なし。 △:増粘がみられる。 ×:固化、凝集や沈殿物の発生が見られる。 (10)ポリオレフィン樹脂水性分散体と他の添加剤と
の混合安定性 ポリオレフィン樹脂水性分散体と他の添加剤とを混合し
た後、室温で放置した場合に、混合液の外観(増粘、固
化、凝集や沈殿物の発生)が変化するまでの日数を示
す。 (11)ポリオレフィン樹脂水性分散体中の有機溶剤の
含有率 島津製作所社製ガスクロマトグラフGC-8A〔FID検出器使
用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエル
サイエンス社製):PEG-HT(5%)-Uniport HP(60/8
0メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温
度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60
℃、内部標準物質:n-ブタノール〕を用い、水性分散
体または水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に
投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01
質量%であった。 (12)ヘーズ(曇価) JIS K7105に準じて、日本電色工業社製のNDH2000「濁
度、曇り度計」を用いて「ヘーズ(%)」を測定した。ヘ
ーズが2.8%のPETフィルム(ユニチカ社製延伸PETフィ
ルム、エンブレットPET12,厚み12μm)にポリオレフィ
ン樹脂水性分散体を乾燥後のコート膜厚が2μmになるよ
うにマイヤーバーを用いてコートした後、25℃の雰囲気
中で3日放置して乾燥させてコートフィルムを作製し
た。このようにして作製したコートフィルム全体のヘー
ズを測定した。ここでは、ヘーズが5%以下の場合は、
室温で「造膜した」と判断する。 (13)密着性評価 PETフィルム(ユニチカ社製延伸PETフィルム、エンブレ
ットPET12,厚み12μm)及びOPPフィルム(東セロ社製
延伸ポリオレフィンフィルム、厚み20μm)上に各種コ
ート液を乾燥後のコート厚みが2μmになるようにメイヤ
ーバーでコートし、100℃で1分間乾燥した。1日、室温
で放置後、粘着テープを塗膜表面に貼り付け、勢いよく
引き剥がし、その剥離状態を観察した。 ○:全く剥離なし ×:一部、又は全て剥離した
【0059】使用した樹脂の組成を表1に示す。なお、
表1に記載されている樹脂の融点はDSCで測定した値で
あり(測定装置:パーキン・エルマー社製DSC−7)、
メルトフローレートはJIS 6730記載の方法(190℃、216
0g荷重)で測定した値である。
【0060】
【表1】
【0061】実施例1 ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備え
た撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(A)
(ボンダインHX-8210、住友化学社製)、60.0gのイソ
プロパノール(以下、IPA)、4.5g(樹脂中の無水マレ
イン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量)のトリエ
チルアミン(以下、TEA)、3.0gのノニオン性乳化剤で
あるポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル(三洋化
成社製ナロアクティーN-100、以下N-100)及び172.5g
の蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を
300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物
の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認
された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーター
の電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に
保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、
回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷
却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線
径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳
白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E-1を得
た。水性分散体及び得られる塗膜の各種特性を表2に示
した。数平均、及び重量平均粒子径はそれぞれ0.050μ
m、0.072μmであり、その分布は1山であり、ポリオレフ
ィン樹脂が水性媒体中に良好な状態で分散していた。さ
らに、水性分散体のポットライフは90日以上であった。
なお、水性化後の樹脂のエステル基残存率は99%であ
り、アクリル酸エチルの1%は加水分解していた。このエ
ステル基残存率は室温で90日、放置後でも変化せず99%
であった。この水性分散体を前記した方法でコートした
コートフィルムのヘーズは2.8%であり、室温で造膜し
たことが確認された。また、コート液から得られる塗膜
は、PET及びPPフィルムに良く密着していた。
【0062】実施例2〜4 用いるポリオレフィン樹脂の種類としてボンダインHX-8
290〔樹脂(B)、住友化学社製、実施例2〕、ボンダイ
ンTX-8030〔樹脂(C)、住友化学社製、実施例3〕、ボ
ンダインLX-4110〔樹脂(D)、住友化学社製、実施例
4〕とし、添加するTEA及びIPAの量を表2記載のように
変更した以外は実施例1と同様の方法で水性分散体E-
2、E-3、E-4を得た。水性分散体及び得られる塗膜の各
種特性を表2に示した。
【0063】実施例5 添加するアミンの種類をN,N−ジメチルエタノールア
ミン(以下、DMEA)、有機溶剤の種類をエチレングリコ
ール−n−ブチルエーテル(以下、Bu-EG)とし、Bu-EG
の添加量を表2記載のように変更した以外は実施例1と
同様の方法で水性分散体E-5を得た。水性分散体及び得
られる塗膜の各種特性を表2に示した。
【0064】実施例6、7 IPA及びN-100の添加量を表2記載のように変更した以外
は実施例1と同様の方法で水性分散体E-6、E-7を得た。
水性分散体及び得られる塗膜の各種特性を表2に示し
た。
【0065】実施例8 乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化合物の種類
をポリビニルアルコール(ユニチカケミカル社製、UF04
0G、ケン化度98.4%、平均重合度400)に変更した以外
は実施例1と同様の方法で水性分散体E-8を得た。水性
分散体の各種特性を表2に示した。
【0066】実施例9 E-1 250g、蒸留水80gを0.5Lの2口丸底フラスコに仕
込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器を設
置し、フラスコをオイルバスで加熱していき、水性媒体
を留去した。約90gの水性媒体を留去したところで、加
熱を終了し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の
液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線
径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、濾
液の固形分濃度を測定したところ、20.8質量%であっ
た。この濾液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃
度が20質量%になるように調整した。水性分散体及び得
られる塗膜の各種特性を表2に示した。この水性分散体
中の有機溶剤(IPA)の含有率は0.9質量%であった。ま
た、この水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈
殿や層分離の見られない均一なものであり、数平均及び
重量平均粒子径はそれぞれ0.062μm、0.082μmであり、
その分布も1山であった。また、室温で90日間、放置し
ても外観に変化はなく安定であった。この水性分散体を
前記した方法でコートしたコートフィルムのヘーズは3.
3%であり、室温で造膜したことが確認された。また、
コート液から得られる塗膜は、PET及びPPフィルムに良
く密着していた。
【0067】比較例1 不飽和カルボン酸の含有量の多いポリオレフィン樹脂と
してアクリル酸含有量が20質量%であるエチレン−アク
リル酸共重合体樹脂を用いた。ヒーター付きの密閉でき
る耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0
gのエチレン−アクリル酸共重合体樹脂〔プリマコール
5980I、アクリル酸20質量%共重合体、ダウ・ケミカル
社製、樹脂(E)〕、16.8g(樹脂中のアクリル酸のカ
ルボキシル基に対して1.0倍当量)のTEA、及び223.2g
の蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を
300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物
の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認
された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーター
の電源を入れ加熱した。そして系内温度を100〜105℃に
保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、
回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷
却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線
径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微
白色の水性分散体H-2を得た。水性分散体及び得られる
塗膜の各種特性を表2に示した。不飽和カルボン酸の含
有量の多いポリオレフィン樹脂を用いると樹脂自体の親
水性が増すために、比較的、疎水性のPETフィルムやPP
フィルムに対する密着性が著しく低下した。
【0068】
【表2】
【0069】実施例10 実施例9で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E-9
と他の重合体の水性分散体とを混合した。重合体の水性
分散体としては、ポリウレタン水性分散体(アデカボン
タイターHUX-380、旭電化工業社製)を用いた。E-9を撹
拌しておき、E-9の固形分100質量部に対して上記水性分
散体を固形分換算で30質量部添加し、室温で30分間、撹
拌した(M-1とする)。得られた液の混合安定性を表3
に、密着性試験結果を表4示す。
【0070】実施例11〜15 実施例9で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E-9
と架橋剤とを混合した。架橋剤としては、メラミン化合
物(サイメル327、三井サイテック社製、実施例1
1)、エポキシ化合物(デナコールEX-313、ナガセ化成
工業社製、実施例12、及びデナコールEX-1310、ナガ
セ化成工業社製、実施例13)、オキサゾリン基含有化
合物(エポクロスWS-700、日本触媒社製、実施例1
4)、及びカルボジイミド化合物(カルボジライトE-0
2、日清紡社製、実施例15)を用いた。E-9を撹拌して
おき、E-9の固形分100質量部に対して上記架橋剤を固形
分換算で表3に示す量を添加し、室温で30分間、撹拌し
た。得られた液(それぞれ、M−2〜M−6とする)の混合
安定性を表3に、密着性試験結果を表4示す。
【0071】実施例16 実施例1で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E-1
の固形分100質量部に対して層状無機化合物(クニピア
F、クニミネ工業社製)を10質量部、ガラスビーズ250
質量部を混合し、ペイントシェーカーで1時間振とう分
散した後、ガラスビーズを取り除いた。得られた液(M
−7とする)の混合安定性を表3に、密着性試験結果を
表4示す。
【0072】実施例17 層状無機化合物の代わりに酸化マグネシウム(粒子径0.
01μm、和光純薬工業社製)を用いた以外は実施例16
と同様の方法を行った。得られた液(M−8とする)の混
合安定性を表3に、密着性試験結果を表4示す。
【0073】実施例18 実施例1で得られたポリオレフィン樹脂水性分散体E-1
に、ポリオレフィン樹脂のカルボキシル基量に対して30
モル%の塩化ナトリウムを加えて、室温で30分間、撹拌
した。得られた液(M−9とする)の混合安定性を表3
に、密着性試験結果を表4示す。
【0074】比較例2〜4 比較例2で得られたH-2を撹拌しておき、H-2の固形分10
0質量部に対して、ポリウレタン水性分散体(アデカボ
ンタイターHUX-380、旭電化工業社製、比較例2)、及
びエポキシ化合物(デナコールEX-313、ナガセ化成工業
社製、比較例3)、及びデナコールEX-1310、ナガセ化
成工業社製、比較例4)を固形分換算で表3に示す量を
添加し、室温で30分間、撹拌した。得られた液の混合安
定性を表3に示す。不飽和カルボン酸の含有量の多いポ
リオレフィン樹脂を用いると、実施例に示したポリオレ
フィン樹脂を用いる場合に比べて、混合安定性は悪化し
た。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【発明の効果】本発明の方法を用いることで、分子量が
高く、エチレン系炭化水素成分を主成分とし、しかも不
飽和カルボン酸成分の含有量が少ないポリオレフィン樹
脂を数平均粒子径0.5μm以下で水性媒体中に分散した水
性分散体を製造することができる。さらに、本発明のポ
リオレフィン樹脂水性分散体は低温で容易に造膜でき、
得られる膜の透明性にも優れている。さらにPETやPPに
良好な密着性を有する被膜を形成することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08F 210/00 C08F 220:00 220:00 216:18 216:18 222:06 222:06) Fターム(参考) 4F070 AA13 AC38 AC43 AC57 AC75 AC76 AC80 AC83 AC94 AE14 CB02 CB12 4J002 AB012 AB032 AB042 AB052 AD012 AE032 BB071 BB081 BB082 BB091 BB101 BB141 BB161 BB182 BC072 BE022 BG012 BG032 BJ002 ED037 ED067 EH037 EN026 EN046 EN106 EP017 EU236 EV247 FD202 HA07 4J100 AA02P AA03P AA04P AA06P AA07P AA16P AD02Q AE03Q AE04Q AG02Q AG03Q AG04Q AG05Q AJ02R AJ08R AJ09R AK31R AK32R AL03Q AL36R AL80Q AM15Q AM17Q CA05 DA09 DA24 EA05

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記ポリオレフィン樹脂、有機アミン化
    合物、乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化合
    物、及び水を必須成分とし、ポリオレフィン樹脂の数平
    均粒子径が0.5μm以下であることを特徴とするポリオレ
    フィン樹脂水性分散体。 ポリオレフィン樹脂: (A1)不飽和カルボン酸またはその無水物、(A2)エチ
    レン系炭化水素、(A3)下記式(I)〜(IV)のいずれ
    かで示される少なくとも1種の化合物とから構成される
    共重合体であって、各構成成分(A1)〜(A3)の質量比
    が下記式(1)、(2)をみたすポリオレフィン樹脂。 0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100<5 (1) (A2)/(A3)=60/40〜100/0 (2) 【化1】
  2. 【請求項2】 さらに有機溶剤を含有することを特徴と
    する請求項1記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
  3. 【請求項3】 重量平均粒子径が0.5μm以下であること
    を特徴とする請求項1又は2記載のポリオレフィン樹脂
    水性分散体。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン樹脂の190℃、2160g荷
    重におけるメルトフローレートが0.01〜500g/10分であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポ
    リオレフィン樹脂水性分散体。
  5. 【請求項5】 不飽和カルボン酸またはその無水物(A
    1)成分が無水マレイン酸、アクリル酸またはメタクリ
    ル酸から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とす
    る請求項1〜4に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体
    組成物。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン樹脂がエチレン−アクリ
    ル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体またはエチ
    レン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重
    合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
  7. 【請求項7】 有機溶剤が、30〜250℃の沸点を有し、
    かつポーリング(Pauling)の電気陰性度が3.0以上の原
    子を分子内に1個以上有している有機溶剤であって、該
    有機溶剤の含有量がポリオレフィン水性分散体の40質量
    %以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
  8. 【請求項8】 有機アミン化合物の沸点30〜250℃であ
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポ
    リオレフィン樹脂水性分散体。
  9. 【請求項9】 乳化剤あるいは保護コロイド作用を有す
    る化合物の含有量がポリオレフィン水性分散体中のポリ
    オレフィン樹脂100質量部に対して0.001〜20質量部であ
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポ
    リオレフィン樹脂水性分散体。
  10. 【請求項10】 最低造膜温度が50℃以下であることを
    特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリオレフ
    ィン樹脂水性分散体。
  11. 【請求項11】 下記ポリオレフィン樹脂、有機アミン
    化合物、乳化剤あるいは保護コロイド作用を有する化合
    物、及び水を必須成分とし、これらを密閉容器中、100
    〜250℃の温度で攪拌する工程を含むことを特徴とする
    ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法。ポリオレフ
    ィン樹脂: (A1)不飽和カルボン酸またはその無水物、(A2)エチ
    レン系炭化水素、(A3)下記式(I)〜(IV)のいずれ
    かで示される少なくとも1種の化合物とから構成される
    共重合体であって、各構成成分(A1)〜(A3)の質量比
    が下記式(1)、(2)をみたすポリオレフィン樹脂。 0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100<5 (1) (A2)/(A3)=60/40〜100/0 (2) 【化2】
  12. 【請求項12】密閉容器中で攪拌するに際し、さらに有
    機溶剤を添加することを特徴とする請求項11記載の製
    造方法。
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