JP2006124666A - 液晶性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一種の二軸性ネマチック相を発現する液晶性化合物と光学活性化合物とを含有する液晶性組成物。
【選択図】 なし
Description
(1)少なくとも一種の二軸性ネマチック相を発現する液晶性化合物と、光学活性化合物とを含有する液晶性組成物。
(2)二軸性ネマチック相を発現する液晶性混合物と、光学活性化合物とを含有することを特徴とする液晶性組成物。
(3)前記二軸性ネマチック相を発現する液晶性混合物が、ディスコティックネマチック相を発現する液晶性化合物及びネマチック相を発現する液晶性化合物の混合物であることを特徴とする上記(2)に記載の液晶性組成物。
(4)前記二軸性ネマチック相を発現する液晶性化合物が、少なくとも一種類の重合性基を有することを特徴とする上記(1)に記載の液晶性組成物。
(5)前記ディスコティックネマチック相を発現する液晶性化合物及び前記ネマチック相を発現する液晶性化合物の少なくとも一方が、少なくとも一種類の重合性基を有することを特徴とする上記(3)に記載の液晶性組成物。
(6)上記(1)〜(5)の何れかに記載の液晶性組成物から形成されたことを特徴とする薄膜。
(7)前記液晶性組成物における液晶性化合物の配向した状態が固定化されたことを特徴とする上記(6)に記載の薄膜。
[二軸性ネマチック相を発現する液晶性化合物]
本発明の液晶性組成物は、少なくとも一種の二軸性ネマチック相を発現する液晶性化合物と光学活性化合物とを含有する。
二軸性ネマチック相とは、液晶相の空間をx軸、y軸、z軸で定義した際、該液晶性化合物(液晶性分子)がy軸を中心にしたxz平面の自由回転も、z軸を中心にしたxy平面の自由回転も禁止されている状態を示す。二軸性ネマチック相は二軸性液晶相の中で、液晶性化合物を配向させやすく、配向欠陥が生じにくいため好ましい。
本発明の液晶性組成物には、液晶性化合物以外に、加えることのできる添加剤(例えば、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー、溶媒など)を含んでもよい。
棒状液晶としては、例えば棒状または板状の形状を有する液晶性化合物が発現する、ネマチック相、スメクチックA相およびスメクチックC相等を挙げることができる。このような液晶相は、nx>ny=nzの関係にあるため、正の複屈折性を有する一軸性の液晶相である。詳しくは液晶便覧(丸善(株)2000年発行)第2章などに記載されており、本発明においては、ネマチック相が特に好ましい。
以下に、棒状液晶を発現する液晶性化合物が有する重合性基として、好ましい例を示す。
以下に、板状の形状を有する液晶性化合物であって、棒状液晶を発現する液晶性化合物として用いるのに好ましい液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
X1AおよびX2Aはそれぞれ独立に、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルキルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基を表す。特に、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルキルオキシ基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基が最も好ましい。
n1およびn2はそれぞれ独立に、0〜3の整数を表す。n1およびn2はそれぞれ0〜2が好ましい。特に(n1+n2)が1〜4が好ましい。
R1A、R2A、R3A、R4Aは、それぞれ独立に下記式(R−IA)を表す。
*−(L1A−二価の環状基)p−L2A−二価の鎖状基−Q1A
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)のなかでも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
以下に、一般式(R−I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ディスコティック液晶としては、例えば円盤状の形状を有する液晶性化合物が発現する、ディスコティックネマチック相、カラムナー相、カラムナーラメラ相等を挙げることができる。本発明においては、液晶相としてはディスコティックネマチック相が特に好ましい。
L2:−AL−C(=O)−O−AL−O−
L3:−AL−C(=O)−O−AL−O−AL−
L4:−AL−C(=O)−O−AL−O−C(=O)−
L5:−C(=O)−AR−O−AL−
L6:−C(=O)−AR−O−AL−O−
L7:−C(=O)−AR−O−AL−O−C(=O)−
L8:−C(=O)−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−C(=O)−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−C(=O)−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−C(=O)−AL−AR−O−AL−O−C(=O)−
L17:−O−C(=O)−AR−O−AL−C(=O)−
L18:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−C(=O)−
L19:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−AL−O−C(=O)−
L20:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−C(=O)−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−C(=O)−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
重合性基(Q)の好ましい具体例は、棒状液晶を発現する液晶性化合物における記載と同様であり、また、より好ましい重合性基(Q)も、棒状液晶を発現する液晶性化合物と同様である。
(またはQL)をLR(またはRL)に変更する以外は、前記の重合性ディスコティック液晶性化合物の例と同様である。また、二価の連結基(L)の例も、前記の重合性ディスコティック液晶性化合物の例と同様である。Rのアルキル基は、炭素原子数が1乃至40であることが好ましく、1乃至30であることがさらに好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも直鎖状アルキル基の方が好ましい。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至30の直鎖状アルキル基であることが特に好ましい。
一般式(D−2)
(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。
二価の5員環環状基は、ヘテロ環が好ましい。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ホウ素原子、リン原子等を挙げることができる。特に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましく、特に窒素原子と酸素原子を含むヘテロ環が好ましい。
二価の5員環環状基は、少なくとも1個のメチンを有していることが好ましく、2個のメチンを有していることが更に好ましい。特に、メチンの水素原子が、L1、L2、L3もしくはR1、R2、R3と置き換わっていることが好ましい。
二価の5員環環状基としては、例えば、チオフェン−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、オキサゾール−2,5−ジイル、イミダゾール2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾ−ル−2,5−ジイル、テトラヒドロフラン−2,4−ジイル等を挙げることができる。
二価の5員環環状基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、Y11、Y12、Y13と同様の置換基を挙げることができる。
(例えば、無置換のカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、アルキルスルホニル基(例えば、メシル基などが挙げられる)、アリールスルホニル基(例えば、トシル基などが挙げられる)、アルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基などが挙げられる)、アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)を表す。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。
Qはそれぞれ独立に重合性基またはメチル基である。一般式(D−2)で表される化合物を光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学フィルムに用いる場合には、Qは重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合
(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)のなかでも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
Q1は、一般式(I)のQの定義と同様である。
L21は単結合または二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
L22で表される二価の連結基の例を以下に示す。ここで、右側が一般式(II)中の二価の環状基に、左側がQ1に結合する。
L−2:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−NR7−
L−5:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−6:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−7:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−8:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−9:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−10:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−11:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−NR7−
L−12:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−13:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−14:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−15:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−
L−16:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−17:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−18:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−NR7−
L−19:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−20:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−21:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−22:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−23:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−24:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−25:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−NR7−
L−26:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−27:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−28:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−29:−二価の鎖状基−
L−30:−二価の鎖状基−O−
L−31:−二価の鎖状基−CO−O−
L−32:−二価の鎖状基−O−CO−
L−33:−二価の鎖状基−CO−NR7−
L−34:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−
L−35:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−
L−36:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−37:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
一般式(III)
R4はそれぞれ独立にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基を表す。好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜4のアシル基、炭素原子数2〜4のアシルオキシ基、炭素原子数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
lは0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。lが2以上の場合、複数のR4で表される基はそれぞれ異なっていてもよい。
L6は**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH2−を表し、**は一般式(III)中のベンゼン環に結合する位置を表す。
R5は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を表し、より好ましくは水素原子もしくはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
mは2から16の整数を表し、好ましくは2から12の整数である。
R6は水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
一般式(IV)
本発明においては、一般式(IV)で表される化合物のなかでも、R1、R2、R3がそれぞれ独立に上記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
一般式(IV)で表される化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相またはディスコティックネマチック相が好ましく、特にディスコティックネマチック相が好ましい。液晶相は、30〜300℃の範囲で発現するものが好ましく、50〜250℃の範囲で発現するものがより好ましい。
棒状液晶を発現する液晶性化合物とディスコティック液晶を発現する液晶性化合物とを含む本発明の液晶性組成物は、20℃〜300℃の範囲内で二軸性ネマチック相を発現することが好ましい。さらに好ましくは40℃〜280℃であり、最も好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃の範囲内で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合
(具体的に例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
二軸性ネマチック相は、一軸性の液晶相よりも低い温度で発現する場合が多い。例えば、一軸性のネマチック相(ネマチック相やディスコティックネマチック相)を降温することで二軸性ネマチック相に転移する場合が多い。多くの場合、ある混合比((棒状液晶を発現する液晶性化合物)/(ディスコティック液晶を発現する液晶性化合物))を境に、棒状液晶を発現する液晶性化合物の含率が少し多くなると、降温時にネマチック相から二軸性ネマチック相への転移が起こる。またディスコティック液晶を発現する液晶性化合物の含率が少し多くなるとディスコティックネマチック相から二軸性ネマチック相への転移が起こる。
例えば、ネマチック相((nx−nz)/(nx−ny)=1.0)から降温していくと、(nx−nz)/(nx−ny)値は、突然変化するのではなく、温度に応じて徐々に上昇していく傾向にある。したがって、UV照射による重合等の配向固定する温度を選択することで、(nx−nz)/(nx−ny)値を制御できる。ネマチック相から二軸性ネマチック相へ転移させた場合の、(nx−nz)/(nx−ny)値の制御範囲幅は、棒状液晶を発現する液晶性化合物とディスコティック液晶を発現する液晶性化合物の分子構造等により変化するため、一概には定義できないが、1.0により近い範囲が制御しやすい。具体的には1.0<(nx−nz)/(nx−ny)<10の範囲が制御しやすい。
また、ディスコティックネマチック相から二軸性ネマチック相へ転移させた場合もネマチック相から転移させた場合と同様に(nx−nz)/(nx−ny)値の制御が可能となるが、この場合は、ディスコティックネマチック相の(nx−nz)/(nx−ny)値は∞(nx=ny)であるため、その制御範囲幅は、∞により近い範囲が制御しやすい。具体的には1.2<(nx−nz)/(nx−ny)<∞の範囲が制御しやすい。
二軸性ネマチック相を発現する液晶化合物に光学活性化合物を混合することで、キラル二軸性ネマチック相を発現することが可能となる。キラル二軸性ネマチック相は、不斉中心を有する液晶性化合物を用いても発現させることも可能である。
光学活性化合物としては公知のカイラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)を用いることができる。光学活性化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。光学活性化合物(カイラル剤)は、重合性基を有していてもよい。
光学活性化合物の使用量は、二軸性ネマチック相を発現する液晶化合物の量の0.01乃至200モル%であることが好ましい。
本発明の液晶性組成物から形成される薄膜の均一に配向した状態とは、液晶性化合物が均一で欠陥なく配向したモノドメインな配向状態を指す。このような配向状態を実現するためには、良好なモノドメイン性を示す液晶相が望ましい。モノドメイン性が悪い場合には、得られる構造がポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになる。良好なモノドメイン性を示すと、高い光透過率を有しやすくなる。
本発明の薄膜は、位相差板における光学異方性層とすることができる。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
本発明の液晶性組成物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理もしくは、光照射により形成される配向膜が好ましい。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。
本発明の液晶性組成物を光学異方性層の形成に用いる場合には、液晶性組成物に、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等の添加剤を含んでもよい。
液晶性組成物は、空気界面においては空気界面のチルト角で配向する。このチルト角は、液晶性組成物に含まれる液晶性化合物の種類や添加剤の種類等で、その程度が異なるため、目的に応じて空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
本発明の液晶性組成物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、本発明の液晶性組成物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
本発明の液晶性組成物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、本発明の液晶性組成物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明における配向状態の固定化は、例えば、液晶性組成物を一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することにより、その液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化することで形成できる。また、本発明の液晶性組成物に重合開始剤を添加した組成物を液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによって液晶状態の配向状態を固定化することで形成できる。本発明における配向状態の固定化は、後者の重合反応により行うことが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応または電子線照射による重合反応が好ましい。
光重合開始剤の使用量は、液晶性組成物(光学異方性層の塗布液)の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
本発明の液晶性組成物には、重合性のモノマーを添加してもよい。本発明で使用できる重合性モノマーとしては、本発明の化合物と相溶性を有し、液晶性組成物の配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.5〜50質量%の範囲にあり、1〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と本発明の薄膜(光学異方性層)間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
本発明の液晶性組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド、エステルおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
本発明の薄膜は、上記溶媒を用いて本発明の液晶性組成物の塗布液を調製し配向膜上に塗布し、本発明の液晶性組成物を配向処理することにより形成できる。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[二軸性ネマチック相の確認]
(D−8)0.225gと(TO−3)0.100gをCH2Cl2に溶解後、溶媒を蒸発させ、(BAmix−1)を得た。(BAmix−1)は、偏光顕微鏡における観察から、150℃からの降温時に100℃以下でネマチック相を発現することが明らかとなった。
次に、この(BAmix−1)を5μmのセルギャップの水平配向セル((株)EHC製;KSRP−05/A107M1NSS(ZZ))に110℃で注入し、100℃に冷却すると、ネマチック相に転移してホメオトロピック配向して暗視野となった。さらに80℃まで温度を下げると、液晶の転移が起こり二軸性ネマチック相に転移した。80℃の状態で3分間で維持し、レターデーションの角度依存性の測定を行い、(nx−nz)/(nx−ny)を求めたところ、4.0であった。
[キラル二軸性ネマチック相の確認]
(D−8)0.225g、(TO−3)0.100gおよび下記光学活性化合物0.01gをCH2Cl2に溶解後、溶媒を蒸発させ、(BAmix−2)を得た。(BAmix−2)は、偏光顕微鏡における観察から、150℃からの降温時に80℃以下でキラル二軸性ネマチック相を発現することが明らかとなった。
[均一に配向した薄膜]
下記変性ポリビニルアルコールとグルタルアルデヒド(変性ポリビニルアルコールの5質量%)とを、メタノール/水の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5質量%の溶液を調製した。
前記液晶性組成物(BAmix-2) 100質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 2.0質量部
下記空気界面配向制御剤 V−(1) 0.2質量部
クロロホルム 700質量部
[D−8の合成]
下記スキームにしたがってD−8を合成した。
3−ブロモ−1−プロパノール5gをジメチルアセトアミド20mlに溶解後、アクリロイルクロライド3.8mlを、反応温度40℃以下で滴下した。1時間攪拌後、水200mlを加え酢酸エチル/ヘキサンで抽出した。分液後、有機層を留去し、上記トリヒドロキシ体0.5g、炭酸カリウム2.0gおよびジメチルホルムアミドを加え、100℃で10時間攪拌した。
反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出後、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、D−8の白色の結晶0.8gを得た。得られたD−8の1H−NMRスペクトルは、以下のとおりである。
2.15−2.30(6H、m)
4.18(6H、t)
4.43(6H、t)
5.86(3H、d)
6.16(3H、dd)
6.45(3H、d)
7.08(6H、d)
8.16(6H、d)
9.02(3H、s)
[TO−3の合成]
下記スキームにしたがってTO−3を合成した。
ブロモハイドロキノン25.0gをピリジン(Py)70mlに溶解させ、反応温度50℃以下で無水酢酸(Ac2O)37mlを滴下した。3時間攪拌後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和重曹水、希塩酸、水、飽和食塩水で洗浄したのち、溶媒を減圧留去した。ヘキサンで結晶化させ、m−4Aの結晶32.2gを得た。
m−4A 32.2g、トリメチルシリル(TMS)アセチレン17.4g、トリフェニルホスフィン0.5g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.25gおよびヨウ化銅(I)80mgをトリエチルアミン200mlに溶解させ、窒素雰囲気下で10時間還流した。冷却後、析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、有機層を減圧留去した。得られた残査をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、m−4Bの結晶32.0gを得た。
m−4B 32.0gをテトラヒドロフラン200mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオラド(TBAF)のテトラヒドロフラン溶液(1.0M溶液)を120ml添加し、室温で30分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、m−4Cの結晶20.5gを得た。
2,3−ジシアノハイドロキノン20.4gをt−ブタノール150mlに溶解させ、NBS(N−ブロモスクシンイミド)22.6gを添加後、室温で4時間攪拌した。反応液を水1Lに加え、析出した結晶を濾過後、濾液に濃塩酸を加え酢酸エチルで抽出を行った。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3A 8.5gを得た。
TO−3A 8.0gをテトラヒドロフラン50mlに溶解させ、ピリジン(Py)25mlと無水酢酸(Ac2O)20mlを滴下した。12時間攪拌後、反応液を水1Lに加え、析出した結晶を濾別し乾燥した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3B 9.7gを得た。
TO−3B 3.0g、実施例4に従って得られたm−4C 2.43g、トリフェニルホスフィン60mg、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド30mgおよびヨウ化銅(I)10mgをトリエチルアミン100mlに溶解させ、窒素雰囲気下、60℃で5時間加熱した。冷却後、反応液にメタノールを加え、析出した結晶を濾別し乾燥した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3C 1.7gを得た。
TO−3C 1.7gをテトラヒドロフラン40mlに溶解させ、窒素バブリング下でナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)5mlとメタノール20mlを添加した。室温で30分攪拌後、希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を減圧留去し、TO−3D 1.0gを得た。
メタンスルホニルクロライド0.43gをテトラヒドロフラン10mlに溶解させ0℃に冷却した。この溶液に4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸1.0g、ジイソプロピルエチルアミン0.51gのテトラヒドロフラン10ml溶液を滴下した。0℃で1時間撹拌後、ジイソプロピルエチルアミン0.51g,4−ジメチルアミノピリジン0.02gを添加し、次いで、TO−3D 0.14gのテトラヒドロフラン10ml溶液を添加した。室温で12時間撹拌後、反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出した。減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、TO−3の白色の結晶0.32gを得た。得られたTO−3のNMRスペクトルは以下の通りである。
1.70−1.90(8H、m)
1.90−2.00(8H、m)
3.90−4.00(4H、m)
4.08−4.18(4H、m)
4.19−4.30(8H、m)
5.80−5.90(4H、m)
6.07−6.20(4H、m)
6.36−6.48(4H、m)
6.90−7.05(9H、m)
7.25(1H、dd)
7.32(1H、d)
7.47(1H、d)
8.06−8.20(8H、m)
Claims (7)
- 少なくとも一種の二軸性ネマチック相を発現する液晶性化合物と、光学活性化合物とを含有する液晶性組成物。
- 二軸性ネマチック相を発現する液晶性混合物と、光学活性化合物とを含有することを特徴とする液晶性組成物。
- 前記二軸性ネマチック相を発現する液晶性混合物が、ディスコティックネマチック相を発現する液晶性化合物及びネマチック相を発現する液晶性化合物の混合物であることを特徴とする請求項2に記載の液晶性組成物。
- 前記二軸性ネマチック相を発現する液晶性化合物が、少なくとも一種類の重合性基を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶性組成物。
- 前記ディスコティックネマチック相を発現する液晶性化合物及び前記ネマチック相を発現する液晶性化合物の少なくとも一方が、少なくとも一種類の重合性基を有することを特徴とする請求項3に記載の液晶性組成物。
- 請求項1〜5の何れかに記載の液晶性組成物から形成されたことを特徴とする薄膜。
- 前記液晶性組成物における液晶性化合物の配向した状態が固定化されたことを特徴とする請求項6に記載の薄膜。
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