JP2007071974A - 液晶性組成物および位相差板 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる液晶相を発現する複数の液晶性組成物を混合させて得られる液晶性組成物を提供すること。
【解決手段】正の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物Rと、下記一般式(DI)で表される化合物を含有することを特徴とする液晶性組成物。
【化1】
Figure 2007071974

【選択図】なし

Description

本発明は位相差板などの作製に非常に有用な液晶性組成物、特に、二軸性の液晶相を発現する液晶性組成物に関する。また、該液晶性組成物を含む光学異方性層を有する位相差板、および楕円偏光板に関する。
3軸方向の屈折率を制御した二軸性のフィルムは、偏光を利用する光学分野において有用である。特に液晶ディスプレイの分野では偏光をきめ細かく制御できるこのようなフィルムの重要性は高い。このような光学的二軸性のフィルムを作製する場合、ポリマーから得られるフィルムを二軸延伸によって得る方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。二軸延伸によって二軸性のフィルムを得る場合には、3軸方向の屈折率を延伸倍率によって制御できるため、比較的容易に所望の屈折率に制御できる。
二軸性液晶を用いた二軸性フィルムは、これまで多く用いられてきた二軸延伸フィルムと比較して、その膜厚を非常に薄くできるメリットを持つため、二軸性フィルムに二軸性液晶を用いることは、デバイスの薄層化や軽量化等に有用な手段である。また、延伸を利用したフィルムは、寸度の安定性が悪く、光学性能が湿熱等で変わりやすいといった問題を持つことが多かったが、重合性の二軸性液晶を用いることができれば、そのような問題も解決できる可能性がある。
しかし、二軸性液晶を用いて二軸性のフィルムを作製する場合には、3軸方向の屈折率が任意に制御できない問題が生じる。これは、得られる二軸性のフィルムの3軸方向の屈折率が、二軸性の液晶相を発現する化合物(二軸性液晶性化合物)の3軸方向の屈折率により、ほぼ一義的に決まるからである。すなわち、二軸性フィルムの3方向の屈折率を所望の屈折率にするためには、所望の屈折率を有する二軸性液晶性化合物を合成するしか方法がなかった。しかし、二軸性液晶性化合物は、一軸性の液晶相を発現する化合物(一軸性液晶性化合物)と比べてその数が非常に少ないために、3方向の屈折率を任意に制御することは非常に困難であった。
このような問題を回避するために、二軸性液晶相を、棒状液晶と円盤状液晶を混合することにより発現させる提案もなされている(例えば、非特許文献1参照)。この方法を用いれば、3軸方向の屈折率の制御は、棒状液晶と円盤状液晶の混合比を変化させることにより、可能であるため非常に簡便である。しかし、このような提案をうけて、棒状液晶と円盤状液晶を混合することにより二軸性液晶相を発現させる試みもなされている(例えば、非特許文献2参照)が、棒状液晶と円盤状液晶の相溶性が良くないため、この2種の液晶の混合においては、液晶性が消失してしまう、もしくは2種の液晶相が相分離を起こしてしまう問題もあり、このような混合系では、二軸性液晶相は発現できていなかった。
特開平2−264905号公報 Y. Rabin等著、Mol. Cry. Liq. Cry.、1982年、89巻、67頁 R. Pratiba、N. V. Madhususana著、Mol. Cry. Liq. Cry.、1985年、1巻、111頁
上記のような状況に鑑み、本発明の目的は、異なる液晶相を発現する複数の液晶性組成物を混合させて得られる液晶性組成物を提供することにある。特に、二軸性液晶相を発現し得る液晶性組成物を提供することにある。さらに、本発明の目的は、これらの液晶性組
成物を用いた位相差板を提供することにある。
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)正の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物Rと、下記一般式(DI)で表される化合物を含有することを特徴とする液晶性組成物。
Figure 2007071974
(一般式(DI)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し、R11、R12およびR13は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−A)、下記一般式(DI−B)または下記一般式(DI−C)を表す。)
Figure 2007071974
(一般式(DI−A)中、A11、A12、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L11は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CH−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、L12は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。Q11は重合性基または水素原子を表す。)
Figure 2007071974
(一般式(DI−B)中、A21、A22、A23、A24、A25およびA26は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンま
たはイミノを表し、L21は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CH−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、L22は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。Q21は重合性基または水素原子を表す。)
Figure 2007071974
(一般式(DI−C)中、A31、A32、A33、A34、A35およびA36は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L31は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CH−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、L32は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。Q31は重合性基または水素原子を表す。)
(2)透明支持体の上に、少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層が上記(1)に記載の液晶性組成物から形成されていることを特徴とする位相差板。
本発明によれば、異なる液晶相を発現する複数の液晶性組成物を混合させた液晶組成物を提供することができる。特に、二軸性液晶相を発現し得る液晶性組成物を提供することができる。互いに異なる液晶相として、正の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物と、負の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物とを混合することにより、二軸性液晶相を発現する液晶性組成物が得られる。また、正の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物と、負の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物との混合比により、発現する液晶相の3軸方向の屈折率を制御することができる。
さらに、本発明によれば、これらの液晶性組成物により形成され、屈折率を所望の値に制御された光学異方性層を有する位相差板を提供することができる。該位相差板により、偏光をきめ細かく制御可能な楕円偏光板や、視野角の広い液晶表示装置を提供することができる。
本発明の液晶性組成物は、正の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶組成物Rと、一般式(DI)で表される化合物を含有する。
ここで、正の複屈折性を有する液晶相とは、下記数式(I)を満たす液晶相を指す。
数式(I) 1.0≦(nx−nz)/(nx−ny)<1.1
数式(I)中、nx、ny、nzは、前記液晶性組成物Rが発現する各液晶相において直交する3方向の屈折率を表す。但し、各液晶相において、最も大きい屈折率をnx、最も小さい屈折率をnzとする。
液晶相の3方向の屈折率を求める方法としては、例えば、酒井による報告(「自動複屈折計を利用したフィルムの複屈折解析方法」プラスチックス、Vol.51、No.3、57(2000))を参考にすることができる。
本発明において液晶性組成物Rは、それぞれ1種以上の液晶性化合物を含有する液晶性組成物であり、1種の液晶性化合物のみの場合も含む。2種以上の液晶性化合物を含む場合は、例えば、重合性の液晶性化合物と非重合性の液晶性化合物との併用が可能である。また、低分子液晶性化合物と高分子液晶性化合物との併用も可能である。
また、液晶性化合物以外に、後述する光学異方性層の形成にあたり加えることのできる添加剤(例えば、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー、溶媒など)を含んでもよい。
[数式(I)を満たす液晶相を発現する液晶性組成物R]
数式(I)を満たす液晶相としては、例えば棒状または板状の形状を有する液晶性化合物が発現する、ネマチック相、スメクチックA相およびスメクチックC相等を挙げることができる。このような液晶相は、nx>ny=nzの関係にあるため、正の複屈折性を有する一軸性の液晶相である。詳しくは液晶便覧(丸善(株)2000年発行)第2章などに記載されており、本発明においては、数式(I)を満たす液晶相としてはネマチック相が特に好ましい。
一方、一軸性の液晶相であるのか、二軸性の液晶相であるのか判断が難しい液晶相も知られている。例えば、D.Demus,J.Goodby等著〔Handbook of
Liquid Crystals Vol.2B:Low Molecular Weight Liquid Crystals II、pp933−943:WILEY−VCH社刊〕に記載の液晶相は判断の困難な液晶相と言える。数式(I)を満たす液晶相としては、このような一軸性と二軸性の判断が困難な液晶相も含まれる((nx−nz)/(nx−ny)が1以外の場合)。
液晶相の一軸性の判断、及び複屈折性の正負の判断は、液晶性化合物をホメオトロピック配向させた状態で、偏光顕微鏡を用いコノスコープ観察することで行うことができる。この判断は、坪井誠太郎著、「偏光顕微鏡」(岩波書店 1959年発行)第三章に記載されている基準で行うことができる。
数式(I)を満たす液晶相を発現する液晶性組成物Rに用いる液晶性化合物は、低分子液晶性化合物でもよいし、高分子液晶性化合物でもよいが、一般式(DI)で表される化合物との相溶性の点で、低分子液晶性化合物の方が好ましい。
数式(I)を満たす液晶相を発現する液晶性組成物Rに用いる液晶性化合物としては、正の複屈折性を有する一軸性の液晶相を発現する液晶性化合物が好ましく、該化合物としては、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類を挙げることができる。
数式(I)を満たす液晶相を発現する液晶性組成物Rに用いる液晶性化合物は、一般式(DI)で表される化合物との間で、相互作用(例えば、水素結合や双極子相互作用)可
能な置換基または共有結合を形成可能な置換基(例えば、重合性基)を有していても良い。このような置換基は、液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物の相溶性が良くなることが期待できる。
数式(I)を満たす液晶相を発現する液晶性組成物Rに用いる液晶性化合物は、重合性基を有することが好ましく、化合物の分子の末端に重合性基を有することがより好ましい。本発明の液晶性組成物により位相差板などに用いた場合に熱などによる位相差の変化を防ぐことができるので、好ましい。
重合性基を有する正の複屈折性を有する一軸性液晶性化合物としては、Makromol.Chem.、190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、国際公開WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号および特開2001−328973号などに記載の化合物を用いることができる。
以下に、液晶性組成物Rに用いる液晶性化合物が有する重合性基として、好ましい例を示す。
Figure 2007071974
上記重合性基のなかでも、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エポキシ基(Q8)またはアジリジニル基(Q9)がより好ましく、不飽和重合性基(Q1〜Q7)がさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)が最も好ましい。
数式(I)を満たす液晶相を発現する液晶性組成物Rに用いる液晶性化合物の形状は、特に限定されず、棒状でも板状でも、その他の形状でもよい。なかでも、板状であることが二軸性液晶相の発現のしやすさの点から好ましい。
上記液晶性化合物が「板状」であるとは、該化合物が、単独で液晶性を示すコア部を少なくとも二つ有するとともに、コア部同士が共有結合により連結した平面状の、正の複屈折性を有する一軸性液晶化合物であることを意味する。例えば、後述する本発明の例示化合物(m−1)において、RO−Ph−OR(Ph:ベンゼン環を意味する)の部分は単独で液晶性を示すコア部に相当する。RO−Ph−ORの部分が共有結合により連結することにより例示化合物(m−1)となる。
より具体的には、液晶性化合物が「板状」であるとは、次のことを意味する。すなわち、液晶性化合物の安定化構造を内接し且つ体積が最小となる直方体の最も長い辺をLl、中間の辺をLm、最も短い辺をLsとしたとき、該液晶性化合物が「板状」とは、Ll/Lm>1.1且つLm/Ls>1.5の場合である。液晶性化合物の安定化構造は、MOPAC(半経験的分子軌道計算プログラム)により求めることができ、具体的にはMOPACのAM1法(使用ソフト:WinMOPAC、販売元:富士通(株))を用いればよい。
本発明では、数式(I)を満たす液晶相を発現する液晶性組成物Rに用いる液晶性化合物が有する板状の形状として、さらに数式(II)と数式(III)の両式を満たすことが好ましい。
数式(II) 1.2<Ll/Lm<10
数式(III) 2.0<Lm/Ls<10
板状の形状を有する液晶性化合物として、Mol.Cry.Liq.Cry.、323巻、231頁(1998年)、「染料と薬品」第42巻、第4号、85頁(1997年)、「染料と薬品」第42巻、第3号、68頁(1997年)などに記載の化合物や、記載の化合物に重合性基を導入した化合物を用いることができる。
以下に、板状の形状を有する液晶性化合物であって、液晶性組成物Rに用いるのに好ましい液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007071974
Figure 2007071974
Figure 2007071974
板状の形状を有する液晶性化合物は、上記具体例以外にも、下記一般式(R−I)で表される液晶性化合物が好ましい。
Figure 2007071974
式(R−I)中、LAは-≡-または-≡-≡-を表す。
1AおよびX2Aは、それぞれ独立に、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルキルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルキルオキシカルボニル基を表す。特に、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルキルオキシ基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基が最も好ましい。
1およびn2はそれぞれ独立に、0〜3の整数を表す。n1およびn2はそれぞれ0〜2が好ましい。特に(n1+n2)が1〜4が好ましい。
1A、R2A、R3A、R4Aは、それぞれ独立に、下記式(R−IA)を表す。
式(R−IA)
*−(L1A−二価の環状基)p−L2A−二価の鎖状基−Q1A
式(R−IA)中、*は式(R−I)中のベンゼン環に結合する位置を表す。
1Aは単結合または二価の連結基である。L1Aが二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1Aは単結合、および、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH2−CH2−、*−O−CH2−、*−CH2−O−、*−CO−CH2−CH2−、*−CH=CH−、*−C≡C−(ここで、*は式(R−IA)中の*を表す)が好ましく、特に単結合、*−O−CO−が好ましい。
2Aは単結合または二価の連結基である。L2Aが二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
2Aは単結合、および*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−CO−、*−S−、*−NR7−、(ここで、*は一般式(R−IA)中の二価の環状基に連結する位置を表す)が好ましく、特に単結合、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−が好ましい。
二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基である。二価の環状基中の環は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。環状基中の環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環、が含まれる。複素環の例には、ピリジン環、ピリミジン環、チオフェン環、1,3−ジオキサン環、1,3−ジチアン環が含まれる。
二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。チオフェン環を有する環状基としては、チオフェン−2,5−ジイルが好ましい。1,3−ジオキサン環を有する環状基としては、1,3−ジオキシレン−2,5−ジイルが好ましい。1,3−ジチアン環を有する骨格としては、1,3−ジチアニレン−2,5−ジイルが好ましい。
二価の環状基は、1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキシレン−2,5−ジイルが好ましく、更に1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキシレン−2,5−ジイルが好ましく、1,4−フェニレンが特に好ましい。
二価の環状基は、置換基を有していてもよく、その置換基としてはハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、またはシアノ基が好ましく。特に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜4のアシル基、炭素原子数2〜4のアシルオキシ基、炭素原子数2〜4のアルコキシカルボニル基、またはシアノ基が好ましい。
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基を意味する。なかでも、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、または置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基またはアルケニレン基がさらに好ましい。
鎖状基としてのアルキレン基は、分岐を有していてもよい。また、アルキレン基中の−CH2−は、例えば−O−、−S−で置き換えられていても良い。アルキレン基の炭素数は1乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としては、アルキル基やハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基としてのアルケニレン基は、主鎖中に置換または無置換のアルキレン基を有してもよく、分岐を有していてもよい。また、アルケニレン基中に−CH2−がある場合、−CH2−は例えば−O−、−S−で置き換えられていても良い。アルケニレン基の炭素数は2乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換基の例としてはアルキル基やハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基としてのアルキニレン基は、主鎖中に置換または無置換のアルキレン基を有してもよく、分岐を有していてもよい。また、アルキニレン基中に−CH2−がある場合、−CH2−は例えば−O−、−S−で置き換えられていても良い。アルキニレン基の炭素数は2乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはアルキル基やハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、1−メチル−テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、2−ブテニレンおよび2−ブチニレンなどが挙げられる。
二価の鎖状基は、炭素数1乃至16の置換または無置換のアルキレン基、炭素数2乃至16の置換または無置換のアルケニレン基、炭素数2乃至16の置換または無置換アルキニレン基が好ましく、特に、炭素数1乃至12の置換または無置換のアルキレン基が好ましい。鎖状基の置換基としては、炭素数1乃至5のアルキル基もしくはハロゲン原子が好ましい。最も好ましくは、炭素数1乃至12の無置換のアルキレン基である。
1Aは重合性基を表す。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2007071974
上記中、q1〜q10が好ましく、q1〜q8がより好ましい。
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 2007071974
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)のなかでも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基またはオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
pは0〜3の整数を表す。特に1または2が好ましく、1が最も好ましい。
一般式(R−I)中のベンゼン環のメチンを窒素原子に置き換えた化合物も用いられ得る。
以下に、一般式(R−I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007071974
Figure 2007071974
[一般式(DI)で表される化合物]
本発明の化合物は、下記一般式(DI)で表される。
Figure 2007071974
一般式(DI)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表す。
11、Y12およびY13がメチンの場合、メチンの水素原子は置換基で置き換わってもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がより好ましい。
11、Y12およびY13は、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることがさらに好ましい。
11、R12およびR13は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−A)、下記一般式(DI−B)または下記一般式(DI−C)を表す。波長分散性を小さくしようとする場合、一般式(DI−A)または一般式(DI−C)が好ましく、一般式(DI−A)がより好ましい。R11、R12およびR13は、R11=R12=R13であることが好ましい。
Figure 2007071974
一般式(DI−A)中、A11、A12、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表す。
11およびA12は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
13、A14、A15およびA16は、それらのうち、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。さらに、メチンは無置換であることが好ましい。
11、A12、A13、A14、A15またはA16がメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数
2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
Figure 2007071974
一般式(DI−B)中、A21、A22、A23、A24、A25およびA26は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表す。
21およびA22は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
23、A24、A25およびA26は、それらのうち、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。
21、A22、A23、A24、A25またはA26がメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
Figure 2007071974
一般式(DI−C)中、A31、A32、A33、A34、A35およびA36は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表す。
31およびA32は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
33、A34、A35およびA36は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、すべてメチンであることがより好ましい。
31、A32、A33、A34、A35またはA36がメチンの場合、メチンは置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(DI−A)中のL11、一般式(DI−B)中のL21、一般式(DI−C)中のL31は、それぞれ独立に、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CH−、−CH=CH−または−C≡C−を表す。好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH−、−CH=CH−、−C≡C−であり、より好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH−である。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
一般式(DI−A)中のL12、一般式(DI−B)中のL22、一般式(DI−C)中のL32はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
12、L22、L32は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれ、かつ炭素数1〜20である二価の連結基であることが好ま
しい。なお該炭素数は、2〜14がより好ましい。二価の連結基は−CH−を1〜16個有することが好ましく、−CH−を2〜12個有することがより好ましい。
一般式(DI−A)中のQ11、一般式(DI−B)中のQ21、一般式(DI−C)中のQ31は、それぞれ独立に、重合性基または水素原子を表す。本発明の化合物を光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学フィルム等に用いる場合には、Q11、Q21、Q31は重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。重合性基としては、前記重合性基Q1Aの具体例として例示したq1〜q17を挙げることができる。
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、前記重合性基Q1Aの重合性エチレン性不飽和基の例として示した(M−1)〜(M−6)を挙げることができる。
上記式(M−1)〜(M−6)のうち、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基は、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基またはオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
以下に、一般式(DI)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007071974
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本発明の化合物は、すべて公知の合成法に従い合成できる。
[液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物を含有する液晶性組成物]
本発明の液晶性組成物は、数式(I)を満たす液晶相を発現する液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物とが混合した状態で、如何なる混合比においても液晶相を発現することが好ましい。
如何なる混合比においても液晶相を発現するとは、液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物とが、その混合比によらず互いに相分離せずに混じり合った状態になり、その状態で液晶相を発現することを意味する。したがって、例えば、R. Pratibaらの報告(Molecular Crystals and Liquid Crystals 、1985年、1巻、111頁)のように、液晶性組成物Rと液晶性組成物Dが相分離した状態で液晶相を発現する場合は、好ましくない。
液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物とを含む本発明の液晶性組成物が、混合比によらず、両者が混合した状態で液晶相を発現しうることの証明は、液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物の接触試験(例えば、液晶便覧(丸善(株)2000年発行)第2章、156頁などに記載)により行うことが可能である。即ち、偏光顕微鏡下で液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物が混じりあう領域において、液晶性の有無を観察することにより行うことができる。接触試験において全領域で液晶性が観察できれば、混合比によらず液晶性を発現できるといえる。
液晶性組成物Rと液晶性組成物Dとを含む本発明の液晶性組成物は、液晶性組成物Rと液晶性組成物Dとを混合した状態で液晶相を20℃〜300℃の範囲で発現することが好ましい。さらに好ましくは40℃〜280℃であり、最も好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(具体的に例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物を含む本発明の液晶性組成物は、光学的に二軸性の液晶相を発現する液晶性組成物であることが好ましい。二軸性の液晶相とは、3軸方向の屈折率nx、ny、nzが異なり、例えばnx>ny>nzの関係を満たす液晶相である。
本発明の液晶性組成物において、二軸性の液晶相を発現させるための液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物の混合比は、液晶性組成物Rと一般式(DI)で表される化合物の分子構造や分子量により異なるため明確な定義はできないが、質量比で液晶性組成物R/一般式(DI)で表される化合物=10〜0.02が好ましく、5〜0.05がさらに好ましく、2〜0.1が最も好ましい。
二軸性の液晶相は、一軸性の液晶相よりも低い温度で発現する場合が多い。例えば、一軸性のネマチック相(棒状ネマチック相やディスコティックネマチック相)を降温することで二軸性ネマチック相に転移する場合が多い。多くの場合、ある混合比(液晶性組成物R/一般式(DI)で表される化合物)を境に、液晶性組成物Rの含率が少し多くなると、降温時に棒状ネマチック相から二軸性ネマチック相への転移が起こる。また一般式(DI)で表される化合物の含率が少し多くなるとディスコティックネマチック相から二軸性ネマチック相への転移が起こる。
本発明の液晶性組成物において、二軸性ネマチック相の高温側に一軸性のネマチック相がある場合、二軸性の液晶相の(nx−nz)/(nx−ny)の値の制御が可能である。
例えば、棒状ネマチック相((nx−nz)/(nx−ny)=1.0)から降温していくと、(nx−nz)/(nx−ny)値は、突然変化するのではなく、温度に応じて徐々に上昇していく傾向にある。したがって、UV照射による重合等の配向固定する温度を選択することで、(nx−nz)/(nx−ny)値を制御できる。棒状ネマチック相から二軸性ネマチック相へ転移させた場合の、(nx−nz)/(nx−ny)値の制御範囲幅は、液晶性組成物Rと液晶性組成物Dの分子構造等により変化するため、一概には定義できないが、1.0により近い範囲が制御しやすい。具体的には1.0<(nx−nz)/(nx−ny)<10が制御しやすい。
また、ディスコティックネマチック相から二軸性ネマチック相へ転移させた場合も棒状ネマチック相から転移させた場合と同様に(nx−nz)/(nx−ny)値の制御が可能となるが、この場合は、ディスコティックネマチック相の(nx−nz)/(nx−ny)値は∞(nx=ny)であるため、その制御範囲幅は、∞により近い範囲が制御しやすい。具体的には1.2<(nx−nz)/(nx−ny)<∞が制御しやすい。
本発明の液晶性組成物が光学的に二軸性の液晶相を発現する場合、二軸性液晶相の三方向の屈折率をnx、ny、nz(nx>ny>nz)とすると、それぞれの値は、下記数式(IV)を満足することが好ましく、下記数式(V)を満足することがさらに好ましい。この範囲の値を満足することにより、液晶表示装置に合わせてレターデーションの角度依存性を制御できる。
数式(IV) 1.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦100
数式(V) 1.2≦(nx−nz)/(nx−ny)≦50
さらに、本発明の液晶性組成物は、上記の光学的性質を持つと同時に、均一で欠陥のない配向をとり、良好なモノドメイン性を示すものが望ましい。モノドメイン性が悪い場合には、得られる構造がポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになる。良好なモノドメイン性を示すと、位相差板に用いた場合に該位相差板が高い光透過率を有しやすくなる。
本発明の液晶性組成物が発現する二軸性液晶相としては、二軸性ネマチック相、二軸性スメクチックA相、二軸性スメクチックC相を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示す二軸性ネマチック相(Nb相)が好ましい。二軸性ネマチック相とは、ネマチック液晶性化合物がとり得る液晶相の一種であるが、液晶相の空間をx軸、y軸、z軸で定義した際、該液晶性化合物がy軸を中心にしたxz平面の自由回転も、z軸を中心にしたxy平面の自由回転も禁止されている状態を示す。
[位相差板]
本発明の位相差板は、透明支持体の上に本発明の液晶性組成物から形成される光学異方性層を有する。透明支持体と光学異方性層の間には配向膜を設けるのが好ましい。光学異方性層は、本発明の液晶組成物に必要に応じて他の添加剤を加え、該組成物を配向膜上に塗布した後、液晶状態の配向を固定化して得られる。
本発明の位相差板における光学的異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜15μmであることがさらに好ましく、0.5〜10μmであることが最も好ましい。
本発明の位相差板は、偏光膜と組み合わせて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型、反射型、及び半透過型液晶表示装置に、偏光膜と組み合わせて適用することにより、上記装置の視野角の拡大に寄与させることができる。
[光学異方性層]
本発明の液晶組成物を用いて光学異方性層を形成することにより、光学異方性層の光学異方性を、互いに直交する三方向の屈折率主値が異なる光学的二軸性となるように調節できる。光学異方性層の三方向の屈折率主値も二軸性液晶相の屈折率比同様に下記数式(IV)を満足することが好ましく、下記数式(V)を満足することがさらに好ましい。
数式(IV) 1.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦100
数式(V) 1.2≦(nx−nz)/(nx−ny)≦50
透明支持体上に二軸性の液晶性組成物を設けた二軸性位相差板と、一軸性の液晶性組成物を設けた一軸性位相差板では、レターデーションの角度依存性が異なる。例えば、一軸
性の液晶性組成物を用いた位相差板では、板面の法線方向のレターデーションと法線から数十度の角度方向のレターデーションは大きく異なる(レターデーションは遅相軸方向に傾けていけば小さくなり、進相軸方向に傾けていけば大きくなる)。一方、二軸性の液晶性組成物の場合は、一軸性の液晶性組成物でのレターデーション変化率と異なってくる。様々な液晶表示装置に用いる位相差板を作製する場合、その液晶表示装置にあわせてレターデーションの角度依存性を制御する必要があるが、二軸性の液晶性組成物を用いると、nx、ny、nzの屈折率差、およびそれぞれの軸の配向方向を変えることにより、レターデーションの角度依存性を任意に制御することが可能であるため、非常に有用である。
光学異方性層は、本発明の液晶性組成物を一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することによりその液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化することで形成できる。また、本発明の液晶性組成物に重合開始剤を添加した組成物を液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによって液晶状態の配向状態を固定化することで形成できる。
本発明で配向状態が固定化された状態とは、その配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、具体的には、通常0℃から50℃、より過酷な条件下では−30℃から70℃の温度範囲において、該固定化された液晶組成物に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を指すものである。なお、配向状態が最終的に固定化され光学異方性層が形成された際に、本発明の液晶性組成物はもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶性化合物として重合性基を有する化合物を用いているので、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋反応が進行し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。
光学異方性層の形成にあたり本発明の液晶性組成物に加えることのできる添加剤の例としては、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。
[空気界面配向制御剤]
液晶性組成物は、空気界面においては空気界面のチルト角で配向する。例えば、二軸性の液晶性組成物の場合には、このチルト角は、nx屈折率方向と空気界面がなすチルト角とny屈折率方向と空気界面がなすチルト角とnz屈折率方向と空気界面がなすチルト角の3種類がある。
このチルト角は、液晶性組成物に含まれる液晶性化合物の種類や2種類上含む場合にはその混合比により、その程度が異なるために目的に応じて空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
前記チルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができるが、添加剤を用いることが好ましい。このような添加剤としては、炭素原子数が6〜40の置換もしくは無置換脂肪族基、または炭素原子数が6〜40の置換もしくは無置換脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を、分子内に1本以上有する化合物が好ましく、分子内に2本以上有する化合物が更に好ましい。例えば、空気界面配向制御剤としては、特開2002−20363号公報に記載の疎水性排除体積効果化合物を用いることができる。
空気界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、本発明の液晶性組成物に対して、0.001質量%乃至20質量%が好ましく、0.01質量%乃至10質量%が更に好ましく、0.1質量%乃至5質量%が最も好ましい。
[ハジキ防止剤]
本発明の液晶性組成物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、本発明の液晶性組成物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
本発明の液晶性組成物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、本発明の液晶性組成物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
[重合開始剤]
本発明では、液晶性組成物はモノドメイン配向、つまり実質的に均一に配向している状態で固定されていることが好ましい。そのため、液晶性組成物Rおよび/または液晶性組成物Dに含まれる化合物が重合性基を有する場合には、重合反応により重合させ固定化することが好ましい。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応または電子線照射による重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、光学異方性層の塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ〜50J/cm2であることが好ましく、50mJ〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達しない場合には、窒素置換等の方法により酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。
[重合性モノマー]
本発明の液晶性組成物には、重合性のモノマーを添加してもよい。本発明で使用できる重合性モノマーとしては、本発明の液晶性組成物Rおよび一般式(DI)で表される化合物と相溶性を有し、液晶組成物の傾斜角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.5〜50質量%の範囲にあり、1〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
[塗布溶剤]
本発明の液晶性組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド、エステルおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
[塗布方式]
光学異方性層は、上記溶媒を用いて本発明の液晶性組成物の塗布液を調製し配向膜上に塗布し、本発明の液晶性組成物を配向処理することで形成する。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[配向膜]
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜上に設けられる光学異方性層の本発明の液晶性組成物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理もしくは、光照射により形成される配向膜が好ましい。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。
(配向膜のラビング密度)
配向膜のラビング密度と配向膜界面での液晶性化合物のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係があるので、配向膜のラビング密度を変えることで、プレチルト角の調整をすることができる。
配向膜のラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会編(丸善(株)、2000年)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl{1+(2πrn/60v)}
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
[透明支持体]
本発明の位相差板の透明支持体としては、主に光学的等方性で、光透過率が80%以上であれば、特に材料の制限はないが、ポリマーフィルムが好ましい。
ポリマーの具体例として、セルロースアシレート類(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリレートエステル類のフィルムなどを挙げることができ、多くの市販のポリマーを好適に用いることが可能である。このうち、光学性能の観点からセルロースエステル類が好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸で、炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルローストリアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであってもWO00/26705号明細書に記載の分子の修飾により該発現性を低下させたものも使用できる。
以下、透明支持体として好ましく使用されるセルロースアシレート(特に、セルローストリアセテート)について詳述する。
セルロースアシレートとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースアシレートでは、セルロースの2位、3位、6位の水酸基が全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。セルロースの6位水酸基の置換度が、2位、3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上40%以下でアシル基で置換されていることが好ましく、さらには31%以上、特に32%以上であることが好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基(例、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、ベンゾイル、アクリロイル)で置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。6位水酸基の置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアシレートフィルムは、レターデーションを調整するために、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することも可能である。このようなレターデーション上昇剤を使用する場合、レターデーション上昇剤は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。レターデーション上昇剤は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
前記芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。このようなレターデーション上昇剤についてはWO01/88574A1、WO00/2619A1、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、特願2002−70009号明細書等に記載されている。
セルロースアシレートフィルムは、調製されたセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加してもよい。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
前記ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて、ドープを2層以上流延することによりフィルム化することもできる。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げて
おくことが好ましい。
複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによりフィルム化してもよい。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、高粘度および低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルムの流延方法を用いてもよい。
セルロースアシレートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、0〜100%の範囲にあることが好ましい。本発明に用いるセルロースアシレートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、ジフェニルビフェニルホスフェートおよびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジ−2−エチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−197073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
セルロースアシレートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を
設けることも好ましく利用される。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムの表面処理は、配向膜などとの接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。アルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
また、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60〜75mN/mの範囲にあることがさらに好ましい。
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明に用いるセルロースアシレートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
セルロースアシレートフィルムの厚さは、通常5〜500μmの範囲が好ましく、20〜250μmの範囲が好ましく、30〜180μmの範囲がより好ましく、30〜110μmの範囲が特に好ましい。
[楕円偏光板]
本発明の位相差板と偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。本発明の位相差板を利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大しうる楕円偏光板を提供することができる。
前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
偏光膜は位相差板の光学異方性層側に積層する。偏光膜の位相差板を積層した側と反対側の面に透明保護膜を形成することが好ましい。透明保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の位相差板の利用により、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。TNモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)は、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
本発明において、前記記載の公報を参考にして各種のモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)を作製することができる。本発明の位相差板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードのような様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。
液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子及び位相差板(光学補償シート)からなる。偏光素子は、一般に偏光膜と保護膜からなる。偏光膜と保護膜については、上記楕円偏光で説明したものを用いることができる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
[接触試験による液晶相の確認]((TO−3)と(D−225)の混合)
スライドグラス上に(TO−3)と(D−225)をのせ、カバーグラスをして130℃に加熱し、(TO−3)と(D−225)の接触部分の降温時の液晶性を観察したところ、(TO−3)と(D−225)が混合した全ての領域においてもネマチック相由来のテクスチャーが見られた。この結果より、(TO−3)と(D−225)の混合により得られるネマチック相は、二軸性ネマチック相である可能性が高い。
〔実施例2〕
[位相差板の作製]
(配向膜の形成)
下記変性ポリビニルアルコールとグルタルアルデヒド(変性ポリビニルアルコールの5質量%)とを、メタノール/水の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5質量%の溶液を調製した。
Figure 2007071974
この溶液を、ガラス基板上に塗布し、100℃の温風で120秒間乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜を形成した。得られた配向膜の膜厚は0.5μmであった。
(光学異方性層の形成)
前記で作製したラビングした配向膜上に、下記の組成を有する光学異方性層塗布液を、スピンコーターを用いて塗布した。
(光学異方性層塗布液)
・前記液晶性化合物 D−225 72質量部
・前記液晶性化合物 TO−3 28質量部
・イルガキュア907(長瀬産業(株)) 2.0質量部
・クロロホルム 700質量部
上記の光学異方性層を塗布したガラス基板を、130℃の恒温槽中に入れ、120℃まで加熱し、その後、95℃まで冷却し、その温度で2分間保持した。次に酸素濃度2%の80℃の恒温槽に入れ、5分後に600mJ/cm2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定した。室温まで放冷して、位相差板を作製した。光学異方性層の厚さは0.8μmであった。
〔実施例3〕
[D−225の合成]
下記スキームにしたがって合成した。
Figure 2007071974
(D−225Aの合成)
3−シアノ安息香酸クロライド2.5gをテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解させ、3−クロロ−1−プロパノール1.3ml、ジイソプロピルエチルアミン3.0mlを添加後、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を減圧濃縮した。残渣をメタノール100mlに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン溶液2.8mlを添加後、40℃で1時間撹拌した。冷却後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾別、乾燥し、D−225Aを3.4g得た。
(D−225Bの合成)
D−225A3.4gをジメチルアセトアミド10mlに溶解させ、ピリジン1.2ml、トリメシン酸クロライド1.2gを添加後、120℃で1時間撹拌した。冷却後、メタノールを添加し、析出した結晶を濾取、乾燥し、D−225Bを3.9g得た。
(D−225の合成)
D−225B3.9gをジメチルアセトアミド50mlに溶解させ、炭酸カリウム3.7g、ヨウ化ナトリウム2.0g、アクリル酸1.9mlを添加後、100℃で3時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、D−225を3.0g得た。得られたD−225のNMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
2.30(6H、quint)
4.40(6H、t)
4.55(6H、t)
5.85(3H、dd)
6.15(3H、dd)
6.45(3H、dd)
7.65(3H、t)
8.25(3H、d)
8.45(3H、d)
8.90(3H、s)
9.30(3H、s)
得られたD−225の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき115℃付近で結晶相からディスコティックネマチック液晶相に変わり、178℃を超えると等方性液体相に変わった。すなわち、D−225は115℃から178℃の間でディスコティックネマチック液晶相を呈することが分かった。
〔実施例4〕
[TO−3の合成]
下記スキームにしたがってTO−3を合成した。
Figure 2007071974
(TO−3Aの合成)
2,3−ジシアノハイドロキノン20.4gをt−ブタノール150mlに溶解させ、NBS(N−ブロモスクシンイミド)22.6gを添加後、室温で4時間攪拌した。反応液を水1Lに加え、析出した結晶をろ過後、濾液に濃塩酸を加え酢酸エチルで抽出を行った。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3A8.5gを得た。
(TO−3Bの合成)
TO−3A8.0gをテトラヒドロフラン50mlに溶解させ、ピリジン(Py)25mlと無水酢酸(Ac2O)20mlを滴下した。12時間攪拌後、反応液を水1Lに加え、析出した結晶を濾別し乾燥した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3B9.7gを得た。
(TO−3Cの合成)
TO−3B3.0g、定法に従い合成したm−4C2.43g、トリフェニルホスフィン60mg、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド30mgおよびヨウ化銅(I)10mgをトリエチルアミン100mlに溶解させ、窒素雰囲気下、60
℃で5時間加熱した。冷却後、反応液にメタノールを加え、析出した結晶を濾別し乾燥した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3C1.7gを得た。
(TO−3Dの合成)
TO−3C1.7gをテトラヒドロフラン40mlに溶解させ、窒素バブリング下でナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)5mlとメタノール20mlを添加した。室温で30分攪拌後、希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を減圧留去し、TO−3D1.0gを得た。
(TO−3の合成)
メタンスルホニルクロライド0.43gをテトラヒドロフラン10mlに溶解させ0℃に冷却した。この溶液に4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸1.0g、ジイソプロピルエチルアミン0.51gのテトラヒドロフラン10ml溶液を滴下した。0℃で1時間撹拌後、ジイソプロピルエチルアミン0.51g、4−ジメチルアミノピリジン0.02gを添加し、次いで、TO−3D0.14gのテトラヒドロフラン10ml溶液を添加した。室温で12時間撹拌後、反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出した。減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、TO−3の結晶0.32gを得た。得られたTO−3のNMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
1.70−1.90(8H、m)
1.90−2.00(8H、m)
3.90−4.00(4H、m)
4.08−4.18(4H、m)
4.19−4.30(8H、m)
5.80−5.90(4H、m)
6.07−6.20(4H、m)
6.36−6.48(4H、m)
6.90−7.05(9H、m)
7.25(1H、dd)
7.32(1H、d)
7.47(1H、d)
8.06−8.20(8H、m)
得られたTO−3の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき122℃付近で結晶相からネマチック液晶相に変わり、195℃を超えると等方性液体相に変わった。すなわち、TO−3は122℃から195℃の間でネマチック液晶相を呈することが分かった。
TO−3(0.1wt%のハイドロキノンモノメチルエーテル含有)を5μmのセルギャップの水平配向セル(株)EHC製;KSPR−05/A107M1NSS(ZZ)))に130℃で注入し、130℃でホモジニアス配向させた。この状態で、レターデーションの角度依存性の測定を行い、(nx−nz)/(nx−ny)を求めたところ1.0以上1.1未満でありTO−3は数式(I)を満たす液晶相を発現することが分かった。

Claims (2)

  1. 正の複屈折性を有する液晶相を発現する液晶性組成物Rと、下記一般式(DI)で表される化合物を含有することを特徴とする液晶性組成物。
    Figure 2007071974

    (一般式(DI)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し、R11、R12およびR13は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−A)、下記一般式(DI−B)または下記一般式(DI−C)を表す。)
    Figure 2007071974

    (一般式(DI−A)中、A11、A12、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L11は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CH−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、L12は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。Q11は重合性基または水素原子を表す。)
    Figure 2007071974

    (一般式(DI−B)中、A21、A22、A23、A24、A25およびA26は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L21は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CH−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、L22は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。Q21は重合性基または水素原子を表す。)
    Figure 2007071974

    (一般式(DI−C)中、A31、A32、A33、A34、A35およびA36は、それぞれ独立に、メチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L31は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CH−、−CH=CH−または−C≡C−を表し、L32は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO−、−NH−、−CH−、−CH=CH−および−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。Q31は重合性基または水素原子を表す。)
  2. 透明支持体の上に、少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層が請求項1に記載の液晶性組成物から形成されていることを特徴とする位相差板。
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