JP2005241710A - 液晶組成物、位相差板および液晶表示装置 - Google Patents

液晶組成物、位相差板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 波長分散特性及び屈折率異方性の双方に優れた液晶材料を提供する。
【解決手段】 2,3,6,7,10,11−ヘキサシンナモイルオキシトリフェニレンに対して、各シンナモイル基の4位に結合する原子(水素原子を含む)または置換基のσp値と、3位および5位に結合する原子(水素原子を含む)または置換基のσm値との合計が−0.10乃至1.50となるように原子または置換基の種類を変更し、配向制御剤を併用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なトリフェニレン化合物および配向制御剤を利用した波長分散特性の小さな位相差板に関する。
ディスコティック液晶性分子を含む光学異方性層を有する光学補償シートを液晶ディスプレイに使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。光学異方性層は、ディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。ディスコティック液晶性分子は、一般に大きな複屈折率を有する。そして、ディスコティック液晶性分子には、多様な配向形態がある。ディスコティック液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を有する光学補償シートを製造することが可能になる。負の複屈折を有するトリフェニレン系ディスコティック液晶性分子が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。この液晶性分子を光学補償シートに利用するためには、光学異方性層を構成する分子全体を均一に配向させる必要がある。すなわち、ディスコティック液晶性分子は、モノドメイン配向させることが望ましい。しかし、従来のディスコティック液晶性分子はデュアルドメイン配向するため、ドメインの境界に配向欠陥が生じる。そのため、従来のディスコティック液晶性分子では、光学補償シートに利用できる程度の光学的性質が得られない場合が多かった。光学的性質は、ディスコティック液晶性分子の化学構造に依存している。必要とする光学的性質を得るため、多くの種類のディスコティック液晶性分子が研究、開発されている。
光学補償シートの光学異方性層の形成に適したディスコティック液晶性分子として、2,3,6,7,10,11−ヘキサ{4−(4−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ}トリフェニレンが開示されている(例えば、特許文献2および3参照)。ところで、光学補償シートのレターデーション(△nd)は、補償しようとする液晶セルの光学的性質に応じて決定する。レターデーション(△nd)は、光学異方性層の屈折率異方性(△n)と光学異方性層の厚さ(d)との積である。光学異方性層の屈折率異方性(△n)が大きければ、層の厚さ(d)が薄くても液晶セルを補償できる。しかし、従来技術(例えば、特許文献2および3参照)に記載のディスコティック液晶性化合物では、充分に大きな屈折率異方性(△n)を有する光学異方性層を形成することは、非常に困難であった。また、大きな屈折率異方性を有するディスコティック液晶が開示されている(例えば、特許文献4参照)が、波長分散特性が悪化しており(即ち、波長分散性が大きくなり)、性能改良は不十分であった。一般に波長分散特性と屈折率異方性はトレードオフの関係にあり、屈折率異方性を大きくすると波長分散特性は悪化する。この波長分散特性の悪化は、光学補償シートの性能の一つであるカラー表示での色味変化を悪化させるため、好ましくない。そのため、屈折率異方性を大きくすると波長分散特性は悪化するというトレードオフから脱却する技術の開発が望まれていた。
また、本発明の化合物の一部は、特許文献5に記載されているが、本発明の改良目的である低波長分散化についての示唆はない。
特開平8−50206号 特開平7−306317号 特開平9−104866号 特開2001−166147号 特開平8−327822号 Molecular Crystals and Liquid Crystals、84巻、193頁(1982年)
本発明の目的は、光学異方性層等の作製に有用な新規トリフェニレン化合物を提供することを課題とする。特に、本発明は、波長分散特性及び屈折率異方性の双方に優れた液晶材料を提供することを課題とする。また、本発明は、液晶表示装置に用いた場合に、表示画像の色味変化が少なく、且つ視野角の拡大に寄与する位相差板を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
[1] 下記一般式(I)で表わされる化合物と配向制御剤とを少なくとも含有する液晶組成物。
Figure 2005241710
(式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子もしくは芳香族以外の置換基を表わし、Rのσp値とR、Rのσm値の合計が−0.10以上、1.50以下である。;また、複数存在するR、R、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
[2] ディスコティックネマティック相を発現することを特徴とする[1]に記載の液晶組成物。
[3] 前記一般式(I)で表わされる化合物が液晶性を示す[1]に記載の液晶組成物。
[4] 前記一般式(I)で表わされる化合物が、ディスコティックネマティック相を発現する[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の液晶組成物。
[5] [1]乃至[4]のいずれか一つに記載の液晶組成物から形成された光学異方性層を有することを特徴とする位相差板。
[6] 前記一般式(I)で表わされる化合物がディスコティックネマティック相を示す配向状態に固定してなる光学異方性層を有する[5]に記載の位相差板。
[7] [6]に記載の位相差板を有する液晶表示装置。
[8] TNモードであることを特徴とする[7]に記載の液晶表示装置。
本発明によれば、光学異方性層等の作製に有用な新規トリフェニレン化合物を提供することができる。本発明の新規トリフェニレン化合物は、単独で又は他の添加剤の存在下で液晶性を示し、その配向によって、波長分散特性が小さい光学異方性層を形成することができる。従って、本発明の新規なトリフェニレン化合物を利用することにより、液晶表示装置に用いた場合に、表示画像の色味変化が少なく、且つ視野角の拡大に寄与する位相差板を提供することができる。
[トリフェニレン化合物]
Figure 2005241710
本発明は、上記一般式(I)で表わされるトリフェニレン化合物において、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子もしくは置換基を表わし、Rのσp値とR、Rのσm値の合計が−0.10以上、1.50以下である。R、R、Rがフェニル基等の芳香族である場合、共役系が伸びる事により吸収が長波化し、波長分散が悪化するため、σ値が本発明の範囲にあっても好ましくない。また、複数存在するR、R、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
具体的には、R、R、Rとしてアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基)、置換もしくは無置換のアミノ基(例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェニルオキシカルボニルオキシ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基)、カルバモイルオキシ基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、スルホニル基(例えば、メシル基、トシル基)、アルコキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、スルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基)、リン酸アミド基(例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、イミノ基、脂肪族ヘテロ環基(窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、ピペリジル基、モルホリノ基)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基)が挙げられる。
、R、Rは炭素数20以下、好ましくは15以下、更に好ましくは10以下の基である。
として好ましくは、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェニルオキシカルボニルオキシ基)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、カルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基)、カルバモイルオキシ基、アルコキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基である。より好ましくは、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基)である。更に好ましくは、脂肪族のアシルオキシ基である。
、R、Rが置換もしくは無置換アルキル基を有している場合、アルキル基は、直鎖であることが好ましい。
、Rとして好ましくは、水素原子、ハロゲン(中でも好ましくは、フッ素、塩素)であり、特に好ましくは水素原子である。
さらに、R、Rは水素原子であり、かつRはアシルオキシ基であることが好ましい。
また、R、R、Rはさらに置換されていてもよく、置換基としては、R、R、Rで挙げた基である。R、R、Rは液晶の配向固定のため重合性基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、エポキシ基)を有していてもよい。
σm値、σp値はハメットの置換基定数を表わし、その詳細は、化学の領域増刊122号、薬物の構造活性相関(1979年、南江堂)の95頁に記載されているとおりである。本発明でRのσp値とR、Rのσm値の合計が−0.1以上であることが波長分散を小さくする上で好ましく、合計が1.50以下であることが、化合物の安定性上好ましい。更に好ましくは、合計が0.0以上、1.20以下であり、更に好ましくは0.1以上、1.0以下である。
液晶状態の温度領域は、0℃以上、300℃以下であり、30℃以上、250℃以下が好ましく、更に好ましくは50℃以上、210℃以下である。
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の好ましい構造の具体例を示す。
Figure 2005241710
Figure 2005241710
Figure 2005241710
本発明の化合物は単独で液晶性を示しても、他の液晶との混合により液晶性を示してもよく、その場合、本願の化合物の液晶性分子全体に対する割合が1〜100質量%、より好ましくは10〜100質量%、さらに好ましくは30〜100質量%である。
液晶組成物は、本発明の化合物を複数用いて作製してもよく、また他のディスコティック液晶もしくは棒状液晶と混合して作製してもよい。他の液晶と組み合わせて用いる場合には、ディスコティック液晶と組み合わせることが好ましい。ディスコティック液晶としては、特開2001−4837号、特開平8−27284号、同7−306317号、同9−104866号等の各公報に記載のものが挙げられる。
[光学異方性層]
本発明の光学異方性層は、例えば、前記一般式(I)で表される化合物を配向させ、その配向状態に固定することによって、その配向に基づく光学異方性を示す光学異方性層を形成することができる。前記光学異方性層は、本発明の化合物とともに、その配向を制御するのに寄与する材料、配向状態を固定するのに寄与する材料等、他の材料を含有する組成物から形成してもよい。本発明の化合物は一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することによりその液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化することができる。また、本発明の化合物は、重合開始剤を添加した組成物を液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによっても固定化することができる。本発明で配向状態が固定化された状態とは、その配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、該層に流動性がなく、且つ外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を指すものである。
なお、配向状態が最終的に固定化された際に、本発明の液晶組成物はもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶化合物として重合性化合物を用いた場合、結果的に熱、光等での反応により重合または架橋反応が進行し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。
[位相差板]
本発明の位相差板は、一般式(I)で表される化合物と配向制御剤から形成された光学異方性層を有する。すなわち、一般式(I)で表される化合物が、光学異方性層の原料に用いられることを意味する。例えば、重合性基を有する本発明の化合物を用いて光学異方性層を作製する場合は、作製の過程で、該化合物が単独で又は他の化合物と重合し、最終的には本発明の化合物を重合単位とする高分子を含有する光学異方性層が作製されるが、かかる光学異方性層も本発明の範囲に含まれる。
本発明の位相差板の一態様は、透明支持体と、本発明の液晶化合物から形成された光学異方性層とを有する。ここで、光学異方性層は、本発明の液晶化合物と、必要に応じて他の添加剤とを含有する組成物を配向膜上に塗布した後、上記のように液晶状態の配向状態で固定化することで作製することができる。なお、配向膜上で液晶性分子を配向状態に固定した後は、他の支持体上に転写可能である。配向状態で固定化された液晶化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。従って、本発明の位相差板は、配向膜を有していなくてもよい。前記光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜15μmであることがさらに好ましく、0.5〜10μmであることが最も好ましい。
[光学異方性層の添加剤]
本発明では、光学異方性層の形成にあたり液晶化合物に配向制御剤を添加する。またその他に加えることのできる添加剤の例としては、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。
[配向制御剤]
液晶化合物は、空気界面においては空気界面のプレチルト角で配向する。このプレチルト角は、nx屈折率方向と空気界面がなすプレチルト角とny屈折率方向と空気界面がなすプレチルト角とnz屈折率方向と空気界面がなすプレチルト角の3種類がある。このプレチルト角は、化合物の種類によりその程度が異なるために、目的に応じて、空気界面のプレチルト角を任意に制御する必要がある。
このプレチルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができるが、添加剤を用いることが好ましい。
このような添加剤としては、炭素原子数が6〜40の置換または無置換脂肪族基もしくは炭素原子数が6〜40の置換または無置換脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を、分子内に1本以上有する化合物が好ましく、分子内に2本以上有する化合物が更に好ましい。例えば、空気界面配向制御剤としては、特開2002−20363号公報に記載の疎水性排除体積効果化合物を用いることができる。
空気界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、液晶化合物に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%が更に好ましく、0.1質量%〜5質量%が最も好ましい。
[ハジキ防止剤]
液晶化合物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。使用するポリマーとしては、液晶化合物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。液晶化合物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、液晶化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
[重合開始剤]
本発明では、液晶性化合物はモノドメイン配向、つまり実質的に均一に配向している状態で固定されていることが好ましく、そのため重合性の液晶化合物を用いている場合には重合反応により液晶化合物を固定することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応と電子線照射による重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)等が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ〜50J/cmであることが好ましく、50mJ〜800mJ/cmであることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達しない場合には、窒素置換等の方法により酸素濃度を低下させることが好ましい。
[重合性モノマー]
光学異方性層を形成するために用いられる液晶組成物には、重合性のモノマーを添加してもよい。液晶性化合物とともに使用する重合性モノマーとしては、液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性化合物の傾斜角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.5〜50質量%の範囲にあり、1〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
[塗布溶剤]
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド、エステルおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
[塗布方式]
光学異方性層は、上記溶媒を用いて液晶組成物の塗布液を調製し配向膜上に塗布し、液晶化合物を配向処理することで形成する。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[配向膜]
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜上に設けられる光学異方性層の液晶化合物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理もしくは、光照射により形成される配向膜が好ましい。特にポリマーのラビング処理により形成する配向膜が好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。
[配向膜のラビング密度]
配向膜のラビング密度と配向膜界面での液晶化合物のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係があるので、配向膜のラビング密度を変えることで、プレチルト角の調整をすることができる。配向膜のラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会編(丸善(株)、2000年)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl{1+(2πrn/60v)}
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
[透明支持体]
本発明の位相差板は、支持体を有していてもよく、該支持体は、透明支持体であるのが好ましい。前記支持体は、主に光学的等方性で、光透過率が80%以上であれば、特に材料の制限はないが、ポリマーフィルムが好ましい。ポリマーの具体例として、セルロースエステル類(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリレートエステル類のフィルムなどを挙げることができ、多くの市販のポリマーを好適に用いることが可能である。このうち、光学性能の観点からセルロースエステル類が好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下脂肪酸で、炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルローストリアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開第00/26705号パンフレットに記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
以下、透明支持体として好ましく使用されるセルロースエステルについて詳述する。
セルロースエステルとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位、6位の水酸基が全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。セルロースの6位水酸基の置換度が、2位、3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上40%以下でアシル基で置換されていることが好ましく、さらには31%以上、特に32%以上であることが好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基(例、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、ベンゾイル、アクリロイル)で置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。6位水酸基の置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアセテートフィルムは、レターデーションを調整するために、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することも可能である。このようなレターデーション上昇剤を使用する場合、レターデーション上昇剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。レターデーション上昇剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。このようなレターデーション上昇剤については国際公開第01/88574号、国際公開第00/2619号、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、特願2002−70009号明細書等に記載されている。
セルロースアセテートフィルムは、調製されたセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加してもよい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
ドープは、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解する。セルロースアシレートを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし、地球環境や作業環境の観点では、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて、ドープを2層以上流延することによりフィルム化することもできる。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによりフィルム化してもよい。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、高粘度および低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルムの流延方法を用いてもよい。
セルロースアセテートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、0〜100%の範囲にあることが好ましい。本発明のセルロースアセテートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジ−2−エチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、o−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびo−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
セルロースアセテートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースアセテートフィルムの表面処理は、配向膜などとの接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
アルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0Nの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
また、セルロースアセテートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60〜75mN/mの範囲にあることがさらに好ましい。
セルロースアセテートフィルムの厚さは、通常5〜500μmの範囲が好ましく、20〜250μmの範囲が好ましく、30〜180μmの範囲がより好ましく、30〜110μmの範囲が特に好ましい。
本発明の位相差板は、偏光膜と組み合わせて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型、反射型、及び半透過型液晶表示装置に、偏光膜と組み合わせて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。以下に、本発明の位相差板を利用した楕円偏光板および液晶表示装置について説明する。
[楕円偏光板]
本発明の位相差板と偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。本発明の位相差板を利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大し得る楕円偏光板を提供することができる。前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
偏光膜は、位相差板の光学異方性層側に積層する。偏光膜の光学補償シートを積層した側と反対側の面に透明保護膜を形成することが好ましい。透明保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の位相差板の利用により、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。液晶表示装置は、通常、液晶セル、偏光素子及び位相差板(光学補償シート)を有する。前記偏光素子は、一般に偏光膜と保護膜からなり、偏光膜と保護膜については、上記楕円偏光板で説明したものを用いることができる。TNモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)は、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許第2866372号公報に記載がある。
本発明において、前記記載の公報を参考にして各種のモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)を作製することができる。本発明の位相差板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードのような様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。本発明の位相差板は、TNモード、OCBモードの液晶表示装置の光学補償に特に効果がある。
[合成例1]
例示化合物(1)の合成
例示化合物(1)を、下記に示すルートにより合成した。
Figure 2005241710
4−ヒドロキシ安息香酸9.40g(68.0mmol)、ピリジン13.7mL(170mmol)のテトラヒドロフラン70mL溶液に、氷冷下でデカノイルクロライド18.3mL(90.2mmol)を滴下し、一晩撹拌した。その後、反応液を水480ml中にあけ、結晶をろ過し、更に沸騰水で洗浄した。ヘキサンで煮沸精製を行い、13.6g(68%)の(A−1)を得た。
(A−1)4.82g(16.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液30mLに、氷冷下、メタンスルホニルクロライド1.28mL(16.5mL)とエチルジイソプロピルアミン3.10mL(18.0mmol)のテトラヒドロフラン3mL溶液を滴下した。滴下後、室温まで昇温させ、1時間撹拌した。その後、氷冷し、2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの1水和物513mg(1.50mmol)のテトラヒドロフラン溶液10mLを添加し、さらにエチルジイソプロピルアミン3.10mL(18.0mmol)を滴下した。滴下終了後、N,N−ジメチルアミノピリジンを触媒量加え、そのまま室温まで昇温し5時間撹拌した。酢酸エチルを加え、有機層を希塩酸で3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン = 1/2)にて精製した。得られた結晶をアセトニトリル中で煮沸精製することにより、例示化合物(1)を2.20g(75%)得た。このものの相転移温度を偏光顕微鏡にて観察したところ、降温時に170℃にてディスコティックネマティック相を発現した。
[合成例2]
例示化合物(2)の合成
例示化合物(1)と同様に合成した。このものの相転移温度を偏光顕微鏡にて観察したところ、降温時に200℃にてディスコティックネマティック相を発現した。
[合成例3]
例示化合物(3)の合成
例示化合物(1)と同様に合成した。このものの相転移温度を偏光顕微鏡にて観察したところ、降温時に170℃にてディスコティックネマティック相を発現した。
[実施例1]
位相差板の作製
(配向膜の作製)
下記変性ポリビニルアルコールとグルタルアルデヒド(変性ポリビニルアルコールの5質量%)とを、メタノール/水の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5質量%の溶液を調製した。
Figure 2005241710

この溶液を、厚さ80μm、サイズ270mm×100mmのセルローストリアセテートフィルム(TD80U、富士写真フィルム(株)製)上に塗布し、100℃の温風で120秒間乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜を形成した。得られた配向膜の膜厚は0.5μmであった。
(光学異方性層の形成)
前記作製した配向膜のラビング処理面上に、本発明の液晶化合物である例示化合物(1)(100質量部)および下記の配向制御剤(1質量部)のメチルエチルケトン溶液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布した。その後、160℃で配向熟成し、急冷することで配向をガラス状態の膜を得た。膜厚は2.5μmであった。
Figure 2005241710
[比較例1]
位相差板の作製
(光学異方性層の形成)
実施例1と同様の方法で作製した配向膜上に、下記の比較液晶化合物(1)(100質量部)および上記の配向制御剤(1質量部)のジクロロメタン溶液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布した。その後、恒温槽中にて配向させ、すばやくサンプルを冷却し、配向をガラス状態で固定化して、光学異方性層を形成した。光学異方性層の厚さは2.3μmであった。

Figure 2005241710
[比較例2]
位相差板の作製
(光学異方性層の形成)
実施例1と同様の方法で作製した配向膜のラビング処理面に、本発明の液晶化合物である例示化合物(1)のメチルエチルケトン溶液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布した。その後、160℃で配向熟成し、急冷することでガラス状態の膜を得た。膜厚は2.5μmであった。
[比較例3]
位相差板の作製
(光学異方性層の形成)
実施例1と同様の方法で作製した配向膜上に、比較液晶化合物(1)のジクロロメタン溶液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布した。その後、恒温槽中にて配向させ、すばやくサンプルを冷却し、配向をガラス状態で固定化して光学異方性層を形成した。光学異方性層の厚さは2.3μmであった。
[位相差板の評価]
(Δnの測定)
実施例1および比較例1、2、3で得られた光学異方性層のΔnを、エリプソメーター(APE−100、島津製作所(株)製)を用いて、632.8nmの波長を使用して観察角度を変えてレターデーションを測定し、屈折率楕円体モデルと仮想して、Designing Concepts of the Discotic Negative Compensation Films SID98 DIGESTに記載されている手法で算出した。結果を第1表に示す。
(波長分散の測定)
実施例1および比較例1、2、3で得られた光学異方性層の層平面の法線方向におけるレターデーションの波長依存性を、KOBRA(王子計測機器(株)製)を用いて測定した。波長分散の値は、478nmのレターデーション値を747nmで割った値で表した。結果を第1表に示す。
(液晶表示装置の作製)
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜面が向き合い、且つ配向膜のラビング方向が直交するように配置した。二枚の基板の間隙に、棒状液晶分子(ZL4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶層を形成した。棒状液晶分子のΔnは0.0969であった。以上のようにして作製したTN液晶セルの両側に、上記で作製した位相差板を二枚配置し、光学異方性層が液晶セルの基板と対面するように貼り付けた。さらにそれらの外側に、偏光板二枚を貼り付けて液晶表示装置を作製した。位相差板の配向膜のラビング方向と、それに隣接する液晶セルの配向膜のラビング方向とは、反平行になるように配置した。また、偏光板の吸収軸と、液晶セルのラビング方向とは平行になるように配置した。
それぞれ作製した液晶表示装置の液晶セルに電圧を印加し、白表示2V、黒表示5Vにおける白表示と黒表示との透過率をコントラスト比として、上下左右でコントラスト比10、かつ階調反転のない領域を視野角として測定した。また、白表示時と黒表示時における色味の角度依存性を目視にて行った。その結果を第1表に示す。
第1表

────────────────────────────────────────
膜厚 視野角
位相差板 Δn (μm)波長分散 上下 左右 色味変化
────────────────────────────────────────
実施例1 0.07 2.5 1.17 93° 145° ほとんど確認できず
比較例1 0.08 2.3 1.22 74° 121° 確認できる
比較例2 0.07 2.5 1.17 91° 142° 少し確認できる
比較例3 0.08 2.3 1.22 70° 117° 確認できる
────────────────────────────────────────
上記第1表に示した結果から、実施例1で用いた本発明のディスコティック液晶化合物(σp値:0.31)は、波長分散が比較例1で用いた従来から知られているディスコティック液晶性化合物(σp値:−0.24)と比べて、小さくなっており視野角および色味の改良効果が大きいことがわかる。更に、配向制御剤を加えることで、視野角および色味が改良されることがわかる。以上のことから、実施例1で用いた本発発明のディスコティック液晶性化合物と配向制御を用いて形成された光学異方性層を有する位相差板は、TNモードの液晶セルを光学補償し得るのみならず、従来の光学補償シートに起因して生じていた色味変化が軽減され、本発明の効果は明らかであった。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表わされる化合物と配向制御剤とを少なくとも含有する液晶組成物:
    Figure 2005241710
    (式中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子もしくは芳香族以外の置換基を表わし、Rのσp値とR、Rのσm値の合計が−0.10以上、1.50以下である;また、複数存在するR、R、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい)。
  2. ディスコティックネマティック相を発現することを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 前記一般式(I)で表わされる化合物が液晶性を示す請求項1に記載の液晶組成物。
  4. 前記一般式(I)で表わされる化合物が、ディスコティックネマティック相を発現する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶組成物から形成された光学異方性層を有することを特徴とする位相差板。
  6. 前記一般式(I)で表わされる化合物がディスコティックネマティック相を示す配向状態に固定してなる光学異方性層を有する請求項5に記載の位相差板。
  7. 請求項6に記載の位相差板を有する液晶表示装置。
  8. TNモードであることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
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