JP2005316234A - 位相差板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明支持体の上に二軸性ネマチック相を発現する無色の液晶性組成物から形成された光学異方性層を有する位相差板であり、該光学異方性層の最も屈折率の大きい方向と透明支持体の面方向とのなす角は厚み方向でほとんど変化せず、且つ最も屈折率の小さい方向と透明支持体の面方向とのなす角は厚み方向で変化している位相差板。
【選択図】 なし
Description
1.透明支持体の上に二軸性ネマチック相を発現する無色の液晶性組成物から形成された光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層の最も屈折率の大きい方向と透明支持体の面方向とのなす角は厚み方向でほとんど変化せず、且つ最も屈折率の小さい方向と透明支持体の面方向とのなす角は厚み方向で変化していることを特徴とする位相差板。
2.二軸性ネマチック相を発現する無色の液晶性組成物が、ディスコティックネマチック相を発現する化合物とネマチック相を発現する化合物の混合物からなることを特徴とする上記1に記載の位相差板。
3.二軸性ネマチック相を発現する無色の液晶性組成物から形成された光学異方性層を有する位相差板であって、該液晶性組成物がディスコティックネマチック相を発現する化合物とネマチック相を発現する化合物の混合物からなり、且つ該光学異方性層がハイブリッド配向した二軸性ネマチック相を固定化し形成されていることを特徴とする位相差板。
[液晶性組成物]
本発明に用いる液晶組成物は二軸性ネマチック相を発現する。二軸性ネマチック相とは、ネマチック液晶性化合物がとり得る液晶相の一種であるが、液晶相の空間をx軸、y軸、z軸で定義した際、該液晶化合物(液晶性分子)がy軸を中心にしたxz平面の自由回転も、z軸を中心にしたxy平面の自由回転も禁止されている状態を示す。二軸性ネマチック相は液晶性分子を配向させやすく、配向欠陥が生じにくいため好ましい。
更に、液晶化合物以外に、後述する光学異方性層の形成にあたり加えることのできる添加剤(例えば、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー、溶媒など)を含んでもよい。
棒状液晶相としては、例えば棒状または板状の形状を有する液晶性化合物が発現する、ネマチック相、スメクチックA相およびスメクチックC相等を挙げることができる。このような液晶相は、nx>ny=nzの関係にあるため、正の複屈折性を有する一軸性の液晶相である。詳しくは液晶便覧(丸善(株)2000年発行)第2章などに記載されており、本発明においては、棒状液晶相としてはネマチック相が特に好ましい。
以下に、棒状液晶相を発現する液晶性化合物が有する重合性基として、好ましい例を示す。
数式(II):2.0<Lm/Ls<10
以下に、板状の形状を有する液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ディスコティック液晶相としては、例えば円盤状の形状を有する液晶性化合物が発現する、ディスコティックネマチック相、カラムナー相、カラムナーラメラ相等を挙げることができる。本発明においては、ディスコティック液晶相としてはディスコティックネマチック相が特に好ましい。
L2:−AL−C(=O)−O−AL−O−
L3:−AL−C(=O)−O−AL−O−AL−
L4:−AL−C(=O)−O−AL−O−C(=O)−
L5:−C(=O)−AR−O−AL−
L6:−C(=O)−AR−O−AL−O−
L7:−C(=O)−AR−O−AL−O−C(=O)−
L8:−C(=O)−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−C(=O)−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−C(=O)−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−C(=O)−AL−AR−O−AL−O−C(=O)−
L17:−O−C(=O)−AR−O−AL−C(=O)−
L18:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−C(=O)−
L19:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−AL−O−C(=O)−
L20:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−C(=O)−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−C(=O)−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
重合性基(Q)の好ましい具体例は、棒状液晶相を発現する液晶化合物における記載と同様であり、また、より好ましい重合性基(Q)も、棒状液晶相を発現する液晶化合物と同様である。
Qはそれぞれ独立に重合性基またはメチル基である。本発明の位相差板を含め、一般式(I)で表される化合物を光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学フィルムに用いる場合には、Qは重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
上記(M−1)〜(M−6)のなかでも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
Q1は、一般式(III)のQの定義と同様である。
L21は単結合または二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR7−,−CH=CH−、−C≡C−、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
L22で表される二価の連結基の例を以下に示す。ここで、右側が一般式(IV)中の二価の環状基に、左側がQ1に結合する。
L−2:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−NR7−
L−5:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−6:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−7:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−8:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−9:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−10:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−11:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−NR7−
L−12:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−13:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−14:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−15:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−
L−16:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−17:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−18:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−NR7−
L−19:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−20:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−21:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−22:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−23:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−24:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−25:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−NR7−
L−26:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−27:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−28:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−29:−二価の鎖状基−
L−30:−二価の鎖状基−O−
L−31:−二価の鎖状基−CO−O−
L−32:−二価の鎖状基−O−CO−
L−33:−二価の鎖状基−CO−NR7−
L−34:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−
L−35:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−
L−36:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−37:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
R4はそれぞれ独立にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基を表す。好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜4のアシル基、炭素原子数2〜4のアシルオキシ基、炭素原子数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
lは0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。lが2以上の場合、複数のR4で表される基はそれぞれ異なっていてもよい。
L6は、**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH2−を表し、**は一般式(V)中のベンゼン環に結合する位置を表す。
R5は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を表し、より好ましくは水素原子もしくはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
mは2から16の整数を表し、好ましくは2から12の整数である。
R6は水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
一般式(I)で表される化合物および該化合物を含む液晶性組成物が発現する液晶相としては、カラムナー相またはディスコティックネマチック相が好ましく、特にディスコティックネマチック相が好ましい。液晶相は、30〜300℃の範囲で発現するものが好ましく、50〜250℃の範囲で発現するものがより好ましい。
棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物とを含む本発明の液晶性組成物は、20℃〜300℃の範囲内で二軸性ネマチック相を発現することが好ましい。さらに好ましくは40℃〜280℃であり、最も好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃の範囲内で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(具体的に例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
二軸性ネマチック相は、一軸性の液晶相よりも低い温度で発現する場合が多い。例えば、一軸性のネマチック相(ネマチック相やディスコティックネマチック相)を降温することで二軸性ネマチック相に転移する場合が多い。多くの場合、ある混合比((棒状液晶相を発現する液晶化合物)/(ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物))を境に、棒状液晶相を発現する液晶化合物の含率が少し多くなると、降温時にネマチック相から二軸性ネマチック相への転移が起こる。またディスコティック液晶相を発現する液晶化合物の含率が少し多くなるとディスコティックネマチック相から二軸性ネマチック相への転移が起こる。
例えば、ネマチック相((nx−nz)/(nx−ny)=1.0)から降温していくと、(nx−nz)/(nx−ny)値は、突然変化するのではなく、温度に応じて徐々に上昇していく傾向にある。したがって、UV照射による重合等の配向固定する温度を選択することで、(nx−nz)/(nx−ny)値を制御できる。ネマチック相から二軸性ネマチック相へ転移させた場合の、(nx−nz)/(nx−ny)値の制御範囲幅は、棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物の分子構造等により変化するため、一概には定義できないが、1.0により近い範囲が制御しやすい。具体的には1.0<(nx−nz)/(nx−ny)<10が制御しやすい。
また、ディスコティックネマチック相から二軸性ネマチック相へ転移させた場合も、ネマチック相から転移させた場合と同様に(nx−nz)/(nx−ny)値の制御が可能となるが、この場合は、ディスコティックネマチック相の(nx−nz)/(nx−ny)値は無限大(nx=ny)であるため、その制御範囲幅は、無限大により近い範囲が制御しやすい。具体的には1.2<(nx−nz)/(nx−ny)<∞が制御しやすい。
数式(VI) :2.0≦(nx−nz)/(nx−ny)≦30
本発明の位相差板は、好ましくは透明支持体の上に本発明の液晶性組成物から形成される光学異方性層を有する。透明支持体と光学異方性層の間には配向膜を設けるのが更に好ましい。光学異方性層は、本発明の液晶性組成物に必要に応じて他の添加剤を加え、該組成物を配向膜上に塗布した後、液晶状態の配向を固定化して得られる。
光学異方性層は、液晶性組成物を一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することによりその液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化することで形成できる。また、本発明の液晶性組成物に重合開始剤を添加した組成物を液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによって液晶状態の配向状態を固定化することで形成できる。
本発明において、光学異方性層の最も屈折率の大きい方向、すなわちnx方向のチルト角は、空気界面および支持体側界面と0〜10°好ましくは0〜5°であり、膜厚方向ではほとんど変化しない。
一方、最も屈折率の小さい方向、すなわちnz方向は空気界面とのチルト角と支持体側界面とのチルト角が大きく異なる。そのため、膜厚方向ではチルト角が空気界面側から支持体側界面側に向けて連続的に変化することになる。
nz方向のチルト角は、空気界面とのチルト角が90〜60°且つ支持体側界面とのチルト角が50〜0°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面とのチルト角が90〜60°且つ空気界面とのチルト角が50〜0°の組み合わせが好ましい。特に、空気界面とのチルト角が90〜70°且つ支持体側界面とのチルト角が40〜10°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面とのチルト角が90〜70°且つ空気界面とのチルト角が40〜10°の組み合わせが好ましい。
ny方向はnz方向と直交関係にあるため、nz方向のチルト角変化に対応して変化する。ny方向のチルト角は、空気界面とのチルト角が0〜30°且つ支持体側界面とのチルト角が40〜90°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面とのチルト角が0〜30°且つ空気界面とのチルト角が40〜90°の組み合わせが好ましい。特に、空気界面とのチルト角が0〜20°且つ支持体側界面とのチルト角が50〜80°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面とのチルト角が0〜20°且つ空気界面とのチルト角が50〜80°の組み合わせが好ましい。
すなわち、nz方向およびny方向は空気界面とのチルト角と支持体側界面とのチルト角が異なるため、ハイブリッド配向することになる。
液晶性組成物は、空気界面においては空気界面のチルト角で配向する。二軸性の液晶性組成物の場合には、このチルト角は、nx屈折率方向と空気界面がなすチルト角とny屈折率方向と空気界面がなすチルト角とnz屈折率方向と空気界面がなすチルト角の3種類がある。
このチルト角は、液晶性組成物に含まれる液晶性化合物の種類や2種類上含む場合にはその混合比により、その程度が異なるために目的に応じて空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
本発明の液晶性組成物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、本発明の液晶性組成物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
本発明の液晶性組成物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、本発明の液晶性組成物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明では、液晶性組成物はモノドメイン配向、つまり実質的に均一に配向している状態で固定されていることが好ましい。そのため、液晶性組成物に含まれる化合物が重合性基を有する場合には、重合反応により重合させ固定化することが好ましい。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応または電子線照射による重合反応が好ましい。
光重合開始剤の使用量は、光学異方性層の塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
本発明の液晶性組成物には、重合性のモノマーを添加してもよい。本発明で使用できる重合性モノマーとしては、本発明の液晶性組成物に含まれる化合物と相溶性を有し、液晶組成物の傾斜角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.5〜50質量%の範囲にあり、1〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
本発明の液晶性組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド、エステルおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
光学異方性層は、上記溶媒を用いて本発明の液晶性組成物の塗布液を調製し配向膜上に塗布し、本発明の液晶性組成物を配向処理することで形成する。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜上に設けられる光学異方性層の本発明の液晶性組成物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理もしくは、光照射により形成される配向膜が好ましい。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。
配向膜のラビング密度と配向膜界面での液晶性化合物のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係があるので、配向膜のラビング密度を変えることで、プレチルト角の調整をすることができる。
配向膜のラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会編(丸善(株)、2000年)に記載されている方法を用いることができる。 ラビング密度(L)は。下記数式(A)で定量化することができる。
数式(A):L=Nl{1+(2πrn/60v)}
位相差板に用いる透明支持体としては、主に光学的等方性で、光透過率が80%以上であれば、特に材料の制限はないが、ポリマーフィルムが好ましい。
ポリマーの具体例として、セルロースアシレート類(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリレートエステル類のフィルムなどを挙げることができ、多くの市販のポリマーを好適に用いることが可能である。このうち、光学性能の観点からセルロースエステル類が好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下脂肪酸で、炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルローストリアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであってもWO00/26705号明細書に記載の分子の修飾により該発現性を低下させたものも使用できる。
セルロースアシレートとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)で表される分子量分布指標が小さいこと、即ち分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによりフィルム化してもよい。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、高粘度および低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルムの流延方法を用いてもよい。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアシレートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明に用いるセルロースアシレートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
本発明の位相差板と偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。本発明の位相差板を利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大しうる楕円偏光板を提供することができる。
前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
本発明の位相差板の利用により、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。TNモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)は、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子及び位相差板(光学補償シート)からなる。偏光素子は、一般に偏光膜と保護膜からなる。偏光膜と保護膜については、上記楕円偏光で説明したものを用いることができる。
下記スキームにしたがってD−8を合成した。
3−ブロモ−1−プロパノール5gをジメチルアセトアミド20mlに溶解後、アクリロイルクロライド3.8mlを、反応温度40℃以下で滴下した。1時間攪拌後、水200mlを加え酢酸エチル/ヘキサンで抽出した。分液後、有機層を留去し、上記トリヒドロキシ体0.5g、炭酸カリウム2.0gおよびジメチルホルムアミドを加え、100℃で10時間攪拌した。
反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出後、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、D−8の白色の結晶0.8gを得た。
2.15−2.30(6H、m)
4.18(6H、t)
4.43(6H、t)
5.86(3H、d)
6.16(3H、dd)
6.45(3H、d)
7.08(6H、d)
8.16(6H、d)
9.02(3H、s)
下記スキームにしたがってTO−3を合成した。
ブロモハイドロキノン25.0gをピリジン(Py)70mlに溶解させ、反応温度50℃以下で無水酢酸(Ac2O)37mlを滴下した。3時間攪拌後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和重曹水、希塩酸、水、飽和食塩水で洗浄したのち、溶媒を減圧留去した。ヘキサンで結晶化させ、m−4Aの結晶32.2gを得た。
m−4A 32.2g、トリメチルシリル(TMS)アセチレン17.4g、トリフェニルホスフィン0.5g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.25gおよびヨウ化銅(I)80mgをトリエチルアミン200mlに溶解させ、窒素雰囲気下で10時間還流した。冷却後、析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、有機層を減圧留去した。得られた残査をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、m−4Bの結晶32.0gを得た。
m−4B 32.0gをテトラヒドロフラン200mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオラド(TBAF)のテトラヒドロフラン溶液(1.0M溶液)を120ml添加し、室温で30分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、m−4Cの結晶20.5gを得た。
2,3−ジシアノハイドロキノン20.4gをt−ブタノール150mlに溶解させ、NBS(N−ブロモスクシンイミド)22.6gを添加後、室温で4時間攪拌した。反応液を水1Lに加え、析出した結晶を濾過後、濾液に濃塩酸を加え酢酸エチルで抽出を行った。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3A 8.5gを得た。
TO−3A 8.0gをテトラヒドロフラン50mlに溶解させ、ピリジン(Py)25mlと無水酢酸(Ac2O)20mlを滴下した。12時間攪拌後、反応液を水1Lに加え、析出した結晶を濾別し乾燥した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3B 9.7gを得た。
TO−3B 3.0g、実施例13に従って得られたm-4C 2.43g、トリフェニルホスフィン60mg、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド30mgおよびヨウ化銅(I)10mgをトリエチルアミン100mlに溶解させ、窒素雰囲気下、60℃で5時間加熱した。冷却後、反応液にメタノールを加え、析出した結晶を濾別し乾燥した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3C 1.7gを得た。
TO−3C 1.7gをテトラヒドロフラン40mlに溶解させ、窒素バブリング下でナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)5mlとメタノール20mlを添加した。室温で30分攪拌後、希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を減圧留去し、TO−3D 1.0gを得た。
メタンスルホニルクロライド0.43gをテトラヒドロフラン10mlに溶解させ0℃に冷却した。この溶液に4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸1.0g、ジイソプロピルエチルアミン0.51gのテトラヒドロフラン10ml溶液を滴下した。0℃で1時間撹拌後、ジイソプロピルエチルアミン0.51g,4−ジメチルアミノピリジン0.02gを添加し、次いで、TO−3D 0.14gのテトラヒドロフラン10ml溶液を添加した。室温で12時間撹拌後、反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出した。減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、TO−3の白色の結晶0.32gを得た。得られたTO−3のNMRスペクトルは以下の通りである。
1.70−1.90(8H、m)
1.90−2.00(8H、m)
3.90−4.00(4H、m)
4.08−4.18(4H、m)
4.19−4.30(8H、m)
5.80−5.90(4H、m)
6.07−6.20(4H、m)
6.36−6.48(4H、m)
6.90−7.05(9H、m)
7.25(1H、dd)
7.32(1H、d)
7.47(1H、d)
8.06−8.20(8H、m)
[二軸性ネマチック相の確認]
(D−8)0.225gと(TO−3)0.100gをCH2Cl2に溶解後、溶媒を蒸発させ、(BAmix−1)を得た。(BAmix−1)は、偏光顕微鏡における観察から、150℃からの降温時に100℃以下でネマチック相を発現することが明らかとなった。
次に、この(BAmix−1)を5μmのセルギャップの水平配向セル((株)EHC製;KSRP-05/A107M1NSS(ZZ))に110℃で注入し、100℃に冷却すると、ネマチック相に転移してホメオトロピック配向して暗視野となった。さらに80℃まで温度を下げると、液晶の転移が起こり二軸性ネマチック相に転移した。80℃の状態で3分間で維持し、レターデーションの角度依存性の測定を行い、(nx−nz)/(nx−ny)を求めたところ、4.0であった。
[位相差板の作製]
(配向膜の形成)
下記変性ポリビニルアルコールとグルタルアルデヒド(変性ポリビニルアルコールの5質量%)とを、メタノール/水の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5質量%の溶液を調製した。
前記で作製したラビングした配向膜上に、下記の組成を有する光学異方性層塗布液をスピンコーターを用いて塗布した。
・前記液晶性化合物 D−8 69.2質量部
・前記液晶性化合物 TO−3 30.8質量部
・下記空気界面配向制御剤 V−(1) 0.2質量部
・クロロホルム 700質量部
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向き合うように重ねた。二枚の基板は、配向膜のラビング方向が直交するように配置した。基板の間隙に、棒状液晶分子(ZL4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶層を形成した。棒状液晶分子のΔnは0.0969であった。
その結果、視野角を広げられることおよび着色が見られないことが確認できる。
Claims (3)
- 透明支持体の上に二軸性ネマチック相を発現する無色の液晶性組成物から形成された光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層の最も屈折率の大きい方向と透明支持体の面方向とのなす角は厚み方向でほとんど変化せず、且つ最も屈折率の小さい方向と透明支持体の面方向とのなす角は厚み方向で変化していることを特徴とする位相差板。
- 二軸性ネマチック相を発現する無色の液晶性組成物が、ディスコティックネマチック相を発現する化合物とネマチック相を発現する化合物の混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の位相差板。
- 二軸性ネマチック相を発現する無色の液晶性組成物から形成された光学異方性層を有する位相差板であって、該液晶性組成物がディスコティックネマチック相を発現する化合物とネマチック相を発現する化合物の混合物からなり、且つ該光学異方性層がハイブリッド配向した二軸性ネマチック相を固定化し形成されていることを特徴とする位相差板。
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