JP2006091551A - 光学補償フィルム、楕円偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、楕円偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 階調反転を改善し、より広い視野角特性を持ち、工業生産性に優れた液晶表示
装置を提供するための光学補償フィルム、楕円偏光板を提供する。
【解決手段】 透明支持体、第一の光学異方性層及び第二の光学異方性層を任意の順に積層した層からなる光学補償フィルムにおいて、第一の光学異方性層は、二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物からなり、第二の光学異方性層は、一軸性液晶分子からなることを特徴とする光学補償フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルム、およびそれを用いた楕円偏光板と液晶表示装置とに関する。
液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子および光学補償フィルム(位相差板)からなる。
透過型液晶表示装置では、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に配置し、一枚または二枚の光学補償フィルムを液晶セルと偏光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償フィルム、そして一枚の偏光素子の順に配置する。液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence )、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest-Host)のような様々な表示モードが提案されている。
光学補償フィルムは、画像着色を解消し、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置に用いられている。光学補償フィルムとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムをはじめとして、透明支持体上に液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償フィルムが一般的に使用されている。光学補償フィルムの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には、上記のような表示モードの違いに応じて決定される。
液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償フィルムを製造することができる。液晶性分子を用いた光学補償フィルムでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。
二軸性の液晶を用いた位相差板、特に二軸性液晶がハイブリッド配向した位相差板は、液晶ディスプレーの視野角補償において有用である。(例えば、特許文献1,2参照)。このような二軸性液晶がハイブリッド配向した状態を実現させるためには、二軸性ネマチック相(Nb相)を発現させる必要である。
しかし、二軸性ネマチック相を発現させたハイブリッド配向している液晶組成物を含む光学補償フィルムは、広い視野角特性を実現できるものの、表示装置の表示面を下方向から見る際、表示面法線方向からの角度増加と共に、画像を形成する各階調レベルの輝度差が、急激に減少し、いくつかの階調レベルが反転する現象(階調反転:gray-scale inversion)が発生する。この階調反転を抑制することが必要であった。
特開2002−174730号公報 特開2002−207125号公報
本発明の目的は、広い優れた視野角特性をもつ二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物をハイブリッド配向させた補償フィルムをTNモードなどの液晶表示装置に使用する場合において発生する階調反転(表示装置の表示面を下方向から見る際、表示面法線方向からの角度増加と共に、画像を形成する各階調レベルの輝度差が、急激に減少し、いくつかの階調レベルが反転する現象)を低減した光学補償フィルムを提供することである。
また、この補償フィルムを用いた楕円偏光板や、液晶表示装置を提供することである。
上記の目的は、下記の手段で解決された。
1. 透明支持体、第一の光学異方性層及び第二の光学異方性層を任意の順に積層した層からなる光学補償フィルムにおいて、第一の光学異方性層は、二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物からなり、第二の光学異方性層は、一軸性液晶分子からなることを特徴とする光学補償フィルム。
2. 第一の光学異方性層が、透明支持体面に対して主軸が傾斜している二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物からなることを特徴とする上記1に記載の光学補償フィルム。
3. 第一の光学異方性層が、透明支持体面に対して主軸が傾斜している二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物からなり、傾斜角が透明支持体の面との距離に伴って一方向に変化することを特徴とする上記2に記載の光学補償フィルム。
4. 第二の光学異方性層が、透明支持体面に対して液晶の光学軸が傾斜している一軸性液晶性分子からなり、傾斜角が透明支持体の面との距離に伴って一方向に変化することを特徴とする上記1に記載の光学補償フィルム。
5. 第一の光学異方性層、透明支持体、第二の光学異方性層をこの順に積層したことを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
6. 透明支持体、第一の光学異方性層、第二の光学異方性層をこの順に積層したことを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
7. 第一の光学異方性層が棒状液晶性分子からなることを特徴とする上記1〜6のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
8. 第一の光学異方性層が円盤状液晶性分子からなることを特徴とする上記1〜6のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
9. 少なくとも、上記1〜8のいずれか1項に記載の光学補償フィルムと、偏光膜と、透明保護膜とからなる楕円偏光板において、前記第二の光学異方性は、第一の光学異方性層より偏光膜に近い位置に積層されていることを特徴とする楕円偏光板。
10. 少なくとも、TNモードの液晶セルと当該液晶セルの両側に配置された二枚の偏光素子からなる液晶表示装置であって、前記二枚の偏光素子が、少なくとも、上記9に記載の楕円偏光板からなることを特徴とする液晶表示装置。
本発明で開示する光学補償フィルムを、例えば、TN液晶セルと上下の偏光膜との間に設けると、TN型液晶表示装置の下側方向に発生する階調反転を改善し、より広い視野角特性を実現できる。二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物のハイブリッド配向層と透明支持体面に対して液晶の光学軸が傾斜している一軸性液晶分子からなる層(一軸性液晶性分子の傾斜層)を積層した形態にすることで工業生産性に優れた光学補償フィルム、楕円偏光板を提供し、表示品位を従来に増して改良した表示装置とすることが可能となった。
以下において、本願発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
液晶層の位相補償を行うにあたって、光学補償フィルムは、偏光膜と液晶層との間に挿入、積層、光学密着させて使用するものであるから、事前に偏光膜と位相補償する第一の光学異方性層(二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物層)、第二の光学異方性層(一軸性液晶層)、透明支持体とを接着、貼合した楕円偏光板とすることが有用である。この場合の積層順序は、適宜定めることができるが、第一の光学異方性層が液晶層に近い位置に配置可能とし、第二の光学異方性層は偏光膜に近い順序で積層することが階調の反転を改善すると共に広い視野角を実現するためにより有用である。
本発明のフィルムは、好ましくは、二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物のハイブリッド配向層と一軸性液晶性分子の傾斜層を積層することによって実現される。
二軸性ネマチック相の直交する3方向の主屈折率を大きい順にnx,ny,nzとする。
ハイブリッド配向とは、nx,ny,nzの方向が、層の厚みに対して膜厚方向に連続的に変化することを意味する。図1はこのことを表す模式図である。
ハイブリッド配向の傾斜角度は、光学異方性層の深さ方向、透明支持体界面からの距離の増加と共に増加または減少している。傾斜角度は、距離の増加と共に増加することが好ましい。さらに、傾斜角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角度が変化しない領域を含んでいる。本発明では、傾斜角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。さらに、傾斜角度は連続的に変化することが好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、透明支持体の上に二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物から形成される第一の光学異方性層を有する。透明支持体と第一の光学異方性層の間には配向膜を設けるのが更に好ましい。第一の光学異方性層は、二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物に必要に応じて他の添加剤を加え、該組成物を配向膜上に塗布した後、液晶状態の配向を固定化して得られる。このとき二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物はハイブリット配向した状態で固定化される
本発明の光学補償フィルムの第一の光学異方性層では、好ましくは、二軸性ネマチック相をハイブリッド配向した状態で固定化することで作製される。二軸性ネマチック相のハイブリッド配向としては、直交する3方向の屈折率を大きい順にnx、ny、nzとすると、(i)膜厚方向でnxとnyの方向が変化しnz方向は変化しないハイブリッド配向、(ii)膜厚方向でnxとnzの方向が変化しny方向は変化しないハイブリッド配向、(iii)膜厚方向でnyとnzの方向が変化しnx方向は変化しないハイブリッド配向等が存在する。液晶ディスプレーの視野角補償を考えるとこのような配向の中で好ましい配向と好ましくない配向があるため、一概にハイブリッド配向のすべてが好ましいとは言えず、この中で位相差板を、TN(Twisted Nematic)モードやOCB(Optically Compensatory Bend)モードの液晶表示装置用視野角補償板として用いる場合においては、(iii)膜厚方向でnyとnzの方向が変化しnx方向は変化しないハイブリッド配向が最も好ましい。
二軸性ネマチック相は好ましくは支持体上(更に好ましくは配向膜上)に塗布されるので、液晶化合物は支持体側の界面では支持体面または塗布膜界面(配向膜を設けた場合には配向膜界面)のチルト角(換言すれば透明支持体の面方向とのなす角)で配向し、空気との界面では空気界面のチルト角で配向することとなる。二軸性液晶化合物の場合、チルト角にもnx方向と界面がなすチルト角、ny方向と界面がなすチルト角、nz方向と界面がなすチルト角の3種類がある(チルト角は界面を基準とする)。
本発明において、第一の光学異方性層のnx方向のチルト角は、空気界面および支持体側界面のチルト角が0〜10度好ましくは0〜5度であり、膜厚方向ではほとんど変化しない。
一方、ny方向は空気界面と支持体側界面のチルト角が大きく異なる。そのため、膜厚方向ではチルト角が空気界面側から支持体側界面側に向けて連続的に変化することになる。ny方向のチルト角は、空気界面のチルト角が3度以上87度以下かつ、支持体側界面のチルト角が3度以上87度以下であることが好ましい。特にチルト角の平均傾斜角βが30度以上75度以下であることが好ましく、35度以上72度以下であることがさらに好ましく、40度以上70度以下であることがさらにより好ましい。
nz方向はny方向と直交関係にあるため、nz方向のチルト角は、空気界面のチルト角が3度以上87度以下かつ、支持体側界面のチルト角が3度以上87度以下であることが好ましい。特にチルト角の平均傾斜角βが15度以上60度以下であることが好ましく、18度以上55度以下であることがさらに好ましく、20度以上50度以下であることがさらにより好ましい。
すなわち、ny方向およびnz方向は空気界面と支持体側界面のチルト角が異なるため、ハイブリッド配向することになる。
第一の光学異方層の他の光学特性については、特に制限はなく、用いる用途によって好ましい範囲が決定される。
膜厚は、0.01μm以上50μm未満が好ましく、0.1μm以上5μm未満がより好ましい。
一般的には面内レターデーションReは、10〜120nmであるのが好ましく、30〜90nmであるのがより好ましい。厚さ方向のレターデーションRthは、20〜200nmが好ましい。
二軸性ネマチック相の(nx−nz)/(nx−ny)は、1.01以上100未満が好ましく、1.2以上40未満がより好ましく、2.0以上30未満がさらに好ましい。
二軸性ネマチック相のnx−nyおよびny−nzは、大きいほうが膜厚を薄くでき塗布性を良くできるため好ましく、0.001以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。
液晶相の3方向の屈折率を求める方法としては、例えば、酒井による報告(「自動複屈折計を利用したフィルムの複屈折解析方法」プラスチックス、Vol.51,No.3,57(2000))を参考にすることができる。
フィルムのハイブリッド配向の平均傾斜角βは、例えば、エリプソメトリーを用いて求めることができる。測定法は以下のとおりである。フィルムの面内レターデーション(Δnd)を測定する。Δndが消光点になる角度を平均傾斜角βとする。ここで言う消光とは、厳密な意味で透過光がゼロとなることのみを意味するものではなく、透過光が、最小値となる角度を意味する。なお、ハイブリッド配向は光軸が存在しないので0にはならない。
本発明の第二の光学異方性層における一軸性液晶は、液晶が正の屈折率異方性を持つ棒状液晶でも負の屈折率異方性を持つ円盤状液晶のどちらでも、適用可能だが、正の屈折率異方性を持つ棒状液晶の方が好ましい。
一軸性液晶の傾斜層の角度を、フィルム面と液晶の光学軸のなす角度と定義する。一軸性液晶の傾斜角度は、正の屈折率異方性を持つ棒状液晶の場合、45度から90度が好ましく、50度から70度がより好ましい。負の屈折率異方性を持つ円盤状液晶の場合は、0度から48度が好ましく、30度から40度がより好ましい。
一軸性液晶の傾斜角は、層の厚み方向に対して一定でも、変化、すなわちハイブリッド配向をしても良い。ハイブリッド配向の場合は、上記傾斜角度範囲は、平均傾斜角βと読み替えられる。 第二の光学異方性層の他の光学特性については、特に制限はなく、用いる用途によって好ましい範囲が決定される。
膜厚は、0.01μm以上50μm未満が好ましく、0.1μm以上5μm未満がより好ましい。
一般的には面内レターデーションReは、10〜120nmであるのが好ましく、30〜90nmであるのがより好ましい。厚さ方向のレターデーションRthは、0〜200nmが好ましい。
一軸性液晶を含む第二の光学異方性層のΔnは、大きいほうが膜厚を薄くすることが可能で塗布性を良化できるため好ましく、0.001以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。
第一の光学異方性層のnxを透明支持体に投影して得られる線の方向の平均と、第二の光学異方性層の一軸性液晶性の光学軸方向を透明支持体に投影して得られる線の方向の平均と、偏光膜の吸収軸方向の組合せは、実質的に平行または直交のいずれかから選択することができる。ここで、実質的平行または直交とは、好ましくは20度以内、より好ましくは、10度以内のずれであることをいう(以下、同じ)。
第一の光学異方性層のnxを透明支持体に投影して得られる線の方向の平均と、第二の光学異方性層の一軸性液晶性の光学軸方向を透明支持体に投影して得られる線の方向の平均は、双方とも、偏光膜の吸収軸方向と、80〜100度の角度を成していることが広い視野角特性を発揮する上で望ましい。
以下、本発明の光学補償フィルムの例を示すが、積層する層の順序等、これに制限されるものではない。図2は、透過型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図2の(a)に示す透過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、第二の光学異方性層(3a)、透明支持体(4a)、第一の光学異方性層(5a)、液晶セルの下基板(6a)、棒状液晶性分子(7)、液晶セルの上基板(6b)、第一の光学異方性層(5b)、透明支持体(4b)、第二の光学異方性層(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1b)からなる。第二の光学異方性層、透明支持体および第一の光学異方性層(3a〜5aおよび5b〜3b)が光学補償フィルムを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、第二の光学異方性層、透明支持体および第一の光学異方性層(1a〜5aおよび5b〜1b)が光学補償フィルムを構成する。
図2の(b)に示す透過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、第二の光学異方性層(3a)、透明支持体(4a)、第一の光学異方性層(5a)、液晶セルの下基板(6a)、棒状液晶性分子(7)、液晶セルの上基板(6b)、透明保護膜(1b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1c)からなる。第二の光学異方性層、透明支持体および第一の光学異方性層(3a〜5a)が光学補償フィルムを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、第二の光学異方性層、透明支持体および第一の光学異方性層(1a〜5a)が楕円偏光板を構成する。
図2の(c)に示す透過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明保護膜(1b)、液晶セルの下基板(6a)、棒状液晶性分子(7)、液晶セルの上基板(6b)、第一の光学異方性層(5b)、透明支持体(4b)、第二の光学異方性層(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1c)からなる。第一の光学異方性層、透明支持体および第二の光学異方性層(5b〜3b)が光学補償フィルムを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、第二の光学異方性層、透明支持体および第一の光学異方性層(1c〜5b)が楕円偏光板を構成する。
図2の(d)に示す透過型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明支持体(4a)、第二の光学異方性層(3a)、第一の光学異方性層(5a)、液晶セルの下基板(6a)、棒状液晶性分子(7)、液晶セルの上基板(6b)、第一の光学異方性層(5b)、第二の光学異方性層(3b)、透明支持体(4b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1b)からなる。透明支持体、第二の光学異方性層、および第一の光学異方性層(4a〜5aおよび5b〜4b)が光学補償フィルムを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、透明支持体、第二の光学異方性層および第一の光学異方性層(1a〜5aおよび5b〜1b)が光学補償フィルムを構成する。
図3は、反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図3に示す反射型液晶表示装置は、下から順に、液晶セルの下基板(6a)、反射板(8)、棒状液晶性分子(7)、液晶セルの上基板(6b)、第一の光学異方性層(5b)、透明支持体(4b)、第二の光学異方性層(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1c)からなる。
第二の光学異方性層、透明支持体および第一の光学異方性層(3b〜5b)が光学補償フィルムを構成する。そして、透明保護膜、偏光膜、第二の光学異方性層、透明支持体および第一の光学異方性層(1c〜5b)が楕円偏光板を構成する。
図2および図3に示す光学補償フィルムまたは楕円偏光板は、少なくとも、二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物から形成された第一の光学異方性層と一軸性液晶から形成された第二の光学異方性層とを有する第一の態様に属する。第一の態様の光学補償フィルムにおいては、透明支持体、第一の光学異方性層および第二の光学異方性層の積層順序について、特に制限はない。しかし、液晶セルに配置する際には、階調反転と視野角の両立の観点から、偏光膜→第二の光学異方性層→透明支持体→第一の光学異方性層→液晶セル、偏光膜→透明支持体→第二の光学異方性層→第一の光学異方性層→液晶セルの何れかの積層順序が望ましい。すなわち、光学補償フィルムは、第二の光学異方性層→透明支持体→第一の光学異方性層又は透明支持体→第二の光学異方性層→第一の光学異方性層の順に積層したものが好ましい。第二の態様では図2および図3に示す光学補償フィルムまたは楕円偏光板における第一と第二の光学異方性層に代えて、二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物と一軸性液晶とから形成された光学異方性層を、図2に示す第一の光学異方性層の位置に設けている。
[光学異方性層]
本発明における第一の光学異方性層は、二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物から形成する。第二の光学異方性層は、一軸性液晶から形成する。液晶性分子(二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物および一軸性液晶)の具体的な配向状態は、液晶性分子の種類、配向膜の種類および光学異方性層内の添加剤(例、可塑剤、バインダー、界面活性剤)の使用によって制御できる。液晶性分子は、配向している状態で固定されていることが好ましい。ポリマーバインダーを用いて配向状態を固定することもできるが、重合反応により固定することが好ましい。
以上のように、第一に二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物を用いて、液晶セルを実質的に光学的に補償し、すなわち液晶セル内の棒状液晶性分子の大部分を光学的に補償し、第二に一軸性液晶を用いて、階調反転を発生させないように補完的に用いることが好ましい。二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物のnxを透明支持体面に投影して得られる線の方向の平均と、一軸性液晶の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の方向の平均との角度は80〜100度以内が好ましく、さらに、90度より0〜10度、より好ましくは2.5〜7.5度ずらすことで階調反転の改善と視野角特性の両立をより効果的に図ることも可能である。
また、一軸性液晶の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の方向の平均は、透明支持体が光学的一軸性または光学的二軸性を有する場合、当該透明支持体の面内の遅相軸と、実質的に平行または直交しているように配置することが好ましい。
[一軸性液晶組成物]
本発明に使用できる一軸性液晶層の円盤状液晶性分子は、公知の文献(例えば、C.Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page111(1981); 日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第一0章第二節(1994); B.Kohne et al., Angew. Chem . Soc. Chem. Comm., page1794(1985); J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol.116, page2655 (1994) )に記載されているである。円盤状液晶性分子の重合については、例えば、特開平8−27284号公報に記載のものを採用できる。円盤状液晶性分子を重合により固定するために、円盤状液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させるのが好ましい。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる場合がある。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入することが好ましい。従って、円盤状液晶性分子は、下記式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
式(I): D(−L−Q)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。式(I)中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(Q)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2000−304930号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1〜L25)、(Q1)〜(Q17)が挙げられ、同公報に記載される円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(Q)に関する内容を好ましく適用することができる。
一軸性液晶層の棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。棒状液晶性分子については、例えば、季刊化学の総説第二巻液晶の化学(1994年)(日本化学会編)の第4章、第7章および第1章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第一42委員会編の第3章に記載のものを採用できる。棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7であることが好ましい。棒状液晶性分子は、重合性基を有することが好ましい。重合性基の例は、円盤状液晶性分子の重合性基(Q)の例と同様である。棒状液晶性分子は、短軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有することが好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端に重合性基を有することが好ましい。棒状液晶性分子の好ましい具体例としては、特開2000−304930号公報に記載の(N1)〜(N47)が挙げられる。
[二軸性液晶組成物]
本発明に用いる液晶組成物は二軸性ネマチック相を発現する。二軸性ネマチック相とは、ネマチック液晶化合物がとり得る液晶相の一種であるが、液晶相の空間をx軸、y軸、z軸で定義した際、該液晶化合物(液晶性分子)がy軸を中心にしたxz平面の自由回転も、z軸を中心にしたxy平面の自由回転も禁止されている状態を示す。二軸性ネマチック相は液晶性分子を配向させやすく、配向欠陥が生じにくいため好ましい。
本発明における二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物は、液晶を発現する化合物(液晶化合物)を含有する。該液晶化合物は、一種類の二軸性ネマチック相を発現する液晶化合物でもよいし、二種類以上の二軸性ネマチック相を発現する液晶化合物を併用してもよい。例えば、重合性の二軸性液晶化合物と非重合性の二軸性液晶化合物とを併用することも可能である。また、低分子液晶化合物と高分子液晶化合物を併用することも可能である。さらに、単独では二軸性液晶相を発現しない化合物を2種以上混合させることで二軸性液晶相を発現するようになる二軸性液晶混合物を用いることも可能である。また、液晶化合物は、低分子化合物でもよいし、高分子化合物でもよい。
更に、液晶化合物以外に、後述する光学異方性層の形成にあたり加えることのできる添加剤(例えば、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー、溶媒など)を含んでもよい。
以下に本発明で好ましく用いることのできる低分子液晶化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006091551
Figure 2006091551
二軸性ネマチック相を発現する液晶化合物は、二軸性の液晶相の(nx−nz)/(nx−ny)の値の制御が容易であることが好ましい。そのような点から、二軸性ネマチック相を発現する液晶化合物は、後述するように(nx−nz)/(nx−ny)の値の制御が容易な棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物の混合液晶化合物であることが好ましく、特に、ネマチック相を発現する液晶化合物とディスコティックネマチック相を発現する液晶化合物の混合液晶化合物であることが最も好ましい。
[棒状液晶相を発現する液晶化合物]
棒状液晶相としては、例えば棒状または板状の形状を有する液晶化合物が発現する、ネマチック相、スメクチックA相およびスメクチックC相等を挙げることができる。このような液晶相は、nx>ny=nzの関係にあるため、正の複屈折性を有する一軸性の液晶相である。詳しくは液晶便覧(丸善(株)2000年発行)第2章などに記載されており、本発明においては、棒状液晶相としてはネマチック相が特に好ましい。
一方、一軸性の液晶であるのか、二軸性の液晶であるのか判断が難しい液晶相も知られている。例えば、D.Demus,J.Goodby等著〔Handbook of Liquid Crystals Vol.2B:Low Molecular Weight Liquid Crystals II、pp933−943:WILEY−VCH社刊〕に記載の液晶相は判断の困難な液晶相と言える。棒状液晶を発現する液晶化合物には、このような一軸性と二軸性の判断が困難な化合物も含まれる。
棒状液晶相を発現する液晶化合物は、低分子液晶化合物でもよいし、高分子液晶化合物でもよいが、ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物との相溶性の点で、低分子液晶化合物の方が好ましい。
棒状液晶相を発現する液晶化合物しては、正の複屈折性を有する一軸性の液晶相を発現する液晶化合物が好ましく、該化合物としては、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類を挙げることができる。
棒状液晶相を発現する液晶化合物は、ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物との間で、相互作用(例えば、水素結合や双極子相互作用)可能な置換基または共有結合を形成可能な置換基(例えば、重合性基)を有することが好ましい。このような置換基を有することで、棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物とを混合させたときに、該液晶化合物同士の相溶性が良くなり、各々の組成物からなる相ごとに相分離してしまうのを避けることができる。同様な理由で、ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物も同様な基を有することが好ましい。
棒状液晶相を発現する液晶化合物は、重合性基を有することが好ましく、化合物の分子の末端に重合性基を有することがより好ましい。重合性基を有することは、上記のとおりディスコティック液晶相を発現する液晶化合物との相分離を防ぐ他にも、本発明の液晶組成物により位相差板などに用いた場合に熱などにより位相差の変化を防ぐことができるので、好ましい。
重合性基を有する正の複屈折性を有する一軸性液晶化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻,107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、国際公開WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号および特開2001−328973号公報などに記載の化合物を用いることができる。
以下に、棒状液晶相を発現する液晶化合物が有する重合性基として、好ましい例を示す。
Figure 2006091551
上記重合性基のなかでも、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エポキシ基(Q8)またはアジリジニル基(Q9)がより好ましく、不飽和重合性基(Q1〜Q7)がさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)が最も好ましい。
棒状液晶相を発現する液晶化合物の形状は、特に限定されず、棒状でも板状でも、その他の形状でもよい。なかでも、板状であることが、ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物との相溶性や二軸性ネマチック相の発現のしやすさの点から、好ましい。
上記液晶化合物が「板状」であるとは、該化合物が、単独で液晶性を示すコア部を少なくとも二つ有するとともに、コア部同士が共有結合により連結した平面状の、正の複屈折性を有する一軸性液晶化合物であることを意味する。例えば、後述する本発明の例示化合物(m−1)において、RO−Ph−OR(Ph:ベンゼン環を意味する)の部分は単独で液晶性を示すコア部に相当する。RO−Ph−ORの部分が共有結合により連結することにより例示化合物(m−1)となる。
より具体的には、液晶化合物が「板状」であるとは、次のことを意味する。すなわち、液晶化合物の安定化構造を内接し且つ体積が最小となる直方体の最も長い辺をLl、中間の辺をLm、最も短い辺をLsとしたとき、該液晶化合物が「板状」とは、Ll/Lm>1.1且つLm/Ls>1.5の場合である。液晶化合物の最安定化構造は、MOPAC(半経験的分子軌道計算プログラム)により求めることができ、具体的にはMOPACのAM1法(使用ソフト:WinMOPAC、販売元:富士通(株))を用いればよい。
本発明では、棒状液晶相を発現する液晶化合物が有する板状の形状として、さらに下記数式(I)と数式(II)の両式を満たすことが好ましい。
数式(I):1.2<Ll/Lm<10
数式(II):2.0<Lm/Ls<10
板状の形状を有する液晶化合物として、Mol.Cry.Liq.Cry.,323巻,231頁(1998年)、「染料と薬品」第42巻、第4号、85頁(1997年)、「染料と薬品」第42巻、第3号、68頁(1997年)などに記載の化合物や、記載の化合物に重合性基を導入した化合物を用いることができる。
以下に、板状の形状を有する液晶化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006091551
Figure 2006091551
Figure 2006091551
Figure 2006091551
[ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物]
ディスコティック液晶相としては、例えば円盤状の形状を有する液晶化合物が発現する、ディスコティックネマチック相、カラムナー相、カラムナーラメラ相等を挙げることができる。本発明においては、ディスコティック液晶相としてはディスコティックネマチック相が特に好ましい。
一方、一軸性の液晶であるのか、二軸性の液晶であるのか判断が難しい液晶相も知られている。例えば、D.Demus,J.Goodby等著〔Handbook of Liquid Crystals Vol.2B:Low Molecular Weight Liquid Crystals II、pp933−943:WILEY−VCH社刊〕に記載の液晶相は判断の困難な液晶相と言える。ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物には、このような一軸性と二軸性の判断が困難な化合物も含まれる。
ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物は、低分子液晶化合物でもよいし、高分子液晶化合物でもよいが、ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物と棒状液晶相を発現する液晶化合物との相溶性の点で、低分子液晶化合物の方が好ましい。
ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物としては、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crys.Liq.Crys.,71巻,111頁(1981年)、日本化学会編,季刊化学総説,No.22,液晶の化学,第5章,第10章,第2節(1994)、B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,1794頁(1985年)、J.Zhanget et al.,J.Am.Chem.Soc.,116巻,2655頁(1994年))などに記載のものが挙げられる。
ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物としては、重合性基を有することが好ましく、化合物の分子の末端に重合性基を有することがより好ましい。重合性基を有することは、棒状液晶相を発現する液晶化合物との相分離を防ぐ他にも、本発明の液晶組成物により位相差板などに用いた場合に熱などにより位相差の変化を防ぐことができるので好ましい。下記一般式(D)で表わされる化合物であることが特に好ましい。
一般式(D):D(−L−Q)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基である。また、nは3乃至12の整数である。以下に一般式(D)の具体例(D1〜D15)の構造式を示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。各例からLQ(またはQL)を削除した構造が上記一般式(D)の円盤状コア(D)の例である。
Figure 2006091551
Figure 2006091551
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Figure 2006091551
一般式(D)中のLは、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−C(=O)−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。前記Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−C(=O)−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。前記Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−C(=O)−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
以下に二価の連結基(L)の例を示す。各々の式において、左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L1:−AL−C(=O)−O−AL−
L2:−AL−C(=O)−O−AL−O−
L3:−AL−C(=O)−O−AL−O−AL−
L4:−AL−C(=O)−O−AL−O−C(=O)−
L5:−C(=O)−AR−O−AL−
L6:−C(=O)−AR−O−AL−O−
L7:−C(=O)−AR−O−AL−O−C(=O)−
L8:−C(=O)−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−C(=O)−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−C(=O)−
L14:−O−AL−O−C(=O)−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−C(=O)−AL−AR−O−AL−O−C(=O)−
L17:−O−C(=O)−AR−O−AL−C(=O)−
L18:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−C(=O)−
L19:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−AL−O−C(=O)−
L20:−O−C(=O)−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−C(=O)−
L21:−S−AL−
L22:−S−AL−O−
L23:−S−AL−O−C(=O)−
L24:−S−AL−S−AL−
L25:−S−AR−AL−
一般式(D)の重合性基(Q)は、特に限定されない。本発明を重合させる場合には、重合反応の種類に応じて決定することができる。
重合性基(Q)の好ましい具体例は、棒状液晶相を発現する液晶化合物における記載と同様であり、また、より好ましい重合性基(Q)も、棒状液晶相を発現する液晶化合物と同様である。
一般式(D)において、nは3乃至12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。nは特に3〜6の整数が好ましく、nは3が最も好ましい。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
円盤状の形状を有する化合物として、二種類以上のディスコティック液晶化合物を併用してもよい。例えば、重合性基(Q)を有する分子と有していない分子を併用してもよい。
非重合性ディスコティック液晶化合物は、前述した重合性ディスコティック液晶化合物の重合性基(Q)を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶化合物は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−R)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Rは水素原子またはアルキル基である。また、nは3乃至12の整数である。上記式の円盤状コア(D)の例は、LQ(またはQL)をLR(またはRL)に変更する以外は、前記の重合性ディスコティック液晶化合物の例と同様である。また、二価の連結基(L)の例も、前記の重合性ディスコティック液晶化合物の例と同様である。Rのアルキル基は、炭素原子数が1乃至40であることが好ましく、1乃至30であることがさらに好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも直鎖状アルキル基の方が好ましい。Rは、水素原子または炭素原子数が1乃至30の直鎖状アルキル基であることが特に好ましい。
本発明で用いるディスコティック液晶相を発現する液晶化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が最も好ましい。
Figure 2006091551
一般式(I)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。
11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26がメチンの場合は、メチンは置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換または無置換のアミノ基(例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基が挙げられる)、アリールスルホニルアミノ基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、アルキルスルホニル基(例えば、メシル基などが挙げられる)、アリールスルホニル基(例えば、トシル基などが挙げられる)、アルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基などが挙げられる)、アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。
これらのなかでも、メチンの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数は1乃至12のアルキル基、炭素数は1乃至12のアルコキシ基、炭素数は2乃至12アルコキシカルボニル基、炭素数は2乃至12アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が最も好ましい。
一般式(I)中、X、X、Xは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、イミノの表す。X、X、Xが、メチレン、イミノの場合は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上記メチンの置換基として挙げたものが好ましい。これらの置換基はさらに置換されていてもよく、その場合の置換基もメチンの置換基が有してもよい置換基として挙げたものと同じである。
一般式(I)中、L、L、Lは、それぞれ独立に単結合または二価の連結基である。L、L、Lが二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR−,−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
、L、Lで表される二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基である。二価の環状基は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。環状基は、芳香族環、および複素環が好ましい。
、L、Lで表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
、L、Lで表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至16のアルキル基、炭素原子数が1乃至16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至16のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至16のアシル基、炭素原子数が1乃至16のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至16のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至16のアシルアミノ基が含まれる。
、L、Lとしては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−、*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−が好ましい。*は一般式(I)中のY11、Y12およびY13を含む6員環に結合する位置を表す。
一般式(I)中、R、R、Rは、それぞれ独立にアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換または無置換のアミノ基(例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基が挙げられる)、アリールスルホニルアミノ基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、アルキルスルホニル基(例えば、メシル基などが挙げられる)、アリールスルホニル基(例えば、トシル基などが挙げられる)、アルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基などが挙げられる)、アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)を表す。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。
、R、Rは、それぞれ独立に下記一般式(III)で表されるものが更に好ましい。
一般式(III):*−L11−Q
一般式(III)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
Qはそれぞれ独立に重合性基またはメチル基である。本発明の位相差板を含め、一般式(I)で表される化合物を光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学フィルムに用いる場合には、Qは重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2006091551
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 2006091551
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)のなかでも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基またはオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
一般式(III)中、L11は二価の連結基である。L11は、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR−,二価の鎖状基,二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
11で表される二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基,置換アルキニレン基を意味する。なかでも、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
11で表される二価の鎖状基としてのアルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基としてのアルケニレン基は、主鎖中に置換または無置換のアルキレン基を有してもよく、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基としてのアルキニレン基は、主鎖中に置換または無置換のアルキレン基を有してもよく、アルキニレン基の炭素数は2乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、1−メチル−1,4−ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、2−ブテニレンおよび2−ブチニレンなどが挙げられる。
11で表される二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基である。二価の環状基は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
11で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
11で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至16のアルキル基、炭素原子数が1乃至16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至16のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至16のアシル基、炭素原子数が1乃至16のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至16のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至16のアシルアミノ基が含まれる。
、R、Rは、それぞれ独立に下記一般式(IV)で表されるものが更に好ましい。
一般式(IV):*−L21−二価の環状基−L22−Q
一般式(IV)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
は、一般式(III)のQの定義と同様である。
21は単結合または二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR−,−CH=CH−、−C≡C−、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
21は、単結合、および、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−(ここで、*は一般式(IV)中の*側を表す)が好ましい。
一般式(IV)中の二価の環状基は、一般式(III)中の二価の環状基の定義と同様である。
一般式(IV)中、L22は、一般式(III)のL11の定義と同様である。
22で表される二価の連結基の例を以下に示す。ここで、右側が一般式(IV)中の二価の環状基に、左側がQに結合する。
L−1:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−2:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−NR7
L−5:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−6:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−7:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−8:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−9:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−10:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−11:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−NR7
L−12:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−13:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−14:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−15:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−
L−16:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−17:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−18:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−NR7
L−19:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−20:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−21:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−22:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−23:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−24:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−25:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−NR7
L−26:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−27:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−28:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−29:−二価の鎖状基−
L−30:−二価の鎖状基−O−
L−31:−二価の鎖状基−CO−O−
L−32:−二価の鎖状基−O−CO−
L−33:−二価の鎖状基−CO−NR7
L−34:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−
L−35:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−
L−36:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−37:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
上記のうち、L−2,L−3,L−9,L−10,L−16,L−17,L−23,L−24,L−30,L−31,L−32,L−35,L−36,L−37が好ましい。
、R、Rは、それぞれ独立に、下記一般式(V)で表されるものが最も好ましい。
Figure 2006091551
一般式(V)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
はそれぞれ独立にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基を表す。好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜4のアシル基、炭素原子数2〜4のアシルオキシ基、炭素原子数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
lは0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。lが2以上の場合、複数のRで表される基はそれぞれ異なっていてもよい。
は、**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH−を表し、**は一般式(V)中のベンゼン環に結合する位置を表す。
は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を表し、より好ましくは水素原子もしくはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
mは2から16の整数を表し、好ましくは2から12の整数である。
は水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
本発明においては、一般式(I)で表される化合物のなかでも、R、R、Rがそれぞれ独立に上記一般式(V)で表される前記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
一般式(I)で表される化合物および該化合物を含む液晶組成物が発現する液晶相としては、カラムナー相またはディスコティックネマチック相が好ましく、特にディスコティックネマチック相が好ましい。液晶相は、30〜300℃の範囲で発現するものが好ましく、50〜250℃の範囲で発現するものがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物でディスコティック液晶相性を示さない化合物でも、ディスコティック液晶相を示す化合物を混合することで用いることが可能である。
以下に、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006091551
Figure 2006091551
Figure 2006091551
[棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物とを含有する二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物]
棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物とを含む本発明の液晶組成物は、20℃〜300℃の範囲内で二軸性ネマチック相を発現することが好ましい。さらに好ましくは40℃〜280℃であり、最も好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃の範囲内で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(具体的に例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物とを含む本発明の液晶組成物において、二軸性ネマチック相を発現させるための棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物の混合比は、分子構造や分子量により異なるため明確な定義はできないが、質量比で(棒状液晶相を発現する液晶化合物)/(ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物)=10〜0.02が好ましく、5〜0.05がさらに好ましく、2〜0.1が最も好ましい。
二軸性ネマチック相は、一軸性の液晶相よりも低い温度で発現する場合が多い。例えば、一軸性のネマチック相(ネマチック相やディスコティックネマチック相)を降温することで二軸性ネマチック相に転移する場合が多い。多くの場合、ある混合比((棒状液晶相を発現する液晶化合物)/(ディスコティック液晶相を発現する液晶化合物))を境に、棒状液晶相を発現する液晶化合物の含率が少し多くなると、降温時にネマチック相から二軸性ネマチック相への転移が起こる。またディスコティック液晶相を発現する液晶化合物の含率が少し多くなるとディスコティックネマチック相から二軸性ネマチック相への転移が起こる。
棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物とを含む本発明の液晶組成物において、二軸性ネマチック相の高温側に一軸性のネマチック相がある場合、二軸性の液晶相の(nx−nz)/(nx−ny)の値の制御が可能である。
例えば、ネマチック相((nx−nz)/(nx−ny)=1.0)から降温していくと、(nx−nz)/(nx−ny)値は、突然変化するのではなく、温度に応じて徐々に上昇していく傾向にある。したがって、UV照射による重合等の配向固定する温度を選択することで、(nx−nz)/(nx−ny)値を制御できる。ネマチック相から二軸性ネマチック相へ転移させた場合の、(nx−nz)/(nx−ny)値の制御範囲幅は、棒状液晶相を発現する液晶化合物とディスコティック液晶相を発現する液晶化合物の分子構造等により変化するため、一概には定義できないが、1.0により近い範囲が制御しやすい。具体的には1.0<(nx−nz)/(nx−ny)<10が制御しやすい。
また、ディスコティックネマチック相から二軸性ネマチック相へ転移させた場合も、ネマチック相から転移させた場合と同様に(nx−nz)/(nx−ny)値の制御が可能となるが、この場合は、ディスコティックネマチック相の(nx−nz)/(nx−ny)値は無限大(nx=ny)であるため、その制御範囲幅は、無限大により近い範囲が制御しやすい。具体的には1.2<(nx−nz)/(nx−ny)<∞が制御しやすい。
光学異方性層は、液晶性分子あるいは下記の重合性開始剤や任意の添加剤(例、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5−トリアジン化合物、光学活性化合物、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤)を含む液晶組成物(塗布液)を、配向膜の上に塗布することで形成する。液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。液晶組成物の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
液晶性分子の重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(例えば、米国特許2367661号、同2367670号の各明細書に記載のもの)、アシロインエーテル(例えば、米国特許2448828号明細書に記載のもの)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許2722512号明細書に記載のもの)、多核キノン化合物(例えば、米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載に記載のもの)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許3549367号明細書記載に記載のもの)、アクリジンおよびフェナジン化合物(例えば、特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号の明細書に記載のもの)およびオキサジアゾール化合物(例えば、米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがさらに好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。さらに、複数の光学異方性層を設ける場合は、それぞれ独立に、前記厚さであるのが好ましい。
[光学活性化合物]
二軸性ネマチック相を発現する液晶化合物に光学活性化合物を混合することで、キラル二軸性ネマチック相を発現することが可能となる。キラル二軸性ネマチック相は、不斉中心を有する液晶化合物を用いても発現させることも可能である。
光学活性化合物としては公知のカイラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)を用いることができる。光学活性化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。光学活性化合物(カイラル剤)は、重合性基を有していてもよい。
光学活性化合物の使用量は、二軸性ネマチック相を発現する液晶化合物の量の0.01乃至200モル%であることが好ましい。
[空気界面配向制御剤]
液晶組成物は、空気界面においては空気界面のチルト角で配向する。このチルト角は、液晶組成物に含まれる液晶化合物の種類や添加剤の種類等で、その程度が異なるため、目的に応じて空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
前記チルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができ、添加剤を用いることが好ましい。このような添加剤としては、炭素原子数6〜40の置換もしくは無置換の脂肪族基、または炭素原子数6〜40の置換もしくは無置換の脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を、分子内に1つ以上有する化合物が好ましく、分子内に2つ以上有する化合物がさらに好ましい。例えば、空気界面配向制御剤としては、特開2002−20363号公報に記載の疎水性排除体積効果化合物を用いることができる。
空気界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、本発明の液晶組成物に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜5質量%が最も好ましい。
[ハジキ防止剤]
本発明の液晶組成物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、本発明の液晶組成物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
本発明の液晶組成物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、本発明の液晶組成物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
[透明支持体]
光学補償フィルムの透明支持体として、ガラス板またはポリマーフィルム、好ましくはポリマーフィルムが用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。階調反転の緩和を重視する場合には、透明支持体として、光学等方性のポリマーフィルムを用いるのがより好ましい。光学等方性とは、具体的には、面内レターデーション値(Re値)が10nm未満であるものを意味し、5nm未満であることが好ましい。また、光学等方性透明支持体では、厚み方向のレターデーション(Rth)も、10nm未満であることが好ましく、5nm未満であることがさらに好ましい。透明支持体の面内レターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞれ下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
式中、nxおよびnyは、透明支持体の面内屈折率であり、nzは透明支持体の厚み方向の屈折率であり、そしてdは透明支持体の厚さである。
表示における視野角の拡大を重視する場合は、透明支持体として光学異方性のポリマーフィルムを用いると効果的な場合がある。すなわち、光学異方性層の光学異方性に透明支持体の光学異方性も加えて、液晶セルを光学的に補償する場合である。そのような場合、透明支持体は、光学的一軸性または光学的二軸性を有することが好ましい。光学的一軸性支持体の場合、光学的に正、すなわち、光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも大きくても、光学的に負、すなわち、光軸方向の屈折率が光軸に垂直な方向の屈折率よりも小さくてもよい。光学的二軸性支持体の場合、前記式の屈折率nx、nyおよびnzは、全て異なる値(nx≠ny≠nz)になる。光学異方性透明支持体の面内レターデーション値(Re値)は、10〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがさらに好ましく、10〜30nmであることが最も好ましい。光学異方性透明支持体の厚み方向のレターデーション値(Rth値)は、10〜200nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましく、10〜50nmであることがさらに好ましい。
透明支持体を形成する材料は、例えば、光学等方性支持体とするか、光学異方性支持体とするかに応じて決定することができる。光学等方性支持体の場合は、一般にガラスまたはセルロースエステルが用いられる。光学異方性支持体の場合は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂)が用いられる。ただし、欧州特許0911656A2号明細書に記載されている(1)レターデーション上昇剤の使用、(2)セルロースアセテートの酢化度の低下、あるいは(3)冷却溶解法によるフィルムの製造により、光学異方性の(レターデーションが高い)セルロースエステルフィルムを製造することもできる。ポリマーフィルムからなる透明支持体は、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
光学異方性透明支持体を得るためには、ポリマーフィルムに延伸処理を実施することが好ましい。光学的一軸性支持体を製造する場合は、通常の一軸延伸処理または二軸延伸処理を実施すればよい。光学的二軸性支持体を製造する場合は、アンバランス二軸延伸処理を実施することが好ましい。アンバランス二軸延伸では、ポリマーフィルムをある方向に一定倍率、例えば3〜100%、好ましくは5〜30%に延伸し、それと垂直な方向にそれ以上の倍率であって、例えば6〜200%、好ましくは10〜90%に延伸するのが好ましい。二方向の延伸処理は、一方ずつ行ってもよいし、同時に実施してもよい。延伸方向(アンバランス二軸延伸の場合は延伸倍率の高い方向)と延伸後のフィルムの面内の遅相軸とは、実質的に同じ方向になることが好ましい。ここで、実質的に同じ方向とは、延伸方向と遅相軸との角度は、10度未満であることが好ましく、5度未満であることがさらに好ましく、3度未満であることが最も好ましい。
[配向膜]
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性分子の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定する。液晶性分子を比較的水平(平均傾斜角:0〜50度)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(例えば、一般的な配向膜用ポリマー)を用いる。液晶性分子を比較的垂直(平均傾斜角:50〜90度)に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させるポリマーを用いる。配向膜の表面エネルギーを低下させるためには、ポリマーの側鎖に炭素原子数が10〜100の炭化水素基を導入することが好ましい。
具体的なポリマーの種類については、様々な液晶表示モードに対応する液晶性分子を用いた光学補償フィルムについての文献に記載がある。配向膜の厚さは、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。なお、配向膜を用いて、光学異方性層の液晶性分子を配向させてから、光学異方性層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定された液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。また、平均傾斜角が5度未満の配向の場合は、ラビング処理をする必要はなく、配向膜も不要である。ただし、液晶性分子と透明支持体との密着性を改善する目的で、界面で液晶性分子と化学結合を形成する配向膜(例えば、特開平9−152509号公報に記載のもの)を用いてもよい。密着性改善の目的で配向膜を使用する場合は、ラビング処理を実施しなくてもよい。二種類の光学異方性層を透明支持体の同じ側に設ける場合、透明支持体上に形成した光学異方性層を、その上に設ける光学異方性層の配向膜として機能させることも可能である。
[偏光膜]
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。偏光膜の面内の偏光軸は、棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向と、実質的に直交するように配置することが好ましい。
[透明保護膜]
透明保護膜としては、透明なポリマーフィルムが用いられる。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明は、TNモードの液晶表示装置において特に効果がある。TNモードの液晶セルは、最も広く普及しているカラーTFT液晶ディスプレイに利用されており、様々な文献に記載があり、これらに広く採用できる。
TNモード液晶表示装置では、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶セル中の液晶性分子は基板面に対して略平行に配向し、その配向方向は上下基板の間で90度捩れている。印加電圧を大きくしていくと液晶性分子は捩れを解消しながら基板面に対して垂直な方向に次第に立っていく。
液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.2〜0.5μmが好ましい。また液晶層のツイスト角(ねじれ角)は90度近傍(85度〜95度)が最適値となる。これらの範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。なお、これらの最適値は透過モードの値であり、反射モードでは液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δn・dの値は上記の1/2程度の値になり、この場合のツイスト角は30度〜70度が最適値となる。
本発明の液晶表示装置は、図2,3に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに本発明の液晶表示装置は、透過と反射のモードの両立をはかるため、表示装置の一画素の中で反射部と透過部を設けた半透過型であってもよい。
本発明の液晶表示装置には、例えば、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。
本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、STN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
図2に示す液晶表示装置の動作について、TNモードを例に挙げて説明する。本実施の形態では正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った例で説明する。TNモードでは、上下基板6a、6b間に誘電異方性が正で、屈折率異方性Δn=0.0854(589nm、20度C)、誘電率異方性Δε=+8.5程度の液晶をラビング配向させて液晶セルを作製する。液晶層の配向制御は配向膜とラビングにより制御する。液晶性分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角は、約3度とするのが好ましい。ラビング方向は上下基板と互いに直交する方向に施し、その強さとラビング回数などでチルト角の大きさが制御できる。配向膜はポリイミド膜を塗布後焼成して形成する。液晶層のツイスト角の大きさは、上下基板のラビング方向の交差角と液晶材料に添加するカイラル剤により決まる。ここではツイスト角が90度になるようにするためピッチ60μm程度のカイラル剤を添加する。液晶層の厚さdは5μmに設定してある。
また、液晶材料LCは、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性Δεは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減できるため好ましい。屈折率異方性Δnを小さくすると、液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、ギャップばらつきを効果的に少なくすることができる。また、Δnを大きくすると、セルギャップを小さくでき、より効果的に高速応答が可能となる。
上側偏光膜2bの偏光軸と下側偏光膜2aの偏光軸は概略直交に積層し、さらに液晶セルの上側偏光膜2bの偏光軸と上側基板6bのラビング方向は概略平行に、下偏光膜2aの偏光軸と下基板6aのラビング方向はそれぞれ概略平行になるように積層する。上基板6b及び下基板6aのそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶セル中の液晶性分子は基板面に対して略平行に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態は液晶性分子のねじれ構造に沿って伝播し、偏光面が90度回転して出射する。すなわち、液晶表示装置では非駆動状態において白表示を実現する。これに対し、駆動状態では液晶性分子は基板面に対してある角度をなす方向に配向しており、下側偏光膜2aを通過した光は、偏光状態を維持したまま液晶層7を通過し、偏光膜2bによって遮断される。換言すると、液晶表示装置では駆動状態において理想的黒表示が得られる。
[合成例1:ディスコティック液晶相を発現し重合性基を有する液晶化合物例D−8の合成]
下記スキームにしたがってD−8を合成した。
Figure 2006091551
文献記載の方法(Kim, Bong Giらの報告、Molecular Crystals and Liquid Crystals, 2001年, 370巻, 391頁)に従い合成した(D−3)5.0gをCH2Cl2100mlに溶解させ、三臭化ホウ素(1.0MCH2Cl2溶液)75mlを添加した。40℃で12時間撹拌後、反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。この結晶を乾燥することで、トリヒドロキシ体を3.0g得た。
3−ブロモ−1−プロパノール5gをジメチルアセトアミド20mlに溶解後、アクリロイルクロライド3.8mlを、反応温度40℃以下で滴下した。1時間攪拌後、水200mlを加え酢酸エチル/ヘキサンで抽出した。分液後、有機層を留去し、上記トリヒドロキシ体0.5g、炭酸カリウム2.0gおよびジメチルホルムアミドを加え、100℃で10時間攪拌した。
反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出後、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、D−8の白色の結晶0.8gを得た。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
2.15−2.30(6H、m)
4.18(6H、t)
4.43(6H、t)
5.86(3H、d)
6.16(3H、dd)
6.45(3H、d)
7.08(6H、d)
8.16(6H、d)
9.02(3H、s)
得られたD−8の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき125℃付近で結晶相からディスコティックネマチック相に転移し、149℃を超えると等方性液体相に転移した。すなわち、D−8は125℃から149℃の間でディスコティックネマチック相を呈することが分かった。
[合成例2:棒状液晶相を発現する板状液晶化合物例TO−3の合成]
下記スキームにしたがってTO−3を合成した。
Figure 2006091551
(m−4Aの合成)
ブロモハイドロキノン25.0gをピリジン(Py)70mlに溶解させ、反応温度50℃以下で無水酢酸(AcO)37mlを滴下した。3時間攪拌後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和重曹水、希塩酸、水、飽和食塩水で洗浄したのち、溶媒を減圧留去した。ヘキサンで結晶化させ、m−4Aの結晶32.2gを得た。
(m−4Bの合成)
m−4A 32.2g、トリメチルシリル(TMS)アセチレン17.4g、トリフェニルホスフィン0.5g、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.25gおよびヨウ化銅(I)80mgをトリエチルアミン200mlに溶解させ、窒素雰囲気下で10時間還流した。冷却後、析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、有機層を減圧留去した。得られた残査をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、m−4Bの結晶32.0gを得た。
(m−4Cの合成)
m−4B 32.0gをテトラヒドロフラン200mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオラド(TBAF)のテトラヒドロフラン溶液(1.0M溶液)を120ml添加し、室温で30分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、m−4Cの結晶20.5gを得た。
(TO−3Aの合成)
2,3−ジシアノハイドロキノン20.4gをt−ブタノール150mlに溶解させ、NBS(N−ブロモスクシンイミド)22.6gを添加後、室温で4時間攪拌した。反応液を水1Lに加え、析出した結晶を濾過後、濾液に濃塩酸を加え酢酸エチルで抽出を行った。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3A 8.5gを得た。
(TO−3Bの合成)
TO−3A 8.0gをテトラヒドロフラン50mlに溶解させ、ピリジン(Py)25mlと無水酢酸(Ac2O)20mlを滴下した。12時間攪拌後、反応液を水1Lに加え、析出した結晶を濾別し乾燥した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3B 9.7gを得た。
(TO−3Cの合成)
TO−3B 3.0g、上記に従って得られたm−4c 2.43g、トリフェニルホスフィン60mg、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド30mgおよびヨウ化銅(I)10mgをトリエチルアミン100mlに溶解させ、窒素雰囲気下、60℃で5時間加熱した。冷却後、反応液にメタノールを加え、析出した結晶を濾別し乾燥した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、TO−3C 1.7gを得た。
(TO−3Dの合成)
TO−3C 1.7gをテトラヒドロフラン40mlに溶解させ、窒素バブリング下でナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)5mlとメタノール20mlを添加した。室温で30分攪拌後、希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を減圧留去し、TO−3D 1.0gを得た。
(TO−3の合成)
メタンスルホニルクロライド0.43gをテトラヒドロフラン10mlに溶解させ0℃に冷却した。この溶液に4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)安息香酸1.0g、ジイソプロピルエチルアミン0.51gのテトラヒドロフラン10ml溶液を滴下した。0℃で1時間撹拌後、ジイソプロピルエチルアミン0.51g,4−ジメチルアミノピリジン0.02gを添加し、次いで、TO−3D 0.14gのテトラヒドロフラン10ml溶液を添加した。室温で12時間撹拌後、反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出した。減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、TO−3の白色の結晶0.32gを得た。得られたTO−3のNMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
1.70−1.90(8H、m)
1.90−2.00(8H、m)
3.90−4.00(4H、m)
4.08−4.18(4H、m)
4.19−4.30(8H、m)
5.80−5.90(4H、m)
6.07−6.20(4H、m)
6.36−6.48(4H、m)
6.90−7.05(9H、m)
7.25(1H、dd)
7.32(1H、d)
7.47(1H、d)
8.06−8.20(8H、m)
得られたTO−3の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき122℃付近で結晶相からネマチック液晶相に変わり、195℃を超えると等方性液体相に変わった。すなわち、TO−3は122℃から195℃の間でネマチック液晶相を呈する。
実施例1
[二軸性ネマチック相の確認]
(D−8)0.225gと(TO−3)0.100gをCH2Cl2に溶解後、溶媒を蒸発させ、(BAmix−1)を得た。(BAmix−1)は、偏光顕微鏡における観察から、150℃からの降温時に100℃以下でネマチック相を発現することが明らかとなった。
次に、この(BAmix−1)を5μmのセルギャップの水平配向セル((株)EHC製;KSRP-05/A107M1NSS(ZZ))に110℃で注入し、100℃に冷却すると、ネマチック相に転移してホメオトロピック配向して暗視野となった。さらに80℃まで温度を下げると、液晶の転移が起こり二軸性ネマチック相に転移した。80℃の状態で3分間で維持し、レターデーションの角度依存性の測定を行い、(nx−nz)/(nx−ny)を求めたところ、4.0であった。
実施例2
(第一下塗り層/透明支持体/第二下塗り層の作製)
トリアセチルセルロースフィルム(厚さ100μm)(製造元:富士写真フイルム(株)、品番:フジタックTD-80U)を透明支持体として用いた。透明支持体のReは1nmであり、Rthは48nmであった。透明支持体の両面に、厚さ0.1μmのゼラチンを塗布して第一、第二下塗り層を形成した。
(第一配向膜の作製)
第一下塗り層の上に、下記の変性ポリビニルアルコール2重量%およびグルタルアルデヒド0.1重量%の水溶液を塗布、80℃の温風にて乾燥した後、ラビング処理を施して、第一配向膜を形成した。
Figure 2006091551
(第一の光学異方性層の形成)
前記で作製したラビングした配向膜上に、下記の組成を有する光学異方性層塗布液をスピンコーターを用いて塗布した。
(光学異方性層塗布液)
・前記液晶化合物 D−8 69.2質量部
・前記液晶化合物 TO−3 30.8質量部
・下記空気界面配向制御剤 V−(1) 0.2質量部
・クロロホルム 700質量部
Figure 2006091551
上記の光学異方性層を塗布した透明支持体を、130℃の恒温槽中に入れ、120℃まで加熱し、その後、95℃まで冷却し、その温度で2分間保持する。次に酸素濃度2%の80℃の恒温槽に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定する。その後室温まで放冷した。光学異方性層の厚さは1.2μmである。得られる位相差板のレターデーションの角度依存性の測定を行ったところ、ny方向およびnz方向が膜厚方向で変化している。
(第二配向膜の作製)
透明支持体の反対側の面、第二下塗り層上に、市販のポリイミド配向膜溶液(SE−5291、日産化学(株)製)を#5のバーコーターを用いて塗布し、80℃で15分間、さらに130℃で60分間加熱し、ラビング処理を行い厚さ0.4μmの第二配向膜を形成した。第二配向膜のラビング方向は、第一配向膜のラビング方向と直交させた。
(第二の光学異方性層の作製)
棒状液晶性分子(2)100重量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)1.0重量部および光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.3重量部を、メチレンクロライド900重量部に溶解して、塗布液を調製した。塗布液を第二配向膜の上に塗布、乾燥した。110℃で5分間加熱して、棒状液晶性分子を配向させた。さらに500mJ/cm2 の紫外線を照射して、棒状液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。第二の光学異方性層について、エリプソメーターを用いて、面内レターデーション(Re)を測定し、その角度依存性から平均傾斜角βを求めたところ、棒状液晶性分子の平均傾斜角は、67度であった。
Figure 2006091551
(第一の光学異方性層/第一配向膜/第一下塗り層/透明支持体/第二下塗り層/第二配向膜/第二の光学異方性層/偏光膜/透明保護膜からなる楕円偏光板の作製)
上記の光学補償フィルムに透明保護膜と偏光膜とを積層して、楕円偏光板を作製した。第二の光学異方性層の光学軸(棒状液晶性分子の長軸方向を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向)と偏光膜の偏光軸とは直交になるように配置した。
(液晶表示装置の作製)
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。スペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向き合うように重ねた。二枚の基板は、配向膜のラビング方向が直交するように配置した。基板の間隙に、棒状液晶分子(ZL4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶層を形成した。棒状液晶分子のΔndは420nmであった。
以上のように作製したTN液晶セルの両側に、実施例2で作製した光学補償シート二枚を第一の光学異方性層が液晶セルの基板と対面するように貼り付ける。
さらにそれらの外側に、偏光板二枚を貼り付けて液晶表示装置を作製する。光学補償シートの配向膜のラビング方向と、それに隣接する液晶セルの配向膜のラビング方向とは、反平行になるように配置する。また、偏光板の吸収軸と、液晶セルのラビング方向とは平行になるように配置する。
その結果、視野角を広げられることおよび着色が見られないことが確認できる。
実施例3
実施例2の第一の光学異方性層の作製を以下の方法で行った以外は同様の液晶表示装置を作製した。
(第一の光学異方性層の作製)
下記の円盤状液晶化合物(1)1.8g、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.15g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.03g、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)0.06gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを、3.43gのメチルエチルケトンに溶解して、塗布液を調製した。第一配向膜の上に、塗布液を#3のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて固定した状態で、120℃の恒温槽中で3分間加熱し、円盤状液晶性分子を配向させた。120℃の温度を維持しながら、120W/cmの高圧水銀灯用いて、1分間紫外線を照射し、円盤状液晶性分子のビニル基を重合させ、配向状態を固定した。その後、室温まで冷却した。形成した第一の光学異方性層の厚さは、0.8μmであった。
Figure 2006091551
[比較例1]
実施例2の第二配向膜および第二の光学異方性層を抜いたところ以外は同様の液晶表示装置を作成した。
[比較例2]
実施例2の液晶表示装置から光学補償フィルム二枚を取り除いた液晶表示装置を作成した。
上記のようにして作成した液晶表示装置の光学特性を、ファンクションジェネレーター(FG−281:ケンウッド・ティー・エム・ケイ社製)を用いて電圧を印加し、変角ゴニオフォトメーター(GSP−3B:村上色彩技術研究所製)用いて測定を行った。電圧は、正面の黒表示(L0)と白表示(L7)輝度を等間隔にきった8階調での輝度−視野角特性およびコントラスト−視野角特性を測定した。垂直方向下側における輝度L1とL2の交差する角度(階調反転の発生する角度)およびコントラスト比 20:1 が得られる視野角範囲を表1に示す。
Figure 2006091551
表中の下方向階調反転角は、表示面の法線方向(0度)から見た黒表示(L0)と白表示(L7)の輝度を8等分割した(L0〜L7)において、法線から表示下方向へ視点を下げて行く時L1とL2の輝度が等しくなる角度を意味する。
発明は、上下視野角においても左右視野角においても、下方向階調反転角においても、位相差フィルム無しにも、単なる2軸ハイブリッド配向フィルムにも優れている。
傾斜角度を示す模式図である。 透過型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。 反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である。
符号の説明
BL バックライト
1a、1b、1c 透明保護膜
2a、2b 偏光膜
3a、3b 第二の光学異方性層
4a、4b 透明支持体
5a、5b 第一の光学異方性層
6a 液晶セルの下基板
6b 液晶セルの上基板
7 棒状液晶性分子
8 反射板

Claims (10)

  1. 透明支持体、第一の光学異方性層及び第二の光学異方性層を任意の順に積層した層からなる光学補償フィルムにおいて、第一の光学異方性層は、二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物からなり、第二の光学異方性層は、一軸性液晶分子からなることを特徴とする光学補償フィルム。
  2. 第一の光学異方性層が、透明支持体面に対して主軸が傾斜している二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 第一の光学異方性層が、透明支持体面に対して主軸が傾斜している二軸性ネマチック相を発現する液晶組成物からなり、傾斜角が透明支持体の面との距離に伴って一方向に変化することを特徴とする請求項2に記載の光学補償フィルム。
  4. 第二の光学異方性層が、透明支持体面に対して液晶の光学軸が傾斜している一軸性液晶性分子からなり、傾斜角が透明支持体の面との距離に伴って一方向に変化することを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
  5. 第一の光学異方性層、透明支持体、第二の光学異方性層をこの順に積層したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  6. 透明支持体、第一の光学異方性層、第二の光学異方性層をこの順に積層したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  7. 第一の光学異方性層が棒状液晶性分子からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  8. 第一の光学異方性層が円盤状液晶性分子からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
  9. 少なくとも、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学補償フィルムと、偏光膜と、透明保護膜とからなる楕円偏光板において、前記第二の光学異方性は、第一の光学異方性層より偏光膜に近い位置に積層されていることを特徴とする楕円偏光板。
  10. 少なくとも、TNモードの液晶セルと当該液晶セルの両側に配置された二枚の偏光素子からなる液晶表示装置であって、前記二枚の偏光素子が、少なくとも、請求項9に記載の楕円偏光板からなることを特徴とする液晶表示装置。
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