JP2005122155A - 位相差板、楕円偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

位相差板、楕円偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 波長分散特性を悪化させず且つ高いΔnを有する液晶性化合物を用いて形成される位相差板を提供すること。さらには、該位相差板を用いた楕円偏光板および液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層がハイブリッド配向した例えば下記式で表される液晶性化合物を用いて形成される光学異方性層であることを特徴とする位相差板。
【化35】
Figure 2005122155

【選択図】 なし

Description

本発明は、高いΔnを有する液晶性化合物から形成される光学異方性層を有する位相差板、該位相差板を用いた楕円偏光板ならびに液晶表示装置に関する。
光学異方性層は、円盤状液晶性分子(ディスコティック液晶性分子)を配向させ、その配向状態を固定することにより形成する。円盤状液晶性分子は、一般に大きな複屈折率を有する。そして、円盤状液晶性分子には、多様な配向形態がある。円盤状液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を有する位相差板を製造することが可能になる。非特許文献1には、負の複屈折を有するトリフェニレン系円盤状液晶性分子が開示されている。この液晶性分子を位相差板に利用するためには、光学異方性層を構成する分子全体を均一に配向させる必要がある。すなわち、円盤状液晶性分子は、モノドメイン配向させることが望ましい。しかし、従来の円盤状液晶性分子はデュアルドメイン配向するため、ドメインの境界に配向欠陥が生じる。そのため、従来の円盤状液晶性分子では、位相差板に利用できる程度の光学的性質が得られない場合が多かった。光学的性質は、円盤状液晶性分子の化学構造に依存している。そこで、必要とする光学的性質を得るため、多くの種類の円盤状液晶性分子が研究、開発されている。例えば、特許文献1では、透明支持体上に円盤状液晶性分子を含む光学異方性層を有する位相差板を使用することが提案されている。
特許文献2および特許文献3の各公報には、位相差板の光学異方性層の形成に適した円盤状液晶性分子として、2,3,6,7,10,11−ヘキサ{4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ}トリフェニレンが開示されている。
ところで、位相差板のレターデーション値(Δnd)は、補償しようとする液晶セルの光学的性質に応じて決定する。レターデーション値(Δnd)は、光学異方性層の屈折率異方性(Δn)と光学異方性層の厚さ(d)との積である。光学異方性層の屈折率異方性(Δn)が大きければ、層の厚さ(d)が薄くても液晶セルを補償できる。光学異方性層の厚さは、薄い方が配向欠陥を生じにくく、しかも、配向に要する時間も短い利点を有する。しかし、特許文献4および特許文献5の各公報に記載の円盤状液晶性化合物では、充分に大きな屈折率異方性(Δn)を有する光学異方性層を形成することは、非常に困難であった。また、特許文献6には大きな屈折率異方性を有する円盤状液晶が開示されているが、波長分散特性が悪化しており、即ち波長分散性が大きく(換言すれば、波長分散値が大きい)なり、性能改良は不十分であった。一般に波長分散特性と屈折率異方性はトレードオフの関係にあり、屈折率異方性を大きくすると波長分散特性は悪化する。この波長分散特性の悪化は、位相差板の性能の一つであるカラー表示での色味変化を悪化させるため、好ましくない。そのため、屈折率異方性を大きくすると波長分散特性は悪化するというトレードオフから脱却する技術の開発が望まれていた。
また、円盤状液晶相は、円盤状分子の中心コアが分子間力で柱状に積み重なった柱状相(columnar phase)と、円盤状分子が乱雑に凝集した円盤状ネマティック相(ND相)と、カイラル円盤状ネマティック相とに大別できることが知られている。しかし、W.H.de jeu著のPhysical properties of liquid crystalline materials(1980 by Gordon and Breach,Science Publishers)に記載されている様に、柱状ネマティック相はしばしば見出されるが、円盤状ネマティック相は稀にしか見出されていない。また、これまでトリフェニレン化合物においては、2,3,6,7,10および11位に置換ベンゾイルオキシ基やシンナモイルオキシ基等で置換した化合物でしか、円盤状ネマティック相は見出されていない。
また、非特許文献2には本発明に係る液晶性化合物と類似の構造を有する化合物が開示されているが、光学性能に関しては全く開示されていない。更に、この化合物を位相差板等へ応用した報告はこれまでなされていなかった。
Molecular Crystals and Liquid Crystals、84巻、193頁(1982年) 特開平8−50206号公報 特開平7−306317号公報 特開平9−104866号公報 特開平7−306317号公報 特開平9−104866号公報 特開2001−166147号公報 Molecular Crystals and Liquid Crystals、370巻、391頁(2001年)
本発明の目的は、波長分散特性を悪化させず且つ高いΔnを有する液晶性化合物を用いて形成される光学異方性層を有する位相差板を提供することである。また、本発明は、該位相差板を用いた楕円偏光板および液晶表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
(1)少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層がハイブリッド配向した下記一般式(I)で表される液晶性化合物を用いて形成される光学異方性層であることを特徴とする位相差板。
一般式(I)
Figure 2005122155
一般式(I)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、またはイミノを表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基、またはシリル基を表す。
(2)上記液晶性化合物が下記一般式(II)で表されることを特徴とする(1)記載の位相差板。
一般式(II)
Figure 2005122155
一般式(II)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、またはイミノを表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(V)を表す。
一般式(V)
Figure 2005122155
一般式(V)中、*は一般式(II)中の5員環に結合する位置を表す。R4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。L6は**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH2−を表し、**は一般式(V)中のベンゼン環に結合する位置を表す。R5は水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基を表す。mは2から16の整数を表す。lは0〜4の整数を表す。R6は水素原子またはメチル基を表す。
(3)(1)または(2)に記載の位相差板と偏光膜とを有することを特徴とする楕円偏光板。
(4)(1)または(2)に記載の位相差板、または(3)に記載の楕円偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、波長分散特性を悪化させず且つ高いΔnを有する液晶性化合物を用いて形成される光学異方性層を有する位相差板を提供することができる。
また、該位相差板を用いた楕円偏光板および液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
[液晶性化合物]
本発明に係る液晶性化合物は、下記一般式(I)で表される。
一般式(I)
Figure 2005122155
一般式(I)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。
11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26がメチンの場合は、メチンは置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換または無置換のアミノ基(例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基が挙げられる)、アリールスルホニルアミノ基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、アルキルスルホニル基(例えば、メシル基などが挙げられる)、アリールスルホニル基(例えば、トシル基などが挙げられる)、アルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基などが挙げられる)、アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。
これらのなかでも、メチンの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数は1乃至12のアルキル基、炭素数は1乃至12のアルコキシ基、炭素数は2乃至12アルコキシカルボニル基、炭素数は2乃至12アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が最も好ましい。
一般式(I)中、X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、イミノを表す。X1、X2、X3が、メチレン、イミノの場合は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上記メチンの置換基として挙げたものが好ましい。これらの置換基はさらに置換されていてもよく、その場合の置換基もメチンの置換基が有してもよい置換基として挙げたものと同じである。
一般式(I)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基である。L1、L2、L3が二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR7−,−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1、L2、L3で表される二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基である。二価の環状基は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。環状基は、芳香族環、および複素環が好ましい。
1、L2、L3で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
1、L2、L3で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至16のアルキル基、炭素原子数が1乃至16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至16のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至16のアシル基、炭素原子数が1乃至16のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至16のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2、L3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−、*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−が好ましい。*は一般式(I)中のY11、Y12およびY13を含む6員環に結合する位置を表す。
一般式(I)中、R1、R2、R3は、それぞれ独立にアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換または無置換のアミノ基(例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アルキルスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基が挙げられる)、アリールスルホニルアミノ基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、アルキルスルホニル基(例えば、メシル基などが挙げられる)、アリールスルホニル基(例えば、トシル基などが挙げられる)、アルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基などが挙げられる)、アリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(例えば、無置換のウレイド基、3−メチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)を表す。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。
1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(III)で表されるものが更に好ましい。
一般式(III) *−L11−Q
一般式(III)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
Qはそれぞれ独立に重合性基またはメチル基である。本発明の位相差板を含め、一般式(I)で表される化合物を光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学フィルムに用いる場合には、Qは重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2005122155
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基または開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 2005122155
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては、R1、R2、R3として挙げたものが挙げられる。Rとしては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)のなかでも、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基またはオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
一般式(III)中、L11は二価の連結基である。L11は、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR7−,二価の鎖状基,二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
11で表される二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基,置換アルキニレン基を意味する。なかでも、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
11で表される二価の鎖状基としてのアルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基としてのアルケニレン基は、主鎖中に置換または無置換のアルキレン基を有してもよく、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基としてのアルキニレン基は、主鎖中に置換または無置換のアルキレン基を有してもよく、アルキニレン基の炭素数は2乃至16であることが好ましく、2乃至14であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
11で表される二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、1−メチル−1,4−ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、2−ブテニレンおよび2−ブチニレンなどが挙げられる。
11で表される二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基である。二価の環状基は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
11で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
11で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至16のアルキル基、炭素原子数が1乃至16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至16のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至16のアシル基、炭素原子数が1乃至16のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至16のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至16のアシルアミノ基が含まれる。
1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(IV)で表されるものが更に好ましい。
一般式(IV) *−L21−二価の環状基−L22−Q1
一般式(IV)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
1は、一般式(III)のQの定義と同様である。
21は単結合または二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−,−S−,−C(=O)−,−NR7−,−CH=CH−、−C≡C−、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
21は単結合、および、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−(ここで、*は一般式(IV)中の*側を表す)が好ましい。
一般式(IV)中の二価の環状基は、一般式(III)中の二価の環状基の定義と同様である。
一般式(IV)中、L22は、一般式(III)のL11の定義と同様である。
22で表される二価の連結基の例を以下に示す。ここで、右側が一般式(IV)中の二価の環状基に、左側がQ1に結合する。
L−1:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−2:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−3:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−4:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−NR7
L−5:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−6:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−7:−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−8:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−9:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−10:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−11:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−NR7
L−12:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−13:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−14:−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−15:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−
L−16:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−17:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−18:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−CO−NR7
L−19:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−20:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−21:−二価の鎖状基−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−22:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−23:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−24:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−25:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−NR7
L−26:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−27:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−28:−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−29:−二価の鎖状基−
L−30:−二価の鎖状基−O−
L−31:−二価の鎖状基−CO−O−
L−32:−二価の鎖状基−O−CO−
L−33:−二価の鎖状基−CO−NR7
L−34:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−
L−35:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−
L−36:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−CO−O−
L−37:−二価の鎖状基−O−二価の鎖状基−O−CO−
上記のうち、L−2,L−3,L−9,L−10,L−16,L−17,L−23,L−24,L−30,L−31,L−32,L−35,L−36,L−37が好ましい。
1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(V)で表されるものが最も好ましい。
一般式(V)
Figure 2005122155
一般式(V)中、*は一般式(I)中の5員環に結合する位置を表す。
4はそれぞれ独立にハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基を表す。好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜4のアシル基、炭素原子数2〜4のアシルオキシ基、炭素原子数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
lは0〜4の整数を表し、好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。lが2以上の場合、複数のR4で表される基はそれぞれ異なっていてもよい。
6は**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH2−を表し、**は一般式(V)中のベンゼン環に結合する位置を表す。
5は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基を表し、より好ましくは水素原子もしくはメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
mは2から16の整数を表し、好ましくは2から12の整数である。ここで、mが5以上の整数の場合、1つの−CH−は−O−に置き換えられていも良い。またmが8以上の場合、1つもしくは2つの−CH−は−O−に置き換えられていも良い。ただし、−CH−を−O−に置き換えた場合、−O−にR5は連結しないものとする。
6は水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
以下に、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005122155
Figure 2005122155
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Figure 2005122155
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本発明に係る液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが望ましい。モノドメイン性が悪い場合には、得られる構造がポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになる。良好なモノドメイン性を示すと、位相差板が高い光透過率を有しやすくなる。
本発明に係る液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相およびディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示すディスコティックネマチック相(ND相)が最も好ましい。
本発明に係る液晶性化合物は、液晶相を20℃〜300℃の範囲で発現することが好ましい。さらに好ましくは40℃〜280℃であり、最も好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(具体的に例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
[光学異方性層]
本発明における光学異方性層は、本発明に係る液晶性化合物が配向した状態を含む。従って、光学異方性層は、液晶性化合物の配向に基づく光学異方性を示す。
光学異方性層は、本発明に係る液晶性化合物とともに、その配向を制御するのに寄与する材料、配向状態を固定するのに寄与する材料等、他の材料を含有する組成物から形成してもよい。本発明に従う液晶性化合物は一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することによりその液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化することができる。また、本発明に従う液晶性化合物は、重合開始剤を添加した組成物を液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによっても固定化することができる。本発明で配向状態が固定化された状態とは、その配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、該層に流動性がなく、且つ外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を指すものである。
なお、配向状態が最終的に固定化された際に、液晶性組成物はもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶性化合物として重合性化合物を用いた場合、結果的に熱、光等での反応により重合または架橋反応が進行し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。
[光学異方性層の形成方法]
光学異方性層は、例えば、液晶性化合物を可溶できる溶媒に溶解して調製した塗布液を、支持体上に形成され且つ配向性が付与された配向膜上に塗布し、次いで、25℃〜130℃において用いた溶媒を乾燥すると同時に、液晶性化合物を配向させ、更に、所望により紫外線照射等によって固定化することによって形成されることができる。
このようにして形成された光学異方性層の厚さは、用途に応じて、例えば、最適なレターデーションの値に応じて、その好ましい範囲も異なるが、一般的には、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがさらに好ましい。
[光学異方性層の添加剤]
光学異方性層の形成にあたり、本発明に係る液晶化合物に加えることが可能な添加剤としては、例えば、特開特開2002−98828号公報に記載のディスコティック液晶性分子および後述する空気界面配向制御剤、配向膜界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。
光学異方性層の添加剤は、1〜20質量%含有することが好ましく、2〜50質量%含有することが最も好ましい。
[空気界面配向制御剤]
液晶性化合物は、空気界面においては空気界面のチルト角で配向する。このチルト角は、液晶化合物の種類によりその程度が異なるために、目的に応じて、空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
このチルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができるが、添加剤を用いることが好ましい。
このような添加剤としては、炭素原子数が6〜40の置換または無置換脂肪族基もしくは炭素原子数が6〜40の置換または無置換脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を、分子内に1本以上有する化合物が好ましく、分子内に2本以上有する化合物がさらに好ましい。例えば、空気界面配向制御剤としては、特開2002−20363号公報に記載の疎水性排除体積効果化合物を用いることができる。
空気界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、液晶性化合物に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜5質量%が最も好ましい。
[配向膜界面配向制御剤]
液晶性化合物は、配向膜界面においては配向膜界面のチルト角で配向する。このチルト角は、液晶化合物の種類によりその程度が異なるために、目的に応じて、配向膜界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
このチルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができるが、添加剤を用いることが好ましい。
このような添加剤としては、分子内に極性基を有する化合物が好ましい。極性基を有する化合物としては、例えば、−OH、−NH2、−COOH、−SO3H基やオニウム塩を分子内に有する化合物を挙げることができる。具体的に例えば特開2004−101920に記載の添加剤を用いることができる。
配向膜界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、本発明に係る液晶性化合物に対して、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.005質量%〜5質量%がさらに好ましく、0.01質量%〜2質量%が最も好ましい。
[ハジキ防止剤]
本発明に係る液晶性化合物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。使用するポリマーとしては、本発明に係る液晶性化合物のチルト角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。本発明に係る液晶性化合物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、円盤状化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
[重合開始剤]
本発明では、液晶性化合物はモノドメイン配向、つまり実質的に均一に配向している状態で固定されていることが好ましく、そのため重合性の液晶性化合物を用いている場合には重合反応により液晶性化合物を固定することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応と電子線照射による重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)等が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ〜50J/cm2であることが好ましく、50mJ〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達しない場合には、窒素置換等の方法により酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。
[重合性モノマー]
本発明に係る液晶性化合物とともに使用する重合性モノマーとしては、本発明に係る液晶性化合物と相溶性を有し、本発明に係る液晶性化合物のチルト角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0〜30質量%の範囲にあり、0〜20質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
[塗布方式]
光学異方性層は、下記溶媒を用いて液晶組成物の塗布液を調製し、例えば配向膜上に塗布し、液晶性化合物を配向処理することで形成する。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[塗布溶剤]
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド、エステルおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
[配向膜]
本発明における光学異方性層は、本発明に係る液晶性化合物が配向した状態を含む。液晶性化合物を配向させる方法としては、例えば、電場や磁場のような外場を用いる方法や配向膜を用いる方法を挙げることができるが、本発明においては、配向膜を用いることが好ましい。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜上に設けられる光学異方性層の液晶性化合物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理もしくは、光照射により形成される配向膜が好ましい。特にポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフィルム(または透明支持体)上に転写しても良い。配向状態の固定された液晶性化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。そのため、位相差板では、配向膜は(位相差板の製造において必須であるが)必須ではない。
液晶性化合物を配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを調節するポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは位相差板について種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶性化合物と支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることが好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。
[配向膜のラビング密度]
配向膜のラビング密度と配向膜界面での液晶性化合物のチルト角との間には、ラビング密度を高くするとチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとチルト角は大きくなる関係があることが多いため、配向膜のラビング密度を変えることで、配向膜界面のチルト角の調整をすることができる場合が多い。配向膜のラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会編(丸善(株)、2000年)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl{1+(2πrn/60v)}
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
[配向状態]
本発明における光学異方性層は、ハイブリッド配向した液晶性化合物を用いて形成される。ここで、ハイブリッド配向とは、膜厚方向で液晶性化合物のチルト角が連続的に変化している状態を表す。
このようなハイブリッド配向を実現するためには、ディスコティックネマチック相をハイブリッド配向させることが好ましい。またハイブリッド配向させた後その配向状態を重合反応を用い固定化することが好ましい。
液晶性化合物は支持体上(更に好ましくは配向膜上)に塗布された後、例えば加熱することで液晶相を発現させるため、液晶性化合物は支持体側の界面では支持体面または塗布膜界面(配向膜を設けた場合には配向膜界面)のチルト角(換言すれば支持体面の方向と液晶性化合物の円盤面方向(本発明に係る液晶性化合物は円盤状の形状を有する)のなす角)で配向し、空気との界面では空気界面のチルト角で配向することとなる。
本発明において、光学異方性層の平均のチルト角(支持体面の方向と液晶性化合物の円盤面方向のなす角)は、10〜70°が好ましく、特に20〜60°が好ましい。
また、それぞれの界面におけるチルト角は、空気界面のチルト角が0〜50°且つ支持体側界面のチルト角が20〜90°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面のチルト角が0〜50°且つ空気界面のチルト角が20〜90°の組み合わせが好ましい。特に、空気界面のチルト角が0〜40°且つ支持体側界面のチルト角が40〜80°の組み合わせ、もしくは、支持体側界面のチルト角が0〜40°且つ空気界面のチルト角が40〜80°の組み合わせが好ましい。
[位相差板]
本発明の位相差板は、本発明に従う円盤状化合物から形成された光学異方性層を有する。ここで、光学異方性層は、本発明に係る液晶性化合物と、必要に応じて他の添加剤とを含有する組成物を配向膜上に塗布した後、上記のように液晶状態の配向状態で固定化することで作製することができる。なお、配向膜上で液晶性分子を配向状態に固定した後は、他の支持体上に転写可能である。配向状態で固定化された液晶性化合物は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。従って、位相差板は、配向膜を有していなくてもよい。前記光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜5μmであることがさらに好ましく、0.5〜3μmであることが最も好ましい。
[透明支持体]
位相差板は、支持体を有していてもよく、該支持体は、透明支持体であるのが好ましい。前記支持体は、主に光学的等方性で、分光光度計((株)島津製作所製UV−2550)を用いて、透過率の測定を行った場合、400nm〜700nmの波長において、光透過率が80%以上であれば、特に材料の制限はないが、ポリマーフィルムが好ましい。
ポリマーの具体例として、セルロースエステル類(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリレートエステル類のフィルムなどを挙げることができ、多くの市販のポリマーを好適に用いることが可能である。このうち、光学性能の観点からセルロースエステル類が好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下脂肪酸で、炭素原子数は、2、3、4であることが好ましい。具体的には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートまたはセルロースブチレートがあげられる。この中でも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても国際公開第00/26705号パンフレットに記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
以下、透明支持体として好ましく使用されるセルロースエステルについて詳述する。
セルロースエステルとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位、6位の水酸基が全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。セルロースの6位水酸基の置換度が、2位、3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%〜40%でアシル基で置換されていることが好ましく、さらには31%以上、特に32%以上であることが好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基(例、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、ベンゾイル、アクリロイル)で置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。6位水酸基の置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアセテートフィルムは、レターデーション値を調整するために、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することも可能である。このようなレターデーション上昇剤を使用する場合、レターデーション上昇剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。レターデーション上昇剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環および1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。このようなレターデーション上昇剤については国際公開第01/88574号パンフレット、国際公開第00/2619号パンフレット、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、特願2002−70009号明細書等に記載されている。
セルロースアセテートフィルムは、調製されたセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加してもよい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
ドープは、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解する。セルロースアシレートを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし、地球環境や作業環境の観点では、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて、ドープを2層以上流延することによりフィルム化することもできる。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフィルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによりフィルム化してもよい。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、高粘度および低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルムの流延方法を用いてもよい。
セルロースアセテートフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーション値を調整することができる。延伸倍率は、0〜100%の範囲にあることが好ましい。セルロースアセテートフィルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジ−2−エチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、o−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびo−アセチルクエン酸、トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
セルロースアセテートフィルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフィルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースアセテートフィルムの表面処理は、配向膜などとの接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
アルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0 mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0 mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
また、セルロースアセテートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60〜75mN/mの範囲にあることがさらに好ましい。
セルロースアセテートフィルムの厚さは、通常5〜500μmの範囲が好ましく、20〜250μmの範囲が好ましく、30〜180μmの範囲がより好ましく、30〜110μmの範囲が特に好ましい。
本発明の位相差板は、偏光膜と組み合わせて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型、反射型、および半透過型液晶表示装置に、偏光膜と組み合わせて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。以下に、本発明の位相差板を利用した楕円偏光板および液晶表示装置について説明する。
[楕円偏光板]
位相差板と偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。位相差板を利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大し得る楕円偏光板を提供することができる。前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
偏光膜は、位相差板の光学異方性層側に積層する。偏光膜の位相差板を積層した側と反対側の面に透明保護膜を形成することが好ましい。透明保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の位相差板の利用により、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。液晶表示装置は、通常、液晶セル、偏光素子および位相差板(光学補償シート)を有する。前記偏光素子は、一般に偏光膜と保護膜からなり、偏光膜と保護膜については、上記楕円偏光で説明したものを用いることができる。TNモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)は、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用位相差板は、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用位相差板は、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用位相差板は、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用位相差板は、特許番号第2866372号公報に記載がある。
本発明では、前記記載の公報を参考にして各種のモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)を作製することができる。本発明の位相差板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードのような様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができるが、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optically Compensatory Bend)モードの液晶表示装置の光学補償に特に効果がある。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(合成例1)
下記スキームにしたがってD−9を合成した。
Figure 2005122155
文献記載の方法(Kim, Bong Giらの報告、Molecular Crystals and Liquid Crystals, 2001年, 370巻, 391頁)に従い合成した(D−3)5.0gをCH2Cl2 100mlに溶解させ、三臭化ホウ素(1.0M CH2Cl2溶液)75mlを添加した。40℃で12時間撹拌後、反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。この結晶を乾燥することで、トリヒドロキシ体を3.0g得た。
4−ヒドロキシブチルアクリレート6.5gとトリエチルアミン8.0gを酢酸エチル100mlに溶解後、メタンスルホニルクロライド4.2gを酢酸エチル50ml溶解した溶液を、反応温度30℃以下で滴下した。0.5時間攪拌後、水100mlを加え酢酸エチル層を洗浄した。分液後、酢酸エチル層を留去し、上記トリヒドロキシ体0.5g、炭酸カリウム0.8gおよびジメチルホルムアミドを加え、100℃で5時間攪拌した。反応液に水を加え、CH2Cl2で抽出後、有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行うことで、D−9の結晶0.7gを得た。得られたD−9の1H−NMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
1.70−1.90(6H、m)
1.90−2.00(6H、m)
3.95−4.30(12H、m)
5.80(3H、d)
6.14(3H、dd)
6.43(3H、d)
7.08(6H、d)
8.13(6H、d)
9.02(3H、s)
得られたD−9の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき131℃付近で結晶相からカラムナー相に転移し、さらに134℃付近でカラムナー相からディスコティックネマチック相に転移し、138℃を超えると等方性液体相に転移した。すなわち、D−9は131℃から138℃の間で液晶相を呈し、特に、134℃から138℃の間でディスコティックネマチック相を呈することが分かった。
[D−9を用いた光学異方性層の作製]
ガラス基板上に、PVA−203(クラレ(株)製)の水溶液を塗布し、100℃で3分乾燥させた。PVA−203の厚みは、0.5μmであった。このPVA−203の薄膜を設けた基板上に下記塗布液をスピンコートし、130℃の恒温槽中に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して配向状態を固定した。室温まで放冷後、偏光顕微鏡でその配向状態を観察すると、ディスコティック液晶化合物が欠陥なくホメオトロピック配向していることが分かった。液晶化合物の層の厚みは、4.2μmであった。得られた光学異方性層の波長分散性およびΔnは下記表1にまとめる。
塗布液組成
────────────────────────────────────
本発明に係る液晶性化合物(D−9) 100質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 2.0質量部
下記空気界面配向制御剤 (V−(1)) 0.2質量部
クロロホルム 230質量部
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Figure 2005122155
(比較例1)
[従来のディスコティック液晶(JD−1)を均一に配向させた薄膜の作製]
上記のPVA−203の薄膜を設けた基板上に下記塗布液をスピンコートし、190℃の恒温槽中に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して配向状態を固定した。室温まで放冷後、偏光顕微鏡でその配向状態を観察すると、ディスコティック液晶化合物が欠陥なくホメオトロピック配向していることが分かった。液晶化合物の層の厚みは、4.5μmであった。得られた光学異方性層の波長分散性およびΔnは下記表1にまとめる。
塗布液組成
────────────────────────────────────
下記液晶性化合物(JD−1) 100質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3.3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.1質量部
上記空気界面配向制御剤 (V−(1)) 0.2質量部
メチルエチルケトン 200質量部
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Figure 2005122155
(比較例2)
[従来の高Δn型ディスコティック液晶(JD−2)を均一に配向させた薄膜の作製]
上記のPVA−203の薄膜を設けた基板上に下記塗布液をスピンコートし、180℃の恒温槽中に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して配向状態を固定した。室温まで放冷後、偏光顕微鏡でその配向状態を観察すると、ディスコティック液晶化合物が欠陥なくホメオトロピック配向していることが分かった。液晶化合物の層の厚みは、4.0μmであった。得られた光学異方性層の波長分散性およびΔnは下記表1にまとめる。
塗布液組成
────────────────────────────────────
下記液晶性化合物(JD−2) 100質量部
下記光重合開始剤 (HJ−1) 3.0質量部
上記空気界面配向制御剤 (V−(1)) 0.2質量部
メチルエチルケトン 200質量部
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Figure 2005122155
Figure 2005122155
[Δnと波長分散性の比較]
合成例1および比較例1、2で得られた薄膜の波長分散値(Re(478nm)/Re(748nm)は、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、斜め40°から478nmおよび748nmのレターデーションを測定することで求めた。
また、ΔnはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)が算出するRthを別途求めた膜厚(d)で割ることで求めることができる。Rthは589nmの波長を使用して観察角度(0°、−40°、+40°)を変えて求めた。
結果を表1に示す。
Figure 2005122155
本発明の位相差板に用いる液晶性化合物は、従来の液晶性化合物(JD−1)と比較して、非常に高いΔnを有するにもかかわらず、波長分散値はほとんど変わらないことがわかる。また、本発明の位相差板に用いる液晶性化合物は、従来の液晶性化合物(JD−2)と比較して、高いΔnと小さい波長分散値を有することがわかる。
以下に、合成例1で合成した液晶性化合物を用いた位相差板の作製の実施例をあげる。
(実施例1)
(透明支持体の作製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱攪拌して、セルロースアセテート溶液(以下、ドープと呼ぶことがある)を調製した。
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セルロースアセテート溶液組成
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酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート 6.5質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 5.2質量部
下記のレターデーション上昇剤(1) 0.1質量部
下記のレターデーション上昇剤(2) 0.2質量部
メチレンクロライド 310.25質量部
メタノール 54.75質量部
1−ブタノール 10.95質量部
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Figure 2005122155
Figure 2005122155
得られたドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の領域で、幅方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、120℃を越える領域で機械方向の延伸率が実質0%、(剥ぎ取り時に機械方向に4%延伸することを考慮して)幅方向の延伸率と機械方向の延伸率との比が0.75となるように調整して、厚さ100μmのセルロースアセテートフィルムを作製した。作製したフィルムのレターデーション値を波長632.8nmで測定したところ、厚み方向のレターデーション値が40nm、面内のレターデーション値が4nmであった。作製したセルロースアセテートフィルムを透明支持体として用いた。
(第1下塗り層の形成)
上記透明支持体の上に、下記の組成の塗布液を28ml/m2塗布し、乾燥して、第1下塗り層を形成した。
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第1下塗り層塗布液組成
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ゼラチン 5.44質量部
ホルムアルデヒド 1.38質量部
サリチル酸 1.62質量部
アセトン 391質量部
メタノール 158質量部
メチレンクロライド 406質量部
水 12質量部
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(第2下塗り層の形成)
第1下塗り層の上に、下記の組成の塗布液を7ml/m2塗布し、乾燥して、第2下塗り層を形成した。
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第2下塗り層塗布液組成
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下記のアニオン性ポリマー 0.77質量部
クエン酸モノエチルエステル 10.1質量部
アセトン 200質量部
メタノール 877質量部
水 40.5質量部
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Figure 2005122155
(バック層の形成)
透明支持体の反対側の面に、下記の組成の塗布液を25ml/m2塗布し、乾燥して、バック層を形成した。
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バック層塗布液組成
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酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56質量部
シリカ系マット剤(平均粒子サイズ:1μm) 0.65質量部
アセトン 679質量部
メタノール 104質量部
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(配向膜の形成)
下記変性ポリビニルアルコールとグルタルアルデヒド(変性ポリビニルアルコールの5質量%)とを、メタノール/水の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5質量%の溶液を調製した。
Figure 2005122155
この溶液を、第2下塗り層の上に塗布し、100℃の温風で120秒間乾燥した後、ラビング処理を行い、配向膜を形成した。得られた配向膜の膜厚は0.5μmであった。配向膜のラビング方向は、透明支持体の流延方向と平行であった。
(光学異方性層の形成)
前記で作製した配向膜のラビング処理面上に、下記の組成を有する光学異方性層塗布液を、ワイヤーバーを用いて塗布した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層塗布液
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本発明に係る液晶性化合物(D−9) 100質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 2.0質量部
下記空気界面配向制御剤 (KK−1) 0.1質量部
クロロホルム 270質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2005122155
上記の光学異方性層を塗布したフィルムを、130℃の恒温槽中に入れ配向させ、200mJ/cm2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定した。室温まで放冷して、位相差板を作製した。形成した光学異方性層の厚さは約0.65μmであった。また配向に要した時間は30秒であった。
(比較例3)
実施例1で作製した配向膜に、下記の組成の光学異方性層塗布液を、ワイヤーバーを用いて塗布した。
────────────────────────────────────
光学異方性層塗布液
────────────────────────────────────
上記従来型液晶性化合物(JD−1) 100質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3.3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.1質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 2.2質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 0.55質量部
メチルエチルケトン 250質量部
────────────────────────────────────
上記の光学異方性層を塗布したフィルムを130℃の恒温槽中に入れ配向させ、200mJ/cm2の紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定した。室温まで放冷して、位相差板を作製した。形成した光学異方性層の厚さは約1.40μmであった。また配向に要した時間は3分であった。
(比較例4)
比較例3の従来型ディスコティック液晶性化合物(JD−1)の代わりに上記従来型ディスコティック液晶性化合物(JD−2)を用いた以外、比較例3と同様の操作にて光学補償シートを作製した。形成した光学異方性層の厚さは1.20μmであった。また配向に要した時間は2分30秒であった。
[位相差板の評価]
(Re、Rthの測定)
Re(589nm)、Rth(589nm)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。実施例1および比較例3、4で得られた位相差板のRe(589nm)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長589nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(589nm)は前記Re(589nm)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。
実施例1および比較例3、4で得られた位相差板の断面の超薄切片をマイクロトームを用いて作製し、その切片を偏光顕微鏡で観察することで、実施例1および比較例3、4で得られた位相差板の光学異方性層がハイブリッド配向していることが確認できた。
得られた位相差板の波長分散(Re(478nm)/Re(748nm))測定は、KOBRA(王子計測機器(株)製)を用いて、478nmおよび748nmのレタデーションを測定することで求めた。
(液晶表示装置の作製)
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜面が向き合い、且つ配向膜のラビング方向が直交するように配置した。二枚の基板の間隙に、棒状液晶分子(ZL4792、メルク社製)を注入し、棒状液晶層を形成した。棒状液晶分子のΔnは0.0969であった。以上のようにして作製したTN液晶セルの両側に、上記で作製した位相差板を二枚配置し、光学異方性層が液晶セルの基板と対面するように貼り付けた。さらにそれらの外側に、偏光板二枚を貼り付けて液晶表示装置を作製した。位相差板の配向膜のラビング方向と、それに隣接する液晶セルの配向膜のラビング方向とは、反平行になるように配置した。また、偏光板の吸収軸と、液晶セルのラビング方向とは平行になるように配置した。
それぞれ作製した液晶表示装置の液晶セルに電圧を印加し、白表示2V、黒表示5Vにおける白表示と黒表示との透過率をコントラスト比として、上下左右でコントラスト比10、かつ階調反転のない領域を視野角として測定した。また、白表示時と黒表示時における色味の角度依存性を目視にて行った。その結果を表2に示す。
Figure 2005122155
本発明の位相差板(実施例1)は、従来の液晶化合物(JD−1)を用いた位相差板(比較例3)と比較して、色味変化は同等で、なお且つ配向完了時間が非常に速いことが分かる。また、従来の高Δn型液晶化合物(JD−2)を用いた位相差板(比較例4)と比較して、色味変化および配向完了時間の両方で、本発明の位相差板(実施例1)が優れていることが分かる。

Claims (4)

  1. 少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、該光学異方性層がハイブリッド配向した下記一般式(I)で表される液晶性化合物を用いて形成される光学異方性層であることを特徴とする位相差板。
    一般式(I)
    Figure 2005122155
    一般式(I)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、またはイミノを表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基、またはシリル基を表す。
  2. 上記液晶性化合物が下記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1記載の位相差板。
    一般式(II)
    Figure 2005122155
    一般式(II)中、Y11、Y12、Y13、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26は、それぞれ独立にメチンまたは窒素原子を表す。X1、X2、X3は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン、またはイミノを表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(V)を表す。
    一般式(V)
    Figure 2005122155
    一般式(V)中、*は一般式(II)中の5員環に結合する位置を表す。R4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキルオキシ基、炭素原子数2〜8のアシル基、炭素原子数2〜8のアシルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、またはシアノ基を表す。L6は**−O−、**−CO−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、または**−CH2−を表し、**は一般式(V)中のベンゼン環に結合する位置を表す。R5は水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基を表す。mは2から16の整数を表す。lは0〜4の整数を表す。R6は水素原子またはメチル基を表す。
  3. 請求項1または2に記載の位相差板と偏光膜とを有することを特徴とする楕円偏光板。
  4. 請求項1または2に記載の位相差板、または請求項3に記載の楕円偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
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