JP2007155942A - 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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【課題】第1光学異方性層と第2光学異方性層の位相差と液晶セルの液晶層の正面と斜めのレタデーションの波長分散性に優れた光学補償フィルム及びこれを用いた偏光板、並びに、前記偏光板を用いることにより色味変化の少ない良好な画像を表示する液晶表示装置の提供。
【解決手段】少なくとも第1光学異方性層及び第2光学異方性層からなり、前記第1光学異方性層が、下記の数式(1)から(3)の少なくともいずれかを満たす光学特性を有することを特徴とする光学補償フィルム及びこれを用いた偏光板、並びに、前記偏光板を用いた液晶表示装置である。
1≦Re450(0°)/Re650(0°)≦1.25 数式(1)
1≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.25 数式(2)
1≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.25 数式(3)
【選択図】図1

Description

本発明は、広い視角範囲で表示品位に優れる液晶表示装置などを形成しうる、正面と斜視方向の位相差とその波長分散を制御した光学補償フィルムに関する。
液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を備えてなる。前記偏光板は保護膜と偏光膜からなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、更には一枚以上の光学補償フィルムを配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償フィルム、偏光板の順に配置されてなる。
前記液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。該液晶セルは、該液晶性分子の配向状態の違いで、ON・OFF表示を行い、透過及び反射型いずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、FFS(Fringe Field Switching)のような表示モードが提案されている。
前記光学補償フィルムは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。該光学補償フィルムとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されている。また、延伸複屈折フィルムからなる光学補償フィルムに代えて、透明支持体上に低分子若しくは高分子液晶性分子から形成された光学補償層を有する光学補償フィルムを使用することが提案されている。該液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することができる。更に、偏光板の保護膜に複屈折性を付加することで、保護膜と光学補償フィルムを兼ねる構成も提案されている。
前記光学補償フィルムの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には前記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償フィルムを製造することができる。液晶性分子を用いた光学補償フィルムでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、平行配向液晶セル用光学補償フィルムは、電圧無印状態の黒表示時において、基板面に平行配向した液晶性分子の光学補償及び偏光板の直交透過率の視野角特性向上を兼ねている(特許文献1参照)。
特許第3342417号公報
本発明は、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、第1光学異方性層と第2光学異方性層の位相差と液晶セルの液晶層の正面と斜めのレタデーションの波長分散性に優れた光学補償フィルム及びこれを用いた偏光板、並びに、前記偏光板を用いることにより色味変化の少ない良好な画像を表示する液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも第1光学異方性層及び第2光学異方性層からなり、前記第1光学異方性層が、下記の数式(1)から(3)の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする光学補償フィルムである。
1≦Re450(0°)/Re650(0°)≦1.25・・・数式(1)
1≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.25・・・数式(2)
1≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.25・・・数式(3)
ただし、前記数式(1)〜(3)中、波長λ(nm)の光で測定した、第1光学異方性層の遅相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をReλ(θ)と定義する(Reλ(θ)とReλ(−θ)の値が異なる場合は、Reλ(θ)>Reλ(−θ)となるように大小を決定する)。
<2> 第1光学異方性層が、ディスコティック液晶化合物及び棒状液晶化合物の少なくともいずれかからなる前記<1>に記載の光学補償フィルムである。
<3> 第2光学異方性層が、下記の数式(4)から(6)の少なくともいずれかを満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学補償フィルムである。
0.3≦Re450(0°)/Re650(0°)≦1.1・・・数式(4)
0.3≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.1・・・数式(5)
0.3≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.1・・・数式(6)
ただし、前記数式(4)〜(6)中、波長λ(nm)の光で測定した、第2光学異方性層の遅相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をReλ(θ)と定義する(Reλ(θ)とReλ(−θ)の値が異なる場合は、Reλ(θ)>Reλ(−θ)となるように大小を決定する)。
<4> 第1光学異方性層及び該第2光学異方性層が、下記の数式(7)から(9)の少なくともいずれかを満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載の光学補償フィルムである。
Re450(0°)/Re650(0°)>Re450(0°)/Re650(0°)・・・数式(7)
Re450(40°)/Re650(40°)>Re450(40°)/Re650(40°)・・・数式(8)
Re450(−40°)/Re650(−40°)>Re450(−40°)/Re650(−40°)・・・数式(9)
<5> 第2光学異方性層がセルロースアシレートフィルムからなる前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学補償フィルムである。
<6> 偏光膜と、該偏光膜の少なくとも片側に前記<1>から<5>のいずれかに記載の光学フィルムを有することを特徴とする偏光板である。
<7> 液晶セル及び前記<6>に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置である。
<8> 液晶セルの液晶層が、下記の数式(10)から(12)の少なくともいずれかを満たす光学特性を有する前記<7>に記載の液晶表示装置である。
1≦Rec450(0°)/Rec650(0°)≦1.25 数式(10)
1≦Rec450(40°)/Rec650(40°)≦1.25 数式(11)
1≦Rec450(−40°)/Rec650(−40°)≦1.25
数式(12)
ただし、波長λ(nm)の光で測定した液晶セルの進相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をRecλ(θ)と定義する(Recλ(θ)とRecλ(−θ)の値が異なる場合は、Recλ(θ)>Recλ(−θ)となるように大小を決定する)。
<9> 第1光学異方性層と液晶セルの液晶層とが、下記の数式(13)から(15)の少なくともいずれかを満たす光学特性を有する前記<7>から<8>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
0.9<{(Rec450(0°)/Rec650(0°))/(Re450(0°)/Re650(0°))}<1.1 数式(13)
0.9<{(Rec450(40°)/Rec650(40°))/(Re450(40°)/Re650(40°))}<1.1 数式(14)
0.9<{(Rec450(−40°)/Rec650(−40°))/(Re450(−40°)/Re650(−40°))}<1.1 数式(15)
<10> 液晶セルが、OCB、TN、ECB、IPS及びFFSのいずれかである前記<7>から<9>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
本発明によると、第1光学異方性層と第2光学異方性層の位相差と液晶セルの液晶層の正面と斜めのレタデーションの波長分散性に優れた光学補償フィルム及びこれを用いた偏光板、並びに、前記偏光板を用いることにより色味変化の少ない良好な画像を表示する液晶表示装置を提供することができる。
(光学補償フィルム)
本発明の光学補償フィルムは、少なくとも第1光学異方性層及び第2光学異方性層を有する光学補償フィルムである。
前記光学補償フィルムは、液晶表示装置における基板の界面近傍の傾斜した液晶性分子の平均配向が観察する角度により変わることにより、即ち、視野角の変化により透過率、明るさが変化してしまうという視野角依存性の問題を、基板界面近傍の液晶層の残留位相差を補償することにより改善する機能がある。本発明の光学補償フィルムを前記液晶表示装置の基板界面に配置することにより、視野角依存性が改善され、完全な黒表示が得られ、正面コントラスト比が向上する。
本発明の光学補償フィルムは、前記第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層の相互の光学特性により視野角依存性が改善される。
<第1光学異方性層>
前記第1光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物の光学特性を補償するように設計し、前記第2光学異方性層の表面に直接形成してもよく、第2光学異方性層上に配向膜を形成し、該配向膜上に形成してもよい。
−第1光学異方性層の光学特性−
前記第1の光学異方性層は、ノーマリブラックモードのTN型などの液晶表示装置において、液晶層の屈折率異方性が波長分散特性(波長依存性)を有しているために発生する、黒表示などが色付くという問題を改善する機能がある。
前記機能を有するためには、前記第1光学異方性層が下記の数式(1)〜(3)の少なくともいずれかを満たすことが好ましい。
1≦Re450(0°)/Re650(0°)≦1.25・・・数式(1)
1≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.25・・・数式(2)
1≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.25・・・数式(3)
ただし、前記数式(1)〜(3)中、波長λ(nm)の光で測定した第1光学異方性層の遅相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をReλ(θ)と定義する(Reλ(θ)とReλ(−θ)の値が異なる場合は、Reλ(θ)>Reλ(−θ)となるように大小を決定する)。
前記数式(1)で表されるように、第1光学異方性層の正面レタデーションの波長分散は、1≦Re450(0°)/Re650(0°)≦1.25であり、Re450(0°)/Re650(0°)≦1.2であることが好ましく、Re450(0°)/Re650(0°)≦1.18であることがより好ましい。
前記波長分散Re450(0°)/Re650(0°)が、1未満又は1.25を超えると、正面の色味や、コントラストが悪化することがある。
前記数式(2)で表されるように、遅相軸を中心に40°に傾斜したときのレタデーションの波長分散は、1≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.25であることが好ましく、1≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.18であることがより好ましい。
前記波長分散Re450(40°)/Re650(40°)が、1未満又は1.25を超えると、斜めの色味や、視野角が悪化することがある。
前記数式(3)で表されるように、遅相軸を中心に−40°に傾斜したときのレタデーションの波長分散は、1≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.25であることが好ましく、1≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.18であることがより好ましい。
前記波長分散Re450(−40°)/Re650(−40°)が、1未満又は1.25を超えると、斜めの色味や、視野角が悪化することがある。
前記第1の光学異方性層は、前記数式(1)、(2)及び(3)のいずれか2つ以上満足することが好ましく、全て満足することがより好ましい。また、液晶セル中の液晶のレタデーションの波長分散により、適宜設定されることが特に好ましい。
前記数式(1)〜(3)の全てを満たすことにより、正面及び斜めの視野角、色味や、コントラストが向上するという効果が顕著に得られる。
前記第1光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物の光学特性を補償するように設計することが好ましい。液晶セル中の液晶化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、P411〜414に記載がある。
本発明の第1光学異方性層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液晶性化合物から形成されることが好ましく、ディスコティック液晶化合物及び棒状液晶化合物の少なくともいずれかから形成されることがより好ましい。前記第1光学異方性層は、第2光学異方性層の表面に直接形成してもよく、第2光学異方性層上に配向膜を形成し、該配向膜上に形成してもよい。
−液晶性化合物−
前記液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが好ましい。モノドメイン性を良好なものとすることにより、得られる構造がポリドメインとなりドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになるのを効果的に防ぐことができる。更に、良好なモノドメイン性を示すと、位相差板がより高い光透過率を有するため好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相及びディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示し、かつ、ハイブリッド配向が可能なディスコティックネマチック相(ND相)が最も好ましい。
本発明で用いる液晶化合物は、異方性の波長分散性が小さいほどよい。具体的には液晶化合物が発現する位相差をRe(λ)としたとき、Re(450)/Re(650)が1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましく、1.15以下であることが特に好ましい。また、この値はセル中の液晶の位相差の波長分散により、適宜最適化されることが好ましい。
前記ハイブリッド配向では、本発明の液晶性化合物の物理的な対称軸と支持体の面との角度、即ち傾斜角が、光学異方性層の深さ(即ち、(透明)支持体に垂直な)方向でかつ偏光膜の面からの距離の増加と共に増加又は減少している。角度は、距離の増加と共に減少することが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、又は、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚み方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。しかしながら、傾斜角は連続的に変化することが好ましい。
一般に、ディスコティック液晶性化合物の物理的な対称軸の平均方向は、該ディスコティック液晶性化合物あるいは配向膜の材料、又はラビング処理方法を選択することにより調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック液晶性化合物の物理的な対称軸方向は、ディスコティック液晶性化合物あるいはディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
前記ディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマー及び低分子化合物などを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、前記と同様に、液晶性化合物と添加剤との選択により調整できる。
本発明の液晶性化合物と共に使用する可塑剤、重合性モノマーとしては、本発明の液晶性化合物と相溶性を有し、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないものが採用される。
前記界面活性剤としては、具体的には、フッ素系化合物が好ましい。界面活性剤は、特開2001−330725号公報に記載がある。
前記ポリマー及び前記低分子化合物としては、ディスコティック液晶化合物の傾斜角に変化を与える化合物が好ましい。具体的には、ポリマーとしては、セルロースエステルが好ましい。該セルロースエステルは、特開2000−155216号公報の段落番号[0178]に記載がある。該ポリマーの添加量としては、ディスコティック液晶化合物の配向を阻害しないように、ディスコティック液晶化合物に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物は、液晶相を20〜300℃の範囲で発現することが好ましく、40〜280℃がより好ましく、60〜250℃が特に好ましい。ここで20〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(具体的に例えば、298〜310℃)も含む趣旨である。40〜280℃と60〜250℃に関しても同様である。
前記第1光学異方性層は、ディスコティック液晶化合物及び必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
前記塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。該有機溶媒としては、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)などが好適に挙げられる。これらの中でもアルキルハライド及びケトンが好ましい。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
配向させたディスコティック液晶化合物は、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。これらの中でも、光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
前記光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがより好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20〜50J/cmが好ましく、20〜5,000mJ/cmがより好ましく、100〜800mJ/cmが特に好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。保護層を、第1光学異方性層の上に設けてもよい。
−ディスコティック液晶化合物−
前記ディスコティック液晶化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、更に、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
前記ディスコティック液晶化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics Lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
前記ディスコティック液晶化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
前記ディスコティック液晶化合物から第1光学異方性層を形成した場合、最終的に第1光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。例えば、低分子のディスコティック液晶化合物が熱又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって第1光学異方性層が形成される場合などは、第1光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
前記ディスコティック液晶化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶化合物は、下記式(DI)で表わされる化合物であることが好ましい。
一般式(DI)
前記一般式(DI)中、Y11、Y12及びY13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
前記Y11、Y12及びY13がメチンの場合、メチンの水素原子は置換基によって置換されていてもよい。ここで、メチンとは、メタンから水素原子を3個除いて得られる原子団をいう。
前記メチンの炭素原子が有していても置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がより好ましい。
前記Y11、Y12及びY13は、いずれもメチンであることが好ましく、メチンは無置換であることがより好ましい。
前記一般式(DI)中、L、L及びLは、それぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。L、L及びLが二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR−、−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。前記Rは炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
前記L、L及びLにおける二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基(以下、環状基と呼ぶことがある)である。環状基は5員環、6員環、又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることが特に好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。環状基は、芳香族環及び複素環がより好ましい。なお、本発明における2価の環状基は、環状構造のみ(ただし、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい(以下、同じ)。
前記L、L及びLで表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
前記L、L及びLで表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数が2〜16アルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
前記L、L及びLとしては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−及び*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−O−CO−、*−CH=CH−二価の環状基−及び*−C≡C−二価の環状基−が好ましく、単結合がより好ましい。ここで、*は一般式(DI)中のY11、Y12及びY13を含む6員環側に結合する位置を表す。
前記H、H及びHは、それぞれ独立に下記一般式(DI−A)又は下記一般式(DI−B)を表す。
一般式(DI−A)
前記一般式(DI−A)中、YA及びYAは、それぞれ独立にメチンの又は窒素原子を表す。YA及びYAは、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。*は前記一般式(DI)におけるL〜L側と結合する位置を表し、**は前記一般式(DI)におけるR〜R側と結合する位置を表す。ここで、イミノは、−NH−で表されるものをいう。
一般式(DI−B)
前記一般式(DI−B)中、YB及びYBは、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YB及びYBは、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。*は前記一般式(DI)におけるL〜L側と結合する位置を表し、**は前記一般式(DI)におけるR〜R側と結合する位置を表す。
前記R、R及びRは、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI−R)
*−(−L21−Q)n1−L22−L23−Q
前記一般式(DI−R)中、*は一般式(DI)におけるH〜H側と結合する位置を表す。
前記L21は、単結合又は二価の連結基を表す。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR−、−CH=CH−及びC≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。前記Rは炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
前記L21としては、具体的には、単結合、並びに、***−O−CO−、***−CO−O−、***−CH=CH−及び***−C≡C−(ここで、***は一般式(DI−R)中の*側を表す)のいずれかが好ましく、単結合がより好ましい。
前記Qは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表す。このような環状基としては、5員環、6員環、又は7員環を有する環状基が好ましく、5員環又は6員環を有する環状基がより好ましく、6員環を有する環状基が特に好ましい。前記環状基に含まれる環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
前記Qのうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
前記Qは、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が好適にあげられる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
前記n1は、0〜4の整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1若しくは2がより好ましい。
前記L22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−N(R)−、**−CH−、**−CH=CH−及び**−C≡C−(ここで、**はQ2側と結合する位置を表す。)のいずれかを表す。
これらの中でも、前記L22としては、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−CH−、**−CH=CH−、**−C≡C−が好ましく、**−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、**−CH−がより好ましい。
前記L23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH−、−CH=CH−及び−C≡C−、並びに、これらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
前記L23としては、−O−、−C(=O)−、−CH−、−CH=CH−及びC≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。前記L23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。更に、前記L23は、−CH−を1〜16個含有することが好ましく、−CH−を2〜12個含有することがより好ましい。
前記Qは、重合性基又は水素原子を表す。本発明で用いる液晶性化合物を光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないものが好ましい光学補償フィルム等に用いる場合には、Qは重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。即ち、該重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
更に、前記重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基又は開環重合性基が好ましい。
前記重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
前記式(M−3)及び(M−4)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又はメチル基が好ましい。
前記式(M−1)〜(M−6)の中、(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
前記開環重合性基は、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が特に好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物としては、下記一般式(DII)で表される液晶性化合物が好ましい。
一般式(DII)
前記一般式(DII)中、Y31、Y32及びY33は、それぞれ独立にメチレン又は窒素原子を表し、一般式(DI)中の、Y11、Y12及びY13と同義であり、好ましい範囲も同義である。
前記一般式(DII)中、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に下記一般式(DII−R)を表す。
一般式(DII−R)
前記一般式(DII−R)中、A31及びA32は、それぞれ独立にメチレン又は窒素原子を表し、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることが更に好ましい。Xは酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
前記Q31は、6員環状構造を有する二価の連結基(以下、6員環環状基と呼ぶことがある)を表す。6員環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、6員環環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。該芳香族環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。該脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
前記Q31のうち、ベンゼン環を有する6員環環状基としては、1,4−フェニレン基、及び1,3−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状構造としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状構造としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状構造としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状構造としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、1,4−フェニレン基及び1,4−シクロへキシレン基、1,3−フェニレン基がより好ましい。
前記Q31の環状構造は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が好適に挙げられる。これらの中でも、6員環環状基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
前記n3は、1〜3の整数を表し、1若しくは2が好ましい。
前記L31は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−N(R)−、*−CH−、*−CH=CH−及び*−C≡C−(ここで、*はQ31側と結合する位置を表す)のいずれかを表し、具体的には、一般式(DI−R)中のL22と同義であり、好ましい範囲も同義である。
前記L32は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH−、−CH=CH−及びC≡C−、並びに、これらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、具体的には、一般式(DI−R)中のL23と同義であり、好ましい範囲も同義である。
前記一般式(DII−R)中のQ32は、重合性基又は水素原子を表す。
以下に、一般式(DI)で表される液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。


−棒状液晶化合物−
前記棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析又は分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(一例として、WinMOPAC2000、富士通株式会社製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、前記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造の角度が140度以上であることを意味する。
前記棒状化合物は、液晶性を示すことが好ましい。棒状化合物は、加熱により液晶性を示す(サーモトロピック液晶性を有する)ことが更に好ましい。液晶相は、ネマティック相又はスメクティック相が好ましい。
前記化合物としては、特開2004−4550号公報に記載されているが、これに限定されるものではない。溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
前記棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。前記文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229頁(1979年)、同89巻、93頁(1982年)、同145巻、111頁(1987年)、同170巻、43頁(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349頁(1991年)、同118巻、5346頁(1996年)、同92巻、1582頁(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420頁(1975年)、Tetrahedron、48巻、16号、3437頁(1992年)を挙げることができる。
−第1光学異方性層の厚み−
前記第1光学異方性層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜20μmであることが好ましく、0.3〜10μmであることがより好ましく、0.5〜5μmであることが特に好ましい。
<第2光学異方性層>
前記第2光学異方性層は、本発明の第1光学異方性層と共に、ノーマリブラックモードのTN型などの液晶表示装置において、液晶層の屈折率異方性が波長分散特性(波長依存性)を有しているために発生する、黒表示などが色付くという問題を改善する機能がある
前記機能を有するためには、前記第2光学異方性層が下記の数式(4)〜(6)の少なくともいずれかを満たすことが好ましい。
0.3≦Re450(0°)/Re650(0°)≦1.1・・・数式(4)
0.3≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.1・・・数式(5)
0.3≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.1・・・数式(6)
ただし、前記数式(4)〜(6)中、波長λ(nm)の光で測定した第2光学異方性層の遅相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をReλ(θ)と定義する(Reλ(θ)とReλ(−θ)の値が異なる場合は、Reλ(θ)>Reλ(−θ)となるように大小を決定する)。
前記第2の光学異方性層は、(4)、(5)及び(6)のいずれか2つ以上満足することが好ましく、全て満足することがより好ましい。
前記第2光学異方性層の正面レタデーションは、30≦Re550(0°)≦60であることが好ましく、30≦Re550(0°)≦55であることがより好ましい。
前記第2光学異方性層の厚み方向レタデーションは、100≦Rth550(0°)≦300であることが好ましく、120≦100≦Rth550(0°)≦250であることがより好ましい。
前記第2光学異方性層の正面レタデーション、厚み方向レタデーションは、セルの液晶のΔnやセルギャップdによって適宜最適化されることが好ましい。セル液晶のΔn及びセルギャップdの少なくともいずれかが大きくなるにつれて、第2光学異方性層の正面レタデーションは小さく、厚み方向レタデーションは大きくなる方向が好ましい。
前記第2光学異方性層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリマーフィルムが好ましい。前記ポリマーフィルムの具体例としては、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、トリアセチルセルロース、セルロースアシレートフィルムなど、公知のもので溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるものが挙げられる。この中でもセルロースアシレートフィルムであることが好ましい。
以下セルロースアシレートフィルムについて具体的に説明する。
−セルロースアシレートフィルムの波長分散制御−
前記セルロースアシレートフィルムは、その置換度(アシレート比率に比例)によりRe、若しくはRthの波長依存性が異なることが知られている。置換度が高くなったほうが、短波長側でRe(Rth)が低下し、長波長側でRe(Rth)が増加する傾向にある。本発明では、フィルムの厚み方向においてセルロースアシレートの置換度を2.00〜3.00の範囲内で0.05以上変動させる。変動幅は、0.07以上が好ましく、0.08以上がより好ましく、0.09以上が更に好ましく、0.10以上が特に好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムは、一般に溶液流延法により作製されることが好ましく、残留溶剤が2〜100質量%の間に延伸されることがより好ましい。これらの具体例については後述で詳細に記載する。本発明者は、この延伸後のフィルムを解析し、厚み方向でセルロースアシレート分子の延伸配向度が異なることを突き止めた。具体的には、フィルム内部に比べ、外側ほど延伸配向度が上がるのである。これは、残留溶剤がフィルム内部に止まることで、フィルム内部は延伸されても配向緩和が起こり、結果として外側の延伸配向度が上がると推察される。
前記セルロースアシレートフィルムの外側に置換度(アシレート化率)の高い層を設け、内側に置換度(アシレート化率)の低い層を設けて、残留溶剤のある状態で延伸すると、延伸により発現するRe値はフィルムの外側の層である置換度(アシレート化率)の高い層の影響が大きくなり、Rth値は、乾燥が進むにつれフィルム全体の厚みが低下することによる面配向によりフィルム全体の影響を受ける。従って、Re値とRth値の波長依存性の異なるフィルムを作製することができるのである。外側の置換度は2.71〜3.00(セルロースアセテートの場合のアセテート化比率で59.0〜62.5%)、内側の置換度は2.56〜2.87(セルロースアセテートの場合のアセテート化比率で57.0〜61.0%)が好ましく、外側は2.75〜2.92(59.5〜61.5%)が好ましく、内側は2.64〜2.83(58.0〜60.5%)が好ましい。外側と内側の比率は厚みを1とした時に、外側の比率が0.01〜0.5であることが好ましく、0.05〜0.4であることがより好ましい。Re、Rthの絶対値、及び波長依存性は、後述の添加剤により適宜制御可能である。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレタデーション及び厚み方向のレタデーションを表す。
Re(λ)は、KOBRA 21ADH(王子計測機器株式会社製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレタデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレタデーション値の計3つの方向で測定したレタデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出する。
ここで、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することにより、KOBRA 21ADHは、nx、ny、nzを算出することができる。
前記セルロースアシレートフィルムの可視光領域での波長450nmにおけるReとRthの比Re/Rth(450)が、波長550nmにおけるRe/Rth(550)の0.4〜0.95倍であり、0.4〜0.9倍が好ましく、0.6〜0.8倍がより好ましく、かつ波長650nmにおけるRe/Rth(650)が、Re/Rth(550)の1.05〜1.93倍であり、1.1〜1.9倍が好ましく、1.2〜1.7倍がより好ましい。なお、前記波長450nm、波長550nm、波長650nmそれぞれにおけるRe/Rthは、いずれも0.1〜0.8の範囲であるのが好ましい。
前記セルロースアシレートフィルム全体の厚み方向のレタデーション(Rth)は、黒表示時における厚み方向の液晶層のレタデーションをキャンセルさせるための機能を持っているので、各液晶層の態様によって好ましい範囲も異なる。例えば、OCBモードの液晶セル(例えば、厚みd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.5μmである液晶層を有するOCBモードの液晶セル)の光学補償に用いられる場合は、70〜400nmであるのが好ましく、100〜400nmであるのがより好ましく、160〜300nmであるのが特に好ましい。また、Reレタデーションは、一般的には20〜110nmであり、20〜70nmが好ましく、35〜70nmがより好ましい。
−セルロースアシレート−
前記セルロースアシレートの材料となる原料綿としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の原料を用いることができる(例えば、発明協会公開技法2001−1745参照)。また、セルロースアシレートの合成も公知の方法で行なうことができる(例えば、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)参照)。セルロースアシレートの粘度平均重合度は200〜700が好ましく、250〜500がより好ましく、250〜350が特に好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.5〜5.0であることが好ましく、2.0〜4.5であることがより好ましく、3.0〜4.0であることが特に好ましい。
前記セルロースアシレートのアシル基は、特に制限はないが、アセチル基、プロピオニル基を用いることが好ましく、特にアセチル基が好ましい。全アシル基の置換度は2.7〜3.0が好ましく、2.8〜2.95がより好ましい。本明細書において、アシル基の置換度とは、ASTM D817に従って算出した値である。アシル基は、アセチル基であることが最も好ましく、アシル基がアセチル基であるセルロースアセテートを用いる場合には、酢化度が57.0〜62.5%が好ましく、58.0〜61.5%がより好ましい。酢化度がこの範囲にあると、流延時の搬送テンションによってReが所望の値より大きくなることもなく、面内ばらつきも少なく、温湿度によってレタデーション値の変化も少ない。また、6位のアシル基の置換度は、Re、Rthのばらつきを抑制する観点から、0.9以上が好ましい。
−共流延法−
前記共流延法は、本発明の厚み方向でアシル化率の異なるセルロースアシレートフィルムの作製に好適である。
前記共流延法では、得られたセルロースアシレート溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に、2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延することが好ましい。
前記共流延法のうち、液製膜法を利用して多層流延膜や多層フィルムを製造する場合、フィードブロック型流延ダイを用いることが多く、このフィードブロック型流延ダイは、流延ダイの上流側に、二種以上のドープを合流させる合流手段を接合した流延装置である。前記フィードブロック型流延ダイの代表的な構造は、中央にコア層となるドープを通す流路を設け、その両側に表側の表面層と裏面側の表面層とを形成するドープを通し、かつ後者の二つの溶液流が前者の溶液流の両面に合流するような構造である。前記のフィードブロック型流延ダイを用いる多層フィルムの製造方法の例として、コア層となる樹脂層を相対的に高粘度のドープを用い、表裏の表面層を相対的に低粘度のドープを用いて多層流延膜を形成させた後に、乾燥剥離を行なう方法が、特公昭62−43846号公報に記載されている。
他方、複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば、特開昭61−158414号公報、特開平1−122419号公報、特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号公報、特開昭61−94724号公報、特開昭61−947245号公報、特開昭61−104813号公報、特開昭61−158413号公報、特開平6−134933号公報の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高,低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法でもよい。更に又、特開昭61−94724号公報、特開昭61−94725号公報の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。
あるいは、2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することでもよく、例えば、特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
更に、本発明のセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
従来の単層液では、必要なフィルム厚みにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができた。
前記共流延法の場合、アシレート化比率に加え、後述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロースアシレート溶液を共流延して、積層構造のセルロースアシレートフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のセルロースアシレートフィルムを作ることができる。例えば、マット剤は、スキン層に多く、又はスキン層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤及び紫外線吸収剤の少なくともいずれかを含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。また、流延時のセルロースアシレートを含む溶液の粘度もスキン層とコア層で異なっていてもよく、スキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コア層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
更に、詳細に本発明に係る流延方法について記すと、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法(例えば特開昭61−94724号公報、特開昭61−148013号公報、特開平4−85011号公報、特開平4−286611号公報、特開平5−185443号公報、特開平5−185445号公報、特開平6−278149号公報、特開平8−207210号公報の各公報などに記載の方法)を好ましく用いることができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。
その他、共流延法に関する発明として、流延速度をアップさせるために、特開昭53−134869号公報には、セルロースアセテート溶液を第一の流延口から全膜厚に対して10−90%の膜厚分を流延し、第一流延口から剥離までの30〜60%の距離で第二の流延口から残りを流延する発明が記載されている。また、特開昭61−018943号公報には、流延を安定にスピードアップするために、TACをメチクロとメタノール更にその他の貧溶媒からなるドープ(A)、貧溶媒の比率がAより高いドープ(B)において、ドープAを、未乾燥状態で5μm以上になるように支持体面にするように、共流延し製膜する発明が記載されている。更に、複合スリットダイでAとBをスリット途中で合流させるのが望ましいとすることも開示されている。この発明はメチクロを非塩素系としても、同様の効果があり、本発明でも適応できる。
更に、平面性が良好な磁気記録層を得ることを目的として、特開平4−124645号公報には、1つのマニホールドから合流部に向かうスリットの断面名状が、くし歯状であるストライプ共流延ダイを用いる発明が記載されている。
また、透明性、寸度安定性、耐湿熱性に優れ、製造直後のフィルム中に含まれる溶剤を低減するために、特開平8−207210号公報には、置換度≦2.7のセルロースアセテートのコア部分、コア部分の少なくとも片面に、置換度≧2.8のセルロースアセテートからなる厚み0.5〜15μmの表層を設ける発明が記載されている。
更に、特開平10−058514号公報には、平滑性が良好なフィルムの剥離残りを発生させないために、表層用ドープを基層用ドープに被覆(両端部を除く)した状態でダイから同時に押出し流延を行う発明が記載されている。また、特開5−040321号公報には、磁気ドープと非磁気ドープを共流延した感材に関する発明が記載されている。
更に、厚み精度の高い多層樹脂フィルムを得るために、特開2000−317960号公報には、低粘液とその2−10倍の粘度の高粘液を各流路から送液し、フィードブロック型合流装置で合流し、界面にて接する液平行流とした後、合流時点から5−25秒間に流延ダイリップから吐出し多層流延膜を形成する発明が記載されている。
また、特開2002−221620号公報には、偏光板用フィルムにおいて、外層を低濃度とする共流延にすることにより、ピッチ3〜15mmであるスジ状凹凸ムラの傾きを0.04度未満とすることが記載されている。
更に、特開2003−080541号公報には、カワバリの発生を抑制するために、ダイから複数のドープを流延する際に、表面又は裏面層を形成するドープのせん断粘度Aと中間層を形成するドープのせん断粘度Bとの比A/Bを、A/B≦0.9とする発明が記載されている。
更に、添加剤ブリードアウトが少なく、かつ層間の剥離現象もなく、しかも滑り性が良好で透明性に優れた位相差フィルムの発明が特開2003−014933号公報に記載されている。
更に、特開2003−014933号公報には、フィルムの滑り性を付与するために表面層に微粒子を添加することが好ましく、コア層には微粒子を添加する必要はないが添加されていてもよいことが開示されている。ただコア層への微粒子の添加量が多いとフィルムの透明性が劣化するので、添加量としては表面層の添加量の1/10以下とすることが好ましく、コア層には実質的に微粒子を含まないことが示されている。(実質的に含まないとは微粒子添加量が固形分あたり0〜0.01質量%)なお、両表面層の少なくとも片側に配合されていれば滑り性の効果が得られることも開示されており、特に微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以下が好ましく、16〜5nmがより好ましく、12〜5nmが特に好ましい。なお、微粒子の、見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、90〜200g/リットルがより好ましく、100〜200g/リットルが特に好ましい。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましいことが記載されている。ここで、1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1,000〜1,200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972V(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されていることが開示されている。
−延伸−
本発明のセルロースアシレートフィルムは、延伸することにより機能を発現する。本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板に適用する上で、幅方向に延伸することが好ましい。例えば、特開昭62−115035号公報、特開平4−152125号公報、特開平4−284211号公報、特開平4−298310号公報、特開平11−48271号公報の各公報などに記載されている。フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムの延伸は、一軸延伸でもよく2軸延伸でもよい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。フィルムの幅をテンターで保持しながら搬送して、テンターの幅を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、0.5〜300%であることが好ましく、1〜200%の延伸がより好ましく、1〜100%の延伸が特に好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムはソルベントキャスト法による製膜工程及び製膜したフィルムを延伸する工程を逐次、若しくは連続して行うことで製造することが好ましく、延伸倍率は1.2〜1.8倍であることが好ましい。また、延伸は1段で行っても良く、多段で行ってもよい。多段で行なう場合は各延伸倍率の積がこの範囲にはいるようにすればよい。
前記延伸の速度は5〜1,000%/分であることが好ましく、10〜500%/分であることがより好ましい。延伸温度は30〜160℃で行うことが好ましく、70〜150℃がより好ましく、85〜150℃が特に好ましい。延伸はヒートロールあるいは/及び放射熱源(IRヒーター等)、温風により行うことが好ましい。また、温度の均一性を高めるために恒温槽を設けてもよい。ロール延伸で一軸延伸を行う場合、ロール間距離(L)と該位相差板のフィルム幅(W)の比であるL/Wが、2.0〜5.0であることが好ましい。
−予熱工程−
前記延伸前に予熱工程を設けることが好ましい。延伸後に熱処理を行ってもよい。熱処理温度はセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度より20℃低い値から10℃高い温度で行うことが好ましく、熱処理時間は1秒間〜3分間であることがより好ましい。また、加熱方法はゾーン加熱であっても、赤外線ヒータを用いた部分加熱であってもよい。工程の途中又は最後にフィルムの両端をスリットしてもよい。これらのスリット屑は回収し原料として再利用することが好ましい。更にテンターに関しては、特開平11−077718号公報ではテンターで幅保持しながらウェブを乾燥させる際に、乾燥ガス吹き出し方法、吹き出し角度、風速分布、風速、風量、温度差、風量差、上下吹き出し風量比、高比熱乾燥ガスの使用等を適度にコントロールすることで、溶液流延法による速度を上げたり、ウェブ幅を広げたりする時の平面性等の品質低下防止を確保するものである。
また、特開平11−077822号公報には、ムラ発生を防ぐために、延伸した熱可塑性樹フィルムを延伸工程後、熱緩和工程においてフィルムの幅方向に温度勾配を設けて熱処理する発明が記載されている。
更に、ムラ発生を防ぐために、特開4−204503号公報には、フィルムの溶媒含有率を固形分基準で2〜10%にして延伸する発明が記載されている。
また、クリップ噛み込み幅の規定によるカールを抑制するために、特開2002−248680号公報には、テンタークリップ噛み込み幅D≦(33/(log延伸率×log揮発分))で延伸することにより、カールを抑制し、延伸工程後のフィルム搬送を容易にする発明が記載されている。
更に、高速軟膜搬送と延伸とを両立させるために、特開2002−337224号公報には、テンター搬送を、前半ピン、後半クリップに切り替える発明が記載されている。
また、特開2002−187960号公報には、視野角特性を簡便に改善でき、かつ視野角を改善することを目的として、セルロースエステルドープ液を流延用支持体に流延し、ついで、流延用支持体から剥離したウェブ(フィルム)を、ウェブ中の残留溶媒量が100質量%以下、とくに10〜100質量%の範囲にある間に少なくとも1方向に1.0〜4.0倍延伸することにより得られる光学的に二軸性を有する発明が記載されている。更に好ましい態様として、ウェブ中の残留溶媒量が100質量%以下、特に10〜100質量%の範囲にある間に、少なくとも1方向に1.0〜4.0倍延伸することが記載されている。また、他の延伸する方法として、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法、これらを組み合わせて用いる方法なども挙げられている。更に、いわゆるテンター法の場合には、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましいことが示されている。
更に、添加剤ブリードアウトが少なく、かつ層間の剥離現象もなく、しかも滑り性が良好で透明性に優れた位相差フィルムを作製するために、特開2003−014933号公報に記載されているように、樹脂と添加剤と有機溶媒とを含むドープAと、添加剤を含まないか、若しくは、添加剤の含有量がドープAより少ない樹脂と添加剤と有機溶媒とを含むドープBを調製し、ドープAがコア層、ドープBが表面層となるように支持体上に共流延して、剥離可能となるまで有機溶媒を蒸発させた後、ウェブを支持体から剥離し、更に延伸時の樹脂フィルム中の残留溶媒が3〜50質量%の範囲で少なくとも1軸方向に1.1〜1.3倍延伸する発明が記載されている。更に、好ましい態様として、ウェブを支持体から剥離し、更に延伸温度が140〜200℃の範囲で少なくとも1軸方向に1.1〜3.0倍延伸すること、樹脂と有機溶媒とを含むドープAと、樹脂と微粒子と有機溶媒とを含むドープBを調製し、ドープAがコア層、ドープBが表面層となるように支持体上に共流延して、剥離可能となるまで有機溶媒を蒸発させた後、ウェブを支持体から剥離し、更に延伸時の樹脂フィルム中の残留溶媒量が3〜50質量%の範囲で少なくとも1軸方向に1.1〜3.0倍延伸すること、更に延伸温度が140〜200℃の範囲で少なくとも1軸方向に1.1〜3.0倍延伸すること、樹脂と有機溶媒と添加剤を含むドープAと、添加剤を含まないか添加剤の含有量がドープAより少ない樹脂と添加剤と有機溶媒とを含むドープBと、樹脂と微粒子と有機溶媒とを含むドープCを調製し、ドープAがコア層、ドープBが表面層、ドープCがドープBとは反対側の表面層となるように支持体上に共流延して、剥離可能となるまで有機溶媒を蒸発させた後、ウェブを支持体から剥離し、更に延伸時の樹脂フィルム中の残留溶媒量が3〜50質量%の範囲で少なくとも1軸方向に1.1〜3.0倍延伸すること、延伸温度が140〜200℃の範囲で少なくとも1軸方向に1.1〜3.0倍延伸すること、ドープA中の添加剤量が樹脂に対して1〜30質量%、ドープB中の添加剤量が樹脂に対して0〜5質量%であり、添加剤が可塑剤、あるいは紫外線吸収剤、あるいはレタデーション制御剤であること、ドープA中とドープB中の有機溶媒がメチレンクロライド又は酢酸メチルを全有機溶媒に対して50質量%以上含有することを利用することが好ましい。
更に、特開2003−014933号公報には、延伸する方法として、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を横方向に広げて横方向に延伸するテンターと呼ばれる横延伸機を好ましく用いることができることが記載されている。また縦方向に延伸又は収縮させるには、同時2軸延伸機を用いて搬送方向(縦方向)にクリップやピンの搬送方向の間隔を広げたり又は縮めることで行うことができることも開示されている。また、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかに延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましく、また、縦方向に延伸する方法としては、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法も用いることができることが示されている。なお、これらの延伸方法は複合して用いることもでき、(縦延伸、横延伸、縦延伸)又は(縦延伸、縦延伸)などのように、延伸工程を2段階以上に分けて行ってもよいことが記載されている。
更に、テンター乾燥のウェブの発泡を防止し、離脱性を向上させ、発塵を防止するために、特開2003−004374号公報には、乾燥装置において、乾燥器の熱風がウェブ両縁部に当たらないように、乾燥器の幅がウェブの幅よりも短く形成されている発明が記載されている。
また、テンター乾燥のウェブの発泡を防止し、離脱性を向上させ、発塵を防止するために、特開2003−019757号公報には、テンターの保持部に乾燥風が当らないようウェブ両側端部内側に遮風板を設ける発明が記載されている。
更に、搬送、乾燥を安定的に行うために、特開2003−053749号公報には、ピンテンターにより担持されるフィルムの両端部の乾燥後の厚みをXμm、フィルムの製品部の乾燥後の平均厚みをTμmとすると、XとTとの関係が式(1)T≦60のとき、40≦X≦200、式(2)60<T≦120のとき、40+(T−60)×0.2≦X≦300又は式(3)120<Tのとき、52+(T−120)×0.2≦X≦400の関係を満たす発明が記載されている。
また、多段式テンターにシワを発生させないために、特開平2−182654号公報には、テンター装置において、多段式テンターの乾燥器内に加熱室と冷却室とを設け、左右のクリップ−チェーンを別々に冷却する発明が記載されている。
更に、ウェブの破断、シワ、搬送不良を防止するために、特開平9−077315号公報には、ピンテンターのピンにおいて、内側のピン密度を大きく、外側のピン密度を小さくする発明が記載されている。
また、テンター内においてウェブ自体の発泡やウェブが保持手段に付着するのを防止するために、特開平9−085846号公報には、テンター乾燥装置において、ウェブの両側縁部保持ピンを吹出型冷却器でウェブの発泡温度未満に冷却すると共に、ウェブを喰い込ます直前のピンをダクト型冷却器でのドープのゲル化温度+15℃以下に冷却する発明が記載されている。
更に、ピンテンターハズレを防止し、異物を良化するために、特開2003−103542号公報には、ピンテンターにおいて、差込構造体を冷却し、差込構造体と接触しているウェブの表面温度がウェブのゲル化温度を超えないようにする溶液製膜方法に関する発明が記載されている。
また、溶液流延法により速度を上げたり、テンターにてウェブの幅を広げたりする時の平面性等の品質低下を防止するために、特開平11−077718号公報には、テンター内でウェブを乾燥する際には、風速を0.5〜20(40)m/s、横手方向温度分布を10%以下、ウェブ上下風量比を0.2〜1とし、乾燥ガス比を30〜250J/Kmolとする発明が記載されている。更に、テンター内での乾燥において、残留溶媒の量に応じて好ましい乾燥条件を開示している。具体的には、ウェブを支持体から剥離した後、ウェブ中の残留溶媒量が4質量%になるまでの間に、吹き出し口からの吹き出す角度がフィルム平面に対して30〜150゜の範囲にし、かつ乾燥ガスの吹き出し延長方向に位置するフィルム表面上での風速分布を風速の上限値を基準にした時、上限値と下限値との差を上限値の20%以内にして、乾燥ガスを吹き出し、ウェブを乾燥させること、ウェブ中の残留溶媒量が130〜70質量%の時には、吹き出し型乾燥機から吹き出される乾燥ガスのウェブ表面上での風速が0.5〜20m/secとすること、また、残留溶媒量が70質量%未満4質量%以上の時には、乾燥ガスの風速が0.5〜40m/secで吹き出される乾燥ガス風により乾燥させ、ウェブの幅手方向の乾燥ガスの温度分布がガス温度の上限値を基準にした時、上限値と下限値との差を上限値の10%以内とすること、ウェブ中の残留溶媒量が4〜200質量%の時には、搬送されるウェブの上下に位置する吹き出し型乾燥機の吹き出し口から吹き出す乾燥ガスの風量比qが0.2≦q≦1とすることが記載されている。更に、好ましい態様として、乾燥ガスに少なくとも1種の気体を使用し、その平均比熱が31.0〜250J/K・molであること、乾燥中の乾燥ガスに含まれる常温で液体の有機化合物の濃度が、50%以下の飽和蒸気圧の乾燥ガスで乾燥すること、等が開示されている。
また、汚染物質の発生によって平面性や塗布が悪化するのを防止するために、特開平11−077719号公報には、TACの製造装置において、テンターのクリップが加熱部分を内蔵している発明が記載されている。更に好ましい態様として、テンターのクリップがウェブを解放してから、再びウェブを担持するまでの間に、クリップとウェブの接触部分に発生する異物を除去する装置を設けること、噴射する気体又は液体及びブラシを用いて異物を除去すること、クリップあるいはピンとウェブとの接触時の残留量は12〜50質量%であること、クリップあるいはピンとのウェブとの接触部の表面温度は60°以上200°以下(より好ましくは、80〜120°)であること、等が開示されている。
平面性を良化し、テンター内での裂けによる品質低下を改良し、生産性を挙げるために、特開平11−090943号公報には、テンタークリップにおいて、テンターの任意の搬送長さLt(m)と、Ltと同じ長さのテンターのクリップがウェブを保持している部分の搬送方向の長さの総和Ltt(m)との比Lr=Ltt/Ltが、1.0≦Lr≦1.99とする発明が記載されている。更に好ましい態様として、ウェブを保持する部分が、ウェブ幅方向から見て隙間なく配置することが開示されている。
また、テンターにウェブを導入する際、ウェブのたるみに起因する平面性悪化と導入不安定性を良化させるために、特開平11−090944号公報には、プラスティックフイルムの製造装置において、テンター入口前に、ウェブ幅手方向のたるみ抑制装置を有する発明が記載されている。なお、更に好ましい態様として、たるみ抑制装置が幅手方向に広がる角度が2〜60゜の方向範囲で回転する回転ローラーであること、ウェブの上部に吸気装置を有すること、ウェブの下から送風できる送風機を有すること、等も開示されている。
品質の劣化と生産性を阻害するたるみを起こさせないようにすることを目的として、特開平11−090945号公報には、TACの製法において、支持体より剥離したウェブを水平に対して角度を持たせてテンターに導入する発明が記載されている。
また、安定した物性のフィルムを作るために、特開平2000−289903号公報には、剥離され溶媒含有率50〜12質量%の時点で、ウェブの幅方向にテンションを与えつつ搬送する搬送装置において、ウェブの幅検知手段とウェブの保持手段と、2つ以上の可変可能な屈曲点を有しウェブの幅検知で検知の信号からウェブ幅を演算し、屈曲点の位置を変更する発明が記載されている。
更に、クリッピング性を向上し、ウェブの破断を長期間防止し、品質の優れたフィルムを得るために、特開2003−033933号公報には、テンターの入口寄り部分の左右両側において、ウェブの左右両側縁部の上方及び下方のうちの少なくとも下方にウェブ側縁部カール発生防止用ガイド板を配置し、ガイド板のウェブ対向面が、ウェブの搬送方向に配されたウェブ接触用樹脂部とウェブ接触用金属部とによって構成することが記載されている。更に好ましい態様として、ガイド板のウェブ対向面のウェブ接触用樹脂部がウェブ搬送方向の上流側に、ウェブ接触用金属部が同下流側に配置されること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部及びウェブ接触用金属部の間の段差(傾斜を含む)が、500μm以内であること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部及びウェブ接触用金属部のウェブに接する幅手方向の距離が、それぞれ、2〜150mmであること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部及びウェブ接触用金属部のウェブに接するウェブ搬送方向の距離が、それぞれ5〜120mmであること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部が、金属製ガイド基板に表面樹脂加工若しくは樹脂塗装により設けられること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部が樹脂単体からなっていること、ウェブの左右両側縁部において上方及び下方に配置されたガイド板のウェブ対向面同士の間の距離が、3〜30mmであること、ウェブの左右両側縁部において上下両ガイド板のウェブ対向面同士の間の距離が、ウェブの幅手方向にかつ内方に向かって幅100mm当たり2mm以上の割合で拡大されていること、ウェブの左右両側縁部において上下両ガイド板がそれぞれ10〜300mmの長さを有するものであり、かつ上下両ガイド板がウェブの搬送方向に沿って前後にずれるように配置されていて、上下両ガイド板同士の間のずれの距離が、−200〜+200mmとなっていること、上部ガイド板のウェブ対向面が、樹脂又は金属のみによって構成されていること、ガイド板のウェブ接触用樹脂部がテフロン(登録商標)製であり、ウェブ接触用金属部がステンレス鋼製であること、ガイド板のウェブ対向面又はこれに設けられたウェブ接触用樹脂部及びウェブ接触用金属部の少なくともいずれかの表面粗さが、3μm以下なっていること、等が開示されている。また、ウェブ側縁部カール発生防止用上下ガイド板の設置位置は、支持体の剥離側端部からテンター導入部までの間が好ましく、特にテンター入口寄り部分に設置するのがより好ましいことも記載されている。
更に、テンター内で乾燥中発生するウェブの切断やムラを防止するために、特開平11−048271号公報には、剥離後、ウェブの溶媒含有率50〜12質量%の時点で、幅延伸装置で延伸、乾燥し、また、ウェブの溶媒含有率が10質量%以下の時点で加圧装置によってウェブの両面から0.2〜10KPaの圧力を付与する発明が記載されている。更に好ましい態様として、溶媒含有率が4質量%以上の時点で張力付与を終了することや圧力をウェブ(フィルム)両面から加える方法としてニップロールを用いて圧力を加える場合は、ニップロールのペアは1から8組程度が好ましく、加圧する場合の温度は100〜200℃が好ましいことも開示されている。
また、厚み20〜85μmの高品質薄手タックを得るための発明である、特開2002−036266号公報には、好ましい態様として、テンターの前後における、ウェブにその搬送方向に沿って作用する張力の差を、8N/mm以下とすること、剥離工程の後、ウェブを予熱する予熱工程と、この予熱工程の後、テンターを用いてウェブを延伸する延伸工程と、この延伸工程の後、ウェブをこの延伸工程での延伸量よりも少ない量だけ緩和させる緩和工程とを具備し、予熱工程及び前記延伸工程における温度T1を、(フィルムのガラス転移温度Tg−60)℃以上とし、かつ、緩和工程における温度T2を、(T1−10)℃以下とすること、延伸工程でのウェブの延伸率を、この延伸工程に入る直前のウェブ幅に対する比率で0〜30%に、緩和工程でのウェブの延伸率を、−10〜10%すること、等が開示されている。
更に、乾燥膜厚が10〜60μmの薄型化及び軽量化透湿性の小耐久性に優れることを目的とした、特開2002−225054号公報には、剥離後、ウェブの残留溶媒量が10質量%になるまでの間に、ウェブの両端をクリップで把持して、幅保持による乾燥収縮抑制及び幅手方向の延伸少なくともいずれかを行い、式S={(Nx+Ny)/2}−Nzで表される面配向度(S)が0.0008〜0.0020のフィルムを形成すること(式中、Nxはフィルムの面内の最も屈折率が大きい方向の屈折率、NyはNxに対して面内で直角な方向の屈折率、Nzはフィルムの膜厚方向の屈折率)、流延から剥離までの時間を30〜90秒とすること、剥離後のウェブを幅手方向及び長手方向の少なくともいずれかに延伸すること、等が開示されている。
また、特開2002−341144号公報には、光学ムラ抑制のために、レタデーション上昇剤の質量濃度が、フィルム幅方向中央に近づくほど高い光学分布を持つ、延伸工程を有する溶液製膜方法が記載されている。
更に、曇りの発生しないフィルムを得るための発明である特開2003−071863号公報には、幅手方向の延伸倍率は0〜100%であることが好ましく、偏光板保護フィルムとして用いる場合は、5〜20%がより好ましく、8〜15%が特に好ましいことが記載されている。更に、一方、位相差フィルムとして用いる場合は、10〜40%が更に好ましく、20〜30%がより好ましく、延伸倍率によってRoをコントロールすることが可能で、延伸倍率が高い方が、でき上がったフィルムの平面性に優れるため好ましいことが開示されている。更にテンターを行う場合のフィルムの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつ、フィルムの残留溶媒量が10質量%以下になるまでテンターをかけながら乾燥を行うことが好ましく、5質量%以下がより好ましいことが示されている。またテンターを行う場合の乾燥温度は、30〜150℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、70〜100℃が特に好ましい。乾燥温度の低い方が紫外線吸収剤や可塑剤などの蒸散が少なく、工程汚染を低減できるが、一方、乾燥温度の高い方がフィルムの平面性に優れることも開示されている。
また、高温度、高湿度条件での保存時、縦、横の寸法変動を少なくする発明である特開2002−248639号公報には、支持体上にセルロースエステル溶液を流延し、連続的に剥離して乾燥させるフィルムの製造方法において、乾燥収縮率が、式…0≦乾燥収縮率(%)≦0.1×剥離する時の残留溶媒量(%)を満たすように乾燥させる発明が記載されている。更に、好ましい態様として、剥離後のセルロースエステルフイルムの残留溶媒量が40〜100質量%の範囲内にあるとき、テンター搬送でセルロースエステルフイルムの両端部を把持しながら少なくとも残留溶媒量を30質量%以上減少させること、剥離後のセルロースエステルフイルムのテンター搬送入り口における残留溶媒量が40〜100質量%であり、出口における残留溶媒量が4〜20質量%であること、テンター搬送でセルロースエステルフイルムを搬送する張力がテンター搬送の入り口から出口に向けて増加するようにすること、テンター搬送でセルロースエステルフイルムを搬送する張力とセルロースエステルフイルムを幅手方向の張力が略等しいこと、等が開示されている。
なお、膜厚が薄く、光学的等方性、平面性に優れたフィルムを得るために、特開2000−239403号公報には、剥離時の残留溶媒率Xとテンターに導入する時の残留溶媒率Yの関係を0.3X≦Y≦0.9Xの範囲として製膜を行うことが開示されている。
特開2002−286933号公報には、流延により製膜するフィルムを延伸する方法として、加熱条件下で延伸する方法と溶媒含有条件下で延伸する方法とが挙げられ、加熱条件下で延伸する場合には、樹脂のガラス転移点近傍以下の温度で延伸することが好ましく、一方、流延製膜されたフィルムを溶媒含浸条件下で延伸する場合には、一度乾燥したフィルムを再度溶媒に接触させて溶媒を含浸させて延伸することが可能であることが開示されている。
−レタデーション上昇剤−
前記レタデーション上昇剤は、フィルムなどの材料に添加することにより、各波長におけるレタデーション値を調整することができる。
本明細書において『レタデーション上昇剤』とは、ある添加剤を含むセルロースアシレートフィルムの波長550nmで測定したReレタデーション値が、その添加剤を含まない以外は全く同様に作製したセルロースアシレートフィルムの波長550nmで測定したReレタデーション値(未延伸状態)よりも、20nm以上高い値となる『添加剤』を意味する。レタデーション値の上昇は、30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがより好ましく、60nm以上であることが特に好ましい。
前記レタデーション上昇剤は、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物が好ましい。 前記レタデーション上昇剤は、ポリマー100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2〜5質量部の範囲で使用することが更に好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレタデーション上昇剤を併用してもよい。
前記レタデーション上昇剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(即ち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
前記芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には、例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
前記レタデーション上昇剤が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、2〜6であることが特に好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環又は非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−又はそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
前記芳香族環及び連結基は、置換基を有していてもよい。
前記置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
前記アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基は、更に置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル及び2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
前記アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基がより好ましい。アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及び1−ヘキセニルが含まれる。
前記アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基がより好ましい。アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。
前記脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイル及びブタノイルが含まれる。
前記脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
前記アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、更に置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシ及びメトキシエトキシが含まれる。
前記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノが含まれる。
前記アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ及びオクチルチオが含まれる。
前記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル及びエタンスルホニルが含まれる。
前記脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
前記脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド及びn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
前記脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
前記脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル及びジエチルカルバモイルが含まれる。
前記脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル及びジエチルスルファモイルが含まれる。
前記脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
前記非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ及びモルホリノが含まれる。
前記レタデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
前記レタデーション上昇剤としては、1,3,5−トリアジン環を用いた化合物の他に直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析又は分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通株式会社製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、前記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1):Ar−L−Ar
ただし、前記一般式(1)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基である。
本発明において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
前記アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子又は硫黄原子がより好ましい。芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
前記置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)及び非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
前記置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が好ましい。アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、更に、置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
前記一般式(1)において、Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−、及びそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。
前記アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンがより好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が特に好ましく、1〜8が更に好ましく、1〜6が最も好ましい。
前記アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがより好ましい。
前記アルケニレン基及びアルキニレン基の炭素原子数は、2〜10であり、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が特に好ましく、2(ビニレン又はエチニレン)が最も好ましい。
前記アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12が特に好ましい。
前記一般式(1)の分子構造において、Lを挟んで、ArとArとが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
前記棒状化合物としては、下記式一般式(2)で表される化合物が更に好ましい。
一般式(2):Ar−L−X−L−Ar
前記一般式(2)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義及び例は、前記一般式(1)のAr及びArと同様である。
前記一般式(2)において、L及びLは、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる基より選ばれる二価の連結基である。
前記アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがより好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が特に好ましく、1〜4が更に好ましく、1又は2(メチレン又はエチレン)であることが最も好ましい。
前記L及びLは、−O−CO−又はCO−O−であることが特に好ましい。
前記一般式(2)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレン又はエチニレンである。
以下に、前記一般式(2)で表される化合物の具体例を示す。
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。前記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
その他、好ましい化合物を以下に示す。
前記棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229頁(1979年)、同89巻、93頁(1982年)、同145巻、111頁(1987年)、同170巻、43頁(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349頁(1991年)、同118巻、5346頁(1996年)、同92巻、1582頁(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420頁(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437頁(1992年)を挙げることができる。
前記レタデーション上昇剤は、溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
前記レタデーション上昇剤の添加量は、ポリマーの量の0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましい。
前記芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましい。二種類以上の化合物を併用してもよい。
前記セルロースアシレートフィルムには、表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ鹸化処理及び紫外線照射処理が含まれる。表面処理は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号の30頁〜32頁に記載がある。
前記アルカリ鹸化処理は、セルロースアシレートフィルムを鹸化液中に浸漬するか、鹸化液をセルロースアシレートフィルムに塗布することにより実施する。塗布による方法が好ましい。塗布方法には、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法、E型塗布法がある。アルカリは、アルカリ金属(例、カリウム、ナトリウム)の水酸化物が好ましい。即ち、アルカリ処理液は、アルカリ金属の水酸化物の溶液であることが好ましい。溶液中の水酸化イオンの濃度は、0.1〜3.0mol/Lであることが好ましい。アルカリ処理液には、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒、界面活性剤、湿潤剤(例、ジオール、グリセリン)を添加し、アルカリ処理液の第2光学異方性層に対する濡れ性や処理液の安定性を改善できる。フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒は、アルコール(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール)が好ましい。アルカリ処理液の添加剤は、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに記載がある。
前記表面処理に代えて、又は表面処理に加えて、下塗り層(特開平7−333433号公報記載)を設けてもよい。複数の下塗り層を設けてもよい。例えば、疎水性基と親水性基との両方を含有するポリマー層を第1下塗り層として設け、その上に配向膜とよく密着する親水性のポリマー層を第2下塗り層として設けること(特開平11−248940号公報記載)もできる。
−配向膜−
前記配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
前記配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性分子を配向させる機能のある分子構造を有する。配向膜に用いるポリマーには、液晶性分子を配向させる機能に加えて、液晶性分子の配向を固定する機能を有することが好ましい。例えば、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖をポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基をポリマーの側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能であるか、あるいは架橋剤の使用により架橋可能になることが好ましい。架橋可能なポリマーは、特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載がある。架橋可能なポリマーの例には、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート及びこれらの共重合体が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることもできる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを2種類以上併用することが特に好ましい。
前記ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5,000であることが好ましい。液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類及び必要とする配向状態に応じて決定する。変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例は、親水性基(例、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ、アンモニオ、アミド、チオール)、炭素原子数10〜100の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、アルキルチオ基、重合性基(例、不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基)、アルコキシシリル基(トリアルコキシシリル、ジアルコキシシリル、モノアルコキシシリル)を含む。変性ポリビニルアルコールは、特開2000−155216号公報、同2002−62426号公報の各公報に記載がある。
前記架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと第1光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償フィルムの強度を著しく改善することができる。配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基が好ましい架橋性官能基は、特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]に記載がある。
前記配向膜ポリマーは、架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤は、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉を含む。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。架橋剤は、特開2002−62426号公報に記載がある。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。架橋剤の残留量を削減することで、液晶表示装置を長期使用する場合、あるいは液晶表示装置を高温高湿の雰囲気下に長期間放置する場合でも、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
前記配向膜は、前記ポリマー及び架橋剤を含む塗布液を、第2光学異方性層上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、ラビング処理することにより形成できる。架橋反応は、第2光学異方性層上に塗布した後に行なう。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。水とメタノールの混合溶媒の場合、溶媒全体に対してメタノールが1質量%以上含まれることが好ましく、9質量%以上含まれることがより好ましい。有機溶媒を加えることで、泡の発生が抑えられ、配向膜及び第1光学異方性層の表面の欠陥が著しく減少する。
前記配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20〜110℃で行うことができる。充分な架橋を形成するためには60〜100℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行うことができ、1〜30分が好ましい。pHは、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましい。グルタルアルデヒドを使用する場合、pHは4.5〜5.5が好ましい。
前記配向膜は、表面をラビング処理することにより得ることができる。ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法と同様である。即ち、配
向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて、数回程度ラビングを行う。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光膜の少なくとも片側に、本発明の第2光学異方性層及び本発明の第1光学異方性層とを貼り合せた積層体からなり、少なくとも本発明の光学補償フィルムが有する光学特性を有する。
−偏光膜−
前記偏光膜は、配向型偏光膜又は塗布型偏光膜(Optiva Inc.製)を含む。 前記配向型偏光膜は、バインダーとヨウ素若しくは二色性色素とからなる。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、若しくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。市販の配向型偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素若しくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、若しくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されている。また、市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素若しくは二色性色素が分布しており、充分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素若しくは二色性色素の溶液濃度、浴槽温度及び浸漬時間により制御することができる。偏光膜の厚みは、現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象が、17インチの液晶表示装置では観察されなくなる。
前記偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。偏光膜のバインダーとして、それ自体架橋可能なポリマーを用いてもよい。官能基を有するポリマー、又はポリマーに官能基を導入して得られたポリマーに、光、熱あるいはpH変化を与えて、官能基を反応させてポリマー間を架橋させ、偏光膜を形成することができる。また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。架橋は一般に、架橋可能なポリマー又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布した後、加熱することにより実施できる。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
前記偏光膜のバインダーとして、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーを使用できる。ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体)が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いてもよい。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
前記ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールのケン化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5,000が好ましい。変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合で導入する変性基の例は、−COONa、−Si(OX)(Xは、水素原子又はアルキル基)、−N(CH3)・Cl、−C19、−COO、−SONa、−C1225を含む。連鎖移動で導入する変性基の例は、−COONa、−SH、−SC1225を含む。変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3,000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号公報、同9−152509号公報及び同9−316127号公報の各公報に記載がある。ケン化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコール及びアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
前記架橋剤については、米国再発行特許第23297号明細書に記載がある。ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光膜の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、若しくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。バインダー中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。即ち、架橋剤の残留量が多い偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
前記二色性色素は、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素を含む。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリーン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。二色性色素については、特開平1−161202号公報、同1−172906号公報、同1−172907号公報、同1−183602号公報、同1−248105号公報、同1−265205号公報、同7−261024号公報の各公報に記載がある。
前記二色性色素は、遊離酸又は塩(例、アルカリ金属塩、アンモニウム塩若しくはアミン塩)として用いられる。二種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光膜を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光膜、あるいは黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光膜は、単板透過率及び偏光率が優れている。
前記偏光膜は、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して延伸する(延伸法)。あるいは、ラビングした後に、ヨウ素、二色性色素で染色する(ラビング法)。延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がより好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍がより好ましい。延伸工程は、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
前記偏光膜は、歩留まりの観点から、長手方向に対して10〜80°傾斜して延伸することが好ましい。その場合は、延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。前記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフィルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。傾斜角度は、液晶表示装置を構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦又は横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45°である。しかし、最近は、透過型、反射型及び半透過型液晶表示装置において必ずしも45°でない装置が開発されており、延伸方向は液晶表示装置の設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10〜80°斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
前記ラビング法では、液晶表示装置の液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。即ち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1〜90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360°以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60°の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50°が好ましく、45°がより好ましい。
前記偏光膜の両面には、保護フィルムを配置するのが好ましく、一方の面の保護フィルムとして、ロール状光学補償フィルムの一部を用いるのが好ましい。例えば、保護フィルム/偏光膜/第2光学異方性層/第1光学異方性層、又は保護フィルム/偏光膜/第2光学異方性層/配向膜/第1光学異方性層の順に積層された積層体が好ましい。偏光膜と第1光学異方性層の表面側とを貼りあわせてもよい。貼り合せには接着剤を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を接着剤として用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。偏光板の表面には、例えば、光拡散フィルム又は防眩性フィルムを貼り合わせてもよい。
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、液晶セルを有し、かつ本発明の偏光板を有する。
前記光学補償フィルムと偏光膜とを貼り合わせて得られた本発明の偏光板は、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルの液晶層が、下記の数式(10)から(12)の少なくともいずれかを満たすことが好ましい。
1≦Rec450(0°)/Rec650(0°)≦1.25・・・数式(10)
1≦Rec450(40°)/Rec650(40°)≦1.25・・・式(11)
1≦Rec450(−40°)/Rec650(−40°)≦1.25・・・数式(12)
ただし、波長λ(nm)の光で測定した液晶セルの進相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をRecλ(θ)と定義する(Recλ(θ)とRecλ(−θ)の値が異なる場合は、Recλ(θ)>Recλ(−θ)となるように大小を決定する)。
また、第1光学異方性層と液晶セルの液晶層とが、下記の数式(13)から(15)の少なくともいずれかを満たす光学特性を有することが好ましい。
0.9<{(Rec450(0°)/Rec650(0°))/(Re450(0°)/Re650(0°))}<1.1・・・数式(13)
0.9<{(Rec450(40°)/Rec650(40°))/(Re450(40°)/Re650(40°))}<1.1・・・数式(14)
0.9<{(Rec450(−40°)/Rec650(−40°))/(Re450(−40°)/Re650(−40°))}<1.1・・・数式(15)
以下図面を用いて本発明の液晶表示装置について説明する。ただし、本発明の液晶表示装置は、この構成に限定されるものではない。
<透過型液晶表示装置>
前記透過型液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなる。
前記偏光板は、偏光膜及びその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
本発明の光学補償フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
本発明の偏光板は、液晶セルの両側に配置された二枚の偏光板のうちの少なくとも一方として用いればよい。この際には、光学補償フィルムが液晶セル側となるように本発明の偏光板を配置する。
前記液晶セルは、OCB、ECB、IPS、FFS及びTNのいずれかであることが好ましい。
前記OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号公報、同5410422号公報の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
前記IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。光学補償フィルムを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
前記TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
前記OCBモード、ECBモード、TNモードの液晶セルのΔn×dの値は、50〜1,000nmであることが好ましく、300〜1,000nmであることがより好ましい。反射型又は透過型液晶セルであることが好ましい。RGBの画素で色表現することが好ましく、RGBの画素のセルギャップが画素ごとに異なってもよい。また、画素ごとに印加する電圧が異なってもよい。
これらの中でも、前記液晶セルは、ベンド配向液晶セルであることが好ましい。
−ベンド配向液晶セル−
前記ベンド配向液晶セルは、電圧印加時に、液晶セル中央部に捻れを含むベンド配向が形成される液晶セルである。
図1は、ベンド配向液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。図1に示すように、ベンド配向液晶セルは、上側基板14aと下側基板14bの間に液晶性化合物11を封入した構造を有する。ベンド配向液晶セルに使用する液晶性化合物11は、一般に正の誘電率異方性を有しており、棒状液晶性分子11a〜11jが好ましい。液晶セルの上側基板14aと下側基板14bは、それぞれ、配向膜12a、12bと電極層13a、13bを有する。配向膜は棒状液晶性分子11a〜11jを配向させる機能を有する。RDは配向膜のラビング方向である。電極層は棒状液晶性分子11a〜11jに電圧を印加する機能を有する。
前記ベンド配向液晶セルの印加電圧が低い時、図1のoffに示すように、液晶セルの上側基板14a側の棒状液晶性分子11a〜11eと下側基板14b側の棒状液晶性分子11f〜11jとは、逆向きに(上下対称に)に配向する。また、基板14a、14b近傍の棒状液晶性分子11a、11b、11i、11jは、ほぼ水平方向に配向し、液晶セル中央部の棒状液晶性分子11d〜11gは、ほぼ垂直方向に配向する。
図1のonに示すように、印加電圧が高いと、基板14a、14b近傍の棒状液晶性分子11a、11jは、ほぼ水平に配向したままである。また、液晶セル中央部の棒状液晶性分子11e、11fは、ほぼ垂直に配向したままである。電圧の増加により配向が変化するのは、基板と液晶セル中央部との中間に位置する棒状液晶性分子11b、11c、11d、11g、11h、11iであり、これらはoffの状態よりも垂直に配向する。しかし、液晶セルの上側基板14a側の棒状液晶性分子11a〜11eと下側基板14b側の棒状液晶性分子11f〜11jとが、逆向きに(上下対称に)に配向することは、offの状態と同様である。
−偏光板−
図2は、偏光板を示す模式図である。図2に示す偏光板は、少なくとも第1光学異方性層31、第2光学異方性層33及び偏光膜34の積層体からなる。第1光学異方性層31はディスコティック液晶化合物31a〜31eからなることが好ましく、第2光学異方性層33はセルロースアシレートフィルムからなることが好ましい。図2に示す偏光板は、第1光学異方性層31と第2光学異方性層33との間に配向膜32を有する。第1光学異方性層31のディスコティック液晶化合物31a〜31eは、平面分子である。ディスコティック液晶化合物31a〜31eは、分子中にはただ一個の平面、即ち円盤面を持つ。円盤面は、第2光学異方性層33の面に対して傾斜している。円盤面と第2光学異方性層面との間の角度(傾斜角)は、ディスコティック液晶化合物状化合物と配向膜からの距離が増加するに伴って増加している。平均傾斜角は、15〜50°の範囲であることが好ましい。図2に示すように傾斜角を変化させると、偏光板の視野角拡大機能が著しく向上する。また、傾斜角を変化させた偏光板には、表示画像の反転、階調変化あるいは着色の発生を防止する機能もある。ディスコティック液晶化合物31a〜31eの円盤面の法線NLを第2光学異方性層33へ正射影した方向PLの平均は、配向膜32のラビング方向RDと反平行の関係になる。
本発明の好ましい機能としては、ディスコティック液晶化合物の円盤面の法線の第2光学異方性層への正射影の平均方向と、第2光学異方性層33の面内遅相軸SAと、の角度を実質的に45°にする。よって、偏光板の製造工程では、配向膜32のラビング方向RDと第2光学異方性層の面内遅相軸SAとの角度θが実質的に45゜になるように調節すればよい。更に、本発明では、第2光学異方性層の面内遅相軸SAと偏光膜34の面内透過軸TAとが実質的に平行又は実質的に垂直になるように第2光学異方性層と偏光膜とを配置する。図2に示す偏光板では、一枚の第2光学異方性層を平行に配置している。第2光学異方性層33の面内遅相軸SAは、原則として第2光学異方性層の延伸方向に相当する。偏光膜34の面内透過軸TAは、原則として偏光膜の延伸方向に垂直な方向に相当する。
−光拡散フィルム−
前記光拡散又は防眩性フィルムは、前記液晶表示装置に好適に用いられ、光拡散機能が発揮される。図3は、光拡散フィルムの代表的な形態を示す断面模式図である。
図3に示す光拡散フィルム1は、透明基材フィルム2と、透光性樹脂40中に、例えば、第1の透光性微粒子41及び第2の透光性微粒子42とを含む光拡散層3とを積層してなる。ここでは2種類の(屈折率が異なり)二つの粒径分布のピークを有する透光性微粒子にて説明を行なうが、同じ種類で(屈折率が同じで)二つの粒径分布線のピークを有する透光性微粒子を用いてもよいし、一種類の透光性微粒子を用いてもよい。
前記第1の透光性微粒子41は、透光性樹脂、例えば、シリカ微粒子(平均粒子径1.0μm、屈折率1.51)から構成され、第2の透光性微粒子42は、透光性樹脂、例えば、スチレンビーズ(平均粒子径3.5μm、屈折率1.61)から構成されている。光拡散機能は、透光性微粒子41及び42と透光性樹脂40との屈折率の差によって得られる。屈折率の差は、0.02〜0.15であることが好ましい。屈折率差が0.02未満であると、光拡散効果を得られない場合がある。屈折率差が0.15よりも大きい場合は、光拡散性が高すぎて、フィルム全体が白化する場合がある。屈折率差は、0.03〜0.13が好ましく、0.04〜0.10がより好ましい。
前記偏光膜を液晶表示装置に用いる場合、視認側表面に反射防止層を設置するのが好ましい。反射防止層を偏光膜の視認側の保護層と兼用してもよい。液晶表示装置の視角による色味変化抑制の観点から、反射防止層の内部ヘイズを50%以上にすることが好ましい。反射防止層は、特開2001−33783号公報、同2001−343646号公報及び同2002−328228号公報の各公報に記載がある。
[ベント配向型液晶表示装置]
図4は、本発明に従うベンド配向型液晶表示装置を示す断面模式図である。図4に示す液晶表示装置は、ベンド配向液晶セル10、液晶セルの両側に配置された一対の偏光板31A〜34A、31B〜34B及びバックライトBLからなる。ベンド配向液晶セル10は、図1に示した液晶セルに相当する。ベンド配向液晶セル10の上下のラビング方向RD2、RD3は、同一方向(平行)である。偏光板は、ベンド配向液晶セル10側から、第1光学異方性層31A(31B)、第2光学異方性層33A(33B)及び偏光膜34A(34B)がこの順に積層されてなる。第1光学異方性層31A、31Bのディスコティック液晶化合物のラビング方向RD1、RD4は、対面する液晶セルのラビング方向RD2、RD3とは反平行の関係にある。前述したように、ディスコティック液晶化合物のラビング方向RD1、RD4は、円盤面の法線を第2光学異方性層へ正射影した平均方向と反平行になる。第2光学異方性層33A、33Bの面内遅相軸SA1、SA2及び偏光膜34A、34Bの面内透過軸TA1、TA2は、ディスコティック液晶化合物のラビング方向RD1、RD4と同一平面では実質的に45°の角度になる。そして、二枚の偏光膜34A、34Bは、面内透過軸TA1、TA2が互いに直交するよう(クロスニコル)に配置されている。
以下、図面を用いて本発明の液晶表示装置の他の例について説明する。
[ECBモード型液晶表示装置]
図5は、本発明のECBモード型液晶表示装置を示す断面模式図である。図5に示すECBモード型液晶表示装置は、液晶性化合物51を含む液晶層とそれを挟む基板52A及び52Bからなる液晶セルを有する。上側基板52Aと下側基板52Bは、それぞれ、配向膜(図示せず)と電極層(図示せず)を有する。液晶セルを挟持して偏光膜56A及び56Bがそれぞれ配置されている。偏光膜56A及び56Bと液晶セルとの間には、第1光学異方性層53A及び53B、第2光学異方性層54A及び54Bがそれぞれ配置されている。なお、第1及び第2光学異方性層に加えて、更に第3の光学異方性層55A、55Bを設けてもよい。第1及び第2光学異方性層と偏光膜とを一体化し、楕円偏光板として用いることが好ましい。
また、第1及び第2光学異方性層は、一体化した部材として液晶表示装置に組み込んでもよいし、それぞれ個別の部材として組み込むこともできる。また、第1及び第2光学異方性層は、液晶セルと表示面側の偏光膜との間に配置されていても、液晶セルとバックライド側の偏光膜との間に配置されていてもよい。
偏光膜56A及び56Bの透過軸TA3及びTA4は、互いに直交で、かつ第2光学異方性層54A及び54Bの遅相軸SA3及びSA4とそれぞれ平行になるように配置される。
前記液晶セルは、上側基板52A及び下側基板52Bと、これらに挟持される液晶層からなる。基板52A及び52Bの液晶性化合物51に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されている。配向膜はラビング処理等を行うことにより液晶性化合物51を配向させる機能を有する。上側基板52Aのラビング方向RD6と、下側基板52Bのラビング方向RD7は平行に設定してあり、液晶性化合物51はツイスト構造を持たない平行配向となっている。また、基板52A及び52Bの内面には、液晶性化合物51からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。透明電極は液晶性化合物51に電圧を印加する機能を有する。透明電極は通常透明なインジウムチンオキサイド(ITO)からなる。
用いる液晶材料については特に制限されないが、誘電率異方性が正の液晶材料を使用するのが好ましい。
本発明では、液晶層の厚みd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.1〜1.5μmとするのが好ましく、更に、0.12〜0.9μmとするのがより好ましく、0.15〜0.5μmとするのが更により好ましい。これらの範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。なお、これらの最適値は透過モードの値であり、反射モードでは液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δn・dの値は前記の1/2程度の値になる。
前記構成の液晶表示装置は電圧無印加状態で白表示、高電圧印加状態で透過率が低下して黒表示となるノーマリホワイト表示となる。黒表示は光学補償フィルムのRe値と電圧印加状態の液晶層のレタデーション値が一致した時に得られる。
基板52A及び52Bのそれぞれの透明電極(不図示)に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層中の液晶性化合物51は、基板52A及び52Bの面に対して概略平行に配向し、その結果通過する光は液晶性化合物51の複屈折効果により偏光状態を変化し、偏光膜56A及び52Bを通過する。この時透過光が最大となるように液晶層のΔn・dの値を前記範囲に設定する。これに対し、透明電極(不図示)に駆動電圧を印加した駆動状態では、印加した電圧の大きさに依存して液晶性化合物51は基板52A及び52Bの面に垂直に配向しようとする。しかし、基板間の中央付近では基板面に対して概略垂直となるが、基板界面近傍では平行な方向に配向し、中央に向かい連続的傾斜配向している。このような状態では完全な黒表示を得ることはむずかしい。また基板界面近傍の傾斜した液晶性化合物の平均配向は観察する角度により変わり、視野角により透過率、明るさが変化する視野角依存性が生じる。そこで、まず基板界面近傍の液晶層の残留位相差を補償する光学補償フィルムを配置することで、完全な黒表示が得られ、正面コントラスト比が向上する。
[IPSモード型液晶表示装置]
図6は、本発明のIPSモード型液晶表示装置を示す断面模式図である。図6に示すIPSモード型液晶表示装置は、液晶性化合物61を含む液晶層とそれを挟む基板62A及び62Bからなる液晶セルを有する。上側基板62Aと下側基板62Bは、それぞれ、配向膜(図示せず)と電極層(図示せず)を有する。液晶セルを挟持して偏光膜64A及び64Bがそれぞれ配置されている。偏光膜64A及び64Bと液晶セルとの間には、第1光学異方性層63A及び63B、第2光学異方性層(図示せず)がそれぞれ配置されている。なお、第1及び第2光学異方性層と偏光膜とを一体化し、楕円偏光板として用いることが好ましい。
また、第1及び第2光学異方性層は、一体化した部材として液晶表示装置に組み込んでもよいし、それぞれ個別の部材として組み込むこともできる。また、第1及び第2光学異方性層は、液晶セルと表示面側の偏光膜との間に配置されていても、液晶セルとバックライド側の偏光膜との間に配置されていてもよい。
偏光膜64A及び64Bの透過軸TA5及びTA6は、互いに直交で、かつ第1光学異方性層63A及び63Bの遅相軸SA7及びSA8とそれぞれ平行になるように配置される。
図6の液晶表示装置では、液晶セルは、上側基板62A及び下側基板62Bと、これらに挟持される液晶層からなる。基板62A及び62Bの液晶層に接触する表面には、配向膜(不図示)が形成されていて、液晶性化合物61を基板62A及び62Bの表面に対して略平行に配向させるとともに配向膜上に施されたラビング方向RD9及びRD10等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子配向方向が制御されている。また、基板62A若しくは62Bの内面には、液晶分子に電圧印加可能な電極(図示せず)が形成されている。
図7は、IPSモード液晶セル内の液晶化合物の配向を模式的に示す断面図である。通常はマトリクス状の電極により複数の画素を有するが、その一画素の一部分を示している。透明な一対の基板71A、71Bの内側に線状の電極74が形成され、その上に配向制御膜(図示せず)が形成されている。基板71A、71B間に挟持されている棒状の液晶性化合物73は電界無印加時には線状電極74の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている。なお、この場合の液晶の誘電異方性は正を想定している。電界77を印加すると電界方向に液晶性化合物73はその向きを変える。偏光板71A、71Bを所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。なお、下側基板71Bの表面に対する電界方向77のなす角は、20度以下が好ましく、10度以下がより好ましい。即ち、実質的に平行であることが望ましい。以下、本発明では20度以下のものを総称して平行電界と表現する。また、線状電極74を上下基板に分けて形成しても、一方の基板にのみ形成してもその効果は変わらない。
前記IPSモード型液晶表示装置に用いる液晶材料としては、誘電率異方性△εが正のネマチック液晶が好ましい。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とした。このように、レターデーション(Δn・d)を0.25μm超0.32μm未満とすると、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性がより容易に得られる。後述の配向膜と偏光板の組み合わせにより、液晶性分子がラビング方向から電界方向に45度回転したとき最大透過率を得ることができる。なお、液晶層の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。もちろんガラスビーズヤファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また、液晶材料は、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。
[FFSモード型液晶表示装置]
本発明の光学補償フィルムは、FFSモードの液晶セルを有するFFS型液晶表示装置にも用いることができる。
図8は、FFSモード液晶セル内の液晶化合物の配向を模式的に示す断面図である。下側基板72Bと、線状電極74との間に、絶縁層75、及び電極16を有する以外は、図7に示すIPSモード液晶セルと同様の構成である。
前記FFSモード液晶表示装置は、四角形状の電極16と、棒状のパターンが相互に離隔するように複数形成される構造に相当するスリット形態の線状電極74とが、絶縁層75が介在された状態で重なるように配置された構造であり、IPSモードと比べて、数Å(オングストローム)間隔を置いて横電界が構成されるので、横電界の強度は高く、該横電界によって電極の上部の液晶分子まで配列できる長所がある。
[TNモード型液晶表示装置]
本発明の光学補償フィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置にも用いることができる。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号公報、特開平6−148429号公報、特開平8−50206号公報、特開平9−26572号公報の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p1068)に記載がある。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−第2光学異方性層Aの作製−
−−セルロースアセテート溶液の調製−−
表1に記載の各組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各組成物を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
得られたセルロースアセテート溶液(ドープ)を、幅2mで長さ65mの長さのバンドを有する流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に28%延伸した。この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%の第2光学異方性層Aを作製した。第2光学異方性層Aの幅は1,340mmであり、厚みは88μmであった。
−第2光学異方性層Aの光学特性の測定−
作製した第2光学異方性層Aについて、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用い、各波長でレタデーションReを測定した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−第2光学異方性層Aのケン化処理−
作製した第2光学異方性層Aの一方の面に、1.5mol/L水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25ml/m塗布し、25℃で5秒間放置した後、流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。このようにして、第2光学異方性層Aの一方の表面のみをケン化処理した。
−配向膜塗布液の調製−
下記記載の組成物からなる配向膜塗布液を調製した。
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・下記構造式からなる変性ポリビニルアルコール 10質量部
・水 371質量部
・メタノール 119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
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−配向膜の形成−
前記第2光学異方性層Aのケン化処理した面に、得られた配向膜塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m塗布した。60℃の温風で60秒、更に、90℃の温風で150秒乾燥した。次に、第2光学異方性層Aの延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
−第1光学異方性層A及び光学補償フィルムAの作製−
−−塗布液の調製−−
下記メチルエチルケトンに各組成物を溶解して、塗布液を調製した。
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・メチルエチルケトン 400質量部
・下記構造式(D−89)に示すディスコティック液晶化合物 100質量部
・下記に示す空気界面配向制御剤V−(1) 0.4質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
・増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬株式会社製) 1質量部
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得られた配向膜上に前記塗布液を、#3.0のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、95℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線を照射しディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、第1光学異方性層Aを作製し、光学補償フィルムAを作製した。
−第1光学異方性層Aの光学特性の測定−
前述の配向膜の形成方法及び第1光学異方性層Aの作製方法と同様の手法でガラス上に配向膜を形成し、その配向膜上に第1光学異方性層Aを作製し、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて各波長でレタデーションReを測定した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−楕円偏光板Aの作製−
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、作製した光学補償フィルムAの第2光学異方性層A側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。第2光学異方性層Aの遅相軸と偏光膜の透過軸とが平行になるように配置した。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム株式会社製)を前記と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側(光学補償フィルムAを貼り付けなかった側)に貼り付けた。このようにして、楕円偏光板Aを作製した。
(実施例1A)
−ベンド配向液晶セルAの作製−
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを4.1μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルAを作製した。
前記ベンド配向液晶セルAについて、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用いてレタデーションReを測定した。
Rec450(0)/Rec650(0),
Rec450(40)/Rec650(40),
Rec450(−40)/Rec650(−40)を表3に示した。
−液晶表示装置Aの作製及び評価−
前記ベンド配向液晶セルAと得られた楕円偏光板A二枚を組み合わせて図4のように液晶表示装置Aを作製した。作製した液晶表示装置Aをバックライト上に配置し、ベンド配向液晶セルAについては55Hz矩形波で電圧を印加した。電圧を調整しながら輝度計(TOPCON製BM−5)を用い、黒輝度(正面輝度)が最も小さくなる電圧を判定した。パネル正面方向の電圧(正面V)、及び方位角0度極角60度(u’)と、方位角180度極角60度(v’)との色ずれΔC(u’,v’)を求めた。結果を表3に示す。
更に、本発明の液晶表示装置Aについて、色味変化の程度について、輝度、色味測定装置を用いて測定し、下記の基準で判定した。結果を表3に示す。
○:色味変化が全くなく極めて良好であった。
△:色味変化が部分的にやや発生するものがあった。
×:色味変化が顕著に現れた。
(実施例2)
−第2光学異方性層Bの作製−
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート100質量部、下記のレタデーション上昇剤2.35質量部、リン酸トリフェニル2.75質量部及びリン酸ビフェニルジフェニル2.20質量部を、塩化メチレン232.75質量部、メタノール42.57質量部及びn−ブタノール8.50質量部に溶解した。
得られたドープを、幅2mで長さ65mの長さのバンドを有する流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に26%延伸した。この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%の第2光学異方性層Bを作製した。第2光学異方性層Bの幅は1,340mmであり、厚みは88μmであった。
作製した第2光学異方性層Bについて、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用い、各波長でレタデーションReを測定した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−第1光学異方性層B及び光学補償フィルムBの作製−
得られた第2光学異方性層B上に実施例1と同様に第1光学異方性層Bを作製し、光学補償フィルムBを作製した。
−楕円偏光板Bの作製−
実施例1と同様な方法で、得られた光学補償フィルムBを含む楕円偏光板Bを作製した。
(実施例2A)
−ベンド配向液晶セルBの作製−
実施例1Aと同様にベンド配向液晶セルBに、得られた楕円偏光板Bを貼り、液晶表示装置Bを作製し、実施例1Aと同様にベンド配向液晶セルBのレタデーションReを評価した。結果を表3に示す。
−液晶表示装置Bの作製及び評価−
実施例1Aと同様に、液晶表示装置Bを作製し、実施例1Aと同様に評価した。結果を表3に示す。
(実施例3)
−第2光学異方性層Cの作製−
実施例1において、前記第2光学異方性層Aに代えて、第2光学異方性層Cとして、特開2000−284124号公報に記載の実施例1で使用されている透明保護膜を使用した。
作製した第2光学異方性層Cについて、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用い、各波長でレタデーションReを測定した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−第1光学異方性層C及び光学補償フィルムCの作製−
実施例1において、ワイヤーバーを#3.4にした以外は、実施例1と同様に第1光学異方性層Cを作製し、光学補償フィルムCを作製した。
−楕円偏光板Cの作製−
実施例1と同様な方法で、得られた光学補償フィルムCを含む楕円偏光板Cを作製した。
(実施例3A)
−ECB液晶セルCの作製−
前記ECB液晶セルCは、セルギャップ3.5μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層7のΔn・dを300nmとした。液晶材料は誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度の液晶(メルク社製のMLC−9100)を使用し、ECB液晶セルCを作製した。
得られたECB液晶セルCについて、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用い、各波長でレタデーションReを測定した。
Rec450(0)/Rec650(0),
Rec450(40)/Rec650(40),
Rec450(−40)/Rec650(−40)を表3に示した。
−液晶表示装置Cの作製及び評価−
実施例1Aと同様に、液晶表示装置Cを作製し、実施例1Aと同様に評価した。結果を表3に示す。
(実施例4)
−第2光学異方性層Dの作製及び評価−
実施例1と同様に、第2光学異方性層Dを作製し、実施例1と同様にレタデーションReについて評価した。結果を表2に示す。
−第1光学異方性層D及び光学補償フィルムDの作製−
実施例1において、第1光学異方性層Aのラビングする方向をロールの長手方向と平行にした点以外は実施例1と同じように実施例4の第1光学異方性層Dを作製し、光学補償フィルムDを作製し、第1光学異方性層Dについて、レタデーションReを評価した。結果を表2に示す。
−楕円偏光板Dの作製−
実施例1において、第2光学異方性層における遅相軸と偏光子の透過軸を直交させて貼り合せた点以外は実施例1と同様にして、得られた光学補償フィルムDを含む実施例4の楕円偏光板Dを作製した。
(実施例4A)
−TN配向液晶セルDの作製−
前記TN配向液晶セルDは、セルギャップ(d)5μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、Δndを420nmとした(Δnは液晶材料の屈折率異方性)。また、液晶セル液晶層のねじれ角は90°とし、図2に示したようにセルの上下に、実施例4で得られた楕円偏光板Dの吸収軸が液晶セルの上下基板ラビング方向と一致するように、楕円偏光板Dを粘着剤を介して貼り合わせ、TN配向液晶セルDを作製した。
作製したTN配向液晶セルDについて、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用い、各波長でレタデーションReを測定した。
Rec450(0)/Rec650(0),
Rec450(40)/Rec650(40),
Rec450(−40)/Rec650(−40)を表2に示した。
−液晶表示装置Dの作製及び評価−
実施例1Aと同様に、液晶表示装置Dを作製し、実施例1Aと同様に評価した。結果を表3に示す。
(実施例5)
−第2光学異方性層Eの作製−
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
−セルロースアセテート溶液組成−
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・酢化度60.9%のセルロースアセテート
(重合度300、Mn/Mw=1.5) 100質量部
・トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
・メタノール(第2溶媒) 54質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
別のミキシングタンクに、下記のレタデーション上昇剤Aを16質量部、下記のレタデーション上昇剤Bを8質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒径:0.1μm)0.28質量部、メチレンクロライド80質量部及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レタデーション上昇剤溶液(かつ微粒子分散液)を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部に該レタデーション上昇剤溶液45質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
得られたドープを、幅2mで長さ65mの長さのバンドを有する流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、130℃の条件で、テンターを用いて20%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後、クリップを外してセルロースアセテートフィルムを作製した。延伸終了時の残留溶媒量は5質量%であり、更に乾燥して残留溶媒量を0.1質量%未満とするフィルムからなる第2光学異方性層Eを作製した。なお、使用したセルロースアシレートのTgは140℃である。得られたセルロースアセテートフィルムの厚みは88μmであった。
作製した第2光学異方性層Eについて、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用い、各波長でレタデーションReを測定した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−第1光学異方性層E及び光学補償フィルムEの作製−
作製した第2光学異方性層Eの一方の面に、実施例1と同様にして配向膜を形成した。次いで、下記の組成の棒状液晶化合物を含む塗布液を調製し、#5.0のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている光学補償フィルムの配向膜面に該塗布液を連続的に塗布した。
室温から90℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、90℃の乾燥ゾーンで光学異方性層の膜面風速が、2.5m/secとなるように、約90秒間加熱し、棒状液晶性化合物を配向させた。次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約80℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、棒状液晶性化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、第1光学異方性層Eを作製し、光学補償フィルムEを作製した。
−棒状液晶化合物を含む塗布液の調製−
下記のメチルエチルケトンに下記各組成物を溶解して、棒状液晶化合物を含む塗布液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の棒状液晶性化合物 100質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
・増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬株式会社製) 1質量部
・下記のフッ素系ポリマー 0.2質量部
・下記のピリジニム塩 2質量部
・メチルエチルケトン 198質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物
フッ素系ポリマー
ピリジニウム塩
作製したロール状の第1光学異方性層Eの一部を切り取り、サンプルとして用いた。サンプルから棒状液晶性化合物を含む光学異方性層のみを剥離し、光学特性を測定した。棒状液晶分子がフィルム面に対して実質的に垂直に配向している光学異方性層が形成されたことが確認できた。
作製した第1光学異方性層Eについて、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用い、各波長でレタデーションReを測定した。
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
また、Re450(0)及びRe650(0)はいずれも0nmであった。
−楕円偏光板Eの作製−
実施例1と同様な方法で、得られた光学補償フィルムEを含む楕円偏光板Eを作製した。
(実施例5A)
−IPSモード液晶セルEの作製及び評価−
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。セルの上下に、実施例5で作製した楕円偏光板Eの吸収軸を液晶セルの上下基板ラビング方向と一致するように、楕円偏光板Eを粘着剤を介して貼り合わせた。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、セルギャップ(d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせた。次いで、屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入して水平配向のIPSモード液晶セルEを作製した。液晶層のΔn・dの値は300nmであった。実施例1と同様に、IPSモード液晶セルEについて、レタデーションReを評価した。結果を表3に示す。
−液晶表示装置Eの作製及び評価−
実施例1と同様に、液晶表示装置Eを作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
(比較例1)
−第2光学異方性層Fの作製及び評価−
実施例1と同様に、第2光学異方性層Fを作製し、実施例1と同様にレタデーションReについて評価した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−第1光学異方性層F及び光学補償フィルムFの作製−
−−塗布液の調製−−
下記メチルエチルケトンに下記記載の組成物を溶解して、塗布液を調製した。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・メチルエチルケトン 204質量部
・上記構造式(D−89)に示すディスコティック液晶化合物 91質量部
・エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学株式会社製) 9質量部
・セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 1質量部
・光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
・増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬株式会社製) 1質量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−第1光学異方性層F及び光学補償フィルムFの作製−
前記配向膜上に得られた塗布液を、#3.4のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、110℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射しディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、第1光学異方性層Fを作製し、光学補償フィルムFを作製した。
実施例1と同様の手法でガラス上に配向膜を作製し、その配向膜上に第1光学異方性層Fを形成し、KOBRA−ADH(王子計測機器株式会社製)を用いてレタデーションReを測定した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−楕円偏光板Fの作製−
実施例1と同様の方法で得られた光学補償フィルムFを含む楕円偏光板Fを作製した。
(比較例1A)
−ベンド配向液晶セルFの作製−
実施例1Aと同様にベンド配向液晶セルFに、比較例1で得られた楕円偏光板Fを貼り、液晶表示装置Fを作製し、実施例1Aと同様に評価した。結果を表3に示す。
(比較例2)
−第2光学異方性層Gの作製及び評価−
実施例2と同様にして、比較例2の第2光学異方性層Gを作製し、実施例2と同様に、レタデーションReを評価した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−第1光学異方性層G及び光学補償フィルムGの作製−
比較例1と同様にして、比較例2の第1光学異方性層G及び光学補償フィルムGを作製し、比較例1と同様に、レタデーションReを評価した。
Re450(0)/Re650(0),
Re450(40)/Re650(40),
Re450(−40)/Re650(−40)を表2に示した。
−楕円偏光板Gの作製−
比較例2の第2光学異方性層Gと比較例1の第1光学異方性層Fの光学補償フィルムF含む楕円偏光板Gを作製した。
(比較例2A)
−液晶表示装置Gの作製と評価−
実施例1と同様にベンド配向液晶セルAに比較例2の楕円偏光板Gを貼り、液晶表示装置Gを作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
表2における、上欄の数1〜2及び下欄の(a)〜(c)で表される、
1(a)は、数式(1)に記載のRe450(0)/Re650(0)を表し、
1(b)は、数式(2)に記載のRe450(40)/Re650(40)を表し、
1(c)は、数式(3)に記載のRe450(−40)及びRe650(−40)を表し、
2(a)は、数式(4)に記載のRe450(0)/Re650(0)を表し、
2(b)は、数式(5)に記載のRe450(40)/Re650(40)を表し、
2(c)は、数式(6)に記載のRe450(−40)/Re650(−40)を表す。
表3における、上欄の数3〜4及び下欄の(a)〜(c)で表される、
3(a)は、数式(10)に記載のRec450(0)/Rec650(0)を表し、
3(b)は、数式(11)に記載のRec450(40)/Rec650(40)を表し、
3(c)は、数式(12)に記載のRec450(−40)/Rec650(−40)を表し、
4(a)は、数式(13)に記載の{(Rec450(0°)/Rec650(0°))/(Re450(0°)/Re650(0°))}即ち、3(a)/1(a)を表し、
4(b)は、数式(14)に記載の{(Rec450(40°)/Rec650(40°))/(Re450(40°)/Re650(40°))}即ち、3(b)/1(b)を表し、
4(c)は、数式(15)に記載の{(Rec450(−40°)/Rec650(−40°))/(Re450(−40°)/Re650(−40°))}即ち、3(c)/1(c)を表す。
表2及び表3の結果から、実施例1A〜実施例5Aの液晶表示装置は、比較例1A及び比較例2Aの液晶表示装置に対して、第1光学異方性層のレタデーションReの1(a)〜(c)の値及び第2光学異方性層のレタデーションReの2(a)〜(c)の値が数式から導かれる好ましい範囲に含まれているものを用いており、その結果、色味変化の少ない良好な液晶表示が得られることがわかった。
また、実施例1A〜実施例5Aの液晶表示装置は、比較例1A及び比較例2Aの液晶表示装置に対して、液晶セルの液晶層のレタデーションReの3(a)〜(c)の値及び液晶セルの液晶層のレタデーションReの4(a)〜(c)の値が数式から導かれる好ましい範囲に含まれているものを用いており、その結果、正面V及び色ずれは、極めて良好であり、視野角依存性、波長依存性の改善が図られていることが認められた。
本発明の光学補償フィルム、偏光板、液晶表示装置は、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビなどの光学機器に好適に使用することができる。
図1は、ベンド配向液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の偏光板を示す模式図である。 図3は、光拡散フィルムの代表的な形態を示す断面模式図である。 図4は、本発明のベンド配向型液晶表示装置を示す断面模式図である。 図5は、本発明のECBモード型液晶表示装置を示す断面模式図である。 図6は、本発明のIPSモード型液晶表示装置を示す断面模式図である。 図7は、IPSモード液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。 図8は、FFSモード液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 光拡散フィルム
2 透明基材フィルム
3 光拡散層
10 ベンド配向液晶セル
11、51、73 液晶性化合物
11a〜11j 棒状液晶性分子
12a、12b 配向膜
13a、13b 電極層
14a、52A、72A 上側基板
14b、52B、72B 下側基板
31、31A、31B、53A、53B 第1光学異方性層
31a〜31e ディスコティック液晶化合物
32 配向膜
33、33A、33B、54A、54B 第2光学異方性層
34、34A、34B、56A、56B 偏光膜
40 透光性樹脂
41 第1の透光性微粒子
42 第2の透光性微粒子
55A、55B 第3の光学異方性層
71A 上側偏光板
71B 下側偏光板
74 線状電極
75 絶縁層
76 電極
77 電界方向
NL 円盤状化合物の円盤面の法線
PL 円盤面の法線を第2光学異方性層面へ正射影した方向
RD、RD1〜RD10 ラビング方向
SA、SA1〜SA8 面内遅相軸
TA、TA1〜TA6 面内透過軸
BL バックライト

Claims (10)

  1. 少なくとも第1光学異方性層及び第2光学異方性層からなり、前記第1光学異方性層が、下記の数式(1)から(3)の少なくともいずれかを満たすことを特徴とする光学補償フィルム。
    1≦Re450(0°)/Re650(0°)≦1.25・・・数式(1)
    1≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.25・・・数式(2)
    1≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.25・・・数式(3)
    ただし、前記数式(1)〜(3)中、波長λ(nm)の光で測定した、第1光学異方性層の遅相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をReλ(θ)と定義する(Reλ(θ)とReλ(−θ)の値が異なる場合は、Reλ(θ)>Reλ(−θ)となるように大小を決定する)。
  2. 第1光学異方性層が、ディスコティック液晶化合物及び棒状液晶化合物の少なくともいずれかからなる請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 第2光学異方性層が、下記の数式(4)から(6)の少なくともいずれかを満たす請求項1から2のいずれかに記載の光学補償フィルム。
    0.3≦Re450(0°)/Re650(0°)≦1.1・・・数式(4)
    0.3≦Re450(40°)/Re650(40°)≦1.1・・・数式(5)
    0.3≦Re450(−40°)/Re650(−40°)≦1.1・・・数式(6)
    ただし、前記数式(4)〜(6)中、波長λ(nm)の光で測定した、第2光学異方性層の遅相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をReλ(θ)と定義する(Reλ(θ)とReλ(−θ)の値が異なる場合は、Reλ(θ)>Reλ(−θ)となるように大小を決定する)。
  4. 第1光学異方性層及び該第2光学異方性層が、下記の数式(7)から(9)の少なくともいずれかを満たす請求項1から3のいずれかに記載の光学補償フィルム。
    Re450(0°)/Re650(0°)>Re450(0°)/Re650(0°)・・・数式(7)
    Re450(40°)/Re650(40°)>Re450(40°)/Re650(40°)・・・数式(8)
    Re450(−40°)/Re650(−40°)>Re450(−40°)/Re650(−40°)・・・数式(9)
  5. 第2光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムからなる請求項1から4のいずれかに記載の光学補償フィルム。
  6. 偏光膜と、該偏光膜の少なくとも片側に、請求項1から5のいずれかに記載の光学補償フィルムを有することを特徴とする偏光板。
  7. 液晶セル及び請求項6に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
  8. 液晶セルの液晶層が、下記の数式(10)から(12)の少なくともいずれかを満たす光学特性を有する請求項7に記載の液晶表示装置。
    1≦Rec450(0°)/Rec650(0°)≦1.25・・・数式(10)
    1≦Rec450(40°)/Rec650(40°)≦1.25・・・式(11)
    1≦Rec450(−40°)/Rec650(−40°)≦1.25・・・数式(12)
    ただし、波長λ(nm)の光で測定した液晶セルの進相軸を回転軸として法線方向を基準にθ°傾斜させた状態でのReレタデーション値をRecλ(θ)と定義する(Recλ(θ)とRecλ(−θ)の値が異なる場合は、Recλ(θ)>Recλ(−θ)となるように大小を決定する)。
  9. 第1光学異方性層と液晶セルの液晶層とが、下記の数式(13)から(15)の少なくともいずれかを満たす光学特性を有する請求項7から8のいずれかに記載の液晶表示装置。
    0.9<{(Rec450(0°)/Rec650(0°))/(Re450(0°)/Re650(0°))}<1.1・・・数式(13)
    0.9<{(Rec450(40°)/Rec650(40°))/(Re450(40°)/Re650(40°))}<1.1・・・数式(14)
    0.9<{(Rec450(−40°)/Rec650(−40°))/(Re450(−40°)/Re650(−40°))}<1.1・・・数式(15)
  10. 液晶セルが、OCB、TN、ECB、IPS及びFFSのいずれかである請求項7から9のいずれかに記載の液晶表示装置。
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