JP2007140184A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学異方性層1(31A,31B)と光学異方性層2(32A,32B)から構成される光学フィルムを有する液晶表示装置であって、該光学異方性層1が下記の数式(1)を、該光学異方性層2が下記の数式(2)を満足する。 数式(1) Re1(450)/Re1(650)<1.25 数式中Re1(450)、Re1(650)は波長450nm、650nmにおける光学異方性層1の面内レタデーション値である。 数式(2) 2≦(Δn(550)×d)/Rth2(550)≦5 数式中Δn(550)は波長550nmにおける液晶セル中の液晶分子の複屈折であり、dはnm単位とする液晶セルの厚さであり、Rth2(550)は光学異方性層2の波長550nmにおける厚み方向のレタデーション値である。
【選択図】図3
Description
そして、ディスコティック化合物の円盤面の法線の光学異方性層への正射影の平均方向と偏光膜の面内透過軸との角度が実質的に45゜になるように光学異方性層と偏光膜とを配置することで、ベンド配向モードの液晶セルに対する最大の光学補償効果が得られることが報告されている。ディスコティック化合物を含む光学補償シートを使用したベンド配向液晶装置について、色味変化を低減し、階調反転を防止するために、様々な方法が提案されている(例えば、特許文献10、11参照)。
本発明の他の目的は、該光学フィルムを用い、黒表示時の正面および左右上下の極角方向での透過率を著しく低下させ、コントラストが高く、視角特性に優れ、黒表示の色味に問題がなく、かつ階調反転の生じない良好な画像を表示する液晶表示装置を提供することである。更にはパネルの設置雰囲気温度・湿度によって表示性能、表示品位が変化しない液晶表示装置を提供することである。
本発明の目的は下記[1]〜[13]により達成された。
〔1〕
光学異方性層1と光学異方性層2とを有する光学フィルムにおいて、該光学異方性層1が下記の数式(1)を満足する光学特性を有し、該光学異方性層2が環状オレフィン系付加重合体を含んでなるフィルムであることを特徴とする光学フィルム。
数式(1) Re1(450)/Re1(650)<1.25
数式中Re1(450)、Re1(650)は波長450nm、650nmにおける光学異方性層1の面内レタデーション値である。
〔2〕
前記環状オレフィン系付加重合体が、一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン、または該一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上と、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上とを含む付加(共)重合体環状ポリオレフィンであることを特徴とする上記〔1〕に記載の光学フィルム。
前記環状オレフィン系付加重合体が、一般式(III)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン、または該一般式(III)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上と、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上とを含む付加(共)重合体環状ポリオレフィンであることを特徴とする上記〔1〕に記載の光学フィルム。
〔4〕
前記光学異方性層2が一次粒子径1nm〜20μmの微粒子を、環状ポリオレフィン系樹脂に対して0.01〜0.3質量%の割合で含有することを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔5〕
偏光膜および該偏光膜の両面に保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの一方が、上記(1)〜〔4〕のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
〔6〕
液晶セルの両側に偏光板を有する液晶表示装置において、該偏光板の少なくとも1枚が上記〔5〕に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
〔7〕
上記〔6〕に記載の液晶表示装置において、該光学異方性層2が下記の数式(2)を満足する光学特性を有することを特徴とする液晶表示装置。
数式(2) 2≦(Δn(550)×d)/Rth2(550)≦5
数式中Δn(550)は波長550nmにおける液晶セル中の液晶分子の複屈折であり、dはnmを単位とする液晶セルの厚さであり、Rth2(550)は光学異方性層2の波長550nmにおける厚み方向のレタデーション値である。
前記光学異方性層1の波長550nmにおける面内レタデーション値Re1(550)が0〜40nmであることを特徴とする上記〔6〕または〔7〕に記載の液晶表示装置。
〔9〕
前記光学異方性層2の波長550nmにおける面内レタデーション値Re2(550)が30〜60nmであり、波長550nmにおける厚み方向のレタデーション値Rth2(550)が100〜300nmであることを特徴とする上記〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
〔10〕
前記光学異方性層1が、光学異方性層1の遅相軸をあおり軸とし、あおり角を±40°として測定した波長550nmにおけるレタデーション値Re1(40°)とRe1(−40°)の比:Re1(40°)/Re1(−40°)を3〜20あるいは1/20〜1/3の範囲に有することを特徴とする上記〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
〔11〕
前記光学異方性層1が液晶性化合物から形成されたことを特徴とする上記〔6〕〜〔10〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
〔12〕
前記液晶性化合物が、ディスコティック化合物であることを特徴とする上記〔6〕〜〔11〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
〔13〕
前記液晶セルがベンド配向モードであることを特徴とする上記〔7〕〜〔12〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
尚、本明細書では、特に断りのない限りは波長550nmで測定した値を示す。
図1は、ベンド配向液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。図1に示すように、ベンド配向液晶セル(10)は、上基板(14a)と下基板(14b)の間に液晶性化合物(11)を封入した構造を有する。ベンド配向液晶セルに使用する液晶性化合物(11)は、一般に正の誘電率異方性を有する。液晶セルの上基板(14a)と下基板(14b)は、それぞれ、配向膜(12a、12b)と電極層(13a、13b)を有する。配向膜は棒状液晶性分子(11a〜11j)を配向させる機能を有する。RDは配向膜のラビング方向である。電極層は棒状液晶性分子(11a〜11j)に電圧を印加する機能を有する。
本発明の光学フィルムは、光学異方性層1と光学異方性層2とを有してなる。
本発明の光学異方性層1は、下記数式(I)を満たす。
数式(1) Re1(450)/Re1(650)<1.25
数式中Re1(450)、Re1(650)は波長450nm、650nmにおける光学異方性層1の面内レタデーション値である。
光学異方性層を上記範囲とすることにより、コントラストアップ及び色味改良の効果が得られる。
Re1(450)/Re1(650)は、より好ましくは1.20以下であり、更に好ましくは1.15以下である。
光学異方性層1の形成に用いる液晶性化合物としては、上記範囲を満たすものであれば特に限定されないが、ディスコティック化合物が好ましい。
光学異方性層1のフィルム法線方向から測定したレタデーション値は、0〜40nmであることが好ましく、20〜40nmであることが更に好ましい。
また、光学異方性層1を、光学異方性層1の遅相軸をあおり軸とし、あおり角を±40°として測定した波長550nmにおけるレタデーション値Re1(40°)とRe1(−40°)の比〔Re1(40°)/Re1(−40°)〕を3〜20あるいは1/20〜1/3の範囲にすることが好ましい。
上記範囲とすることにより、視野角拡大効果が得られる。
Re1(40°)/Re1(−40°)は、より好ましくは5〜15あるいは1/15〜1/5である。
ディスコティック化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
ディスコティック化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics Lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
ディスコティック化合物から光学異方性層1を形成した場合、最終的に光学異方性層1に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。例えば、低分子のディスコティック化合物が熱または光で反応する基を有しており、熱または光によって該基が反応して、重合または架橋し、高分子量化することによって光学異方性層1が形成される場合などは、光学異方性層1中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。ディスコティック化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
メチンの炭素原子が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が最も好ましい。
Y11、Y12およびY13は、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることが最も好ましい。
*−(−L21−Q2)n1−L22−L23−Q1
L22は、好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−CH2−、**−CH=CH−、**−C≡C−であり、より好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、**−CH2−である。
上記式(M−1)〜(M−6)の中、(M−1)または(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
ディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマーおよび低分子化合物などを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶性化合物と添加剤との選択により調整できる。
ポリマーおよび低分子化合物は、ディスコティック化合物の傾斜角に変化を与えることが好ましい。
ポリマーは、セルロースエステルが好ましい。セルロースエステルは、特開2000−155216号公報の段落番号0178に記載がある。ディスコティック化合物の配向を阻害しないようにポリマーの添加量は、ディスコティック化合物に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがさらに好ましい。
塗布液の調製に使用する溶媒は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2が好ましく、20〜5000mJ/cm2がさらに好ましく、100〜800mJ/cm2が最も好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層1の上に設けてもよい。
光学異方性層2は、少なくとも一枚のポリマーフィルムからなる。複数のポリマーフィルムで光学異方性層2を構成して、本発明が定義する光学異方性を達成することもできる。ただし、本発明が定義する光学異方性は、一枚のポリマーフィルムで実現することが可能である。従って、光学異方性層2は、一枚のポリマーフィルムからなることが特に好ましい。
該光学異方性層2は、具体的には、波長550nmの光で測定したRthレタデーション値が、100〜300nmの範囲であることが好ましく、150〜200nmであることがさらに好ましい。また光学異方性層2のReレタデーション値は、30〜60nmであることが好ましく、35〜50nmであることがさらに好ましい。
環状オレフィン構造を有する重合体樹脂(以下、「環状ポリオレフィン系樹脂」あるいは「環状ポリオレフィン」ともいう)の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。本発明に好ましい重合体は下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン、および必要に応じて一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンである。また、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む付加(共)重合体(開環(共)重合体も含む)も好適に使用することができる。また、一般式(III)で表される繰り返し単位を少なくとも一種に、必要に応じて一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンも好ましく使用することができる。
ノルボルネン系付加(共)重合体は、特開平10−7732号、特表2002−504184号、US2004229157A1号あるいはWO2004/070463A1号等に開示されている。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合する事によって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。このノルボルネン系付加(共)重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
本発明では、上記環状ポリオレフィン系樹脂に微粒子を添加することにより、フィルムの製膜安定性、加工適性を更に向上させ、巻き取りきしみ等に由来するフィルムの光学ムラを低減することができる。微粒子の添加により、フィルム表面の動摩擦係数が低下することによりフィルムハンドリング時にフィルムに加わる応力を低減することに起因すると推測される。本発明で使用できる微粒子としては、有機あるいは無機化合物の微粒子を使用することができる。
微粒子を添加した環状ポリオレフィンフィルムの好ましいヘイズの範囲は2.0%以下であり、1.2%以下が更に好ましく、0.5%以下が特に好ましい。微粒子を添加した環状ポリオレフィンフィルムの好ましい動摩擦係数は0.8以下であり、0.5以下が特に好ましい。動摩擦係数は、JISやASTMが規定する方法に従い、鋼球を用いて測定できる。ヘイズは日本電色工業(株)製1001DP型ヘイズ計を用いて測定できる。
次に、本発明の環状ポリオレフィンが溶解される溶剤について記述する。本発明においては、環状ポリオレフィンが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、使用できる溶剤は特に限定されない。本発明で用いられる溶剤は、例えばジクロロメタン、クロロホルムの如き塩素系溶剤、炭素原子数が3〜12の、鎖状炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトンおよびエーテルから選ばれる溶剤が好ましい。エステル、ケトン、エーテルは、環状構造を有していてもよい。炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素類の例としては、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12の環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン及びその誘導体が挙げられる。炭素原子数が3〜12の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。また、2種類以上の官能基を有する有機溶剤であっても良く、例えば2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤の好ましい沸点は35℃以上且つ150℃以下である。本発明に使用される溶剤は、乾燥性、粘度等の溶液物性調節のために2種以上の溶剤を混合して用いることができ、更に、混合溶媒で環状ポリオレフィンが溶解する限りは、貧溶媒を添加することも可能である。
本発明の環状ポリオレフィン溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、剥離促進剤、可塑剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期は環状ポリオレフィン溶液(ドープ)作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、環状ポリオレフィンフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
本発明の環状ポリオレフィン溶液には公知の劣化(酸化)防止剤、例えば、2,6−ジ−t−ブチル,4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、環状ポリオレフィン100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
本発明の環状ポリオレフィン溶液には、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、環状ポリオレフィンに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
本発明ではレターデーション値を発現するため、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として用いることができる。レターデーション発現剤を使用する場合は、ポリマー100質量部に対して、0.05乃至20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2乃至5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5乃至2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250乃至400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション発現剤の分子量は、300乃至800が好ましい。
一般式(IV): Ar1−L1−Ar2
棒状化合物としては、下記式一般式(V)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(V):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(V)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(IV)のAr1およびAr2と同様である。
環状ポリオレフィンフィルムの剥離抵抗を小さくする添加剤としては界面活性剤に効果の顕著なものが多くみつかっている。好ましい剥離剤としては燐酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸あるいはカルボン酸塩系の界面活性剤、スルホン酸あるいはスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面活性剤が効果的である。また上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。以下に剥離剤を例示する。
RZ−2 C12H25O−P(=O)−(OK)2
RZ−3 C12H25OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2
RZ−4 C15H31(OCH2 CH2 )5 O−P(=O)−(OK)2
RZ−5 {C12H25O(CH2 CH2 O)5 }2 −P(=O)−OH
RZ−6 {C18H35(OCH2 CH2 )8 O}2 −P(=O)−ONH4
RZ−7 (t−C4 H9 )3 −C6 H2 −OCH2 CH2 O−P(=O)−(OK)2
RZ−8 (iso−C9 H19−C6 H4 −O−(CH2 CH2 O)5 −P(=O)−(OK)(OH)
RZ−9 C12H25SO3 Na
RZ−10 C12H25OSO3 Na
RZ−11 C17H33COOH
RZ−12 C17H33COOH・N(CH2 CH2 OH)3
RZ−13 iso−C8 H17−C6 H4 −O−(CH2 CH2 O)3 −(CH2 )2 SO3 Na
RZ−14 (iso−C9 H19)2 −C6 H3 −O−(CH2 CH2 O)3 −(CH2 )4 SO3 Na
RZ−15 トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−16 トリ−t−ブチルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−17 C17H33CON(CH3 )CH2 CH2 SO3 Na
RZ−18 C12H25−C6 H4 SO3 ・NH4
環状ポリオレフィン系樹脂は、一般的に、セルロースアセテートに比較して柔軟性に乏しく、フィルムに曲げ応力やせん断応力がかかると、フィルムに割れ等が生じ易い。また、光学フィルムとして加工する際に、切断部にひびが入りやすく、切り屑が発生しやすい。発生した切り屑は、光学フィルムを汚染し、光学的欠陥の原因となっていた。これらの問題点を改良するため、可塑剤を添加することができる。具体的には、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、正リン酸エステル系、酢酸エステル系、ポリエステル・エポキシ化エステル系、リシノール酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリエチレングリコール系化合物を挙げることができる。
脂肪族二塩基酸エステル系としては、例えばジオクチルアジペート(230℃/760mmHg)、ジブチルアジペート(145℃/4mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(335℃/760mmHg)、ジブチルジグリコールアジペート(230〜240℃/2mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(220〜245℃/4mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(377℃/760mmHg)等;フタル酸エステル系としては、例えばジエチルフタレート(298℃/760mmHg)、ジヘプチルフタレート(235〜245℃/10mmHg)、ジ−n−オクチルフタレート(210℃/760mmHg)、ジイソデシルフタレート(420℃/760mmHg)等;ポリオレフィン系としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等のパラフィンワックス類(平均分子量330〜600、融点45〜80℃)、流動パラフィン類(JIS規格K2231ISOVG8、同VG15、同VG32、同VG68、同VG100等)、パラフィンペレット類(融点56〜58℃、58〜60℃、60〜62℃等)、塩化パラフィン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、スクアラン等を挙げることが出きる。
次に本発明の環状ポリオレフィン溶液(ドープ)の調製については、室温攪拌溶解による方法、室温で攪拌してポリマーを膨潤させた後−20℃から−100℃まで冷却し再度20℃から100℃に加熱して溶解する冷却溶解法、密閉容器中で主溶剤の沸点以上の温度にして溶解する高温溶解方法、さらには溶剤の臨界点まで高温高圧にして溶解する方法などがある。溶解性のよいポリマーは室温溶解が好ましいが、溶解性の悪いポリマーは密閉容器中で加熱溶解する。ジクロロメタンを主溶剤に選んだときは、多くの環状ポリオレフィンは20℃〜100℃の加熱により溶解することが出来る。
環状ポリオレフィン溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であればよく、通常5Pa・s〜1000Pa・sの範囲に調製されることが好ましく、15Pa・s〜500Pa・sがより好ましく、30Pa・s〜200Pa・sが更に好ましい。なお、この時の温度はその流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは−5℃〜70℃であり、より好ましくは−5℃〜35℃である。
本発明の環状ポリオレフィンフィルムを製造する方法は、公知の溶融製膜および溶液製膜方法等の各種の方法を使用することができるが、光学用フィルム用途としては、平面性、膜厚均一性等に優れる溶液流延法を好適に使用することができる。図4は環状ポリオレフィンフィルムの製膜ラインの一例を示している。環状ポリオレフィン系樹脂と溶媒とはミキシングタンク10内に注入され、撹拌翼11で撹拌されてドープ12が調製される。この時、ドープ12には、微粒子分散物、可塑剤及び紫外線吸収剤などの添加剤を混合してもよい。ドープ12は、ポンプ13により濾過装置14に送られて不純物が除去される。さらに、ドープ12は、一定の流量で流延ダイ15に送られ、ベルト16上に流延される。そして、駆動装置(図示せず)により回転駆動されるベルト16上で徐々に溶剤が揮発し、フィルム17が形成される。なお、ベルトに代えてドラムに流延してもよい。さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。
剥離荷重の測定は次のようにして行う。製膜装置の金属支持体と同じ材質・表面粗さの金属板上にドープを滴下し、ドクターブレードを用いて均等な厚さに展延し乾燥する。カッターナイフでフィルムに均等幅の切れ込みを入れ、フィルムの先端を手で剥がしてストレンゲージにつながったクリップで挟み、ストレンゲージを斜め45度方向に引き上げながら、荷重変化を測定する。剥離されたフィルム中の揮発分も測定する。乾燥時間を変えて何回か同じ測定を行い、実際の製膜工程における剥離時残留揮発分と同じ時の剥離荷重を定める。剥離速度が速くなると剥離荷重は大きくなる傾向があり、実際に近い剥離速度で測定することが好ましい。
剥離時の好ましい残留揮発分濃度は5質量%〜60質量%である。10質量%〜50質量%が更に好ましく、20質量%〜40質量%が特に好ましい。高揮発分で剥離すると乾燥速度が稼げて、生産性が向上して好ましい。一方、高揮発分ではフィルムの強度や弾性が小さく、剥離力に負けて切断したり伸びてしまう。また剥離後の自己保持力が乏しく、変形、シワ、クニックを生じやすくなる。またレターデーションに分布を生じる原因になる。なお、フィルムの乾量を基準とした揮発分Xは、 揮発分X(質量%)={(フィルムサンプルの質量(g)−B)/B}×100 から求めている。フィルムサンプルの質量は、テンターに導入する前のフィルムの一部をフィルムサンプルとして取り出して測定した値である。また、Bは、そのサンプルフィルムを115℃で空気恒温槽にて1時間乾燥した後に測定した質量(g)である。
フィルムの延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよい。VA液晶セルやOCB液晶セル用位相差フィルムの複屈折は、幅方向の屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが好ましい。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さおよび本発明に厚さ分布になるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られた環状ポリオレフィンフィルムの幅は0.5m〜3mが好ましく、より好ましくは0.6m〜2.5m、さらに好ましくは0.8m〜2.2mである。長さは1ロールあたり100m〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500m〜7000mであり、さらに好ましくは1000m〜6000mである。全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
アルカリ処理液には、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒、界面活性剤、湿潤剤(例、ジオール、グリセリン)を添加し、アルカリ処理液の第2光学異方性層に対する濡れ性や処理液の安定性を改善できる。フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒は、アルコール(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール)が好ましい。アルカリ処理液の添加剤は、特開2002−82226号公報、国際公開第02/46809号パンフレットに記載がある。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜に用いるポリマーには、液晶性分子を配向させる機能に加えて、液晶性分子の配向を固定する機能を有することが好ましい。例えば、架橋性官能基(例、二重結合)を有する側鎖をポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性分子を配向させる機能を有する架橋性官能基をポリマーの側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能であるか、あるいは架橋剤の使用により架橋可能になることが好ましい。架橋可能なポリマーは、特開平8−338913号公報の段落番号0022に記載がある。架橋可能なポリマーの例には、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネートおよびこれらの共重合体が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることもできる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。重合度が異なるポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを2種類以上併用することが特に好ましい。
液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類および必要とする配向状態に応じて決定する。
変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例は、親水性基(例、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ、アンモニオ、アミド、チオール)、炭素原子数10〜100の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、アルキルチオ基、重合性基(例、不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基)、アルコキシシリル基(トリアルコキシシリル、ジアルコキシシリル、モノアルコキシシリル)を含む。
変性ポリビニルアルコールは、特開2000−155216号、同2002−62426号の各公報に記載がある。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基が好ましい架橋性官能基は、特開2000−155216号公報の段落番号0080〜0100に記載がある。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。架橋剤の残留量を削減することで、液晶表示装置を長期使用する場合、あるいは液晶表示装置を高温高湿の雰囲気下に長期間放置する場合でも、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。
加熱乾燥は、20〜110℃で行うことができる。充分な架橋を形成するためには60〜100℃が好ましく、80〜100℃がさらに好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行うことができる。好ましくは1〜30分である。pHは、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましい。グルタルアルデヒドを使用する場合、好ましいpHは4.5〜5.5である。
ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法と同様である。すなわち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る。一般には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて、数回程度ラビングを行う。
偏光板としては、偏光膜と偏光膜の両面に配置される2枚の保護フィルムとを有するものが好ましく、該保護フィルムのうち少なくとも片方として本発明の光学フィルムを好適に用いることができる。
偏光膜は、配向型偏光膜または塗布型偏光膜(Optiva Inc.製)を含む。配向型偏光膜は、バインダーとヨウ素もしくは二色性色素とからなる。ヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
市販の配向型偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されている。また、市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、充分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、浴槽温度および浸漬時間により制御することができる。
偏光膜の厚みは、現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下がさらに好ましく、20μm以下が最も好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象が、17インチの液晶表示装置では観察されなくなる。
架橋は一般に、架橋可能なポリマーまたはポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布した後、加熱することにより実施できる。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合で導入する変性基の例は、−COONa、−Si(OX)3(Xは、水素原子またはアルキル基)、−N(CH3)3・Cl、−C9H19、−COO、−SO3Na、−C12H25を含む。連鎖移動で導入する変性基の例は、−COONa、−SH、−SC12H25を含む。変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。
ケン化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコールおよびアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光膜の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。バインダー中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。延伸工程は、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
傾斜角度は、液晶表示装置を構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。通常の傾斜角度は45°である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型液晶表示装置において必ずしも45°でない装置が開発されており、延伸方向は液晶表示装置の設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10〜80度斜め延伸されたバインダーフィルムが製造される。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60°の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40〜50°が好ましい。45°が特に好ましい。
保護膜としては、セルロースアセテートフィルムなどを用いることができる。
接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がさらに好ましい。
偏光板の表面には、光拡散フィルムまたは防眩性フィルムを貼り合わせてもよい。
図6は、光拡散フィルムの代表的な形態を示す断面模式図である。
図6に示す光拡散フィルム(1)は、透明基材フィルム(2)と、透光性樹脂(40)中に、例えば、第1の透光性微粒子(41)及び第2の透光性微粒子(42)とを含む光拡散層(3)とを積層してなる。ここでは2種類の(屈折率が異なり)二つの粒径分布のピークを有する透光性微粒子にて説明を行なうが、同じ種類で(屈折率が同じで)二つの粒径分布線のピークを有する透光性微粒子を用いてもよいし、一種類の透光性微粒子を用いてもよい。
りも大きい場合は、光拡散性が高すぎて、フィルム全体が白化する場合がある。屈折率差は、0.03以上、0.13以下がより好ましく、0.04以上、0.10以下が最も良い。
上記本発明の光学フィルムを有する偏光板は、液晶表示装置、特にOCBモード液晶表示装置に好適に用いられる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
液晶セルのΔn×d(nm単位)の値は、50〜1000nmであることが好ましく、500〜1000nmであることがさらに好ましい。
上記本発明の光学フィルムを有する偏光板を、液晶セルの両面に配置される偏光板のうち、少なくとも一方に用いることが好ましい。
数式(2) 2≦(Δn(550)×d)/Rth2(550)≦5
数式中Δn(550)は波長550nmにおける液晶セル中の液晶分子の複屈折であり、dはnmを単位とする液晶セルの厚さであり、Rth2(550)は光学異方性層2の波長550nmにおける厚み方向のレタデーション値である。
上記範囲とすることにより色味変化を抑制する効果が得られる。
(Δn(550)×d)/Rth2(550)は、より好ましくは3〜4の範囲である。
<環状ポリオレフィン重合体P−1の合成>
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル100質量部を反応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー質量)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー質量)及びトルエンに溶解したトリエチルアルミニウム0.25mol%(対モノマー質量)を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた重合体(P−1)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。
環状ポリオレフィン溶液 D−1
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環状ポリオレフィンP−1 150質量部
ジクロロメタン 380質量部
メタノール 70質量部
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微粒子分散液 M−1
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一次平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)) 2質量部
ジクロロメタン 73質量部
メタノール 10質量部
環状ポリオレフィン溶液 D−1 10質量部
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上記環状ポリオレフィン溶液D‐1を100質量部、微粒子分散液M‐1を1.35質量を混合し、製膜用ドープを調製した。上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15から25質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて15%の延伸率で幅方向に延伸して、フィルムに皺が入らないように保持しながら、120℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から140℃で乾燥し巻き取った。できた光学異方性層2の厚さは45μm、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用い波長550nmの光でレタデーション値Re2(550)を測定したところ45nmであった。また面内の遅相軸をあおり軸として±40°あおった時のレタデーション値Re2(40°)およびRe2(−40°)を測定し、これらの実測結果からKOBRA 21ADHが算出するRth2(550)は150nmであった。
光学異方層2を、真鍮製の上下電極間(アルゴンガス雰囲気)で、グロー放電処理(周波数3000Hz、4200Vの高周波数電圧を上下電極間に引加、20秒処理)した。グロー放電処理したフイルム表面の純水の接触角はすべて36°から41°の間であった。接触角は協和界面科学株式会社製の接触角計CA−X型により測定した。
グロー放電処理した光学異方性層2の一方の面に、下記の組成の配向膜塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、光学異方性層2の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
配向膜塗布液組成
────────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
────────────────────────────────────
400.0質量部のメチルエチルケトンに、D−89に示すディスコティック化合物100質量部、下記に示す空気界面配向制御剤を0.4質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液を調製した。配向膜上に塗布液を、#3.0のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、95℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック化合物を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層1を形成し、光学補償シートを作製した。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。次に、作製した光学補償シートの光学異方性層2側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。光学異方性層2の遅相軸と偏光膜の透過軸とが平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を前記と同様にグロー放電処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側(光学補償シートを貼り付けなかった側)に貼り付けた。このようにして、楕円偏光板を作製した。
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを4.1μmに設定した。セルギャップにΔn(550)が0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
液晶セルと偏光板二枚を組み合わせて実施例1の液晶表示装置を作製した。液晶セルと二枚の偏光板との配置は、偏光板が光学異方性層および液晶セルの基板が対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対向する光学異方性層のラビング方向とが反平行になるように配置した。
また市販の直線偏光板2枚を透過軸が直交するように構成し、バックライト上に配置して分光輝度計(TOPCON製SR−3)で黒状態での色味を測定したところ、v’は0.45であった。
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルフォスフェート 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
メチレンクロライド 300質量部
メタノール 45質量部
────────────────────────────────────
別のミキシングタンクに、酢化度60.9%のセルロースアセテート(リンター)4質量部、下記のレタデーション上昇剤25質量部、シリカ微粒子(平均粒径:20nm)0.5質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、以下レタデーション上昇剤溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液470質量部に、レタデーション上昇剤溶液18.5質量部を混合し、十分に攪拌してドープを調製した。レタデーション上昇剤のセルロースアセテートに対する質量比は3.5%であった。残留溶剤量が35質量%のフィルムをバンドから剥離した後、140℃の温度で、フィルムのテンターを用いて38%の延伸倍率で横延伸した後、クリップを外して130℃で45秒間乾燥させ光学異方性層2としてのセルロースアセテートフィルムを製造した。製造された光学異方性層2の残留溶剤量は0.2質量%であり、膜厚は88μmであった。
作製した光学異方性層2について、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用い、波長550nmの光でレタデーション値Re2(550)を測定したところ45nmであった。また面内の遅相軸をあおり軸として±40°あおった時のレタデーション値Re2(40°)およびRe2(−40°)を測定し、これらの実測結果からKOBRA 21ADHが算出するRth2(550)は150nmであった。
作製した光学異方性層2の一方の面に、1.5規定水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25ml/m2塗布し、25℃で5秒間放置した後、流水で10秒洗浄し、
25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。このようにして、光学異方性層2の一方の表面のみをケン化した。
〔実施例2〕
(光学異方性層2の作製)
テンターで10%の延伸倍率で幅方向に延伸するほかは実施例1と同じようにして製膜し、光学異方性層2を作成した。できた光学異方性層2の厚さは54μm、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用い、波長550nmの光でレタデーション値Re2(550)を測定したところ38nmであった。また面内の遅相軸をあおり軸として±40°あおった時のレタデーション値Re2(40°)およびRe2(−40°)を測定し、これらの実測結果からKOBRA 21ADHが算出するRth2(550)は200nmであった。また、比較例1と同様にケン化処理および配向膜の作製を行った。
400.0質量部のメチルエチルケトンに、D−109に示すディスコティック化合物100質量部、上記の空気界面配向制御剤を0.4質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液を調製した。配向膜上に塗布液を、#3.0のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、120℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層1を形成し、光学補償シートを作製した。
また実施例1と同様の方法で楕円偏光板を作製した。
セルギャップを5.3μmとした以外は実施例1と同様にベンド配向液晶セル、液晶表示装置を作製した。
(光学異方性層2の作製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
環状ポリオレフィン溶液 D−2
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アートンG(JSR(株)製) 150質量部
ジクロロメタン 550質量部
エタノール 50質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液 M−3
――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 2質量部
ジクロロメタン 75質量部
エタノール 5質量部
環状ポリオレフィン溶液 D−2 10質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が約22質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて2%の延伸率で幅方向に延伸して、フィルムに皺が入らないように保持しながら、180℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から140℃で乾燥し巻き取った。できた光学異方性層2の厚さは86μm、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用い、波長550nmの光でレタデーション値Re2(550)を測定したところ40nmであった。また面内の遅相軸をあおり軸として±40°あおった時のレタデーション値Re2(40°)およびRe2(−40°)を測定し、これらの実測結果からKOBRA 21ADHが算出するRth2(550)は200nmであった。また、比較例1と同様にケン化処理および配向膜の作製を行った。
400.0質量部のメチルエチルケトンに、D−109に示すディスコティック化合物100質量部、上記の空気界面配向制御剤を0.4質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液を調製した。配向膜上に塗布液を、#3.0のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、120℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層1を形成し、光学補償シートを作製した。
また実施例1と同様の方法で楕円偏光板を作製した。
セルギャップを5.3μmとした以外は実施例1と同様にベンド配向液晶セル、液晶表示装置を作製した。
比較例1と同様に光学異方性層2および配向膜を作製した。
204.0質量部のメチルエチルケトンに、下記に示すディスコティック化合物91質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)1質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液を調製した。配向膜上に塗布液を、#3.4のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック化合物を配向させた。次に、110℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射しディスコティック化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層1を形成し、光学補償シートを作製した。
また実施例1と同様の方法で楕円偏光板を作製した。
実施例1と同様にベンド配向液晶セル、液晶表示装置を作製した。結果を表1に示す。
実施例2と同様に光学異方性層2および配向膜を作製した。また比較例2と同様に光学異方性層1を作製し、楕円偏光板を作製した。
セルギャップを2.6μmとした以外は実施例1と同様にベンド配向液晶セル、液晶表示装置を作製した。結果を表1に示す。
比較例2と同様に光学異方性層2および配向膜を作製した。また比較例2と同様に光学異方性層1を作製し、楕円偏光板を作製した。
(ベンド配向モード液晶表示装置の作製)
セルギャップを5.8μmとした以外は実施例1と同様にベンド配向液晶セル、液晶表示装置を作製した。結果を表1に示す。
表1からも明らかなとおり、本発明の液晶表示装置は、正面コントラストが高く、コントラスト視野角、反転視野角が上下左右ともに広く、黒表示時の青みが少ない上に、温湿度の異なる環境下における反転視野角変化も無い。一方光学異方性層2にセルロースアセテートフィルムを用いた比較例1、2は温湿度の異なる環境下においた場合反転視野角が変化する為、好ましくない。Re1(450)/Re1(650)<1.25を満たさない比較例2では正面コントラストが低く、黒表示時の青みが強い。また2≦(Δn(550)×d)/Rth2(550)≦5を満たさない比較例3,4ではコントラスト視野角、反転視野角が悪化する。
11 液晶性化合物
11a〜11j 棒状液晶性分子
12a、12b 配向膜
13a、13b 電極層
14a 上基板
14b 下基板
31、31A、31B 光学異方性層1
31a〜31e 円盤状化合物
32 配向膜
33、33A、33B 光学異方性層2
34、34A、34B 偏光膜
35 光学フィルム
NL 円盤状化合物の円盤面の法線
PL 円盤面の法線を光学異方性層2面へ正射影した方向
RD、RD1、RD2、RD3、RD4 ラビング方向
SA、SA1、SA2 面内遅相軸
TA、TA1、TA2 面内透過軸
BL バックライト
θ 配向膜のラビング方向(RD)と光学異方性層2の面内遅相軸(SA)との角度
1 光拡散フィルム
2 透明基材フィルム
3 光拡散層
40 透光性樹脂
41 第1の透光性微粒子
42 第2の透光性微粒子
Claims (13)
- 光学異方性層1と光学異方性層2とを有する光学フィルムにおいて、該光学異方性層1が下記の数式(1)を満足する光学特性を有し、該光学異方性層2が環状オレフィン系付加重合体を含んでなるフィルムであることを特徴とする光学フィルム。
数式(1) Re1(450)/Re1(650)<1.25
数式中Re1(450)、Re1(650)は波長450nm、650nmにおける光学異方性層1の面内レタデーション値である。 - 前記環状オレフィン系付加重合体が、一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン、または該一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上と、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上とを含む付加(共)重合体環状ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記環状オレフィン系付加重合体が、一般式(III)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン、または該一般式(III)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上と、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上とを含む付加(共)重合体環状ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記光学異方性層2が一次粒子径1nm〜20μmの微粒子を、環状ポリオレフィン系樹脂に対して0.01〜0.3質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
- 偏光膜および該偏光膜の両面に保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの一方が、請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
- 液晶セルの両側に偏光板を有する液晶表示装置において、該偏光板の少なくとも1枚が請求項5に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項6に記載の液晶表示装置において、該光学異方性層2が下記の数式(2)を満足する光学特性を有することを特徴とする液晶表示装置。
数式(2) 2≦(Δn(550)×d)/Rth2(550)≦5
数式中Δn(550)は波長550nmにおける液晶セル中の液晶分子の複屈折であり、dはnmを単位とする液晶セルの厚さであり、Rth2(550)は光学異方性層2の波長550nmにおける厚み方向のレタデーション値である。 - 前記光学異方性層1の波長550nmにおける面内レタデーション値Re1(550)が0〜40nmであることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶表示装置。
- 前記光学異方性層2の波長550nmにおける面内レタデーション値Re2(550)が30〜60nmであり、波長550nmにおける厚み方向のレタデーション値Rth2(550)が100〜300nmであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記光学異方性層1が、光学異方性層1の遅相軸をあおり軸とし、あおり角を±40°として測定した波長550nmにおけるレタデーション値Re1(40°)とRe1(−40°)の比:Re1(40°)/Re1(−40°)を3〜20あるいは1/20〜1/3の範囲に有することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記光学異方性層1が液晶性化合物から形成されたことを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶性化合物が、ディスコティック化合物であることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルがベンド配向モードであることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の液晶表示装置。
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