JP2010077096A - 化合物、液晶性組成物、膜、及び位相差板 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は位相差板などの作製に有用な化合物、該化合物を用いた光学要素等の作製に有用な液晶性組成物、並びに該組成物からなる膜及び位相差板に関する。
ディスコティック液晶性化合物は、光学補償シート用の素材として非常に重要な化合物であることが知られている。このようなディスコティック液晶性を発現する液晶性化合物としては、2,3,6,7,10,11−ヘキサ{4−(4−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ}トリフェニレンが開示されている(例えば、特許文献1)。
光学補償シートのレターデーション(△nd)は、補償しようとする液晶セルの光学的性質に応じて決定する。レターデーション(△nd)は、光学異方性層の屈折率異方性(△n)と光学異方性層の厚さ(d)との積である。光学異方性層の屈折率異方性(△n)が大きければ、層の厚さ(d)が薄くても液晶セルを補償できる。逆に屈折率異方性(Δn)が小さくなると、層の厚さ(d)を厚くする必要が生じ、その結果、液晶性化合物の配向に欠陥が生じやすくなる問題が生じてくる。高いΔnを有する化合物が求められている。高いΔnを有する化合物が、特許文献2で報告されている。
特開平8−50206号公報
特開2006−273781号公報
特許文献2で報告されている化合物は、ディスコティックネマチック相を発現しやすく非常に優れた化合物であるが、汎用溶剤への溶解性が低い。液晶を利用して、光学補償シート等の光学要素を作製する場合は、液晶を汎用溶剤に溶解して塗布液を調製し、該塗布液を表面に塗布して作製することが多い。従って、汎用溶剤への高い溶解性も重要な性能の一つである。
本発明は、高いΔnと汎用溶剤への高い溶解性を示す化合物を提供することを課題とする。また、本発明は、該ディスコティック液晶性化合物を用いた膜、を提供することにある。
本発明は、高いΔnと汎用溶剤への高い溶解性を示す化合物を提供することを課題とする。また、本発明は、該ディスコティック液晶性化合物を用いた膜、を提供することにある。
上記課題は、以下の手段によって解決された。
[1] 下記一般式(D−I)で表される化合物。
[一般式(D−I)中、Y1、Y2及びY3はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表し;H1、H2及びH3はそれぞれ独立に下記一般式(DI−A)、下記一般式(DI−B)又は下記一般式(DI−C)を表し;R1、R2及びR3はそれぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。]
[1] 下記一般式(D−I)で表される化合物。
[2] F1が、下記式(F−I)又は(F−II)のいずれかを表す[1]の化合物。
[式中、*はH1、H2及びH3のそれぞれと結合する位置を表し、**はそれぞれ−L12−L13−Q1又は−L22−L23−Q2と結合可能な位置を表し、少なくとも**のいずれか1つに−L12−L13−Q1が結合し、及び少なくとも**のいずれか1つに−L22−L23−Q2が結合し;A12及びA13はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表し;X11及びX21はそれぞれ酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;式(F−II)の環中の破線は、単結合又は二重結合を意味する。]
[3] 前記一般式(D−I)中のR1、R2及びR3がそれぞれ、下記一般式(DII−R)を表す[1]又は[2]の化合物。
[一般式(DII−R)中、A12及びA13はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表し;X11は酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;L12及びL22はそれぞれ独立に**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−NH−、**−NH−CO−、**−CO−NH−、**−SO2−、**−CH2−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し(ここで、**は環と結合する位置を表す);L13及びL23はそれぞれ独立に−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよく;Q1及びQ2はそれぞれ独立に重合性基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。]
[4] 前記一般式(D−I)中のH1、H2及びH3がそれぞれ、前記一般式(DI−A)である[1]〜[3]のいずれかの化合物。
[5] 下記一般式(D−II)で表される化合物。
[式中、L12及びL22はそれぞれ独立に**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、**−NH−、**−NH−CO−、**−CO−NH−、**−SO2−、**−CH2−、**−CH=CH−又は**−C≡C−を表し(ここで**は環と結合する位置を表す);L13及びL23はそれぞれ独立に−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよく;Q1及びQ2はそれぞれ独立に重合性基、ハロゲン原子又は水素原子を表し;A12及びA13はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表し;X11はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表す。]
[5] 下記一般式(D−II)で表される化合物。
[6] [1]〜[5]のいずれかの化合物の少なくとも1種を含む液晶性組成物。
[7] [6]の液晶性組成物から形成される膜。
[8] [7]の膜からなる、又は該膜を含む位相差板。
[7] [6]の液晶性組成物から形成される膜。
[8] [7]の膜からなる、又は該膜を含む位相差板。
本発明によれば、従来のディスコティック液晶性化合物では実現できなかった、高いΔnと汎用溶剤への高い溶解性を両立する化合物を提供することができる。また、該化合物を用いることにより、高いΔnを有する光学要素(位相差板等の光学フィルム等)を製造することが可能になる。
以下、本発明について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において、液晶性を示す化合物を液晶性化合物という。
本発明の化合物は、下記一般式(D−I)で表される。
一般式(D−I)中、Y1、Y2及びY3はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。
Y1、Y2及びY3がそれぞれ炭素原子の場合、炭素原子は置換基を有していてもよい。ここで、「原子は置換基を有していてもよいとは」、該原子を含む環状構造の該原子の部分に結合している水素原子部分が他の基に置換されていてもよいことを意図している(以下同じ)。炭素原子が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がさらに好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がよりさらに好ましい。
Y1、Y2及びY3は、いずれも炭素原子であること、又はいずれも窒素原子であることが好ましく、特に、いずれも炭素原子であることがより好ましく、炭素原子は無置換であることが最も好ましい。
H1、H2及びH3はそれぞれ独立に下記一般式(DI−A)、下記一般式(DI−B)又は下記一般式(DI−C)を表す。
一般式(DI−A)中、YA1及びYA2は、それぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。及びYA2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。XAは、酸素原子、硫黄原子、炭素原子又は窒素原子を表し、酸素原子が好ましい。*は上記一般式(D−I)においてY1、Y2及びY3を含む芳香族環と結合する位置を表し、**は上記一般式(D−I)においてR1、R2及びR3とそれぞれ結合する位置を表す。
前記式(D−1)中、H1、H2及びH3はそれぞれ前記一般式(DI−A)であることが好ましく、下記式(DII−A)であることがより好ましい。
前記式(D−1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
F1は少なくとも1種類のヘテロ縮合環構造を有する三価の連結基を表し、*はH1、H2及びH3のそれぞれと結合する位置を表す。ここで、ヘテロ縮合環とは、少なくとも一つのヘテロ原子を含み、2つ以上の環がオルト縮合している縮合環を表す。F1は5員環、6員環、又は7員環の組み合わせからなる縮合環であることが好ましく、5員環同士、6員環同士又は5員環と6員環との組み合わせからなる縮合環であることがさらに好ましい。また、F1の縮合環に含まれる環は、芳香族環及び非芳香族環のどちらでもよい。F1の縮合環は部分構造としてベンゼン環を含むことが好ましく、ベンゼン環とヘテロ5員環との縮合環であるのがより好ましい。F1のヘテロ縮合環に含まれるヘテロ原子の例には、ホウ素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子が含まれる。F1で表されるヘテロ縮合環構造に含まれるヘテロ原子としては、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子がさらに好ましい。
F1としては、下記式(F−I)又は(F−II)で表される縮合環の基であるのが好ましい。
式中、*はH1、H2及びH3のそれぞれと結合する位置を表し、**はそれぞれ−L12−L13−Q1又は−L22−L23−Q2と結合可能な位置を表し、少なくとも**のいずれか1つに−L12−L13−Q1が結合し、及び少なくとも**のいずれか1つに−L22−L23−Q2が結合し;A12及びA13はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表し;X11及びX21はそれぞれ酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し;式(F−II)の環中の破線は、単結合又は二重結合を意味する。
F1の具体例には、以下の基が含まれる。
各式中、*はH1、H2及びH3のそれぞれと結合する位置を表し、**はそれぞれ−L12−L13−Q1又は−L22−L23−Q2と結合可能な位置を表し、少なくとも**のいずれか1つに−L12−L13−Q1が結合し、及び少なくとも**のいずれか1つに−L22−L23−Q2が結合する。
F1で表される三価の連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、酸素原子(O=)、硫黄原子(S=)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜16のアルキル基、炭素原子数が1〜16のアルケニル基、炭素原子数が1〜16のアルキニル基、炭素原子数が1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜16のアルコキシ基、炭素原子数が2〜16のアシル基、炭素原子数が1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数が2〜16のアシルアミノ基が含まれる。二価の環状基の置換基としては、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、シアノ基、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が1〜6のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基が好ましく、さらに、ハロゲン原子、酸素原子、炭素原子数が1〜4のアルキル基、炭素原子数が1〜4のハロゲン置換アルキル基が好ましい。
L12及びL22はそれぞれ、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−NH−、*−NH−CO−、*−CO−NH−、*−SO2−、*−CH2−、*−CH=CH−又は*−C≡C−を表す(ここで、*は一般式(DI−R)中のF1に結合する位置を表す)。好ましくは、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−CH2−、*−CH=CH−又は*−C≡C−であり、特に、*−O−、*−O−CO−、*−CH2−、又は*−C≡C−が好ましい。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
L13及びL23はそれぞれ、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。ここで、−NH−、−CH2−又は−CH=CH−の水素原子は、他の置換基に置き換えられていてもよい。他の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が1〜6のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜6のアルコキシ基、炭素原子数が2〜6のアシル基、炭素原子数が1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜6のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数が2〜6のアシルアミノ基が含まれる。特に、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜6のアルキル基が好ましい。
L13及びL23はそれぞれ、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−から選ばれる2種以上の組み合わせであるのが好ましい。L13及びL23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することが特に好ましい。さらに、L13及びL23は−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、特に−CH2−を2〜12個含有することが好ましい。
Q1及びQ2はそれぞれ独立に重合性基、ハロゲン原子又は水素原子である。本発明の化合物を、位相差の大きさが熱により変動しないのが好ましい光学フィルム(例えば光学補償フィルム)等の作製に用いる場合には、Q1及びQ2はそれぞれ、重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。例えば、以下に示す重合性基の群から選ばれる基が挙げられる。
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基又は開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
式(M−3)、(M−4)中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)の中でも、(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
上記(M−1)〜(M−6)の中でも、(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基又はオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
一般式(D−I)中のR1、R2及びR3はそれぞれ、一般式(DII−R)であることがより好ましい。
一般式(DII−R)中、A12及びA13はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。
一般式(DII−R)中、X11は酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表わす。
一般式(DII−R)中、L12、L22、L13、L23、Q1及びQ2は、前記式(DI−R)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(DII−R)中、X11は酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表わす。
一般式(DII−R)中、L12、L22、L13、L23、Q1及びQ2は、前記式(DI−R)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
−L12−L13−Q1(及び−L22−L23−Q2)の例には、−CnH2n+1−Q1、−O−CnH2n+1、−(CH2)n−OCO−Q1、−C=C−(CH2)n−OCO−Q1、及び−C≡C−(CH2)n−OCO−Q1、−O−(CH2)n−OCO−Q1、−OCO2−(CH2)n−OCO−Q1(但し、nは1〜16の整数であり、好ましくは、2〜12の整数である)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
なお、本発明の化合物の有機溶媒中への溶解性が改善される理由に関しては、本発明の化合物では、−L12−L13−Q1(及び−L22−L23−Q2)で表される側鎖部が、従来の化合物が1つ有していたのに対して、2つに増加することで、分子が密にパッキングした高秩序結晶の形成抑制や単位体積あたりの分子密度低下を引き起こし、結果として、分子間力の低下や、更には分子間への溶媒の取り込みを容易とし、溶解性が改善されたと考えられる。
従って、溶解性の改善のためには、1分子中に、R1、R2及びR3中の置換基として、−L12−L13−Q1及び−L22−L23−Q2をそれぞれ1ずつ有することが重要であり、上記定義を満足する置換基であれば、同様に効果が得られる。
なお、本発明の化合物の有機溶媒中への溶解性が改善される理由に関しては、本発明の化合物では、−L12−L13−Q1(及び−L22−L23−Q2)で表される側鎖部が、従来の化合物が1つ有していたのに対して、2つに増加することで、分子が密にパッキングした高秩序結晶の形成抑制や単位体積あたりの分子密度低下を引き起こし、結果として、分子間力の低下や、更には分子間への溶媒の取り込みを容易とし、溶解性が改善されたと考えられる。
従って、溶解性の改善のためには、1分子中に、R1、R2及びR3中の置換基として、−L12−L13−Q1及び−L22−L23−Q2をそれぞれ1ずつ有することが重要であり、上記定義を満足する置換基であれば、同様に効果が得られる。
前記一般式(D−I)で表される化合物の例には、下記一般式(D−II)で表される化合物が含まれる。
前記式中、L12、L22、L13、L23、Q1及びQ2は、前記式(DI−R)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記式中、A12、A13及びX11は、前記式(DII−R)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記式中、A12、A13及びX11は、前記式(DII−R)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
以下に、一般式(D−I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記化合物は、種々の有機合成の工程を組み合わせることで合成することができる。具体的には、特開2006−76992号公報、及び特開2007−2220号公報に記載の合成方法を参照して合成することができる。
本発明の化合物は、液晶性を示すことが好ましく、例えば、カラムナー相及びディスコティックネマチック相(ND相)に転移可能な液晶性化合物が挙げられる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示すディスコティックネマチック相(ND相)が好ましい。本発明の化合物を利用して、光学異方性膜等の薄膜を形成する場合は、化合物が均一な配向状態になることが好ましい。ここで、「均一な配向状態」とは、均一で欠陥のないモノドメインな配向状態を意味する。このような配向状態を実現するためには、良好なモノドメイン性を示す液晶相が望ましい。モノドメイン性が悪い場合には、得られる構造がポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになる。良好なモノドメイン性を示すと、例えば位相差板に用いた場合に該位相差板が高い光透過率を有しやすくなる。
本発明の化合物は、液晶相を20℃〜300℃の範囲で発現することが好ましい。さらに好ましくは40℃〜280℃であり、最も好ましくは60℃〜250℃である。ここで20℃〜300℃で液晶相を発現するとは、液晶温度範囲が20℃をまたぐ場合(具体的に例えば、10℃〜22℃)や、300℃をまたぐ場合(具体的に例えば、298℃〜310℃)も含む。40℃〜280℃と60℃〜250℃に関しても同様である。
本発明の化合物は、高いΔnを示すとともに、汎用の有機溶剤への溶解性が高いという特徴がある。特にケトン系溶剤への溶解性が高い。本発明の化合物は、ケトン系溶剤に対する溶解度が20質量%程度以上になり得、さらに30質量%程度以上になり得る。
本発明は、本発明の化合物の少なくとも一種を含む液晶性組成物にも関する。本発明の液晶性組成物は、本発明の化合物とともに添加剤の1種以上を含有していてもよい。使用可能な添加剤の例として、空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等について説明する。
空気界面配向制御剤:
液晶性組成物は、空気界面においては空気界面のチルト角で配向する。このチルト角は、液晶性組成物に含まれる液晶性化合物の種類や添加剤の種類等で、その程度が異なるため、目的に応じて空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
液晶性組成物は、空気界面においては空気界面のチルト角で配向する。このチルト角は、液晶性組成物に含まれる液晶性化合物の種類や添加剤の種類等で、その程度が異なるため、目的に応じて空気界面のチルト角を任意に制御する必要がある。
前記チルト角の制御には、例えば、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いることができるが、添加剤を用いることが好ましい。このような添加剤としては、炭素原子数が6〜40の置換もしくは無置換脂肪族基、又は炭素原子数が6〜40の置換もしくは無置換脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を、分子内に1本以上有する化合物が好ましく、分子内に2本以上有する化合物が更に好ましい。例えば、空気界面配向制御剤としては、特開2002−20363号公報に記載の疎水性排除体積効果化合物を用いることができる。
空気界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、本発明の液晶性組成物に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%が更に好ましく、0.1質量%〜5質量%が最も好ましい。
ハジキ防止剤:
本発明の液晶性組成物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、本発明の液晶性組成物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
本発明の液晶性組成物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、本発明の液晶性組成物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明の液晶性組成物に添加し、該組成物の塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、本発明の液晶性組成物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
本発明の液晶性組成物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、本発明の液晶性組成物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
重合開始剤:
本発明の膜は、例えば、本発明の液晶性組成物を一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することにより、その液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化して作製することができる。また、本発明の重合開始剤を含有する本発明の液晶性組成物を用い、液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによって液晶状態の配向状態を固定化して作製することもできる。本発明における配向状態の固定化は、後者の重合反応により行うことが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応又は電子線照射による重合反応が好ましい。
本発明の膜は、例えば、本発明の液晶性組成物を一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することにより、その液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化して作製することができる。また、本発明の重合開始剤を含有する本発明の液晶性組成物を用い、液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによって液晶状態の配向状態を固定化して作製することもできる。本発明における配向状態の固定化は、後者の重合反応により行うことが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応又は電子線照射による重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、光学異方性層の塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
光重合開始剤の使用量は、光学異方性層の塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
重合性モノマー:
本発明の液晶性組成物には、重合性のモノマーを添加してもよい。本発明で使用できる重合性モノマーとしては、本発明の化合物と相溶性を有し、液晶組成物の配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.5〜50質量%の範囲にあり、1〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜との密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
本発明の液晶性組成物には、重合性のモノマーを添加してもよい。本発明で使用できる重合性モノマーとしては、本発明の化合物と相溶性を有し、液晶組成物の配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.5〜50質量%の範囲にあり、1〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜との密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
本発明の液晶性組成物は、塗布液として調製してもよい。塗布液の調製に使用する溶剤としては、汎用の有機溶剤が好ましく用いられる。汎用の有機溶剤の例には、アミド系溶剤(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド系溶剤(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環系溶剤(例、ピリジン)、炭化水素系溶剤(例、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド系溶剤(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル系溶剤(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン系溶剤(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル系溶剤(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。エステル系溶剤及びケトン系溶剤が好ましく、特にケトン系溶剤が好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
本発明は、本発明の液晶性組成物からなる膜にも関する。本発明の液晶性組成物を、配向状態とし、その配向状態を固定することで、光学異方性膜を形成することができる。該光学異方性膜は、位相差板等の光学要素として有用である。
本発明の膜は、例えば、前記組成物を基板面等に塗布することで作製することができる。均一に配向した膜を得るために、前記組成物中に本発明の化合物とともに、必要に応じて上記他の添加剤を加えてもよい。例えば、本発明の化合物の少なくとも一種と、所望により添加される添加剤の少なくとも一種とを含有する液晶性組成物を塗布した後、液晶状態で均一配向させて、その状態に固定することで光学異方性膜を形成することができる。前記組成物に添加可能な添加剤の例としては、前記した空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。
本発明の膜は、例えば、前記組成物を基板面等に塗布することで作製することができる。均一に配向した膜を得るために、前記組成物中に本発明の化合物とともに、必要に応じて上記他の添加剤を加えてもよい。例えば、本発明の化合物の少なくとも一種と、所望により添加される添加剤の少なくとも一種とを含有する液晶性組成物を塗布した後、液晶状態で均一配向させて、その状態に固定することで光学異方性膜を形成することができる。前記組成物に添加可能な添加剤の例としては、前記した空気界面配向制御剤、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。
前記液晶性組成物を塗布液として調製し、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により、表面に塗布して、膜を形成することができる。
均一に配向した状態を実現するためには、配向膜を利用するのが好ましい。但し、液晶の光軸方向が薄膜面の法線方向と一致する場合(ホメオトロピック配向)においては必ずしも配向膜は必要ではない。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
本発明の液晶性組成物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理もしくは、光照射により形成される配向膜が好ましい。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。
次に、配向状態を固定するために、重合を実施するのが好ましい。前記液晶性組成物中に光重合開始剤を含有させ、光照射により重合を開始するのが好ましい。光照射には、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、50mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達しない場合には、窒素置換等の方法により酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下がよりさらに好ましい。
本発明で配向状態が固定化された状態とは、その配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、該固定化された液晶組成物に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を指すものである。なお、配向状態が最終的に固定化され光学異方性層が形成された際に、本発明の液晶性組成物はもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶性化合物として重合性基を有する化合物を用いているので、結果的に熱、光等で反応により重合又は架橋反応が進行し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。
本発明の膜は、液晶表示装置の視野角改善に寄与する光学補償フィルムとして用いることができる。本発明の化合物は波長分散性が低いので、これを用いて作製された本発明の膜は、波長による光学補償能の変動がなく、可視光全域にわたって所望の光学補償能を示すものと考えられる。
本発明は、本発明の膜からなる、又は本発明の膜を有する位相差板にも関する。本発明の位相差板は、液晶表示装置の視野角改善に寄与する光学補償フィルムとして用いることができる。本発明の位相差板の一例は、ポリマーフィルム等からなる支持体と、その上に、本発明の液晶性組成物からなる光学異方性膜とを有する位相差板である。支持体となるポリマーフィルムは、光学的に等方性であっても異方性であってもよい。用途に応じて、種々の特性のポリマーフィルムから選択することができる。また、支持体と光学異方性膜との間には、光学異方性膜の作製に利用される配向膜が配置されていてもよい。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定するかできる。
測定されるサンプル(例えば、フィルムや層)が1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には面内の任意の方向を回転軸とする)の法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレタデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルム等のサンプルの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレタデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
測定されるサンプル(例えば、フィルムや層)が1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には面内の任意の方向を回転軸とする)の法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレタデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルム等のサンプルの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレタデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値をあらわす。上記式におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
測定されるフィルム等のサンプルが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないサンプルの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1:例示化合物D−6の合成]
下記スキームに従って合成した。
下記スキームに従って合成した。
(D−6Aの合成)
4−ヒドロキシベンゾニトリル10.0gをピリジン90mLに溶解させ、氷冷下で一塩化ヨウ素30gとジオキサン150mLを含む溶液を滴下した。室温で1時間撹拌後、更に60℃で1時間攪拌を行った後、水2.5Lを加え結晶を析出させた。結晶をろ別後、アセトニトリルで洗浄し、D−6Aを12.5g得た。
4−ヒドロキシベンゾニトリル10.0gをピリジン90mLに溶解させ、氷冷下で一塩化ヨウ素30gとジオキサン150mLを含む溶液を滴下した。室温で1時間撹拌後、更に60℃で1時間攪拌を行った後、水2.5Lを加え結晶を析出させた。結晶をろ別後、アセトニトリルで洗浄し、D−6Aを12.5g得た。
(D−6Bの合成)
D−6A 5.0g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.23g、ヨウ化銅(I)0.06gをジメチルホルムアミド30mLに溶解させ、5−クロロ−1−ペンチン4.15g、トリエチルアミン6.0mLを添加後、60℃で2時間撹拌した。冷却後、反応液を塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、D−6Bを0.64g得た。
D−6A 5.0g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.23g、ヨウ化銅(I)0.06gをジメチルホルムアミド30mLに溶解させ、5−クロロ−1−ペンチン4.15g、トリエチルアミン6.0mLを添加後、60℃で2時間撹拌した。冷却後、反応液を塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、D−6Bを0.64g得た。
(D−6Cの合成)
D−6B0.64gをエタノール10mLに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン水溶液0.66gを添加後、60℃で2時間撹拌した。冷却後、反応液に水を加え、析出した結晶をろ別した。得られた結晶を酢酸エチルに溶解後、硫酸マグネシウムで乾燥し、次工程に使用した。
D−6B0.64gをエタノール10mLに溶解させ、50%ヒドロキシルアミン水溶液0.66gを添加後、60℃で2時間撹拌した。冷却後、反応液に水を加え、析出した結晶をろ別した。得られた結晶を酢酸エチルに溶解後、硫酸マグネシウムで乾燥し、次工程に使用した。
(D−6Dの合成)
D−6Cを含む酢酸エチル溶液にピリジン2.0mL、トリメシン酸クロライド0.17gを添加後、110℃で2時間撹拌した。冷却後、メタノールを添加し、析出した結晶を濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、D−6Dを0.23g得た。
D−6Cを含む酢酸エチル溶液にピリジン2.0mL、トリメシン酸クロライド0.17gを添加後、110℃で2時間撹拌した。冷却後、メタノールを添加し、析出した結晶を濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、D−6Dを0.23g得た。
(D−6の合成)
D−6D 0.23gをジメチルアセトアミド5mLに溶解させ、炭酸カリウム0.5g、ヨウ化ナトリウム0.3g、アクリル酸0.5mLを添加後、110℃で3時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物を0.12g得た。この化合物をNMRスペクトルで同定し、例示化合物D−6であることを確認した。NMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
2.15−2.40(12H、m)
2.85(6H、t)
3.10(6H、t)
4.35(6H、t)
4.45(6H、t)
5.85(3H、dd)
6.18(3H、dd)
6.45(3H、dd)
6.60(3H、s)
8.20(3H、s)
8.33(3H、s)
9.25(3H、s)。
D−6D 0.23gをジメチルアセトアミド5mLに溶解させ、炭酸カリウム0.5g、ヨウ化ナトリウム0.3g、アクリル酸0.5mLを添加後、110℃で3時間撹拌した。反応液に水を加え、析出した結晶をろ過により濾取した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物を0.12g得た。この化合物をNMRスペクトルで同定し、例示化合物D−6であることを確認した。NMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
2.15−2.40(12H、m)
2.85(6H、t)
3.10(6H、t)
4.35(6H、t)
4.45(6H、t)
5.85(3H、dd)
6.18(3H、dd)
6.45(3H、dd)
6.60(3H、s)
8.20(3H、s)
8.33(3H、s)
9.25(3H、s)。
得られたD−6の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行ったところ、温度を上げていき70℃付近で結晶相からカラムナー相に転移が見られ、その後90℃付近でディスコティックネマチック液晶相への転移が見られた。また、141℃を超えると等方性液体相へ転移した。すなわち、D−6は90℃から141℃の間でディスコティックネマチック液晶相を呈することが分かった。
また、得られたD−6のメチルエチルケトンへの溶解性は、25℃において40質量%以上であることが分かった。
また、得られたD−6のメチルエチルケトンへの溶解性は、25℃において40質量%以上であることが分かった。
に置き換わった化合物を合成することができる。具体的には、ヘテロ環合成に関する成書(例えば、新編へテロ環化合物((株)講談社発行))を参考に合成することが可能である。また、原料に用いられる、カルボン酸類縁体化合物やニトリル化合物は、容易に入手できることが多いが、入手が困難な場合は、一般的な合成の手法により、前駆体から変換できる。例えば、下記のような前駆体から変換可能である。
に置き換わった化合物を合成することができる。具体的には、下記スキームに従い合成可能である。
に置き換わった化合物を合成することができる。具体的には、下記スキームに従い合成可能である。
[比較例1]
特開2006−273781号公報に記載の下記化合物D−11を、当該公報に記載の方法で合成し、メチルエチルケトンへの溶解性を調べたところ、25℃において10質量%以下であることがわかった。
特開2006−273781号公報に記載の下記化合物D−11を、当該公報に記載の方法で合成し、メチルエチルケトンへの溶解性を調べたところ、25℃において10質量%以下であることがわかった。
[実施例2:膜の作製]
上記のPVA−203の薄膜を設けた基板上に、下記塗布液をスピンコートし、110℃の恒温槽中に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して配向状態を固定し、膜を形成した。この膜の厚みは、3.0μmであった。
上記のPVA−203の薄膜を設けた基板上に、下記塗布液をスピンコートし、110℃の恒温槽中に入れ、5分後に600mJの紫外線を照射して配向状態を固定し、膜を形成した。この膜の厚みは、3.0μmであった。
(塗布液)
・前記例示化合物 D−6 100質量部
・下記空気界面配向制御剤 V−(2) 0.2質量部
・イルガキュア907(長瀬産業(株)) 3.0質量部
・ジエチルチオキサントン 1.0質量部
・メチルエチルケトン 250質量部
・前記例示化合物 D−6 100質量部
・下記空気界面配向制御剤 V−(2) 0.2質量部
・イルガキュア907(長瀬産業(株)) 3.0質量部
・ジエチルチオキサントン 1.0質量部
・メチルエチルケトン 250質量部
室温まで放冷後、偏光顕微鏡でその配向状態を観察すると、ディスコティック液晶性化合物が欠陥なくホメオトロピック配向していることが分かった。
また、実施例2で得られた薄膜のΔnをKOBRA(王子計測機器(株)製)の測定値と膜厚より求めたところ、0.14と高いΔnを示すことが分かった。
また、実施例2で得られた薄膜のΔnをKOBRA(王子計測機器(株)製)の測定値と膜厚より求めたところ、0.14と高いΔnを示すことが分かった。
Claims (8)
- 下記一般式(D−I)で表される化合物。
一般式(DI−R)
- 前記一般式(D−I)中のR1、R2及びR3がそれぞれ、下記一般式(DII−R)を表す請求項1又は2に記載の化合物。
- 前記一般式(D−I)中のH1、H2及びH3がそれぞれ、前記一般式(DI−A)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
- 下記一般式(D−II)で表される化合物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1種を含む液晶性組成物。
- 請求項6に記載の液晶性組成物から形成される膜。
- 請求項7に記載の膜からなる、又は該膜を含む位相差板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008250158A JP2010077096A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 化合物、液晶性組成物、膜、及び位相差板 |
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JP2008250158A JP2010077096A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 化合物、液晶性組成物、膜、及び位相差板 |
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