JP2006120233A - 光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 PLLに内蔵する位相比較器が、入力信号列の各値を指定された閾値と比較することによりエッジ判別を行う。
【効果】 記録密度が異なる複数のディスク媒体に記録再生が可能で、かつ再生互換を保証する光ディスク装置を提供できる。
【選択図】 図1
Description
PRML法では再生信号に最も近い時間遷移をもつ目標信号を選択し,目標信号を生成するビット列をデコード結果として出力する。ここで目標信号は指定したインパルス・レスポンス(PRクラス)とビット列の畳み込みによって算出される。従って,記録密度に応じて適切なPRクラスを選択する必要がある。
例えば,Blu-ray Discを例にすると,レコーダーとして記憶容量23.3GBのものが製品化されており,今後25GB/27GBに対応する光ディスク装置が製品化されると考えられている。これらは,線記録密度の向上によって実現されるものであり,将来的には30GBを超える容量も実現可能である。
Blu-ray Discの各容量に対応した,世代型の光ディスク装置について,より具体的に適正なPRクラスを示すと,例えば次のようになる。
(1)第1世代(23.3GB対応):PR(1,2,1)
(2)第2世代(25GB対応):PR(1,2,2,1)
(3)第3世代(27GB対応):PR(1,2,2,2,1)
(4)第4世代(30GB対応):PR(1,2,2,2,2,1)
(5)・・・
例えば,第3世代の光ディスク装置では,当然23.3GB,25GBの媒体にも記録再生することが望まれる。
また,特開平10−106161号公報では,再生信号の符号間干渉の付与値からFIRフィルターのTap係数とビタビ復号器の目標点レベル(識別点レベル)をパラメータとして設定する技術が開示されている。
また、特開平10−334605号公報には、PLLをロックさせる際の位相等を切替えるなどし、異なる種類のビタビ復号法を実現し、記録密度に応じて再生信号の特性によりよく適合する種類のビタビ復号方法を選択して用いることが記載されている。
さらに,特開平11−296987号公報では、再生信号のレベルに合わせて適応的にビタビ復号器の目標信号レベルを追従させる技術が示されている。
こうした技術によって、記録密度の異なる媒体に対応して再生性能が最良になるようにビタビ復号器を物理的,あるいは実効的に切り替えることができるようになった。
記録密度の変化に応じて,クロック発生機構についても様々な技術が開示されている。
(課題1)高密度に対応した拘束長が長いPRクラスを搭載するビタビ復号器において、ベリファイ時に実効的に拘束長の短いビタビ復号を実現することによって再生互換を保証する。
(課題2)記録密度の変化に従って,最短ラン長信号の分解能が変化し,例えゼロになった場合にも安定なクロック供給を実現し、かつ小規模な回路構成のPLLを提供する。
PRクラスによる2値化能力の違いを検討するため,前述のようにPR(1,2,1),PR(1,2,2,1),…というPR(1,2,…,2,1)系列に対して,再生ビットエラー率を測定した。
図4はPR(1,2,…,2,1)系列に対して,記録容量とビットエラー率の関係を示す測定結果である。この系列では,クラスビット数(拘束長)が5までの範囲で大きくなるとビットエラー率が低下するが,クラスビット数が6以上になると逆にビットエラー率が増大することが判った。クラスビット数が大き過ぎる場合には,独立な目標レベルの数が多くなり,2つのパスの間のユークリッド距離の差が実効的に小さくなって,例えば,アシンメトリや再生信号の振幅変動等に対する余裕が小さくなることが,再生能力の低下の要因と考えられる。この実験結果からでは,ビットエラー率が10-6よりも小さくさくなるため,例えば23.3GB容量におけるPR(1,2,1),PR(1,2,2,1),PR(1,2,2,2,1)の2値化能力の差が定量化できなかった。そこで,これらに着目してシミュレーションによってビットエラー率の差を評価した。
尚、本発明では、Blu-ray Discに用いられる最短ラン長が2Tのビタビ復号器を中心にして論旨を進めるので、特に断りのない限り最短ラン長は2Tである。また,主にAD変換後の信号を対象としているので、以下に於いては、特に断らない限り単に入力信号などと表現した場合、AD変換後のデータを指すものとする。ただし、文脈上明らかな場合はこの限りでない。
ベリファイ用に拘束長を実効的に変更するには、目標レベルが設定可能なビタビ復号器を用いる。図7は目標レベルが設定可能なビタビ復号器の構成を示す。デコードユニット10はアナログ等化器11,A/D変換器12,FIRフィルター13,ブランチ・メトリック演算ユニット14,ACS(Add Compare Select)ユニット15,パスメモリ16,及び目標レベルテーブル17から構成される。再生信号50はアナログ等化器11により等化処理とローパスフィルター処理がなされ, A/D変換器12によりディジタル値に変換される。これはFIRフィルター13よってデジタル的に等化処理されたのち,ブランチ・メトリック計算ユニット14内でビット列ごとに目標レベルとの2乗誤差値(ブランチ・メトリック値)が算出される。このとき目標レベルは目標レベル・テーブル17より指示される。ACSユニット15では,1時刻前のステート及び各ステートにおけるステート・メトリック値(ステートの遷移にともないブランチ・メトリック値を逐次加算して,かつ発散しないように処理したもの)に各ビット列に対応したブランチ・メトリック値を加える。このとき,現在の時刻のステートに至る遷移過程(通常は2つ,ランレングス制限により1つの場合もある)の中から,ステート・メトリック値の小さい方を選択する処理を行う。ステートとは1時刻の遷移に対して保存するビット列のことで,例えば拘束長が4のPRクラスの場合には,ビット列が4ビット,ステートが3ビットで表される。パス・メモリ16にはビット列ごとに複合された2値化結果が十分長い時刻分だけ保存されている。ACSユニット15は遷移過程の選択処理の時に,パス・メモリに蓄えられた情報をステート・メトリック値の選択結果に応じて再配列する。こうした処理を繰り返すことによって,パス・メモリ内の情報は次第に統合されて,十分長い時間後には,ビット列に依らず同じ値になる,所謂パス・マージが完結する。2値化結果51は時刻ごとにパス・メモリの終端から取り出された2値化情報である。目標レベル・テーブル17は,図示していないCPUからのプリセット値設定指令53を受けて,予め設定されたビット列ごとの目標レベル値が設定される。
こうした構成において,目標レベル・テーブルに設定する目標レベル値を変更することによって,実効的に拘束長が可変のビタビ復号器を実現することができる。
図8はPR(1,2,1)クラスの各ビット列に対する目標レベルをまとめたものであり,図9はPR(1,2,2,,2,1)クラスの各ビット列に対する目標レベルをまとめたものである。拘束長5のビタビデコーダでPR(1,2,1)を実効的に実現するために,新たにPR(0,0,1,2,1)クラスを定義することを考える。
実効的にPR(1,2,2,1)を実現する場合には,上と同様にPR(0,1,2,2,1)を用いればよい。図13はPR(1,2,2,1)クラスの各ビット列に対する目標レベルをまとめたものであり,図14はPR(0,1,2,2,1)クラスの各ビット列に対する目標レベルをまとめたものである。図15はPR(1,2,2,1)とPR(0,1,2,2,1)の違いをまとめたものである。ここで,注意すべき点がある。拘束長が奇数のクラスでは,データエッジに対して,サンプリング点(クロックエッジ)がクロック周期の1/2だけずれたものでなければならない。一方,拘束長が偶数のクラスでは,データエッジとサンプリング点は同期しなければならない。拘束長が5のPR(0,1,2,2,1)では,拘束長が偶数のPR(1,2,2,1)と同じ目標信号レベルとなるので,データエッジに同期したデータが必要である。これを解決するためには,PLLクロックの極性を反転する他に,FIRフィルターによって,クロック周期の1/2だけ位相シフトした等化をすることができる。前者の場合には少量でも回路の増加を招くが,後者の場合にはFIRフィルターのTap係数を設定するだけでよい。FIRフィルターによって,波形をクロック周期の略1/2だけ位相シフトさせるには,実効的なTap数が偶数になるようにし,Tap係数を左右対称な値にすればよい。簡単な例として,Tap数が3のFIRフィルターの場合係数列を(0.5,0.5,0)にすることによって実現できる。この場合,左右どちらかの端の係数をゼロにする必要があるため,実効的にFIRフィルターのTap数が1つ減るが,もとより高密度に対応したFIRフィルターを備えた光ディスク装置において,低密度のデータを記録しベリファイするときだけに使うのであるから,Tap数が1つ少なくなった影響は十分に小さいはずである。
以上,本発明の(課題1)を解決する手段を説明した。
最小ラン長信号の分解能が低下した場合,上に述べたように偽エッジの影響でPLLの動作が不安定になる。これを解決するには,最小ラン長信号の信号振幅を再生信号から読み取って,これ以下の振幅となる信号のエッジから位相誤差量を検出しない方式にすればよい。同時に,記録密度が低く最小ラン長信号の分解能が十分に大きな場合には,最小ラン長信号のエッジからも位相誤差量を検出した方が,PLLの動作が安定する。これに対応するためには,上の最小ラン長信号からの位相誤差量を検出する機能をON/OFF可能なものとして,高密度時にはOFF,低密度時にはONにするようにすればよい。このように、位相比較器のエッジ判別を行う機能と、ビタビ復号器の実効的な拘束長を切り替えることは、記録密度、再生またはベリファイ動作に応じて,行うことができる。
これにより(課題2)を解決することができた。
図中,モード切替指令9よりスイッチ8の動作が制御され,閾値に対する検出の有効・無効を切り替えることができる。モード切替え指令は,図示していいないCPUからの指示である。
尚、エッジ候補の信号列からその大きさを用いてエッジを判別する方式は、図16及び図17に示した以外にも複数の方式があり得る。例えば、符号判定に先にS(n)とS(n-1)の積を求め、その符号を用いるなどの変形が考えられる。また、図16及び図17の例では、単一の閾値を用いているが、プラス側とマイナス側で異なる閾値を用いてエッジ判定を行う方式も考えられる。これは、特に光ディスクの再生信号でしばしば観測される非対称性が存在する場合により的確なエッジ判定を行うのに有効である。
図24は本発明の光ディスク装置の構成を示す実施例である。光ディスク媒体100はモータ160により回転される。再生時にはCPU140によって指令された光強度になるようにレーザパワー/パルス制御器120が光ヘッド110内の半導体レーザ112に流す電流を制御してレーザ光114を発生させる。レーザ光114は対物レンズ111によって集光され光スポット101を光ディスク媒体100上に形成する。この光スポット101からの反射光115は対物レンズ111を介して,光検出器113で検出される。光検出器は複数に分割された光検出素子から構成されている。再生信号処理回路130は,光ヘッド110で検出された信号を用いて,光ディスク媒体100上に記録された情報を再生する。記録時には,レーザパワー/パルス制御器120は,所定の記録データを所定の記録パルス電流に変換して,パルス光が半導体レーザ112から出射されるように制御する。図1及び図23に示した本発明のデコーダ回路は再生信号処理回路130に内蔵される。こうした構成によって,異なる記録密度の光ディスクに対して,記録再生が可能で,かつ再生互換を保証する光ディスク装置を実現することができる。
2 閾値判定器
3 符号判定器
4 加算器
5 乗算器
6 減算器
7 閾値設定値
8 制御スイッチ
9 モード切替指令
10 ビタビコーダユニット
11 アナログ等化器
12 A/D変換器
13 FIRフィルター
14 PRMLデコーダ
30 PLL
40 デコーダ回路
50 再生信号
51 2値化データ列
52 クロック
100 光ディスク
101 光スポット
110 光ヘッド
111 対物レンズ
112 半導体レーザ
113 光検出器
120 レーザパワー/パルス制御器
130 再生信号処理回路
140 CPU
150 サーボ制御器
160 スピンドルモータ
170 インターフェース
180 ホストコンピュータ。
Claims (13)
- 記録密度が異なる光ディスク媒体に記録された情報の再生が可能で、ビタビ復号器を備えた光ディスク装置であって、
前記ビタビ復号器に備えられたデジタル方式のPLLと、
前記PLLに内蔵された位相比較器とを備え、
前記位相比較器が、入力信号列の各値を指定された閾値と比較することによりエッジ判別を行う手段を有することを特徴とする光ディスク装置。 - 前記エッジ判別は、複数の時刻における入力信号の大きさを用いて、行われることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
- 更に、前記閾値を自動的に変化させる手段を有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
- 更に、前記ビタビ復号器の復号結果から、前記閾値を決定する閾値算出器を備えていることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
- 更に、前記ビタビ復号器の復号結果と、入力信号レベルを参照して前記閾値を決定する閾値算出器を備えていることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
- 更に、前記閾値に対する検出の有効、無効を切替えるスイッチを有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
- 前記閾値は、単一の値であることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
- 前記閾値は、信号レベルがプラス側とマイナス側とで、異なる値であることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
- 記録密度が異なる光ディスク媒体に記録または/及び再生が可能で、ビタビ復号器を備えた光ディスク装置であって、
前記ビタビ復号器が実効的に拘束長を可変にする機能を有することを特徴とする光ディスク装置。 - 前記ビタビ復号器は、予め設定されたビット列毎の目標レベル値を設定する目標レベルテーブルを有し、前記拘束長の可変は、前記目標レベルテーブルに設定する目標レベル値を変更することによって行われることを特徴とする請求項5記載の光ディスク装置。
- 更に、PLL回路を有し、
前記拘束長が奇数のクラスと偶数のクラスとで、前記PLL回路からのPLLクロックの極性は反転することを特徴とする請求項5記載の光ディスク装置。 - 前記ビタビ復号器は、FIRフィルタを有し、
前記拘束長が奇数のクラスと偶数のクラスとで、前記FIRフィルタで、クロック周期の略1/2だけ位相シフトした等化を行うことを特徴とする請求項5記載の光ディスク装置。 - 記録密度が異なる光ディスク媒体に記録または/及び再生が可能で、ビタビ復号器を備えた光ディスク装置であって、
デジタル方式のPLLと、
前記PLLに内蔵する位相比較器とを備え、
前記位相比較器が、入力信号列の各値を指定された閾値と比較することによりエッジ判別を行う機能を有し、
かつ、前記ビタビ復号器が実効的に拘束長を可変にする機能を有し、
記録密度、再生またはベリファイ動作に応じて、前記位相比較器のエッジ判別を行う機能と前記ビタビ復号器の実効的な拘束長を切り替える手段を有することを特徴とする光ディスク装置。
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