JP2009199635A - 再生装置、再生方法、データ検出処理回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光ディスクから読み出された再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用HPF40を設け、指紋等の影響によるディフェクト信号成分が除去された再生情報信号を用いてPLL処理が行われるようにする。一方、二値化復号を行う信号処理部50及び復号部55で処理される再生情報信号については、ディフェクト信号成分を除去するフィルタ処理は行わない構成とする。つまりチャネルクロック生成やITR方式での位相制御情報生成のためのPLL処理に用いる信号のみに、ディフェクト信号成分が除去された再生情報信号を用いる。
【選択図】図2
Description
PRML方式はパーシャルレスポンスとビタビ復号を組み合わせた信号処理方式で、高い符号化利得が得られる。
例えばブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)等の高密度記録の光ディスクに対する再生装置では、光ディスクから反射光情報として読み出される再生情報信号に対する処理系として、PRML方式のデータ検出処理が行われている。
光学ピックアップによって光ディスクから読み出され、電気信号とされた再生情報信号は、例えばHPF(ハイパスフィルタ)101で低域成分の除去(いわゆるDCカット)が行われた後、A/D変換器102でデジタルデータに変換される。そしてAGC(Automatic Gain Control)回路103により振幅を自動調整され、波形等化器104によりパーシャルレスポンス波形等化される。
そしてこの波形等化された信号がビタビ復号器105で最尤復号処理され、その復号結果として2値化されたチャネルデータが出力される。
このチャネルデータが、図示しない後段のデータデコーダに供給され、復調処理されることで再生データが得られる。
PLL回路106は、例えばVCO(電圧制御発振器)111、位相比較器112、ループフィルタ113、D/A変換器114を有する。
位相比較器112は、例えば波形等化器104の出力段階での再生情報信号と、VCO111の出力とについて位相比較を行う。この位相比較結果がループフィルタ113に与えられて位相誤差信号とされ、D/A変換器114でアナログ信号に変換される。即ち位相差信号としての電圧がVCO111に供給される。
VCO111には、水晶系の固定の基準クロックが供給されており、D/A変換器114から入力される位相誤差電圧に応じて、基準クロックの周波数を上下に可変して出力する。この結果、出力されるチャネルクロックは、再生情報信号に同期したクロックとなり、このチャネルクロックがA/D変換器102のサンプリングクロック、波形等化器104,ビタビ復号器105の処理基準クロックとして用いられる。
ITR方式を採用する場合の構成を図8に示す。
この場合、A/D変換器102でのサンプリングは、周波数シンセサイザ109から出力される固定クロックを用いて行われる。周波数シンセサイザ109は、例えば水晶系の基準クロックを用いて、基準クロックより多少高めの周波数の固定クロックを出力する。
HPF101、A/D変換器102、AGC回路103、波形等化器104でそれぞれ処理された再生情報信号は、位相補間器108で補間処理されることで、適切なタイミングのデータ、つまり再生情報信号としての適切な信号値のデータが得られ、これがビタビ復号器105で復号されて2値化データ(チャネルデータ)が得られる。
この場合、ITR−PLL回路107が設けられており、このITR−PLL回路107は、例えばビタビ復号器105の入力段のデータについて、本来の位相との位相誤差検出を行う。そしてその位相誤差に応じて位相制御信号を生成し、位相補間器108に与える。位相補間器108は、位相制御情報に基づいて補間処理を行う。
A/D変換器102のサンプリングクロックは固定クロックであり、再生情報信号とは同期していないため、再生情報信号の各データ値は、同期タイミングからずれたタイミングでの信号値となっているが、この位相補間器108で、同期タイミングにおける信号値を補間生成することで、結果として再生情報信号に同期したタイミングのデータが得られる。これによって、ビタビ復号器105で適切な復号処理が行われる。
光ディスクの記録面側に指紋が付着すると、その領域で再生光ならびに記録光が散乱し減衰するため、再生信号品質ならびに記録信号品質が著しく悪化し、最悪の場合その領域の再生が不可能になってしまう問題がある。
なお指紋以外にも、埃、傷、汚れその他多様な原因があるが、本明細書では、これらの指紋等をまとめて「ディフェクト」と呼び、そのディフェクトの影響で現れる信号成分をディフェクト信号成分と呼ぶこととする。
つまり、HPF101により再生情報信号の低域変動を除去することで、再生情報信号のセンターレベルのオフセットを除去する。そしてAGC回路103で、振幅調整(振幅レベルに応じたゲイン付与)を行って、ディフェクトの影響を排除した再生信号波形を得る。このようにディフェクトの影響を除去した後、波形等化器104、ビタビ復号器105の処理で2値データ列を得る。
ところが、HPF101やAGC回路103の周波数帯域を高めると、ディスクへの記録信号(実再生情報としての信号成分)自体の周波数帯域と重なることになり、非ディフェクト領域も含め再生信号自体を歪ませてしまうことになり、再生性能を悪化させてしまうという問題が生じた。
一方、AGC回路103の帯域やHPF101のカットオフ周波数を下げると、再生特性は良くなるが信号レベル変動が抑えられず、耐ディフェクト性が弱くなってしまう。
これらの性能を両立させる適当な帯域が十分あれば問題ないが、ブルーレイディスクなどの記録密度が高い光ディスクではこの帯域が狭くなる傾向にあり、結局、耐ディフェクト性と再生特性の両立は困難となっている。
また上記PLL回路部は、位相比較器と電圧制御発振器を有しており、上記PLL処理として、上記位相比較器により上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号と上記電圧制御発振器の出力信号との位相比較を行い、上記電圧制御発振器が位相比較結果に基づいて周波数信号の出力を行うものとされ、上記信号処理部及び上記復号部は、上記PLL回路部から出力される周波数信号を処理クロックとして用いる構成とする。
或いは、上記PLL回路部は、位相検出器と数値制御発振器を有しており、上記PLL処理として、上記位相検出器により上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号についての位相誤差の検出を行い、上記数値制御発振器が位相誤差の検出結果に基づいて位相制御情報を出力するものとされ、上記信号処理部は、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号を固定周波数クロックでサンプリングしたデータに対して、上記位相制御情報を用いて補間処理を行い、上記復号用のデータを得る構成とする。
また上記信号処理部には、上記再生ヘッド部で得られる再生情報信号のうちで実情報としての信号帯域を通過させるようにカットオフ周波数が設定された信号処理用フィルタ部が設けられているものとする。
一方で、二値化復号を行う信号処理部及び復号部で処理される再生情報信号については、ディフェクト信号成分を除去するフィルタ処理は行わない構成とする。
つまり従来では、チャネルクロック生成やITR方式での位相制御情報生成のためのPLL処理に用いる信号と、二値化復号のための信号検出を行う信号は、同じフィルタ処理が行われた再生情報信号が用いられていたが、本発明の場合は、チャネルクロック生成やITR方式での位相制御情報生成のためのPLL処理に用いる信号のみに、ディフェクト信号成分が除去された再生情報信号を用いるようにする。
二値化復号を行う再生情報信号については、ディフェクト信号成分除去のためのフィルタ処理は行わないため、ディフェクト信号成分帯域と実信号帯域(記録信号帯域)が一部重なっていても、その実信号成分をカットしてしまうことはない。
これによって、ディフェクトの影響で再生情報信号の品質が劣化してもPLL回路部を安定に動作させることができ、その結果としてディフェクトがあっても信号検出能力を高められるという効果がある。
また二値化復号を行う再生情報信号については、ディフェクト信号成分除去のためのフィルタ処理は行わず、従って実信号成分は保たれていることで、ディフェクトがない領域で再生特性が悪化するということがない。
従って、上記PLL回路の安定動作と合わせて、耐ディフェクト性と再生特性の両立が実現できる。
[1.ディスクドライブ装置の構成]
[2.データ検出処理部の第1の構成例(PLL回路搭載例)]
[3.データ検出処理部の第2の構成例(ITR−PLL回路搭載例)]
[4.実施の形態の効果]
本実施の形態のディスクドライブ装置は、例えばブルーレイディスクに該当する再生専用ディスクや記録可能型ディスク(ライトワンスディスクやリライタブルディスク)に対応して再生や記録を行うことができるものとする。
記録可能型ディスクの場合、波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)とNAが0.85の対物レンズの組み合わせという条件下でフェイズチェンジマーク(相変化マーク)や色素変化マークの記録再生を行うものとされ、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitで、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位(RUB:Recording Unit Block)として記録再生を行う。
ROMディスクについては、λ/4程度の深さのエンボスピットにより再生専用のデータが記録される。同様にトラックピッチは0.32μm、線密度は0.12μm/bitである。そして64KBのデータブロックを1つの再生単位(RUB)として扱う。
なお、記録可能型ディスクの場合、ディスク上にはグルーブ(溝)が蛇行(ウォブリング)されて形成され、このウォブリンググルーブが記録再生トラックとされる。そしてグルーブのウォブリングは、いわゆるADIP(Address in Pregroove)データを含むものとされる。つまりグルーブのウォブリング情報を検出することで、ディスク上のアドレスを得ることができるようにされている。
チャネルクロック周期を「T」とすると、マーク長は2Tから8Tとなる。
再生専用ディスクの場合、グルーブは形成されないが、同様にRLL(1,7)PP変調方式で変調されたデータがエンボスピット列として記録されているものとなる。
ディスク90は、例えば上記したブルーレイディスク方式の再生専用ディスク或いは記録可能型ディスクである。
このディスク90は、ディスクドライブ装置に装填されると図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ2によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして再生時には光学ピックアップ(光学ヘッド)1によってディスク90上のトラックに記録されたマーク(ピット)の情報の読出が行われる。
またディスク90が記録可能型のディスクの場合、データ記録時には光学ピックアップ1によってディスク90上のトラックにユーザーデータがフェイズチェンジマークもしくは色素変化マークとして記録される。
なお、ディスク90上には、再生専用の管理情報として例えばディスクの物理情報等がエンボスピット又はウォブリンググルーブによって記録されるが、これらの情報の読出もピックアップ1により行われる。さらに記録可能型のディスク90に対しては、光学ピックアップ1によってディスク90上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しもおこなわれる。
ピックアップ1内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ1全体はスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ1におけるレーザダイオードはレーザドライバ13からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
マトリクス回路4には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する再生情報信号(RF信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
マトリクス回路4から出力される再生情報信号はデータ検出処理部5へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号は光学ブロックサーボ回路11へ、プッシュプル信号はウォブル信号処理回路15へ、それぞれ供給される。
例えばデータ検出処理部5では、RF信号のA/D変換処理、PLLによる再生クロック生成処理、PR(Partial Response)等化処理、ビタビ復号(最尤復号)等を行い、パーシャルレスポンス最尤復号処理(PRML検出方式:Partial Response Maximum Likelihood検出方式)により、2値データ列を得る。
なおデータ検出処理部5は例えば図2に示す構成とされるが、このデータ検出処理部5について詳しくは後述する。
なお、パーシャルレスポンス系列とは、ビット系列にターゲットレスポンスで定義される重みつき加算を施すことで得られる。光ディスクシステムでは、例えばPR(1,2,2,1)などが用いられ、これはビット系列に1,2,2,1の重みをつけて加算した値をパーシャルレスポンス値として返すものである。
パーシャルレスポンスは、1ビットの入力に対して、1ビットよりも長く出力を返す過程であって、再生信号が、連続する4ビットの情報ビットの入力に対してこれらを順に1、2、2、1を乗じて加算した信号として得られる過程が、上記のPR(1,2,2,1)と表現される。
また、最尤検出とは、2つの信号の間にユークリッド距離とよばれる距離を定義して、実際の信号と想定されるビット系列から予想される信号との間の距離を調べて、その距離が最も近くなるようなビット系列を検出する方法である。なお、ここで、ユークリッド距離とは、同じ時刻での2つの信号の振幅差の二乗を全時刻にわたって加算した距離として定義される距離である。また、この距離を最小とするビット系列の探索にはビタビ検出をもちいる。
これらを組み合わせたパーシャルレスポンス最尤検出では、記録媒体のビット情報から得られた信号をイコライザ(波形等化器)とよばれるフィルタでパーシャルレスポンスの過程となるように調整し、得られた再生信号と想定されるビット系列のパーシャルレスポンスとの間のユークリッド距離を調べて、その距離が最も近くなるようなビット系列を検出する。
実際にユークリッド距離が最小となるビット系列を探索するには、前述のビタビ検出によるアルゴリズムが効果を発揮する。
ビタビ検出は、所定の長さの連続ビットを単位として構成される複数のステートと、それらの間の遷移によって表されるブランチで構成されるビタビ検出器が用いられ、全ての可能なビット系列の中から、効率よく所望のビット系列を検出するように構成されている。
再生時においては、上記データ検出処理部5で復号された2値データ列がエンコード/デコード部7に供給される。エンコード/デコード部7では上記2値データ列に対する復調処理を行い、ディスク90からの再生データを得る。即ち、即ちRLL(1,7)PP変調が施されてディスク90に記録されたデータに対しての復調処理と、エラー訂正を行うECCデコード処理を行って、ディスク90からの再生データを得る。
エンコード/デコード部7で再生データにまでデコードされたデータは、ホストインターフェース8に転送され、システムコントローラ10の指示に基づいてホスト機器100に転送される。ホスト機器100とは、例えばコンピュータ装置やAV(Audio-Visual)システム機器などである。
即ちグルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル信号処理回路6においてデジタル化されたウォブルデータとされる。またPLL処理によりプッシュプル信号に同期したクロックが生成される。
ウォブルデータはADIP復調回路16でMSK復調、STW復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ9に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
この場合エンコード/デコード部7は、記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加(ECCエンコード)やインターリーブ、サブコードの付加等を行う。またこれらの処理を施したデータに対して、RLL(1−7)PP方式の変調を施す。
そしてレーザドライバ13は、記録補償処理したレーザドライブパルスをピックアップ1内のレーザダイオードに与えてレーザ発光駆動を実行させる。これによりディスク90に記録データに応じたマークが形成されることになる。
なお、レーザドライバ13は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、ピックアップ1内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニタしながらレーザの出力が温度などによらず一定になるように制御する。記録時及び再生時のレーザ出力の目標値はシステムコントローラ10から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、二軸ドライバ18によりピックアップ1内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ1、マトリクス回路4、光学ブロックサーボ回路11、二軸ドライバ18、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
また光学ブロックサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
また光学ブロックサーボ回路11は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッドドライバ19によりスレッド機構3を駆動する。スレッド機構3には、図示しないが、ピックアップ1を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ1の所要のスライド移動が行なわれる。
スピンドルサーボ回路12は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、データ信号処理回路5内のPLLによって生成される再生クロックが、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルドライバ17によりスピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
システムコントローラ10は、ホストインターフェース8を介して与えられるホスト機器100からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えばホスト機器100から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ1を移動させる。そしてエンコード/デコード部7により、ホスト機器100から転送されてきたデータ(例えばビデオデータやオーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにエンコードされたデータに応じてレーザドライバ13がレーザ発光駆動することで記録が実行される。
その後、その指示されたデータ区間のデータをホスト機器100に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク90からのデータ読出を行い、データ検出処理部5、エンコード/デコード部7における再生処理を実行させ、要求されたデータを転送する。
もちろんディスクドライブ装置の構成例としては他にも多様に考えられ、例えば再生専用装置としての例も考えられる。
例えばこのようなディスクドライブ装置を想定した場合において、実施の形態としての特徴的な構成及び動作を説明していく。即ちディスク90に付着した指紋等のディフェクトによる影響に対して適切に対処し、かつ非ディフェクト領域についての信号再生特性を劣化させないようにする構成及び動作である。
また信号処理部50は、HPF(ハイパスフィルタ)51(以下「信号処理用HPF」という)、A/D変換器52、AGC回路53、波形等化器54を有する。
この信号処理用HPF51は、通常のディスク再生時に1周内でみられる低周波変動や再生光からのRF信号検出過程で生じるオフセット成分の除去を目的とするものであり、再生情報信号の再生特性が劣化されない程度のカットオフ周波数に設定されている。例えばブルーレイディスクの1倍速再生時では約1kHz〜10kHz程度の範囲内でカットオフ周波数が設定される。
なお、指紋等によるディフェクト信号成分の帯域は、例えば60kHz程度のより高い帯域でもパワーを持っており、そのディフェクト信号成分がこの信号処理用HPF51で除去されるものではない。
再生情報信号は、この信号処理用HPF51により低域成分が除去された後、A/D変換器52によってデジタルデータに変換される。
そしてこの波形等化された再生情報信号がビタビ復号器55で最尤復号処理され、その復号結果として2値化されたチャネルデータが出力される。
このチャネルデータが、図1のエンコード/デコード部7に供給され、上述のように復調処理されることで再生データが得られることになる。
このPLL回路30には、波形等化器54の出力段階の再生情報信号が、PLL処理用HPF40でフィルタ処理された上で入力される。
PLL処理用HPF40は、上記の信号処理用HPF51よりも高いカットオフ周波数とされる。このPLL処理用HPF40は、再生情報信号におけるディフェクト信号成分による信号レベル変動を除去する目的で設けられており、具体的には、カットオフ周波数は、ブルーレイディスクの1倍速再生時では10kHz〜100kHz程度の範囲内で設定される。
このPLL処理用HPF40により、指紋等のディフェクト信号成分が除去された再生情報信号は、PLL回路30に入力されることになる。
位相比較器32は、PLL処理用HPF40を介して入力される再生情報信号と、VCO31の出力とについて位相比較を行う。この位相比較結果がループフィルタ33に与えられて位相誤差信号とされ、D/A変換器34でアナログ信号に変換される。そして位相差信号としてのアナログ信号電圧がVCO31に供給される。
VCO31には、水晶系の固定の基準クロック(例えば66MHz)が供給されており、D/A変換器34から入力される位相誤差電圧に応じて、基準クロックの周波数を上下に可変して出力する。この結果、出力されるチャネルクロックは、再生情報信号に同期したクロックとなり、このチャネルクロックがA/D変換器52のサンプリングクロック、波形等化器54,ビタビ復号器55の処理基準クロックとして用いられる。
即ち、まず光ディスクに対してレーザ照射を行い、反射光信号としての再生情報信号を得る光ピックアップ1及びマトリクス回路4で得られる再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用HPF40を備える。このPLL処理用HPF40には、信号処理部50での処理後(波形等化器54の出力段)の再生情報信号が入力される。
また、PLL処理用HPF40を通過した再生情報信号を用いてPLL処理を行うPLL回路30を備える。このPLL回路30は、位相比較器32とVCO31を有しており、PLL処理として、位相比較器32によりPLL処理用HPF40を通過した再生情報信号とVCO31の出力信号との位相比較を行い、VCO31が位相比較結果に基づいて周波数信号(チャネルクロック)の出力を行うものとされている。信号処理部50及びビタビ復号器55は、PLL回路30から出力されるチャネルクロックを処理クロックとして用いる。
また信号処理部50は、PLL処理用HPF40を通過していない再生情報信号に対して、PLL回路30の出力を用いた処理を行って復号用のデータ(波形等化後のデータ)を得る。なお、信号処理部50には、再生情報信号のうちで実情報としての信号帯域を通過させるようにカットオフ周波数が設定された信号処理用HPF51が設けられている。
ビタビ復号器55は、信号処理部50の出力について復号処理を行って2値化データを出力する。
データ検出処理部5がこのように構成され、ディスクドライブ装置としては、このデータ検出処理部5のビタビ復号器55で得られた2値化データに対して、エンコード/デコード部7でデータ再生処理を行って再生データを得るものとされる。
一方で、二値化復号を行う信号処理部50及びビタビ復号器55で処理される再生情報信号については、ディフェクト信号成分を除去するフィルタ処理は行われていない。上述のように信号処理用HPF51は、ディフェクト信号成分の除去を目的としてカットオフ周波数が設定されるものではなく、例えば10kHz以下のカットオフ周波数で再生情報信号の低域変動を抑えるものである。
ブルーレイディスクの場合、図9で述べたように、指紋等によるディフェクト信号成分帯域と実信号帯域(記録信号帯域)が一部重なっているが、信号処理用HPF51は実信号帯域の低域側を除去するものではない。
つまり、ディフェクト信号の影響がある期間の再生情報信号に対する処理について、信号処理部50及びビタビ復号器55では安定したチャネルクロックを用いて処理を実行でき、これによって、2値化復号処理性能を向上させることができる。
結果として本例では、耐ディフェクト性能と復号性能(再生特性)の向上を両立できることになる。
各例は、PLL処理用HPF40に入力する再生情報信号を取り出す部位を変えたものである。
図3では、信号処理用HPF51と並列にPLL処理用HPF40を配置し、信号処理部50の入力前の再生情報信号が、PLL処理用HPF40を介してPLL回路30に供給されるようにしたものである。
また図4は、信号処理部50での処理過程の再生情報信号として、AGC回路53の出力段の再生情報信号が、PLL処理用HPF40を介してPLL回路30に供給されるようにしたものである。
このほかにも図示しないが、例えば信号処理用HPF51の出力段の再生情報信号が、PLL処理用HPF40を介してPLL回路30に供給されるようにしたり、さらにはA/D変換器52の出力段の出力段の再生情報信号が、PLL処理用HPF40を介してPLL回路30に供給されるようにする構成例も考えられる。
なお、高域信号成分のパワーが小さいと、位相比較器32での適切な位相比較ができない場合がある。そのような場合は、PLL処理用HPF40の前段に高域をブーストするブースト回路を配置するとようにするとよい。
続いて第2の構成例として、ITR−PLL回路搭載したデータ検出処理部5について説明する。
図5にデータ検出処理部5の構成を示す。なお、図2と同一部分は同一符号を付している。
そして位相補間器57の出力が、復号用のデータとしてビタビ復号器55に供給される構成となる。
またPLL処理用HPF40、及びITR方式のPLL処理を行うITR−PLL回路60が設けられる。
A/D変換器52では、サンプリングクロックとして、再生情報信号とは非同期である、周波数シンセサイザ58からの固定クロックが用いられる。
また、この固定クロックは、波形等化器54、位相補間器57、ビタビ復号器55、ITR−PLL回路60において処理基準クロックとして用いられる。
仮検出回路61は、PLL処理用HPF40を介して供給される再生情報信号としてのデータ(この場合、位相補間器57での補間処理後のデータ)について、所定のスレッショルド値との比較を行って2値化を行う。
2値化によって位相情報は無くなるが、この2値化データと、PLL処理用HPF40を介して供給される再生情報信号としての連続的なデータとを位相検出器62で比較し、位相誤差を検出する。つまり本来のサンプリング位相に対して生じている位相誤差を検出する。
検出された位相誤差の情報はループフィルタ63を介してNCO64に与えられ、NCO64は位相誤差値に応じた位相制御情報を位相補間器57に出力する。
位相補間器57は、位相誤差情報に応じた補間処理を行うことで、上記のように再生情報信号の本来のタイミングのデータを生成し、これをビタビ復号器55に供給する。
これに対して、PLL処理用HPF40は、そのカットオフ周波数が、ブルーレイディスクの1倍速再生時では10kHz〜100kHz程度の範囲内で設定される。つまり、PLL処理用HPF40により、指紋等のディフェクト信号成分が除去された再生情報信号がITR−PLL回路60に入力されることになる。
また、信号処理部50及びビタビ復号器55で処理される再生情報信号は、ディフェクト信号成分を除去するようなフィルタ処理は行われていないため、ディフェクト信号の影響がない信号期間での再生能力も向上されることになる。
結果として本例でも、耐ディフェクト性能と復号性能(再生特性)の向上を両立できることになる。
以上説明したように、実施の形態のデータ検出処理部5としての各構成及び動作によれば、再生情報信号を用いたPLL処理の出力(クロックや位相制御信号)を用いて信号検出・2値化を行う回路において、PLL回路部(PLL回路30、ITR−PLL回路60)に入力される再生情報信号についてPLL処理用HPF40により光ディスクの信号読み取り面側に付着した指紋等によるディフェクトで信号変動する成分を除去している。
これによって、ディフェクトの影響で再生情報信号の品質が劣化してもPLL回路部を安定に動作させることができ、その結果としてディフェクトがあっても信号検出能力を高められるという効果がある。
また二値化復号を行う再生情報信号については、より低域の信号変動を信号処理用HPF51で除去するのみであって、ディフェクト信号成分除去のためのフィルタ処理は行わない。従って実信号成分は保たれており、ディフェクトがない領域で再生特性が悪化するということがない。
これにより、耐ディフェクト性と再生特性の両立が実現できる。
この実験では、ディスク90上の指紋付着箇所を含む領域を連続的に記録再生し、シンボルエラーレートを測定した。図6(a)(b)(c)(d)の横軸はディスク上のアドレス、縦軸はエラーレートを示しており、アドレス順となる各ECCブロック単位でシンボルエラーレートを測定した。
なお図6(a)(b)(c)(d)は、それぞれPLL処理用HPF40のカットオフ周波数を、1.6kHz、16kHz、28kHz、59kHzとした場合を示している。
ところが、カットオフ周波数を28kHz、59kHzとした図6(c)(d)の場合は、エラーレートの向上が極めて明瞭に表れている。つまりPLL処理用HPF40のカットオフ周波数を、ディフェクト信号成分をカットできる適切な周波数に設定することで、指紋付着によるディフェクト部分も、それ以外の非ディフェクト部分も、十分な再生性能が得られることが確認された。
本発明の再生装置としては、ブルーレイディスクに対応するディスクドライブ装置の他、他の各種の光ディスクについて再生を行う装置に広く適用できる。
もちろん、本発明を適用する再生装置が対応するディスクメディアの種別、n倍速再生の実行などにより、PLL処理用HPF40、信号処理用HPF51のカットオフ周波数はそれぞれ適切に変更することはいうまでもない。
いずれにしても、PLL処理用HPF40については、再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定され、一方信号処理用HPF51については、実信号成分を除去しないカットオフ周波数が設定されればよい。
Claims (7)
- 光ディスクに対してレーザ照射を行い、反射光信号としての再生情報信号を得る再生ヘッド部と、
上記再生ヘッド部で得られる再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部と、
上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL処理を行うPLL回路部と、
上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理部と、
上記信号処理部の出力について復号処理を行って2値化データを出力する復号部と、
上記復号部で得られた2値化データに対してデータ再生処理を行って再生データを得るデータ再生処理部と、
を備えることを特徴とする再生装置。 - 上記PLL処理用フィルタ部には、上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記信号処理部への入力前の再生情報信号、又は上記信号処理部での処理過程の再生情報信号、又は上記信号処理部での処理後の再生情報信号のいずれかが、入力されることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
- 上記PLL回路部は、位相比較器と電圧制御発振器を有しており、上記PLL処理として、上記位相比較器により上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号と上記電圧制御発振器の出力信号との位相比較を行い、上記電圧制御発振器が位相比較結果に基づいて周波数信号の出力を行うものとされ、
上記信号処理部及び上記復号部は、上記PLL回路部から出力される周波数信号を処理クロックとして用いることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。 - 上記PLL回路部は、位相検出器と数値制御発振器を有しており、上記PLL処理として、上記位相検出器により上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号についての位相誤差の検出を行い、上記数値制御発振器が位相誤差の検出結果に基づいて位相制御情報を出力するものとされ、
上記信号処理部は、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号を固定周波数クロックでサンプリングしたデータに対して、上記位相制御情報を用いて補間処理を行い、上記復号用のデータを得ることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。 - 上記信号処理部には、上記再生ヘッド部で得られる再生情報信号のうちで実情報としての信号帯域を通過させるようにカットオフ周波数が設定された信号処理用フィルタ部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
- 光ディスクから読み出された再生情報信号について、ディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部でフィルタ処理を行うステップと、
上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL回路部でPLL処理を行うステップと、
光ディスクから読み出された再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理ステップと、
上記信号処理ステップで得られた出力について復号処理を行って2値化データを出力するステップと、
上記復号処理で得られた2値化データに対してデータ再生処理を行って再生データを得るステップと、
を備えることを特徴とする再生方法。 - 光ディスクから読み出された再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部と、
上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL処理を行うPLL回路部と、
上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理部と、
上記信号処理部の出力について復号処理を行って2値化データを出力する復号部と、
を備えたことを特徴とするデータ検出処理回路。
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