JP2009199635A - 再生装置、再生方法、データ検出処理回路 - Google Patents

再生装置、再生方法、データ検出処理回路 Download PDF

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Abstract

【課題】耐ディフェクト性と再生特性の両立
【解決手段】光ディスクから読み出された再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用HPF40を設け、指紋等の影響によるディフェクト信号成分が除去された再生情報信号を用いてPLL処理が行われるようにする。一方、二値化復号を行う信号処理部50及び復号部55で処理される再生情報信号については、ディフェクト信号成分を除去するフィルタ処理は行わない構成とする。つまりチャネルクロック生成やITR方式での位相制御情報生成のためのPLL処理に用いる信号のみに、ディフェクト信号成分が除去された再生情報信号を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光ディスクに対する再生装置、再生方法、及び再生装置に搭載されるデータ検出処理回路に関する。
特開2006−114074号公報 特開2005−285293号公報 特開2006−120255号公報 国際公開第01/052249号パンフレット 特開2002−288839号公報 特開2003−132533号公報 特開2002−123945号公報 特開2003−30849号公報
近年、符号化および信号処理技術によって磁気ディスクや光ディスクの記録密度を高めようとするPRML(Partial-Response Maximum-Likelihood)方式の実用化が進んでいる。
PRML方式はパーシャルレスポンスとビタビ復号を組み合わせた信号処理方式で、高い符号化利得が得られる。
例えばブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)等の高密度記録の光ディスクに対する再生装置では、光ディスクから反射光情報として読み出される再生情報信号に対する処理系として、PRML方式のデータ検出処理が行われている。
再生装置に搭載される、PRML方式を用いたデータ検出処理回路系を図7に示す。
光学ピックアップによって光ディスクから読み出され、電気信号とされた再生情報信号は、例えばHPF(ハイパスフィルタ)101で低域成分の除去(いわゆるDCカット)が行われた後、A/D変換器102でデジタルデータに変換される。そしてAGC(Automatic Gain Control)回路103により振幅を自動調整され、波形等化器104によりパーシャルレスポンス波形等化される。
そしてこの波形等化された信号がビタビ復号器105で最尤復号処理され、その復号結果として2値化されたチャネルデータが出力される。
このチャネルデータが、図示しない後段のデータデコーダに供給され、復調処理されることで再生データが得られる。
ここで、A/D変換器102のサンプリングクロックや、波形等化器104,ビタビ復号器105の処理基準クロックとしては、再生情報信号に同期したチャネルクロックが必要であるが、このためにPLL(Phase Locked Loop)回路106が設けられる。
PLL回路106は、例えばVCO(電圧制御発振器)111、位相比較器112、ループフィルタ113、D/A変換器114を有する。
位相比較器112は、例えば波形等化器104の出力段階での再生情報信号と、VCO111の出力とについて位相比較を行う。この位相比較結果がループフィルタ113に与えられて位相誤差信号とされ、D/A変換器114でアナログ信号に変換される。即ち位相差信号としての電圧がVCO111に供給される。
VCO111には、水晶系の固定の基準クロックが供給されており、D/A変換器114から入力される位相誤差電圧に応じて、基準クロックの周波数を上下に可変して出力する。この結果、出力されるチャネルクロックは、再生情報信号に同期したクロックとなり、このチャネルクロックがA/D変換器102のサンプリングクロック、波形等化器104,ビタビ復号器105の処理基準クロックとして用いられる。
また近年では、固定クロックで再生情報信号を標本化したデータを補間することで、タイミングリカバリを行い、同期回路を構成する方式(ITR:Interpolated Timing Recovery)も提案されている。
ITR方式を採用する場合の構成を図8に示す。
この場合、A/D変換器102でのサンプリングは、周波数シンセサイザ109から出力される固定クロックを用いて行われる。周波数シンセサイザ109は、例えば水晶系の基準クロックを用いて、基準クロックより多少高めの周波数の固定クロックを出力する。
HPF101、A/D変換器102、AGC回路103、波形等化器104でそれぞれ処理された再生情報信号は、位相補間器108で補間処理されることで、適切なタイミングのデータ、つまり再生情報信号としての適切な信号値のデータが得られ、これがビタビ復号器105で復号されて2値化データ(チャネルデータ)が得られる。
この場合、ITR−PLL回路107が設けられており、このITR−PLL回路107は、例えばビタビ復号器105の入力段のデータについて、本来の位相との位相誤差検出を行う。そしてその位相誤差に応じて位相制御信号を生成し、位相補間器108に与える。位相補間器108は、位相制御情報に基づいて補間処理を行う。
A/D変換器102のサンプリングクロックは固定クロックであり、再生情報信号とは同期していないため、再生情報信号の各データ値は、同期タイミングからずれたタイミングでの信号値となっているが、この位相補間器108で、同期タイミングにおける信号値を補間生成することで、結果として再生情報信号に同期したタイミングのデータが得られる。これによって、ビタビ復号器105で適切な復号処理が行われる。
ところで、例えばブルーレイディスク等の光ディスクであって、カートリッジに収納されないタイプのいわゆるベアディスクでは、取り扱い時に記録面に指紋が付着してしまうことが多々ある。
光ディスクの記録面側に指紋が付着すると、その領域で再生光ならびに記録光が散乱し減衰するため、再生信号品質ならびに記録信号品質が著しく悪化し、最悪の場合その領域の再生が不可能になってしまう問題がある。
なお指紋以外にも、埃、傷、汚れその他多様な原因があるが、本明細書では、これらの指紋等をまとめて「ディフェクト」と呼び、そのディフェクトの影響で現れる信号成分をディフェクト信号成分と呼ぶこととする。
従来、指紋等によるディフェクトにより再生情報信号が劣化した場合に生じる信号レベルの変動に対しては、AGC回路103が持つ時定数や、HPF101のカットオフ周波数で補償していた。
つまり、HPF101により再生情報信号の低域変動を除去することで、再生情報信号のセンターレベルのオフセットを除去する。そしてAGC回路103で、振幅調整(振幅レベルに応じたゲイン付与)を行って、ディフェクトの影響を排除した再生信号波形を得る。このようにディフェクトの影響を除去した後、波形等化器104、ビタビ復号器105の処理で2値データ列を得る。
但し、指紋付着等による再生情報信号の変動は、通常のディスク再生時に1周内でみられる信号変動よりも高い周波数帯域で発生する。このため、上記のような回路で耐ディフェクト性能の向上を図る場合、HPF101及びAGC回路103を、通常のディスク1周内変動を想定した周波数帯域よりも、より高い周波数帯域まで機能するものとしている。
ところが、HPF101やAGC回路103の周波数帯域を高めると、ディスクへの記録信号(実再生情報としての信号成分)自体の周波数帯域と重なることになり、非ディフェクト領域も含め再生信号自体を歪ませてしまうことになり、再生性能を悪化させてしまうという問題が生じた。
実際、ブルーレイディスクの1倍速再生時に典型的な指紋付着部の再生信号の変動成分を効果的に低減しようとした場合、HPF101やAGC回路103の周波数帯域の上限を60〜600KHz程度に設定する必要がある。ところが、これはブルーレイディスクで採用されているRLL(1−7)pp変調方式による記録信号の低域側スペクトラムと重複している。図9には、RLL(1−7)pp変調方式による記録信号の周波数スペクトラムと、指紋が外乱として影響する帯域を示しているが、図示するように、信号帯域の低域側は、指紋による変動成分の帯域と重複する。
このため、HPF101やAGC回路103を、指紋の影響を的確に排除するために周波数帯域の上限を60〜600KHz程度とすると、この帯域の本来の再生信号成分自体までもが、HPF101やAGC回路103により変調を受けてしまうことになり、これによって、ジッタやエラーレートなどの信号品質指標でも検出されるような無視できない信号品質の悪化がおきてしまう。
以上のことをまとめると、AGC回路103の帯域やHPF101のカットオフ周波数上げると信号レベル変動が抑えられるのでディフェクトには強くなるが、ディスクへの記録信号自体の周波数帯域と重なることになり、非ディフェクト領域も含め再生信号自体を歪ませてしまうことになり、再生特性を悪化させてしまう。
一方、AGC回路103の帯域やHPF101のカットオフ周波数を下げると、再生特性は良くなるが信号レベル変動が抑えられず、耐ディフェクト性が弱くなってしまう。
これらの性能を両立させる適当な帯域が十分あれば問題ないが、ブルーレイディスクなどの記録密度が高い光ディスクではこの帯域が狭くなる傾向にあり、結局、耐ディフェクト性と再生特性の両立は困難となっている。
そこで本発明では、新規な回路構成を提案し、耐ディフェクト性と再生特性の両立を実現することを目的とする。
本発明の再生装置は、光ディスクに対してレーザ照射を行い、反射光信号としての再生情報信号を得る再生ヘッド部と、上記再生ヘッド部で得られる再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部と、上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL処理を行うPLL回路部と、上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理部と、上記信号処理部の出力について復号処理を行って2値化データを出力する復号部と、上記復号部で得られた2値化データに対してデータ再生処理を行って再生データを得るデータ再生処理部とを備える。
また上記PLL処理用フィルタ部には、上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記信号処理部への入力前の再生情報信号、又は上記信号処理部での処理過程の再生情報信号、又は上記信号処理部での処理後の再生情報信号のいずれかが、入力されるようにする。
また上記PLL回路部は、位相比較器と電圧制御発振器を有しており、上記PLL処理として、上記位相比較器により上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号と上記電圧制御発振器の出力信号との位相比較を行い、上記電圧制御発振器が位相比較結果に基づいて周波数信号の出力を行うものとされ、上記信号処理部及び上記復号部は、上記PLL回路部から出力される周波数信号を処理クロックとして用いる構成とする。
或いは、上記PLL回路部は、位相検出器と数値制御発振器を有しており、上記PLL処理として、上記位相検出器により上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号についての位相誤差の検出を行い、上記数値制御発振器が位相誤差の検出結果に基づいて位相制御情報を出力するものとされ、上記信号処理部は、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号を固定周波数クロックでサンプリングしたデータに対して、上記位相制御情報を用いて補間処理を行い、上記復号用のデータを得る構成とする。
また上記信号処理部には、上記再生ヘッド部で得られる再生情報信号のうちで実情報としての信号帯域を通過させるようにカットオフ周波数が設定された信号処理用フィルタ部が設けられているものとする。
本発明の再生方法は、光ディスクから読み出された再生情報信号について、ディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部でフィルタ処理を行うステップと、上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL回路部でPLL処理を行うステップと、光ディスクから読み出された再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理ステップと、上記信号処理ステップで得られた出力について復号処理を行って2値化データを出力するステップと、上記復号処理で得られた2値化データに対してデータ再生処理を行って再生データを得るステップとを備える。
本発明のデータ検出処理回路は、光ディスクから読み出された再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部と、上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL処理を行うPLL回路部と、上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理部と、上記信号処理部の出力について復号処理を行って2値化データを出力する復号部とを備える。
これらの本発明では、光ディスクから読み出された再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部を設け、指紋等の影響によるディフェクト信号成分が除去された再生情報信号を用いてPLL処理が行われるようにする。
一方で、二値化復号を行う信号処理部及び復号部で処理される再生情報信号については、ディフェクト信号成分を除去するフィルタ処理は行わない構成とする。
つまり従来では、チャネルクロック生成やITR方式での位相制御情報生成のためのPLL処理に用いる信号と、二値化復号のための信号検出を行う信号は、同じフィルタ処理が行われた再生情報信号が用いられていたが、本発明の場合は、チャネルクロック生成やITR方式での位相制御情報生成のためのPLL処理に用いる信号のみに、ディフェクト信号成分が除去された再生情報信号を用いるようにする。
二値化復号を行う再生情報信号については、ディフェクト信号成分除去のためのフィルタ処理は行わないため、ディフェクト信号成分帯域と実信号帯域(記録信号帯域)が一部重なっていても、その実信号成分をカットしてしまうことはない。
本発明では、再生情報信号を用いたPLL処理の出力(クロックや位相制御信号)を用いて信号検出・2値化を行う回路において、PLL回路部に入力される再生情報信号についてPLL処理用フィルタ部により光ディスクの信号読み取り面側に付着した指紋等によるディフェクトで変動する信号成分を除去している。
これによって、ディフェクトの影響で再生情報信号の品質が劣化してもPLL回路部を安定に動作させることができ、その結果としてディフェクトがあっても信号検出能力を高められるという効果がある。
また二値化復号を行う再生情報信号については、ディフェクト信号成分除去のためのフィルタ処理は行わず、従って実信号成分は保たれていることで、ディフェクトがない領域で再生特性が悪化するということがない。
従って、上記PLL回路の安定動作と合わせて、耐ディフェクト性と再生特性の両立が実現できる。
以下では、本発明の再生装置、再生方法の実施の形態として、ディスクドライブ装置及びその動作を説明する。また本発明のデータ検出処理回路の例としてディスクドライブ装置内に設けられるデータ検出処理部を挙げる。説明は次の順序で行う。
[1.ディスクドライブ装置の構成]
[2.データ検出処理部の第1の構成例(PLL回路搭載例)]
[3.データ検出処理部の第2の構成例(ITR−PLL回路搭載例)]
[4.実施の形態の効果]
[1.ディスクドライブ装置の構成]

本実施の形態のディスクドライブ装置は、例えばブルーレイディスクに該当する再生専用ディスクや記録可能型ディスク(ライトワンスディスクやリライタブルディスク)に対応して再生や記録を行うことができるものとする。
記録可能型ディスクの場合、波長405nmのレーザ(いわゆる青色レーザ)とNAが0.85の対物レンズの組み合わせという条件下でフェイズチェンジマーク(相変化マーク)や色素変化マークの記録再生を行うものとされ、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitで、64KB(キロバイト)のデータブロックを1つの記録再生単位(RUB:Recording Unit Block)として記録再生を行う。
ROMディスクについては、λ/4程度の深さのエンボスピットにより再生専用のデータが記録される。同様にトラックピッチは0.32μm、線密度は0.12μm/bitである。そして64KBのデータブロックを1つの再生単位(RUB)として扱う。
記録再生単位であるRUBは、156シンボル×496フレームのECCブロック(クラスタ)に対して、例えばその前後に1フレームのリンクエリアを付加して生成された合計498フレームとなる。
なお、記録可能型ディスクの場合、ディスク上にはグルーブ(溝)が蛇行(ウォブリング)されて形成され、このウォブリンググルーブが記録再生トラックとされる。そしてグルーブのウォブリングは、いわゆるADIP(Address in Pregroove)データを含むものとされる。つまりグルーブのウォブリング情報を検出することで、ディスク上のアドレスを得ることができるようにされている。
記録可能型ディスクの場合、ウォブリンググルーブによって形成されるトラック上にはフェイズチェンジマークによるレコーディングマークが記録されるが、フェイズチェンジマークはRLL(1,7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))等により、線密度0.12μm/bit、0.08μm/ch bitで記録される。
チャネルクロック周期を「T」とすると、マーク長は2Tから8Tとなる。
再生専用ディスクの場合、グルーブは形成されないが、同様にRLL(1,7)PP変調方式で変調されたデータがエンボスピット列として記録されているものとなる。
このようなディスクに対応して記録/再生を行うことのできるディスクドライブ装置を図1に示す。
ディスク90は、例えば上記したブルーレイディスク方式の再生専用ディスク或いは記録可能型ディスクである。
このディスク90は、ディスクドライブ装置に装填されると図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ2によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして再生時には光学ピックアップ(光学ヘッド)1によってディスク90上のトラックに記録されたマーク(ピット)の情報の読出が行われる。
またディスク90が記録可能型のディスクの場合、データ記録時には光学ピックアップ1によってディスク90上のトラックにユーザーデータがフェイズチェンジマークもしくは色素変化マークとして記録される。
なお、ディスク90上には、再生専用の管理情報として例えばディスクの物理情報等がエンボスピット又はウォブリンググルーブによって記録されるが、これらの情報の読出もピックアップ1により行われる。さらに記録可能型のディスク90に対しては、光学ピックアップ1によってディスク90上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しもおこなわれる。
ピックアップ1内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、対物レンズを介してディスク記録面にレーザ光を照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系等が形成される。レーザダイオードは、例えば波長405nmのいわゆる青色レーザを出力する。また光学系によるNAは0.85である。
ピックアップ1内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ1全体はスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ1におけるレーザダイオードはレーザドライバ13からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
ディスク90からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路4に供給される。
マトリクス回路4には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する再生情報信号(RF信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
マトリクス回路4から出力される再生情報信号はデータ検出処理部5へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号は光学ブロックサーボ回路11へ、プッシュプル信号はウォブル信号処理回路15へ、それぞれ供給される。
データ検出処理部5は、再生情報信号の2値化処理を行う。
例えばデータ検出処理部5では、RF信号のA/D変換処理、PLLによる再生クロック生成処理、PR(Partial Response)等化処理、ビタビ復号(最尤復号)等を行い、パーシャルレスポンス最尤復号処理(PRML検出方式:Partial Response Maximum Likelihood検出方式)により、2値データ列を得る。
なおデータ検出処理部5は例えば図2に示す構成とされるが、このデータ検出処理部5について詳しくは後述する。
ここでパーシャルレスポンス最尤復号処理について簡単に述べておく。光ディスクの再生方式としては近年、パーシャルレスポンス最尤検出方式が広く採用されているが、これはディスクから読み出した信号のユークリッド距離が最小となるパーシャルレスポンス系列を検出する方式であり、パーシャルレスポンスという過程と最尤検出という過程が組み合わせた技術である。
なお、パーシャルレスポンス系列とは、ビット系列にターゲットレスポンスで定義される重みつき加算を施すことで得られる。光ディスクシステムでは、例えばPR(1,2,2,1)などが用いられ、これはビット系列に1,2,2,1の重みをつけて加算した値をパーシャルレスポンス値として返すものである。
パーシャルレスポンスは、1ビットの入力に対して、1ビットよりも長く出力を返す過程であって、再生信号が、連続する4ビットの情報ビットの入力に対してこれらを順に1、2、2、1を乗じて加算した信号として得られる過程が、上記のPR(1,2,2,1)と表現される。
また、最尤検出とは、2つの信号の間にユークリッド距離とよばれる距離を定義して、実際の信号と想定されるビット系列から予想される信号との間の距離を調べて、その距離が最も近くなるようなビット系列を検出する方法である。なお、ここで、ユークリッド距離とは、同じ時刻での2つの信号の振幅差の二乗を全時刻にわたって加算した距離として定義される距離である。また、この距離を最小とするビット系列の探索にはビタビ検出をもちいる。
これらを組み合わせたパーシャルレスポンス最尤検出では、記録媒体のビット情報から得られた信号をイコライザ(波形等化器)とよばれるフィルタでパーシャルレスポンスの過程となるように調整し、得られた再生信号と想定されるビット系列のパーシャルレスポンスとの間のユークリッド距離を調べて、その距離が最も近くなるようなビット系列を検出する。
実際にユークリッド距離が最小となるビット系列を探索するには、前述のビタビ検出によるアルゴリズムが効果を発揮する。
ビタビ検出は、所定の長さの連続ビットを単位として構成される複数のステートと、それらの間の遷移によって表されるブランチで構成されるビタビ検出器が用いられ、全ての可能なビット系列の中から、効率よく所望のビット系列を検出するように構成されている。
データ検出処理部5では、このようなパーシャルレスポンス最尤検出方式を用いて、ディスク90から読み出した情報としての2値データ列を生成し、後段のエンコード/デコード部7に供給する。
エンコード/デコード部7は、再生時おける再生データの復調と、記録時における記録データの変調処理を行う。即ち、再生時にはデータ復調、デインターリーブ、ECCデコード、アドレスデコード等を行い、また記録時にはECCエンコード、インターリーブ、データ変調等を行う。
再生時においては、上記データ検出処理部5で復号された2値データ列がエンコード/デコード部7に供給される。エンコード/デコード部7では上記2値データ列に対する復調処理を行い、ディスク90からの再生データを得る。即ち、即ちRLL(1,7)PP変調が施されてディスク90に記録されたデータに対しての復調処理と、エラー訂正を行うECCデコード処理を行って、ディスク90からの再生データを得る。
エンコード/デコード部7で再生データにまでデコードされたデータは、ホストインターフェース8に転送され、システムコントローラ10の指示に基づいてホスト機器100に転送される。ホスト機器100とは、例えばコンピュータ装置やAV(Audio-Visual)システム機器などである。
ディスク90が記録可能型ディスクである場合は、その記録/再生時にADIP情報の処理が行われる。
即ちグルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル信号処理回路6においてデジタル化されたウォブルデータとされる。またPLL処理によりプッシュプル信号に同期したクロックが生成される。
ウォブルデータはADIP復調回路16でMSK復調、STW復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ9に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
記録時には、ホスト機器100から記録データが転送されてくるが、その記録データはホストインターフェース8を介してエンコード/デコード部7に供給される。
この場合エンコード/デコード部7は、記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加(ECCエンコード)やインターリーブ、サブコードの付加等を行う。またこれらの処理を施したデータに対して、RLL(1−7)PP方式の変調を施す。
エンコード/デコード部7で処理された記録データは、ライトストラテジ部14において、記録補償処理として、記録層の特性、レーザ光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた状態のレーザドライブパルスとされ、レーザドライバ13に供給される。
そしてレーザドライバ13は、記録補償処理したレーザドライブパルスをピックアップ1内のレーザダイオードに与えてレーザ発光駆動を実行させる。これによりディスク90に記録データに応じたマークが形成されることになる。
なお、レーザドライバ13は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、ピックアップ1内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニタしながらレーザの出力が温度などによらず一定になるように制御する。記録時及び再生時のレーザ出力の目標値はシステムコントローラ10から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
光学ブロックサーボ回路11は、マトリクス回路4からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、二軸ドライバ18によりピックアップ1内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ1、マトリクス回路4、光学ブロックサーボ回路11、二軸ドライバ18、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
また光学ブロックサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
また光学ブロックサーボ回路11は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッドドライバ19によりスレッド機構3を駆動する。スレッド機構3には、図示しないが、ピックアップ1を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ1の所要のスライド移動が行なわれる。
スピンドルサーボ回路12はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路12は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、データ信号処理回路5内のPLLによって生成される再生クロックが、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルドライバ17によりスピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ10により制御される。
システムコントローラ10は、ホストインターフェース8を介して与えられるホスト機器100からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えばホスト機器100から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ1を移動させる。そしてエンコード/デコード部7により、ホスト機器100から転送されてきたデータ(例えばビデオデータやオーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにエンコードされたデータに応じてレーザドライバ13がレーザ発光駆動することで記録が実行される。
また例えばホスト機器100から、ディスク90に記録されている或るデータの転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、システムコントローラ10はまず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ち光学ブロックサーボ回路11に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとするピックアップ1のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをホスト機器100に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク90からのデータ読出を行い、データ検出処理部5、エンコード/デコード部7における再生処理を実行させ、要求されたデータを転送する。
なお図1の例は、ホスト機器100に接続されるディスクドライブ装置として説明したが、本発明のディスクドライブ装置としては他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図1とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろんディスクドライブ装置の構成例としては他にも多様に考えられ、例えば再生専用装置としての例も考えられる。
[2.データ検出処理部の第1の構成例(PLL回路搭載例)]

例えばこのようなディスクドライブ装置を想定した場合において、実施の形態としての特徴的な構成及び動作を説明していく。即ちディスク90に付着した指紋等のディフェクトによる影響に対して適切に対処し、かつ非ディフェクト領域についての信号再生特性を劣化させないようにする構成及び動作である。
このために本例では、図1に示したデータ検出処理部5は図2のように構成されている。図示するようにデータ検出処理部5は、信号処理部50,ビタビ復号器55、PLL回路30,HPF(ハイパスフィルタ)40(以下「PLL処理用HPF」という)を備える。
また信号処理部50は、HPF(ハイパスフィルタ)51(以下「信号処理用HPF」という)、A/D変換器52、AGC回路53、波形等化器54を有する。
図1に示したマトリクス回路4からデータ検出処理部5に供給される再生情報信号は、まず信号処理用HPF51により帯域制限処理が施される。
この信号処理用HPF51は、通常のディスク再生時に1周内でみられる低周波変動や再生光からのRF信号検出過程で生じるオフセット成分の除去を目的とするものであり、再生情報信号の再生特性が劣化されない程度のカットオフ周波数に設定されている。例えばブルーレイディスクの1倍速再生時では約1kHz〜10kHz程度の範囲内でカットオフ周波数が設定される。
なお、指紋等によるディフェクト信号成分の帯域は、例えば60kHz程度のより高い帯域でもパワーを持っており、そのディフェクト信号成分がこの信号処理用HPF51で除去されるものではない。
再生情報信号は、この信号処理用HPF51により低域成分が除去された後、A/D変換器52によってデジタルデータに変換される。
A/D変換器52から出力されるデジタル化された再生情報信号は、AGC回路53で振幅が一定になるように調整された後、波形等化器54によりパーシャルレスポンス波形等化される。
そしてこの波形等化された再生情報信号がビタビ復号器55で最尤復号処理され、その復号結果として2値化されたチャネルデータが出力される。
このチャネルデータが、図1のエンコード/デコード部7に供給され、上述のように復調処理されることで再生データが得られることになる。
A/D変換器52のサンプリングクロック、及び波形等化器54、ビタビ復号器55で用いる処理クロックはPLL回路30により生成される。
このPLL回路30には、波形等化器54の出力段階の再生情報信号が、PLL処理用HPF40でフィルタ処理された上で入力される。
PLL処理用HPF40は、上記の信号処理用HPF51よりも高いカットオフ周波数とされる。このPLL処理用HPF40は、再生情報信号におけるディフェクト信号成分による信号レベル変動を除去する目的で設けられており、具体的には、カットオフ周波数は、ブルーレイディスクの1倍速再生時では10kHz〜100kHz程度の範囲内で設定される。
このPLL処理用HPF40により、指紋等のディフェクト信号成分が除去された再生情報信号は、PLL回路30に入力されることになる。
PLL回路30は、VCO31,位相比較器32,ループフィルタ33、D/A変換器34を有する。
位相比較器32は、PLL処理用HPF40を介して入力される再生情報信号と、VCO31の出力とについて位相比較を行う。この位相比較結果がループフィルタ33に与えられて位相誤差信号とされ、D/A変換器34でアナログ信号に変換される。そして位相差信号としてのアナログ信号電圧がVCO31に供給される。
VCO31には、水晶系の固定の基準クロック(例えば66MHz)が供給されており、D/A変換器34から入力される位相誤差電圧に応じて、基準クロックの周波数を上下に可変して出力する。この結果、出力されるチャネルクロックは、再生情報信号に同期したクロックとなり、このチャネルクロックがA/D変換器52のサンプリングクロック、波形等化器54,ビタビ復号器55の処理基準クロックとして用いられる。
本例の場合、データ検出処理部5は以上のように構成されている。
即ち、まず光ディスクに対してレーザ照射を行い、反射光信号としての再生情報信号を得る光ピックアップ1及びマトリクス回路4で得られる再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用HPF40を備える。このPLL処理用HPF40には、信号処理部50での処理後(波形等化器54の出力段)の再生情報信号が入力される。
また、PLL処理用HPF40を通過した再生情報信号を用いてPLL処理を行うPLL回路30を備える。このPLL回路30は、位相比較器32とVCO31を有しており、PLL処理として、位相比較器32によりPLL処理用HPF40を通過した再生情報信号とVCO31の出力信号との位相比較を行い、VCO31が位相比較結果に基づいて周波数信号(チャネルクロック)の出力を行うものとされている。信号処理部50及びビタビ復号器55は、PLL回路30から出力されるチャネルクロックを処理クロックとして用いる。
また信号処理部50は、PLL処理用HPF40を通過していない再生情報信号に対して、PLL回路30の出力を用いた処理を行って復号用のデータ(波形等化後のデータ)を得る。なお、信号処理部50には、再生情報信号のうちで実情報としての信号帯域を通過させるようにカットオフ周波数が設定された信号処理用HPF51が設けられている。
ビタビ復号器55は、信号処理部50の出力について復号処理を行って2値化データを出力する。
データ検出処理部5がこのように構成され、ディスクドライブ装置としては、このデータ検出処理部5のビタビ復号器55で得られた2値化データに対して、エンコード/デコード部7でデータ再生処理を行って再生データを得るものとされる。
従ってこのデータ検出処理部5では、ディスク90から読み出された再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用HPF40により、指紋等の影響によるディフェクト信号成分が除去された再生情報信号を用いてPLL回路30でPLL処理が行われるようにしている。
一方で、二値化復号を行う信号処理部50及びビタビ復号器55で処理される再生情報信号については、ディフェクト信号成分を除去するフィルタ処理は行われていない。上述のように信号処理用HPF51は、ディフェクト信号成分の除去を目的としてカットオフ周波数が設定されるものではなく、例えば10kHz以下のカットオフ周波数で再生情報信号の低域変動を抑えるものである。
ブルーレイディスクの場合、図9で述べたように、指紋等によるディフェクト信号成分帯域と実信号帯域(記録信号帯域)が一部重なっているが、信号処理用HPF51は実信号帯域の低域側を除去するものではない。
このような本実施の形態によれば、再生情報信号を用いたPLL処理で再生情報信号に同期したチャネルクロックを生成するというPLL回路30の動作を安定化させることができる。
つまり、ディフェクト信号の影響がある期間の再生情報信号に対する処理について、信号処理部50及びビタビ復号器55では安定したチャネルクロックを用いて処理を実行でき、これによって、2値化復号処理性能を向上させることができる。
実際に発明者は、ディフェクトの影響による再生時のエラーレートの悪化、ジッタの悪化の原因を解析したところ、ディフェクトによる再生情報信号のそのものの変動よりも、PLL処理で生成されるチャネルクロックがディフェクトの影響で不安定になることが大きな原因であるという結論を得た。そして上記図2の構成により、PLL回路30の動作におけるディフェクト信号成分の影響を排除し、チャネルクロックを安定化させたところ、エラーレートの著しい向上が実現された。
また、信号処理部50及びビタビ復号器55で処理される再生情報信号は、ディフェクト信号成分を除去するようなフィルタ処理は行われていない。これはディフェクトの影響のない期間の再生情報信号において、その信号成分の一部がカットされないことを意味する。従って、ディフェクト信号の影響がない信号期間での再生能力も向上されることになる。
結果として本例では、耐ディフェクト性能と復号性能(再生特性)の向上を両立できることになる。
この図2のデータ検出処理部5の変形例を図3,図4に示す。なお、図3,図4において図2と同一部分は同一符号を付し、説明を省略する。
各例は、PLL処理用HPF40に入力する再生情報信号を取り出す部位を変えたものである。
図3では、信号処理用HPF51と並列にPLL処理用HPF40を配置し、信号処理部50の入力前の再生情報信号が、PLL処理用HPF40を介してPLL回路30に供給されるようにしたものである。
また図4は、信号処理部50での処理過程の再生情報信号として、AGC回路53の出力段の再生情報信号が、PLL処理用HPF40を介してPLL回路30に供給されるようにしたものである。
このほかにも図示しないが、例えば信号処理用HPF51の出力段の再生情報信号が、PLL処理用HPF40を介してPLL回路30に供給されるようにしたり、さらにはA/D変換器52の出力段の出力段の再生情報信号が、PLL処理用HPF40を介してPLL回路30に供給されるようにする構成例も考えられる。
これらの各構成例が考えられるが、いずれにしても、PLL処理用HPF40でディフェクト信号成分を除去した再生情報信号を用いてPLL処理が行われ、また信号処理部50は、実情報としての信号帯域がカットされていない再生情報信号を用いて信号処理を行うものとなり、上述した図2の構成の場合と同様の効果を得ることができる。
なお、高域信号成分のパワーが小さいと、位相比較器32での適切な位相比較ができない場合がある。そのような場合は、PLL処理用HPF40の前段に高域をブーストするブースト回路を配置するとようにするとよい。
[3.データ検出処理部の第2の構成例(ITR−PLL回路搭載例)]

続いて第2の構成例として、ITR−PLL回路搭載したデータ検出処理部5について説明する。
図5にデータ検出処理部5の構成を示す。なお、図2と同一部分は同一符号を付している。
この場合、信号処理部50は、図2の構成と同様に信号処理用HPF51、A/D変換器52、AGC回路53、波形等化器54を備えることに加え、位相補間器57を備える構成とされる。
そして位相補間器57の出力が、復号用のデータとしてビタビ復号器55に供給される構成となる。
またPLL処理用HPF40、及びITR方式のPLL処理を行うITR−PLL回路60が設けられる。
周波数シンセサイザ58は、例えば66MHz程度の水晶系の基準クロックが供給され、これを用いて、多少高めの周波数(例えば68〜70MHz程度)の固定クロックを生成して出力する。
A/D変換器52では、サンプリングクロックとして、再生情報信号とは非同期である、周波数シンセサイザ58からの固定クロックが用いられる。
また、この固定クロックは、波形等化器54、位相補間器57、ビタビ復号器55、ITR−PLL回路60において処理基準クロックとして用いられる。
この構成の場合、A/D変換器52では再生情報信号とは非同期の固定クロックでサンプリングが行われるため、波形等化器54の出力段階でのデータは、適切な位相でサンプリングされたものではないが、ITR−PLL回路60からの補間タイミング制御に基づいて位相補間器57がデータ補間処理を行うことで、結果として再生情報信号に同期した本来のタイミングでのサンプリングデータを得ることができ、そのデータをビタビ復号器55に供給することで適切な2値化処理を行うことができる。
ITR−PLL回路60は、仮検出回路61,位相検出回路62、ループフィルタ63、NCO(数値制御発振器)64を備える。
仮検出回路61は、PLL処理用HPF40を介して供給される再生情報信号としてのデータ(この場合、位相補間器57での補間処理後のデータ)について、所定のスレッショルド値との比較を行って2値化を行う。
2値化によって位相情報は無くなるが、この2値化データと、PLL処理用HPF40を介して供給される再生情報信号としての連続的なデータとを位相検出器62で比較し、位相誤差を検出する。つまり本来のサンプリング位相に対して生じている位相誤差を検出する。
検出された位相誤差の情報はループフィルタ63を介してNCO64に与えられ、NCO64は位相誤差値に応じた位相制御情報を位相補間器57に出力する。
位相補間器57は、位相誤差情報に応じた補間処理を行うことで、上記のように再生情報信号の本来のタイミングのデータを生成し、これをビタビ復号器55に供給する。
このようなITR−PLL回路60を用いた本例の構成においても、信号処理用HPF51は、例えばブルーレイディスクの1倍速再生時では約1kHz〜10kHz程度の範囲内でカットオフ周波数が設定される。つまり再生情報信号において実情報成分をカットしない。
これに対して、PLL処理用HPF40は、そのカットオフ周波数が、ブルーレイディスクの1倍速再生時では10kHz〜100kHz程度の範囲内で設定される。つまり、PLL処理用HPF40により、指紋等のディフェクト信号成分が除去された再生情報信号がITR−PLL回路60に入力されることになる。
つまりITR−PLL回路60は、そのPLL処理として、位相検出器62によりPLL処理用HPF40を通過した再生情報信号についての位相誤差の検出を行い、NCO64が位相誤差の検出結果に基づいて位相制御情報を出力するものとされる。そして信号処理部50では、PLL処理用HPF40を通過していない再生情報信号を固定クロックでサンプリングしたデータに対して、ITR−PLL回路60からの位相制御情報を用いて位相補間器57で補間処理を行い、復号用のデータを得てビタビ復号器55に供給する。
このような図5の構成の場合も、PLL処理用HPF40を介した再生情報信号を用いたPLL処理を行うことで、ITR−PLL回路60の動作が安定し、位相補間器57に適切な補間タイミング制御を行うことができ、位相補間動作が安定する。従ってディフェクト信号の影響がある期間の再生情報信号に対する処理についても、信号処理部50及びビタビ復号器55で安定した処理が実現され、2値化復号(チャネルデータ生成)処理性能を向上させることができる。
また、信号処理部50及びビタビ復号器55で処理される再生情報信号は、ディフェクト信号成分を除去するようなフィルタ処理は行われていないため、ディフェクト信号の影響がない信号期間での再生能力も向上されることになる。
結果として本例でも、耐ディフェクト性能と復号性能(再生特性)の向上を両立できることになる。
[4.実施の形態の効果]

以上説明したように、実施の形態のデータ検出処理部5としての各構成及び動作によれば、再生情報信号を用いたPLL処理の出力(クロックや位相制御信号)を用いて信号検出・2値化を行う回路において、PLL回路部(PLL回路30、ITR−PLL回路60)に入力される再生情報信号についてPLL処理用HPF40により光ディスクの信号読み取り面側に付着した指紋等によるディフェクトで信号変動する成分を除去している。
これによって、ディフェクトの影響で再生情報信号の品質が劣化してもPLL回路部を安定に動作させることができ、その結果としてディフェクトがあっても信号検出能力を高められるという効果がある。
また二値化復号を行う再生情報信号については、より低域の信号変動を信号処理用HPF51で除去するのみであって、ディフェクト信号成分除去のためのフィルタ処理は行わない。従って実信号成分は保たれており、ディフェクトがない領域で再生特性が悪化するということがない。
これにより、耐ディフェクト性と再生特性の両立が実現できる。
図6には、上記図5のITR−PLL回路60を用いたデータ検出処理部5において、実際にブルーレイディスクの信号読み取り面側に指紋を付けたときのSER(Symbol Error Rate)の測定した結果を示している。
この実験では、ディスク90上の指紋付着箇所を含む領域を連続的に記録再生し、シンボルエラーレートを測定した。図6(a)(b)(c)(d)の横軸はディスク上のアドレス、縦軸はエラーレートを示しており、アドレス順となる各ECCブロック単位でシンボルエラーレートを測定した。
なお図6(a)(b)(c)(d)は、それぞれPLL処理用HPF40のカットオフ周波数を、1.6kHz、16kHz、28kHz、59kHzとした場合を示している。
図6(a)のように、PLL処理用HPF40のカットオフ周波数があまり高くない場合(信号処理用HPF51のカットオフ周波数と同等もしくはそれに近い場合)では、指紋による影響をキャンセルできず、これによって指紋付着部でシンボルエラーレートが破線で示すクライテリア(4×10-3)付近まで悪化している。
ところが、カットオフ周波数を28kHz、59kHzとした図6(c)(d)の場合は、エラーレートの向上が極めて明瞭に表れている。つまりPLL処理用HPF40のカットオフ周波数を、ディフェクト信号成分をカットできる適切な周波数に設定することで、指紋付着によるディフェクト部分も、それ以外の非ディフェクト部分も、十分な再生性能が得られることが確認された。
もちろん実施の形態の動作は、指紋だけでなく、ディスク記録面側に付着した他の汚れ等にも改善効果が期待できる。すなわち、光ディスク装置のリムーバブルメディアとして解決しなければならない、指紋や汚れの付着時の再生性能(プレーヤビリティ)を改善することができる。
なお本発明は、上記実施の形態で述べた例に限らず、構成及び動作として多様な変形例が考えられる。
本発明の再生装置としては、ブルーレイディスクに対応するディスクドライブ装置の他、他の各種の光ディスクについて再生を行う装置に広く適用できる。
もちろん、本発明を適用する再生装置が対応するディスクメディアの種別、n倍速再生の実行などにより、PLL処理用HPF40、信号処理用HPF51のカットオフ周波数はそれぞれ適切に変更することはいうまでもない。
いずれにしても、PLL処理用HPF40については、再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定され、一方信号処理用HPF51については、実信号成分を除去しないカットオフ周波数が設定されればよい。
本発明の実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。 実施の形態のデータ検出処理部の第1の構成例のブロック図である。 実施の形態のデータ検出処理部の変形例のブロック図である。 実施の形態のデータ検出処理部の変形例のブロック図である。 実施の形態のデータ検出処理部の第2の構成例のブロック図である。 実施の形態によるエラーレート検査例の説明図である。 従来の再生信号処理系のブロック図である。 従来の再生信号処理系のブロック図である。 指紋外乱帯域と記録信号帯域の説明図である。
符号の説明
1 光ピックアップ、4 マトリクス回路、5 データ検出処理部、7 エンコード/デコード部、30 PLL回路、31 VCO、32 位相比較器、33 ループフィルタ、34 D/A変換器、40 PLL処理用HPF、50 信号処理部、51 信号処理用HPF、52 A/D変換器、53 AGC回路、54 波形等化器、55 ビタビ復号器、57 位相補間器、58 周波数シンセサイザ、60 ITR−PLL回路、61 仮検出回路、62 位相検出部、63 ループフィルタ、64 NCO

Claims (7)

  1. 光ディスクに対してレーザ照射を行い、反射光信号としての再生情報信号を得る再生ヘッド部と、
    上記再生ヘッド部で得られる再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部と、
    上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL処理を行うPLL回路部と、
    上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理部と、
    上記信号処理部の出力について復号処理を行って2値化データを出力する復号部と、
    上記復号部で得られた2値化データに対してデータ再生処理を行って再生データを得るデータ再生処理部と、
    を備えることを特徴とする再生装置。
  2. 上記PLL処理用フィルタ部には、上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記信号処理部への入力前の再生情報信号、又は上記信号処理部での処理過程の再生情報信号、又は上記信号処理部での処理後の再生情報信号のいずれかが、入力されることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
  3. 上記PLL回路部は、位相比較器と電圧制御発振器を有しており、上記PLL処理として、上記位相比較器により上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号と上記電圧制御発振器の出力信号との位相比較を行い、上記電圧制御発振器が位相比較結果に基づいて周波数信号の出力を行うものとされ、
    上記信号処理部及び上記復号部は、上記PLL回路部から出力される周波数信号を処理クロックとして用いることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
  4. 上記PLL回路部は、位相検出器と数値制御発振器を有しており、上記PLL処理として、上記位相検出器により上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号についての位相誤差の検出を行い、上記数値制御発振器が位相誤差の検出結果に基づいて位相制御情報を出力するものとされ、
    上記信号処理部は、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号を固定周波数クロックでサンプリングしたデータに対して、上記位相制御情報を用いて補間処理を行い、上記復号用のデータを得ることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
  5. 上記信号処理部には、上記再生ヘッド部で得られる再生情報信号のうちで実情報としての信号帯域を通過させるようにカットオフ周波数が設定された信号処理用フィルタ部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
  6. 光ディスクから読み出された再生情報信号について、ディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部でフィルタ処理を行うステップと、
    上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL回路部でPLL処理を行うステップと、
    光ディスクから読み出された再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理ステップと、
    上記信号処理ステップで得られた出力について復号処理を行って2値化データを出力するステップと、
    上記復号処理で得られた2値化データに対してデータ再生処理を行って再生データを得るステップと、
    を備えることを特徴とする再生方法。
  7. 光ディスクから読み出された再生情報信号についてのディフェクト信号成分を除去するようにカットオフ周波数が設定されたPLL処理用フィルタ部と、
    上記PLL処理用フィルタ部を通過した再生情報信号を用いてPLL処理を行うPLL回路部と、
    上記再生ヘッド部で得られた再生情報信号であって、上記PLL処理用フィルタ部を通過していない再生情報信号に対して、上記PLL回路部の出力を用いた処理を行って復号用のデータを得る信号処理部と、
    上記信号処理部の出力について復号処理を行って2値化データを出力する復号部と、
    を備えたことを特徴とするデータ検出処理回路。
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