以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同様の構成要素には同様の参照符号を付し、同様の説明の繰り返しは省略する。
(実施形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態による光ディスク装置10を示すブロック図である。
光ディスク装置10は、情報が記録されている光ディスク媒体100から再生した再生信号を用いて、光ディスク媒体100からデータを再生したり、データを記録したりする。光ディスク装置10は、光ヘッド部101と、モータ102と、サーボ回路103と、アナログ信号処理部104と、パワー制御部105と、データ変調部106と、再生信号処理装置107と、記録再生タイミング制御部108と、CPU109とを備える。
光ディスク媒体100は、所定の周期でウォブリングしたトラックを有し、トラック上には所定のデータフォーマットに従ってデータが記録されている。光ディスク媒体100の記録面の所定の位置にデータを記録するために、トラックに沿ってADIPが形成されている。このADIPは、MSK変調方式およびSTW(Saw−Tooth−Wobble)変調方式の少なくとも一方に基づいた形状のウォブル変調マークを所定のフォーマットに従って配置することによりアドレス情報を表している。なお、ADIPは、CAPA(Complementary Allocated Pit Address)方式や、LPP(Land Pre−Pit)方式等の他の方式で形成されていてもよい。このように、ADIPアドレス情報は、光ディスク媒体100に予め形成された形状により表されており、例えば、トラックのウォブリング形状により表されている。
図5(a)に、光ディスク媒体100に記録される情報のデータフォーマット例を示す。記録されるユーザーデータは、所定の変調方式に従ってセクタを構成するように変調され、光ディスク媒体100に16セクタを1単位として記録される。既に記録されているデータの終端位置と、新しくその後続位置に記録するデータの開始位置には、記録単位毎にバッファ領域が設けられている。これにより、データを連続再生する際に、記録単位間で再生信号の位相が不連続であっても、バッファ領域を処理している間に後続セクタを安定に再生する準備ができる。これにより、新規にデータを記録する際に、直前の既記録データと新規データとの位相を揃える必要はない。
光ヘッド部101は、光ディスク媒体100へアクセスして再生信号を生成する。光ヘッド部101は、光ディスク媒体100にレーザ光を照射し、トラックを走査しながら光ディスク媒体100からの反射光量を検出して再生信号である電気信号を出力する。
モータ102は、光ディスク媒体100を指定された回転数で回転させる。
アナログ信号処理部104は、上記電気信号からトラックのウォブリングに応じたウォブル信号と、トラックに記録されているデータに応じたデータ信号と、レーザ光のトラックへの集光状態に応じたサーボエラー信号とを抽出する。また、データ信号の品質を向上させるための処理を行ったり、再生信号処理装置107から得られるAGC制御信号を用いて、データ信号の振幅変更処理を行ったりする。
サーボ回路103は、サーボエラー信号を用いて、光ヘッド部101におけるレーザ光の集光状態および走査状態が最適な状態になるように制御を行う。また、レーザ光を照射する光ディスク媒体100上の半径位置あるいはアナログ信号処理部104により抽出されたウォブル信号の周波数に基づいて、モータ102の回転数を最適に制御する。
再生信号処理装置107は、アナログ信号処理部104から、ウォブル信号WBLとデータ信号RFを受け取り、アドレス情報と再生データとを記録再生タイミング制御部108に出力する。
再生信号処理装置107は、ウォブル信号をアナログ/デジタル変換するA/D変換部111と、ウォブル信号に同期したクロック信号を生成するPLL回路112と、ADIP再生部113と、データ信号をアナログ/デジタル変換するA/D変換部114と、AGC回路115と、データ信号に同期したクロック信号を生成するPLL回路116と、PR等化フィルタ部117と、ビタビ復号部118と、データ再生部119と、AUN再生部120とを備える。
A/D変換部111、PLL回路112およびADIP再生部113を組み合わせた回路構成は、再生信号からADIPアドレス情報を検出する検出部として機能する。A/D変換部114、AGC回路115、PLL回路116、PR等化フィルタ部117、ビタビ復号部118、データ再生部119およびAUN再生部120を組み合わせた回路構成は、再生信号からAUNアドレス情報を検出する検出部として機能する。
PLL回路112は、ADIPアドレス情報を含む再生信号に同期したクロック信号を生成する。A/D変換部111は、PLL回路112で生成されたクロック信号に同期してウォブル信号WBLをサンプリングする。ADIP再生部113は、再生信号からADIPアドレス情報を検出する。ADIP再生部113は、そのサンプリングにより得られたデジタルウォブル信号からMSK変調方式によるウォブル変調マークを検出し、アドレス情報を再生する。
PLL回路116は、AUNアドレス情報を含む再生信号に同期したクロック信号を生成する。PLL回路116が生成したクロック信号は、ユーザーデータ等のデータ再生に用いられる。A/D変換部114は、PLL回路116で生成されたクロック信号に同期してデータ信号RFをサンプリングし、サンプリングされたデータ信号はPR等化フィルタ部117に入力される。
図2は、PLL回路116を示す図である。PLL回路116は、DC制御回路201と、周波数誤差検出回路202と、周波数制御用ループフィルタ203と、位相誤差検出回路202と、位相制御用ループフィルタ205と、VCO回路206とを備える。
DC制御回路201は、A/D変換部114がサンプリングしたデータ信号のDC成分を除去する。
周波数誤差検出回路202は、DC成分を除去したデータ信号から周波数誤差を検出する。
周波数制御用ループフィルタ203は、周波数誤差を積算して所定値で割る等の平滑化処理を施し、周波数誤差を電圧変換する。
周波数誤差検出回路202および周波数制御用ループフィルタ203は、記録再生タイミング制御部108から供給される周波数制御信号に応じて、ホールド制御、リセット制御、ゲイン変更制御を行う。
位相誤差検出回路204は、DC成分を除去したデータ信号から位相誤差を検出する。
位相制御用ループフィルタ205は、位相誤差を積算して所定値で割る等の平滑化処理を施し、位相誤差を電圧変換する。
図3は、位相誤差検出の例を示す。図3(a)に示す○印または●印は、DC成分を除去したサンプリングデータ信号である。縦軸をデータ信号振幅、横軸を時間軸としている。縦軸の0を基準DCレベルとし、そのレベルを交差する前後のサンプルデータの内、基準DCレベルに近い方をゼロクロス点とする。そのゼロクロス点を●印で示す。そのゼロクロス点の振幅情報を位相の遅れ進み情報として用いる。図3(b)は、各サンプル時間における位相誤差値を示している。ゼロクロス点以外は、位相誤差を“0”として出力する。
図4は、位相制御用ループフィルタ205を示す図である。ループフィルタ205は、ゲイン可変回路401と、加算回路402と、フリップフロック回路403とを備える。データ位相誤差値が、ゲイン可変回路401で所定倍に変更され、ゼロクロス点検出信号に同期して加算され、加算値を所定値で除算して出力する。
位相誤差検出回路204と、位相制御用ループフィルタ205は、記録再生タイミング制御部108から供給される位相制御信号に応じて、ホールド制御、リセット制御、ゲイン変更制御を行う。
VCO回路206は、周波数制御用ループフィルタ203から出力される電圧値と、周波数制御用ループフィルタ205から出力される電圧値との加算電圧を周波数に変換して出力する。
AGC回路115(図1)は、アナログ信号処理部104に振幅誤差情報をフィードバックして、A/D変換部114に入力されるデータ信号の振幅が一定となるように制御する。
PR等化フィルタ部117は、PLL回路116で生成されたクロック信号に同期したデジタルデータ信号に対して、適応等化アルゴリズムによる等化係数最適化処理によって得られた係数を用いて所望のパーシャルレスポンス等化を行う。
ビタビ復号部118は、PR等化フィルタ部117におけるパーシャルレスポンスの型に応じた最尤復号を行って、データ2値化信号を出力する。
データ再生部119は、記録再生タイミング制御部108により指定されたタイミングにおいて、データ2値化信号を所定の変調方式に従って復調し、再生ユーザーデータを出力する。AUNアドレス情報は、ユーザーデータ中に挿入されて、ユーザーデータと共に記録媒体100に記録されている。AUN再生部120は、再生信号からAUNアドレス情報を検出する。AUN再生部120は、データ再生部119が復調したデータ2値化信号を受け取り、そのデータ中に含まれているAUNアドレス情報を再生して、記録再生タイミング制御部108へ出力する。
記録再生タイミング制御部108は、ADIP再生部113により再生されたアドレス情報や、データ再生部119およびAUN再生部120により再生されたアドレス情報およびデータ検出情報に基づいて、記録再生制御に係わる各種ゲート信号を生成し、光ディスク媒体100にデータを記録するタイミング、光ディスク媒体100からデータを再生するタイミングを制御する。
データ変調部106は、光ディスク媒体100に記録しようとするユーザーデータを所定の変調方式に従って変調して記録データ信号を生成し、記録再生タイミング制御部108により指定されたタイミングで出力する。
パワー制御部105は、光ヘッド部101のレーザ光のパワーを制御する。記録時には、データ変調部106が出力した記録データ信号に応じて、パワー制御部105はレーザ光のパワーを制御する。
CPU110は、記録再生タイミング制御部108を介して光ディスク装置10の記録動作および再生動作を指示する。CPU110および記録再生タイミング制御部108は、光ディスク装置10の動作全体を制御する。
図6を参照して、ヘッド位置を内周から外周に移動させる動作を説明する。図6は、横軸に時間軸を示し、再生信号と動作のポイント(A〜F)を示す。動作ポイントAは、ヘッド位置を外周へ移動するスタート地点であり、まず、ヘッド位置(トラバース)を移動させる。
動作ポイントBでは、一旦、ヘッド部の位置確認を行うために、ADIPまたはAUNの再生を行う。この動作ポイントBは記録済み領域内であるため、AUNアドレス情報が先に取得でき、そのアドレスからトラバースの移動量を算出し、トラバースを再び移動させる。動作ポイントCでも、一旦、ヘッドの位置確認を行うために、ADIPまたはAUNの再生を行う。この動作ポイントCは未記録領域内であるため、AUNアドレス情報が取得できず、ADIPアドレス情報が検出される。そのアドレスからトラバースの移動量を算出し、トラバースを再び移動させる。動作ポイントDでも、一旦、ヘッド部の位置確認を行うために、ADIPまたはAUNの再生を行う。動作ポイントDは記録済み領域内であるため、先にAUNアドレス情報が取得される。取得できたアドレスとターゲットアドレスとの間隔が所定の間隔以下のため、ここからはトラバース移動ではなく、マルチジャンプ動作となる。マルチジャンプ動作とは、トラックのジャンプを複数回行う動作のことである。マルチジャンプ動作におけるジャンプ回数は、動作ポイントDで取得できたアドレスから算出され、所定の回数ジャンプを終える動作ポイントEでは、再び、ターゲットまでのアドレス間隔を再確認し、ターゲットアドレスの先頭アドレスポイントFに備える。本発明では、先に検出できたアドレス情報を用いる制御を実行する。動作ポイントB、D、EでAUNアドレス情報を利用することで、次のアクションを決定するまでの時間がADIPアドレス情報を利用する場合に比べて、1回辺り約5分の1にできるため、ターゲットまでの高速な移動が可能になる。
ADIPアドレス情報の取得にはAUNアドレス情報の取得よりも時間がかかるため、ADIPアドレス情報のみを利用する場合は、AUNアドレス情報を利用する場合に比べて、移動が格段に遅くなる。特に記録済み領域が多い光ディスク媒体に対する再生動作では、アクセススピードの差が顕著となる。
なお、ADIPアドレス情報を基準としたアクセスを行うときと、AUNアドレス情報を基準としたアクセスを行うときとで、ヘッド部の移動時のジャンプ回数を変更してもよい(すなわち、ヘッド部の1回のジャンプ当たりの移動距離を変更してもよい)。AUNアドレス情報の取得はADIPアドレス情報の取得よりも早いため、例えば、AUNアドレス情報を基準としたアクセスを行うときにジャンプ回数を減らすことで、さらにアクセススピードを向上させることができる。
また、AUNアドレス情報を基準としたアクセスを行うときにヘッド部が移動しすぎて、アクセスした領域で検出したアドレスが目標アドレスを越えていた場合は、AUNアドレス情報が正常に検出できていなかった可能性が高いので、アクセスのために用いるアドレス情報をADIPアドレス情報に切り替え、再度、目標アドレス位置へのアクセスを行うことが望ましい。
また、AUNアドレス情報を基準としたアクセス時に、AUNアドレス情報の検出が出来なくなった場合は、ADIPアドレス情報を基準としたアクセスに切り替えてもよい。
また、データ記録時のアクセスや後述する測定アクセスおよび未記録領域検出アクセスでは、目標位置近辺まではAUNアドレス情報とADIPアドレス情報とのどちらを基準としてアクセスを行ってもよいが、目標位置に所定の距離以内までヘッド部が移動した時点からは、ADIPアドレス情報を基準としたアクセスを実行することが望ましい。これにより、何らかの要因によりAUNアドレス情報が正常に記録されていない場合でも、正確に目標位置に到達することが出来る。例えば、図6のポイント(E)の位置からは、ADIPアドレス情報を基準としたアクセスを実行することが望ましい。
上記目標位置からの所定の距離の位置とは、例えば、目標のアドレスに対して、トラックジャンプすることなく、トラックに沿って移動することで、目標のアドレスに到着できる位置のことであり、また、その距離は、目標のアドレス到達までに、ADIPアドレス情報の検出が十分に検出可能な距離のことである。また、ADIPアドレス情報の検出には、図24を参照して説明したように、PLL引き込み期間、アドレス同期期間、アドレス連続性確認期間が必要であるので、これらの期間を考慮した距離に設定する必要がある。
記録再生タイミング制御部108は、ADIPアドレス情報およびAUNアドレス情報のうちのどちらが先に検出されたかに基づいて、その検出の後の光ディスク媒体100へのアクセスを制御する。なお、先に検出の意味としては、両方のアドレス情報が必ず検出される必要は無く、両方のアドレス情報を検出しようとしたが片方のみしか検出できなかった場合も含む。アドレス情報検出の後の光ディスク媒体へのアクセスは、リードアクセス、測定アクセス、未記録領域検出アクセスの少なくとも1つである。また、アドレス情報検出の後の光ディスク媒体へのアクセスは、未記録領域および記録済領域へのアクセス、あるいは未記録領域および記録済領域が混在する領域へのアクセスである。また、記録再生タイミング制御部108は、測定アクセスおよび未記録領域検出アクセスの制御時は、AUNアドレス情報を用いずにADIPアドレス情報を用いることもある。
本発明では、アクセスの高速化および安定化を実現するために、以下のアクセス制御をする。ADIPアドレス情報検出動作およびAUNアドレス情報検出動作の両方を常に行い、先に読めたアドレス情報を用いてアクセス制御を実行する。先に読めたアドレス情報がADIPアドレス情報かAUNアドレス情報かによって、AGC制御やPLL制御等の再生信号処理制御を変更する。リードアクセス、測定アクセス、未記録領域検出アクセス等のアクセスごとに、AUNアドレス情報を用いるアクセスにするか否かを決定する。リードアクセス、測定アクセス、未記録領域検出アクセス等のアクセスごとに、AGC制御やPLL制御等の再生信号処理制御を変更する。
次に、光ディスク装置10が実行する各種アクセス制御をより詳細に説明する。
以下、制御タイミングフローチャートを用いて、リードアクセス、測定アクセス、未記録領域検出アクセスを説明する。
図7は、リードアクセスの制御タイミングフローチャートを示す。
まず、制御タイミングフローチャートに示す各信号を説明する。これらの信号は、記録再生タイミング制御部108(図1)で生成される。
制御タイミングポイントは、各制御のタイミングポイントを示す。各ポイントの詳細は後述する。
再生信号は、アクセスした領域が記録済み領域であるか未記録領域であるかを示す。
制御状態制御信号は、シークアクセス(状態1)、リードアクセス(状態2)、リードアクセス(状態3)、測定アクセス(状態4)、未記録領域検出アクセス(状態5)のうちどの状態であるかを示す。
RD信号は、ターゲットのアドレス位置でHI状態になる。
TROK信号は、トラッキング引き込みが完了した後にHI状態となる。
WBLPLLOK信号は、トラックの蛇行形状にアドレス情報が記録されている記録媒体において、そのアドレス情報を再生するために、PLL制御が引き込みを完了した後にHI状態となる。例えば、アドレス情報中に挿入されている同期情報が所定回数連続検出されたことを引き込み完了条件としてもよい。
FMOK信号は、データ信号中に所定間隔ごとに挿入されたフレーム同期信号を所定回数連続検出できた場合にHI状態となり、所定回数連続検出できなかった場合にLOW状態になる。例えば、LOW状態から10回連続してフレーム同期信号を所定間隔で検出できた場合、HI状態に移行する。また、HI状態から5回連続してフレーム同期信号を所定間隔で検出できない場合、LOW状態に移行する。
DTGT信号は、トラックの蛇行形状で表されるアドレス情報、またはデータ信号中に挿入されているアドレス情報のどちらか一方が認識された場合、その認識されたアドレスのクラスター境界からHI状態となり、その後、クラスター境界ごとに所定期間LOW状態となる。蛇行形状で表されるアドレス情報と、データ信号中のアドレス情報の内、早く認識できた方が基準となる。
ASENV信号は、記録済み領域ではHI状態を示し、未記録領域ではLOW状態を示す。
AGC制御リセット信号は、A/D変換部114(図1)の出力信号が所定の振幅となるようにアナログ信号処理部104における再生データ信号の振幅調整ゲインをコントロールするAGC制御をOFFにする信号である。OFFにすると、再生データ信号の振幅調整ゲイン設定値は所定の値REFAMPに固定される。このREFAMP値として、予め適切な記録パワーで記録された領域を再生したときに、A/D変換部114の出力信号が所定の振幅になる値を保持して用いてもよい。または、設計値として与えられた値でもよい。
HPF制御信号は、アナログ信号処理部104に内蔵された再生データ信号の振幅変動を除去するHPF(ハイパスフィルタ)の特性を切り替える。例えば、HI状態ではカットオフ周波数を高く設定し、LOW状態ではカットオフ周波数を低く設定する。図7に示す例では、ASENV信号とRD信号を用いて、ASENV信号およびRD信号がHI状態のとき、HPF特性のカットオフ周波数を低くし、それ以外の状態のときはカットオフ周波数を高くする。これは、未記録領域から記録領域への移行時の振幅変動を除去することと、ターゲット領域へのアクセス中は常にカットオフ周波数を低くし、信号品質を保つことを目的としている。
周波数制御信号は、PLL回路116(図2)の周波数制御をする(ON)、しない(OFF)の制御を行う。例えば、周波数制御のON/OFFは、周波数誤差検出回路202の出力をON/OFFすることで実現できる。これは、PLLが位相同期にかかった状態において、ディフェクト等の外乱により周波数誤差が誤検出されてもPLL動作に影響がないようにするためである。
位相制御リセット信号は、PLL回路116のループフィルタ205の出力を所定の初期値電圧に設定する。例えば、HI状態ではループフィルタ205の出力を所定の初期値電圧にし、LOW状態では位相誤差検出回路204からの誤差信号に応じて出力電圧を変更しながら、位相同期制御をする。
位相制御ホールド信号は、HI状態では、PLL116回路の位相誤差検出回路204からループフィルタ205への出力を停止させ、位相同期制御を停止させる。LOW状態では、位相誤差検出回路204からの誤差信号に応じて出力電圧を変更しながら、位相同期制御をする。
適応等化制御リセット信号は、HI状態の場合、PR等化回路117(図1)の適応等化制御を停止し、フィルタの等化係数として所定の初期値を設定する。LOW状態の場合、常に適応等化制御を動作させ、適応等化フィルタ部を制御する。
図7は、記録済み領域へのリードアクセスを示しており、ADIPアドレス情報よりもAUNアドレス情報が先に検出された場合の制御タイミングフローチャートである。まず、ある領域から特定の領域へ光ヘッド部を移動させ、フォーカスおよびトラッキング引き込み等の一連の制御動作であるSEEK動作を行う。SEEK動作が完了すれば、制御タイミングポイント(A)において、TROK信号がHI状態となる。その後、制御タイミングポイント(A)からウォブル信号用PLL112(図1)が引き込み動作を開始し、制御タイミングポイント(B)においてPLL引き込みを完了させ、WBLPLLOK信号がHI状態になる。このWBLPLLOK信号をトリガーに、データ信号用PLL116の周波数制御が動作し始める。データ信号用PLL116は、ウォブル信号用PLL112からのクロック信号を用いて周波数制御を行うため、ウォブル用PLL112がロック状態になってから動作させる必要がある。
制御タイミングポイント(C)は、データ信号用PLL116が周波数制御から位相制御に移行し、PLLロック状態となり、データ信号中に含まれる同期信号を所定回数連続して検出されたことを示し、FMOK信号がHI状態となる。このFMOK信号に同期し、適応等化制御リセット信号が解除状態となり、PR等化フィルタ部117の係数が更新し始める。適応等化制御リセット信号変化は、この例だけに限定されず、RD信号がHIとなる場合のみ解除状態となるようにしてもよい。
制御タイミングポイント(D)は、データ中に挿入されたAUNアドレス情報の同期と所定回数連続性の確認が完了し、AUNアドレス情報基準で各制御が動作し始めるポイントである。データが正常に記録されている記録済み領域へのアクセス時は、ADIPアドレス情報よりもAUNアドレス情報の方が先に検出されるので、この先に検出されたAUNアドレス情報を用いて、アドレス情報検出後のアクセス動作を実行する。このポイントで、制御状態制御信号は、SEEK(状態1)からREAD(状態2)に移行する。また、データ信号用PLL116の周波数制御もOFF状態とされる。これは、PLLが位相同期にかかった状態において、ディフェクト等の外乱により周波数誤差が誤検出されてもPLL動作に影響がないようにするためである。
制御タイミングポイント(E)から(F)の区間は、ターゲットとする領域(=アドレス)をリードする区間である。この区間では、ASENV信号でマスク制御していたHPF制御信号と位相制御ホールド信号を解除する。ターゲット領域の再生中にASENV信号が未検出となった場合に、HPF特性が急激に変化したり、PLL制御がホールド状態になったりすることを避けるためである。ASENV信号が未検出や誤検出とならない工夫がされていれば、このような処理をする必要はない。
図8は、未記録領域および記録済領域が混在する領域にリードアクセスする場合の制御タイミングフローチャートを示す。まず、ある領域から特定の領域へ光ヘッド部を移動させ、フォーカスおよびトラッキング引き込み等の一連の制御動作であるSEEK動作を行う。SEEK動作が完了すれば、制御タイミングポイント(A)において、TROK信号がHI状態となる。その後、制御タイミングポイント(A)からウォブル信号用PLL112(図1)が引き込み動作を開始し、制御タイミングポイント(B)において、PLL引き込みを完了させ、WBLPLLOK信号がHI状態になる。このWBLPLLOK信号をトリガーに、データ信号用PLL116の周波数制御が動作し始める。データ信号用PLL116は、ウォブル信号用PLL112からのクロック信号を用いて周波数制御を行うため、ウォブル用PLLがロック状態になってから動作させる必要がある。
制御タイミングポイント(C)は、ウォブル中に挿入されたADIPアドレス情報の同期と所定回数連続性の確認が完了し、ADIPアドレス情報基準で各制御が動作し始めるポイントである。未記録領域にAUNアドレス情報は記録されていないので、未記録領域へのアクセス時は、AUNアドレス情報は検出されずにADIPアドレス情報が検出される(必然的にAUNアドレス情報よりも先にADIPアドレス情報が検出される)ので、この検出されたADIPアドレス情報を用いて、アドレス情報検出後のアクセス動作を実行する。このポイントで、制御状態制御信号は、SEEK(状態1)からREAD(状態3)に移行する。このポイントでは、AGC制御リセット信号がHI状態に移行してAGC制御を停止させ、位相制御リセット信号がHI状態に移行してPLL制御を停止させる。AUNアドレス情報が先に取得できなかったということは、リードターゲット領域直前が未記録領域である可能性が高いことから、AGC動作とPLL動作を停止させ、初期状態に保つ。これは、未記録領域でAGCを動作させると、AGCが余計なゲインを設定することになり、適切な記録領域であるターゲット領域に移行したときに適切なゲインとなるまでに時間を要し、ターゲット領域が安定に再生できない等の悪影響をもたらすためである。PLLに対しても同様で、未記録領域でPLLを動作させると誤った位相誤差を検出し、記録されているデータの周波数からVCOの周波数を引き離してしまい、適切な記録領域であるターゲット領域に移行したときにPLLが周波数位相ロック状態になるまでに時間を要し、ターゲット領域が安定に再生できない等の悪影響をもたらすためである。
制御タイミングポイント(D)から(E)の区間は、ターゲットとする領域(=アドレス)をリードする区間である。この区間では、AGCとPLLと適応等化をリセット解除状態にし、動作させる。ASENV信号でマスク制御していたHPF制御信号と位相制御ホールド信号を解除する。ターゲット領域を再生中にASENV信号が未検出となった場合に、HPF特性が急激に変化したり、PLL制御がホールド状態になったりするのを避けるためである。ASENV信号が未検出や誤検出とならない工夫がされていれば、このような処理をする必要はない。
図7および図8の制御アクセスタイミングフローチャートを用いて、記録済領域へのリードアクセス制御と、未記録領域および記録済領域が混在した領域へのリードアクセス制御を説明した。アクセスを高速化させるために、データ中に挿入されたアドレスを積極的に利用しつつ、未記録領域および記録済領域が混在した領域へのアクセス時でも、安定にユーザーデータを再生可能な再生信号処理制御を提供することができる。
ここでは、ASENV信号がキーとなる信号であるが、光ディスク媒体はカートリッジ等がない裸ディスクとして市場に投入される場合が多いため、傷、指紋等のディフェクトの影響によるASENV信号の誤検出や未検出は避けられない。よって、本発明は、高速化と安定化を両立させるために有効である。
図9は、Measureアクセスする場合の制御タイミングフローチャートを示している。Measureアクセス(測定アクセス)は、データの記録品質や状態を測定するためのアクセスである。
まず、Measureアクセスの課題について簡単に説明する。Measureアクセスでは、テスト記録領域へのアクセスを主とするため、記録品質が保証されていない。例えば、記録パワーが不均一である場合、未記録領域と記録済領域が混在する領域が存在する。図10は、未記録領域と、記録パワーが変更された領域と、適切な記録パワーで記録された領域へのアクセス時に得られる信号を示す。領域1は未記録領域であり、領域2は記録パワーを高いパワーから徐々に低い記録パワーへと変更しながら記録された領域であり、領域3および4は適切な記録パワーで記録された領域であり、図10(a)は各領域に対応した再生信号をDC形態で示している。この例では、未記録領域の反射率が高く、記録パワーが高くなるにつれて反射率が低くなる特性の光ディスク媒体を用いている。
図10(b)は、再生信号をACカップリングして、AGC制御を常に動作させた場合のAGC制御出力波形を示している。常に、AGC制御を動作させると、DC形態で表したときの波形変化の大きいポイントで、急激なゲイン変化をし、AGC後の波形は、領域1から領域2へ移行した直後のように、振幅を所定値になるように制御するのに時間がかかる。領域3以降の領域へアクセスする場合、領域3部分でAGCが適切な振幅に制御するまで時間がかかるため、領域3では適切なアクセスができない場合がある。例えば、PLL引き込みに失敗したり、Measureアクセスで振幅測定する場合には適切な振幅が測定できなくなったりする等の問題が発生する。これに対して、例えば、図10(c)に示すようなアクセスしたい領域部分でのみHIとなるようなRD信号で、AGCを制御すれば、図10(d)に示すAGC制御出力波形のように、領域3においても急激な振幅変化によるアクセス不安定要素はなくなる。しかし、RD信号について、アクセスする領域のみAGC制御を常にON、その他の領域は常にOFFするような制御をすると、図7で示したリードアクセス時のようにアクセスすべきターゲット領域以外の領域において、データ中のアドレスの再生性能を低下させてしまう。また、ASENV信号で、AGCを制御することも可能であるが、図10の例のように記録パワーを変化させて記録を行った記録品質(反射率)不均一領域では、ASENV信号の信頼性が低いので、適切な制御が困難である。
図9を参照して、Measureアクセスでは、リードアクセスと同様に、ある領域から特定の領域へ光ヘッド部を移動させ、フォーカスおよびトラッキング引き込み等の一連の制御動作であるSEEK動作を行う。SEEK動作が完了すれば、制御タイミングポイント(A)において、TROK信号がHI状態となる。その後、制御タイミングポイント(A)からウォブル信号用PLL112(図1)が引き込み動作を開始し、制御タイミングポイント(B)において、PLL引き込みを完了させ、WBLPLLOK信号がHI状態になる。このWBLPLLOK信号をトリガーに、データ信号用PLL116の周波数制御が動作し始める。データ信号用PLL116は、ウォブル信号用PLL112からのクロック信号を用いて周波数制御を行うため、ウォブル用PLLがロック状態になってから動作させる必要がある。
制御タイミングポイント(C)は、ウォブル中に挿入されたADIPアドレス情報の同期と所定回数連続性の確認が完了し、ADIPアドレス情報基準で各制御が動作し始めるポイントである。Measureアクセスでは、データ中にAUNアドレス情報が挿入されていない特殊記録パターンで記録されている領域へのアクセスを前提としているため、AUNアドレス情報は取得しないで、ADIPアドレス情報基準でアクセスする(このときのアクセス動作は、AUNアドレス情報よりも先にADIPアドレス情報が検出された場合のアクセスと同様のアクセス動作となる)。もちろん、ユーザーデータ領域へのMeasureアクセスに対しては、AUNアドレス情報基準でのアクセスでも構わない。この場合は、ADIPアドレス情報およびAUNアドレス情報のうちの先に検出されたアドレス情報を用いて、アドレス情報検出後のアクセス動作を実行する。
Measureアクセスの中でも、上記で説明した記録品質が保証されないテスト記録領域(OPC領域)へのアクセスと、ユーザー領域へのアクセスとで、制御方法を変更してもよい。図9の例は、OPC領域へのMeasureアクセスである。このポイント(C)で、制御状態制御信号は、SEEK(状態1)からMeasure(状態4)に移行する。このポイントでは、AGC制御リセット信号がHI状態に移行してAGC制御を停止させ、位相制御リセット信号がHI状態に移行してPLL制御を停止させる。
制御タイミングポイント(D)から(E)の区間は、ターゲットとする領域(=アドレス)を測定する区間である。この区間では、AGCとPLLと適応等化をリセット解除状態にし、動作させる。ASENV信号でマスク制御していたHPF制御信号と位相制御ホールド信号を解除する。ターゲット領域を再生中にASENV信号が未検出となった場合に、HPF特性が急激に変化したり、PLL制御がホールド状態になったりするのを避けるためである。ASENV信号が未検出や誤検出とならない工夫がされていれば、このような処理をする必要はない。アクセスの目的ごとに、またはアクセス領域ごとに、再生信号処理の制御を変更することは、システムの安定化に有効である。
図11は、未記録領域検出アクセスする場合の制御タイミングフローチャートを示している。未記録領域検出アクセスは、データを追記する際の記録つなぎ位置部分(アドレス)を検出するためのアクセスである。主として、ユーザー領域で用いるが、テスト記録領域でも使用される。例えば、未記録領域検出アクセスでは、未記録領域および記録済領域問わずアクセスし、ユーザーデータ中のAUNアドレス情報単位、またはAUNアドレス情報よりも精度の高いフレーム単位の同期信号を用いて、アクセスした領域が未記録か記録済みかの判定をするために、AGC制御およびPLL制御を安定に動作させる必要がある。例えば、ASENV信号を制御信号として用いる。しかし、種々の要因で、未記録とも記録済みとも判断できない領域を残すことがある。その場合は、ASENV信号については未検出または誤検出となり、ASENV制御が不安定になる。そのため、ASENV信号の未検出や誤検出で影響の大きいAGC制御を動作させない等の処理を行う。この場合、A/D変換回路114(図1)には、ほぼ適切な振幅の信号が入力されることが前提である。
未記録領域検出アクセスでは、上記他のアクセスと同様に、ある領域から特定の領域へ光ヘッド部を移動させ、フォーカスおよびトラッキング引き込み等の一連の制御動作であるSEEK動作を行う。SEEK動作が完了すれば、制御タイミングポイント(A)において、TROK信号がHI状態となる。その後、制御タイミングポイント(A)からウォブル信号用PLL112(図1)が引き込み動作を開始し、制御タイミングポイント(B)において、PLL引き込みを完了させ、WBLPLLOK信号がHI状態になる。このWBLPLLOK信号をトリガーに、データ信号用PLL116の周波数制御が動作し始める。データ信号用PLL116は、ウォブル信号用PLL112からのクロック信号を用いて、周波数制御を行うため、ウォブル用PLLがロック状態になってから動作させる必要がある。
制御タイミングポイント(C)は、ウォブル中に挿入されたADIPアドレス情報の同期と所定回数連続性の確認が完了し、ADIPアドレス情報基準で各制御が動作し始めるポイントである。未記録領域検出アクセスでは、未記録領域と記録済領域が混在している領域へのアクセスを前提としているため、AUNアドレス情報は取得しないで、ADIPアドレス情報基準でアクセスする(このときのアクセス動作は、AUNアドレス情報よりも先にADIPアドレス情報が検出された場合のアクセスと同様のアクセス動作となる)。図11は、データ領域の未記録領域から記録済領域にかけての未記録領域検出アクセスを示している。ポイント(C)で、制御状態制御信号は、SEEK(状態1)から未記録検出(状態5)に移行する。このポイントでは、AGC制御リセット信号がHI状態に移行してAGC制御を停止させ、位相制御リセット信号がHI状態に移行してPLL制御を停止させる。
制御タイミングポイント(D)から(F)の区間は、ターゲットとする領域(=アドレス)であり、ポイント(D)から(E)の区間は未記録領域で、ポイント(E)から(F)の区間は記録済領域である。この区間では、PLLと適応等化をリセット解除状態にし、動作させる。ASENV信号でマスク制御していたHPF制御信号を解除する。AGC制御はリセット状態のままで、PLLのホールド制御はASENV信号による制御とする。
ここまで、リードアクセス、測定(Measure)アクセス、未記録領域検出アクセスの動作の流れを、タイミングフローチャートを用いて説明した。アクセスの目的ごとに、またはアクセス領域ごとに、再生信号処理の制御を変更することは、システムのアクセスの高速化および安定化に有効である。
(実施形態2)
次に、図12を参照して、記録済領域と未記録領域とが混在した領域に安定してアクセス(再生、測定等)できる光ディスク装置10を説明する。図12は、本実施形態の光ディスク装置10を示すブロック図である。
図12に示す光ディスク装置10は、光ヘッド部101と、モータ102と、サーボ回路103と、アナログ信号処理部104と、パワー制御部105と、データ変調部106と、再生信号処理装置107と、記録再生タイミング制御部108と、CPU109とを備える。
本実施形態では、以下のようにPLL116を制御することで、安定したアクセスを実現する。PLL116は、所定の信号を用いて、PLLの同期対象を再生信号(RF信号)とWBLPLLクロック信号との間で適時切り替えることで、安定したアクセスを実現することができる。上記所定の信号として、再生信号に含まれる再生RFエンベロープ信号から生成されるASENV信号や、データ再生時に検出できるシンク検出状態信号およびアドレス検出状態信号がある。ASENV信号は、RFエンベロープ信号のレベルを所定のしきい値レベルと比較して生成する。例えば、RFエンベロープ信号のレベルがしきい値レベルより大きければASENV信号はHIとなり、小さければLOWとなる。記録再生タイミング制御部108は、アクセスの目標領域が未記録領域および記録済み領域のどちらかであるかの判別を、このエンベロープ信号に基づいて行う。記録再生タイミング制御部108は、例えば、記録媒体に記録されたデータの再生状態に応じて、PLL116の同期対象を再生信号とWBLPLLクロック信号との間で切り替える。以下、アクセス動作をより詳細に説明する。
ここで、図7を参照して説明したリードアクセスについて、図13を参照しながらさらに説明する。図13(a)は、データが記録されたユーザー領域においてAUNアドレス情報基準でアクセス制御が行われる状態で、途中に未記録領域がある場合のアクセス例を示す。RD信号とDTGT信号は、上記で説明した信号である。ここで、記録再生タイミング制御部108は、新たにPFMOK信号を生成する。PFMOK信号は、DTGT信号の立ち上がり、またはデータ中の同期信号が所定回数連続検出された場合にHI状態となり、データ中の同期信号が所定回数連続検出されない場合は、LOW状態となる。このPFMOK信号を用い、PFMOK信号がLOW状態のときに、AGCおよびPLLをリセットまたはホールドすることで、安定なアクセスを実現できる。ただし、このPFMOK信号を使用できるアクセスは、記録データ中に同期信号が挿入されている記録済領域に対してのみであり、リードアクセスまたは未記録領域検出アクセスの一部として用いることができる。PFMOK信号の特徴は、各RUBの先頭で必ず一度、リセットまたはホールド制御を解除することである。この制御を行うことで、次のRUBへの再生信号処理制御への影響を防ぐことが可能である。FMOK信号は、所定回数連続して同期信号を検出しないとHI状態とならなかったため、次のRUBへの影響を防ぐことができなかった。このように、ASENV信号の変わりにPFMOK信号を用いれば、安定なアクセスを実現できる。
また、さらなる例として、図7を参照して説明したリードアクセスについて、図13(b)を参照しながらさらに説明する。図13(b)は、データが記録されたユーザー領域においてAUNアドレス情報基準でアクセス制御が行われる状態で、途中に未記録領域がある場合のアクセス例を示す。RD信号とDTGT信号とASENV信号は、上記で説明した信号である。この例では、記録済領域でASENV信号の未検出があった場合と、未記録領域でASENV信号の誤検出があった場合を示している。これらのASENV信号の未検出および誤検出の影響を排除し、且つ次の領域へのアクセスに対する影響を防ぐために、記録再生タイミング制御部108は、新たにASENVDT信号を生成する。ASENVDT信号は、所定区間のASENV信号をサンプリングし、積算し、所定の閾値と比較して、未記録領域か記録済領域かを判断するための信号である。すなわち、ASENV信号に対して多数決判定をするための信号である。また、次のアクセス領域への影響を防ぐために、データ単位の始端位置を示すDTGT信号の立ち上がりでは必ずHI状態とする。これは、判断が所定区間後に行われることで、アクセス領域の先頭が記録済領域であった場合でも未記録領域として判断してしまうことを回避するためである。アクセス領域が未記録領域であったとしても、所定区間を所定回数連続して多数決判定した結果、未記録領域と判断して、ASENVDT信号をLOW状態にするため、次の領域へのアクセスに影響することはない。
所定区間を所定回数連続して未記録領域と判断した場合、ASENVDT信号はLOW状態となる。所定区間を所定回数連続して記録済領域と判断した場合、ASENVDT信号はHI状態となる。上記所定区間とは、例えば、フレーム単位(例えば、2000T)としてもよい。上記積算結果の所定の閾値とは、例えば、所定区間検出される最大値の80%としてもよい。記録済領域および未記録領域の判断として用いる上記所定回数連続個数は、例えば、2回としてもよい。これらは、特に限定されない。このASENVDT信号を用いて、ASENVDT信号がLOW状態のとき、AGCおよびPLLをリセットまたはホールド制御することで、安定なアクセスを実現できる。このように、ASENV信号の変わりに、ASENVDT信号を用いれば、安定なアクセスを実現できる。もちろん、上記で説明したPFMOK信号とASENVDT信号を組み合わせてAGCおよびPLL等を制御してもよい。
さらに、これらの信号(PFMOK信号、ASENVDT信号)と、ASENV信号とを組み合わせて、AGCおよびPLL等を制御してもよい。ASENV信号とASENVDT信号とを組み合わせた信号をPLLの動作制御に用いた例を説明する。ASENV信号およびASENVDT信号が、未記録の場合はLowを示し、記録済みの場合はHIを示すとすると、!ASENV OR !ASENVDTの論理によって、PLLを制御することができる。ASENV信号については未検出および誤検出の可能性はあるが、検出スピードが速い。一方、ASENVDT信号については、ASENV信号の多数決判定によって生成された信号であるため、未検出および誤検出の可能性は低いが、検出スピードは遅い。上述したように、ASENVDT信号は、検出遅れ対策として、クラスターの先頭で一旦強制的にHIとし、その後、ASENV信号の多数決判定で未記録領域と判断された場合はLOWとなり、記録済領域と判断された場合はHIのままとなる。!ASENV OR !ASENVDTがHIの場合、PLLをホールドするか、または、下記で説明するWBLPLLクロック信号に同期させるモードに変更し、Lowの場合は再生データに同期させる制御を行う。このような制御を行うことで、未記録領域ではASENV信号の誤検出によるPLLの誤動作を回避でき、記録済領域では高速にデータを検出できるため、データの再生を安定に行うことができる。
ここで、上記とは異なったPLL制御の例を説明する。上記では、未記録領域と判断した場合またはアクセスに応じて、PLLをリセットするまたはASENV信号等に基づいてホールドする例を説明した。ここで説明するPLL制御方法では、ウォブル信号用PLL112(図1)で生成されるシステムクロックに、データ信号用PLL116を位相同期させる。図14に、PLL回路116を示す。図2に示したPLL回路と異なる点は、位相誤差検出回路204に、WBLPLLクロック信号を入力させている点である。記録再生タイミング制御部108(図1)は、アドレス情報検出の後のアクセス状態に応じて、再生信号およびADIPクロック信号のうちのどちらに、PLL回路116のクロック信号の位相を同期させるかを選択する。
PFMOK信号およびASENVDT信号等により未記録領域と判断された場合、位相誤差検出回路204は、出力する位相誤差信号をDC制御回路201の出力信号から生成される位相誤差信号から、WBLPLLクロック信号から生成される位相誤差信号へと切り替える。また、上記で説明したアクセスに応じて、所定のタイミングで位相誤差信号出力を切り替える。例えば、MEASUREアクセスの場合、ターゲット領域まではWBLPLLクロック信号から生成される位相誤差信号を出力し、ターゲット領域ではDC制御回路201の出力信号から生成される位相誤差信号を出力する。このような制御によれば、PLL回路が常に適切な信号に位相同期することができ、各種アクセスによるシステム動作を常に安定化させることが可能である。また、WBLPLLクロック信号が記録クロック信号である場合は、データ再生クロック信号と周波数がほぼ同じであるため、データ記録領域でのPLL引き込みが容易に行えることが利点でもある。この制御方法は、トラックのウォブリングに応じたウォブル信号が生成できるフォーマットが前提である。ウォブル信号は、未記録領域でも記録済領域でも安定に再生することができ、そのため、PLL回路116は、WBLPLLクロック信号を常に安定に得ることができる。
上記では、PLLの位相制御として、WBLPLLクロック信号に同期させるモードと、再生データに同期させるモードに適時切り替えることで、PLLの位相制御を安定化させることを説明した。さらに具体例を挙げ、本発明の利点を説明する。
図15を参照して、再生周波数が変化している場合のPLL制御を説明する。再生周波数数が変化するケースとしては、CLV(Constant Linear Velocity)制御におけるモータ回転設定途中の再生信号の周波数変化や、CLV制御下で記録されたデータをCAV(Constant Angular Velocity)制御下で再生したときの再生信号の周波数変化がある。上述したように、本発明では、例えば、ASENV信号とASENVDT信号を組み合わせた信号を用いて、PLL制御を行う。!ASENV OR !ASENVDT信号がLOWの区間では、位相を再生信号に同期させ、HIの区間では、位相をWBLPLLクロックに同期させる。このように制御することで、PLLは常に何らかの信号に同期でき、常に安定な状態を維持することができる。その結果、未記録領域から記録済領域へ移動する図15の制御タイミングポイント(B)および(D)において、再生周波数が変化したとしても周波数誤差がほとんどない状態で、PLLの引き込み動作を行えるため、PLL引き込み動作が常に安定するという効果がある。
ASENV信号の未検出は、傷または指紋等のディフェクトで発生する場合がある。この場合、ASENV信号がLowとなった区間で、!ASENV or !ASENVDTは、Lowとなり、WBLPLLクロック同期モードに、切り替わる。ディフェクト部分では、再生信号に外乱が入り、再生信号との同期の維持が困難となり、PLLのロックしている周波数が大きく外れる場合がある。その場合は、一旦、WBLPLLクロックへの同期に切り替えることで、ロックする周波数を安定に維持することができ、ディフェクト部分通過後の再引き込みを安定に行うことができる。
次に、図16を参照して、再生周波数が変化する状況下でASENV信号によるPLLのホールド制御のみを行うPLL制御を説明する。この方式では、未記録領域の誤検出が発生すると、未記録領域であるにもかかわらずPLLのホールド制御が解除されるため、PLLに適切な位相情報が入らず不安定になる場合があった。また、未記録領域ではPLLをホールド制御するため、再生周波数変化に追従できず、未記録領域から記録済領域への移動する図16の制御タイミングポイント(B)および(D)において、PLL引き込みを安定に行うことができない場合があった。
また、上述したようなASENV信号の未検出部分では、PLLはホールド状態となり、ディフェクト等によるPLLへの外乱を防ぎ、ディフェクト通過後の再引き込みを安定に行う。但し、図16に示すような、再生信号が変化している状況でのPLLのホールドは、周波数追従を一時的にストップさせることを意味し、PLLの再生引き込みが困難となる場合があった。
ここで、上記とは異なったPLL制御の例を説明する。図2に示すPLL回路116では、WBLPLLクロック信号を用いて周波数制御および位相制御の両方を行っていた。ここでは、WBLPLLクロック信号による周波数制御と、再生信号に含まれる同期信号による周波数制御とを切り替えるPLL制御を説明する。図17に、PLL回路116を示す。図2に示したPLL回路116と異なる点は、周波数誤差検出回路202に、DC制御回路201の出力信号を入力させている点である。周波数誤差検出回路202は、再生信号に含まれる同期信号を抽出する。周波数制御の切り替えは、例えば、周波数制御信号で行う。再生信号に含まれる同期信号による制御では、ウォブル信号用PLL112の状態に影響を受けることなく周波数制御および位相制御ができるため、高速なPLL引き込みが可能である。これは、例えば、ウォブル信号が得られないROM(Read Only Memory)ディスクで用いるPLL引き込み方法である。この周波数制御方法は、未記録領域が無い場合および、AUNアドレス情報が取得できる領域へのアクセスで用いることができる。このため、CPU109(図1)は、アクセスするディスク媒体の領域の状態を把握し、周波数制御を切り替えることによって、高速なアクセスを実現できる。CPU109は、自己記録再生の時に、または管理情報により、アクセスする領域の状態を知り得るので、周波数制御を切り替えることが可能である。
記録再生タイミング制御部108(図1)は、ADIPアドレス情報およびAUNアドレス情報の一方が検出されたタイミング、アドレス情報検出の後のアクセスの目標領域に達したタイミング、アドレス情報検出の後のアクセスの目標領域が未記録領域および記録済み領域のどちらであるか判定されたタイミング等のタイミングでPLL116の動作を変更する。記録再生タイミング制御部108は、アクセス位置がアクセスの目標領域内であるか否かに応じてPLL116の動作を変更する。
また、測定アクセスを行う場合、記録再生タイミング制御部108は、アクセス位置がアクセスの目標領域内の時はPLL回路116が生成するクロック信号の位相を再生信号に同期させる。また、アクセス位置が目標領域外の時はPLL回路116が生成するクロック信号の位相を、WBLPLLクロック信号に同期させる。
ここで、ADIPアドレス情報とAUNアドレス情報の両方を取得し、先に検出されたアドレスを基準にアクセスする制御のリカバリー処理を説明する。ADIPアドレス情報はウォブル信号に重畳された情報であるため、間違ったアドレスが検出される可能性は低い。一方、AUNアドレス情報は、AUNアドレス情報が適切に挿入された記録領域でのみ適切に検出できる。記録方法には、特定のパターンを記録する方法もあるため、必ず適切なAUNアドレス情報を検出できるとは限らない。AUNアドレス情報を基準にアクセス中でもADIPアドレス情報との矛盾が検出されれば(すなわち、検出されたAUNアドレス情報およびADIPアドレス情報が互いに異なったアドレスを示している場合)、ADIPアドレス情報基準のアクセスに切り替えてもよい。その切り替えは、所定回数のリトライ処理後に行ってもよい。または、AUNアドレス情報基準アクセス中でも、色々な原因によりAUNアドレス情報が検出出来なくなる場合がある。そのときは、ADIPアドレス情報基準のアクセスに切り替えてもよい。AUNアドレス情報基準のアクセスでは、アドレス情報量がADIP情報よりも密なため(図24)、検出できれば最大限利用することで、アクセススピードを向上させることが可能だが、検出されない場合は、もちろんADIPアドレス情報基準のアクセスに切り替える必要がある。
なお、光ディスク装置10(図1)は、ウォブル信号用PLL112とデータ信号用PLL116の2つのVCOを備えているが、ウォブル信号とデータ信号を1つのVCOで周波数および位相同期させる構成であってもよい。
また、上記では、アクセスごとに再生信号処理制御を変更する動作の説明を行ったが、これに限定されない。例えば、ユーザー領域、ディスク媒体の内周または外周に配置されているテスト記録領域のような領域ごとに再生信号処理制御を変更してもよい。これは、ユーザー領域とテスト記録領域では、記録される信号の品質またはパターンが異なる場合があるからである。ユーザー領域とテスト記録領域の物理的は位置が分かっている場合は、アクセスする半径位置に応じて再生信号処理制御を変更してもよい。
また、アドレス情報検出の後のアクセスの目標領域がOPC領域や欠陥領域である場合は、それらの目標領域に到達するまではADIPアドレス情報およびAUNアドレス情報のうちの先に検出された方を用いてアクセスを制御し、テスト記録領域に到達するとADIPアドレス情報を用いてアクセスを制御してもよい。
なお、図12に示す光ディスク装置10からはADIP再生部113およびAUN再生部120が省略されてもよい。
また、光ディスク装置10(図1、図12)は、記録再生装置として説明してきたが、再生専用装置であってもよい。
また、再生信号処置装置107、記録再生タイミング制御部108およびCPU109は、LSI(Large−Scale Integration)等の半導体集積回路で実現され得る。また、これらの構成要素は、DSP(Digital Signal Processor)で実現されてもよいし、また、機能ごとにLSIとDSPとに分離して実現されてもよい。
(実施形態3)
次に、光ディスク装置10(図1)が備えるPR等化フィルタ部117の制御について説明する。図18は、PR等化フィルタ部117を示す。本実施形態は、上記で説明したLMSアルゴリズムを用いたフィルタ係数の更新を行う。特に、フィルタ係数の更新制御アルゴリズムについて限定されるものではなく、他のアルゴリズムを用いてもよい。PR等化フィルタ部117は、FIRフィルタ部701と、誤差信号検出部702と、相関検出部703と、ループゲイン設定部704と、係数演算部705とを備える。PR等化フィルタ部117は、位相同期されたサンプリングデジタルデータ信号と、PR等化教師信号が入力される。PR等化フィルタ部117は、記録再生タイミング制御部108(図1)からの制御信号に従って各種動作を行い、所望のフィルタ処理されたデジタルフィルタ信号を出力する。
FIRフィルタ部701は、図23に示すFIRフィルタと同じ構成を有する。誤差信号検出部702は、上述した(式1)のe(nT)を算出し、入力されたPR等化教師信号とフィルタ出力との差を誤差信号として出力する。相関検出部703は、(式1)のe(nT)・x(nT)を算出する。ループゲイン設定部704は、(式1)のAを乗算し、PR等化フィルタ部117の係数更新ループのループゲインを設定する。係数演算部705は、ループゲイン設定部704からの誤差信号からフィルタの係数を更新し、FIRフィルタ部701へ出力する。
本発明では、フィルタ係数を更新するループが、ディフェクト等の外乱により破綻した場合に、誤検出無く安定にループ状態を正常に戻すための処理を行う。図19を参照して、ループ復帰処理のフローを説明する。図19の(A)に、PR等化フィルタ部117の出力であるデジタルフィルタ出力信号を示す。この例では、PR(1、2、2、1)等化処理され、振幅方向に7つの等間隔レベルとして出力される。(A)は、ループ破綻区間、リセット区間、およびそれ以外の正常動作区間を示している。図19の(B)は、同期信号の検出フラグを示し、検出されればHI状態を示す。同期信号はデータ中に等間隔で挿入されており、例えば2000T(Tは、チャネルクロック)ごとに挿入されている。図19の(C)は同期確認信号を示しており、所定間隔(例えば2000T間隔)ごとに所定回数連続して同期信号が検出されればHI状態となり、所定回数連続検出されなければLOW状態となる。図19の(D)はリスク管理信号を示しており、同期信号の数倍区間(例えば、8同期信号)ごとにHI状態となる。図19の(E)は係数リセット信号を示しており、適応フィルタのループおよびフィルタ係数を初期状態にする。HI状態区間でリセット(初期状態)とする。図19の(F)は異常ステータス信号を示しており、同期確認信号の状態をリスク管理信号ごとにサンプリングし、その状態をカウントし、状態を決定する信号である。この例では、リスク管理信号の立ち上がり位置で同期確認信号がLOW状態になった場合はカウントアップし、状態を0から1へ、1から2へとアップし、2の状態となってから、係数リセット信号をLOW状態にして、適応フィルタのループを初期状態にし、数同期区間経過してからリセット状態を解除させループ動作を復帰させる。これは、ループが破綻する原因であるディフェクト領域を十分通過してからループを復帰させるためである。この例で説明した各区間の設定は、異常時に頻発するディフェクトの大きさに応じて行ってもよい。また、同期確認信号を用いて、係数リセット信号を制御してもよい。
本発明によれば、ディフェクト等による外乱が原因で、適応フィルタのループが破綻状態となっても、ディフェクト領域を十分通過した位置でループ動作を復帰させることで、ループ破綻が伝播することを防ぐことができ、安定なシステムを提供することができる。
なお、本発明は、適応等化フィルタのみに限定されない。常時更新されるパラメータを有する制御に対して有効である。例えば、ビタビ復号部118(図1)の期待値を適応的に変更する場合は、本発明の制御方式を用い、期待値をリセットして初期化状態に戻し、破綻した制御システムを復帰させることができる。
(実施形態4)
図18に示すPR等化フィルタ部117の制御動作についてさらに説明する。ここでは、所定の記録単位ごとにフィルタ係数の初期値を更新する制御方法を説明する。
図5を参照して、データフォーマットにはいろいろな種類があるが、ここでは3つの例を説明する。図5(a)は、記録単位毎にバッファ領域を有するデータフォーマットを示し、記録単位がバッファと16セクタとバッファで構成される。図5(b)は、バッファ領域を持たないデータフォーマットを示し、記録単位が16セクタで構成される。図5(c)は、セクタがヘッド領域とデータ領域を有するデータフォーマットであり、記録単位は1セクタである。
バッファ領域は、追記用の記録位置調整のために用いられたり、レーザ光のテスト発光領域として用いられたりし、記録フォーマットが全く異なってしまっている場合もある。そのため、記録状態(再生状態)が保証されない場合がある。そのため、適応フィルタのように常時パラメータを更新する制御ブロックでは、その領域では制御ループをホールドし、次のデータ領域でそのホールド状態を解除する。また、データ領域ごとにフィルタ係数を初期化する。ホールド制御を施した場合、ホールドした時点のパラメータが適切でなかった場合、次のデータ領域の再生にも影響する場合がある。データ領域ごとに初期化(所定の一定値に戻す処理)をした場合、適応フィルタが適切なフィルタ係数に収束するまでに再生性能が悪化する場合があった。
図20を参照して、フィルタ係数の初期値を更新する処理のフローを説明する。図20の(A)は再生信号を示しており、ディスク上の傷や指紋等によるディフェクトがデータ領域の一部にあり、再生振幅が極端に小さい領域があることを示す。図20の(B)はRUB境界信号を示しており、バッファ領域とデータ領域を識別するための信号である。図20の(C)は、データ領域を再生した時にエラー訂正可能であったかどうかを示す信号を示しており、エラー訂正可能の場合は、次のバッファ領域の所定の位置でHI状態となる。図20の(D)は、フィルタ係数制御をホールド状態にする区間を示す信号を示している。HI状態では制御ループをホールドする。図20の(E)は、フィルタ係数を初期値に戻すリセット信号を示している。図20の(F)は、フィルタ係数の初期値の変化を示している。このように、データ領域毎の再生状態をエラー訂正OK信号で確認し、係数ホールド区間においてエラー訂正OK信号がHI状態となれば、フィルタ係数の初期値を更新する。この場合、フィルタ係数をバッファ領域でホールドし、先のデータ領域のフィルタ係数を次のデータ領域の初期値として用いる。すなわち、バッファ領域以外のデータ領域では、適応フィルタ制御ループを初期化することなく、常に更新している状態である。一方、係数ホールド区間において、エラー訂正OK信号がLOW状態となれば、フィルタ係数の初期値の更新は停止され、さらに、データ領域(Z)におけるフィルタ係数の初期値は、データ領域(X)で更新された係数初期値(C)を用いる。
このように、エラー訂正信号を用いて、フィルタ係数の初期値更新制御、ホールド制御およびリセット制御を行えば、常に最適なフィルタ係数を用いることができ、再生性能をどの領域においても良好に保つことができる。初期値更新値は、データ領域の最後で決定した係数であってもよい。また、初期値更新値は、データ領域中で更新された値の平均値であってもよい。平均値の場合は、すべての値を平均化するのではなく、適切に間引いた区間の係数の平均値としてもよい。
また、この例では、エラー訂正信号を、フィルタ係数の初期値更新、ホールドおよびリセットの判断に用いたが、本発明はこれに限定されない。再生信号の評価値を所定の閾値と比較して、その比較結果を用いて、フィルタ係数の初期値更新、ホールドおよびリセットを行ってもよい。再生信号の評価値は、再生性能と相関性のある指標値である必要がある。例えば、ジッタ指標、アシンメトリ指標(例えば特許文献5参照)、PRML誤差指標(例えば特許文献6参照)である。これらの再生信号指標を用いる場合は、フォーマット通り(エラー訂正処理可能)の記録パターンを用いる必要がないため、特定のパターンで記録された領域の再生に有効である。
なお、本発明は、適応等化フィルタに限定されない。常時更新されるパラメータを有する制御に対して有効である。
本発明を実現するために、係数演算部705(図18)を制御すればよい。係数演算部705を図21に示す。係数演算部801は、ループゲイン設定部からの誤差信号からフィルタ係数値を算出し、制御信号Aによりホールド状態をONまたはOFFする。初期係数更新値ブロック802は、制御信号Bによって、係数演算部801からのフィルタ係数を更新する。初期係数値ブロック803は、適応フィルタが動作し始める時の設計値が初期値として入力されている。セレクタ804は制御信号Cによって制御され、係数演算部801、初期係数更新値ブロック802または初期係数値ブロック803から受け取ったフィルタ係数をFIRフィルタ部701(図18)へ出力する。図21に示す制御信号Aは図20の(D)係数ホールド信号に相当し、制御信号Bは(C)エラー訂正OK信号と(D)係数ホールド信号とのアンド信号に相当する。
上述したように、光ディスク装置10は、記録媒体または伝送媒体から読み取られた再生信号に対して、適応的に所定の係数を更新しながら2値化信号を生成する。係数制御部は所定の係数を所定のタイミングでホールドまたはリセット制御し、再生信号評価部は再生信号の品質を評価し、再生信号評価部の評価結果から係数制御を行う。再生信号評価部は、再生信号のジッタ値、アシンメトリ値、エラー訂正結果、エラーレート値およびPRML誤差指標値のうちの少なくとも1つを測定する測定部を備える。この測定部によって測定された値に基づいて、係数をホールドまたはリセット制御する。適応等化部は、所望のPR(Partial Response)特性となるようにLMS(Least Mean Square)アルゴリズムに基づきディジタルフィルタの係数を制御する。同期信号検出部は再生信号の同期信号を検出し、間隔測定部は所定の間隔を測定する。この所定間隔で検出される同期信号の検出性能から係数制御を行う。
なお、本発明の光ディスク装置10(図1)の各構成要素は、ハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアにより実現されてもよい。例えば、再生信号処置装置107、記録再生タイミング制御部108およびCPU109の動作の少なくとも一部が、コンピュータにより実行可能なプログラムにより実現されてもよい。これらの構成要素は、例えば、半導体集積回路、プログラムが記録されたROM、プログラムが(プレ)インストールされたRAM、ダウンロードされたプログラムがインストールされたRAM等、およびこれらの組み合わせにより実現され得る。
なお、本発明は、ファイナライズレスの記録方式を採用した記録媒体へのアクセスに、より有効である。そこで、ファイナライズとファイナライズレスについて説明する。
ファイナライズとは、記録済み領域中に未記録領域が残らないようにするために、最新情報をユーザデータ領域に書き込んだ後、Lead−in領域とLead−out領域との間にあるユーザデータ領域に未記録領域を残さないように、全て記録済みにする記録方式である。
このファイナライズ処理は、DVD−ROM方式等(DPD信号によりトラッキングを行い、ピット情報からアドレスを検出する方式)にしか対応していない再生装置でも、DVD−RW/R等を再生できるようにするための処理である。DVD−RW/Rでは、未記録部には記録マークがなく(アドレス検出はウォブル信号を用いて行う)、プッシュプル信号によるトラッキングを行う方式を採用している。ファイナライズ処理では、未記録状態を記録済みにするため、その処理に非常に時間がかかる。
一方、ファイナライズレスとは、記録済み領域の中に未記録領域があっても、その未記録領域を残さないような処理(ファイナライズ処理)を行わない記録方式である。このようなファイナライズレスの記録方式を採用して記録領域と未記録領域が混在した記録媒体に対しても、本発明は、その記録媒体へのアクセス性能を高めることができる。例えば、本発明では、上述したように、アドレス情報を高速且つ安定に検出したり、安定した同期引き込み動作が可能である。
以上、説明したように、本発明の情報再生装置は、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体にアクセスする装置であって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記装置は、上記記録媒体へアクセスして再生信号を生成するヘッド部と、上記再生信号から上記第1アドレス情報を検出する第1検出部と、上記再生信号から上記第2アドレス情報を検出する第2検出部と、上記第1および第2検出部のうちの先にアドレス情報を検出した方の検出部の検出結果に基づいて、上記検出の後の上記記録媒体へのアクセスを制御する制御部とを備えることを特徴とする。
ある実施形態によれば、上記制御部は、目標アドレスに対して所定の範囲内のアドレスに到達するまでは、上記第1および第2アドレス情報のうちの先に検出されたアドレス情報の検出結果に基づいて、上記記録媒体へのアクセスを制御する。
ある実施形態によれば、上記制御部は、上記第1検出部の検出結果に基づいてアクセスを行うときと、上記第2検出部の検出結果に基づいてアクセスを行うときとで、上記ヘッド部の移動時のジャンプ回数を変更する。
ある実施形態によれば、上記記録媒体は、記録領域と未記録領域の混在を許可する記録方式の記録媒体である。
ある実施形態によれば、上記ヘッド部は、上記目標アドレスに対して所定の範囲内のアドレスに到達するまでは、上記記録媒体の半径方向に移動を行う。
ある実施形態によれば、上記制御部は、上記第1および第2検出部の一方の検出結果に基づいたアクセス時に、アクセスした領域で検出したアドレスが目標アドレスを越えていた場合は、上記第1および第2検出部の他方の検出結果に基づくアクセスに切り替える。
ある実施形態によれば、測定アクセス、未記録領域検出アクセス、記録アクセスの制御の場合、上記制御部は、上記目標アドレスに対して所定の範囲内のアドレスに到達した以降は、上記第1検出部の検出結果を用いる。
ある実施形態によれば、目標アドレスがテスト記録領域中のアドレスである場合、上記制御部は、上記テスト記録領域に到達するまでは、上記第1および第2アドレス情報のうちの先に検出されたアドレス情報の検出結果に基づいて上記記録媒体へのアクセスを制御し、上記テスト記録領域に到達した以降は、上記第1アドレス情報の検出結果に基づいてアクセスを制御する。
ある実施形態によれば、上記目標アドレスに対して所定の範囲内のアドレスに到達した以降で、上記第1検出部の検出結果と上記第2検出部の検出結果とが異なった場合は、上記制御部は、上記第1検出部の検出結果に基づいて、上記検出の後の上記記録媒体へのアクセスを制御する。
ある実施形態によれば、上記ヘッド部は、上記目標アドレスに対して所定の範囲内のアドレスに到達するまでは、上記記録媒体の半径方向に移動を行う。
ある実施形態によれば、上記制御部は、上記第1検出部の検出結果に基づいてアクセスを行うときと、上記第2検出部の検出結果に基づいてアクセスを行うときとで、上記ヘッド部の移動時のジャンプ回数を変更する。
ある実施形態によれば、上記記録媒体は、記録領域と未記録領域の混在を許可する記録方式の記録媒体である。
ある実施形態によれば、上記制御部は、上記第1および第2検出部の一方の検出結果に基づいたアクセス時に、アクセスした領域で検出したアドレスが目標アドレスを越えていた場合は、上記第1および第2検出部の他方の検出結果に基づくアクセスに切り替える。
本発明の情報再生方法は、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体にアクセスする方法であって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記方法は、上記記録媒体へアクセスして再生信号を生成するステップと、上記再生信号から上記第1アドレス情報を検出するステップと、上記再生信号から上記第2アドレス情報を検出するステップと、上記第1および第2アドレス情報のうちの先に検出されたアドレス情報に基づいて、上記検出の後の上記記録媒体へのアクセスを制御するステップとを包含することを特徴とする。
本発明のアクセス制御装置は、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体へのアクセスを制御する制御装置であって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記制御装置は、上記第1および第2アドレス情報のうちの先に検出されたアドレス情報に基づいて、上記検出の後の上記記録媒体へのアクセスを制御することを特徴とする。
本発明のアクセス制御方法は、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体へのアクセスを制御する制御方法であって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記制御方法は、上記第1および第2アドレス情報のうちの先に検出されたアドレス情報に基づいて、上記検出の後の上記記録媒体へのアクセスを制御するステップを包含することを特徴とする。
本発明のアクセス制御プログラムは、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体へのアクセスを制御する制御処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記制御処理は、上記第1および第2アドレス情報のうちの先に検出されたアドレス情報に基づいて、上記検出の後の上記記録媒体へのアクセスを制御するステップを包含することを特徴とする。
本発明の情報再生装置は、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体にアクセスする装置であって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記装置は、上記記録媒体へアクセスして再生信号を生成するヘッド部と、上記第1アドレス情報を含む再生信号に同期した第1クロック信号を生成する第1PLL部と、上記第2アドレス情報を含む再生信号に同期した第2クロック信号を生成する第2PLL部と、上記第2PLL部を制御する制御部とを備え、上記第2PLL部は、上記第1クロック信号を受信し、上記制御部は、上記再生信号および上記第1クロック信号のうちのどちらに上記第2クロック信号の位相を同期させるか切り替えることを特徴とする。
ある実施形態によれば、上記制御部は、アクセスの目標領域が未記録領域および記録済み領域のどちらかであるかによって上記切り替えを行う。
ある実施形態によれば、上記制御部は、アクセスの目標領域内であるか目標領域外であるかによって上記切り替えを行う。
ある実施形態によれば、測定アクセスを行う場合、上記制御部は、アクセス位置が上記アクセスの目標領域内の時は上記第2クロック信号の位相を上記再生信号に同期させ、アクセス位置が目標領域外の時は上記第2クロック信号の位相を上記第1クロック信号に同期させる。
ある実施形態によれば、上記制御部は、上記記録媒体に記録されたデータの再生状態によって上記切り替えを行う。
ある実施形態によれば、上記制御部は、上記アクセスの目標領域が未記録領域および記録済み領域のどちらかであるかの判別を、上記再生信号に含まれるエンベロープ信号に基づいて行う。
ある実施形態によれば、上記制御部は、上記記録媒体に記録されたデータの再生状態によって上記切り替えを行う。
ある実施形態によれば、上記制御部は、アクセスの目標領域内であるか目標領域外であるかによって上記切り替えを行う。
ある実施形態によれば、測定アクセスを行う場合、上記制御部は、アクセス位置が上記アクセスの目標領域内の時は上記第2クロック信号の位相を上記再生信号に同期させ、アクセス位置が目標領域外の時は上記第2クロック信号の位相を上記第1クロック信号に同期させる。
ある実施形態によれば、上記制御部は、上記アクセスの目標領域が未記録領域および記録済み領域のどちらかであるかの判別を、上記再生信号に含まれるエンベロープ信号に基づいて行う。
本発明の情報再生方法は、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体にアクセスする方法であって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記方法は、上記記録媒体へアクセスして再生信号を生成するステップと、上記第1アドレス情報を含む再生信号に同期した第1クロック信号を生成するステップと、上記第2アドレス情報を含む再生信号に同期した第2クロック信号を生成するステップと、上記再生信号および上記第1クロック信号のうちのどちらに上記第2クロック信号の位相を同期させるか切り替えるステップとを包含することを特徴とする。
本発明のアクセス制御装置は、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体へのアクセスを制御する制御装置であって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記制御装置は、上記記録媒体からの再生信号と、上記第1アドレス情報を含む再生信号に同期した第1クロック信号とのうちのどちらに、データ再生に用いられる第2クロック信号の位相を同期させるかの切り替えを制御することを特徴とする。
本発明のアクセス制御方法は、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体へのアクセスを制御する制御方法であって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記制御方法は、上記記録媒体からの再生信号と、上記第1アドレス情報を含む再生信号に同期した第1クロック信号とのうちのどちらに、データ再生に用いられる第2クロック信号の位相を同期させるかの切り替えを制御するステップを包含することを特徴とする。
本発明のアクセス制御プログラムは、第1および第2アドレス情報が記録された記録媒体へのアクセスを制御する制御処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、上記第1アドレス情報は、上記記録媒体に予め形成された形状により表されており、上記第2アドレス情報は、上記記録媒体にデータと共に記録されたアドレス情報であり、上記制御処理は、上記記録媒体からの再生信号と、上記第1アドレス情報を含む再生信号に同期した第1クロック信号とのうちのどちらに、データ再生に用いられる第2クロック信号の位相を同期させるかの切り替えを制御するステップを包含することを特徴とする。