JP2006119183A - ディスプレイ用光学フィルムとその製造方法、それを用いた偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セルロース系ポリマーからなるディスプレイ用光学フィルムであって、原料ポリマーの形状が、粒径1〜10mm、かさ比重0.1〜1.0の円筒形、球形、直方体、不定形等の粒子で、平均粒径1mm以下の粉体を溶融温度以下の温度で造粒して形成したものであり、該原料ポリマーを用いて溶融押出し製膜することを特徴とするディスプレイ用光学フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
Description
セルロース系ポリマーからなるディスプレイ用光学フィルムであって、
原料ポリマーの形状が、粒径1〜10mm、かさ比重0.1〜1.0の円筒形、球形、直方体、不定形等の粒子で、平均粒径1mm以下の粉体を溶融温度以下の温度で造粒して形成したものであり、該原料ポリマーを用いて溶融押出し製膜することを特徴とするディスプレイ用光学フィルムの製造方法。
前記溶融押出し製膜が、原料ポリマーを単軸または二軸押出し機を用いて、該原料ポリマーのTg以上、Tg+100℃以下の温度範囲で溶融し、フラットなスリット間隙を持つTダイから押出し成形することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用光学フィルムの製造方法。
前記原料ポリマーが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートから選ばれる少なくとも1種のセルロースエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用光学フィルムの製造方法。
請求項1〜3の何れか1項に記載のディスプレイ用光学フィルムの製造方法により形成されたことを特徴とするディスプレイ用光学フィルム。
前記ディスプレイ用光学フィルムが、厚み20〜150μm、透過率85%以上、ヘーズ2%以下、表面粗さRaが1μm以下であることを特徴とする請求項4に記載のディスプレイ用光学フィルム。
前記ディスプレイ用光学フィルムの表面には、少なくとも帯電防止層、反射防止層、ハードコート層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも一層を有することを特徴とする請求項4または5に記載のディスプレイ用光学フィルム。
請求項4〜6の何れか1項に記載のディスプレイ用光学フィルムを保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
請求項7に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明は、溶融流延によって形成されセルロースフィルムを光学フィルムとして用いることを特徴とする。本発明において、前記溶液流延に用いる溶媒を用いずに、フィルム構成材料を加熱溶融し流延することを溶融流延として定義する。
本発明に係るセルロース樹脂は、セルロースエステルの構造を示し、脂肪酸アシル基、置換もしくは無置換の芳香族アシル基の中から少なくとも何れかの構造を含む、セルロースの前記単独または混合酸エステルである。
式(II) 0≦X≦2.5
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。上記アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているのものである。これらは公知の方法で合成することができる。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
〈粒径・粒度分布〉
原料ポリマーの形状が粒径1〜10mmというのは、粒度分布を測定したときに、平均粒径が1〜10mmの間にあり、かつ90質量%以上の粒子が1〜10mmの範囲にあることをいう。粒度分布の測定は、例えば、日機装(株)粒度分布測定装置マイクロトラックMT3000、島津製作所 SALD−2000A、等の粒度分布測定装置を用いて測定できる。
原料ポリマーのかさ比重は、体積既知の容器に充填した粉体の質量を測定することで求められる。例えば、筒井理化学器械(株)A.B.D粉体特性測定器などの専用の測定機を用いることで簡便にかつ精度よ測定することができる。
本発明でいう造粒とは、粉体のまま圧力をかけて所望形状のスクリーンから押出してカットする方法、融点以下の温度をかけて二軸ローターなどで練り所望形状のスクリーンから押出してカットする方法、等を含み、融点以上の温度をかけて溶融して二軸または単軸押出し機でダイからストランド状に押出してカットする方法、等は含まない。
溶融流延法による製膜は、溶液流延法と著しく異なり、流延する材料に揮発成分が存在すると、フィルムや位相差フィルムとしての機能を活用するためのフィルムの平面性及び透明性確保の点から好ましくない。これは製膜されたフィルムに揮発成分が混入すると透明性が低下すること、及びダイ−スリットから押出しされて製膜されたフィルムを得る場合、フィルム表面に筋が入る要因となり平面性劣化を誘発することがある。従って、フィルム構成材料を製膜加工する場合、加熱溶融時に揮発成分の発生を回避する観点から、製膜するための溶融温度よりも低い領域に揮発する成分が存在することは好ましくない。
本発明のセルロースエステルの原料ポリマーの加熱溶融前または加熱溶融時に添加剤を添加することができる。
本発明の光学フィルムに可塑剤として知られる化合物を添加することは、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水分透過率の低減等のフィルムの改質の観点において好ましい。また本発明で行う溶融流延法においては、用いるセルロースエステル単独のガラス転移温度よりも、可塑剤の添加によりフィルム構成材料の溶融温度を低下させる目的、または同じ加熱温度においてセルロースエステルよりも可塑剤を含むフィルム構成材料の粘度が低下できる目的を含んでいる。
本発明に用いられる酸化防止剤について説明する。
セルロースエステルは高温下では酸によっても分解が促進されるため、本発明の光学フィルムにおいては酸捕捉剤を含有することが好ましい。
本発明において、製造後に偏光子保護フィルムとして晒される外光や液晶ディスプレイのバックライトからの光に対する安定化剤として、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含等まれる。
本発明の光学フィルムを液晶セルに対して外側に用いる偏光子保護フィルムとして用いる場合には、更に紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤とは、製造後に使用される環境下で紫外線によってフィルムを構成する材料が分解することを防ぐ効果のある材料である。セルロースエステル自体は比較的紫外線に対して強い材料であるが、その他の添加剤については紫外線に対して弱い化合物である場合もあるし、偏光子や液晶セルも紫外線に対して弱いものであるため、少なくとも外光があたる側の偏光子保護フィルムや、液晶ディスプレイのバックライトが入射する側の偏光子保護フィルムに付いては紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
本発明の光学フィルムは、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができ、微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低くできるので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
本発明の光学フィルムにおいて配向膜を形成して液晶層を設け、光学フィルムと液晶層由来のリターデーションを複合化して光学補償能を付与して、液晶表示品質の向上のためにこのような偏光板加工を行ってもよい。リターデーションを調節するために添加する化合物は、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、2つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリターデーション制御剤として使用することもできる。また二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、フィラー、シリカやケイ酸塩等の無機化合物、染料、顔料、蛍光体、屈折率調整剤、ガス透過抑制剤などが挙げられる。また、上記機能を有するものであれば、これに分類されない添加剤も用いることができる。
本発明の光学フィルムは、例えば米国特許第2,492,978号、同第2,739,070号、同第2,739,069号、同第2,492,977号、同第2,336,310号、同第2,367,603号、同第2,607,704号、英国特許第64,071号、同第735,892号、特公昭45−9074号、同49−4554号、同49−5614号、同60−27562号、同61−39890号、同62−4208号に記載の方法を参照して製膜できる。
本発明の光学フィルム製造に際し、延伸の前及び/または後で帯電防止層、透明導電層、ハードコート層、反射防止層、防汚層、易滑性層、易接着層、防眩層、ガスバリア層、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。特に、帯電防止層、ハードコート層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも1層を設けることが好ましい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
本発明の光学フィルムは、延伸操作により屈折率制御を行うことができる。延伸操作としては、セルロースエステルの1方向に1.0〜2.0倍及びフィルム面内にそれと直交する方向に1.01〜2.5倍延伸することで好ましい範囲の屈折率に制御することができる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムにはクリアハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが特に好ましい。また光学補償層を設けた偏光子保護フィルムや、延伸操作等によりそれ自身に適切な光学補償能を付与した偏光子保護フィルムの場合には、液晶セルと接する部位に配置することで、優れた表示性が得られる。
本発明の輝点異物とは偏光板を2枚直交状態(クロスニコル)にして配置しその間にセルロースエステルフィルム(例えばセルロースアセテートプロピオネート)を置き、一方の偏光子の側から光をあて、他方の偏光子の側から顕微鏡で観察したとき白く抜けて見える点であり、これがあるとディスプレイの欠陥となり、少ないほど高精細なディスプレイに適している。これはセルロースエステルの異物部分で屈折率が異なるために、光が漏れてくることにより起こると考えられ、原因のひとつは酢化の過程でアセチル化されずに残ったセルロース或いは十分に加熱溶融されなかった原料ポリマー粒子が絡んでいると推定される。
C−1:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8、分子量Mn=70000、分子量Mw=220000、Mw/Mn=3)
C−2:セルロースアセテートプロピオネート(CAP482−20(イーストマンケミカル社製))
C−3:セルロースアセテートブチレート(CAB171−15(イーストマンケミカル社製))
〈可塑剤〉
P−1:トリメチロールプロパントリベンゾエート
〈酸化防止剤〉
A−1:IRGANOX−1010(チバスペシャルティケミカルズ社製)
(実施例1)
本発明−1〜3のフィルム成形
セルロースエステルC−1を、(株)ホーライの粉砕機でスクリーンメッシュを変更して粉砕後、分級式ふるいにかけることで、平均粒子径0.2mmになるよう調整した。これに、可塑剤P−1:8%、酸化防止剤A−1:0.5%を加え、V型混合機で30分間混合した。
セルロースエステルC−1をC−2とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
セルロースエステルC−1をC−3とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
造粒する際に原料のセルロースエステルの粒径及び粒度分布を表1の値になるように調整した以外は実施例1と同様にしてフィルム成形した。
ポリマーをC−2として、造粒する際に粒径を表1の値になるように調整した以外は実施例1と同様にしてフィルム成形した。
平均粒子径:(株)島津製作所 粒度分布測定装置SALD−2000Aを用いて平均粒子径(μm)を測定した。
○:31〜50個
△:51〜80個
×:81〜100個
××:101個以上
分子量保持率:溶融押出しに供給する前の原料ポリマーの重量平均分子量Mw0と、溶融押出しした後のポリマーの重量平均分子量Mw1をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、Mw1/Mw0×100(%)を分子量保持率と定義した。
(偏光板の作製)
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光子を作製した。実施例または比較のフィルムを、40℃の2.5M/L−水酸化ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ処理し、更に水洗乾燥して表面をアルカリ処理した。
富士通製15型ディスプレイVL−150SDの予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板をそれぞれ液晶セルのサイズに合わせて断裁しガラス面に貼合した。
2 添加剤ホッパー
Claims (8)
- セルロース系ポリマーからなるディスプレイ用光学フィルムであって、
原料ポリマーの形状が、粒径1〜10mm、かさ比重0.1〜1.0の円筒形、球形、直方体、不定形等の粒子で、平均粒径1mm以下の粉体を溶融温度以下の温度で造粒して形成したものであり、該原料ポリマーを用いて溶融押出し製膜することを特徴とするディスプレイ用光学フィルムの製造方法。 - 前記溶融押出し製膜が、原料ポリマーを単軸または二軸押出し機を用いて、該原料ポリマーのTg以上、Tg+100℃以下の温度範囲で溶融し、フラットなスリット間隙を持つTダイから押出し成形することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用光学フィルムの製造方法。
- 前記原料ポリマーが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートから選ばれる少なくとも1種のセルロースエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載のディスプレイ用光学フィルムの製造方法により形成されたことを特徴とするディスプレイ用光学フィルム。
- 前記ディスプレイ用光学フィルムが、厚み20〜150μm、透過率85%以上、ヘーズ2%以下、表面粗さRaが1μm以下であることを特徴とする請求項4に記載のディスプレイ用光学フィルム。
- 前記ディスプレイ用光学フィルムの表面には、少なくとも帯電防止層、反射防止層、ハードコート層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも一層を有することを特徴とする請求項4または5に記載のディスプレイ用光学フィルム。
- 請求項4〜6の何れか1項に記載のディスプレイ用光学フィルムを保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
- 請求項7に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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