JP2002128903A - セルロースエステル溶液の調製方法、セルロースエステルフィルムの製造方法及びセルロースエステルフィルム - Google Patents

セルロースエステル溶液の調製方法、セルロースエステルフィルムの製造方法及びセルロースエステルフィルム

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JP2002128903A JP2000323899A JP2000323899A JP2002128903A JP 2002128903 A JP2002128903 A JP 2002128903A JP 2000323899 A JP2000323899 A JP 2000323899A JP 2000323899 A JP2000323899 A JP 2000323899A JP 2002128903 A JP2002128903 A JP 2002128903A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学欠点の少ないセルロースエステルフィル
ムを製造する方法、更に非塩素系溶媒を用いても光学欠
点の少ないセルロースエステルフィルムを製造する方法
を提供する。 【解決手段】 安息角20度以上45度以下、嵩密度
0.35g/cm3以上0.75g/cm3以下、タップ
密度0.40g/cm3以上0.80g/cm3以下、圧
縮度4%以上20%以下、かつ粒径1〜20mmで炭素
数2〜4のアシル基を有するセルロースエステル粒子を
有機溶媒に溶解することを特徴とするセルロースエステ
ル溶液の調製方法、セルロースエステルフィルムの製造
方法及びセルロースエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースエステ
ル溶液の調製方法、セルロースエステルフィルムの製造
方法及びそれから得られたセルロースエステルフィルム
に関する。更に詳しくは、光学的欠点の少ないセルロー
スエステルフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料や液晶画像表
示装置等に使用するフィルムとしては、セルローストリ
アセテートフィルムが、透明性が優れ、光学的欠点がな
いという特性を有しているために用いられているが、近
年、これらハロゲン化銀写真感光材料や液晶画像表示装
置に用いるフィルムに対して要求される特性は高度化し
てきており、セルローストリアセテートフィルムより優
れた特性を有するフィルムの出現が求められている。
【0003】例えば、液晶画像表示装置は、更なる高精
細化や大画面化が進んでおり、この用途では更なる面品
質の高品質化が求められている。従来は、フィルム中の
異物は目視で検査しており、異物の大きさが100μm
程度以上ある場合に問題にしていたが、このようなフィ
ルムでは、近年要求される品質を満足できなくなってき
ており、現在は、偏光顕微鏡を用いた検査方法に変わっ
ており、異物の大きさが5μm程度のものまでが問題に
なってきている。偏光顕微鏡を用いてクロスニコル下で
観察すると異物が輝いて観察でき検出性が格段に向上す
る。
【0004】また、セルローストリアセテートフィルム
は、メチレンクロライド溶媒を用いた溶液から溶液流延
法により製膜されているが、メチレンクロライドのよう
な塩素系炭化水素溶媒は、その使用が制限される方向に
あり、これらメチレンクロライドのような塩素系炭化水
素溶媒を使用しないでフィルムを製造することへの要望
が高まっている。
【0005】特開平10−045917号公報では、粒
径0.1〜4mmの酢化度58〜62.5%のセルロー
スアセテートと酢酸メチル溶媒を用いて冷却溶解法によ
りセルロースアセテート溶液を製造する方法が提案され
ている。これは、セルロースアセテートの粒径が大きす
ぎると溶媒の浸透に時間が掛かりすぎ、粒径が小さい
と、いわゆるママコとなり内部まで溶媒が浸透できなく
なることから、粒径の最適範囲を規定し、溶解時間を短
縮したものである。冷却溶解法は、セルロースアセテー
ト粒子の内部まで溶媒を浸透させ、極限状態まで膨潤さ
せた後、膨潤物を加温することで溶解させる方法であ
る。上記の方法から得られる溶液を用いて製膜されたフ
ィルムは、前述した偏光顕微鏡を用いた異物の検査方法
で検査すると、微少な異物が多数認められ、光学欠点の
劣ったフィルムとなってしまうことが判明した。これ
は、粒子の内部への溶媒の浸透がまだ不十分であり、微
細な不溶解物が残ってしまったことによると推察され
る。また、完全に溶解させるには冷却溶解操作を何度も
繰り返すなどの操作が必要であり、実用上採用できない
ものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、光学欠点の少ないセルロースエステルフィルムを製
造する方法を提供することである。更に非塩素系溶媒を
用いても光学欠点の少ないセルロースエステルフィルム
を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成によって達成された。
【0008】1.安息角20度以上45度以下、嵩密度
0.35g/cm3以上0.75g/cm3以下、タップ
密度0.40g/cm3以上0.80g/cm3以下、圧
縮度4%以上20%以下、かつ粒径1〜20mmで炭素
数2〜4のアシル基を有するセルロースエステル粒子を
有機溶媒に溶解することを特徴とするセルロースエステ
ル溶液の調製方法。
【0009】2.前記粒径1〜20mmの粒子が、粒径
0.01〜0.5mmの粒子を質量割合で粒子全体の7
0%以上含有するセルロースエステル粒子を造粒加工し
たものであることを特徴とする前記1に記載のセルロー
スエステル溶液の調製方法。
【0010】3.セルロースエステルの含有量がセルロ
ースエステル溶液全体に対して15〜35質量%である
ことを特徴とする前記1または2に記載のセルロースエ
ステル溶液の調製方法。
【0011】4.セルロースエステル粒子と有機溶媒を
−100〜−10℃に冷却した後、0〜120℃に加温
することによりセルロースエステルを有機溶媒中に溶解
させることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記
載のセルロースエステル溶液の調製方法。
【0012】5.セルロースエステル溶液中に可塑剤を
セルロースエステルに対して18〜30質量%含有させ
ることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の
セルロースエステル溶液の調製方法。
【0013】6.セルロースエステル溶液中に微粒子を
セルロースエステルに対して0.01〜0.3質量%含
有させることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に
記載のセルロースエステル溶液の調製方法。
【0014】7.安息角20度以上45度以下、嵩密度
0.35g/cm3以上0.75g/cm3以下、タップ
密度0.40g/cm3以上0.80g/cm3以下、圧
縮度4%以上20%以下、かつ粒径1〜20mmで炭素
数2〜4のアシル基を有するセルロースエステル粒子を
有機溶媒に溶解し、支持体上に溶液流延し、溶媒を乾燥
してフィルムを形成することを特徴とするセルロースエ
ステルフィルムの製造方法。
【0015】8.前記粒径1〜20mmの粒子が、0.
01〜0.5mmの粒径を有するセルロースエステル粒
子を造粒加工したものであることを特徴とする前記7に
記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0016】9.前記7または8に記載の製造方法によ
り得られたことを特徴とするセルロースエステルフィル
ム。
【0017】10.安息角20度以上45度以下、嵩密
度0.35g/cm3以上0.75g/cm3以下、タッ
プ密度0.40g/cm3以上0.80g/cm3以下、
圧縮度4%以上20%以下、かつ粒径1〜20mmの粒
子を質量割合で全体の70%以上含有することを特徴と
する炭素数2〜4のアシル基を有するセルロースエステ
ル造粒粒子。
【0018】11.前記粒径1〜20mmの粒子が、粒
径0.01〜0.5mmの粒子を質量割合で粒子全体の
70%以上含有するセルロースエステル粒子を造粒加工
したものであることを特徴とする前記10に記載のセル
ロースエステル造粒粒子。
【0019】12.前記9に記載のセルロースエステル
フィルムを有することを特徴とする光学フィルム。
【0020】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いるセルロースエステルは、炭素数2〜4のアシル基
を有するセルロースエステルであり、好ましくは下記式
(I)を満足することが好ましく、更にアセチル基及び
/又はプロピオニル基を有するセルロースの脂肪酸エス
テルであることが好ましい。
【0021】(I) 2.5≦A+B≦3.0 ここで、Aはアセチル基の置換度、Bはプロピオニル基
及び/またはブチリル基の置換度である。
【0022】A、Bの値を変化させると得られるフィル
ムの特性も変化する。これを利用してフィルムに様々な
特性を付与することができる。
【0023】例えば、光学フィルムでは、偏光子や液晶
素子の水分による劣化を防ぐために、フィルムの吸水率
や透湿率を低減することが好ましい。この場合、A+B
の値を大きくする程、フィルムの吸水率や透湿率が低減
できる。また、Bの値を大きくしても、同様にフィルム
の吸水率や透湿率が低減できる。
【0024】液晶素子は種々の方式がありそれぞれに応
じて光学フィルムに必要な光学特性は異なってくる。V
A方式と呼ばれる液晶素子では、フィルムの厚み方向の
レタデーションを大きくすることが好ましい。この場
合、A+Bの値を小さくする程大きくできる。この時吸
水率が大きくなり過ぎることがあるが、Bの値を大きく
することで、両特性のバランスをとることができる。こ
の用途のA、Bの値の好ましい範囲は下記式(II)〜
(IV)の範囲である。
【0025】(II) 2.5≦A+B≦2.8 (III) 1.4≦A≦2.1 (IV) 0.5≦B≦1.1 液晶表示装置の携帯性等から、光学フィルムの薄膜化が
求められる場合がある。この時、液晶表示装置の製造時
のハンドリング性を向上する為、フィルムの腰の強さを
大きくすることが好ましい。この場合は、Aの値を大き
くすることによりフィルムの弾性率が大きくできフィル
ムの腰の強さも大きくできる。また、引き裂きが問題に
なる場合がある。この場合は、Bの値を大きくすること
によりフィルムの引き裂き強度を大きくできる。
【0026】環境の側面から、フィルム製造時の塩素系
溶媒を非塩素系溶媒に変更したい場合は、Aの値を小さ
くし、Bの値を大きくすることによりアセトンや酢酸メ
チルなどの溶媒に対する溶解性が向上できる。この目的
に対しては、A、Bの値は、上記式(III)、(IV)の
範囲が好ましい。
【0027】なお、炭素数2〜4のアシル基の置換度
は、ASTM D817−96により求めることができ
る。
【0028】本発明に使用するセルロースエステルの数
平均分子量は60,000以上230,000以下が好
ましく、更に65,000以上150,000以下が好
ましい。質量平均分子量は、100,000以上30
0,000以下が好ましく、更に120,000以上2
00,000以下が好ましい。分子量が大きすぎると溶
液の粘度が大きくなりすぎて、濾過特性が低下してしま
う場合がある。小さすぎると引き裂き強度等の機械的強
度が低下してしまう場合がある。質量平均分子量Mwと
数平均分子量Mnとの比Mw/Mnは、1.0から4.
0の間であることが好ましい。
【0029】数平均分子量及び質量平均分子量は、高速
液体クロマトグラフィーを用いて測定した。測定条件は
以下の通り、 溶媒:塩化メチレン カラム:Shodex K806、K805、K803
G(昭和電工(株)製) カラム温度:25℃ 試料濃度:0.1質量% 検出器:RI Model 504(GLサイエンス社
製) ポンプ:L6000(日立製作所(株)製) 流量:1.0ml/min 校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard
ポリスチレン(東ソー(株)製)。分子量500〜
1,000,000の範囲の13サンプルによる校正曲
線を使用した。
【0030】本発明に用いられるセルロースエステルの
原料セルロースとしては、特に限定はないが、綿花リン
ターや木材パルプなどが挙げられる。原料セルロースは
それぞれ単独で用いてもよく、また、混合して用いても
よい。
【0031】セルロースのアシル化において、アシル化
剤としては、酸無水物や酸クロライドを用いた場合、反
応溶媒である有機溶媒としては、有機酸、例えば、酢
酸、メチレンクロライド等が使用される。触媒として
は、アシル化剤が酸無水物である場合には、硫酸のよう
なプロトン性触媒が好ましく用いられ、アシル化剤が酸
クロライド(例えば、CH3CH2COCl)である場合
には、塩基性化合物が用いられる。
【0032】最も一般的なセルロースの混合脂肪酸エス
テルの工業的合成方法は、セルロースをアセチル基及び
他のアシル基に対応する脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、
酪酸、吉草酸等)またはそれらの酸無水物を含む混合有
機酸成分でアシル化する方法である。
【0033】本発明に用いるセルロースエステルは、例
えば、特開平10−45804号公報に記載されている
方法により合成できる。
【0034】通常、セルロースエステルにはアルカリ土
類金属が種々の型で含まれている。これらアルカリ土類
金属は、反応終了後に、セルロースエステルを合成する
過程で用いられた硫酸等の酸触媒を中和するのに使用す
る酢酸カルシウムや酢酸マグネシウム等のアルカリ土類
金属に由来すると考えられる。合成されたセルロースエ
ステルは、中和後に、フレーク状に裁断する工程での水
処理あるいは水洗処理工程で触媒や中和剤その他の反応
残渣などが除去されるが、それでも除去されずにセルロ
ースエステルに残存したものである。この様なアルカリ
土類金属は、フィルムを白濁させる場合がある。本発明
において使用するセルロースエステルにおけるアルカリ
土類金属の含有量は、100ppm以下が好ましく、更
に好ましくは30ppm以下である。
【0035】上記のようにして合成されたセルロースエ
ステルは、通常、高濃度の溶液状態でスパゲティ状に引
き出し、カットしてペレット状に加工するか、沈殿させ
た塊状のものや綿状の形のものを粉砕、裁断等により粒
体や粉末状に加工される。
【0036】上記のペレット状のものや塊状のセルロー
スエステルを粉砕して得られた粒子は、ハンドリング性
のため、比較的大きな粒子サイズに粉砕されることが多
い。この様にして得られた粒子はセルロースエステルが
一部または全部が溶けて固まった状態になっており、や
や透明感がある外観を有している。このような粒子をそ
のまま用いても本発明の効果は得られないのである。
【0037】また、綿状のセルロースエステルの場合は
粉砕することで粒径の小さな粉末に加工されることが多
い。このまま用いたのでは、溶解時にママコが生じてし
まうし、本発明の効果も得られないのである。
【0038】本発明では、上記の様にして得られたセル
ロースエステルを0.01mm〜0.5mmの大きさに
粉砕したものを出発原料として用いて、更に造粒加工
し、粒径1〜20mmの粒子としたことに特徴がある。
造粒後の粒径は2〜5mmが更に好ましい。
【0039】粒径0.01mm〜0.5mmの範囲の粒
子を得るには、例えば、粉砕物等を0.01mmと0.
5mmの目開きのフルイを用いて簡単に得ることができ
る。この際、0.01mmより小さい粒子や0.5mm
より大きい粒子が30%(質量割合で)程度混入してい
てもよいが、好ましくは15%以下にするのがよい。
【0040】粒径の測定は、篩い分けにより測定でき
る。例えば0.5mmから0.01mmの粒径とは、目
開きが0.5mmの篩を通過し、目開きが0.01mm
の篩を通過できないものを意味する。篩い分けは、三田
村理研工業(株)製電磁式篩振とう器AS−200を用
いて振幅2mm、時間2分で行った。
【0041】本発明では、粒径の小さな粒子を用いて造
粒加工を行い、粒径を大きくしたセルロースエステル粒
子を作製する。この様にして得られた造粒物は細かい粒
子の集合体なので、外観は白色である。軽く押さえても
崩れることはないが、強い力を掛けると元の細かい粒子
に崩れる。この造粒加工した粒子を用いて、フィルムを
製膜するので、溶解時のママコの発生は問題とならな
い。また、粒径が大きくても、溶解性が向上する理由
は、粒体内部への溶媒の浸透が早く、更に、溶媒の浸透
した粒子は、溶解工程での攪拌等により、容易に1次粒
子化されるので、著しく溶解性が向上するものと理解さ
れる。この効果は、非塩素系の溶媒を用いて冷却溶解法
や高圧溶解法などを用いて溶解する場合により顕著とな
る。
【0042】本発明で用いるセルロースエステルの粒子
は、安息角20度以上45度以下、嵩密度0.35g/
cm3以上0.75g/cm3以下、タップ密度0.40
g/cm3以上0.80g/cm3以下、圧縮度4%以上
20%以下の物性とすることが好ましい。
【0043】粒径1〜20mmの粒子は、質量割合で粒
子全体の70%以上がこの範囲内にあることが好まし
い。粒径1〜20mmの粒子の質量割合が70%未満で
は、ママコが生じたり、未溶解物が残り、光学欠点が改
良されない場合がある。粒径1〜20mmの粒子の質量
割合は85%以上であることが更に好ましく、95%以
上が更に好ましい。
【0044】造粒加工する方法については、特に限定は
なく、公知の方法が使用できる。例えば、攪拌造粒法、
押し出し造粒法、流動層造粒法などの湿式法と、一度圧
縮した組成物を破砕する乾式法などが挙げられる。湿式
法は、溶剤等のバインダーが必要であり、造粒後に乾燥
工程が必要になる。この点、乾式法は特別なバインダー
を添加する必要がなく生産性が優れるなどの点で有利で
ある。
【0045】乾式法の場合、圧板間にセルロースエステ
ルの1次粒子を置いて加圧し圧縮シートとし、更に粉砕
し、フルイを用いて粒径を揃えることで目的の粒子が得
られる。また、圧縮を連続的に行うには、互いに反対方
向に回転する2本のロールを有する装置にスクリュー式
の供給装置などによりセルロースエステルの1次粒子を
供給し、加圧して、シート状とし、粉砕、分級して目的
の粒子を得ることができる。このような装置は、ローラ
ーコンパクターまたはブリケットマシーンとして従来か
ら各メーカーが販売しており、本発明でも、これらの装
置を好ましく用いることができる。加圧する圧力は、所
望の特性の粒子になるように適宜選択できるが、例えば
5MPa〜2,000MPaの範囲であり、通常7MP
a〜100MPaで行うことが好ましい。また、加工時
に加温しなくても造粒可能であるが、加温してもよい。
高温過ぎるとセルロースエステルが分解する場合がある
ので、常温〜150℃の範囲が好ましい。加温方法とし
ては加工時の摩擦熱を利用できる。
【0046】本発明のセルロースエステルの粒子特性を
得るには、例えば、嵩密度を大きくするには、加圧する
圧力を高くすればよい。圧縮度を小さくするには、粒子
形状がより球状になるようにするとともに、粒子サイズ
を均一にすることが有効であり、ローラー間隙と粉砕粒
径を調整したり、分級をより厳密に行うことが有効であ
る。また、ブリケットマシーンを用いることも好まし
い。
【0047】また、セルロースエステルに添加して用い
られる各種の添加剤を造粒加工時に添加してもよい。特
にバインダー効果の得られる添加剤は造粒物の摩耗性を
向上できるので好ましい。この様な添加剤は後述する可
塑剤が挙げられる。
【0048】本発明で用いる有機溶媒は、セルロースエ
ステルを通常または、冷却溶解法などで溶解できるもの
であれば特に限定はないが、乾燥負荷の点から、比較的
沸点が低い溶媒から選ぶのが好ましい。塩素系溶媒とし
ては、塩化メチレンが代表的である。また、非塩素系溶
媒としては、例えば、アセトン、酢酸メチル、シクロヘ
キサノン、ギ酸エチル、1,3−ジオキソラン、2,
2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テ
トラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ
−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、
2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノー
ル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。これらの溶媒は
一種だけ用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0049】非塩素系有機溶媒が好ましく、特に酢酸メ
チル、アセトンが最も好ましい。酢酸メチル、アセトン
は、非塩素系溶媒の中でも溶解性がよく、透明性に優れ
たフィルムを得ることができる。
【0050】本発明において、セルロースエステルの溶
液には、溶解性の向上、粘度調整、乾燥速度の調整、溶
液を流延した際のゲル化の促進等の目的で、炭素数が1
〜6の低級アルコールを含有させてもよい。これら低級
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノー
ル、s−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノ
ールなどが挙げられる。中でもメタノール、エタノー
ル、n−ブタノールが好ましい。これら低級アルコール
は、全有機溶媒に対して2質量%以上、30質量%以下
含有させるのが好ましい。炭素数が1から6の低級アル
コールを含有させたセルロースエステル溶液は、流延キ
ャスティングの際、残溶剤を多く含んだ状態でも膜の強
度が強く、流延キャスティングに用いる支持体であるベ
ルトやドラム上からはぎ取るのが容易となる。
【0051】セルロースエステル溶液は、通常の方法に
より調製してよく、セルロースエステルおよび溶媒を容
器に入れ、常温で、あるいは、溶媒が沸騰しない温度・
圧力条件下で撹拌混合することにより得られる。撹拌混
合は、容器内部の液膜残りのないような装置、方式であ
ることが好ましい。また、容器内を窒素ガス等の不活性
ガスで充満させてセルロースエステルの分解を抑制して
もよい。必要により、加圧容器等を用い、加圧下で撹拌
混合してもよい。溶媒の沸点以上の温度で、沸騰しない
圧力条件で溶解することが異物を低減でき好ましい。
【0052】また、アセチル基の置換度が2.5以上の
セルロースエステルを非塩素系溶媒に溶解する場合は、
上記の方法では溶解性が劣るので、例えば特開平9−9
5544号、同9−95557号、同9−95538号
公報に記載されているような冷却溶解法や特開平11−
21379号公報に記載されている高圧溶解方法を用い
ることが好ましい。なお、冷却溶解法や高圧溶解法を通
常の方法でも溶解可能なセルロースエステルと溶媒の組
み合わせで用いると更に溶解性が向上できる。
【0053】溶液中のセルロースエステル濃度は、フィ
ルム製膜時の乾燥効率の点から、なるべく高濃度である
ことが好ましい。一方、あまり高濃度になると溶液の粘
度が大きすぎて、得られたフィルムの表面が鮫肌になる
など平面性が劣化する場合がある。これらの点を勘案す
ると、好ましい溶液のセルロースエステル濃度は、15
質量%から40質量%の範囲である。更に、20質量%
から35質量%の範囲が好ましい。
【0054】セルローストリアセテートを非塩素系の溶
媒である酢酸メチルに冷却溶解法で溶解させた溶液は、
高濃度の溶液では1日程度で未溶解物が生じ始めるが、
本発明によれば、溶解性が向上したので、溶液の停滞安
定性が良好であり、30日停滞させても未溶解物の生成
は認められなかった。また、停滞安定性の劣る溶液は、
送液、ろ過を繰り返すと溶液中に凝集状またはゲル状の
未溶解物が生成し易く、例えば、送液、ろ過の循環テス
ト(テスト方法は後述)で、未溶解物が発生するが、本
発明によれば、未溶解物は発生しなかった。
【0055】セルロースエステル溶液の粘度は、製膜の
際、流延可能な範囲であればよく、通常、0.5Pa・
sから50Pa・sの範囲に調整されることが好まし
い。
【0056】本発明では、セルロースエステルの溶解時
には、低濃度溶液としてセルロースエステル溶液を調製
し、フィルム製膜時の溶液流延直前に、溶媒を蒸発させ
て、高濃度溶液とする溶液濃縮方法も好ましい方法とし
て用いられる。溶液の濃縮方法については、特に限定は
なく、例えば、低濃度溶液を、筒体とその内部の周方向
に回転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くととも
に、溶液との間に温度差を与えて溶媒を蒸発させながら
高濃度溶液を得る方法(例えば、特開平4−25951
1号公報等)、加熱した低濃度溶液をノズルから容器内
に吹き込み、ノズルから容器内壁に当たるまでの間で溶
液の溶媒をフラッシュ蒸発させ、溶媒蒸気を容器から抜
き出し、高濃度溶液を容器底から抜き出す方法(例え
ば、米国特許第2,541,012号明細書、同第2,
858,229号明細書、同第4,414,341号明
細書、同第4,504,355号明細書等)などに記載
の方法で実施できる。
【0057】本発明において、セルロースエステル溶液
には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤を
加えることができる。
【0058】機械的性質を向上するために可塑剤、黄色
味を改善する着色剤、偏光子や液晶素子の紫外線による
劣化を防止する紫外線吸収剤、耐熱耐湿性を付与する酸
化防止剤、作業性を改善する、カオリン、タルク、ケイ
ソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チ
タン、アルミナなどの無機微粒子などを添加することが
好ましい。可塑剤の多くは、フィルムの透湿率、水分率
を低減することにも効果がある。
【0059】可塑剤としては、リン酸エステル、カルボ
ン酸エステル、グリコール酸エステルなどが好ましく用
いられる。リン酸エステルとしては、例えば、トリフェ
ニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジ
ルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフ
ェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオク
チルホスフェート、トリブチルホスフェートなどが挙げ
られ、カルボン酸エステルとしては、例えば、ジメチル
フタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ジエチルヘキシルフタレー
ト、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルト
リブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセ
チル、セバシン酸ジブチル、トリメリット酸エステルな
どが挙げられ、グリコール酸エステルとしては、例え
ば、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチ
ルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、
メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブ
チルグリコレートなどが挙げられる。可塑剤としては、
これら中でも、トリフェニルホスフェート、トリクレジ
ルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ト
リブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチル
フタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ジエチルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチ
ルフタリルエチルグリコレートが好ましい。特にトリフ
ェニルホスフェート、ジエチルフタレート、エチルフタ
リルエチルグリコレートが好ましい。
【0060】これらの可塑剤は、これらの1種を用いて
もよいし、2種以上を併用してもよい。可塑剤の添加量
は、セルロースエステルに対して5質量%以上30質量
%以下が好ましく、特に18質量%以上30質量%以下
が好ましい。少なすぎると添加の効果が十分でない場合
があり、多すぎるとセルロースエステルとの相溶性が悪
くなり均一な溶液が得られない場合ある。
【0061】セルローストリアセテートを非塩素系の溶
媒である酢酸メチルに冷却溶解法で溶解させた溶液は、
可塑剤の添加量を増やすと1日程度で未溶解物が生じ始
めるが、本発明によれば、溶解性が向上したので、溶液
の停滞安定性が良好であり、30日停滞させても未溶解
物の生成は認められなかった。
【0062】可塑剤は、セルロースエステル溶液の調製
の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよ
いし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
【0063】更に、下記一般式(I)、(II)または
(III)で表される化合物を添加してもよい。
【0064】
【化1】
【0065】式中、Rは、それぞれ炭素原子数が1以上
4以下のアルキル基を表す。上記一般式(I)、(II)
または(III)で表される化合物の例としては、リン酸
2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ナトリウム(アデカスタブNA−10、旭電化
(株)製)、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビト
ール(NC−4、三井東圧化学(株)製)が挙げられ
る。
【0066】本発明において、好ましく用いられる紫外
線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370
nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示
性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的
に少ないものが好ましく用いられる。特に、波長370
nmでの透過率が、10%以下である必要があり、好ま
しくは5%以下、より好ましくは2%以下である。用い
られるものとしては、例えば、オキシベンゾフェノン系
化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エス
テル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリ
レート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられ
るが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上
を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤のドープへ
の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオ
キソランなどの有機溶媒に溶解してから添加するか、ま
たは直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のよ
うに有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロー
スエステル中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散し
てからドープに添加する。本発明において、紫外線吸収
剤の使用量はセルロースエステルに対し、0.1〜5.
0質量%、好ましくは、0.5〜2.0質量%、より好
ましくは0.8〜2.0質量%である。
【0067】上記に挙げた紫外線吸収剤の他、例えば、
特開平6−148430号に記載の高分子紫外線吸収剤
も、この目的で好ましく用いることができる。
【0068】本発明で好ましく用いられる酸化防止剤と
しては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリ
スリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエ
チレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4
−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−
1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミ
ド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられ
る。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペ
ンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕が好ましい。
【0069】また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤や
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファ
イト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの
化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割
合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000p
pmが更に好ましい。
【0070】また本発明において滑り性を向上する為に
好ましく用いられる微粒子としては、例えば二酸化ケイ
素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カ
ルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微
粒子や架橋高分子などの微粒子が挙げられる。中でも二
酸化ケイ素がフィルムとの屈折率が近似しており、フィ
ルムのヘイズを小さく出来るので好ましい。微粒子の2
次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲で、そ
の含有量はセルロースエステルに対して0.005〜
0.3質量%が好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子
には有機物により表面処理されている場合が多いが、こ
のようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ま
しい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン
類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが
挙げられ、表面にメチル基が存在するような処理が好ま
しい。微粒子の平均粒径が大きい方がフィルムの滑り性
を向上する効果は大きく、平均粒径の小さい方は透明性
に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は
5〜50nmで、より好ましくは7〜14nmである。
これらの微粒子はフィルム中では、通常、凝集体として
存在しフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生
成させることが好ましい。二酸化ケイ素の微粒子として
はアエロジル(株)製のAEROSIL200、200
V、300、R972、R972V、R974、R20
2、R812、OX50、TT600等を挙げることが
出来、好ましくはAEROSILR972、R972
V、R974、R202、R812である。これらの微
粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場
合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この
場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えばAERO
SIL 200VとR972Vを質量比で0.1:9
9.9〜99.9〜0.1の範囲で使用出来る。
【0071】セルローストリアセテートを非塩素系の溶
媒である酢酸メチルに冷却溶解法で溶解させた溶液は、
上記微粒子を添加した際の安定性が劣り1日程度で凝集
物が生じ始めるが、本発明によれば、溶解性が向上した
ので、溶液の停滞安定性が良好であり、30日停滞させ
ても凝集物の生成は認められないとの効果がある。ま
た、停滞安定性の劣る溶液は、送液、ろ過を繰り返すと
溶液中に凝集状またはゲル状の未溶解物が生成し易く、
例えば、送液、ろ過の循環テスト(テスト方法は後述)
で、未溶解物が発生するが、本発明によれば、未溶解物
は発生しないとの効果が認められた。
【0072】また、本発明のセルロースエステル溶液に
は、必要に応じてさらに種々の添加剤を溶液のセルロー
スエステル溶解前からセルロースエステル溶解後のいず
れの段階で添加してもよい。これら添加剤としては、カ
ルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩な
どの熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、油剤などが挙げら
れる。
【0073】なお、セルロースエステル粒子を溶解工程
に供給する方法は、特に限定はなく、重力による方法、
機械的に粉体を移動させる方法、往復運動や振動による
方法、流体圧や流動化による方法などを使用できる。ホ
ッパーの下部にロータリーフィーダーを備え、ロータリ
ーフィーダーから供給された原料を空気流により搬送す
る方式が好ましい。空気流による方式としては、真空吸
引式と圧送式があるがどちらも使用できる。圧力条件は
搬送する距離や搬送速度により適宜選定すればよいが、
真空吸引式では、負圧が−0.05MPa〜−0.01
MPa、圧送式では0.05MPa〜1MPaが好まし
い。
【0074】溶液は流延に先だって濾紙、金網、ネル、
金属繊維焼結フィルターなどの適当な濾材を用い、未溶
解物やゴミ、不純物などの異物を濾過除去しておくのが
好ましい。
【0075】次に、本発明のセルロースエステル溶液を
用いて製膜する方法について述べる。
【0076】本発明のセルロースエステルフィルムを製
造する設備としては、セルロースエステルフィルムの製
造に用いられている従来の設備を利用することができ
る。
【0077】本発明のセルロースエステルフィルムは、
例えば、以下のようにして製造することができる。
【0078】前述のようにして調製されたセルロースエ
ステル溶液(以下、ドープということもある)は、例え
ば、回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量
ギアポンプを通して加圧型ダイスに送られる。ギアポン
プから加圧型ダイスに送り込まれたドープは、加圧型ダ
イスの口金(スリット)からエンドレスに回転している
支持体の上に均一に流延される。支持体がほぼ一周した
ところで、生乾きのフィルム(ウェブ)として支持体か
ら剥され、回転しているロール群に通されながら乾燥さ
れ、乾燥されたフィルムは、巻き取り機で所定の長さに
巻き取られる。
【0079】本発明に有用な流延方法としては、調製さ
れたドープを加圧型ダイスから支持体上に均一に押し出
す方法、一旦支持体上に流延されたドープをブレードで
膜厚を調節するドクターブレードによる方法、一旦支持
体上に流延されたドープを逆回転するロールで膜厚を調
節するリバースロールコーターによる方法等があるが、
加圧型ダイスを用いる方法が好ましい。加圧型ダイスに
は、コートハンガータイプやTダイスタイプ等があるが
いずれも好ましく用いることができる。また、上記以外
にも、従来知られている、例えば、特開昭61−947
24号公報、同61−148013号公報、特開平4−
85011号公報、同4−286611号公報、同5−
185443号公報、同5−185445号公報、同6
−278149号公報、同8−207210号公報など
に記載の方法を好ましく用いることができ、用いる溶媒
の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することにより
それぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。
【0080】本発明のセルロースエステルフィルムを製
造するのに使用されるエンドレスの支持体としては、表
面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表
面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バ
ンドといってもよい)が用いられる。
【0081】本発明のセルロースエステルフィルムの製
造に用いられる加圧型ダイスは、1基あるいは2基以上
設置してもよい。好ましくは1基または2基である。2
基以上設置する場合には、流延するドープ量をそれぞれ
のダイスに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量
ギアポンプからそれぞれの割合でダイスにドープを供給
する。
【0082】本発明のセルロースエステルフィルムの製
造において、支持体上に流延されたドープは、例えば、
ドラムあるいはベルトの表面側、つまり支持体上にある
ウェブ側から熱風を当てる方法、ドラムあるいはベルト
の裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液
体をベルトやドラムの裏面に接触させて、伝熱によりド
ラムあるいはベルトを加熱し、表面温度をコントロール
する液体伝熱方法などによって乾燥することができる
が、裏面液体伝熱方式を用いるのが好ましい。
【0083】ドープが流延される前の支持体の表面温度
は、ドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何
度でもよい。しかし、乾燥を促進し、また、ドープの支
持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒
の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温
度に設定することが好ましい。
【0084】セルロースエステルフィルムを製造する速
度は、ドラムの直径、ベルトの長さ、乾燥方法、ドープ
溶媒の組成等によっても変化するが、形成されたウェブ
をドラムやベルトから剥離する時点での残留溶媒の量に
よって殆ど決まってしまう。つまり、ドープ膜の厚み方
向でのドラムやベルト表面付近での溶媒濃度が高すぎる
場合には、形成されたウェブを剥離した時、ドラムやベ
ルトにドープが残り、次の流延に支障をきたしてしまう
し、また、形成されたウェブは、剥離する力に耐えるだ
けの強度が必要であるからである。剥離時点での残留溶
媒量は、乾燥方法によっても異なり、ドープ表面から風
を当てて乾燥する方法よりは、ベルトあるいはドラム裏
面から伝熱する方法の方が効果的に残留溶媒量を低減す
ることができる。
【0085】ドラムやベルト上で乾燥され、剥離された
ウェブの乾燥方法について述ベる。ドラムやベルトが1
周する流延位置から直前の剥離位置で剥離されたウェブ
は、千鳥状に配置されたロール群に交互に通して搬送す
る方法や剥離されたウェブの両端をクリップで把持させ
て非接触的に搬送する方法などにより搬送される。乾燥
は、搬送中のウェブ(フィルム)両面に所定の温度の風
を当てる方法や赤外線、マイクロウエーブなどの加熱手
段などを用いる方法によって行われる。急速な乾燥は、
形成されるフィルムの平面性を損なう恐れがあるので、
乾燥の初期段階では、溶媒が発泡しない程度の温度で乾
燥し、乾燥が進んでから高温で乾燥を行うのが好まし
い。
【0086】支持体から剥離した後の乾燥工程では、溶
媒の蒸発によってフィルムは幅方向に収縮しようとす
る。収縮は、高温度で乾燥するほど大きくなる。この収
縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、出来上が
ったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この
点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示さ
れているように、乾燥の全工程あるいは一部の工程を幅
方向にクリップでウェブの幅両端を幅保持しつつ行う方
法(テンター方式)が好ましい。
【0087】上記乾燥工程における乾燥温度は、40〜
250℃、特に70〜180℃が好ましい。使用する溶
媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なる
が、使用溶媒の種類、組合せに応じて適宜選べばよい。
【0088】本発明によりセルロースエステルフィルム
を製造する場合、フィルムの光学特性を制御する為に、
上記テンターやロール延伸機、フィルム中の残留溶媒と
温度と搬送張力を調整することが好ましい。例えば、光
学フィルムが偏光板保護フィルム用途の場合では、面内
のレタデーションが小さいことが要求される。フィルム
中の残留溶媒が多い段階では、低い温度でも搬送張力な
どの応力により分子配向が生じてしまう。また高温にな
るほど小さい応力で分子配向が生じてしまう。フィルム
中の残留溶媒量と温度に応じて分子配向が生じないよう
に搬送張力を調整するか、搬送方向と巾方向の分子配向
状態がバランスするように搬送張力とテンターの巾方向
の延伸倍率等を調整することが好ましい。また、光学フ
ィルムが位相差フィルムとして用いられる場合は、適度
にレタデーションを付与することが求められる。この場
合は上記とは逆に分子配向が生じる条件で製膜すること
が好ましい。
【0089】以上のようにして得られたフィルムは、最
終仕上がりフィルムの残留溶媒量で2質量%以下、さら
に0.4質量%以下であることが、寸度安定性が良好な
フィルムを得る上で好ましい。
【0090】これら流延から後乾燥までの工程は、空気
雰囲気下でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気
下でもよい。
【0091】得られたセルロースエステルフィルムを巻
き取る巻き取り機には、一般的に使用されている巻き取
り機が使用でき、定テンション法、定トルク法、テーパ
ーテンション法、内部応力一定のプログラムテンション
コントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることがで
きる。
【0092】本発明の出来上がり(乾燥後)のセルロー
スエステルフィルムの厚さは、使用目的によって異なる
が、通常、5〜500μmの範囲である。さらに30〜
250μmの範囲が好ましい。フィルム厚さの調整は、
所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃
度、ダイスの口金のスリット間隙、ダイスからの押し出
し圧力、支持体速度等を調節することにより行うことが
できる。
【0093】上記の様にして得られたセルロースエステ
ルフィルムは、光学フィルムとして用いることができ
る。例えば、偏光板用保護フィルムとして偏光板に好ま
しく用いることができる。偏光板は前述の如く、偏光子
の少なくとも一方の面に偏光板用保護フィルムを貼り合
わせ積層することによって形成される。偏光子は従来か
ら公知のものを用いることが出来、例えば、ポリビニル
アルコールフィルムの如きの親水性ポリマーフィルム
を、沃素のような二色性染料で処理して延伸したもので
ある。セルロースエステルフィルムと偏光子との貼り合
わせは、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液か
らなる接着剤により行うことが出来る。この水溶性ポリ
マー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液
が好ましく用いられる。
【0094】また、他の光学補償フィルムと組み合わせ
て、または単独で位相差フィルムとして、種々の表示装
置に使用出来る。表示装置としては、液晶表示装置、有
機電解発光素子、プラズマディスプレー等があり、例え
ば、一枚偏光板反射型液晶表示装置の場合、その構成
は、表側から、偏光板保護フィルム/偏光子/位相差フ
ィルム/ガラス基盤/ITO透明電極/配向膜/TN型
液晶/配向膜/金属電極兼反射膜/ガラス基板である。
また、偏光板保護フィルム/偏光子/偏光板保護フィル
ム/位相差フィルム/ガラス基盤/ITO透明電極/配
向膜/TN型液晶/配向膜/金属電極兼反射膜/ガラス
基板の構成でもよい。
【0095】また、コレステリック液晶からなる反射型
偏光素子の場合は、例えば、バックライト/コレステリ
ック液晶層/位相差フィルム/偏光子/偏光板保護フィ
ルムの構成で用いることができる。
【0096】また、本発明の光学フィルムを4分の1波
長板として用いた偏光板の場合、自然偏光を円偏光に変
換できる円偏光板となる。これは、プラズマディスプレ
ーや有機ELディスプレー等の前面板に設置することで
反射防止フィルムや防眩フィルムとして働き、着色や視
認性の劣化を防止できる。また、タッチパネルの反射防
止にも使用できる。
【0097】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。
【0098】実施例1 アセチル基の置換度2.00、プロピオニル基の置換度
0.80、数平均分子量75,000のセルロースエス
テル粉体を篩い分けし、粒径0.01mm〜0.5mm
の粉末を得た。平均粒径は0.1mmであった。この粉
末を10MPaの圧力で1分間加圧し厚さ2mmの圧縮
シートを得た。更に粉砕し篩い分けして、粒径2mm〜
5mm、平均粒径4mmの造粒物を得た。
【0099】得られたセルロースエステル造粒物100
質量部、エチルフタリルエチルグリコレート2質量部、
トリフェニルフォスフェイト10質量部、塩化メチレン
290質量部、エタノール60質量部を密閉容器に入
れ、混合物をゆっくり攪拌しながら徐々に昇温し、60
分かけて45℃まで上げ溶解した。容器内は1.2気圧
となった。このドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙N
o.244を使用して濾過した後、24時間静置しドー
プ中の泡を除いた。
【0100】また、これとは別に、上記セルロースエス
テル2質量部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ
・ケミカルズ(株)製)6質量部、チヌビン109(チ
バ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)4質量部、
チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
(株)製)5質量部、及びAEROSIL R972V
(日本アエロジル(株)製)1質量部を塩化メチレン9
4質量部とエタノール8質量部を混合し撹拌溶解し、紫
外線吸収剤溶液を調製した。上記ドープ100質量部に
対して紫外線吸収剤溶液を2質量部の割合で加え、スタ
チックミキサーにより十分混合した後、ダイからステン
レスベルト上にドープ温度35℃で流延した。ステンレ
スベルトの裏面から35℃の温度の温水を接触させて温
度制御されたステンレスベルト上で1分間乾燥した後、
更にステンレスベルトの裏面に、15℃の冷水を接触さ
せて15秒間保持した後、ステンレスベルトから剥離し
た。剥離時のウェブ中の残留溶媒量は70質量%であっ
た。ウェブの両端をクリップで把持しながら100℃で
5分間、続いてロールに巻回しながら搬送しつつ120
℃で20分間乾燥させ、最終的に膜厚80μmのセルロ
ースエステルフィルムを得た。フィルムの残留溶媒量は
0.2%であった。
【0101】製膜に使用したドープ(セルロースエステ
ル溶液)を密封容器に保存し、停滞安定性を評価したと
ころ、30日経過後も未溶解物や凝集物の発生は認めら
れなかった。また、送液、ろ過循環テストによる未溶解
物の発生も認められなかった。
【0102】(セルロースエステル溶液の停滞安定性)
調製されたセルロースエステル溶液を密封容器に保管し
た状態で停滞させ、目視で、未溶融物や凝集物の発生の
様子を観察した。
【0103】(送液、ろ過の循環テスト)調製されたセ
ルロースエステル溶液10Lをギアポンプにより0.5
L/分の流量で送液し、直径20mmのメタルフィルタ
ー(日本精線製NF−06D)を通過させた。フィルタ
ーを通過させた溶液は再びギアポンプ入り側に戻し、こ
の操作を5時間繰り返して、溶液中の未溶解物の発生の
有無を目視により観察した。
【0104】尚、安息角、嵩密度、タップ密度、圧縮度
及びフィルム中の異物は、以下に述べる実施例2、3及
び比較例1〜4を含めて表1に示す。
【0105】比較例1 セルロースエステルの粉末を造粒しなかった以外は実施
例1と同様にして膜厚80μmのセルロースエステルフ
ィルムを得た。
【0106】製膜に使用したドープ(セルロースエステ
ル溶液)を密封容器に保存し、停滞安定性を評価したと
ころ、3日経過後で凝集物状の未溶解物の生成が認めら
れた。また、送液、ろ過の循環テストでは、凝集物状の
未溶解物が認められた。
【0107】比較例2 実施例1のセルロースエステルの粉末に等量の塩化メチ
レンを加え2軸ニーダーで混練し一様な高粘度の混合物
を形成した。次いで直径5mmのオリフィスから押し出
し、裁断し、乾燥させたところ略直径3mm、長さ5m
mの円筒形のペレットが得られた。
【0108】得られたセルロースエステルのペレットを
用いた他は実施例1と同様にして膜厚80μmのセルロ
ースエステルフィルムを得た。
【0109】製膜に使用したドープ(セルロースエステ
ル溶液)を密封容器に保存し、停滞安定性を評価したと
ころ、3日経過後で凝集物状の未溶解物の生成が認めら
れた。また、送液、ろ過の循環テストでは、凝集物状の
未溶解物が認められた。
【0110】実施例2 酢化度60.2%のセルロースエステル(セルロースト
リアセテート)の粉体を分級して粒径0.01〜0.5
mm、平均粒径0.10mmの粉末を得た。この粉末を
100MPaの圧力で1分間加圧し厚さ2mmの圧縮シ
ートを得た。この圧縮シートを更に粉砕し篩い分けし
て、粒径2mm〜8mm、平均粒径5mmの造粒物を得
た。
【0111】得られたセルロースエステル造粒物100
質量部、エチルフタリルエチルグリコレート2質量部、
m−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)20質
量部を酢酸メチル400質量部、エタノール20質量部
の混合溶媒中に投入した。次に、この混合物を二重構造
の密閉容器内で、混合物をゆっくり攪拌しながら外側の
ジャケットに冷媒を導入した。これにより内側容器内の
混合物を−70℃まで冷却した。混合物が均一に冷却さ
れるまで30分冷却した。密閉容器の外側のジャケット
内の冷媒を排出し、代わりに温水をジャケットに導入。
続いて内容物を攪拌し、40分かけて80℃まで上げ
た。容器内は2気圧となった。攪拌しながら50℃まで
温度を下げ常圧に戻し、一晩そのまま放置しドープを得
た。このドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.2
44を使用して濾過し、ステンレス支持体上にドープ温
度35℃で流延し、剥離可能になったところで支持体か
ら剥離し、100℃で5分間、続いて115℃で20分
間乾燥させ、最終的に膜厚80μmのセルロースエステ
ルフィルムを得た。フィルムの残留溶媒量は0.3%で
あった。
【0112】製膜に使用したドープ(セルロースエステ
ル溶液)を密封容器に保存し、停滞安定性を評価したと
ころ、2週間では未溶解物や凝集物の発生は認められな
かった。30日後では僅かに未溶解物が認められた。ま
た、送液、ろ過の循環テストでは、未溶解物の発生は認
められなかった。
【0113】比較例3 造粒加工を行わなかった以外は実施例2と同様にして膜
厚80μmのセルロースエステルフィルムを得た。
【0114】製膜に使用したドープ(セルロースエステ
ル溶液)を密封容器に保存し、停滞安定性を評価したと
ころ、1日経過後で未溶解物の生成が認められた。ま
た、送液、ろ過の循環テストでも凝集物状の未溶解物が
認められた。
【0115】比較例4 実施例2のセルロースエステルの粉末に等量の塩化メチ
レンを加え2軸ニーダーで混練し一様な高粘度の混合物
を形成した。次いで直径5mmのオリフィスから押し出
し、裁断し、乾燥させたところ略直径3mm、長さ5m
mの円筒形のペレットが得られた。
【0116】得られたセルロースエステルのペレットを
用いた他は実施例2と同様にして膜厚80μmのセルロ
ースエステルフィルムを得た。
【0117】製膜に使用したドープ(セルロースエステ
ル溶液)を密封容器に保存し、停滞安定性を評価したと
ころ、1日経過後では未溶解物の生成が認められた。ま
た、送液、ろ過の循環テストでも凝集物状の未溶解物が
認められた。
【0118】実施例3 酢化度60.2%のセルロースエステル(セルロースト
リアセテート)の粉体を分級して粒径0.01〜0.5
mm、平均粒径0.10mmの粉末を得た。この粉末を
100MPaの圧力で1分間加圧し厚さ2mmの圧縮シ
ートを得た。この圧縮シートを更に粉砕し篩い分けし
て、粒径1mm〜2mm、平均粒径1.5mmの造粒物
を得た。
【0119】得られたセルロースエステル造粒物を用い
て実施例2と同様にして最終的に膜厚80μmのセルロ
ースエステルフィルムを得た。フィルムの残留溶媒量は
0.3%であった。
【0120】製膜に使用したドープ(セルロースエステ
ル溶液)を密封容器に保存し、停滞安定性を評価したと
ころ、2週間では未溶解物や凝集物の発生は認められな
かった。30日後では僅かに未溶解物が認められた。ま
た、送液、ろ過の循環テストでは、未溶解物の発生は認
められなかった。
【0121】(フィルム中の異物)偏光顕微鏡を用い
て、フィルムサイズ10mm×10mmの範囲をクロス
ニコル下で倍率100倍で観察し、5μm以上の異物の
個数を数えた。10個以下であることが望ましい。
【0122】(安息角)直径8cmの円板上に漏斗を介
して注入して形成させた円錐状の斜辺と水平とのなす角
度を測定して求めた。
【0123】(嵩密度)セイシン企業製タップデンサー
KYT−4000を用いて、シリンダー容量100cm
3を用いてタップする前の嵩密度(A)を測定した。
【0124】(タップ密度)セイシン企業製タップデン
サーKYT−4000を用いて、シリンダー容量100
cm3を用いて、ストローク10mm、タップ回数20
0回のときの嵩密度(P)を測定した。
【0125】(圧縮度)上記で得られた嵩密度A及びP
の値から(P−A)/P×100で算出した。単位は
%。
【0126】
【表1】
【0127】以上説明した様に、本発明の方法で得られ
たセルロースエステル溶液は、停滞安定性に優れてお
り、また、表1の結果から分かるように本発明のセルロ
ースエステルフィルムは、異物が少なく光学欠点が改良
されていることが分かる。
【0128】
【発明の効果】本発明により、停滞安定性に優れたセル
ロースエステル溶液の調製方法及び光学的欠点の改良さ
れたセルロースエステルフィルムを製造する方法を提供
することができた。また、本発明によれば溶解性に優れ
たセルロースエステル造粒粒子も提供される。更に本発
明のセルロースエステルフィルムは、光学的特性に優れ
るので各種光学フィルムとして有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/521 C08K 5/521 4J002 C08L 1/10 C08L 1/10 G02B 5/30 G02B 5/30 G03C 1/795 G03C 1/795 // B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 2H023 FA01 FA13 2H049 BA02 BA06 BB03 BB33 BB49 BC09 BC22 4F070 AA02 AC43 AC55 AE02 CA11 CB11 DA01 DA05 DA06 4F071 AA09 AA82 AC03 AC05 AC07 AC10 AC15 AC19 AD02 AD06 AD07 AE04 AE19 AH19 BB02 BC01 4F205 AA01 AB07 AB11 AC05 AG01 AH73 GA07 GB02 GC07 GE16 GE22 GE24 4J002 AB021 EH046 EH076 EH096 EH146 EW046 FD026 GP03 HA05

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安息角20度以上45度以下、嵩密度
    0.35g/cm3以上0.75g/cm3以下、タップ
    密度0.40g/cm3以上0.80g/cm 3以下、圧
    縮度4%以上20%以下、かつ粒径1〜20mmで炭素
    数2〜4のアシル基を有するセルロースエステル粒子を
    有機溶媒に溶解することを特徴とするセルロースエステ
    ル溶液の調製方法。
  2. 【請求項2】 前記粒径1〜20mmの粒子が、粒径
    0.01〜0.5mmの粒子を質量割合で粒子全体の7
    0%以上含有するセルロースエステル粒子を造粒加工し
    たものであることを特徴とする請求項1に記載のセルロ
    ースエステル溶液の調製方法。
  3. 【請求項3】 セルロースエステルの含有量がセルロー
    スエステル溶液全体に対して15〜35質量%であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースエ
    ステル溶液の調製方法。
  4. 【請求項4】 セルロースエステル粒子と有機溶媒を−
    100〜−10℃に冷却した後、0〜120℃に加温す
    ることによりセルロースエステルを有機溶媒中に溶解さ
    せることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載のセルロースエステル溶液の調製方法。
  5. 【請求項5】 セルロースエステル溶液中に可塑剤をセ
    ルロースエステルに対して18〜30質量%含有させる
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    セルロースエステル溶液の調製方法。
  6. 【請求項6】 セルロースエステル溶液中に微粒子をセ
    ルロースエステルに対して0.01〜0.3質量%含有
    させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載のセルロースエステル溶液の調製方法。
  7. 【請求項7】 安息角20度以上45度以下、嵩密度
    0.35g/cm3以上0.75g/cm3以下、タップ
    密度0.40g/cm3以上0.80g/cm 3以下、圧
    縮度4%以上20%以下、かつ粒径1〜20mmで炭素
    数2〜4のアシル基を有するセルロースエステル粒子を
    有機溶媒に溶解し、支持体上に溶液流延し、溶媒を乾燥
    してフィルムを形成することを特徴とするセルロースエ
    ステルフィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記粒径1〜20mmの粒子が、0.0
    1〜0.5mmの粒径を有するセルロースエステル粒子
    を造粒加工したものであることを特徴とする請求項7に
    記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載の製造方法によ
    り得られたことを特徴とするセルロースエステルフィル
    ム。
  10. 【請求項10】 安息角20度以上45度以下、嵩密度
    0.35g/cm3以上0.75g/cm3以下、タップ
    密度0.40g/cm3以上0.80g/cm3以下、圧
    縮度4%以上20%以下、かつ粒径1〜20mmの粒子
    を質量割合で全体の70%以上含有することを特徴とす
    る炭素数2〜4のアシル基を有するセルロースエステル
    造粒粒子。
  11. 【請求項11】 前記粒径1〜20mmの粒子が、粒径
    0.01〜0.5mmの粒子を質量割合で粒子全体の7
    0%以上含有するセルロースエステル粒子を造粒加工し
    たものであることを特徴とする請求項10に記載のセル
    ロースエステル造粒粒子。
  12. 【請求項12】 請求項9に記載のセルロースエステル
    フィルムを有することを特徴とする光学フィルム。
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