JP2006111467A - 誘電体磁器組成物及び電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物及び電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 比誘電率が高く、還元性雰囲気中での焼成が可能であるとともに、EIA規格のX8R特性(−55〜150℃、ΔC/C=±15%以内)以上のさらなる高温についてまで容量温度特性が平坦化され、しかも絶縁抵抗の劣化が抑制された誘電体磁器組成物の提供。
【解決手段】 チタン酸バリウムを含む主成分と、第1副成分(Mg,Ca,Ba及びSrの各酸化物の少なくとも1種)と、第2副成分(酸化シリコンを主成分)と、第3副成分(V,Mo及びWの各酸化物の少なくとも1種)と、第4副成分(Sc,Er,Tm,Yb及びLuの少なくとも1種の酸化物)と、第5副成分(CaZrOまたはCaO+ZrO)と、第7副成分(Mn及びCrの一方または双方の酸化物)と、を有する誘電体磁器組成物からなること。
【選択図】 図1

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサなどの電子部品の誘電体層などとして用いられる誘電体磁器組成物と、該誘電体磁器組成物を誘電体層として用いる積層セラミックコンデンサなどの電子部品とに、関する。
電子部品としての積層セラミックコンデンサには、比誘電率が高い、絶縁抵抗IRの寿命が長い、DCバイアス特性が良好(比誘電率の経時変化が少ない)の他に、温度特性が良好であることも要求される。特に、用途によっては、広い温度範囲において温度特性が平坦であることが求められる。
近年、自動車のエンジンルーム内に搭載するエンジン電子制御ユニット(ECU)、クランク角センサ、アンチロックブレーキシステム(ABS)モジュールなどの各種電子装置に積層セラミックコンデンサが使用されるようになってきている。これらの電子装置は、エンジン制御、駆動制御及びブレーキ制御を安定して行うためのものなので、回路の温度安定性が良好であることが要求される。
これらの電子装置が使用される環境は、寒冷地の冬季には−20℃程度以下まで温度が下がり、また、エンジン始動後には、夏季では+130℃程度以上まで温度が上がることが予想される。最近では電子装置とその制御対象機器とをつなぐワイヤハーネスを削減する傾向にあり、電子装置が車外に設置されることもある。このため、電子装置にとっての環境はますます厳しくなっている。したがって、これらの電子装置に用いられるコンデンサは、広い温度範囲において温度特性が平坦である必要がある。具体的には、容量温度特性が、EIA規格のX7R特性(−55〜125℃、ΔC/C=±15%以内)を満足するだけでは足りず、EIA規格のX8R特性(−55〜150℃、ΔC/C=±15%以内)を満足する誘電体磁器組成物が必要とされる。
X8R特性を満足する誘電体磁器組成物として、いくつかの提案がある。
特許文献1,2では、BaTiOを主成分とする誘電体磁器組成物においてX8R特性を満足させるために、BaTiO中のBaをBi,Pbなどで置換することにより、キュリー温度を高温側にシフトさせることが提案されている。また、特許文献3〜7では、BaTiO+CaZrO+ZnO+Nb系の組成を選択することによりX8R特性を満足させることも提案されている。しかしながら、特許文献1〜7の何れの技術においても、蒸発飛散しやすいPb,Bi,Znを使用するため、空気中等の酸化性雰囲気での焼成が前提となる。このため、コンデンサの内部電極に安価なNi等の卑金属を使用することができず、Pd,Au,Ag等の高価な貴金属を使用しなければならない。
これに対し、誘電率が高く、X8R特性を満足するとともに、還元性雰囲気中での焼成を可能にするものとして、本出願人は、既に以下に示す誘電体磁器組成物を提案している(特許文献8,9)。
特許文献8に記載の誘電体磁器組成物は、
主成分であるBaTiOと、
MgO,CaO,BaO,SrO及びCrから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
(Ba,Ca)SiO2+x (但し、x=0.8〜1.2)で表される第2副成分と、
,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
R1の酸化物(但し、R1はSc,Er,Tm,Yb及びLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と少なくとも有し、
主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:0.1〜3モル、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:0.01〜0.5モル、
第4副成分:0.5〜7モル(但し、第4副成分のモル数は、R1単独での比率である)である。
特許文献9に記載の誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムを含む主成分と、
MgO,CaO,BaO,SrO及びCrから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
酸化シリコンを主成分として含有する第2副成分と、
,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
R1の酸化物(但し、R1はSc,Er,Tm,Yb及びLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
CaZrOまたはCaO+ZrOを含む第5副成分と、
第7副成分としてのMnOとを有し、
主成分100モルに対する各成分の比率が、
第1副成分:酸化物換算で0.1〜3モル(金属元素換算では、Mg、Ca、Ba及びSrは0.1〜3モル、Crは0.2〜6モル)、
第2副成分:2〜10モル、
第3副成分:酸化物換算で0.01〜0.5モル(金属元素換算では、Vは0.02〜1モル、Mo及びWは0.01〜0.5モル)、
第4副成分:0.5〜7モル(但し、第4副成分のモル数は、R1単独での比率)、
第5副成分:0<第5副成分≦5モル、
第7副成分:酸化物換算で0.5モル以下(金属元素換算でも、Mnは0.5モル以下)、である。
これらの特許文献8,9の何れの技術も、主成分100モルに対するMgOなどの第1副成分の比率が酸化物換算で0.1モル以上である。
これに対し、MgOなどの第1副成分の比率を酸化物換算で0.1モル未満としつつ、X8R特性を満足する技術も、本出願人により提案されている(特許文献10)。
特許文献10に記載の誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムを含む主成分と、
AEの酸化物(但し、AEはMg、Ca、Ba及びSrから選択される少なくとも1種)を含む第1副成分と、
Rの酸化物(但し、RはY、Dy、Ho及びErから選択される少なくとも1種)を含む第2副成分とを有し、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率が、
第1副成分:酸化物換算で0モル<第1副成分<0.1モル、
第2副成分:1モル<第2副成分<7モルである。
本出願人による上記特許文献8〜10の技術によれば、確かに誘電率が高く、X8R特性を満足し、還元性雰囲気中での焼成は可能である。
しかしながら、特に、上述した車載用途の積層セラミックコンデンサについては、X8R特性以上のさらなる高温についてまで温度特性を平坦化しておくことが望ましい。
特開平10−25157号公報 特開平9−40465号公報 特開平4−295048号公報 特開平4−292458号公報 特開平4−292459号公報 特開平5−109319公報 特開平6−243721号公報 特開2000−154057号公報 特開2001−192264号公報(特許3348081) 特開2002−255639号公報(特許3341003)
本発明の目的は、比誘電率が高く、還元性雰囲気中での焼成が可能であるとともに、EIA規格のX8R特性(−55〜150℃、ΔC/C=±15%以内)以上のさらなる高温についてまで容量温度特性が平坦化され、しかも絶縁抵抗の劣化が抑制された誘電体磁器組成物を提供することである。また本発明は、このような誘電体磁器組成物を用い、小型・大容量化を実現でき、特に薄層小型化対応の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することも目的とする。
本発明者らは、電子部品産業界からの将来の要求を見据え、EIA規格のX8R特性以上のさらなる高温についてまで容量温度特性を平坦化できる技術について検討した。その結果、従来のX8R特性を満足する組成に対して、第3副成分の比率(y3)を従来の比率と比較して増加させることで、150℃を超える高温側での容量変化率の急降下を抑制できることを見出した。
その一方で、単に第3副成分の比率を増加させると、150℃を超える高温側での絶縁抵抗の劣化が著しく使用に耐えないとの知見が得られた。そこで、上記第3副成分の比率を増加させつつ、第7副成分の比率(y7)を第3副成分の比率(y3)に応じて制御することにより、高温側での絶縁抵抗の劣化を抑制できることを見出したものである。
すなわち、本発明によれば、
チタン酸バリウムを含む主成分と、
MgO,CaO,BaO及びSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
酸化シリコンを主成分として含有する第2副成分と、
,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
R1の酸化物(但し、R1はSc,Er,Tm,Yb及びLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
CaZrOまたはCaO+ZrOを含む第5副成分と、
MnO及びCrの一方または双方を含む第7副成分とを、有する誘電体磁器組成物であって、
前記主成分100モルに対する前記第3副成分の比率(y3。但し、金属元素に換算した値)が、1〜6モル(但し、1モルを除く)であり、
前記第7副成分の比率(y7。但し、金属元素に換算した値)が、前記y3の0.25〜2.5倍である誘電体磁器組成物が提供される。
好ましくは、前記主成分100モルに対する各副成分の比率(y1,y2,y4,y5)が、
第1副成分(y1):0.1〜3モル、
第2副成分(y2):2〜10モル、
第4副成分(y4):0.5〜7モル(但し、第4副成分のモル数は、R1単独での比率である)、
第5副成分(y5):5モル以下(但し、0モルを除く)である。
第3副成分は、V,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含むものであるが、好ましくはこれら3種の化合物から選択される少なくとも1種で構成されており、より好ましくは少なくともVを含める。第7副成分は、MnO及びCrの一方または双方を含むものであるが、好ましくはこれら2種の化合物の一方又は双方で構成されており、より好ましくは少なくともMnOを含める。
本発明によれば、
チタン酸バリウムを含む主成分と、
MgO,CaO,BaO及びSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
酸化シリコンを主成分として含有する第2副成分と、
,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
R1の酸化物(但し、R1はSc,Er,Tm,Yb及びLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
CaZrOまたはCaO+ZrOを含む第5副成分と、
MnO及びCrの一方または双方を含む第7副成分とを、有する誘電体磁器組成物であって、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率(y1〜y5)が、
第1副成分(y1):0.1〜3モル、
第2副成分(y2):2〜10モル、
第3副成分(y3。但し、金属元素に換算した値):1〜6モル(但し、1モルを除く)、
第4副成分(y4):0.5〜7モル(但し、第4副成分のモル数は、R1単独での比率である)、
第5副成分(y5):5モル以下(但し、0モルを除く)であり、
第7副成分の比率(y7。但し、金属元素に換算した値)が、前記y3の0.25〜2.5倍である誘電体磁器組成物が提供される。
好ましくは、第6副成分として、R2の酸化物(但し、R2はY、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される少なくとも一種)をさらに有し、前記第6副成分の比率(y6)が、前記主成分100モルに対し9モル以下(但し、0モルを除く。第6副成分のモル数は、R2単独での比率である)である。
好ましくは、第4副成分及び第6副成分の合計の比率(y4+y6)が、前記主成分100モルに対し13モル以下(但し、0モルを除く。第4副成分及び第6副成分のモル数は、R1及びR2単独での比率である)である。
好ましくは、前記第2副成分が、SiO、MO(但し、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、LiO及びBから選ばれる少なくとも1種で表される。第2副成分は、焼結助剤として機能すると考えられる。
前記第5副成分において、CaとZrとのモル比は任意であるが、好ましくはCa/Zr=0.5〜1.5、より好ましくはCa/Zr=0.8〜1.5、特に好ましくはCa/Zr=0.9〜1.1である。
好ましくは、第8副成分として、Aの酸化物(但し、Aは、6配位時の有効イオン半径が0.065nm〜0.085nmの陽イオン元素群から選択される少なくとも1種)をさらに有する。
より好ましくは、前記第8副成分の比率(y8)が、前記主成分100モルに対し0〜4モル(但し、0モルと4モルを除く。A酸化物に換算した値)である。
なお、ここでのイオン半径は、文献「R.D.Shannon,Acta Crystallogr.,A32,751(1976)」に基づく値である。
好ましくは、前記第8副成分に含まれる酸化物の前記Aが、Al、Ga、Geの陽イオン元素群から選択される少なくとも1種である。
本発明に係る電子部品は、誘電体層を有する電子部品であれば、特に限定されず、たとえば誘電体層と共に内部電極層とが交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサ素子である。本発明では、前記誘電体層が、上記いずれかの誘電体磁器組成物で構成してある。内部電極層に含まれる導電材としては、特に限定されないが、たとえばNiまたはNi合金である。
本発明では、まず、第3副成分(V,MoO及びWOから選択される少なくとも1種)の比率(y3。但し、金属元素に換算した値)を主成分100モルに対して1〜6モル(但し、1モルを除く)とする。これにより、150℃を超える高温側(たとえば175℃)での容量変化率の急降下が抑制される。次に、第7副成分(MnO及びCrの一方または双方)の比率(y7。但し、金属元素に換算した値)を、第3副成分の比率(y3)に応じて制御する。これにより、単に第3副成分の比率(y3)を増加させた場合に生じる、150℃を超える高温側での絶縁抵抗の劣化が抑制される。具体的には、たとえば175℃での絶縁抵抗10Ω以上を確保することができる。
このような作用により、本発明によれば、比誘電率が高く、還元性雰囲気中での焼成が可能であるとともに、EIA規格のX8R特性(−55〜150℃、ΔC/C=±15%以内)以上のさらなる高温についてまで容量温度特性が平坦化され、しかも絶縁抵抗の劣化が抑制された誘電体磁器組成物を提供することができる。また本発明によれば、このような誘電体磁器組成物を用い、小型・大容量化を実現でき、特に薄層小型化対応の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することもできる。
また、6配位時の有効イオン半径が所定範囲に入る陽イオン元素群(第8副成分)をさらに添加することにより、上述した目的とする温度特性に影響を与えることなく、室温から高温部までのIR温度依存性を改善することができる。
”IR温度依存性”は、絶縁抵抗IRが温度変化に対してどのように変動するのかを見極める指標である。このIR温度依存性は、所定温度(たとえば175℃)でのIRが、基準温度(たとえば室温25℃)でのIRに対して変化する割合(変化率)を算出することで評価できる。複数の温度間でのIRの変化率が小さいほどIR温度依存性が良く、大きいほどIR温度依存性が悪いと判断できる。静電容量の温度特性がEIA規格のX8R以上のさらなる高温についてまで平坦化されていたとしても、IR温度依存性が悪いと、製品としての実際の使用が困難になることもある。
本発明では、複数の温度として室温(25℃)と高温部(175℃)を例示し、それぞれの温度での絶縁抵抗をIR25、IR175 としたときに、下記式1で示される”IR桁落ち”の大小を算出することで、IR温度依存性の善し悪しを評価している。
log(IR175 /IR25) …式1
すなわち、特定の元素群で構成される第8副成分を添加することで、目的とする温度特性に影響を与えることなく、室温(25℃)から高温部(175℃)のIR温度依存性が小さい。具体的には、上記式1で示されるIR桁落ちを−3.5以上とすることができる。
本発明に係る電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品などが例示される。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、図2は本発明の実施例に相当する試料45と比較例に相当する試料1の容量温度特性を示すグラフ、である。
本実施形態では、電子部品として図1に示される積層セラミックコンデンサ1を例示し、その構造及び製造方法を説明する。
積層セラミックコンデンサ
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層されたコンデンサ素子本体10を有する。コンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
コンデンサ素子本体10の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は通常、縦(0.4〜5.6mm)×横(0.2〜5.0mm)×高さ(0.2〜1.9mm)程度とすることができる。
誘電体層
誘電体層2は、本発明に係る誘電体磁器組成物を含有する。
本発明の誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウム(好ましくは、組成式BaTiO2+m で表され、mが0.995≦m≦1.010であり、BaとTiとの比が0.995≦Ba/Ti≦1.010である)を含む主成分と、
MgO,CaO,BaO及びSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
酸化シリコンを主成分として含有する第2副成分と、
,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
R1の酸化物(但し、R1はSc,Er,Tm,Yb及びLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
CaZrOまたはCaO+ZrOを含む第5副成分と、
MnO及びCrの一方または双方を含む第7副成分とを、有する。
本発明では、第1に、X8R特性を満足する誘電体組成に対して、第3副成分の比率(y3。但し、金属元素に換算した値)を、前記主成分100モルに対して1〜6モル(但し、1モルを除く)、好ましくは1.5〜4モルにする点に特徴がある。
なお、第3副成分の比率(y3)の換算は、V,MoO及びWOなどの”酸化物”のモル比ではなく、”金属元素、すなわちV、Mo及びWに換算したとき”のモル比である。すなわち、例えば第3副成分としてVの酸化物を用いた場合、第3副成分の比率(y3)が2モルであるということは、Vの比率が2モルであることを意味し、これを酸化物(V)に換算した場合の比率は1モルとなることを意味する。また、第3副成分としてMoの酸化物を用いた場合、第3副成分の比率(y3)が2モルであることは、Moの比率が2モルであり、これを酸化物(MoO)に換算した場合の比率も2モルとなる。Wについては、Moの場合に準じる。
第3副成分(V,MoO及びWO)は、キュリー温度以上での容量温度特性を平坦化する効果、特に高温側での容量変化率の急降下を抑制する効果と、IR寿命を向上させる効果とを示す。第3副成分の比率(y3)が金属元素換算で1モル以下だと、高温側(150℃超)の容量変化率が悪化する。一方、第3副成分の比率(y3)が多すぎると、後述する第7副成分による調整によっても絶縁抵抗(IR)の劣化抑制を実現することが困難となる。
第3副成分は、V,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含むものであるが、好ましくはこれら3種の化合物から選択される少なくとも1種で構成し、より好ましくは少なくともVを含める。2種以上を組み合わせて用いる場合、特に好ましい組み合わせはV+MoO、V+WO、V+MoO+WOである。
なお、第3副成分を複数の酸化物で構成するケースでは、合計比率が上述した範囲となるようにすればよい。すなわち、第3副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
本発明では、第2に、第7副成分の比率(y7。但し、金属元素に換算した値)を、前記第3副成分の比率(y3。但し、金属元素に換算した値)の0.25〜2.5倍、好ましくは0.5〜1.5倍の範囲に制御する点に特徴がある。前記y3は、上述したように金属元素に換算した値で1〜6モル(但し、1モルを除く)の範囲に制御されるので、ここでのy7は、主成分100モルに対して、0.25〜15モルの範囲で決定される。
なお、第7副成分の比率(y7)の換算は、上記第3副成分の比率(y3)と同様であり、MnO及びCrなどの”酸化物”のモル比ではなく、”金属元素、すなわちMn及びCrに換算したとき”のモル比である。すなわち、例えば第7副成分としてMnの酸化物を用いた場合、第7副成分の比率(y7)がy3の0.25〜2.5倍した結果、1.5モルであるということは、Mnの比率が1.5モルであることを意味し、これを酸化物(MnO)に換算した場合の比率も1.5モルとなる。また、第7副成分としてCrの酸化物を用いた場合、第7副成分の比率(y7)が1.5モルであることは、Crの比率が1.5モルであり、これを酸化物(Cr)に換算した場合の比率は0.75モルとなる。
第7副成分(MnO及び/又はCr)は、焼結を促進する効果と、IRを高くする効果、特に高温側でのIR劣化を抑制する効果と、IR寿命を向上させる効果とを示す。第7副成分の比率(y7)がy3の0.25倍未満だと、高温側(150℃超)の絶縁抵抗(IR)の劣化抑制を実現することができない。一方、第7副成分の比率(y7)がy3の2.5倍を超えると、高温側(150℃超)の容量温度特性に悪影響を与える。
第7副成分は、MnO及びCrの一方または双方を含むものであるが、好ましくはこれら2種の化合物の一方又は双方で構成し、より好ましくは少なくともMnOを含める。
なお、第7副成分を複数の酸化物で構成するケースでは、合計比率が上述した範囲となるようにすればよい。すなわち、第7副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
つまり本発明では、第3副成分の比率(y3。但し、金属元素に換算した値)を、主成分100モルに対して1〜6モル(但し、1モルを除く)の範囲にしつつ、第7副成分の比率(y7。但し、金属元素に換算した値)と、第3副成分の比率(y3。但し、金属元素に換算した値)との比(y7/y3)が、0.25〜2.5の範囲となるように、前記y7の比率を決定することが特徴である。
その他、主成分100モルに対する上記各副成分の比率(y1,y2,y4,y5)は、
第1副成分(y1):0.1〜3モル、
第2副成分(y2):2〜10モル、
第4副成分(y4):0.5〜7モル(但し、第4副成分のモル数は、R1単独での比率である)、
第5副成分(y5):5モル以下(但し、0モルを除く)であり、
好ましくは、
y1:0.5〜2.5モル、
y2:2〜5モル、
y4:0.5〜5モル、
y5:0.5〜3モルである。
なお、第4副成分の上記比率は、R1酸化物のモル比ではなく、R1単独のモル比である。すなわち、例えば第4副成分としてYbの酸化物を用いた場合、第4副成分の比率が1モルであることは、Ybの比率が1モルなのではなく、Ybの比率が1モルであることを意味する。
本明細書では、主成分及び各副成分を構成する各酸化物を化学量論組成で表しているが、各酸化物の酸化状態は、化学量論組成から外れるものであってもよい。但し、各副成分の上記比率は、各副成分を構成する酸化物に含有される金属量から上記化学量論組成の酸化物に換算して求める。
上記第1〜5副成分を含有させることで、高い誘電率を維持しながら、X8R特性を満足させることができる。第1,2,4,5副成分の好ましい比率及び理由は以下の通りである。
第1副成分(MgO,CaO,BaO及びSrO)は、容量温度特性を平坦化させる効果を示す。第1副成分の比率(y1)が少なすぎると、容量温度変化率が大きくなってしまう。一方、y1が多すぎると、焼結性が悪化する。なお、第1副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
第2副成分(酸化シリコンを主成分として含有する)は、主として焼結助剤として作用するが、薄層化した際の初期絶縁抵抗の不良率を改善する効果を有する。第2副成分の比率(y2)が少なすぎると、容量温度特性が悪くなり、また、IR(絶縁抵抗)が低下する。一方、y2が多すぎると、IR寿命が不十分となるほか、誘電率の急激な低下が生じてしまう。
好ましくは、第2副成分が、SiO、MO(但し、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、LiO及びBから選ばれる少なくとも1種で表される。
より好ましくは、前記第2副成分が、(Ba,Ca)SiO2+x (但し、x=0.7〜1.2)で表される。第2副成分のより好ましい態様としての[(Ba,Ca)SiO2+x ]中のBaO及びCaOは第1副成分にも含まれるが、複合酸化物である(Ba,Ca)SiO2+x は融点が低いため主成分に対する反応性が良好なので、本発明ではBaO及び/またはCaOを上記複合酸化物としても添加することが好ましい。第2副成分のより好ましい態様としての(Ba,Ca)SiO2+x におけるxは、好ましくは0.7〜1.2であり、より好ましくは0.8〜1.1である。xが小さすぎると、すなわちSiOが多すぎると、主成分のBaTiOと反応して誘電体特性を悪化させてしまう。一方、xが大きすぎると、融点が高くなって焼結性を悪化させるため、好ましくない。なお、BaとCaとの比率は任意であり、一方だけを含有するものであってもよい。
第4副成分(R1酸化物)は、キュリー温度を高温側へシフトさせる効果と、容量温度特性を平坦化する効果とを示す。第4副成分の比率(y4)が少なすぎると、このような効果が不十分となり、容量温度特性が悪くなってしまう。一方、y2が多すぎると、焼結性が悪化する傾向にある。第4副成分のうちでは、特性改善効果が高く、しかも安価であることから、Yb酸化物が好ましい。
第5副成分(CaZrO)は、キュリー温度を高温側へシフトさせる効果と、容量温度特性を平坦化する効果とを示す。また、CR積、直流絶縁破壊強度を改善する効果がある。但し、第5副成分の比率(y5)が多すぎると、IR加速寿命が著しく悪化し、容量温度特性(X8R特性)が悪くなってしまう。CaZrOの添加形態は特に限定されず、CaOなどのCaから構成される酸化物、CaCOなどの炭酸塩、有機化合物、CaZrOなどを挙げることができる。CaとZrの比率は特に限定されず、主成分であるBaTiOに固溶させない程度に決定すればよいが、Zrに対するCaのモル比(Ca/Zr)が、好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.8〜1.5、さらに好ましくは0.9〜1.1である。
本発明の誘電体磁器組成物には、必要に応じ、第6副成分として、R2酸化物(但し、R2はY、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される少なくとも一種)が含有され、前記第6副成分の比率(y6)が、前記主成分100モルに対し、好ましくは9モル以下(但し、0モルを除く。第6副成分のモル数は、R2単独での比率である)、より好ましくは0.5〜9モルであることが好ましい。この第6副成分(R2酸化物)は、IR及びIR寿命を改善する効果を示し、容量温度特性への悪影響も少ない。但し、R2酸化物の比率(y6)が多すぎると、焼結性が悪化する傾向にある。第6副成分のうちでは、特性改善効果が高く、しかも安価であることから、Y酸化物が好ましい。
第4副成分及び第6副成分の合計の比率(y4+y6)は、前記主成分100モルに対し、好ましくは13モル以下(但し、0モルを除く。第4副成分及び第6副成分のモル数は、R1及びR2単独での比率である)、さらに好ましくは10モル以下である。焼結性を良好に保つためである。
本発明の誘電体磁器組成物には、第8副成分として、Aの酸化物(但し、Aは、6配位時の有効イオン半径が0.065nm〜0.085nmの陽イオン元素群から選択される少なくとも1種)をさらに有することが好ましい。
第8副成分は、容量温度特性にあまり影響を与えず、IR温度依存性を改善する効果を有する。
前記第8副成分の陽イオン元素群には、I(0.067nm)、Ge(0.067nm)、Al(0.0675nm)、Cu(0.068nm)、Fe(0.069nm)、Ni(0.070nm)、Au(0.071nm)、As(0.072nm)、Ga(0.076nm)、At(0.076nm)、Os(0.077nm)、Nb(0.078nm)、Ta(0.078nm)、Co(0.079nm)、Rh(0.080nm)、Ir(0.082nm)、Ru(0.082nm)、Sn(0.083nm)が含まれるが、P(0.052nm)、K(0.152nm)は含まれない。なお、括弧内の数字は6配位時の有効イオン半径を示す。以下同様である。
前記陽イオン元素群の中でも6配位時の有効イオン半径が0.067〜0.076nmの元素を用いることが好ましい。このような好ましい元素群には、I、Ge、Al、Cu、Fe、Ni、Au、As、Ga、Atが含まれ、より好ましくはAl、Ga、Geの陽イオン元素群から選択される少なくとも1種を用い、さらに好ましくは少なくともAlを用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合、特に好ましい組み合わせはAl+Ga、Al+Geである。
第8副成分の比率(y8)は、前記主成分100モルに対して、A酸化物に換算した値で、好ましくは0〜4モル(但し、0モルと4モルを除く)、より好ましくは0〜3.5モル(但し、0モルを除く)、さらに好ましくは0.5〜3.5モル、特に好ましくは1〜1.5モルである。第8副成分を少量でも添加することで、IR温度依存性を改善する効果が発揮される。一方、第8副成分の比率(y8)が多すぎると容量温度特性が悪化する傾向にある。
第8副成分の上記比率は、A単独のモル比ではなく、A酸化物のモル比である。すなわち、例えば第8副成分としてAlの酸化物を用いた場合、第8副成分の比率が1モルであることは、Alの比率が1モルなのではなく、Alの比率が1モルであることを意味する。
なお、第8副成分として2種以上の複数の元素(酸化物)を用いる場合には、合計含有量が前記主成分100モルに対して、上記範囲となるようにすればよい。すなわち第8副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
なお、Sr,Zr及びSnの少なくとも1種が、ペロブスカイト構造を構成する主成分中のBaまたはTiを置換している場合、キュリー温度が低温側にシフトするため、125℃以上での容量温度特性が悪くなる。このため、これらの元素を含むBaTiO[例えば(Ba,Sr)TiO]を主成分として用いないことが好ましい。但し、不純物として含有されるレベル(誘電体磁器組成物全体の0.1モル%程度以下)であれば、特に問題はない。
本発明の誘電体磁器組成物の平均結晶粒径は、特に限定されず、誘電体層の厚さなどに応じて例えば0.1〜3μmの範囲から適宜決定すればよい。
容量温度特性は、誘電体層が薄いほど悪化し、また、平均結晶粒径を小さくするほど悪化する傾向にある。このため、本発明の誘電体磁器組成物は、平均結晶粒径を小さくする必要がある場合に、具体的には、平均結晶粒径が0.1〜0.5μmである場合に特に有効である。また、平均結晶粒径を小さくすれば、IR寿命が長くなり、また、直流電界下での容量の経時変化が少なくなるため、この点からも平均結晶粒径は上記のように小さいことが好ましい。
本発明の誘電体磁器組成物のキュリー温度(強誘電体から常誘電体への相転移温度)は、組成を選択することにより変更することができるが、X8R特性以上の高温側の温度特性を改善するためには、好ましくは120℃以上、より好ましくは123℃以上とする。なお、キュリー温度は、DSC(示差走査熱量測定)などによって測定できる。
本発明の誘電体磁器組成物から構成される誘電体層の厚さは、一層あたり、通常40μm以下、特に30μm以下である。厚さの下限は、通常、2μm程度である。
本発明の誘電体磁器組成物は、このような薄層化した誘電体層を有する積層セラミックコンデンサの容量温度特性(特に150℃を超える高温側)の改善に有効である。なお、誘電体層の積層数は、通常2〜300程度とする。
本発明の誘電体磁器組成物を用いた積層セラミックコンデンサは、80℃以上、特に125〜175℃の高温環境下で使用される機器用電子部品として用いて好適である。そして、このような温度範囲において、容量の温度特性がEIA規格のR特性を満足し、さらに、X8R特性も満足することはもとより、150℃を超える高温領域(たとえば175℃)においても、静電容量の温度変化率が±15%以内を満足することが可能である。また、EIAJ規格のB特性[−25〜85℃で容量変化率±10%以内(基準温度20℃)]、EIA規格のX7R特性(−55〜125℃、ΔC=±15%以内)も同時に満足することが可能である。
積層セラミックコンデンサでは、誘電体層に、通常、0.02V/μm以上、特に0.2V/μm以上、さらには0.5V/μm以上、一般に5V/μm程度以下の交流電界と、これに重畳して5V/μm以下の直流電界とが加えられるが、このような電界が加わっても、容量の温度特性は安定している。
内部電極層
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,Co及びAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。
なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。
内部電極層の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に0.5〜2.5μm程度であることが好ましい。
外部電極
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本発明では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。
外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
積層セラミックコンデンサの製造方法
本発明の誘電体磁器組成物を用いた積層セラミックコンデンサは、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層用ペーストに含まれる誘電体磁器組成物粉末を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調整する。
誘電体層用ペーストは、誘電体磁器組成物粉末と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
誘電体磁器組成物粉末としては、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。誘電体磁器組成物粉末中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
塗料化する前の状態で、誘電体磁器組成物粉末の粒径は、通常、平均粒径0.1〜3μm程度である。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種誘電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペースト及び内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ処理は、内部電極層ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、脱バインダ雰囲気中の酸素分圧を10−45 〜10Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると、脱バインダ効果が低下する。また酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
また、それ以外の脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、より好ましくは10〜100℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、より好ましくは200〜350℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは2〜20時間とする。また、焼成雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気とすることが好ましく、還元性雰囲気における雰囲気ガスとしては、たとえばNとHとの混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
グリーンチップ焼成時の雰囲気は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、10−7〜10−3Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
また、焼成時の保持温度は、好ましくは1100〜1400℃、より好ましくは1200〜1380℃、さらに好ましくは1260〜1360℃である。保持温度が前記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量温度特性の悪化、誘電体磁器組成物の還元が生じやすくなる。
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間とする。また、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
還元性雰囲気中で焼成した場合、コンデンサ素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これによりIR寿命を著しく長くすることができるので、信頼性が向上する。
アニール雰囲気中の酸素分圧は、0.1Pa以上、特に0.1〜10Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層が酸化する傾向にある。
アニールの際の保持温度は、1100℃以下、特に500〜1100℃とすることが好ましい。保持温度が前記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分となるので、IRが低く、また、IR寿命が短くなりやすい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化して容量が低下するだけでなく、内部電極層が誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性の悪化、IRの低下、IR寿命の低下が生じやすくなる。なお、アニールは昇温過程及び降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。この場合、保持温度は最高温度と同義である。
これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を好ましくは0〜20時間、より好ましくは2〜10時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
上記した脱バインダ処理、焼成及びアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成及びアニールは、連続して行なっても、独立に行なってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、アニールの保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニール時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、アニールの全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記組成の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも良い。
次に、本発明の実施の形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
まず、誘電体材料を作製するための出発原料として、それぞれ平均粒径0.1〜1μmの主成分原料(BaTiO)、第1〜第7副成分原料を用意した。
MgOとMnOの原料には炭酸塩(第1副成分:MgCO、第7副成分:MnCO)を用い、他の原料には酸化物(第2副成分:(Ba0.6 Ca0.4 )SiO、第3副成分:V、第4副成分:Yb、第5副成分:CaZrO、第6副成分:Y)を用いた。なお、第2副成分である(Ba0.6 Ca0.4 )SiOは、BaCO,CaCO及びSiOをボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥後、1150℃で空気中で焼成し、さらに、ボールミルにより100時間湿式粉砕することにより製造した。また、第5副成分であるCaZrOは、CaCO及びZrOをボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥後、1150℃で空気中で焼成し、さらに、ボールミルにより24時間湿式粉砕することにより製造した。
なお、主成分であるBaTiOは、BaCO及びTiOをそれぞれ秤量し、ボールミルを用いて約16時間湿式混合し、これを乾燥したのち、1100℃の温度で空気中にて焼成したものをボールミルにより約16時間湿式粉砕して作製したものを用いても同様の特性が得られた。また、主成分であるBaTiOは、水熱合成粉、蓚酸塩法などによって作製されたものを用いても同様の特性が得られた。
これらの原料を、焼成後の組成が、主成分であるBaTiO100モルに対して、表1に示すものとなるように配合して、ボールミルにより16時湿式混合し、乾燥させて誘電体材料とした。
次いで、得られた乾燥後の誘電体原料100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部と、酢酸エチル100重量部と、ミネラルスピリット6重量部と、トルエン4重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
次いで、平均粒径0.2〜0.8μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)40重量部と、ブチルカルビトール10重量部とを3本ロールにより混練してペースト化し、内部電極層用ペーストを得た。
次いで、平均粒径0.5μmのCu粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重量部及びブチルカルビトール7重量部とを混練してペースト化し、外部電極用ペーストを得た。
次いで、上記誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上に、厚さ4.5μmのグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷したのち、PETフィルムからグリーンシートを剥離した。次いで、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、圧着して、グリーンチップを得た。内部電極を有するシートの積層数は4層とした。
次いで、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成及びアニールを行って、積層セラミック焼成体を得た。
脱バインダ処理は、昇温速度:30℃/時間、保持温度:260℃、保持時間:8時間、空気雰囲気の条件で行った。
焼成は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1240℃、保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、加湿したN+H混合ガス雰囲気(酸素分圧は10−6Pa)の条件で行った。
アニールは、保持温度:1000℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、加湿したNガス雰囲気(酸素分圧は10−2Pa)の条件で行った。なお、焼成及びアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、水温を30℃としたウェッターを用いた。
次いで、積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨したのち、外部電極用ペーストを端面に転写し、加湿したN+H雰囲気中において、800℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、図1に示される構成の積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。
このようにして得られた各サンプルのサイズは、縦3.2mm×横1.6mm×高さ0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は4、その厚さは3.5μmであり、内部電極層の厚さは1.2μmであった。
得られたコンデンササンプルに対して、容量温度特性(Tc)、絶縁抵抗(IR)、及び比誘電率(ε)を評価した。
容量温度特性(Tc)は、得られたサンプルに対し、−55℃〜+175℃の温度範囲で静電容量を測定した。静電容量の測定にはデジタルLCRメータ(YHP製4274A)を用い、周波数1kHz、入力信号レベル1Vrmsの条件下で測定した。そして、これらの温度範囲で最も容量温度特性が悪くなる175℃での静電容量の温度変化率(△C/C。単位は%)を算出し、これがΔC/C=±15%以内を満足するかどうかを調べた。なお、高温側が150℃と少し低下したX8R特性(−55〜150℃、ΔC/C=±15%以内)について、これを満足するものを◎、満足しないものを×とした。
また、本発明の実施例に相当する代表的な試料45(表5参照)と比較例に相当する代表的な試料1とにつき、−55℃〜+175℃の温度範囲における容量変化率ΔC/Cを測定して、図2にグラフ化した。図2には25℃における静電容量を基準とした変化率を表している。図2からも明らかなように、本発明の実施例に相当する試料45では、150℃はもとよりこれを超える高温側(175℃)においても良好な容量温度特性を示していることが理解できる。これに対し、比較例に相当する試料1については、X8Rの高温側(150℃)までは良好な容量温度特性を示しているが、それより高温側になると容量変化率が急降下して、ΔC/C=±15%以内を満足しなくなることが理解できる。
絶縁抵抗(IR)は、温度可変IR測定器を用い、得られたサンプルの175℃における絶縁抵抗IR175 を、測定電圧:20V、電圧印加時間:60sの条件で測定した。評価基準は、IR=10Ω以上を良好とした。
比誘電率(ε)は、得られたコンデンササンプルに対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1.0Vrmsの条件下で測定された静電容量から算出した(単位なし)。評価基準は、ε=1000以上を良好とした。
なお、得られたコンデンササンプルに対して、誘電損失(tanδ)、直流電界下でのIR寿命、直流絶縁破壊強度、DCバイアス特性(誘電率の直流電圧印加依存性)、TCバイアスも併せて評価した。
誘電損失(tanδ)は、コンデンサのサンプルに対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1.0Vrmsの条件下で測定した。その結果、いずれのサンプルも10%以下と良好な結果が得られた。
直流電界下でのIR寿命は、コンデンサのサンプルに対し、200℃にて10V/μmの電界下で加速試験を行い、絶縁抵抗が1MΩ以下になるまでの時間を寿命時間として算出した。その結果、いずれのサンプルも10時間以上と良好な結果が得られた。
直流絶縁破壊強度は、コンデンササンプルに対し、直流電圧を100V/sec.の昇温速度で印加し、100mAの漏洩電流を検知した時の電圧(直流破壊電圧VB、単位はV/μm)を測定し、その平均値を算出した。その結果、いずれのサンプルも100V/μm以上と良好な結果が得られた。
DCバイアス特性は、コンデンサのサンプルに対し、一定温度(25℃)において、各サンプルに徐々に直流電圧をかけていった場合の静電容量の変化(△C/C)を測定し、プロットした結果、いずれのサンプルでも、高い電圧をかけても静電容量が減少しにくく、安定したDCバイアス特性を有することが確認された。
TCバイアスは、得られたサンプルを、デジタルLCRメータ(YHP製4274A)にて、1kHz,1Vrms,7.0V/μmのバイアス電圧(直流電圧)で−55℃から150℃まで温度を変化させて測定し、25℃のバイアス電圧無印加中の測定値からの静電容量の変化率を算出して評価した。なお、静電容量の測定にはLCRメーターを用い、周波数1kHz、入力信号レベル1Vrmsの条件下で測定した。その結果、いずれのサンプルも−40%と良好な結果が得られた。
Figure 2006111467
表1に示すように、第3副成分の比率(y3)が少なすぎると(1モル)、X8R特性を満足するが、175℃での温度特性が悪化している。第3副成分の比率(y3)が多すぎると(6.2モル)、絶縁抵抗IRが低くなりすぎて静電容量の温度変化率を測定することができなかった。
これに対し、第3副成分の比率(y3)が適正範囲にあることで、X8R特性を満足するとともに、175℃での温度特性が良好であり、しかもMn/Vの値も適正であることから、適正なIRを確保できることが確認できた。
実施例2
第3副成分の種類及び含有量を、表2〜4のように変化させた以外は、実施例1と同様にコンデンササンプルを作製し、同様の評価をした。
Figure 2006111467
Figure 2006111467
表2,3に示すように、第3副成分をMoO、WOに変えても、表1のVと同様の効果が得られることが確認できる。
Figure 2006111467
表4に示すように、第3副成分をVとMoOの複合形式に変えても、V単独で添加した場合(表1参照)と同様の効果が得られることが確認できる。
実施例3
第7副成分の種類及び含有量を、表5〜7のように変化させた以外は、実施例1と同様にコンデンササンプルを作製し、同様の評価をした。
Figure 2006111467
表5に示すように、第3副成分の比率(y3)が適正範囲にあっても、MnとVの比(Mn/V)が少なすぎたり(0.225)、多すぎる(2.917)と、絶縁抵抗IRが低くなりすぎて静電容量の温度変化率を測定することができなかった。
これに対し、MnとVの比(Mn/V)が適正範囲にあることで、適正なIRを確保できるとともに、y3の値も適正であることから、X8R特性を満足するとともに、175℃での温度特性が良好であることが確認できた。
Figure 2006111467
表6に示すように、第7副成分をCrに変えても、表5のMnCOと同様の効果が得られることが確認できる。
Figure 2006111467
表7に示すように、第7副成分をMnCOとCrの複合形式に変えても、MnCO単独で添加した場合(表5参照)と同様の効果が得られることが確認できる。
実施例4
実施例1の試料4(表1参照)に対して、さらに、第8副成分としてのAlを、表8の割合(但し、主成分100モルに対するモル数)で添加した以外は、実施例1と同様にコンデンササンプルを作製した。
得られたコンデンササンプルに対して、実施例1の容量温度特性(Tc)とともに、IR温度依存性(桁落ち)を評価した。結果を表8に示す。
IR温度依存性(桁落ち)は、得られたサンプルの175℃における絶縁抵抗IR175 と、25℃における絶縁抵抗IR25とを測定し、下記式1で示される桁落ちを算出して評価した。評価基準は、−3.5以上を良好とした。
log(IR175 /IR25) …式1
なお、各温度での絶縁抵抗の測定には、温度可変IR測定器を用い、測定電圧7.0V/μm、電圧印加時間60sで測定した。
Figure 2006111467
表8に示すように、第8副成分を添加しても、175℃での静電容量の温度変化率の悪化が見られず、しかも第8副成分を添加することで、IRの桁落ちが−3.5以上となり、IR温度依存性が改善されることが確認できた。
なお、第8副成分をGe、Gaに変えても、Alと同様の効果が得られた。さらに、AlとGeの複合形式に変えても、Al単独で添加した場合と同様の効果が得られた。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は本発明の実施例に相当する試料45と比較例に相当する試料1の容量温度特性を示すグラフ、である。
符号の説明
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (12)

  1. チタン酸バリウムを含む主成分と、
    MgO,CaO,BaO及びSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
    酸化シリコンを主成分として含有する第2副成分と、
    ,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
    R1の酸化物(但し、R1はSc,Er,Tm,Yb及びLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
    CaZrOまたはCaO+ZrOを含む第5副成分と、
    MnO及びCrの一方または双方を含む第7副成分とを、有する誘電体磁器組成物であって、
    前記主成分100モルに対する前記第3副成分の比率(y3。但し、金属元素に換算した値)が1〜6モル(但し、1モルを除く)であり、
    前記第7副成分の比率(y7。但し、金属元素に換算した値)が、前記y3の0.25〜2.5倍である誘電体磁器組成物。
  2. 前記主成分100モルに対する各副成分の比率(y1,y2,y4,y5)が、
    第1副成分(y1):0.1〜3モル、
    第2副成分(y2):2〜10モル、
    第4副成分(y4):0.5〜7モル(但し、第4副成分のモル数は、R1単独での比率である)、
    第5副成分(y5):5モル以下(但し、0モルを除く)である請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記第3副成分が少なくともVを含み、前記第7副成分が少なくともMnOを含む、請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. チタン酸バリウムを含む主成分と、
    MgO,CaO,BaO及びSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
    酸化シリコンを主成分として含有する第2副成分と、
    ,MoO及びWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
    R1の酸化物(但し、R1はSc,Er,Tm,Yb及びLuから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
    CaZrOまたはCaO+ZrOを含む第5副成分と、
    MnO及びCrの一方または双方を含む第7副成分とを、有する誘電体磁器組成物であって、
    前記主成分100モルに対する各副成分の比率(y1〜y5)が、
    第1副成分(y1):0.1〜3モル、
    第2副成分(y2):2〜10モル、
    第3副成分(y3。但し、金属元素に換算した値):1〜6モル(但し、1モルを除く)、
    第4副成分(y4):0.5〜7モル(但し、第4副成分のモル数は、R1単独での比率である)、
    第5副成分(y5):5モル以下(但し、0モルを除く)であり、
    前記第7副成分の比率(y7。但し、金属元素に換算した値)が、前記y3の0.25〜2.5倍である誘電体磁器組成物。
  5. 第6副成分として、R2の酸化物(但し、R2はY、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選択される少なくとも一種)をさらに有し、
    前記第6副成分の比率(y6)が、前記主成分100モルに対し9モル以下(但し、0モルを除く。第6副成分のモル数は、R2単独での比率である)である請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  6. 第4副成分及び第6副成分の合計の比率が、前記主成分100モルに対し13モル以下(但し、0モルを除く。第4副成分及び第6副成分のモル数は、R1及びR2単独での比率である)である請求項5に記載の誘電体磁器組成物。
  7. 前記第2副成分が、SiO、MO(但し、Mは、Ba、Ca、Sr及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素)、LiO及びBから選ばれる少なくとも1種で表されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の誘電体磁器組成物。
  8. 第8副成分として、Aの酸化物(但し、Aは、6配位時の有効イオン半径が0.065nm〜0.085nmの陽イオン元素群から選択される少なくとも1種)を、さらに有する請求項1〜7のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  9. 前記第8副成分の比率(y8)が、前記主成分100モルに対し0〜4モル(但し、0モルと4モルを除く。A酸化物に換算した値)である請求項8に記載の誘電体磁器組成物。
  10. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品であって、
    前記誘電体磁器組成物が、請求項1〜9のいずれかの誘電体磁器組成物で構成されていることを特徴とする電子部品。
  11. 誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、内部電極層とが交互に積層してあるコンデンサ素子本体を有する積層セラミックコンデンサであって、
    前記誘電体磁器組成物が、請求項1〜9のいずれかの誘電体磁器組成物で構成されていることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  12. 前記内部電極層は、ニッケルまたはニッケル合金を主成分とする請求項11に記載の積層セラミックコンデンサ。
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