JP2013173626A - 誘電体磁器組成物及びセラミック電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物及びセラミック電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】比誘電率の温度特性の安定性に優れ、しかも比誘電率が高く、薄層化時の高温負荷寿命の良好な誘電体磁器組成物を使用した、小型、高性能、高信頼性のセラミック電子部品の製造。
【解決手段】 チタン酸バリウムBaTiOを主成分とし、副成分として酸化ゲルマニウムと酸化ガリウムを含有することを特徴とする誘電体磁器組成物。特に、主成分のチタン酸バリウムBaTiO100molに対し、前記副成分の酸化ゲルマニウムと酸化ガリウムが、酸化ゲルマニウムをGeO換算で0.75mol%〜2.75mol%、酸化ガリウムをGa換算で0.75mol%〜2.75mol%含有することにより、より高い信頼性が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体磁器組成物および該誘電体磁器組成物が誘電体層に適用されたセラミック電子部品に関し、特に誘電体層を薄層化した場合であっても、良好な特性を示す誘電体磁器組成物および該誘電体磁器組成物が適用されたセラミック電子部品に関する。
積層セラミックコンデンサやLCフィルタ素子のようなセラミック電子部品は、小型、高性能、高信頼性の電子部品として電子機器の中で多数使用されている。
近年、電子機器の小型化、高密度化にともない、その電子機器に使用される積層セラミックコンデンサなどの電子部品においても、より一層の小型化、高容量化が求められている。
積層セラミックコンデンサは通常、誘電体層と内部電極層が交互に積層された構造を有しているため、積層セラミックコンデンサの小型化、高容量化を実現するためには、誘電体層を薄層化する必要がある。
しかしながら、誘電体層を薄層化していくと誘電体にかかる電界強度が高くなることにより、高温負荷寿命が悪化するといった不具合が生じるため、薄層化に適した誘電体磁器組成物の開発が求められている。
このような要求に対し、たとえば特許文献1では、BaTiOを主成分とし、副成分にNb−Al−Ga−MnOを含有させた組成が知られている。
また、特許文献2では、BaTiO−を主成分とし、副成分にBaZrO−希土類酸化物−MgO−金属酸化物−Si−Geを含有させた組成が知られている。
また、特許文献3では、BaTiO−MgO−Y−BaO−CaO−SiO−MnO−V−Yb−CaO−ZrO−A−O系(AはAl、Cr、Ge、Gaから選択される少なくとも一つ)の組成が知られている。
特公昭62−058524号公報 特開2008−162830号公報 特開2006−062937号公報
しかしながら、このような要求に対し、たとえば特許文献1に記載の誘電体磁器組成物では、Ga単独添加のため、比誘電率の温度特性の安定性を維持したまま、高温負荷寿命を向上させることは難しい。
また、特許文献2に記載の誘電体磁器組成物でも、Ge単独添加のため、比誘電率の温度特性の安定性を維持したまま、高温負荷寿命を向上させることは難しく、比誘電率も大幅に低下してしまう。
さらに、特許文献3に記載の誘電体磁器組成物でも、GeとGaの複合添加効果についてなんら示されておらず、また、GeもしくはGaの単独添加の効果を見る限り、比誘電率の温度特性は若干悪化していく様子が伺えられ、かつ高温負荷寿命に関するデータは掲載されていない。
このように、従来技術では比誘電率の温度特性の安定性を維持したまま、高い比誘電率を保ちつつ、高温負荷寿命を向上させることはできなかった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、比誘電率の温度特性の安定性に優れ、しかも比誘電率が高く、薄層化時の高温負荷寿命の良好な誘電体磁器組成物を使用した、静電容量の高いセラミック電子部品を提供することである。
上述した課題を解決し目的を達成するために、本発明の誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウムBaTiOを主成分とし、副成分として酸化ゲルマニウムGeOと酸化ガリウムGaを含有することを特徴とする。
また、本発明の誘電体磁器組成物は、主成分のチタン酸バリウムBaTiO100molに対し、前記副成分の酸化ゲルマニウムと酸化ガリウムが、酸化ゲルマニウムをGeO換算で0.75mol%〜2.75mol%、酸化ガリウムをGa換算で0.75mol%〜2.75mol%含有することが望ましい。
GeOは誘電体磁器組成物となる誘電体粒子の粒界近傍に固溶しやすい元素であり、高温負荷寿命を向上させる効果はあるものの、比誘電率の温度特性は多少悪化する傾向がみられる。また、Gaは誘電体粒子のシェル部に固溶しやすい元素であり、高温負荷寿命を向上させる効果はあるものの、比誘電率の温度特性は多少悪化する傾向にある。しかしながら、GeOとGaを同時に含有させることで、比誘電率の温度特性を良好に維持したまま、GeO単独添加及びGa単独添加の効果以上に高温負荷寿命を向上させる効果が得られることがわかった。
本発明の望ましい形態としては、誘電体粒子のコア部が主成分のBaTiOであり、誘電体粒子のシェル部が、BaTiOに副成分が固溶した領域を有することが好ましい。副成分が主成分粒子全体に固溶すると比誘電率の温度特性が極端に悪化するためである。
また、本発明の望ましい形態としては、誘電体粒子の平均粒子径が0.5μm以下であることが望ましい。平均粒子径が大きくなると高温負荷寿命が低下する傾向にあり、平均粒子径が0.5um以上では所望の寿命時間が得られなくなるためである。
また、本発明の望ましい形態としては、誘電体磁器組成物から構成される誘電体層と、内部電極層とを有するセラミック電子部品とすることが好ましい。このような形態にすることで誘電体層の積層数を増加させることができるため、静電容量の大きなセラミック電子部品を得ることができるためである。
本発明は、比誘電率の温度特性の安定性に優れ、しかも比誘電率が高く、薄層化した場合の高温負荷寿命の良好な誘電体磁器組成物を使用した、静電容量の高いセラミック電子部品を提供する、という効果を奏する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は本発明の一実施形態に係るコア部とシェル部からなる誘電体粒子の模式図である。
以下、本発明を実施するための形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
積層セラミックコンデンサ1
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体磁器組成物よりなる誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、コンデンサ素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は通常、縦(0.4〜5.7[mm])×横(0.2〜5.0[mm])×厚み(0.1〜3.2[mm])程度である。
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
誘電体層2
本実施形態の誘電体層2を構成する誘電体磁器組成物は、組成式BaTiOで表されるペロブスカイト構造を有するチタン酸バリウム系誘電体磁器組成物を主成分として有する。この際、Ba/Ti比は上記式の化学量論組成比の1から若干偏倚してもよく、例えば一般的な値の0.990〜1.010の範囲において、比誘電率、比誘電率の温度特性及び高温負荷寿命が好ましい特性となる。また、酸素(O)量も、上記式の化学量論組成量の一分子式あたりの3からから若干偏倚してもよく、2.95〜3の範囲において、比誘電率、比誘電率の温度特性及び高温負荷寿命が好ましい特性となる。
本実施形態の誘電体層2を構成する誘電体磁器組成物は、上記主成分に加えて、副成分を含有している。本実施形態においては、副成分としてGeの酸化物、Gaの酸化物を含み、さらにはMgの酸化物、R(RはGd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yから選択される少なくとも1つ)の酸化物、M(MはMn、Cr、V、Fe、Co、Cuから選択される少なくとも1つ)の酸化物、Siの酸化物、Zrの酸化物を含むことが好ましい。
Geの酸化物とGaの酸化物は、それぞれ単独では高温負荷寿命を改善する働きが多少見られるが、複合添加とすることで比誘電率の温度特性を劣化させることなく、高温負荷寿命を大幅に改善する効果が表れる。
Geの酸化物の含有量は、主成分100モルに対して、GeO換算で、好ましくは0.75〜2.75モルであり、より好ましくは1〜2.5モルである。Geが多すぎると比誘電率が低下し、少なすぎると高温負荷寿命の向上が期待できなくなる。
Gaの酸化物の含有量は、主成分100モルに対して、Ga換算で、好ましくは0.75〜2.75モルであり、より好ましくは1〜2.5モルである。Gaが多すぎると比誘電率の温度特性が悪化し、少なすぎると高温負荷寿命の向上が期待できなくなる。
Mgの酸化物は、焼成時の粒成長を抑制する効果と、比誘電率の温度特性を向上させる効果を有する。Mgの酸化物の含有量は、主成分100モルに対して、MgO換算で、好ましくは0.5〜3モルであり、より好ましくは1〜2モルである。MgOが多すぎると比誘電率の低下と高温負荷寿命の低下が生じ、少なすぎると比誘電率の温度変化率が悪化する傾向にある。
希土類元素R(RはGd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yから選択される少なくとも1つ)の酸化物は、高温負荷寿命を向上させる効果を有する。Rの酸化物の含有量は、主成分100モルに対して、Re換算で、好ましくは0.5〜3モルであり、より好ましくは1〜2モルである。Reが多すぎると比誘電率の低下と比誘電率の温度特性の悪化を招き、少なすぎると高温負荷寿命が低下する傾向にある。
遷移金属元素M(MはMn、Cr、V、Fe、Co、Cuから選択される少なくとも1つ)の酸化物は、還元雰囲気焼成で誘電体磁器組成物が半導体化するのを抑制する効果を有する。Mの酸化物の含有量は、主成分100モルに対して、MO換算で、好ましくは0.01〜1.5モルであり、より好ましくは0.1〜1モルである。MOが多すぎると高温負荷寿命の低下を招き、少なすぎると誘電体磁器組成物が半導体化してコンデンサとして機能しなくなる傾向にある。
Siの酸化物は、焼結助剤として作用する。Siの酸化物の含有量は、主成分100モルに対して、SiO換算で、好ましくは0.5〜2モルであり、より好ましくは1.25〜2モルである。Siが多すぎると比誘電率を低下させ、少なすぎると誘電体磁器組成物が緻密に焼結できなくなる障害が生じる。
Zrの酸化物は、高温負荷寿命を向上させる効果を有する。Zrの酸化物の含有量は、主成分100モルに対して、ZrO換算で、好ましくは0.5〜2モルであり、より好ましくは1〜1.5モルである。Zrが多すぎると比誘電率が低下と比誘電率の温度特性の悪化が生じ、少なすぎると高温負荷寿命が低下してしまう。
誘電体層2の厚みは、特に限定されないが、好ましくは一層あたり0.3〜20μm程度、より好ましくは0.5〜10μm程度である。誘電体層2は、図2に示すような誘電体粒子5で構成され、誘電体粒子5はコア部5aとシェル部5bからなる、いわゆるコア・シェル構造を形成している。
誘電体粒子5の粒径は、好ましくは0.1〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.3μmである。
誘電体層2の積層数は、特に限定されないが、20以上であることが好ましく、より好ましくは50以上、特に好ましくは、100以上である。積層数の上限は、特に限定されないが、たとえば2000程度である。
内部電極層3
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、比較的安価な卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95質量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1質量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.3〜2μm、特に0.3〜1μm程度であることが好ましい。
外部電極4
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本実施形態では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ1の製造方法
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層用ペーストに含まれる誘電体原料粉末を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調整する。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料粉末と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
誘電体原料粉末としては、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。誘電体原料粉末中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜10質量%程度、溶剤は10〜50質量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体粉末等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10質量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
グリーンチップに脱バインダ処理および焼成処理を施す。脱バインダ処理および焼成処理は、内部電極層ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよい。還元性雰囲気中で焼成した場合、コンデンサ素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより高温負荷寿命が著しく向上する。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。例えば、本発明の範囲内の誘電体磁器組成物を用いてLCフィルタなどの電子部品を製造することもできる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
まず、主成分の原料として、平均原料粒径が0.2μmであるBaTiOを準備した。また、副成分の原料として、平均原料粒径が0.2μm以下であるGeO、Ga 、MgO、Y(またはその他の希土類酸化物)、MnO(またはその他の遷移金属酸化物)、SiO、およびZrOを準備した。上記で準備した主成分の原料および副成分の原料を、焼成後に表1に示す組成比となるように、電子天秤で秤量した。
Figure 2013173626
秤量した各原料をボールミルで20時間、湿式混合し、乾燥して、誘電体原料を得た。なお、ボールミルのメディアにはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)製のもので、直径2mmの球状のものを使用した。また、ボールミルの周速は0.5m/秒とした。
次いで、得られた誘電体原料100質量部と、ポリビニルブチラール樹脂10質量部と、可塑剤としてのジブチルフタレート(DBP)5質量部と、溶媒としてのアルコール100質量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
また、上記とは別に、Ni粒子45質量部と、テルピネオール52質量部と、エチルセルロース樹脂3質量部とを、3本ロールにより混練して内部電極層用ペーストを作製した。なお、Ni粒子は平均粒子径0.2μmのものを使用した。
さらに、上記とは別にCu粒子45質量部と、テルピネオール52質量部と、エチルセルロース樹脂3質量部とを、3本ロールにより混練して外部電極層用ペーストを作製した。なお、Cu粒子は平均粒子径1μmのものを使用した。
そして、上記にて作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが3μmとなるようにグリーンシートを形成した。次いで、このグリーンシート上に、上記にて作成した内部電極層用ペーストを用いて、内部電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、内部電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップに対して、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体(コンデンサ素子本体)を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:25℃/時間、保持温度:250℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成条件は、昇温速度:500℃/時間、保持温度:1250℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:500℃/時間、雰囲気ガス:加湿したN+H混合ガス(酸素分圧:10−12MPa)とした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1050℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:10−7MPa)とした。
次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、積層セラミック焼成体の端面部に、上記にて作成した外部電極用ペーストを塗布し、脱バインダ処理、焼成を下記条件にて行って、端子電極を形成し、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。得られた積層セラミックコンデンサ試料のサイズは、2.0mm×1.2mm×0.5mmであり、誘電体磁器組成物よりなる誘電体層の厚み2.0μm、内部電極層の厚み1.2μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の層数は20とした。
表1に示すように主成分に対する副成分の含有モル数を変化させ、得られた各コンデンサ試料について、比誘電率(εs)、温度に対する静電容量の変化率(TCC)、高温負荷寿命試験の平均寿命時間(MTTF)を下記に示す方法により測定した。結果を表2に示す。
Figure 2013173626
比誘電率(εs)
比誘電率εsは、積層セラミックコンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(Agilent社製E4980A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で測定された静電容量から算出した(単位なし)。比誘電率は高いほうが好ましく、本実施例では、2000以上を良好とした。
温度に対する静電容量の変化率(TCC)
積層セラミックコンデンサ試料に対し、基準温度25℃と評価対象温度125℃において、デジタルLCRメータ(Agilent社製E4980A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件で静電容量を測定し、基準温度25℃における静電容量に対する評価対象温度125℃での静電容量の変化率(単位は%)を算出した。変化率は少ない方が好ましく、本実施例では、±15%以内を良好とした。
高温負荷寿命試験の平均寿命時間(MTTF)
高温負荷寿命試験では、積層セラミックコンデンサ試料に対し、200℃にて、15V/μmの電界下で直流電圧を印加状態にして保持し、このときの試料の漏れ電流を連続的に計測し、漏れ電流の変化を評価した。本実施例では、電圧印加開始時に対して漏れ電流値が一桁高くなるまでの時間を寿命と定義した。この高温負荷寿命試験は、10個の試料について行い、得られた10個の寿命時間データをワイブル解析することにより平均寿命時間(MTTF)を算出した。本実施例では、100時間以上を良好とした。
評価1(比較例1〜13)
表1および表2に示す比較例1〜13では、比誘電率、温度に対する静電容量の変化率および高温負荷寿命試験の平均寿命時間の3項目を全て満たすものは得られなかった。比較例1〜4、8、9は、GeOとGaの含有量が本発明の範囲に対して少なく、平均寿命時間が100時間未満と短い。また、比較例5〜7、13はGaの含有量が本発明の範囲に対して多すぎるため、温度に対する静電容量の変化率が−15%を越えてに悪化してしまう。また、比較例10〜13はGeOの含有量が本発明の範囲に対して多すぎるため、比誘電率が2000未満に低下してしまう。
評価2(実施例1〜9)
表1および表2に示すように、実施例1〜9により、GeOの含有量は、主成分100molに対して0.75〜2.75mol%が好ましく、Gaの含有量は、主成分100molに対して0.75〜2.75mol%が好ましいことが確認できた。
評価3(実施例10〜19)
表1および表2に示すように、実施例10〜19を比較することで、MgOは、主成分100molに対して0.5〜3mol%が好ましく、Yは、主成分100molに対して0.5〜3mol%が好ましく、MnOは、主成分100molに対して0.01〜1.5mol%が好ましく、SiOは、主成分100molに対して0.5〜2mol%が好ましく、ZrO量は0.5〜2mol%が好ましいことが確認できた。
評価4(実施例20〜32)
表1および表2に示すように、実施例5と実施例20〜32を比較することで、YをY以外の希土類Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの酸化物に変えても、また、MnOをMn以外の遷移金属Cr、V、Fe、Co、Cuの酸化物に変えても、実施例5と同様な効果が確認できた。
以上のように、本発明に係る誘電体磁器組成物は、比誘電率が高く、静電容量の変化率が小さく、高温負荷寿命試験の平均寿命時間が長いため、積層セラミックコンデンサやLCフィルタ素子などの小型、高性能、高信頼性のセラミック電子部品に有用である。
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極
5… 誘電体粒子
5a… コア部
5b… シェル部

Claims (5)

  1. チタン酸バリウムを主成分とし、副成分として酸化ゲルマニウムと酸化ガリウムを含有することを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 前記主成分のチタン酸バリウムBaTiO100molに対し、前記副成分の酸化ゲルマニウムと酸化ガリウムが、酸化ゲルマニウムをGeO換算で0.75mol%〜2.75mol%、酸化ガリウムをGa換算で0.75mol%〜2.75mol%含有することを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 誘電体粒子のコア部がBaTiOであり、誘電体粒子のシェル部が、BaTiOに副成分が固溶した領域を有することを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  4. 誘電体粒子の平均粒子径が0.5μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物から構成される誘電体層と、内部電極層とを有するセラミック電子部品。
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