JP2006110800A - 感熱転写記録用インドアニリン系色素、感熱転写記録用インク、及び感熱転写記録用シート - Google Patents
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- JWBINVALJDXXQZ-UHFFFAOYSA-N Cc(c(Cl)cc(NC(C(F)(F)F)=O)c1O)c1Cl Chemical compound Cc(c(Cl)cc(NC(C(F)(F)F)=O)c1O)c1Cl JWBINVALJDXXQZ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
Description
本発明は、感熱転写記録、特に色素転写型感熱転写記録に使用される色素、並びにそれを用いた感熱転写記録用インク及び感熱転写記録用シートに関するものである。
色素転写型感熱転写記録は、ベースフィルム上に熱移行性の色素を含む色材層を有する感熱転写記録用シートと色素受容層を表面に有する受像シートとを重ね合わせ、感熱転写記録用シートを加熱して感熱転写記録用シート中の色素を受像シートに転写することにより記録を行うものである。この記録方法は、加熱エネルギーの大きさで色素の転写量を制御することにより、階調表現を容易に行うことができるため、ビデオプリンターなどのフルカラー画像記録用に用いられている。
このような色素転写型感熱転写記録においては、感熱転写記録用シートに用いられる色素が、転写記録のスピード、記録物の画質、保存安定性などに大きな影響を与えることが知られている。従って、色素転写型感熱転写記録に用いられる色素は、以下のような条件を満たすことが必要である。
(1) 熱記録ヘッドの作動条件で容易に昇華及び/又は熱拡散すること。
(2) 熱記録ヘッドの作動条件で熱分解しないこと。
(3) 色再現上、好ましい色相を有すること。
(4) 分子吸光係数が大きいこと。
(5) 熱、光、湿気、薬品などに対して安定であること。
(6) 合成が容易であること。
(7) インク化適性が優れていること。
(8) 安全性上問題のないこと。
(1) 熱記録ヘッドの作動条件で容易に昇華及び/又は熱拡散すること。
(2) 熱記録ヘッドの作動条件で熱分解しないこと。
(3) 色再現上、好ましい色相を有すること。
(4) 分子吸光係数が大きいこと。
(5) 熱、光、湿気、薬品などに対して安定であること。
(6) 合成が容易であること。
(7) インク化適性が優れていること。
(8) 安全性上問題のないこと。
従来、感熱転写記録に用いられるシアン系色素としては、インドアニリン系色素が広く用いられており、例えば、特許文献1〜4において、種々の感熱転写記録用インドアニリン系色素が提案されている。
ところで、近年、更に記録物の転写濃度や耐光性などに優れる色素が要求されるようになってきた。
しかしながら、特許文献1〜4に具体的に記載されている色素又は色素混合物では、いずれもこれらの要求を満たすことができず、より優れた性質を有する感熱転写記録用色素、特に、色相及び色濃度に優れ、耐光性の良好な色素の出現が望まれている。
特開昭61−31292号公報
特開昭61−35994号公報
特開平4−284294号公報
特開平5−221151号公報
しかしながら、特許文献1〜4に具体的に記載されている色素又は色素混合物では、いずれもこれらの要求を満たすことができず、より優れた性質を有する感熱転写記録用色素、特に、色相及び色濃度に優れ、耐光性の良好な色素の出現が望まれている。
本発明は、感熱転写記録用色素に要求される前記条件を満たし、特に記録物の色相、色濃度、及び耐光性に優れた感熱転写記録用色素、並びにこれを用いた感熱転写記録用インク、及び感熱転写記録用シートを提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、2つの環の特定の位置にそれぞれ特定の置換基を有するインドアニリン系化合物を用いること、即ち、
1)環に直接結合したカルボニル基のオルト位の片方にパーフロロアルキルカルボアミド基:他方にハロゲン原子を有すること、
2)該ハロゲン原子の隣接炭素がアルキル基で置換されていること、
3)イミノ基のパラ位に、非置換のアルキル基又は非置換のアルコキシ基で置換されたアミノ基があること、
4)イミノ基のオルト位は非置換であるか、アルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていること、
の4つの条件を組み合わせた構造の色素を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
1)環に直接結合したカルボニル基のオルト位の片方にパーフロロアルキルカルボアミド基:他方にハロゲン原子を有すること、
2)該ハロゲン原子の隣接炭素がアルキル基で置換されていること、
3)イミノ基のパラ位に、非置換のアルキル基又は非置換のアルコキシ基で置換されたアミノ基があること、
4)イミノ基のオルト位は非置換であるか、アルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていること、
の4つの条件を組み合わせた構造の色素を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、感熱転写記録用色素に要求されるすべての特性において総合的に優れた性能を有し、しかも感度が高く、記録濃度が高く、記録物の色調が鮮明で、安定性が高い感熱転写記録用インドアニリン系色素、並びにそれを用いた感熱転写記録用インク及び感熱転写記録用シートが提供される。
以下に、本発明の感熱転写記録用インドアニリン系色素、感熱転写記録用インク、及び感熱転写記録用シートの実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明の感熱転写記録用インドアニリン系色素について説明する。
まず、本発明の感熱転写記録用インドアニリン系色素について説明する。
本発明の感熱転写記録用インドアニリン系色素は、下記一般式(I)で表されるものであり、このインドアニリン系色素は、置換基の種類と置換位置を前述の如く組み合わせた点に特徴とするものである。
(式中、R1はパーフルオロアルキル基を表し、R2はハロゲン原子を表し、R3はアルキル基を表し、R4は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立してアルキル基、又はアルコキシアルキル基を表す。)
上記一般式(I)において、R1は、直鎖状若しくは分岐鎖状のパーフロロアルキル基を表す。昇華転写の感度を好ましく高いものにするため、R1の炭素数は少ないものが好ましく、具体的には炭素数が1〜4のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜2であり、最も好ましくはトリフロロメチル基である。
R2は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子を表す。これらのうち塩素原子又は臭素原子、特に塩素原子が好ましい。
R3は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。ここで、本発明のインドアニリン系色素の必須要件であるパーフロロアルキルカルボアミド基並びにハロゲン原子を有する基本骨格と組み合わせつつ昇華転写の感度を好ましく高いものにするため、R3で表されるアルキル基の炭素数は少ないものが好ましく、炭素数1〜4のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜2であり、最も好ましくはメチル基である。
R4は、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表す。R4がアルキル基である場合、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。ここで、本発明のインドアニリン系色素の必須要件であるパーフロロアルキルカルボアミド基並びにハロゲン原子を有する基本骨格と組み合わせつつ昇華転写の感度を好ましく高いものにするため、R4で表されるアルキル基の炭素数は少ないものが好ましく、炭素数1〜4のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜2であり、最も好ましくはメチル基である。また、R4がアルコキシ基である場合、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。ここで、本発明のインドアニリン系色素の必須要件であるパーフロロアルキルカルボアミド基並びにハロゲン原子を有する基本骨格と組み合わせつつ昇華転写の感度を好ましく高いものにするため、R4で表されるアルコキシ基の炭素数は少ないものが好ましく、炭素数1〜4のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜2であり、最も好ましくはメトキシ基である。即ち水素原子、メチル基、メトキシ基がR4として好適に用いられるが、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
R5及びR6は、それぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシアルキル基を表す。R5,R6がアルキル基である場合、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。ここで、本発明のインドアニリン系色素の必須要件であるパーフロロアルキルカルボアミド基並びにハロゲン原子を有する基本骨格と組み合わせつつ昇華転写の感度を好ましく高いものにするため、R5,R6で表されるアルキル基の炭素数は少ないものが望ましく、炭素数1〜4のものが好ましいが、少なすぎると色素の溶媒への溶解性が低下する場合もあるので、より好ましくは炭素数2〜4のものであり、更に好ましくはエチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であり、最も好ましくはエチル基である。また、R5,R6がアルコキシアルキル基である場合、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロピルオキシエチル基、n−ブトキシプロピル基、イソブチルオキシエチル基、t−ブトキシエチル基、n−プロポキシブチル基等の炭素数2〜15のアルコキシアルキル基が挙げられる。ここで、本発明のインドアニリン系色素の必須要件であるパーフロロアルキルカルボアミド基並びにハロゲン原子を有する基本骨格と組み合わせつつ昇華転写の感度を好ましく高いものにするため、R5,R6で表されるアルコキシアルキル基の炭素数は少ないものが好ましいが、少なすぎると色素の溶媒への溶解性が低下する場合もあるので、炭素数2〜4のアルコキシアルキル基が好適に用いられ、特にメトキシエチル基、エトキシエチル基又はメトキシプロピル基が好ましい。即ちエチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基又はメトキシプロピル基、がR5,R6として好適に用いられるが、最も好ましくはエチル基である。
本発明の色素は、通常、水又は有機溶媒に可溶のものである。一般に、インドアニリン系色素では、R1、R5及びR6の炭素数が大きくなるほど感熱転写記録用インクに用いる媒体への溶解性が高くなり、転写濃度が低くなる傾向がみられる。本発明者の検討によれば、感熱転写記録用インクに用いる媒体への溶解性と転写濃度とが両立するのは、R1、R5及びR6の炭素数の合計が4以上7以下であり、従って、R1、R5及びR6の炭素数の合計をこの範囲内とするのが好ましい。
本発明においては、前記一般式(I)で表されるインドアニリン系色素を用いる限りにおいて、本発明の効果を得ることができるが、本発明の効果を十分に発現させるためには、このインドアニリン系色素の分子量が、通常800以下、特に700以下、とりわけ400〜600であることが好ましい。
また、本発明のインドアニリン系色素はシアン系の色調を示すが、その色素の最大吸収波長(λmax)は、通常、600〜750nmである。
前記一般式(I)で表される本発明の感熱転写記録用インドアニリン系色素の具体例を以下に例示するが、本発明は何らこれらのものに限定されるものではない。
前記一般式(I)で表される本発明のインドアニリン系色素の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、下記一般式(II)で表されるフェノール類と下記一般式(III)で表されるアニリン類とを硝酸銀等の酸化剤の存在下で反応させる方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
(式中、R1、R2及びR3は一般式(I)におけると同義である。Xは水素原子又は塩素原子を表す。)
(式中、R4、R5及びR6は一般式(I)におけると同義である。)
このような本発明のインドアニリン系色素を用いて本発明の感熱転写記録用インクを調製するには、常法に従い、このインドアニリン系色素を適当な媒体に結着剤と共に溶解又は分散すれば良い。
個々で用いる媒体としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどの塩素系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;N,Nージメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの極性溶剤等の有機溶剤、及び水を挙げることができるが、色素の溶解力の点で、好ましくは有機溶剤が用いられる。これらの溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
インク中の色素濃度は、0.5重量%以上、特に1重量%以上、とりわけ2重量%以上で、20重量%以下、特に15重量%以下とするのが好ましい。色素濃度がこの範囲より高いとインクの取り扱い性等が損なわれ、低いと色材層の形成効率が悪くなる。なお、感熱転写記録用インク中には、本発明の効果を妨げない範囲で、本発明のインドアニリン系色素以外の他の色素が含まれていても良いが、その場合、本発明の効果を十分に得るために、他の色素の含有割合は、全色素の合計に対して50重量%以下であることが好ましい。
結着剤としては、セルロース系、アクリル酸系、澱粉系、エポキシ系などの水溶性樹脂;アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、アセチルセルロース、ポリエステル、AS樹脂、フェノキシ樹脂などの有機溶剤に可溶性の樹脂が挙げられる。これらの結着剤は単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
感熱転写記録用インク中の結着剤の量を多くすると安定な色材層が得られやすいが、結着剤の量を少なくした方がインクの取り扱い性は向上する。従って、結着剤:色素の比率は、重量比で1:2〜2:1となるように用いるのが好ましい。
また、本発明の感熱転写記録用インクには、必要に応じて有機、無機の非昇華性微粒子、分散剤、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調製剤などの添加剤を添加することもできる。インク中に含まれるこれら添加剤の量は、色素の特性への影響を抑えるため通常5重量%以下であり、3重量%以下が好ましい。ただし、添加剤としての効果を十分発揮させるためには、インクに含まれるこれら添加剤の量は、通常0.01重量%以上であり、0.5重量%以上が好ましい。
本発明のインドアニリン系色素を用いて、感熱転写記録用シートを調製するには、常法に従って、上述の感熱転写記録用インクを基材上に塗布し乾燥することにより、基材上に色材層を形成させればよい。
基材となるベースフィルムとしては、例えば、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミドのような耐熱性の良好なプラスチックのフィルムが挙げられる。ベースフィルムの厚さとしては、3〜50μmが好ましい。これらのベースフィルムのうち、ポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的強度、耐溶剤性、経済性などから好ましい。
感熱転写記録用インクは、例えばグラビアコーター、リバースロールコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター等を使用して、上記ベースフィルムへ塗布すればよい。インクは、色材層の乾燥後の厚さが0.1〜5μmの範囲となるように塗布するのが好ましい。
本発明の感熱転写記録用シートの加熱手段としては、通常、サーマルヘッド、赤外線、レーザー光などが用いられる。また、ベースフィルムそのものに電気を流すことによって発熱する通電発熱フィルムを用いて、通電型感熱転写記録用シートとして用いることもできる。
なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて作製した感熱転写記録用シートをサーマルヘッドで加熱すると、サーマルヘッドの走行性が不十分となることがある。このような場合には、色材層の反対面にアミノ変性シリコーン化合物、カルボキシ変性シリコーン化合物等の変性シリコーン化合物などの潤滑剤;シリカ等の滑性の高い耐熱性微粒子;界面活性剤;アクリル系樹脂等の結着剤などを含む耐熱性樹脂層等を、適宜、設けることにより、サーマルヘッドの走行性を改良することができる。この耐熱性樹脂層の厚みとしては、0.1〜50μmが好ましい。
感熱転写記録では、通常、イエロー、マゼンタ、シアンの3色、又はブラックを加えた4色の感熱転写記録用シートについて感熱転写記録操作を繰り返すことにより、カラー印刷が行われる。得られた画像の色相は、CIELAB空間におけるL*値、a*値、b*値で表される。類似の色濃度及びL*値を有する画像について、a*値及びb*値を測定することにより色相を比較することができる。
本発明によれば、カラー画像の色再現上、シアン色の色相として好ましい色相、即ち、D50光源を用いて2度視野角に設定した色濃度1.0におけるa*値が−60以上、特に−55以上、更に−50以上、また−20以下、特に−25以下、更に−30以下であり、b*値が−50以上、特に−45以上、更に−40以上、また−5以下、特に−10以下、更に−15以下を達成することができる。なお、これらの数値は、印刷工業に用いられるカラープルーフインクの色基準SWOP(Specifications Web Offset Publications)を満たすものである。また、本発明によれば、得られた記録物を分光測色計で測定した場合の色濃度が1.2以上であり、カラー画像の色再現上シアン色として好ましい色濃度を達成することができる。更に、この記録物は、耐光性試験後の色濃度残存率(OD%)が50%以上という、優れた耐光性を有するものである。なお、色濃度、色相及び耐光性は以下に記載した方法で測定される。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、色濃度、色相及び耐光性は以下の方法で測定ないし評価した。
(色相)
色濃度約1.0の記録物について、D50光源を用いて2度視野角に設定し測定したa*値が−50以上−30以下であり、かつ、b*値が−40以上−15以下であるものは◎とし、上記◎の範囲外ではあるが、a*値が−55以上−25以下であり、かつ、b*値が−45以上−10以下であるものは○とし、上記○の範囲外ではあるが、a*値が−60以上−20以下、かつ、b*値が−50以上−5以下に入っているものを△とした。
(色濃度)
感熱転写記録用シートをデジタルカラープリンタ(「P−330N」、オリンパス光学工業社製)の専用プリントパックオーバーコートセットP−60NOCのインクリボンとつなぎ合わせ、P−60NOC記録紙にデジタルカラープリンタで階調画像を記録し、記録物の最高印字濃度の色濃度を分光測色計(「スペクトロアイ」、グレタグ社製)を用いて測定した。
(耐光性)
この記録物(色濃度約1.0のもの)について、キセノンウエザオメーター(「Ci4000」、アトラス社製)を用いて80時間耐光性試験を実施し(ブラックパネル温度:58±3℃)、試験後に再度色濃度を測定し、試験後の記録物の色濃度残存率(OD%)を測定した。
(色相)
色濃度約1.0の記録物について、D50光源を用いて2度視野角に設定し測定したa*値が−50以上−30以下であり、かつ、b*値が−40以上−15以下であるものは◎とし、上記◎の範囲外ではあるが、a*値が−55以上−25以下であり、かつ、b*値が−45以上−10以下であるものは○とし、上記○の範囲外ではあるが、a*値が−60以上−20以下、かつ、b*値が−50以上−5以下に入っているものを△とした。
(色濃度)
感熱転写記録用シートをデジタルカラープリンタ(「P−330N」、オリンパス光学工業社製)の専用プリントパックオーバーコートセットP−60NOCのインクリボンとつなぎ合わせ、P−60NOC記録紙にデジタルカラープリンタで階調画像を記録し、記録物の最高印字濃度の色濃度を分光測色計(「スペクトロアイ」、グレタグ社製)を用いて測定した。
(耐光性)
この記録物(色濃度約1.0のもの)について、キセノンウエザオメーター(「Ci4000」、アトラス社製)を用いて80時間耐光性試験を実施し(ブラックパネル温度:58±3℃)、試験後に再度色濃度を測定し、試験後の記録物の色濃度残存率(OD%)を測定した。
実施例1
(a)色素の合成例
28重量%アンモニア水でpHを8〜10に調節しながら、下記に示すo−アミノフェノール誘導体(IV)6.8gのアセトン溶液109mlに、過硫酸アンモニウム5.4gの水溶液24mlと、4−N,N−ジエチルアミノ−アニリン塩酸塩4.8gの水溶液18mlとを同時に、0〜5℃で滴下し、0〜5℃で2時間撹拌した。
(a)色素の合成例
28重量%アンモニア水でpHを8〜10に調節しながら、下記に示すo−アミノフェノール誘導体(IV)6.8gのアセトン溶液109mlに、過硫酸アンモニウム5.4gの水溶液24mlと、4−N,N−ジエチルアミノ−アニリン塩酸塩4.8gの水溶液18mlとを同時に、0〜5℃で滴下し、0〜5℃で2時間撹拌した。
析出した結晶を濾別して水洗し、乾燥した後、25℃にてメタノールで懸濁洗浄し、下記No.1の色素2.0gを得た。このものは、リン酸酸性DMF中での吸収スペクトル測定でλmax668nm、分子吸光係数34100を示した。
(b)インクの調製例
(a)で合成したNo.1の色素6.0重量部、フェノキシ樹脂(「PKHJ」、ユニオンカーバイド社製)10重量部、及びテトラヒドロフラン90重量部を混合し、超音波洗浄機で30分間処理して感熱転写記録用インクを調製した。
(a)で合成したNo.1の色素6.0重量部、フェノキシ樹脂(「PKHJ」、ユニオンカーバイド社製)10重量部、及びテトラヒドロフラン90重量部を混合し、超音波洗浄機で30分間処理して感熱転写記録用インクを調製した。
(c)感熱転写記録用シートの作製例
(b)の感熱転写記録用インクを、ワイヤバーを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(6μm厚)上に塗布し、乾燥することにより乾燥膜厚約1μmの色材層を形成させた感熱転写記録用シートを作製した。
この感熱転写記録用シートを用いて得られた記録物は、a*値−49、b*値−29、色相の評価「◎」であり、最高印字濃度(Dmax)=1.4で、印字濃度が十分高く、色濃度残存率(OD%)=60%と耐光性にも優れる評価結果を与えた。結果を表1に示す。
(b)の感熱転写記録用インクを、ワイヤバーを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(6μm厚)上に塗布し、乾燥することにより乾燥膜厚約1μmの色材層を形成させた感熱転写記録用シートを作製した。
この感熱転写記録用シートを用いて得られた記録物は、a*値−49、b*値−29、色相の評価「◎」であり、最高印字濃度(Dmax)=1.4で、印字濃度が十分高く、色濃度残存率(OD%)=60%と耐光性にも優れる評価結果を与えた。結果を表1に示す。
比較例1〜4
実施例1において、No.1の色素に代えて、下記構造式で表される色素A(特許文献1の実施例No.2−52の色素)、色素B(特許文献2の実施例No.2−65の色素)、色素C(特許文献3の実施例9の染料9)、色素D(特許文献4の色素1)を用いた以外は各々実施例1と同様にして、感熱転写記録用インク及び感熱転写記録用シートを製造した。
この感熱転写記録用シートを用いて得られた記録物の評価結果を表1に示す。いずれも転写濃度と耐光性の両立には至らなかった。
実施例1において、No.1の色素に代えて、下記構造式で表される色素A(特許文献1の実施例No.2−52の色素)、色素B(特許文献2の実施例No.2−65の色素)、色素C(特許文献3の実施例9の染料9)、色素D(特許文献4の色素1)を用いた以外は各々実施例1と同様にして、感熱転写記録用インク及び感熱転写記録用シートを製造した。
この感熱転写記録用シートを用いて得られた記録物の評価結果を表1に示す。いずれも転写濃度と耐光性の両立には至らなかった。
Claims (6)
- 前記一般式(I)において、R2が塩素原子を表すことを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録用インドアニリン系色素。
- 前記一般式(I)において、R5及びR6がそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表すことを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱転写記録用インドアニリン系色素。
- 前記一般式(I)において、R1がトリフルオロメチル基を表し、R3が炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感熱転写記録用インドアニリン系色素。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の感熱転写記録用インドアニリン系色素と有機溶剤とを含有することを特徴とする感熱転写記録用インク。
- 基材上に、請求項1乃至4のいずれかに記載の感熱転写記録用インドアニリン系色素と結着剤とを含む色材層を有することを特徴とする感熱転写記録用シート。
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JP2004299026A JP2006110800A (ja) | 2004-10-13 | 2004-10-13 | 感熱転写記録用インドアニリン系色素、感熱転写記録用インク、及び感熱転写記録用シート |
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Cited By (2)
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JP2008248125A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Fujifilm Corp | インドアニリン色素、感熱転写記録用インクシート、感熱転写記録方法、カラートナー、インクジェット用インク、およびカラーフィルター |
JP2009203372A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Fujifilm Finechemicals Co Ltd | インドアニリン色素の製造方法 |
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2004
- 2004-10-13 JP JP2004299026A patent/JP2006110800A/ja active Pending
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