JP2006105597A - 放射線像変換パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】 高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供する。
【解決手段】 蓄積性蛍光体粒子を含む放射線像変換パネルにおいて、蓄積性蛍光体粒子が、相対的に大きなメジアン径を有する蛍光体粒子群と相対的に小さなメジアン径を有する蛍光体粒子群との混合物であって、前者の蛍光体粒子群のメジアン径が4〜30μmの範囲にあり、後者の蛍光体粒子群のメジアン径が1〜8μmの範囲にあって、かつ上記蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布が下記式を満たすことを特徴とする:
(a+b)/5 > c
[aとbとはそれぞれ、上記蓄積性蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布曲線における粒径が大きい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)と粒径が小さい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)を表し、cは両ピーク間の頻度分布が最も小さい粒径位置における頻度分布(単位:%)を表す]。
【選択図】 図1
【解決手段】 蓄積性蛍光体粒子を含む放射線像変換パネルにおいて、蓄積性蛍光体粒子が、相対的に大きなメジアン径を有する蛍光体粒子群と相対的に小さなメジアン径を有する蛍光体粒子群との混合物であって、前者の蛍光体粒子群のメジアン径が4〜30μmの範囲にあり、後者の蛍光体粒子群のメジアン径が1〜8μmの範囲にあって、かつ上記蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布が下記式を満たすことを特徴とする:
(a+b)/5 > c
[aとbとはそれぞれ、上記蓄積性蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布曲線における粒径が大きい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)と粒径が小さい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)を表し、cは両ピーク間の頻度分布が最も小さい粒径位置における頻度分布(単位:%)を表す]。
【選択図】 図1
Description
本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像情報記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルに関するものである。
X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に供されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなる。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、気相堆積法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものなどが知られている。
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
特許文献1には、蛍光体層の蛍光体として、粒子径分布のピークが1〜8μmにある蛍光体粒子と粒子径分布のピークが4〜30μmにある蛍光体粒子(両ピークの間隔は2μm以上)を、重量比で20:80乃至90:10の範囲で含む同一化学組成の輝尽性蛍光体の混合物を用いた放射線像変換パネルが開示されている。
特許文献2には、蛍光体層の蛍光体充填率が65%以上であり、そして蛍光体として、粒子径0.5〜5μmにピークAの粒子径分布を持つ蛍光体粒子と粒子径6〜30μmにピークBの粒子径分布を持つ蛍光体粒子を、重量混合比5:95乃至40:60の範囲で混合したものであって、ピークBの粒子径がピークAの粒子径より5μm以上大きいか、またはピークAの粒子径の3倍以上である蛍光体を用いた放射線像変換パネルが開示されている。
特許文献3には、希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物輝尽性蛍光体を湾曲気流型分級機による分級工程を経て製造する方法、およびその方法により製造された蛍光体を含む放射線像変換パネルが開示されている。ただし、蛍光体は単一の粒子である。
特公平4−75480号公報
特開平9−269400号公報
特開2004−137359号公報
上述したように従来より、感度および画質を高めることを目的として、蛍光体層に粒子径の異なる二種類の蛍光体粒子を使用することが知られている。一般に、大小二種類の蛍光体粒子を用いることによって蛍光体の充填密度を高めることができるからである。しかし、大粒子をより大きくすると鮮鋭度の低下など画質の低下が起こり、また粒度分布が広がりがちである。一方、小粒子をより小さくすると粒子の凝集や発光量、発光特性の劣化が生じがちである。よって、良好な特性を与えうる蛍光体粒子を用いてより高密度の蛍光体層を形成し、それにより、感度を低下させずに粒状性などの画質を向上させることが望まれている。
従って、本発明は、高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供することにある。
本発明者は、上記の要望について検討を重ねた結果、好ましい粒子径を有する二種類の蛍光体粒子群を用意し、これらのそれぞれに分級処理等を施して各蛍光体群の粒度頻度分布を好適に調整することによって、得られた蛍光体の蛍光体層における蛍光体粒子の充填密度が従来よりも更に高くなることを見い出し、本発明に到達したものである。
従って、本発明は、蓄積性蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蓄積性蛍光体粒子が、相対的に大きなメジアン径を有する蛍光体粒子群と相対的に小さなメジアン径を有する蛍光体粒子群との混合物であって、前者の蛍光体粒子群のメジアン径が4乃至30μmの範囲にあり、後者の蛍光体粒子群のメジアン径が1乃至8μmの範囲にあって、かつ該蓄積性蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布が下記関係式(I)を満たすことを特徴とする放射線像変換パネルにある。
(a+b)/5 > c …(I)
[ただし、aは、上記蓄積性蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布曲線における粒径が大きい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)を表し、bは、該粒度頻度分布曲線における粒径が小さい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)を表し、そしてcは両ピークの間に位置する頻度分布が最も小さい粒径位置における頻度分布(単位:%)を表す]
[ただし、aは、上記蓄積性蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布曲線における粒径が大きい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)を表し、bは、該粒度頻度分布曲線における粒径が小さい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)を表し、そしてcは両ピークの間に位置する頻度分布が最も小さい粒径位置における頻度分布(単位:%)を表す]
好適な粒子径と粒度頻度分布を有する蛍光体粒子を含有する本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体の充填密度が極めて高く、粒状性など画質の優れた放射線画像を与えることができる。特に、照射される放射線量が低い場合であっても(低露光領域であっても)、高い画質を与えることができる。よって、本発明の放射線像変換パネルは、コンピューテッド・ラジオグラフィーを利用する医療用放射線画像診断などに有利に使用することができる。
本発明において、蓄積性蛍光体粒子の粒度頻度分布は、下記関係式(II):
(a+b)/7 > c …(II)
[ただし、a、bおよびcはそれぞれ前に定義した通りである]
を満たすことが好ましい。
(a+b)/7 > c …(II)
[ただし、a、bおよびcはそれぞれ前に定義した通りである]
を満たすことが好ましい。
本発明において、相対的に大きなメジアン径を有する蛍光体粒子群のメジアン径が6乃至15μmの範囲にあり、相対的に小さなメジアン径を有する蛍光体粒子群のメジアン径が2乃至4μmの範囲にあることが好ましい。
蛍光体層の層厚は300乃至500μmの範囲にあることが好ましい。また、蛍光体層の片面には光反射層が設けられていることが好ましい。
以下に、本発明の放射線像変換パネルについて、図面を参照しながら詳細に述べる。
図1は、本発明に係る蓄積性蛍光体粒子の粒度頻度分布を模式的に表すグラフである。図1のグラフにおいて、横軸は蛍光体粒子の体積粒径(μm、対数軸)であり、縦軸は蛍光体粒子の頻度分布(%)である。
本発明において、蓄積性蛍光体粒子の粒度頻度分布は次のようにして決定される。放射線像変換パネルの蓄積性蛍光体層を取り出し、これを500℃に加熱して蛍光体以外の成分を焼失させる。残留した蛍光体を、塩化リチウムをメチルアルコールに溶かした電解液中に入れ超音波洗浄器により1分間分散処理して充分に分散させる。得られた分散液中の蛍光体粒子の粒度頻度分布を、コールタカウンタを用いて測定する。そして、各粒径区間が隣り合う小さい方の区間の1.2倍となるようにし、粒径を対数軸で表したときに各区間が等しくなるようにして、粒度頻度分布を作成する。
本発明において、蓄積性蛍光体粒子は、大きい蛍光体粒子群A(メジアン径:Dma)と小さい蛍光体粒子群B(メジアン径:Dmb)の二種類の粒子群から構成される。大粒子群Aのメジアン径Dmaは、4乃至30μmの範囲にあり、好ましくは6乃至15μmの範囲にある。小粒子群Bのメジアン径Dmbは、1乃至8μmの範囲にあり、好ましくは2乃至4μmの範囲にある。ここで、メジアン径Dmは、各蛍光体粒子群について粒径と頻度とからなる分布曲線を得たときに積算分布が全粒子数の50%を示す粒径(分布の中心値)を意味する。
本発明で用いる蛍光体粒子は、これらのA、B二種類の蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布を得たときに、図1に示すように、粒度頻度分布上には、大粒子群Aのメジアン径Dmaにおける頻度分布aと小粒子群Bのメジアン径Dmbにおける頻度分布bの2つの極大値(ピークまたは肩)が現れ、かつ両者の中間には頻度分布cの極小値(最小頻度分布)が現れる。そして、頻度分布a、bおよびcは、下記関係式(I)を満足することを特徴とする。
(a+b)/5 > c …(I)
(a+b)/5 > c …(I)
好ましくは、頻度分布a、bおよびcは、下記関係式(II)を満足する。
(a+b)/7 > c …(II)
(a+b)/7 > c …(II)
本発明によれば、図1に示したように、大粒子群A(メジアン径Dma)の頻度分布aと小粒子群B(メジアン径Dmb)の頻度分布bとの間に、上記関係式(I)(好ましくは関係式(II))を満たす最小頻度分布cが出現するように、蛍光体粒子の粒子径および粒度頻度分布を調整することにより、言い換えれば、粒子径がメジアン径DmaとDmbの間にある蛍光体粒子の数を減らすことにより、これら蛍光体粒子を用いて蛍光体層を形成したときに、蛍光体の充填密度を従来よりも高くすることができる。
上述したような粒子径および粒度頻度分布を有する二種類の蓄積性蛍光体粒子群は、各蛍光体の製造過程で単分散性を上げるなど粒子径をできるだけ揃えることにより得ることができる。あるいは、製造した各蛍光体に好適な分級処理を施すことにより得ることができる。
図2は、単一の蓄積性蛍光体粒子の粒度頻度分布を模式的に示すグラフである。具体的には、分級により、大粒子群の小粒径部(図2の斜線eの領域)を取り除く、小粒子群の大粒径部(図2の斜線fの領域)を取り除く、大粒子群の大小両粒径部(図2の斜線e及びfの領域)を取り除く、あるいはこれらの処理を適宜組み合わせることにより、所望の粒度頻度分布を有する蛍光体粒子を得ることができる。分級手段としては、篩分級、風力分級、遠心力を利用する分級などを用いることができるが、特に好ましいのは風力分級である。
蓄積性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。そのような好ましい輝尽性蛍光体の例としては、ユーロピウム又はセリウムで付活したアルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体(例、BaFBr:Eu、およびBaF(Br,I):Eu)、およびセリウム付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体を挙げることができる。
これらのうちでも、基本組成式(I):
MIIFX:zLn ‥‥(I)
で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
MIIFX:zLn ‥‥(I)
で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
上記基本組成式(I)中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基本組成式(I)では表記上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。
なお、基本組成式(I)では省略されているが、必要に応じて下記のような添加物を基本組成式(I)に加えてもよい。
bA, wNI, xNII, yNIII
ただし、AはAl2O3、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としてはハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
bA, wNI, xNII, yNIII
ただし、AはAl2O3、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としてはハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
また、b、w、x及びyはそれぞれ、MIIFXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけではない。また、上記化合物には最終的な組成物において添加されたままの化合物として残留するものもあれば、MIIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。
その他、上記基本組成式(II)には更に必要に応じて、Zn及びCd化合物;TiO2、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y2O3、La2O3、In2O3、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5、ThO2等の金属酸化物;Zr及びSc化合物;B化合物;As及びSi化合物;テトラフルオロホウ酸化合物;ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価又は2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加してもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成を有するものであれば如何なるものであってもよい。
上記基本組成式(I)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、通常はアスペクト比が1.0乃至5.0の範囲にある。本発明に用いられる蓄積性蛍光体粒子は、一般にアスペクト比が1.0乃至2.0(好ましくは、1.0乃至1.5)の範囲にあり、そして粒度分布の標準偏差をσとしたときのσ/Dmが50%以下(好ましくは、40%以下)のものである。また、粒子の形状としては、直方体型、正六面体型、正八面体型、14面体型、これらの中間多面体型および不定型粉砕粒子などがあるが、それらのうちでは14面体型が好ましい。
ただし、本発明において蓄積性蛍光体は、上記基本組成式(I)で表される輝尽性蛍光体に限定されるものではない。
本発明の放射線像変換パネルは、例えば以下のようにして製造することができる。
支持体は通常、柔軟な樹脂材料からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムである。支持体は透明であってもよく、あるいは支持体に、励起光もしくは発光光を反射させるための光反射性材料(例、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子)を充填してもよく、あるいは空隙を設けてもよい。または、支持体に励起光もしくは発光光を吸収させるため光吸収性材料(例、カーボンブラック)を充填してもよい。支持体の形成に用いることのできる樹脂材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂材料を挙げることができる。さらに、鮮鋭度を高める目的で、支持体の蛍光体層が形成される側の表面(支持体上に補助層が設けられる場合には、それら補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよい。必要に応じて、支持体は金属シート、セラミックシート、ガラスシート等であってもよい。
支持体上には、光反射性物質と結合剤とからなる光反射層が設けられてもよい。光反射性物質の例としては、Al2O3、ZrO2、TiO2、MgO、BaSO4、SiO2、ZnS、ZnO、CaCO3、Sb2O3、Nb2O5、2PbCO3・Pb(OH)2、PbF2、BiF3、Y2O3、YOCl、MIIFX(MIIはBa、Sr及びCaのうちの少なくとも一種であり、XはCl及びBrのうちの少なくとも一種である)、リトボン(BaSO4+ZnS)、ケイ酸マグネシウム、塩基性ケイ硫酸鉛、塩基性リン酸鉛、ケイ酸アルミニウムなどの白色顔料、および中空ポリマーを挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも高い屈折率を有する好ましい物質は、Al2O3、Y2O3、ZrO2、TiO2である。
光反射層は、蓄積性蛍光体の発光ピーク波長における反射率が70%以上であることが好ましい。また、励起光に対する散乱長(励起光が一回散乱するまでに直進する平均距離を意味し、光反射層の透過率の測定値からクベルカ・ムンクの理論に基づく計算法により決定することができ、そして散乱長が短いほど光散乱性が高い)が5μm以下であることが好ましく、そのためには、光反射性物質の平均粒子径は励起光の波長の1/4乃至2倍の範囲にあることが好ましい。通常使用される励起光の波長は500〜800nmの範囲にあるので、光反射性物質の平均粒子径は0.1乃至2.0μmの範囲にあることが好ましい。
また、光反射性物質のBET比表面積(単位質量当たりの表面積)は、一般には1.5m2/g以上であり、好ましくは2乃至10m2/gの範囲にある。光反射性物質の嵩密度(粉体の質量を、粉体を振動により最密充填したときの嵩体積で割った値)は、1mg/cm3以下であることが好ましく、より好ましくは0.6mg/cm3以下である。
光反射層の形成は、上記の微粒子状の光反射性物質を結合剤と共に有機溶剤に分散溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を支持体の表面に均一に塗布し、乾燥することにより行う。塗布液中の結合剤と光反射性物質の比率は、一般に1:10乃至1:50(重量比)の範囲にあり、好ましくは1:10乃至1:20(重量比)の範囲にある。結合剤、有機溶剤および塗布手段は、後述する蛍光体層の形成において使用できるものの中から任意に選択して用いることができる。塗布液には更に、光反射性物質の分散性を高める目的で、アルミニウム系カップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシランカップリング剤などの分散剤を添加してもよい。光反射層の層厚は、一般には5乃至100μmの範囲にある。
なお、支持体と光反射層との間には、両者の接着性を高めるために、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などからなる接着層を設けてもよい。
支持体(または光反射層)上には、蓄積性蛍光体粒子を含有する蛍光体層が設けられる。本発明においては蓄積性蛍光体粒子として、前述したメジアン径と粒度頻度分布を有する大小二種類の蛍光体粒子群の混合物を用いる。混合物中の大粒子群の割合は、重量比で50%以上、90%以下であることが好ましい。また、小粒子群の割合は、重量比で10%以上、50%以下であることが好ましい。
蓄積性蛍光体層の形成は、まず大小二種類の蓄積性蛍光体粒子群の混合物を結合剤と共に適当な有機溶剤に分散溶解して、塗布液を調製する。このとき、塗布液を周速度20m/秒以上で1分間以上撹拌することが好ましい。それにより、凝集しがちな小さい粒子を分散させることができ、粒度頻度分布を更に良化することができる。塗布液中の結合剤と蛍光体の比率は、一般に1:1乃至1:100(重量比)の範囲にあり、好ましくは1:10乃至1:50(重量比)の範囲にある。
蓄積性蛍光体粒子を分散支持する結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどのような合成高分子物質を挙げることができる。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。
塗布液には更に、蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、形成後の蛍光体層における結合剤と蛍光体の結合力を向上させるための可塑剤、蛍光体層の変色を防止するための黄変防止剤、硬化剤、架橋剤など各種の添加剤が添加されていてもよい。
この塗布液を次に、支持体の表面に均一に塗布して塗膜を形成する。塗布操作は、通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコータ、ナイフコータ等を用いる方法により行うことができる。この塗膜を乾燥して、支持体上への蓄積性蛍光体層の形成を完了する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによっても異なるが、通常は20μm乃至1mmの範囲にあり、好ましくは50乃至500μmの範囲にあり、特に好ましくは300乃至500μmの範囲にある。
蓄積性蛍光体層には更にカレンダー処理などの圧縮処理を施してもよく、これにより、蛍光体層中の蓄積性蛍光体粒子の充填密度をより一層高めることができる。
蓄積性蛍光体層は、必ずしも一層である必要はなく、二層以上で構成されていてもよく、その場合に少なくとも一層が前述した大小二種類の蛍光体粒子の混合物を含んでいればよく、それ以外の層は蛍光体の種類や粒子径、結合剤と蛍光体との混合比を任意に変えることができる。すなわち、用途に応じて蛍光体層の発光特性および放射線や励起光に対する吸収・散乱特性を変えることができる。また、必ずしも蛍光体層を光反射層上に直接形成する必要はなく、別に用意した基板(仮支持体)上に蛍光体層を形成した後、蛍光体層を基板から引き剥がし、光反射層上に接着剤などを用いて接着してもよい。
蓄積性蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムからなる保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にある。
保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
上述のようにして本発明の放射線像変換パネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各種のバリエーションを含むものであってもよい。例えば、鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を励起光および/または発光光を吸収するような着色剤によって着色してもよい。あるいは、更にX線などの放射線を吸収して紫外乃至可視領域に瞬時発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する層を設けてもよい。そのような蛍光体の例としては、LnTaO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハロゲンである)、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga5O12:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。
[実施例1]
(1)蓄積性蛍光体粒子
大小二種類の14面体型BaF(Br0.85I0.15):Eu2+輝尽性蛍光体粒子群を用意した。大粒子群は篩分級で大粒径部を取り除いた後、更に風力分級で大粒径部と小粒径部を取り除いて、メジアン径7.93μmの大粒子を得た。小粒子群は篩分級で大粒径部を取り除いた後、更に風力分級で大粒径部を取り除いて、メジアン径2.76μmの小粒子を得た。
(1)蓄積性蛍光体粒子
大小二種類の14面体型BaF(Br0.85I0.15):Eu2+輝尽性蛍光体粒子群を用意した。大粒子群は篩分級で大粒径部を取り除いた後、更に風力分級で大粒径部と小粒径部を取り除いて、メジアン径7.93μmの大粒子を得た。小粒子群は篩分級で大粒径部を取り除いた後、更に風力分級で大粒径部を取り除いて、メジアン径2.76μmの小粒子を得た。
(2)蛍光体シートの作製
蓄積性蛍光体:大粒子群(メジアン径:7.93μm) 700g
小粒子群(メジアン径:2.76μm) 300g
結合剤:ポリウレタンエラストマー(パンデックスT-5265H[固形]、大日本
インキ化学工業(株)製)のMEK溶液[固形分13重量%] 182g
架橋剤:ポリイソシアネート(コロネートHX[固形分100%]、
日本ポリウレタン工業(株)製) 3g
黄変防止剤:エポキシ樹脂(エピコート1001[固形]、
油化シェルエポキシ(株)製) 6.7g
蓄積性蛍光体:大粒子群(メジアン径:7.93μm) 700g
小粒子群(メジアン径:2.76μm) 300g
結合剤:ポリウレタンエラストマー(パンデックスT-5265H[固形]、大日本
インキ化学工業(株)製)のMEK溶液[固形分13重量%] 182g
架橋剤:ポリイソシアネート(コロネートHX[固形分100%]、
日本ポリウレタン工業(株)製) 3g
黄変防止剤:エポキシ樹脂(エピコート1001[固形]、
油化シェルエポキシ(株)製) 6.7g
上記組成の材料をメチルエチルケトン(MEK)に加え、プロペラミキサを用いて羽根周速度15m/秒で2時間混合分散して、粘度3.5Pa・sの塗布液(結合剤/蛍光体の重量比:1/30)を調製した。この塗布液を、シリコーン系離型剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートシート(仮支持体、厚み:190μm)の表面に、300mmの幅で機械塗布し乾燥した後、仮支持体から引き剥がして、蛍光体シートを得た。
(3)接着層及び光反射層の形成
樹脂:飽和ポリエステル樹脂(バイロン300、東洋紡(株)製)の
MEK溶液[固形分30重量%] 20g
硬化剤:ポリイソシアネート(オレスターNP38-70S[固形分70%]、
三井東圧(株)製) 2g
導電剤:SnO2(Sbドープ)針状微粒子(長軸:0.2〜2μm、
短軸:0.01〜0.02μm、FS-10P、石原産業(株)製)の
MEK分散体[固形分30重量%] 50g
樹脂:飽和ポリエステル樹脂(バイロン300、東洋紡(株)製)の
MEK溶液[固形分30重量%] 20g
硬化剤:ポリイソシアネート(オレスターNP38-70S[固形分70%]、
三井東圧(株)製) 2g
導電剤:SnO2(Sbドープ)針状微粒子(長軸:0.2〜2μm、
短軸:0.01〜0.02μm、FS-10P、石原産業(株)製)の
MEK分散体[固形分30重量%] 50g
上記組成の材料をMEK5gに加え、混合分散して粘度約0.02〜0.05Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をポリエチレンテレフタレートシート(支持体、厚み:188μm、ヘイズ度:約27、ルミラーS-10、東レ(株)製)の表面に、ドクターブレードを用いて塗布し乾燥して、接着層(層厚:5μm)を形成した。
次に、下記組成の材料をMEK387gに加え、混合分散して粘度2〜3Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液を接着層の表面にドクターブレードを用いて塗布し乾燥して、光反射層(層厚:約100μm)を形成した。
光反射性物質:高純度アルミナ微粒子(平均粒子径:0.4μm、
UA-5105、昭和電工(株)製) 444g
結合剤:軟質アクリル樹脂(クリスコートP-1018GS[20%トルエン
溶液]、大日本インキ化学工業(株)製) 100g
着色剤:群青(SM-1、第一化成工業(株)製) 2.2g
UA-5105、昭和電工(株)製) 444g
結合剤:軟質アクリル樹脂(クリスコートP-1018GS[20%トルエン
溶液]、大日本インキ化学工業(株)製) 100g
着色剤:群青(SM-1、第一化成工業(株)製) 2.2g
(4)蓄積性蛍光体層の形成(熱圧縮処理)
支持体の光反射層表面に、上記蛍光体シートを塗布形成時の裏面(仮支持体側)が接するようにして重ね、これをカレンダー機を用いて総荷重2300kg、上側ロール温度45℃、下側ロール温度45℃、送り速度0.3m/分にて熱圧縮した。これにより、蛍光体層は光反射層に完全に融着した。熱圧縮後の蛍光体層の層厚335μm、蛍光体粒子の充填密度3.89g/cm3であった。
支持体の光反射層表面に、上記蛍光体シートを塗布形成時の裏面(仮支持体側)が接するようにして重ね、これをカレンダー機を用いて総荷重2300kg、上側ロール温度45℃、下側ロール温度45℃、送り速度0.3m/分にて熱圧縮した。これにより、蛍光体層は光反射層に完全に融着した。熱圧縮後の蛍光体層の層厚335μm、蛍光体粒子の充填密度3.89g/cm3であった。
(5)保護層の形成
蛍光体層の表面に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:6μm、片面にポリエステル系接着剤が備えられているもの)を、接着剤を下側にして重ね合わせた後、加熱圧着して保護層を形成した。
蛍光体層の表面に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:6μm、片面にポリエステル系接着剤が備えられているもの)を、接着剤を下側にして重ね合わせた後、加熱圧着して保護層を形成した。
このようにして、順に支持体、接着層、光反射層、蓄積性蛍光体層および保護層から構成された本発明の放射線像変換パネルを得た。
[実施例2]
実施例1において、次のように変更したこと以外は実施例1と同様にして本発明の放射線像変換パネルを製造した。(1)蓄積性蛍光体粒子において、大粒子群のみ篩分級後に風力分級で大粒径部と小粒径部を取り除いてメジアン径7.80μmの大粒子群を得、小粒子群は風力分級をしないでメジアン径2.73μmの小粒子群を得た。(2)蛍光体シートの作製において、大粒子群800gと小粒子群200gを使用した。(4)蓄積性蛍光体層の形成において、層厚345μm、蛍光体粒子の充填密度3.82g/cm3の蛍光体層を形成した。
実施例1において、次のように変更したこと以外は実施例1と同様にして本発明の放射線像変換パネルを製造した。(1)蓄積性蛍光体粒子において、大粒子群のみ篩分級後に風力分級で大粒径部と小粒径部を取り除いてメジアン径7.80μmの大粒子群を得、小粒子群は風力分級をしないでメジアン径2.73μmの小粒子群を得た。(2)蛍光体シートの作製において、大粒子群800gと小粒子群200gを使用した。(4)蓄積性蛍光体層の形成において、層厚345μm、蛍光体粒子の充填密度3.82g/cm3の蛍光体層を形成した。
[実施例3]
実施例1において、次のように変更したこと以外は実施例1と同様にして本発明の放射線像変換パネルを製造した。(1)蓄積性蛍光体粒子において、大粒子群のみ篩分級で大粒径部と小粒径部を取り除いてメジアン径7.95μmの大粒子群を得、小粒子群は風力分級をしないでメジアン径2.74μmの小粒子群を得た。(2)蛍光体シートの作製において、大粒子群800gと小粒子群200gを使用した。(4)蓄積性蛍光体層の形成において、層厚345μm、蛍光体粒子の充填密度3.78g/cm3の蛍光体層を形成した。
実施例1において、次のように変更したこと以外は実施例1と同様にして本発明の放射線像変換パネルを製造した。(1)蓄積性蛍光体粒子において、大粒子群のみ篩分級で大粒径部と小粒径部を取り除いてメジアン径7.95μmの大粒子群を得、小粒子群は風力分級をしないでメジアン径2.74μmの小粒子群を得た。(2)蛍光体シートの作製において、大粒子群800gと小粒子群200gを使用した。(4)蓄積性蛍光体層の形成において、層厚345μm、蛍光体粒子の充填密度3.78g/cm3の蛍光体層を形成した。
[実施例4]
実施例1の(2)蛍光体シートの作製において、羽根周速度25m/秒で2時間混合分散して粘度4.0Pa・sの塗布液を調製し、そして(4)蓄積性蛍光体層の形成において、層厚340μm、蛍光体粒子の充填密度3.91g/cm3の蛍光体層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の放射線像変換パネルを製造した。
実施例1の(2)蛍光体シートの作製において、羽根周速度25m/秒で2時間混合分散して粘度4.0Pa・sの塗布液を調製し、そして(4)蓄積性蛍光体層の形成において、層厚340μm、蛍光体粒子の充填密度3.91g/cm3の蛍光体層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の放射線像変換パネルを製造した。
[比較例1]
実施例1の(1)蓄積性蛍光体粒子において、大粒子群と小粒子群とのいずれについても風力分級をしないでメジアン径7.86μmと2.76μmの各粒子群を得、そして(4)蓄積性蛍光体層の形成において、層厚340μm、蛍光体粒子の充填密度3.72g/cm3の蛍光体層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための放射線像変換パネルを製造した。
実施例1の(1)蓄積性蛍光体粒子において、大粒子群と小粒子群とのいずれについても風力分級をしないでメジアン径7.86μmと2.76μmの各粒子群を得、そして(4)蓄積性蛍光体層の形成において、層厚340μm、蛍光体粒子の充填密度3.72g/cm3の蛍光体層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための放射線像変換パネルを製造した。
[放射線像変換パネルの性能評価]
得られた各放射線像変換パネルについて、以下のようにして粒度頻度分布の測定および放射線画像の画質の評価を行った。
得られた各放射線像変換パネルについて、以下のようにして粒度頻度分布の測定および放射線画像の画質の評価を行った。
(1)粒度頻度分布
放射線像変換パネルの蓄積性蛍光体層をサンプリングし、これを500℃に加熱して蛍光体以外の成分を焼失させた。残留した蛍光体を、塩化リチウムをメチルアルコールに溶かした電解液中に入れ超音波洗浄器により1分間分散処理して充分に分散させた。得られた分散液中の蛍光体粒子の粒度頻度分布を、コールタカウンタを用いて測定した。そして、各粒径区間が隣り合う小さい方の区間の1.2倍となるようにし、粒径を対数軸で表したときに各区間が等しくなるようにして、粒度頻度分布を作成した。得られた粒度頻度分布から、大粒子Aおよび小粒子Bそれぞれのメジアン径Dma、Dmbにおける頻度分布a、b、および中間の最小頻度分布cを求めた。
放射線像変換パネルの蓄積性蛍光体層をサンプリングし、これを500℃に加熱して蛍光体以外の成分を焼失させた。残留した蛍光体を、塩化リチウムをメチルアルコールに溶かした電解液中に入れ超音波洗浄器により1分間分散処理して充分に分散させた。得られた分散液中の蛍光体粒子の粒度頻度分布を、コールタカウンタを用いて測定した。そして、各粒径区間が隣り合う小さい方の区間の1.2倍となるようにし、粒径を対数軸で表したときに各区間が等しくなるようにして、粒度頻度分布を作成した。得られた粒度頻度分布から、大粒子Aおよび小粒子Bそれぞれのメジアン径Dma、Dmbにおける頻度分布a、b、および中間の最小頻度分布cを求めた。
(2)画質
放射線像変換パネルの表面に、タングステン管球、管電圧80kVpのX線(0.1mR相当)を一様に照射して、粒状値のウィナースペクトルを求めた。これらの測定値から、空間周波数1サイクル/mmにおける検出量子効率(DQE)を求めた。なお、粒状値はX線の線量に依存するので、照射した線量値をモニターして線量0.1mRに補正した。
得られた結果をまとめて表1および図3、4に示す。
放射線像変換パネルの表面に、タングステン管球、管電圧80kVpのX線(0.1mR相当)を一様に照射して、粒状値のウィナースペクトルを求めた。これらの測定値から、空間周波数1サイクル/mmにおける検出量子効率(DQE)を求めた。なお、粒状値はX線の線量に依存するので、照射した線量値をモニターして線量0.1mRに補正した。
得られた結果をまとめて表1および図3、4に示す。
図3は、実施例1および比較例1の蓄積性蛍光体粒子の粒度頻度分布を表すグラフである。曲線1は実施例1を示し、曲線2は比較例1を示す。
図4は、実施例1および比較例1の蓄積性蛍光体粒子について、体積粒径(μm)と積算分布(%)との関係を表すグラフである。菱形点1は実施例1を示し、角形点2は比較例1を示す。
図4は、実施例1および比較例1の蓄積性蛍光体粒子について、体積粒径(μm)と積算分布(%)との関係を表すグラフである。菱形点1は実施例1を示し、角形点2は比較例1を示す。
図3から、本発明の放射線像変換パネル(実施例1)に含まれた蓄積性蛍光体粒子の粒度頻度分布では、大粒子群Aと小粒子群Bによる頻度分布のピークの中間に最小頻度分布が存在するが、一方、比較のための放射線像変換パネル(比較例1)に含まれた蓄積性蛍光体粒子の粒度頻度分布では、中間に最小頻度分布が存在しないことが分かる。
表1の結果から、蓄積性蛍光体粒子が(a+b)/5>cの粒度頻度分布条件を満たす本発明の放射線像変換パネル(実施例1〜4)はいずれも、従来の蛍光体粒子(すなわち、上記粒度頻度分布条件を満たさない粒子)を用いた比較のための放射線像変換パネル(比較例1)に比べて、蛍光体の充填密度が高く、その結果、放射線画像の粒状性(DQE)が向上することが明らかである。特に、(a+b)/7>cの粒度頻度分布条件を満たす本発明の放射線像変換パネル(実施例1、4)は、蛍光体の充填密度が極めて高く、粒状性が顕著に向上した。
Claims (4)
- 蓄積性蛍光体粒子を含有する蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蓄積性蛍光体粒子が、相対的に大きなメジアン径を有する蛍光体粒子群と相対的に小さなメジアン径を有する蛍光体粒子群との混合物であって、前者の蛍光体粒子群のメジアン径が4乃至30μmの範囲にあり、後者の蛍光体粒子群のメジアン径が1乃至8μmの範囲にあって、かつ該蓄積性蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布が下記関係式を満たすことを特徴とする放射線像変換パネル。
(a+b)/5 > c
[ただし、aは、上記蓄積性蛍光体粒子群の混合物の粒度頻度分布曲線における粒径が大きい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)を表し、bは、該粒度頻度分布曲線における粒径が小さい側のピーク位置における頻度分布(単位:%)を表し、そしてcは両ピークの間に位置する頻度分布が最も小さい粒径位置における頻度分布(単位:%)を表す] - 蓄積性蛍光体粒子の粒度頻度分布が下記関係式を満たす請求項1に記載の放射線像変換パネル。
(a+b)/7 > c
[ただし、a、bおよびcはそれぞれ前に定義した通りである] - 相対的に大きなメジアン径を有する蛍光体粒子群のメジアン径が6乃至15μmの範囲にあり、相対的に小さなメジアン径を有する蛍光体粒子群のメジアン径が2乃至4μmの範囲にある請求項1または2に記載の放射線像変換パネル。
- 蛍光体層の層厚が300乃至500μmの範囲にある請求項1乃至3のいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
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