JP2005292131A - 放射線像変換パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】 高画質の再生放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供する。
【解決手段】 蓄積性蛍光体粒子と結合剤とからなる蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蓄積性蛍光体粒子の励起ピーク波長及び発光ピーク波長それぞれにおける該蛍光体層の透過率T1(%)及びT2(%)と、該蛍光体層における該蛍光体粒子の相当厚d(μm)とが、関係式(1):T1×d≧660、関係式(2):T2×d≧660[但し、dは、蛍光体粒子の塗布重量W(mg/cm2)と蛍光体粒子の密度ρ(g/cm3)とから、d=10000×W/ρにより算出される値である]を満足し、そして該蛍光体層における該蛍光体粒子の充填密度が3.4g/cm3以上である放射線像変換パネル。
【選択図】 図3
【解決手段】 蓄積性蛍光体粒子と結合剤とからなる蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蓄積性蛍光体粒子の励起ピーク波長及び発光ピーク波長それぞれにおける該蛍光体層の透過率T1(%)及びT2(%)と、該蛍光体層における該蛍光体粒子の相当厚d(μm)とが、関係式(1):T1×d≧660、関係式(2):T2×d≧660[但し、dは、蛍光体粒子の塗布重量W(mg/cm2)と蛍光体粒子の密度ρ(g/cm3)とから、d=10000×W/ρにより算出される値である]を満足し、そして該蛍光体層における該蛍光体粒子の充填密度が3.4g/cm3以上である放射線像変換パネル。
【選択図】 図3
Description
本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像情報記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルに関するものである。
X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に供されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなる。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、気相堆積法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているものなどが知られている。
また、上記放射線画像記録再生方法の別法として特許文献1には、従来の蓄積性蛍光体における放射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも蓄積性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法が提案されている。この方法は、被検体を透過などした放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光を走査して発光光を放出させ、この発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものである。このような放射線像変換パネルも、本発明に包含される。
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であって、かつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な放射線画像を与えるものであることが望まれている。
特許文献2には、粒状性などの画質を高めるために、輝尽性蛍光体として、14面体型の希土類付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体粒子であって、平均粒径Dmが3.
5〜7.5μmの範囲にあり、粒径分布Qが0.500乃至0.800の範囲にある蛍光体粒子を用いた放射線像変換パネルが開示されている。特に、粒子径が5.0〜8.0μmの蛍光体粒子と粒子径が2.0〜4.0μmの蛍光体粒子を混合してなる蛍光体粒子の
混合物を用いて、蛍光体層における蛍光体粒子の充填密度を高めることが記載されている。しかしながら、その実施例で達成された充填密度は3.12〜3.32g/cm3の範
囲内である。
5〜7.5μmの範囲にあり、粒径分布Qが0.500乃至0.800の範囲にある蛍光体粒子を用いた放射線像変換パネルが開示されている。特に、粒子径が5.0〜8.0μmの蛍光体粒子と粒子径が2.0〜4.0μmの蛍光体粒子を混合してなる蛍光体粒子の
混合物を用いて、蛍光体層における蛍光体粒子の充填密度を高めることが記載されている。しかしながら、その実施例で達成された充填密度は3.12〜3.32g/cm3の範
囲内である。
特許文献3には、感度および画質を高めるために、蛍光体層の蛍光体充填率が65%以上であり、そして輝尽性蛍光体として、粒子径0.5〜5μmにピークAの粒子径分布を持つ蛍光体粒子と粒子径6〜30μmにピークBの粒子径分布を持つ蛍光体粒子を、重量混合比5:95乃至40:60の範囲で混合したものであって、ピークBの粒子径がピークAの粒子径より5μm以上大きいか、またはピークAの粒子径の3倍以上である蛍光体を用いた放射線像変換パネルが開示されている。
特開2001−255610号公報
特開2000−284097号公報
特開平9−269400号公報
上述したように、粒子径の異なる複数種の蛍光体粒子の混合物を使用することによって、蛍光体層における蛍光体の充填密度を上げて粒状性などの画質を高めることが知られている。しかしながら、本発明者は、更に検討を重ねた結果、蛍光体の充填密度を上げてX線等の放射線に対する吸収率を高めても、励起光が蛍光体層の深部まで到達しないと、また蛍光体層深部からの発光光が蛍光体層を通過してパネル表面から放出されないと、必ずしも十分に高い画質を得ることができないことが分かった。そこで、十分な蛍光体塗布重量で、すなわち十分な充填密度で蛍光体層を形成して高い放射線吸収を確保しながら、同時に蛍光体層に励起光および発光光に対する十分な透過率を持たせることができることを見い出し、本発明に到達したものである。
従って、本発明は、高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルを提供することにある。
本発明は、蓄積性蛍光体粒子と結合剤とからなる蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蓄積性蛍光体粒子の励起ピーク波長及び発光ピーク波長のそれぞれにおける該蛍光体層の透過率T1(%)及びT2(%)と、該蛍光体層における蛍光体粒子の相当厚d(μm)とが、下記関係式(1)及び(2)を満足し、そして、該蛍光体層における該蛍光体粒子の充填密度が3.4g/cm3以上であることを特徴とする放射線像変換パネ
ルにある。
ルにある。
T1 × d ≧ 660 …(1)
T2 × d ≧ 660 …(2)
[ただし、dは、蛍光体粒子の塗布重量W(mg/cm2)と蛍光体粒子の密度ρ(g/c
m3)とから、d=10000×W/ρにより算出される値である]
本発明の放射線像変換パネルは、画像情報の読み取り時に蛍光体層から発光光を効率良く取り出して、蛍光体層の高い放射線吸収を放射線画像に有効に反映させることができ、よって量子モトルを低減してS/N比の優れた放射線画像を与えることができる。従って、本発明の放射線像変換パネルは、医療用放射線画像診断などに有利に使用することができる。
本発明において、蓄積性蛍光体粒子の励起ピーク波長及び発光ピーク波長における蛍光体層の透過率T1及びT2は、いずれも1%以上であることが好ましい。
蛍光体層の片面に光反射層が設けられていて、蓄積性蛍光体粒子の発光ピーク波長における該光反射層の反射率が70%以上であることが好ましい。
蓄積性蛍光体粒子は粒子径の異なる少なくとも二種類の蛍光体粒子の混合物であって、最小の蛍光体粒子の平均粒子径Dm1は1.0乃至3.5μmの範囲にあり、そして最大の蛍光体粒子の平均粒子径Dm2とDm1の比(Dm2/Dm1)は2.0以上であることが好ましい。
蛍光体層における蓄積性蛍光体粒子の充填率が70容量%以上であることが好ましい。
以下に、本発明の放射線像変換パネルについて、図面を参照しながら詳細に述べる。
図1は、本発明の放射線像変換パネルの代表的な構成の例を概略的に示す断面図である。放射線像変換パネルは、順に支持体11、光反射層12、蓄積性蛍光体層13および保護層14から構成される。
本発明において、蓄積性蛍光体層13は蓄積性蛍光体粒子を分散状態で含有支持する結合剤からなる。蛍光体層13は、蛍光体粒子の励起ピーク波長における透過率T1(%)
、発光ピーク波長における透過率T2(%)、および蛍光体粒子の相当厚d(μm)が、
下記関係式(1)及び(2)を満足するものである。
、発光ピーク波長における透過率T2(%)、および蛍光体粒子の相当厚d(μm)が、
下記関係式(1)及び(2)を満足するものである。
T1 × d ≧ 660 …(1)
T2 × d ≧ 660 …(2)
ただし、蛍光体粒子の相当厚d(μm)は、蛍光体層形成時における蛍光体粒子の塗布重量W(mg/cm2)と、蛍光体粒子の密度ρ(g/cm3)とから、下記式(3)により算出される値である。従って、蛍光体粒子の相当厚dは、蛍光体の塗布重量に比例し、蛍光体層を蛍光体だけで構成したと仮定したときの厚みを意味する。
d = 10000×W/ρ …(3)
本発明において、上記の励起ピーク波長及び発光ピーク波長における蛍光体層13の透過率T1、T2は、いずれも1%以上であることが好ましい。
また、蛍光体層13は、X線等の放射線に対する吸収率を高めるために、蓄積性蛍光体粒子の充填密度が3.4g/cm3以上である。なお、蛍光体層中の蓄積性蛍光体粒子の
充填密度は、蛍光体層の重量と体積(面積×高さ)から算出できる。すなわち、この計算において、バインダと蛍光体粒子との重量比に基づいて、バインダを除く蛍光体粒子だけの充填密度のみを得ることができる。充填密度が高い程、粒状性などの画質が向上する。同様に、蛍光体粒子の充填率は65容量%以上であることが好ましく、特に好ましくは70容量%以上である。
充填密度は、蛍光体層の重量と体積(面積×高さ)から算出できる。すなわち、この計算において、バインダと蛍光体粒子との重量比に基づいて、バインダを除く蛍光体粒子だけの充填密度のみを得ることができる。充填密度が高い程、粒状性などの画質が向上する。同様に、蛍光体粒子の充填率は65容量%以上であることが好ましく、特に好ましくは70容量%以上である。
上述した透過率と相当厚の関係式(1)、(2)および高い充填密度は、例えば、蓄積性蛍光体粒子を粒子径の異なる二種類以上の蛍光体粒子の混合物から構成して、最小の蛍
光体粒子の平均粒子径をDm1(μm)とし、最大の蛍光体粒子の平均粒子径をDm2(μm)としたときに、
1.0 ≦ Dm1 ≦ 3.5
Dm2/Dm1 ≧ 2.0
を満足する粒子径とし、そしてこれら蛍光体粒子の混合物を十分な塗布重量で塗布することにより、達成することができる。ここで、平均粒子径(メジアン粒径)Dmは、蛍光体
粒子について粒径と頻度とからなる分布曲線を得たときに累積分布が全体粒子数の50%を示す粒径(分布の中心値)を意味する。
光体粒子の平均粒子径をDm1(μm)とし、最大の蛍光体粒子の平均粒子径をDm2(μm)としたときに、
1.0 ≦ Dm1 ≦ 3.5
Dm2/Dm1 ≧ 2.0
を満足する粒子径とし、そしてこれら蛍光体粒子の混合物を十分な塗布重量で塗布することにより、達成することができる。ここで、平均粒子径(メジアン粒径)Dmは、蛍光体
粒子について粒径と頻度とからなる分布曲線を得たときに累積分布が全体粒子数の50%を示す粒径(分布の中心値)を意味する。
蛍光体層13にこのような特性を持たせることによって、蛍光体層の充填密度を上げてX線等の放射線に対する吸収を高め、同時に励起光および発光光に対する透過性を維持することができる。蛍光体層深部まで励起光を行き渡らせ、また深部からの発光光をパネルから放出させることができるので、蛍光体層の高い放射線吸収に見合った十分な発光光を取り出すことができる。よって、量子モトルを低減して粒状性を顕著に高めて、S/N比の優れた放射線画像を得ることができる。
本発明において光反射層12は、必須の構成要件ではないが、発光光の取出し効率を高めるために設けられていることが望ましい。光反射層12は、一般に微粒子状の光反射性物質を分散状態で含有支持する結合剤からなり、蓄積性蛍光体粒子の発光ピーク波長における反射率が70%以上であることが好ましい。
なお、本発明の放射線像変換パネルは、図1に示した構成に限定されるものではなく、例えば光反射層12は付設されていなくてもよいし、あるいは後述する各種の補助層が付設されていてもよい。
本発明の放射線像変換パネルは、例えば以下のようにして製造することができる。
支持体は通常、柔軟な樹脂材料からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムである。支持体は透明であってもよく、あるいは支持体に、励起光もしくは発光光を反射させるための光反射性材料(例、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子)を充填してもよく、あるいは空隙を設けてもよい。または、支持体に励起光もしくは発光光を吸収させるため光吸収性材料(例、カーボンブラック)を充填してもよい。支持体の形成に用いることのできる樹脂材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂材料を挙げることができる。さらに、画像の鮮鋭度を高める目的で、支持体の蛍光体層が形成される側の表面(支持体表面に下塗層、光反射層あるいは光吸収層等の補助層が設けられる場合には、それら補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよい。必要に応じて、支持体は金属シート、セラミックシート、ガラスシートなどであってもよい。
支持体上には、光反射性物質と結合剤とからなる光反射層が設けられてもよい。光反射性物質の例としては、Al2O3、ZrO2、TiO2、MgO、BaSO4、SiO2、ZnS、ZnO、CaCO3、Sb2O3、Nb2O5、2PbCO3・Pb(OH)2、PbF2、BiF3、Y2O3、YOCl、MIIFX(MIIはBa、Sr及びCaのうちの少なくとも
一種であり、XはCl及びBrのうちの少なくとも一種である)、リトボン(BaSO4
+ZnS)、ケイ酸マグネシウム、塩基性ケイ硫酸鉛、塩基性リン酸鉛、ケイ酸アルミニウムなどの白色顔料、および中空ポリマーを挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも高い屈折率を有する好ましい物質は、Al2O3、Y2O3、ZrO2、TiO2である。
一種であり、XはCl及びBrのうちの少なくとも一種である)、リトボン(BaSO4
+ZnS)、ケイ酸マグネシウム、塩基性ケイ硫酸鉛、塩基性リン酸鉛、ケイ酸アルミニウムなどの白色顔料、および中空ポリマーを挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも高い屈折率を有する好ましい物質は、Al2O3、Y2O3、ZrO2、TiO2である。
光反射層は、上述したように、蓄積性蛍光体の発光ピーク波長における反射率が70%以上であることが好ましい。また、励起光に対する散乱長(励起光が一回散乱するまでに直進する平均距離を意味し、散乱長が短いほど光散乱性が高い。散乱長は、光反射層の透過率の測定値から、クベルカ・ムンクの理論に基づく計算方法により決定することができる。)が5μm以下であることが好ましく、そのためには、光反射性物質の平均粒子径は励起光の波長の1/4乃至2倍の範囲にあることが好ましい。通常使用される励起光の波長は500〜800nmの範囲にあるので、光反射性物質の平均粒子径は0.1乃至2.0μmの範囲にあることが好ましい。
また、光反射性物質のBET比表面積(単位質量当たりの表面積)は、一般には1.5m2/g以上であり、好ましくは2乃至10m2/gの範囲であり、より好ましくは2.5乃至8m2/gの範囲にある。光反射性物質の嵩密度(粉体の質量を、粉体を振動によっ
て最密に充填したときの嵩体積で割った値)は、1mg/cm3以下であることが好まし
く、より好ましくは0.6mg/cm3以下である。
て最密に充填したときの嵩体積で割った値)は、1mg/cm3以下であることが好まし
く、より好ましくは0.6mg/cm3以下である。
光反射層の形成は、上記の微粒子状の光反射性物質を結合剤と共に有機溶剤に分散溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を支持体の表面に均一に塗布し、乾燥することにより行う。塗布液中の結合剤と光反射性物質の比率は、一般に1:10乃至1:50(重量比)の範囲にあり、好ましくは1:10乃至1:20(重量比)の範囲にある。結合剤および有機溶剤としては、後述する蛍光体層形成用の塗布液に使用できる結合剤および溶剤の中から任意に選択して用いることができる。塗布液には更に、光反射性物質の分散性を高める目的で、アルミニウム系カップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシランカップリング剤などの分散剤を添加してもよい。塗布操作は、通常の塗布手段、例えばドクターブレード、ロールコータ、ナイフコータなどを用いる方法により行うことができる。光反射層の層厚は、一般には5乃至200μmの範囲にある。
なお、支持体と光反射層との間には、両者の接着性を高めるために、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などからなる接着層を設けてもよい。
支持体(または光反射層)上には、蓄積性蛍光体粒子を含有する蛍光体層が設けられる。蓄積性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。そのような好ましい輝尽性蛍光体の例としては、ユーロピウム又はセリウムで付活したアルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体(例、BaFBr:Eu、およびBaF(Br,I):Eu)、およびセリウム付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体を挙げることができる。
これらのうちでも、基本組成式(I):
MIIFX:zLn ‥‥(I)
で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
MIIFX:zLn ‥‥(I)
で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
上記基本組成式(I)中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基本組成式(I)では表記
上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜7
00nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。
上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜7
00nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。
なお、基本組成式(I)では省略されているが、必要に応じて下記のような添加物を基本組成式(I)に加えてもよい。
bA, wNI, xNII, yNIII
ただし、AはAl2O3、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCs
からなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、
Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としてはハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
bA, wNI, xNII, yNIII
ただし、AはAl2O3、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCs
からなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、
Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としてはハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
また、b、w、x及びyはそれぞれ、MIIFXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけではない。また、上記化合物には最終的な組成物において添加されたままの化合物として残留するものもあれば、MIIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。
その他、上記基本組成式(II)には更に必要に応じて、Zn及びCd化合物;TiO2
、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y2O3、La2O3、In2O3、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5、ThO2等の金属酸化物;Zr及びSc化合物;
B化合物;As及びSi化合物;テトラフルオロホウ酸化合物;ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価又は2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加してもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成を有するものであれば如何なるものであってもよい。
、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y2O3、La2O3、In2O3、GeO2、SnO2、Nb2O5、Ta2O5、ThO2等の金属酸化物;Zr及びSc化合物;
B化合物;As及びSi化合物;テトラフルオロホウ酸化合物;ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価又は2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加してもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成を有するものであれば如何なるものであってもよい。
上記基本組成式(I)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、通常はアスペクト比が1.0乃至5.0の範囲にある。本発明に用いられる蓄積性蛍光体粒子は一般に、アスペクト比が1.0乃至2.0(好ましくは、1.0乃至1.5)の範囲、粒子サイズのメジアン径(Dm)が2μm乃至10μm(好ましくは、
2μm乃至7μm)の範囲、そして粒子サイズ分布の標準偏差をσとしたときのσ/Dm
が50%以下(好ましくは、40%以下)のものである。また、粒子の形状としては、直方体型、正六面体型、正八面体型、14面体型、これらの中間多面体型および不定型粉砕粒子などがあるが、それらのうちでは14面体型が好ましい。
2μm乃至7μm)の範囲、そして粒子サイズ分布の標準偏差をσとしたときのσ/Dm
が50%以下(好ましくは、40%以下)のものである。また、粒子の形状としては、直方体型、正六面体型、正八面体型、14面体型、これらの中間多面体型および不定型粉砕粒子などがあるが、それらのうちでは14面体型が好ましい。
ただし、本発明において蓄積性蛍光体は、上記基本組成式(I)で表される輝尽性蛍光体に限定されるものではない。
前述したように、本発明においては蓄積性蛍光体粒子として、粒子径の異なる二種類以上の蛍光体粒子の混合物を用いることが望ましい。そして、最小の蛍光体粒子の平均粒子径Dm1が1.0乃至3.5μmの範囲にあり、最大の蛍光体粒子の平均粒子径Dm2とDm1
の比(Dm2/Dm1)が2.0以上であることが好ましい。混合物中における最小の蛍光体粒子の割合は重量比で10%以上、50%以下であることが好ましい。また、最大の蛍光体粒子の割合は重量比で50%以上、90%以下であることが好ましい。特に、最小の蛍光体粒子群と最大の蛍光体粒子群との重量割合は、20:80〜38:62の範囲にあることが好ましい。
の比(Dm2/Dm1)が2.0以上であることが好ましい。混合物中における最小の蛍光体粒子の割合は重量比で10%以上、50%以下であることが好ましい。また、最大の蛍光体粒子の割合は重量比で50%以上、90%以下であることが好ましい。特に、最小の蛍光体粒子群と最大の蛍光体粒子群との重量割合は、20:80〜38:62の範囲にあることが好ましい。
蓄積性蛍光体層の形成は、まず上述した蓄積性蛍光体粒子、好ましくは粒子径の異なる二種類以上の蛍光体粒子の混合物を、結合剤と共に適当な有機溶剤に分散溶解して塗布液を調製する。塗布液中の結合剤と蛍光体の比率は、一般に1:1乃至1:100(重量比)の範囲にあり、好ましくは1:10乃至1:50(重量比)の範囲にある。
蓄積性蛍光体粒子を分散支持する結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどのような合成高分子物質を挙げることができる。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。
塗布液調製用の有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル;そして、それらの混合物を挙げることができる。
塗布液にはさらに、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤、蛍光体層の変色を防止するための黄変防止剤、硬化剤、架橋剤など各種の添加剤が混合されていてもよい。
この塗布液を次に、支持体の表面に前記の塗布手段を用いて均一に塗布して塗膜を形成する。この塗膜を乾燥して、支持体上への蓄積性蛍光体層の形成を完了する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによっても異なるが、通常は20μm乃至1mmの範囲にあり、好ましくは50乃至500μmの範囲にある。
蓄積性蛍光体層には更にカレンダー処理などの圧縮処理を施してもよく、これにより、蛍光体層中の蓄積性蛍光体粒子の充填率をより一層高めて65容量%以上とすることができる。
蓄積性蛍光体層は、必ずしも一層である必要はなく、二層以上で構成されていてもよく、その場合に少なくとも一層が前述した特性を有していればよい。それ以外の層は、蛍光体の種類や粒子径、結合剤と蛍光体との混合比を任意に変えて、用途に応じて蛍光体層の発光特性および放射線や励起光に対する吸収・散乱特性を変更することができる。また、必ずしも蛍光体層を支持体(または光反射層)上に直接形成する必要はなく、別に用意した基板(仮支持体)上に蛍光体層を形成した後、蛍光体層を基板から引き剥がし、支持体上に接着剤などを用いて接着してもよい。
蓄積性蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の
出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムからなる保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にある。
保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
上述のようにして本発明の放射線像変換パネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各種のバリエーションを含むものであってもよい。例えば、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収し発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよい。あるいは、更にX線などの放射線を吸収して紫外乃至可視領域に瞬時発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する層を設けてもよい。そのような蛍光体の例としては、LnTaO4:(Nb,Gd)系
、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハロゲンである)、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr,Ce、ZnWO4、LuA
lO3:Ce、Gd3Ga5O12:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。
、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハロゲンである)、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr,Ce、ZnWO4、LuA
lO3:Ce、Gd3Ga5O12:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。
[実施例1]
(1)蛍光体シートの作製
下記組成の材料をメチルエチルケトン(MEK)86gに加え、プロペラミキサを用いて10000rpmで30分間混合分散して、粘度3Pa・sの塗布液(結合剤/蛍光体の重量比:1/30)を調製した。この塗布液を、シリコーン系離型剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートシート(仮支持体、厚み:190μm)の表面に、塗布重量(W)93mg/cm2で、300mmの幅で機械塗布し乾燥したのち仮支持体から引き剥がして、蛍光体シートを作製した。
(1)蛍光体シートの作製
下記組成の材料をメチルエチルケトン(MEK)86gに加え、プロペラミキサを用いて10000rpmで30分間混合分散して、粘度3Pa・sの塗布液(結合剤/蛍光体の重量比:1/30)を調製した。この塗布液を、シリコーン系離型剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートシート(仮支持体、厚み:190μm)の表面に、塗布重量(W)93mg/cm2で、300mmの幅で機械塗布し乾燥したのち仮支持体から引き剥がして、蛍光体シートを作製した。
蛍光体:二種類の14面体型BaF(Br0.85I0.15):Eu2+
蛍光体粒子(密度ρ:5.2g/cm3、平均粒子径Dm
と混合比は表1に記載) 計1000g
結合剤:ポリウレタンエラストマー(パンデックスT-5265H[固形]、大日本
インキ化学工業(株)製)のMEK溶液[固形分13重量%]182g
架橋剤:ポリイソシアネート(コロネートHX[固形分100%]、
日本ポリウレタン工業(株)製) 3g
黄変防止剤:エポキシ樹脂(エピコート#1001[固形]、
油化シェルエポキシ(株)製) 6.7g
蛍光体粒子(密度ρ:5.2g/cm3、平均粒子径Dm
と混合比は表1に記載) 計1000g
結合剤:ポリウレタンエラストマー(パンデックスT-5265H[固形]、大日本
インキ化学工業(株)製)のMEK溶液[固形分13重量%]182g
架橋剤:ポリイソシアネート(コロネートHX[固形分100%]、
日本ポリウレタン工業(株)製) 3g
黄変防止剤:エポキシ樹脂(エピコート#1001[固形]、
油化シェルエポキシ(株)製) 6.7g
(2)光反射層の形成
下記組成の材料をMEK387gに加え、混合分散して粘度2〜3Pa・sの塗布液を調
製した。この塗布液をポリエチレンテレフタレートシート(支持体、厚み:188μm、ヘイズ度:約27、ルミラーS-10、東レ(株)製)の表面に、機械塗布し乾燥して、光反射層(層厚:約100μm)を形成した。
下記組成の材料をMEK387gに加え、混合分散して粘度2〜3Pa・sの塗布液を調
製した。この塗布液をポリエチレンテレフタレートシート(支持体、厚み:188μm、ヘイズ度:約27、ルミラーS-10、東レ(株)製)の表面に、機械塗布し乾燥して、光反射層(層厚:約100μm)を形成した。
光反射性物質:高純度アルミナ微粒子(平均粒子径:0.4μm、
UA-5105、昭和電工(株)製) 444g
結合剤:軟質アクリル樹脂(クリスコートP-1018GS[20%トルエン
溶液]、大日本インキ化学工業(株)製) 100g
着色剤:群青(SM-1、第一化成工業(株)製) 2.2g
分散剤:アルミニウム系カップリング剤(プレンアクトAL-M、
味の素(株)製) 2g
UA-5105、昭和電工(株)製) 444g
結合剤:軟質アクリル樹脂(クリスコートP-1018GS[20%トルエン
溶液]、大日本インキ化学工業(株)製) 100g
着色剤:群青(SM-1、第一化成工業(株)製) 2.2g
分散剤:アルミニウム系カップリング剤(プレンアクトAL-M、
味の素(株)製) 2g
(3)蛍光体層の形成(熱圧縮処理)
支持体の光反射層表面に、上記蛍光体シートを塗布形成時の裏面(仮支持体側)が接するようにして重ね、これをカレンダー機を用いて総荷重2300kg、上側ロール温度45℃、下側ロール温度45℃、送り速度0.3m/分にて熱圧縮した。これにより、蛍光体層は光反射層に完全に融着した。熱圧縮後の蛍光体層の層厚250μm、蛍光体粒子の充填密度3.71g/cm3(充填率71容量%)であった。
支持体の光反射層表面に、上記蛍光体シートを塗布形成時の裏面(仮支持体側)が接するようにして重ね、これをカレンダー機を用いて総荷重2300kg、上側ロール温度45℃、下側ロール温度45℃、送り速度0.3m/分にて熱圧縮した。これにより、蛍光体層は光反射層に完全に融着した。熱圧縮後の蛍光体層の層厚250μm、蛍光体粒子の充填密度3.71g/cm3(充填率71容量%)であった。
(4)保護層の形成
下記組成の材料をMEK38gに加え、混合溶解して塗布液を調製した。この塗布液を蛍光体層の表面に塗布し乾燥して、保護層(層厚:3μm)を形成した。
下記組成の材料をMEK38gに加え、混合溶解して塗布液を調製した。この塗布液を蛍光体層の表面に塗布し乾燥して、保護層(層厚:3μm)を形成した。
高分子物質:フルオロオレフィン・ビニルエーテル共重合体(ルミフロン
LF-504X[30%キシレン溶液]、旭硝子(株)製) 76g
架橋剤:ポリイソシアネート(スミジュールN3500[固形分100%]、
住友バイエルウレタン(株)製) 7.5g
触媒:ジブチルチンジラウレート(KS1260、共同薬品(株)製) 0.25mg
LF-504X[30%キシレン溶液]、旭硝子(株)製) 76g
架橋剤:ポリイソシアネート(スミジュールN3500[固形分100%]、
住友バイエルウレタン(株)製) 7.5g
触媒:ジブチルチンジラウレート(KS1260、共同薬品(株)製) 0.25mg
得られた積層体を200mm×250mmのサイズに裁断して、順に支持体、光反射層、蓄積性蛍光体層および保護層から構成された本発明の放射線像変換パネルを得た(図1参照)。
[実施例2、3]
実施例1において、蛍光体シート作製用の塗布液の塗布重量および蛍光体層の層厚を表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。
実施例1において、蛍光体シート作製用の塗布液の塗布重量および蛍光体層の層厚を表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の各種の放射線像変換パネルを製造した。
[比較例1、2]
実施例1において、二種類の蛍光体粒子の平均粒子径と混合比、塗布液の塗布重量および蛍光体層の層厚を表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための各種の放射線像変換パネルを製造した。
実施例1において、二種類の蛍光体粒子の平均粒子径と混合比、塗布液の塗布重量および蛍光体層の層厚を表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための各種の放射線像変換パネルを製造した。
[放射線像変換パネルの性能評価]
得られた各放射線像変換パネルについて、以下のようにして透過率と反射率の測定、および放射線画像の画質の評価を行った。
得られた各放射線像変換パネルについて、以下のようにして透過率と反射率の測定、および放射線画像の画質の評価を行った。
(1)蛍光体層の透過率および光反射層の反射率の測定
蛍光体層および光反射層について、全透過率と反射率(%)を自記分光光度計(U−3210型、(株)日立製作所製、150φ積分球を付設)を用いて、下記の方法にて測定した。測定波長は、上記輝尽性蛍光体の輝尽発光スペクトルの最大ピーク波長(代表値:400nm)であった。
蛍光体層および光反射層について、全透過率と反射率(%)を自記分光光度計(U−3210型、(株)日立製作所製、150φ積分球を付設)を用いて、下記の方法にて測定した。測定波長は、上記輝尽性蛍光体の輝尽発光スペクトルの最大ピーク波長(代表値:400nm)であった。
a)蛍光体層の透過率
測定対象の変換パネルから蛍光体層を剥離する。なお、蛍光体層の上に保護層が存在する場合には、これを剥離除去する。この蛍光体層を積分球の光入射口に配置して、積分球センサの受光量を測定する。一方、積分球の光入射口に何も配置せずに、積分球センサの受光量(対照受光量)を測定する。いずれの測定においても、試料測定部には積分球内壁と同一の材料からなる理想的反射体を配置する。前者の受光量を後者の受光量で除することにより透過率を得る。
測定対象の変換パネルから蛍光体層を剥離する。なお、蛍光体層の上に保護層が存在する場合には、これを剥離除去する。この蛍光体層を積分球の光入射口に配置して、積分球センサの受光量を測定する。一方、積分球の光入射口に何も配置せずに、積分球センサの受光量(対照受光量)を測定する。いずれの測定においても、試料測定部には積分球内壁と同一の材料からなる理想的反射体を配置する。前者の受光量を後者の受光量で除することにより透過率を得る。
b)光反射層の反射率
上記a)の操作で蛍光体層を剥離させた変換パネルは光反射層が露出している。この光反射層を積分球の試料測定部に配置して、積分球センサの受光量を測定する。この受光量を、上記の対照受光量で除することにより反射率を得る。
上記a)の操作で蛍光体層を剥離させた変換パネルは光反射層が露出している。この光反射層を積分球の試料測定部に配置して、積分球センサの受光量を測定する。この受光量を、上記の対照受光量で除することにより反射率を得る。
(2)画質の評価
放射線像変換パネルの表面に、MTFチャートを介してタングステン管球、管電圧80kVpのX線(0.1mR相当)を照射した後、半導体レーザ光(波長:660nm)をパネル面上の励起エネルギーが5J/m2となるように照射して、パネル表面から放出さ
れた輝尽発光光を受光器(分光感度S−5の光電子増倍管)で受光した。受光した光を電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像に再生して表示装置上に画像を得た。得られた画像から鮮鋭度を測定した。パネルの表面に一様にX線(0.1mR相当)を照射した後、同様にして粒状値のウィナースペクトルを求めた。得られた鮮鋭度と粒状値から、空間周波数1サイクル/mmにおける検出量子効率(DQE、%)を算出した。0.1mRでのDQEは、量子モトルを反映した粒状性を示している。
放射線像変換パネルの表面に、MTFチャートを介してタングステン管球、管電圧80kVpのX線(0.1mR相当)を照射した後、半導体レーザ光(波長:660nm)をパネル面上の励起エネルギーが5J/m2となるように照射して、パネル表面から放出さ
れた輝尽発光光を受光器(分光感度S−5の光電子増倍管)で受光した。受光した光を電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像に再生して表示装置上に画像を得た。得られた画像から鮮鋭度を測定した。パネルの表面に一様にX線(0.1mR相当)を照射した後、同様にして粒状値のウィナースペクトルを求めた。得られた鮮鋭度と粒状値から、空間周波数1サイクル/mmにおける検出量子効率(DQE、%)を算出した。0.1mRでのDQEは、量子モトルを反映した粒状性を示している。
また、蛍光体の塗布重量Wと蛍光体の密度ρから、蛍光体の相当厚d(=10000×W/ρ)を算出した。
得られた結果をまとめて表1、表2および図2、図3に示す。
得られた結果をまとめて表1、表2および図2、図3に示す。
表 2
────────────────────────────────────
実施例 T1×d T2×d 充填密度 充填率 DQE(%)
(g/cm3) (容量%) (0.1mR)
────────────────────────────────────
実施例1 1121 800 3.71 71 24.3
実施例2 1129 747 3.70 71 25.5
実施例3 1145 747 3.69 71 26.6
────────────────────────────────────
比較例1 877 618 3.35 64 21.0
比較例2 849 541 3.35 64 23.6
────────────────────────────────────
図2は、蛍光体層の透過率T2(%、発光ピーク波長400nm)と蛍光体の相当厚d
(μm)との関係を表すグラフである。曲線はT2×d=660を表し、白点は実施例1
〜3を表し、黒点は比較例1、2を表す。
(μm)との関係を表すグラフである。曲線はT2×d=660を表し、白点は実施例1
〜3を表し、黒点は比較例1、2を表す。
図3は、透過率T2×相当厚dとDQE(0.1mR)との関係を表すグラフである。
白点は実施例1〜3を表し、黒点は比較例1、2を表す。
白点は実施例1〜3を表し、黒点は比較例1、2を表す。
上記に示した結果から、T1×dとT2×dの積が共に660以上であって充填密度が3.4g/cm3以上である本発明の放射線像変換パネル(実施例1〜3)は、この条件を
満たさない比較のための放射線像変換パネル(比較例1、2)に比べて、DQE(0.1mR)が顕著に高く、量子モトルを反映した粒状性が優れていることが明らかである。また、図2から、蛍光体層の透過率T2と蛍光体の相当厚dは、略反比例的に変化すること
が分かる。図3から、T2×dの積が増加するとDQEも増大することが分かる。
満たさない比較のための放射線像変換パネル(比較例1、2)に比べて、DQE(0.1mR)が顕著に高く、量子モトルを反映した粒状性が優れていることが明らかである。また、図2から、蛍光体層の透過率T2と蛍光体の相当厚dは、略反比例的に変化すること
が分かる。図3から、T2×dの積が増加するとDQEも増大することが分かる。
11 支持体
12 光反射層
13 蓄積性蛍光体層
14 保護層
12 光反射層
13 蓄積性蛍光体層
14 保護層
Claims (5)
- 蓄積性蛍光体粒子と結合剤とからなる蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、該蓄積性蛍光体粒子の励起ピーク波長及び発光ピーク波長のそれぞれにおける該蛍光体層の透過率T1(%)及びT2(%)と、該蛍光体層における蛍光体粒子の相当厚d(μm)とが、下記関係式(1)及び(2)を満足し、
T1 × d ≧ 660 …(1)
T2 × d ≧ 660 …(2)
[ただし、dは、蛍光体粒子の塗布重量W(mg/cm2)と蛍光体粒子の密度ρ(g/c
m3)とから、d=10000×W/ρにより算出される値である]
そして、該蛍光体層における該蛍光体粒子の充填密度が3.4g/cm3以上であること
を特徴とする放射線像変換パネル。 - 蓄積性蛍光体粒子の励起ピーク波長及び発光ピーク波長における蛍光体層の透過率T1
及びT2が、いずれも1%以上である請求項1に記載の放射線像変換パネル。 - 蛍光体層の片面に光反射層が設けられていて、蓄積性蛍光体粒子の発光ピーク波長における該光反射層の反射率が70%以上である請求項1または2に記載の放射線像変換パネル。
- 蓄積性蛍光体粒子が粒子径の異なる少なくとも二種類の蛍光体粒子の混合物であって、最小の蛍光体粒子の平均粒子径Dm1が1.0乃至3.5μmの範囲にあり、そして最大の蛍光体粒子の平均粒子径Dm2とDm1の比(Dm2/Dm1)が2.0以上である請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
- 蛍光体層における蓄積性蛍光体粒子の充填率が70容量%以上である請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の放射線像変換パネル。
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