JP2006104481A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも(a)フロロオレフィン、(フロロアルキル)ビニルエーテルもしくは(フロロアルコキシ)ビニルエーテル、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)、パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)及びフッ素含有(メタ)アクリル酸エステルから選択されるフッ素原子を含有する単量体と、(b)水酸基又はエポキシ基を含有する単量体を重合して、(a)成分を10〜99モル%及び(b)成分を1〜20モル%含み、フッ素含量が40重量%以上の(A)含フッ素共重合体を得て、
前記(A)含フッ素共重合体100重量部と、(B)少なくともヒドロキシアルキルアミノ基又はアルコキシアルキルアミノ基を含有する化合物1〜70重量部を、30〜150℃で加熱反応させ、加熱後室温まで冷却して、硬化性含フッ素共重合体を製造することを特徴とする硬化性含フッ素共重合体を含有する溶液状の硬化性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 無し
Description
通常、主剤である官能基含有ポリマーの有機溶剤溶液あるいは水性分散体に硬化剤及び酸触媒を混合し、塗布、乾燥、加熱硬化といった工程で塗膜が形成される。
近年、耐候性塗料として含フッ素ポリマーが提案されており、例えば特許文献1にはフロロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、アルキルビニルエーテル及びヒドロキシアルキルビニルエーテルからなる官能基を有する含フッ素共重合体が提案されており、また、特許文献2及び3にはヘキサフロロプロピレン、カルボン酸ビニルエステル、アルキルビニルエーテル及び水酸基含有ビニルエーテルからなる共重合体、及びそれをメラミンあるいはイソシアネート等で硬化させる方法が提案されている。
さらに特許文献4にはヘキサフロロプロピレン、カルボン酸ビニルエステル、アルキルビニルエーテル、水酸基含有ビニルエーテル及びカルボキシル基含有ビニル単量体からなる共重合体にメラミンあるいはイソシアネートで硬化させる方法が提案されている。
すなわち従来の硬化性組成物は、塗膜の透明性に劣っていた。その理由の多くは、従来の提案による含フッ素系塗料が、フッ素含有ポリマーと硬化剤との相溶性が不十分であることによる。
更に反射防止膜等の光学用途において、反射防止性能を効果的に発現するための塗布膜厚は、代表的可視光線の波長の1/4である130nm程度に制御する必要があるが、このような薄膜の塗膜の密着性は充分ではなかった。
さらに本発明の他の目的は、硬化剤及び/又は硬化触媒をさらに配合する場合においても、硬化性樹脂組成物と硬化剤及び/又は硬化触媒との相溶性に優れる、光学材料の塗膜形成に好適な、硬化性樹脂組成物を提供するものである。
以下、本発明の構成について詳細に説明する。
本発明の硬化性含フッ素共重合体は、(A)少なくとも(a)フッ素原子を含有する単量体及び(b)水酸基又はエポキシ基を含有する単量体を重合して得られる含フッ素共重合体に、(B)少なくともヒドロキシアルキルアミノ基又はアルコキシアルキルアミノ基を含有するアミノ化合物を反応して得られる硬化性含フッ素共重合体である。
まず、含フッ素共重合体について説明する。
前記(a)フッ素原子を含有する単量体(以下、単に「(a)成分」ともいう。)としては、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結合基と少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙げることができ、具体的には、例えば
テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフロロエチレン、3,3,3−トリフロロプロピレン、テトラフロロエチレン等のフロロオレフィン類;
一般式 CH2=CH−O−Rf
(Rfはフッ素原子を含むアルキル基もしくはアルコキシアルキル基を示す)で表される(フロロアルキル)ビニルエーテルもしくは(フロロアルコキシアルキル)ビニルエーテル類;
パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルキルビニルエーテル)類;
パーフロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;
2,2,2−トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフロロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフロロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフロロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフロロデシル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類
等を挙げることができる。
これらのフッ素原子を含有する単量体は単独でも2種以上の併用であっても良い。特に、フッ素含有単量体として、ヘキサフロロプロピレンとパーフロロアルキルパーフロロビニルエーテル又はパーフロロアルコキシアルキルパーフロロビニルエーテルとを組み合わせて使用することが好ましい。
水酸基を含有する単量体として、具体的には、例えば
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;
2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;
アリルアルコール;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル
等を挙げることができる。
またエポキシ基を含有する単量体としては、例えば
ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、クロトン酸グリシジルエステル、マレイン酸メチルグリシジルエステル等を挙げることができる。
これらの水酸基又はエポキシ基を含有する単量体は単独でも2種以上の併用であっても良い。
このような他の単量体は、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合基を有する化合物を挙げることができ、具体的に、例えば
エチレン、プロピレン、イソブテン等のα-オレフィン類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体化合物
等を挙げることができる。
これらの他の単量体は、単独でも2種以上の併用であってもよい。
特に含フッ素共重合体中に共重合されるフッ素含量を高める点で、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の低分子量単量体が好ましい。
さらに、硬化性樹脂組成物の硬化後の塗膜の高硬度化、低屈折率化のために、イソプロピルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ピバリン酸ビニル等の分岐状単量体の使用が有効である。
フロロオレフィン/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル、
フロロオレフィン/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル、
フロロオレフィン/(パーフロロアルコキシアルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル、
含フッ素(メタ)アクリル酸エステル/水酸基あるいはエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル
等を挙げることができる。
(a)成分:フッ素原子を含有する単量体が10〜99モル%、好ましくは15〜97モル%、
(b)成分:水酸基又はエポキシ基を含有する単量体が1〜20モル%、好ましくは3〜15モル%、
必要に応じて使用される(c)成分:他の単量体が0〜70モル%である。
但し、フッ素原子を含有する単量体として、ヘキサフロロプロピレンを用いる場合で、その含有量が53重量%未満となる場合には、フッ素含量を高めるべく、例えば、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)あるいはパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)のような含フッ素単量体を共重合することが必要である。
また本発明の含フッ素共重合体中のフッ素含量としては40重量%以上、好ましくは45重量%以上である。
前記フッ素原子を含有する単量体の含有量が前記範囲よりも小さいと塗膜硬度の低下、有機溶剤への不溶化等の問題が生じ、また大きすぎると透明性の低下、基材との密着性の低下、有機溶剤への不溶化等の問題が生じる。
また水酸基又はエポキシ基を含有する単量体が前記範囲よりも小さいと硬化速度の低下、得られる塗膜の性能が不十分となり、また大きすぎると重合中あるいは保存中にゲル化が生じたり、得られる塗膜が脆くなる等の問題が生じる。
アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;
ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;
tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類;
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等を挙げることができる。
また前記ラジカル重合開始剤には、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等の無機還元剤、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等の有機還元剤を併用することができる。
パーフロロエチルアイオダイド、パーフロロプロピルアイオダイド、パーフロロブチルアイオダイド、(パーフロロブチル)エチルアイオダイド、パーフロロヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロヘプチルアイオダイド、パーフロロオクチルアイオダイド、2−(パーフロロオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロデシルアイオダイド、2−(パーフロロデシル)エチルアイオダイド、ヘプタフロロ−2−ヨードプロパン、パーフロロ−3−メチルブチルアイオダイド、パーフロロ−5−メチルヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロ−5−メチルヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロ−7−メチルオクチルアイオダイド、2−(パーフロロ−7−メチルオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロ−9−メチルデシルアイオダイド、2−(パーフロロ−9−メチルデシル)エチルアイオダイド、2,2,3,3−テトラフロロプロピルアイオダイド、1H,H,5H−オクタフロロペンチルアイオダイド、1H,1H,7H−ドデカフロロヘプチルアイオダイド、テトラフロロ−1,2−ジヨードエタン、オクタフロロ−1,4−ジヨードブタン、ドデカフロロ−1,6−ジヨードヘキサン等のヨウ素含有フッ素化合物を挙げることができる。
前記ヨウ素含有フッ素化合物は単独、もしくは前記有機過酸化物、アゾ系化合物あるいは過硫酸塩と併用して用いることができる。
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類
等が挙げられ、これらに必要に応じてアルコール類、脂肪族炭化水素類等を混合使用することもできる。
本発明の含フッ素共重合体は、前記重合反応を行った反応溶液のまま、硬化性樹脂組成物に使用することができるが、重合反応後の後処理を行うことについて特に制約はない。
前記後処理としては、例えば重合反応溶液を、アルコール等の含フッ素共重合体の不溶化溶剤に滴加し、含フッ素共重合体を凝固させることによる精製方法に代表される、一般的な再沈処理を行うことができ、次いで、これを溶剤に再度溶解して含フッ素共重合体の溶液を調製することができる。
また重合終了後の重合反応溶液から残留モノマー除去し、そのまま含フッ素共重合体の溶液として使用することもできる。
本発明の含フッ素共重合体の重合度は、N,N−ジメチルアセトアミド中、25℃で測定した固有粘度として、0.05〜2.0dl/g、好ましくは0.1〜1.5dl/gである。
固有粘度が前記範囲よりも小さいと得られる含フッ素共重合体の機械的強度が低下し、また前記範囲よりも大きいと溶液粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる。
本発明の硬化性含フッ素共重合体は、前記含フッ素共重合体に、(B)少なくともヒドロキシアルキルアミノ基又はアルコキシアルキルアミノ基を含有する化合物(アミノ化合物)を反応して得られる。
前記アミノ化合物は、含フッ素共重合体中に存在する水酸基又はエポキシ基と反応可能なアミノ基、すなわちヒドロキシアルキルアミノ基又はアルコキシアルキルアミノ基を含有する化合物であり、具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
前記メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているもので、具体的にはメラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができる。特に、メラミンとホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応して得られるメチロール化メラミン及びアルコキシ化メチルメラミン、並びにその誘導体が好ましく、特に保存安定性からアルコキシ化メチルメラミンが特に好ましい。
前記メラミン系化合物としては、メチロール基及びアルコキシ化メチル基を1分子あたり2個以上有することが好ましい。
またメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンについて特に制約はなく、例えばプラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂(日刊工業新聞社)に記載されているような方法で得られる各種樹脂の使用も可能である。
また、前記尿素化合物としては尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、さらには環状構造であるウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。
前記尿素誘導体等のアミノ化合物についても前記「ユリア・メラミン樹脂」等に記載の各種樹脂の使用が可能である。
含フッ素共重合体と反応させるアミノ化合物の量としては、共重合体100重量部あたり、1〜70重量部であり、好ましくは3〜50重量部であり、さらに好ましくは5〜30重量部である。
1重量部未満では本発明の特徴である、薄膜としての耐久性が不十分であり、70重量部を越えると付加反応時のゲル化の回避が困難であり、且つ光学用途に利用する際に本願材料の特徴である低屈折率を維持することができない。
前記加熱温度は30〜150℃の範囲であり、好ましくは50〜120℃の範囲である。前記加熱温度が、30℃以下では反応が極めて遅く、150℃以上では反応とともにアミノ化合物中のメチロール基あるいはアルコキシ化メチル基同士の反応による橋掛け反応が進み、ゲルの生成につながる。
反応の進行はメチロール基又はアルコキシ化メチル基を赤外分光分析等により定量することや、溶解している共重合体の再沈による回収後の重量増の秤量により定量的確認を行うことができる。
また前記含フッ素共重合体とアミノ化合物との反応は、溶剤を用いた溶剤系で反応させるのが好ましく、好ましい有機溶剤としては、例えば前記含フッ素共重合体の製造において用いられる有機溶剤と同じものを挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記硬化性含フッ素共重合体を含有する溶剤組成物である。特に本発明の硬化性樹脂組成物は、前記硬化性含フッ素共重合体を反応させた反応溶液をそのまま用いることができる溶剤組成物であるが、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、硬化性樹脂組成物の塗布性や硬化後の塗膜特性の改善や、感光性の付与等を目的として、水酸基を有する多種ポリマーやモノマー、顔料又は染料等の着色剤、老化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤、架橋性化合物、熱酸発生剤、感光性酸発生剤、界面活性剤、溶剤、重合禁止材等の各種の添加剤を本材料の特徴を損なわない範囲で含有することができる。
特に塗膜の硬度及び耐久性の改善を目的として、熱酸発生剤又は光酸発生剤の添加が好ましい。これらの使用にあたっては、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化後の透明性を低下させず、且つその溶液に均一に溶解するものを選択するのが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる水酸基を有するポリマーとしては、具体的に、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有共重合性単量体を共重合して得られるポリマー、ノボラック樹脂又はレゾール樹脂として公知のフェノール骨格を有する樹脂等をあげることができる。
<顔料又は染料等の着色剤>
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる着色剤としては、具体的に例えば
アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウム等の体質顔料;
亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラック等の無機顔料;
ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料;
マゼンタ、ローダミン等の塩基性染料;
ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジ等の直接染料;
ローセリン、メタニルイエロー等の酸性染料
等を挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる老化防止剤、紫外線吸収剤としては、公知のものを使用することができる。
老化防止剤の具体例としては、例えばジ−tert−ブチルフェノール、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類、フェノチアジン、メルカプトベンズイミダゾール等を挙げることができる。
また紫外線吸収剤の具体例としては、例えばフェニルサリシレートに代表されるサリチル酸系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン、2ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の各種プラスチック添加に使用される紫外線吸収剤を利用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、組成物に含有される硬化性含フッ素共重合体自体が、硬化性を有するものであるが、必要に応じて、他の架橋性化合物を配合することにより、本発明の硬化性樹脂組成物から形成される塗膜の硬化特性を改善することができる。
このような架橋性化合物としては、例えば前記各種アミノ化合物や、ペンタエリスリトール、ポリフェノール、グリコール等の各種水酸基含有化合物等を挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、特に前記アミノ化合物、特にアルコキシアルキルメラミン化合物を架橋性化合物として配合することが好ましい。
前記架橋性化合物の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の硬化性含フッ素共重合体100重量部に対して、0〜70重量部、好ましくは3〜50重量部である。
前記架橋性化合物の使用割合が70重量部を越えると、硬化物が脆くの膜強度が低下し、且つ屈折率も高くなるために好ましくない。
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる熱酸発生剤としては、本発明の硬化性樹脂組成物の塗膜を加熱して硬化させる場合の加熱条件をより穏和な条件に改善することができるものである。
前記熱酸発生剤の具体例としては、例えば各種脂肪族スルフォン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香属カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルフォン酸とそのアンモニウム塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
前記熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の硬化性含フッ素共重合体100重量部に対して、0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
前記熱酸発生剤の使用割合が10重量部を越えると、硬化性組成物の保存安定性に劣るために好ましくない。
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる感光性酸発生剤としては、本発明の硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば光等の放射線を照射することによって該硬化性樹脂組成物の塗膜を光硬化させることを可能にする。
前記感光性酸発生剤としては、具体的に、例えば
ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;
β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;
アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;
下記一般式(1)で示されるスルホンイミド化合物類
下記式(2)で示されるジアゾメタン化合物類
を挙げることができる。
前記感光性酸発生剤は単独でも2種以上を併用して使用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。
前記感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の硬化性含フッ素共重合体100重量部に対して、0〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
前記熱酸発生剤の使用割合が20重量部を越えると、塗膜強度に劣り、光学的透明性も低下するために好ましくない。
本発明の硬化性樹脂組成物に配合できる熱重合禁止剤としては、具体的に、例えば
ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン等を挙げることができる。
前記熱重合禁止剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100重量部に対して好ましくは5重量部以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物の塗布性を更に改善する目的で界面活性剤を配合することができる。前記界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、具体的に、例えば各種アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤の利用が可能である。
特に塗膜としての強度を保持し、且つ光学特性を低下させないために、フッ素系界面活性剤の使用が好ましい。
界面活性剤の使用割合は硬化性樹脂組成物100重量部に対して好ましくは5重量部以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、含有される硬化性含フッ素共重合体が溶剤を含有する溶液状で得られたものを使用するので、特に溶剤を配合する必要はないが、硬化性樹脂組成物の塗布性等の改善等の目的で、さらに溶剤を配合することができる。
このような溶剤としては、例えば含フッ素共重合体の製造に用いた溶剤や、硬化性含フッ素共重合体の反応に用いた溶剤を挙げることができ、さらに硬化性含フッ素共重合体を溶解しない溶剤、例えば水、アルコール類、エーテル類等の貧溶剤であっても、硬化性樹脂組成物が、良好な保存性と好ましい塗布性を有する限り配合することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶液状で各種の基材に塗布が可能であり、特に基材が透明基材の場合には優れた反射防止特性を付与することができる。
前記、透明基材としては、具体的に、例えば無機ガラスの他、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチリル樹脂、アリレート樹脂等の各種透明プラスチック板、フィルム等を挙げることができる。
各種基材への塗布にあたっては、公知の塗布方法を使用することができ、特にディップ、コーター、印刷等各種の方法の適用が可能である。
塗布後、本発明の特徴である、光学特性と耐久性を得るためには特に加熱による熱履歴を与えることが好ましい。もちろん、常温で放置しても時間とともに十分に硬化反応が進み、本願材料の特徴を得ることができるが、工業的生産性を考えた場合には、加熱による硬化が時間短縮に効果的であり、さらには前記熱酸発生剤を硬化触媒として添加することで硬化の促進が可能である。
硬化触媒としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等の硬化剤として使用されている前述の各種酸類とその塩類が利用され、特にアンモニウム塩を好ましく利用することができる。
前記硬化のための加熱条件は、適宜選択することができるが、加熱温度は必然的に使用される基材の耐熱限界温度以下のものとなることは言うまでもない。
即ち、本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、良好な熱硬化性を示し、またn25=1.40以下の低い屈折率ならびに可視光に対する優れた透明性を有する。
さらに、透明基板との密着性に優れ、良好な反射防止効果を付与することができる。
また本発明の硬化性樹脂組成物から得られる塗膜は、耐候性にも優れ、超耐候性塗料用材料として好適に使用できる。
<含フッ素共重合体の製造>
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル500g、エチルビニルエーテル(EVE)57.2g、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)10.2g及び過酸化ラウロイル3gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフロロプロピレン(HFP)146gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3kgf/cm2を示した。その後、60℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.5kgf/cm2に低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度28.1%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い193gの含フッ素共重合体を得た。結果を表1に示す。
得られたポリマーにつき、N,N−ジメチルアセトアミド中、25℃での固有粘度〔η〕、DSCによるガラス転移温度(Tg)、アリザリンコンプレクソン法によるフッ素含量、及び無水酢酸を用いたアセチル化法による水酸基価をそれぞれ測定した。また、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析結果、元素分析結果並びにフッ素含量、水酸基価から含フッ素共重合体を構成する各単量体成分の割合を決定した。乾燥後のポリマーの赤外チャートを図−1に示す。
前記含フッ素共重合体100gをアルコキシ化メチルメラミン(三井サイテック株式会社製、商品名:サイメル303)10gとともに、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。)900g中に溶解し、100℃にて5時間撹拌下で反応させた。反応後室温まで冷却し硬化性含フッ素共重合体の溶液を得た。
次いで、反応終了後の硬化性含フッ素共重合体の溶液を大過剰の冷メタノール中に撹拌しながら徐々に投入し、硬化性含フッ素共重合体を沈殿析出させた。さらに得られた硬化性含フッ素共重合体を再度MIBKに溶解させた後、冷メタノールを用いて再沈処理を行った。
得られた硬化性含フッ素共重合体を真空乾燥により乾燥させた。乾燥後の硬化性含フッ素共重合体の赤外チャートを図−2に示す。
前記硬化性含フッ素共重合体100gと硬化触媒としてp−トルエンスルフォン酸2gをMIBKに添加、溶解させ、硬化性樹脂組成物の溶液を調製した。
屈折率の測定
光学特性評価として、前記硬化性樹脂組成物のMIBK溶液を用い、スピンコーターによりシリコンウェーハー上に乾燥後の厚みが約0.1μmとなるように塗布した試料につき、エリプソメーターによる25℃における屈折率(n25)を測定した。
透過率・反射率の測定
前記硬化性樹脂組成物のMIBK溶液を用い、キャスト法により、塗膜を形成したのち、プレスを用いて120℃、1時間加熱硬化して厚さ200μmのフィルムを成形した。このフィルムを試料として、波長340−700nmでの透過率を測定した。さらにJIS
K5400に準拠して前記フィルムの鉛筆硬度を測定した。
また前記硬化性樹脂組成物のMIBK溶液を用いて、固形分4wt%になるまでブタノールにて希釈してワニスを調製した。このワニスを用いて厚さ3mmの透明ポリカーボネート板にディップコートを引き上げ速度100mm/分で行い、次いで、120℃、1時間の加熱・硬化を行った。エリプソメータで測定した硬化塗膜の膜厚は1140オングストロームであった。
この硬化塗膜が形成されたポリカーボネート板を60mmφ積分球付き分光光度計(日立製作所製 U−3410型)を用いて、全光線透過率と反射率の測定を行った。
密着性の測定
塗膜の基材への密着性の評価として、前記硬化塗膜が形成されたポリカーボネート板を試料として、耐擦傷性テストを実施した。十條キンバリー社製キムワイプを用いて、塗膜面を1kg/cm2荷重にて25回繰り返しこすり、塗膜表面の傷の発生を目視で確認した。
結果を表5に示す。
各単量体の仕込み量を表1に示した割合に変更した以外は、実施例1と同様にして含フッ素共重合体を合成した。結果を表2に示す。
また、得られた各含フッ素共重合体を用い、実施例1と同様に表3に示された条件でアミノ化合物との反応を行った以外は、実施例1と同様にして、硬化性含フッ素共重合体を得た。
これらの硬化性含フッ素共重合体から表4に示す硬化条件で硬化膜を形成し、各種物性を測定した。結果を表5に示す。
<比較例4>
実施例1で用いた含フッ素共重合体100gをサイメル303 10gとあらかじめ加熱反応処理することなく、MIBK中で混合しワニスを調整した。これに硬化触媒としてp−トルエンスルフォン酸1gを添加した。本材料を120℃で硬化させて得られたフィルムは白濁し、光線透過率が大幅に低下したもので、光学用途のコート材料として不適当なものであった。
(a)成分
HFP : ヘキサフロロプロピレン
CTFE : クロロトリフロロエチレン
FPVE : パーフロロ(プロピルビニルエーテル)
(b)成分
HBVE : ヒドロキシブチルビニルエーテル
GVE : グリシジルビニルエーテル
(c)成分
EVE : エチルビニルエーテル
iso−BVE : イソブチルビニルエーテル
CHVE : シクロヘキシルビニルエーテル
E : エチレン
VAc : 酢酸ビニル
VPi : ピバリン酸ビニル
VeoVa10 : バーサチック酸ビニル
(アミノ化合物)
BG : ベンゾグアナミン
GU : グリコールウリル
Claims (3)
- 少なくとも(a)フロロオレフィン、(フロロアルキル)ビニルエーテルもしくは(フロロアルコキシ)ビニルエーテル、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)、パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)及びフッ素含有(メタ)アクリル酸エステルから選択されるフッ素原子を含有する単量体と、(b)水酸基又はエポキシ基を含有する単量体を重合して、(a)成分を10〜99モル%及び(b)成分を1〜20モル%含み、フッ素含量が40重量%以上の(A)含フッ素共重合体を得て、
前記(A)含フッ素共重合体100重量部と、(B)少なくともヒドロキシアルキルアミノ基又はアルコキシアルキルアミノ基を含有する化合物1〜70重量部を、30〜150℃で加熱反応させ、加熱後室温まで冷却して、硬化性含フッ素共重合体を製造することを特徴とする硬化性含フッ素共重合体を含有する溶液状の硬化性樹脂組成物の製造方法。 - 少なくとも(a)フロロオレフィン、(フロロアルキル)ビニルエーテルもしくは(フロロアルコキシ)ビニルエーテル、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)、パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)及びフッ素含有(メタ)アクリル酸エステルから選択されるフッ素原子を含有する単量体と、(b)水酸基又はエポキシ基を含有する単量体と、(c)(b)成分以外の少なくとも1個の重合性不飽和二重結合基を有する化合物とを重合して、(a)成分を10〜99モル%、(b)成分を1〜20モル%及び(c)成分を0〜70モル%含み、フッ素含量が40重量%以上の(A)含フッ素共重合体を得て、
前記(A)含フッ素共重合体100重量部と、(B)少なくともヒドロキシアルキルアミノ基又はアルコキシアルキルアミノ基を含有する化合物1〜70重量部を、30〜150℃で加熱反応させ、加熱後室温まで冷却して、硬化性含フッ素共重合体を製造することを特徴とする硬化性含フッ素共重合体を含有する溶液状の硬化性樹脂組成物の製造方法。 - 反射防止膜に使用されることを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
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