JP2005264064A - フッ素系共重合体、硬化性樹脂組成物及び硬化膜 - Google Patents

フッ素系共重合体、硬化性樹脂組成物及び硬化膜 Download PDF

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Hiromi Shimomura
宏臣 下村
Takahiro Kawai
高弘 川合
Hitoshi Kato
仁史 加藤
Tetsuya Yamamura
哲也 山村
Takayoshi Tanabe
隆喜 田辺
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Abstract

【課題】 透明性に優れ、且つ低屈折率で良好な反射防止効果を発揮することができるとともに、耐擦傷性に優れた反射防止膜を形成することができるフッ素系共重合体を提供する。
【解決手段】 (a)フッ素原子を含有するオレフィン単量体、(b)ビニルエーテル単量体、(c)フルオロアルキルビニルエーテル単量体及び(d)アゾ基含有ポリシロキサン化合物、及び必要に応じて(e)反応性乳化剤を共重合させて得られるフッ素系共重合体、硬化性樹脂組成物及びそれからなる硬化膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低屈折率性、耐擦傷性に優れた塗膜を形成することができる反射防止膜形成性に優れたフッ素系共重合体、硬化性樹脂組成物及びそれからなる反射防止膜に関する。
現在、マルチメディアの発達に伴い、各種の表示装置(ディスプレイ装置)において種々の発展が見られている。そして、各種の表示装置のうち、特に、携帯用を中心に屋外で使用されるものでは、その視認性の向上がますます重要となってきており、大型表示装置においても、より見易くすることが需要者に要求されており、この事項がそのまま技術課題となっている。
従来、表示装置の視認性を向上させるための一手段として、低屈折率材料から構成される反射防止膜を、表示装置の基板に被覆することが行われており、反射防止膜を形成する方法としては、例えば、フッ素化合物の薄膜を蒸着法により形成する方法が知られている。然るに、近年では、液晶表示装置を中心として、低いコストで、しかも大型の表示装置に対しても、反射防止膜を形成することのできる技術が求められている。しかしながら、蒸着法による場合には、大面積の基板に対して、高い効率で均一な反射防止膜を形成することが困難であり、しかも真空装置を必要とするために、コストを低くすることが困難である。
このような事情から、屈折率の低いフッ素系共重合体を有機溶媒に溶解して液状の組成物を調製し、これを基板の表面に塗布することによって反射防止膜を形成する方法が検討されている。(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、特定の構造を有するフッ素系共重合体を塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭61−40845号公報 特公平6−98703号公報 特開平6−115023号公報
しかしながら、従来のフッ素系材料による反射防止膜は、基材との密着が十分ではなく、特に、繰り返し擦過を受けた場合に、当該反射防止膜層がはがれたり、傷ができてしまうという問題を有している。
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、透明性に優れ、且つ低屈折率で良好な反射防止効果を発揮することができるとともに、耐擦傷性に優れた反射防止膜を形成することができるフッ素系共重合体を提供することにある。
本発明の他の目的は、透明性に優れ、且つ低屈折率で良好な反射防止効果を発揮することができるとともに、耐擦傷性に優れた反射防止膜を形成することができる硬化性樹脂組成物及びそれからなる反射防止膜を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、フッ素オレフィン、アルキルビニルエーテルに、フロロアルキルビニルエーテルを共重合させることにより、低屈折率ポリマーを得ることができることを見出した。更に、シリコン成分、界面活性剤成分を導入することにより、得られる反射防止膜の低屈折率性及び耐擦傷性を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)(a)下記一般式(1)
Figure 2005264064
[式中、Rはフッ素原子、フロロアルキル基又は−ORで表される基(Rはアルキル基又はフロロアルキル基を示す)を示す]
で表される構造単位20〜70モル%、
(b)下記一般式(2)
Figure 2005264064
[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rはアルキル基、−O(CHで表される基又は−OCORで表される基(Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はグリシジル基を示し、xは0〜2の数を示す)を示す]
で表される構造単位10〜70モル%、
(c)下記一般式(3)
Figure 2005264064
[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは−O(CHで表される基(Rはフロロアルキル基を示し、xは0〜2の数を示す)を示す]
で表される構造単位10〜70モル%、及び
(d)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記一般式(4)
Figure 2005264064
[式中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
で表される構造単位0.1〜10モル%からなり;
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であるフッ素系共重合体;
(2)前記(d)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する一般式(4)で表される構造単位が、(d−1)下記一般式(5)
Figure 2005264064
[式中、R11〜R14は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基又はシアノ基を示し、R15〜R18は同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を示し、p及びqはそれぞれ1〜6の数を示し、s及びtはそれぞれ0〜6の数を示し、yは1〜200の数を示す]
で表される構造単位であり、−(OSiR1618−の量に換算して0.1〜10モル%を含む上記(1)に記載のフッ素系共重合体;
(3)さらに、(e)下記一般式(6)
Figure 2005264064
[式中、R19は乳化作用を有する基を示す]
で表される構造単位0.1〜5モル%を含む上記(1)又は(2)に記載のフッ素系共重合体;
(4)下記成分(1)〜(4)を含有する硬化性樹脂組成物:
(1)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のフッ素系共重合体
(2)硬化性化合物
(3)硬化触媒
(4)溶媒;
(5)上記(4)記載の硬化性樹脂組成物の硬化物よりなる硬化膜;及び
(6)上記(5)記載の硬化膜を含む反射防止膜を提供する。
本発明によれば、透明性に優れ、且つ低屈折率で良好な反射防止効果を発揮することができるとともに、耐擦傷性に優れた反射防止膜を形成することができるフッ素系共重合体が提供される。
さらに、本発明によれば、透明性に優れ、且つ低屈折率で良好な反射防止効果を発揮することができるとともに、耐擦傷性に優れた反射防止膜を形成することができる硬化性樹脂組成物及びそれからなる反射防止膜が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一の態様は、
(a)下記一般式(1)
Figure 2005264064
[式中、Rはフッ素原子、フロロアルキル基又は−ORで表される基(Rはアルキル基又はフロロアルキル基を示す)を示す]
で表される構造単位(以下、「構造単位(a)」という)20〜70モル%、
(b)下記一般式(2)
Figure 2005264064
[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rはアルキル基、−O(CHで表される基又は−OCORで表される基(Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はグリシジル基を示し、xは0〜2の数を示す)を示す]
で表される構造単位(以下、「構造単位(b)」という)10〜70モル%、
(c)下記一般式(3)
Figure 2005264064
[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは−O(CHで表される基(Rはフロロアルキル基を示し、xは0〜2の数を示す)を示す]
で表される構造単位(以下、「構造単位(c)」という)10〜70モル%、及び
(d)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記一般式(4)
Figure 2005264064
[式中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
で表される構造単位(以下、「構造単位(d)」という)0.1〜10モル%からなり;
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であるフッ素系共重合体(以下、「フッ素系共重合体1a」という);
構造単位(a)20〜70モル%、
構造単位(b)10〜70モル%、
構造単位(c)10〜70モル%、及び
前記構造単位(d)が、(d−1)下記一般式(5)
Figure 2005264064
[式中、R11〜R14は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基又はシアノ基を示し、R15〜R18は同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を示し、p及びqはそれぞれ1〜6の数を示し、s及びtはそれぞれ0〜6の数を示し、yは1〜200の数を示す]
で表される構造単位(以下、「構造単位(d−1)」という)を、−(OSiR1618−の量に換算して0.1〜10モル%からなり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であるフッ素系共重合体(以下、「フッ素系共重合体1b」という);
構造単位(a)20〜70モル%、
構造単位(b)10〜70モル%、
構造単位(c)10〜70モル%、
構造単位(d)0.1〜10モル%、及び
(e)下記一般式(6)
Figure 2005264064
[式中、R19は乳化作用を有する基を示す]
で表される構造単位(以下、「構造単位(e)」という)0.1〜5モル%からなり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であるフッ素系共重合体(以下、「フッ素系共重合体2a」という);及び
構造単位(a)20〜70モル%、
構造単位(b)10〜70モル%、
構造単位(c)10〜70モル%、
構造単位(d−1)を−(OSiR1618−の量に換算して0.1〜10モル%、及び
構造単位(e)0.1〜5モル%からなり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であるフッ素系共重合体(以下、「フッ素系共重合体2b」という)を提供するものである。
本発明のフッ素系共重合体1aは、構造単位(a)20〜70モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好ましくは30〜55モル%、構造単位(b)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは30〜60モル%、構造単位(c)10〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは10〜40モル%、構造単位(d)0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.1〜3モル%からなる。
本発明のフッ素系共重合体1bは、構造単位(a)20〜70モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好ましくは30〜55モル%、構造単位(b)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは30〜60モル%、構造単位(c)10〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは10〜40モル%、構造単位(d−1)を−(OSiR1618−の量に換算して0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.1〜3モル%からなる。
また、フッ素系共重合体2aは構造単位(a)20〜70モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好ましくは30〜55モル%、構造単位(b)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは30〜60モル%、構造単位(c)10〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは10〜40モル%、構造単位(d)0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.1〜3モル%、構造単位(e)0.1〜5モル%、好ましくは0.1〜3モル%、さらに好ましくは0.5〜3モル%からなる。
また、フッ素系共重合体2bは構造単位(a)20〜70モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好ましくは30〜55モル%、構造単位(b)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは30〜60モル%、構造単位(c)10〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは10〜40モル%、構造単位(d−1)を−(OSiR1618−の量に換算して0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.1〜3モル%、構造単位(e)0.1〜5モル%、好ましくは0.1〜3モル%、さらに好ましくは0.5〜3モル%からなる。
なお、構成単位(d−1)は、構成単位(d)の一態様であり、本願明細書において、構成単位(d−1)についての説明は、特にことわらない限り、構成単位(d)の説明に含まれるものとする。
フッ素系共重合体1a、1b、2a及び2bにおいて、構造単位(a)が20モル%未満では、得られるフッ素系共重合体中のフッ素含量が40重量%以下となり、本願が意図するところの光学的にフッ素含有材料の特徴である、低屈折率の発現が困難となる。一方、構造単位(a)が70モル%を越えると、得られる含フッ素共重合体の有機溶媒への溶解性が著しく低下するとともに、透明性、基材への密着性が低下する。
また、構造単位(b)の割合が10モル%未満では、有機溶媒への溶解性に劣り、70モル%を越えると本願共重合体の特徴である、透明性、低反射率の光学特性が悪化する。
構造単位(c)の割合が10モル%未満では、本願が意図するところの光学的にフッ素含有材料の特徴である、低屈折率の発現が困難であり、70モル%を超えると得られる含フッ素共重合体の有機溶媒への溶解性が著しく低下するとともに、透明性、基材への密着性が低下する。
構造単位(d)の割合が10モル%を越えると、又は構造単位(d−1)を−(OSiR1618−の量に換算して10モル%を超えると、含フッ素共重合体の透明性に劣り、コート材として使用する際に塗布時にハジキ等を発生し易くなる。
さらにまた、構造単位(e)の割合が10モル%を越えると、粘着性が出て取り扱いが困難なものとなり、コート材等で使用する場合には耐湿性の低下を伴う。
一般式(1)のRにおいて、フロロアルキル基としては、例えば、トリフロロメチル基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基、パーフロロヘキシル基、パーフロロシクロヘキシル基などの炭素数1〜6のフロロアルキル基が挙げられ、Rにおいて、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、フロロアルキル基としてはRと同様のものが挙げられる。
一般式(2)のRにおいて、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基などの炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。Rにおいて、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基などの炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
一般式(3)のRにおいて、フロロアルキル基としては、例えば、トリフロロメチル基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基、パーフルオロターシャリーブチル基、パーフロロヘキシル基、パーフロロシクロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基などの炭素数1〜10のフロロアルキル基が挙げられる。
一般式(4)のR及びR10において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフロロメチル基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基などの炭素数1〜4のフロロアルキル基などが挙げられ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(5)のR11〜R14において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。R15〜R18において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
一般式(6)のR19において、乳化作用を有する基としては、疎水性基及び親水性基の双方を有し、且つ親水性基がオポリチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリエーテル構造を有する基が好ましい。
このような乳化作用を有する基としては下記一般式(7)で表される基を挙げることができる。
Figure 2005264064
(式中、nは1〜20の数、mは0〜4の数、uは3〜50の数を示す)
本発明において、構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(c)及び構造単位(d)はそれぞれ2種以上であってもよい。
本発明のフッ素系共重合体1aは、構造単位(a)、構造単位(b)及び構造単位(c)がランダムに結合してなるブロックと、構造単位(d)からなるブロックとからなる。
本発明のフッ素系共重合体1bは、構造単位(a)、構造単位(b)及び構造単位(c)がランダムに結合してなるブロックと、構造単位(d−1)からなるブロックとからなる。
本発明のフッ素系共重合体2aは、構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(c)及び構造単位(e)がランダムに結合してなるブロックと、構造単位(d)からなるブロックとからなる。
本発明のフッ素系共重合体2bは構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(c)及び構造単位(e)がランダムに結合してなるブロックと、構造単位(d−1)からなるブロックとからなる。
含フッ素オレフィン単量体に由来する構造単位(a)、アルキルビニルエーテル単量体に由来する構造単位(b)に、フロロアルキルビニルエーテル単量体に由来する構造単位(c)を共重合させることにより、低屈折率ポリマーを得ることができることを見出した。
さらに、構造単位(d)のシリコン成分及び構造単位(e)の界面活性剤成分を導入することにより、得られるフッ素系共重合体から形成される硬化膜の耐擦傷性を向上させることができたのである。
本発明のフッ素系共重合体1a、1b、2a及び2bは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として測定し、ポリスチレン換算値として求められた数平均分子量が5000〜500000、好ましくは10000〜3000000、更に好ましくは10000〜100000である。数分子量が前記範囲よりも小さいと、得られる含フッ素共重合体の機械的強度が低下し、また前記範囲よりも大きいと、溶液粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる。
本発明のフッ素系共重合体1a、1b、2a及び2bのフッ素含量は30重量%以上、好ましくは40〜65重量%である。なお、フッ素含量はフッ素原子の重量を、アリザリンコンプレクソン法で測定したものである。
本発明のフッ素系共重合体1a及び1bは、(a)フッ素原子を含有するオレフィン単量体(以下、単に「(a)成分」ともいう。)、(b)アルキルビニルエーテル単量体(以下、単に「(b)成分」ともいう。)、(c)フルオロアルキルビニルエーテル単量体(以下、単に「(c)成分」ともいう。)、及び(d)又は(d−1)アゾ基含有ポリシロキサン化合物(以下、単に「(d)成分又は(d−1)成分」ともいう。)を、フッ素系共重合体2a及び2bではさらに(e)反応性乳化剤(以下、単に「(e)成分」ともいう)を共重合することにより製造することができる。
なお、(d−1)成分は(d)成分の一態様であり、本願明細書において、(d−1)成分の説明は、特にことわらない限り、(d)成分の説明に含まれるものとする。
フッ素系共重合体の製造に使用する(a)成分としては、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結合基と、少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙げることができ、具体的には、例えばテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロロプロピレン等のフロロオレフィン類;一般式
CF=CF−O−R
(式中、Rは前記と同様である)で表されるアルキルパーフロロビニルエーテル若しくはアルコキシアルキルパーフロロビニルエーテル類;パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類などを挙げることができる。これらのフッ素原子を含有する単量体は単独でも2種以上の併用であってもよい。特に、フッ素含有単量体として、ヘキサフロロプロピレンとパーフロロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)が好ましく、更にはこれらを組み合わせて使用することが好ましい。
(b)成分の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類若しくはシクロアルキルビニルエーテル類酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体化合物等を挙げることができる。
(c)成分の具体例としては、以下の構造式を有するものが挙げられる。
Figure 2005264064
(式中、R20は水素原子またはメチル基であり、xは0〜2の数を表す。)
更には上記単量体の他に各種官能基を含有する単量体を共重合することにより官能基を有する含フッ素共重合体を得ることができる。共重合される単量体の官能基としては、特に水酸基、エポキシ基が好ましい。水酸基を含有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;アリルアルコール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができる。またエポキシ基を含有する単量体としては、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、クロトン酸グリシジルエステル、マレイン酸メチルグリシジルエステル等を挙げることができる。これらの他の単量体は、単独でも2種以上の併用であってもよい。
前記共重合可能な他の単量体のうち、本発明の含フッ素共重合体の重合反応における収率を高める点から、アルキルビニルエーテル類、シクロアルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類が好適に使用される。特に含フッ素共重合体中に共重合されるフッ素含量を高める点で、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の低分子量単量体が好ましい。
さらに、硬化性樹脂組成物の硬化後の塗膜の高硬度化、低屈折率化のためには、イソプロピルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ピバリン酸ビニル等の分岐状単量体の使用が有効である。
本発明の含フッ素共重合体を構成する(d)成分又は(d−1)成分であるアゾ基含有ポリシロキサン化合物は−N=N−で示される熱解裂容易なアゾ基を含有し、且つ前記一般式(4)又は一般式(5)で表されるポリシロキサンセグメントを有する化合物であり、例えば特開平6−93100号公報に記載の製造法により製造することができるものである。このような化合物としては、下記一般式(8)
Figure 2005264064
(式中、R11〜R14、R15〜R18、p、q、s、t及びyは前記一般式(5)と同様であり、zは1〜20の数である。)
で表される化合物を挙げることができる。
本発明において、一般式(8)で表される化合物の具体例としては、下記一般式(9)
Figure 2005264064
(式中、y及びzは前記一般式(8)と同様である。)
で表される化合物が好ましい。
(e)成分としてはノニオン性反応性乳化剤を挙げることができる。反応性乳化剤を共重合させることにより、本発明のフッ素系共重合体をコーティング材料として使用する際の塗布性を大幅に向上させることができる。これらノニオン性反応性乳化剤としては例えば、下記一般式(10)
Figure 2005264064
(式中、n、m及びuは一般式(7)と同様である)
で示される化合物を挙げることができる。
本発明における(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分の好ましい組み合わせは、具体的には、例えば
フロロオレフィン/アルキルビニルエーテル/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)
/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位
等が挙げられる。
これらの組み合わせを光学的コート材料として用いる際には、塗布性の点から、さらにノニオン性反応性乳化剤((e)成分)を共重合させることが好ましい。具体的には、例えば、
フロロオレフィン/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤、
フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤
等を挙げることができる。
本発明のフッ素系共重合体1a、1b、2a及び2bを製造する重合様式としては、ラジカル重合開始剤の存在下、乳化、懸濁、塊状又は溶液重合法のいずれでもよく、回分式、半連続式又は連続式の操作等適宜選択できる。なお、(d)成分のアゾ基含有ポリシロキサンはそれ自体が熱ラジカル発生剤であり、特定フッ素オレフィン系重合体の重合開始剤として使用できるが、他のラジカル開始剤も併用することもできる。(a)成分〜(d)成分及び必要に応じて(e)成分の使用割合は、目的とする共重合体の組成に応じて調整すればよい。従って、通常、(a)成分20〜70モル%、(b)成分10〜70モル%、(c)成分10〜70モル%、(d)成分0.1〜10モル%、必要に応じて(e)成分0.1〜5モル%の割合で重合する。
(d)成分と併用することができるラジカル重合開始剤としては、例えば、(1)アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;(2)メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;(3)過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;(4)ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;(5)tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類;(6)アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物類;(7)過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;その他を挙げることができる。
また、前記併用することができるラジカル重合開始剤としては、例えばアセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;パーフロロエチルアイオダイド、パーフロロプロピルアイオダイド、パーフロロブチルアイオダイド、(パーフロロブチル)エチルアイオダイド、パーフロロヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロヘプチルアイオダイド、パーフロロクチルアイオダイド、2−(パーフロロクチル)エチルアイオダイド、パーフロロデシルアイオダイド、2−(パーフロロデシル)エチルアイオダイド、ヘプタフロロ−2−ヨードプロパン、パーフロロ−3−メチルブチルアイオダイド、パーフロロ−5−メチルヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロ−5−メチルヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロ−7−メチルオクチルアイオダイド、2−(パーフロロ−7−メチルオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロ−9−メチルデシルアイオダイド、2−(パーフロロ−9−メチルデシル)エチルアイオダイド、2,2,3,3−テトラフロロプロピルアイオダイド、1H,1H,5H−オクタフロロペンチルアイオダイド、1H,1H,7H−ドデカフロロヘプチルアイオダイド、テトラフロロ1,2−ジヨードエタン、オクタフロロ1,4−ジヨードブタン、ドデカフロロ1,6−ジヨードヘキサン等のヨウ素含有フッ素化合物を挙げることができる。前記ヨウ素含有フッ素化合物は単独、若しくは前記有機過酸化物、アゾ系化合物あるいは過硫酸塩と併用して用いることができる。
また前記ラジカル重合開始剤には、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等の無機還元剤、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等の有機還元剤を併用することができる。
本発明のフッ素系共重合体の重合は、溶媒を用いた溶媒系で反応させるのが好ましく、好ましい有機溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、これらに必要に応じてアルコール類、脂肪族炭化水素類等を混合使用することもできる。
(a)〜(e)成分、重合開始剤、溶媒、その他添加剤等は、通常一括して仕込み、反応させる。重合開始剤の使用割合は、通常総モノマー量の0.1〜5モル%、反応温度は50〜90℃、反応時間は、10〜30時間である。
本発明のフッ素系共重合体は、前記重合反応を行った反応溶液のまま、後述する硬化性樹脂組成物に使用することができるが、重合反応後の後処理を行うことについて特に制約はない。前記後処理としては、例えば重合反応溶液を、アルコール等の含フッ素共重合体の不溶化溶媒に滴加し、含フッ素共重合体を凝固させることによる精製方法に代表される、一般的な再沈処理を行うことができ、次いで、これを溶媒に再度溶解して含フッ素共重合体の溶液を調製することができる。また重合終了後の重合反応溶液から残留モノマーを除去し、そのまま含フッ素共重合体の溶液として使用することもできる。
本発明の第2の態様は、
下記成分(1)〜(4)を含有する硬化性樹脂組成物を提供する。
(1)上記フッ素共重合体1a、1b、2a、2bのいずれか1種
(2)硬化性化合物
(3)硬化触媒
(4)溶媒
本発明の硬化性樹脂組成物は、実際上、硬化性を有することが必要であり、フッ素系共重合体それ自体が十分な硬化性を有しない場合には、硬化性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができ、また硬化特性を改善することができる。そして、硬化性化合物が用いられる場合に、当該硬化性化合物とフッ素系共重合体との混合物を硬化性樹脂組成物として用いること、又はフッ素系共重合体と硬化性化合物との全部を反応させた反応生成物若しくはそれらの一部のみを反応させた状態のものを硬化性樹脂組成物として用いることができる。
(2)硬化性化合物
硬化性化合物としては、例えば、各種アミノ化合物や、ペンタエリスリトール、ポリフェノール、グリコール等の各種水酸基含有化合物、その他を挙げることができる。
硬化性化合物として用いられるアミノ化合物は、フッ素系共重合体中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。硬化性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
フッ素系共重合体100重量部に対する硬化性化合物の使用量は、好ましくは70重量部以下であり、さらに好ましくは3〜50重量部、特に好ましくは5〜30重量部である。硬化性化合物の使用量が過少であると、得られる硬化性樹脂組成物により形成される薄膜の耐久性が不十分となる場合があり、70重量部を超えると、フッ素系共重合体との反応においてゲル化を回避することが困難であり、しかも硬化膜が低屈折率のものとならず、硬化物が脆いものとなる場合がある。
フッ素系共重合体と硬化性化合物との反応は、例えば、フッ素系共重合体を溶解させた有機溶媒の溶液に硬化性化合物を添加し、適宜の時間加熱、攪拌等により反応系を均一化させながら行えばよい。この反応のための加熱温度は、好ましくは30〜150℃の範囲であり、さらに好ましくは50〜120℃の範囲である。この加熱温度が30℃未満では、反応の進行が極めて遅く、150℃を超えると、目的とする反応の他に、硬化性化合物中のメチロール基やアルコキシ化メチル基同士の反応による橋掛け反応が生じてゲルが生成するので、好ましくない。反応の進行は、メチロール基又はアルコキシ化メチル基を赤外分光分析等により定量する方法、あるいは溶解している重合体を再沈殿法によって回収して、その増加量を測定することにより、定量的な確認を行うことができる。
また、フッ素系共重合体と硬化性化合物との反応には、有機溶媒、例えば、フッ素系共重合体の製造において用いられる有機溶媒と同じもの用いることが好ましい。本発明においては、このようにして得られる、フッ素系共重合体と硬化性化合物による反応溶液を、そのまま硬化性樹脂組成物の溶液として用いることもできるし、必要に応じて各種の添加剤を配合した上で使用することもできる。
(3)硬化触媒
本発明で用いられる硬化触媒としては、例えば熱酸発生剤を挙げることができる。
熱酸発生剤は、当該液状樹脂組成物の塗膜等を加熱して硬化させる場合に、硬化反応を促進させることができる物質であり、またその加熱条件を、より穏和なものに改善することができる物質である。この熱酸発生剤としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等のための硬化剤として使用されている前述の各種酸類やその塩類を利用することができる。
具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中のフッ素系共重合体100重量部に対して、好ましくは0〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。この割合が過大となると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が劣るものとなるので好ましくない。
(4)溶媒
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶媒を必須の成分として含有するものであるが、当該硬化性樹脂組成物の溶媒は、通常、溶媒の製造に用いた溶媒、あるいは溶媒と硬化性化合物との反応に用いた溶媒による溶液として得られ、従ってそのままで溶媒を含有するものである。
また、硬化性樹脂組成物の塗布性等を改善すること、その他の目的で、別途溶媒を添加し、配合することができる。本発明の硬化性樹脂組成物に含有される好ましい溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類を挙げることができる。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物の溶液には、溶媒を溶解し得ない溶媒、例えば、水、アルコール類、エーテル類等の貧溶媒を、溶媒が析出しない範囲で併用することができる。これにより、当該溶媒の溶液が、良好な保存性と好ましい塗布性を有するものとなる場合がある。このような貧溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、ノルマルブタノール等を挙げることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、当該硬化性樹脂組成物の塗布性及び硬化後の薄膜の物性の改善や、塗膜に対する感光性の付与等を目的として、例えば、後述する水酸基を有する種々のポリマーやモノマー、顔料又は染料等の着色剤、老化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤、熱酸発生剤、感光性酸発生剤、界面活性剤、重合禁止剤、溶剤等の各種の添加剤を含有させることができる。特に、形成される硬化膜の硬度及び耐久性の改善を目的として、熱酸発生剤又は光酸発生剤を添加することが好ましく、特に、硬化性樹脂組成物の硬化後の透明性を低下させず、かつその溶液に均一に溶解するものを選択して用いるのが好ましい。
(i) 水酸基を有するポリマー
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有共重合性単量体を共重合して得られるポリマー、ノボラック樹脂又はレゾール樹脂として公知のフェノール骨格を有する樹脂等を挙げることができる。
(ii) 顔料又は染料等の着色剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる着色剤としては、例えば、(1)アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウム等の体質顔料;(2)亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラック等の無機顔料;(3)ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料;(4)マゼンタ、ローダミン等の塩基性染料;(5)ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジ等の直接染料;(6)ローセリン、メタニルイエロー等の酸性染料;その他を挙げることができる。
(iii) 老化防止剤、紫外線吸収剤等の安定化剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる老化防止剤、紫外線吸収剤としては、公知のものを使用することができる。老化防止剤の具体例としては、例えば、ジ−tert−ブチルフェノール、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類、フェノチアジン、メルカプトベンズイミダゾール等を挙げることができる。
また、紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、フェニルサリシレートに代表されるサリチル酸系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の各種プラスチックの添加剤として使用される紫外線吸収剤を挙げることができる。
(v) 感光性酸発生剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる感光性酸発生剤は、当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)下記一般式(11)で示されるスルホンイミド化合物類;(5)下記一般式(12)で示されるジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができる。
Figure 2005264064
(式中、Xは、アルキレン基、アリレーン基、アルコキシレン基等の2価の基を示し、R20は、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。)
Figure 2005264064
(式中、R21及びR22は、互いに同一でも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。)
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中のフッ素系共重合体100重量部に対して、好ましくは0〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。この割合が過大であると、硬化膜の強度が劣ったものとなり、透明性も低下するために好ましくない。
(vi) 界面活性剤
本発明の硬化性樹脂組成物には、当該硬化性樹脂組成物の塗布性を改善する目的で界面活性剤を配合することができる。この界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、具体的には、例えば、各種アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を利用することができるが、特に、硬化膜が優れた強度を有し、しかも良好な光学特性を有するものとするために、カチオン系界面活性剤を用いることが好ましい。さらには、第4級アンモニウム塩であることが好ましく、その中でも第4級ポリエーテルアンモニウム塩を用いると、埃拭き取り性がさらに改善される点で特に好ましい。第4級ポリエーテルアンモニウム塩であるカチオン系界面活性剤としては、旭電化工業社製アデカコールCC−15、CC−36、CC−42等が挙げられる。界面活性剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは5重量部以下である。
(vii) 重合禁止剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる熱重合禁止剤としては、例えば、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン等を挙げることができる。この熱重合禁止剤は、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは5重量部以下で用いられる。
(viii) シリカを主成分とする粒子
本発明の硬化性樹脂組成物には、当該硬化性樹脂組成物の硬化物の耐擦傷性、特にスチールウール耐性を改善する目的でシリカを主成分とする粒子を配合することができる。このシリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、球状に限らず、不定形の粒子であっても良い。動的光散乱法で求めた数平均粒子径が1〜100nm、固形分が10〜40重量%、pHが2.0〜6.5のコロイダルシリカが好ましい。
また、シリカを主成分とする粒子の分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メエチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類およびケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、または2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカを主成分とする粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスO(動的光散乱法で求めた数平均粒子径7nm、固形分20重量%、pH2.7)、スノーテックスOL(動的光散乱法で求めた数平均粒子径:15nm、固形分:20重量%、pH2.5)等を挙げることができる。
また、コロイダルシリカ表面に化学修飾等の表面処理を行ったものを使用することができ、例えば分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1―トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1―トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。
シリカを主成分とする粒子の使用割合は、硬化性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは10〜100重量部であり、さらに好ましくは10〜60部である。
本発明の第三の態様は、上記本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物よりなる反射防止膜を提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶液状で各種の基材に塗布することができ、得られた塗膜を硬化させることにより、例えば、基材が透明基材の場合には、優れた反射防止膜が形成される。
反射防止膜の具体的構造は、通常、基材、高屈折率膜、及び本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物を低屈折率膜として積層したものである。尚、基材と高屈折率膜、又は高屈折率膜と低屈折率膜の間には、他の層を介在させてもよく、例えば、基材と高屈折率膜の間には、ハードコート層や反射防止層を設けることができる。
透明基材の具体例としては、例えば、無機ガラス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチリル樹脂、アリレート樹脂、ノルボルナン樹脂等の各種透明プラスチック板、フィルム等を挙げることができる。塗布法としては、公知の塗布方法を使用することができ、特に、ディップ法、コーター法、印刷法等各種の方法を適用することができる。
塗布により形成される硬化性樹脂組成物の塗膜は、硬化させて優れた光学特性と耐久性を有する硬化膜を形成させるために、特に、加熱による熱履歴を与えることが好ましい。もちろん、常温で放置した場合にも、時間の経過と共に硬化反応が進み、目的とする硬化膜が形成されるが、実際上は、加熱して硬化させることが、所要時間を短縮する上で効果的である。また、熱酸発生剤を硬化触媒として添加しておくことにより、さらに硬化反応を促進させることができる。この硬化触媒としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等のための硬化剤として使用されている前述の各種酸類やその塩類を利用することができ、特に、アンモニウム塩を好ましく用いることができる。硬化反応のための加熱条件は適宜選択することができるが、加熱温度は、塗布の対象である基材の耐熱限界温度以下であることが必要である。
以下、本発明の実施の形態を実施例により、さらに具体的に説明する。但し、本発明は、その要旨を越えない限りこれらの実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例中の部及び%は特にことわらない限り、それぞれ重量部及び重量%を示す。
実施例1
<フッ素系共重合体の製造>
内容積2.0Lの電磁撹拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル300g、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)(FPVE)25.2g、1−ビニロキシ-3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフロロデカン(VHDF)77.6g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)14.0g、ノニオン性反応性乳化剤としてアデカリアソープNE−30(旭電化工業株式会社製)30.0g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとしてVPS−1001(和光純薬工業株式会社製)4.5g及び過酸化ラウロイル(LPO)0.75gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフロロプロピレン(HFP)33.2gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は4.1kgf/cmを示した。その後、70℃で20時間撹拌下に反応を継続し、圧力が1.5kgf/cmに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い140gの含フッ素共重合体を得た。得られたポリマー重量と仕込み原料の重量比からポリマーの重合転化率を求めた。結果を表1に示す。
得られたポリマーをテトラヒドロフラン(THF)に0.5%溶液となるよう調整し、GPC測定を行った。得られたポリマーのポリスチレン換算数平均分子量は20000であった。さらに得られた含フッ素共重合体を150℃の熱プレスを用いて厚み200μmの樹脂シートに成形した後、25℃における屈折率をアッベ屈折率計で測定した。また、H−NMR、13C−NMRの両NMR分析結果から含フッ素共重合体を構成する各単量体成分の割合(モル比)を決定した。結果を表2に示す。
実施例2、比較例1−3
各単量体の種類及び仕込み量を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にしてフッ素系共重合体を合成し、重合転化率を求めた。結果を表1に示す。また、実施例1と同様にして得られたポリマーのポリスチレン換算数平均分子量、屈折率及び各単量体成分の割合を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2005264064
Figure 2005264064
表中の略号は、下記内容を示す。
(a)成分
HFP : ヘキサフロロプロピレン
FPVE : パーフロロ(プロピルビニルエーテル)
(b)成分
EVE : エチルビニルエーテル
HEVE : ヒドロキシエチルビニルエーテル
(c)成分
VHDF : 1−ビニロキシ-3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフロロデカン
(d)成分
VPS−1001:下記一般式(9)で表され、数平均分子量が7〜9万、ポリシロキサン部分の分子量が約10,000のアゾ基含有ポリジメチルシロキサン(和光純薬工業株式会社製)
Figure 2005264064
(e)成分
NE−30:下記一般式 で表され、nが9、mが1、uが30、zが7〜9であるノニオン性反応性乳化剤NE−30(旭電化工業株式会社製)
Figure 2005264064
以下、本発明の液状樹脂組成物の調製例を実施例3〜4に、比較調製例を比較例4〜6に示す。
実施例3
液状樹脂組成物1の調製
実施例1で得られたフッ素系共重合体10g、熱硬化性化合物のメトキシ化メチルメラミン「サイメル303」(三井サイテック株式会社製)3gと硬化触媒である、「キャタリスト4050」(三井サイテック(株)製、芳香族スルホン酸化合物 有効成分濃度32%)1.25gを溶剤のメチルエチルケトン320g中に溶解させることにより、液状樹脂組成物1を得た。この液状樹脂組成物中の固形分濃度は4.0重量%であった。
実施例4
液状樹脂組成物2の調製
実施例2で得られたフッ素系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、液状樹脂組成物2を得た。この液状樹脂組成物中の固形分濃度は4.0重量%であった。
比較例4
液状樹脂組成物3の調製
比較例3で得られたフッ素系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、液状樹脂組成物3を得た。この液状樹脂組成物中の固形分濃度は4.0重量%であった。
比較例5
液状樹脂組成物4の調製
硬化触媒である、「キャタリスト4050」を添加せず、溶剤のメチルエチルケトンを310g使用した以外は、実施例1と同様にして、液状樹脂組成物4を得た。この液状樹脂組成物中の固形分濃度は4.0重量%であった。
比較例6
液状樹脂組成物5の調製
熱硬化性化合物のメトキシ化メチルメラミン「サイメル303」を添加せず、溶剤のメチルエチルケトンを250g使用した以外は、実施例1と同様にして、液状樹脂組成物5を得た。この液状樹脂組成物中の固形分濃度は4.0重量%であった。
液状樹脂組成物1〜5の固形分組成を表3に示す。
以下、本発明の硬化膜の製造例を実施例5〜6に、比較製造例を比較例7〜9に示す。実施例5〜6、比較例7〜9
実施例3〜4、比較調製例4〜6で調製した液状樹脂組成物1〜5をそれぞれワイヤーバーコータ(#3)を用いて、片面易接着ポリエチレンテレフタレートフィルムA4100(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)の易接着処理面、又は未処理面に塗工した後、オーブン中140℃で2分間加熱することにより、膜厚が0.1μmの硬化膜層を形成した。
<硬化膜の特性評価>
実施例5〜6、比較例7〜9で得られた硬化膜を以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
(1)反射率
得られた反射防止用積層体の反射防止性を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定した。
(2)耐擦傷性テスト(スチールウール耐性テスト)
硬化膜のスチールウール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重200gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
Figure 2005264064
表3の結果から、実施例に係る硬化性樹脂組成物によれば、耐擦傷性(スチールウール耐性)に優れ、低い屈折率を有する硬化膜が得られることが明らかである。これに対し、成分(c)を含まないフッ素系共重合体を用いた比較例4に係る硬化性樹脂組成物からなる硬化膜では、耐擦傷性は良好であるが、反射率が大きくなることがわかる。硬化触媒又は硬化性化合物を使用しない比較例5及び6に係る硬化性樹脂組成物からなる硬化膜では、反射率は低いものの、耐擦傷性が劣るものとなることがわかる。
本発明のフッ素系共重合体は、良好な硬化性を示す本発明の硬化性樹脂組成物の原料として有用である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、良好な熱硬化性を示し、また、本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化物は、低い屈折率を有し、耐擦傷性に優れる。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、特に、反射防止膜、光ファイバー鞘材等の光学材料の形成に有利に用いることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、フッ素含量が高いことを利用して、耐候性が要求される基材に対する塗料用材料、耐候フィルム用材料、コーティング用材料、その他として好適に使用することができる。しかも、当該硬化膜は、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高く、良好な反射防止効果を付与することから、反射防止膜として極めて有用であり、各種の表示装置に適用することにより、その視認性を向上させることができる。
反射防止膜の他、本発明の硬化性樹脂組成物からなる硬化膜は、クラッド材としても有用である。

Claims (6)

  1. (a)下記一般式(1)
    Figure 2005264064
    [式中、Rはフッ素原子、フロロアルキル基又は−ORで表される基(Rはアルキル基又はフロロアルキル基を示す)を示す]
    で表される構造単位20〜70モル%、
    (b)下記一般式(2)
    Figure 2005264064
    [式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rはアルキル基、−O(CHで表される基又は−OCORで表される基(Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はグリシジル基を示し、xは0〜2の数を示す)を示す]
    で表される構造単位10〜70モル%、
    (c)下記一般式(3)
    Figure 2005264064
    [式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは−O(CHで表される基(Rはフロロアルキル基を示し、xは0〜2の数を示す)を示す]
    で表される構造単位10〜70モル%、及び
    (d)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記一般式(4)
    Figure 2005264064
    [式中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
    で表される構造単位0.1〜10モル%からなり;
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であるフッ素系共重合体。
  2. 前記(d)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する一般式(4)で表される構造単位が、(d−1)下記一般式(5)
    Figure 2005264064
    [式中、R11〜R14は同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基又はシアノ基を示し、R15〜R18は同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を示し、p及びqはそれぞれ1〜6の数を示し、s及びtはそれぞれ0〜6の数を示し、yは1〜200の数を示す]
    で表される構造単位であり、−(OSiR1618−の量に換算して0.1〜10モル%を含む請求項1に記載のフッ素系共重合体。
  3. さらに、(e)下記一般式(6)
    Figure 2005264064
    [式中、R19は乳化作用を有する基を示す]
    で表される構造単位0.1〜5モル%を含む請求項1又は2に記載のフッ素系共重合体。
  4. 下記成分(1)〜(4)を含有する硬化性樹脂組成物。
    (1)請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ素系共重合体
    (2)硬化性化合物
    (3)硬化触媒
    (4)溶媒
  5. 請求項4記載の硬化性樹脂組成物の硬化物よりなる硬化膜。
  6. 請求項5記載の硬化膜を含む反射防止膜。
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