JPH11189621A - フッ素系共重合体およびその製造方法 - Google Patents

フッ素系共重合体およびその製造方法

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JPH11189621A
JPH11189621A JP36739197A JP36739197A JPH11189621A JP H11189621 A JPH11189621 A JP H11189621A JP 36739197 A JP36739197 A JP 36739197A JP 36739197 A JP36739197 A JP 36739197A JP H11189621 A JPH11189621 A JP H11189621A
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裕一 橋口
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昭 西川
Fusaka Watanabe
房香 渡邉
Hozumi Sato
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性、低反射率特性に優れた塗膜を形成す
ることができる反射防止膜形成に優れたフッ素系共重合
体およびその製造方法を得る。 【構成】 フッ素含有オレフィン化合物、アゾ基含有ポ
リシロキサン化合物およびこれらと共重合可能な他の単
量体化合物ならびに必要に応じて反応性乳化剤を反応さ
せて得られるフッ素系共重合体およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性、低反射率特
性に優れた塗膜を形成することができる反射防止膜形成
に優れたフッ素系共重合体およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】今日のマルチメディアの発達は各種表示
装置(ディスプレイ装置)の発展につながり、広く普及
している。このような表示装置のうち、携帯用を中心に
屋外使用されるものでは、その視認性向上がますます重
要となってきている。更に大型表示装置においても、よ
り見易くすることが市場拡大の重要な要素となりつつあ
り、そのまま技術課題となっている。従来から表示装置
の視認性向上の1手段として、低屈折率材料から構成さ
れる反射防止膜によって基板を被覆することが行われて
きている。ここに、反射防止膜を形成する方法として
は、例えばフッ素化合物の薄膜を蒸着により形成する方
法が知られている。然るに、近年における液晶表示を中
心としたコストダウンのニーズに対応でき、且つ大型表
示装置に対しても反射防止膜を形成できるような技術が
必要となってきている。しかしながら、反射防止膜とし
て従来の蒸着法を使用する場合には、大型基板に対し効
率良く反射防止膜を形成することが困難であるし、且つ
コストも真空装置を必要とすることで下げることが困難
であった。このような事情に基づいて、屈折率の低いフ
ッ素系ポリマーを有機溶剤に溶解して液状の組成物を調
整し、これを基板表面に塗布することによって反射防止
膜を形成する方法が検討され、例えば特開昭61-40845号
報、特公平6-98703号報においては、基板表面にフッ素
化アルキルシランの塗布が提案され、特開平6-115023号
報には特定の構造を有する含フッ素重合体をコートする
方法が提案されている。また、特開昭56−28219
には、含フッ素重合体とオルガノシロキサン重合体を反
応させて得られるグラフト共重合体を得る方法が提案さ
れている。さらに、特開昭62−280225には、両
末端パーオキサイドあるいは、両末端I含有ポリシロキ
サンを用いてフッ素オレフィンを重合することによって
得られるポリフルオロオレフィンセグメントAとポリシ
ロキサンセグメントBとが連結部位を介して結合したA
BAトリブロック型のポリシロキサン−ポリフルオロオ
レフィンブロック共重合体が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フッ素系材料を反射防止膜とした場合には、透明性に欠
けていたり、基材との密着が十分ではなく、特に繰り返
し擦ることで反射防止膜層が剥がれてしまうという問題
を有している。また、これらの欠点を改良するため提案
された前記特開昭56−28219、特開昭62−28
0225に記載のグラフトあるいはブロック共重合体
は、反射防止膜とした場合、基材への塗布性が悪いため
十分な反射防止効果が得られないという問題があった。
本発明は以上のような状況に鑑みなされたものである。
本発明の目的は、透明性に優れ、且つ低屈折率で良好な
反射防止効果を発揮することができるとともに、耐擦傷
性に優れた反射防止膜を形成することができるフッ素系
共重合体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は (a)下記一般式1で表される構造単位(以下、「構造
単位(a)」という)20〜70モル%、一般式1 [式中、R1はフッ素原子、フロロアルキル基、−OR2
で表させる基(R2はアルキル基またはフロロアルキル
基を示す。)を示す] (b)下記一般式2で表される構造単位(以下、「構造
単位(b)」という)10〜70モル%および一般式2 [式中、R3は水素原子またはメチル基を、R4はアルキ
ル基、−(CH2)x−OR5で表される基(R5はアルキ
ル基、ヒドロキシアルキル基、グリシジル基を、xは0
または1の数を示す)、−OCOR5で表される基(R5
は前記と同様)、カルボキシル基またはアルコキシカル
ボニル基を示す] (c)下記一般式3で表されるアゾ基含有ポリシロキサ
ン化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位
(c)」という)0.1〜10モル%からなり、一般式
[式中、R6およびR7は、同一でも異なっても良く、水
素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール
基を示す]、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
で測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000
〜500,000であるフッ素系共重合体(以下、「フ
ッ素系共重合体1a」という)、構造単位(a)20〜
70モル%、構造単位(b)10〜70モル%および構
造単位、(d)下記一般式4で表される構造単位(以
下、「構造単位(d)」という)を−(OSiR15R1
7)y−の量に換算して0.1〜10モル%からなり、
一般式4 [式中、R10〜R13は水素原子、アルキル基または
シアノ基を示し、R14〜R17は水素原子またはアル
キル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の
数、yは1〜200の数を示す。]ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平
均分子量が5,000〜500,000であるフッ素系
共重合体(以下、「フッ素系共重合体1b」という)、
構造単位(a)20〜70モル%、構造単位(b)10
〜70モル%および構造単位(c)0.1〜10モル
%、および(e)下記一般式5で現れる構造単位(以
下、「構造単位(e)」という)0.1〜5モル%から
なり、一般式5 (式中、R8は乳化作用を有する基を示す)ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン
換算数平均分子量が5,000〜500,000である
フッ素系共重合体(以下、フッ素系共重合体2a)とい
う)、構造単位(a)20〜70モル%、構造単位
(b)10〜70モル%および構造単位(d)を−(O
SiR15R17)y−の量に換算して0.1〜10モル
%、および構造単位(e)0.1〜5モル%からなり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポ
リスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,0
00であるフッ素系共重合体(以下、「フッ素系共重合
体2b」)という)、ならびにこれらの製造方法を提供
するものである。
【0005】本発明のフッ素系共重合体1aは、構造単
位(a)20〜70モル%、好ましくは25〜60モル
%、さらに好ましくは30〜55モル%、構造単位
(b)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル
%、さらに好ましくは30〜60モル%、構造単位
(c)0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル
%、さらに好ましくは0.1〜3モル%からなる。本発
明のフッ素系共重合体1bは、構造単位(a)20〜7
0モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好まし
くは30〜55モル%、構造単位(b)10〜70モル
%、好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは3
0〜60モル%、構造単位(d)を−(OSiR15R1
7)y−の量に換算して0.1〜10モル%、好ましく
は0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.1〜3モル
%からなる。また、フッ素系共重合体2aは構造単位
(a)20〜70モル%、好ましくは25〜60モル
%、さらに好ましくは30〜55モル%、構造単位
(b)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル
%、さらに好ましくは30〜60モル%、構造単位
(c)0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル
%、さらに好ましくは0.1〜3モル%、構造単位
(e)0.1〜5モル%、好ましくは0.1〜3モル
%、さらに好ましくは0.5〜3モル%からなる。ま
た、フッ素系共重合体2bは構造単位(a)20〜70
モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好ましく
は30〜55モル%、構造単位(b)10〜70モル
%、好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは3
0〜60モル%、構造単位(d)を−(OSiR15R1
7)y−の量に換算して0.1〜10モル%、好ましく
は0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.1〜3モル
%、構造単位(e)0.1〜5モル%、好ましくは0.
1〜3モル%、さらに好ましくは0.5〜3モル%から
なる。フッ素系共重合体中1a、1b、2aおよび2b
において、構造単位(a)が20モル%未満では、得ら
れるフッ素系共重合体中のフッ素含量が40重量%以下
となり、本願が意図するところの光学的にフッ素含有材
料の特徴である、低屈折率の発現が困難となる。一方、
構造単位(a)が70モル%を越えると、得られる含フ
ッ素共重合体の有機溶剤への溶解性が著しく低下すると
ともに、透明性、基材への密着性が低下する。また、構
造単位(b)の割合が10モル%未満では、有機溶剤へ
の溶解性に劣り、70モル%を越えると本願共重合体の
特徴である、透明性、低反射率の光学特性が悪化する。
【0006】さらに、構造単位(c)の割合が10モル
%を越えると、または構造単位(d)を−(OSiR15
R17)y−の量に換算して10モル%を超えると、含フ
ッ素共重合体の透明性に劣り、コート材として使用する
際に塗布時にハジキ等を発生し易くなる。さらにまた、
構造単位(e)の割合が10モル%を越えると、粘着性
が出て取り扱いが困難なものとなり、コート材等で使用
する場合には耐湿性の低下を伴う。一般式1のR1にお
いて、フロロアルキル基としては、トリフロロメチル
基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パー
フロロブチル基、パーフロロヘキシル基、パーフロロシ
クロヘキシル基などの炭素数1〜6のフロロアルキル基
が挙げられ、R2においてアルキル基としてはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シ
クロヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が挙げ
られ、フロロアルキル基としてはR1と同様のものを挙
げられる。一般式2のR4においてアルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シ
クロヘキシル基、ラウリル基などの炭素数1〜12のア
ルキル基が、アルコキシカルボニル基としては、メトキ
シカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げら
れ、R5においてアルキル基としてはR4と同様のもの
を、ヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエ
チル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプ
ロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブ
チル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘ
キシル基が挙げられる。一般式3のR6〜R7において、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基
などの炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキ
ル基としてはトリフロロメチル基、パーフロロエチル
基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基などの
炭素数1〜4のフロロアルキル基などが、アリール基と
してはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基などが挙げ
られる。一般式4のR10〜R13において、アルキル基と
してはメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、
シクロヘキシル基などの炭素数1〜12のアルキル基
が、R14〜R17においてアルキル基としてはチル基、エ
チル基、プロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基が
挙げられる。一般式5のR8において、乳化作用を有す
る基としては、疎水性基および親水性基の双方を有しか
つ親水性基はオポリチレンオキサイド、ポリプロピレン
オキサイドなどのポリエーテル構造を有する基が好まし
い。
【0007】このような乳化作用を有する基としては下
記一般式6で表される基を挙げることができる。 一般式6 (式中、nは1〜20の数、mは0〜4の数、uは3〜
50の数を示す) 本発明において、構造単位(a)、構造単位(b)およ
び構造単位(c)はそれぞれ2種以上であってもよい。
また、本発明のフッ素系共重合体1aは、構造単位
(a)および構造単位(b)がランダムに結合してなる
ブロックと、構造単位(c)からなるブロックとからな
る。また、本発明のフッ素系共重合体1bは、構造単位
(a)および構造単位(b)がランダムに結合してなる
ブロックと、構造単位(d)からなるブロックとからな
る。本発明のフッ素系共重合体2aは構造単位(a)、
構造単位(b)および構造単位(e)がランダムに結合
してなるブロックと、構造単位(c)からなるブロック
とからなる。本発明のフッ素系共重合体2bは構造単位
(a)、構造単位(b)および構造単位(e)がランダ
ムに結合してなるブロックと、構造単位(d)からなる
ブロックとからなる。本発明のフッ素系共重合体1a、
1b、2aおよび2bは、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)で、テトラヒドロフラン(TH
F)を溶剤として測定し、ポリスチレン換算値として求
められた数平均分子量が5000〜500000、好ま
しくは10000〜3000000、更に好ましくは1
0000〜100000である。数分子量が前記範囲よ
りも小さいと得られる含フッ素共重合体の機械的強度が
低下し、また前記範囲よりも大きいと溶液粘度が高くな
り、薄膜コーティングが困難となる。また本発明のフッ
素系共重合体1a、1b、2aおよび2bのフッ素含量
は30重量%以上、好ましくは40〜60重量%であ
る。なお、フッ素含量はフッ素原子の重量を、アリザリ
ンコンプレクソン法で測定したものである。本発明のフ
ッ素系共重合体1aおよび1bは(a)フッ素原子を含
有するオレフィン単量体(以下、単に「(a)成分」と
もいう。)、(b)ビニルエーテル単量体(以下、単に
「(b)成分」ともいう。)および(c)成分であるア
ゾ基含有ポリシロキサン化合物(以下、単に「(c)成
分」ともいう)を、フッ素系共重合体2aおよび2bで
はさらに(e)反応性乳化剤(以下、単に「(e)成
分」ともいう)を共重合することにより製造することが
できる。
【0008】フッ素系共重合体の製造に使用する(a)
成分としては、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結
合基と少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙
げることができ、具体的には、例えばテトラフロロエチ
レン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロ
ロプロピレン等のフロロオレフィン類;一般式 CF2
=CF−O−R2(R2は前記と同様である)で表される
アルキルパーフロロビニルエーテルもしくはアルコキシ
アルキルパーフロロビニルエーテル類;パーフロロ(メ
チルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエー
テル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パー
フロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブ
チルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルキルビニル
エーテル)類;パーフロロ(プロポキシプロピルビニル
エーテル)等のパーフロロ(アルコキシアルキルビニル
エーテル)類などを挙げることができる。これらのフッ
素原子を含有する単量体は単独でも2種以上の併用であ
っても良い。特に、フッ素含有単量体として、ヘキサフ
ロロプロピレンとパーフロロアルキルパーフロロビニル
エーテル又はパーフロロアルコキシアルキルパーフロロ
ビニルエーテルが好ましく、更にはこれらを組み合わせ
て使用することが好ましい。(b)成分の具体例として
は、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n
−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテ
ル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエー
テル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチル
ビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オ
クチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、
2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビ
ニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシク
ロアルキルビニルエーテル類 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニ
ル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル
類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ
ル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)
アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレー
ト等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリ
ル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
等のカルボキシル基含有単量体化合物等を挙げることが
できる。
【0009】更には上記単量体の他に各種官能基を含有
する単量体を共重合することにより官能基を有する含フ
ッ素共重合体を得ることがができる。特に水酸基、エポ
キシ基が好ましい。水酸基を含有する単量体として、例
えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロ
キシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピル
ビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロ
キシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル
ビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;2−
ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチ
ルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等
の水酸基含有アリルエーテル類;アリルアルコール;ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル等を挙げる
ことができる。またエポキシ基を含有する単量体として
は、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジ
ルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、クロトン
酸グリシジルエステル、マレイン酸メチルグリシジルエ
ステル等を挙げることができる。これらの他の単量体
は、単独でも2種以上の併用であってもよい。前記共重
合可能な他の単量体のうち、本発明の含フッ素共重合体
の重合反応における収率を高める点から、アルキルビニ
ルエーテル類、シクロアルキルビニルエーテル類、カル
ボン酸ビニルエステル類が好適に使用される。特に含フ
ッ素共重合体中に共重合されるフッ素含量を高める点
で、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニル
エーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル等の低分子量単量体が好ましい。
【0010】さらに、硬化性樹脂組成物の硬化後の塗膜
の高硬度化、低屈折率化のためには、イソプロピルビニ
ルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ピバリ
ン酸ビニル等の分岐状単量体の使用が有効である。本発
明の含フッ素共重合体を構成する(c)成分であるアゾ
基含有ポリシロキサン化合物は−N=N−で示される熱
解裂容易なアゾ基を含有し、且つ前記一般式3で表され
るポリシロキサンセグメントを有する化合物であり、例
えば特開平6-93100号公報に記載の製造法により製造す
ることができるものである。このような化合物として
は、下記一般式7で表される化合物を挙げることができ
る。 一般式7 [式中、R10〜R13、R14〜R17、p、q、
s、tおよびyは前記一般式4と同様であり、zは1〜
20の数である。] 本発明において、一般式7で表される化合物としては、
下記一般式8で表される化合物が好ましい。 一般式8 さらに(e)成分としてはノニオン性反応性乳化剤を挙
げることができる。反応性乳化剤を共重合させることに
より、本願発明のフッ素系共重合体をコーティング材料
として使用する際の塗布性を大幅に向上させることがで
きる。これらノニオン性反応性乳化剤としては例えば、
下記一般式9で示される化合物を挙げることができる。 一般式9 (式中、n、mおよびuは一般式6と同様である)
【0011】本発明における(a)成分、(b)成分、
(c)成分の好ましい組み合わせは、具体的に、例えば
フロロオレフィン/アルキルビニルエーテル/ポリジメ
チルシロキサン単位、フロロオレフィン/パーフロロ
(アルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル
/ポリジメチルシロキサン単位、フロロオレフィン/パ
ーフロロ(アルコキシアルキル)ビニルエーテル/アル
キルビニルエーテルル/ポリジメチルシロキサン単位、
フロロオレフィン/(パーフロロアルキル)ビニルエー
テル/アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサ
ン単位、フロロオレフィン/(パーフロロアルコキシア
ルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/ポ
リジメチルシロキサン単位であり、これらを光学的コー
ト材料として用いる際には、塗布性からノニオン性反応
性乳化剤を共重合させることが好ましい。フロロオレフ
ィン/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキ
シ基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位
/ノニオン性反応性乳化剤、フロロオレフィン/パーフ
ロロ(アルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエー
テル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/
ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化
剤、フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキ
ル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/水酸基
あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/ポリジメチル
シロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤、フロロオレ
フィン/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/アル
キルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビ
ニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン
性反応性乳化剤、フロロオレフィン/(パーフロロアル
コキシアルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエー
テル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/
ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤
等を挙げることができる。
【0012】本発明のフッ素系共重合体1a、1b、2
aおよび2bを製造する重合様式としては、ラジカル重
合開始剤の存在下、乳化、懸濁、塊状又は溶液重合法の
いずれでもよく、回分式、半連続式又は連続式の操作等
適宜選択できる。なお、(c)成分のアゾ基含有ポリシ
ロキサンはそれ自体が熱ラジカル発生剤であり、特定フ
ッ素オレフィン系重合体の重合開始剤として使用できる
が、他のラジカル開始剤も併用することもできる。
(a)成分〜(c)成分および必要に応じて(e)成分
の使用割合は、目的とする共重合体の組成に応じて調整
すればよい。従って、通常、(a)成分20〜70モル
%、(b)成分10〜70モル%、(c)成分0.1〜
10モル%、必要に応じて(e)成分0.1〜5モル%
の割合で重合する。
【0013】前記、併用することができるラジカル重合
開始剤としては、例えばアセチルパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノン
パーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化水
素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド
類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパ
ーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアル
キルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシア
セテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等の
パーオキシエステル類;アゾビスイソブチロニトリル、
アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物;過硫酸
アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の
過硫酸塩;パーフロロエチルアイオダイド、パーフロロ
プロピルアイオダイド、パーフロロブチルアイオダイ
ド、(パーフロロブチル)エチルアイオダイド、パーフ
ロロヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロヘキシ
ル)エチルアイオダイド、パーフロロヘプチルアイオダ
イド、パーフロロオクチルアイオダイド、2−(パーフ
ロロオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロデシル
アイオダイド、2−(パーフロロデシル)エチルアイオ
ダイド、ヘプタフロロ−2−ヨードプロパン、パーフロ
ロ−3−メチルブチルアイオダイド、パーフロロ−5−
メチルヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロ−5−
メチルヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロ−7
−メチルオクチルアイオダイド、2−(パーフロロ−7
−メチルオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロ−
9−メチルデシルアイオダイド、2−(パーフロロ−9
−メチルデシル)エチルアイオダイド、2,2,3,3
−テトラフロロプロピルアイオダイド、1H,H,5H
−オクタフロロペンチルアイオダイド、1H,1H,7
H−ドデカフロロヘプチルアイオダイド、テトラフロロ
−1,2−ジヨードエタン、オクタフロロ−1,4−ジ
ヨードブタン、ドデカフロロ−1,6−ジヨードヘキサ
ン等のヨウ素含有フッ素化合物を挙げることができる。
【0014】前記ヨウ素含有フッ素化合物は単独、もし
くは前記有機過酸化物、アゾ系化合物あるいは過硫酸塩
と併用して用いることができる。また前記ラジカル重合
開始剤には、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ
亜硫酸ナトリウム等の無機還元剤、ナフテン酸コバル
ト、ジメチルアニリン等の有機還元剤を併用することが
できる。本発明のフッ素系共重合体の重合は、溶剤を用
いた溶剤系で反応させるのが好ましく、好ましい有機溶
剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソ
プロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ等のエステ
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等
のアミド類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類
等が挙げられ、これらに必要に応じてアルコール類、脂
肪族炭化水素類等を混合使用することもできる。(a)
〜(e)成分、重合開始剤、溶剤、その他添加剤等は、
通常一括して仕込み、反応させる。重合開始剤の使用割
合は、通常総モノマー量の0.1〜5モル%、反応温度は5
0〜90℃、反応時間は、10〜30時間である。本発
明のフッ素系共重合体は、前記重合反応を行った反応溶
液のまま、硬化性樹脂組成物に使用することができる
が、重合反応後の後処理を行うことについて特に制約は
ない。前記後処理としては、例えば重合反応溶液を、ア
ルコール等の含フッ素共重合体の不溶化溶剤に滴加し、
含フッ素共重合体を凝固させることによる精製方法に代
表される、一般的な再沈処理を行うことができ、次い
で、これを溶剤に再度溶解して含フッ素共重合体の溶液
を調製することができる。また重合終了後の重合反応溶
液から残留モノマー除去し、そのまま含フッ素共重合体
の溶液として使用することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により、さらに具体的に説明する。但し、本発明は、
その要旨を越えない限りこれらの実施例に何ら制約され
るものではない。
【実施例】実施例中の部及び%は特にことわらない限
り、それぞれ重量部及び重量%を示す。 <実施例1> <フッ素系共重合体の製造>内容積2.0Lの電磁撹拌
機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置
換した後、酢酸エチル500g、パーフロロ(プロピル
ビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル
(EVE)48.7g、ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル(HBVE)26.4g、ノニオン性反応性乳化剤と
してアデカリアソープNE−30(旭電化工業株式会社
製)20.0g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンと
してVPS−1001(和光純薬工業株式会社製)3.
0g及び過酸化ラウロイル(LPO)1.0gを仕込
み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した
後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。次いでヘキ
サフロロプロピレン(HFP)120gを仕込み、昇温
を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した
時点での圧力は6.1kgf/cm2を示した。その後、60
℃で20時間撹拌下に反応を継続し、圧力が2.5kgf/c
m2に低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停
止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオ
ートクレーブを開放し、ポリマー溶液を得た。得られた
ポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させ
た後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行
い221gの含フッ素共重合体を得た。結果を表1に示
す。得られたポリマーをテトラヒドロフラン(THF)
に0.5%溶液となるよう調整し、GPC測定を行っ
た。得られたポリマーの数平均分子量は35000であ
った。さらにDSCによるガラス転移温度(Tg)、ア
リザリンコンプレクソン法によるフッ素含量を測定し
た。また、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析
結果、元素分析結果並びにフッ素含量、さらには600
度における焼成後の残重量から無機シリカ分を測定し、
これらからフッ素系共重合体を構成する各単量体成分の
割合(モル比)を決定した。結果を表2に示す。乾燥後
のフッ素系共重合体の赤外チャートを図−1に示す。 <実施例2−7、比較例1−2>各単量体の仕込み量を
表1に示した割合に変更した以外は、実施例1と同様に
してフッ素系共重合体を合成した。結果を表2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表中の略号は、下記内容を示す。 (a)成分 HFP : ヘキサフロロプロピレン CTFE : クロロトリフロロエチレン FPVE : パーフロロ(プロピルビニルエー
テル) (b)成分 EVE : エチルビニルエーテル iso−BVE : イソブチルビニルエーテル CHVE : シクロヘキシルビニルエーテル E : エチレン VAc : 酢酸ビニル VPi : ピバリン酸ビニル VeoVa10 : バーサチック酸ビニル HBVE : ヒドロキシブチルビニルエーテル GVE : グリシジルビニルエーテル (c)成分 VPS−0501:下記一般式 で表され、数平均分子
量が3〜4万、ポリシロキサン部分の分子量が約5,0
00のアゾ基含有ホ゜リシ゛メチルシロキサン(和光純薬工業株式会
社製) VPS−1001:下記一般式 で表され、数平均分子
量が7〜9万、ポリシロキサン部分の分子量が約10,
000のアゾ基含有ホ゜リシ゛メチルシロキサン(和光純薬工業株式
会社製) (e)成分 NE−10:下記一般式 で表され、nが9、mが1、u
が10、zが6〜8であるノニオン性反応性乳化剤NE−1
0(旭電化工業株式会社製) NE−30:下記一般式 で表され、nが9、mが1、
uが30、zが7〜9であるノニオン性反応性乳化剤NE−
30(旭電化工業株式会社製)
【0019】
【発明の効果】本発明の硬化性含フッ素共重合体を含有
する硬化性樹脂組成物から形成される硬化塗膜は、優れ
た透明性、耐久性、低屈折率という特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における含フッ素共重合体の赤外スペ
クトルを示すチャートである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 フッ素系共重合体およびその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性、低反射率特
性に優れた塗膜を形成することができる反射防止膜形成
に優れたフッ素系共重合体およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】今日のマルチメディアの発達は各種表示
装置(ディスプレイ装置)の発展につながり、広く普及
している。このような表示装置のうち、携帯用を中心に
屋外使用されるものでは、その視認性向上がますます重
要となってきている。更に大型表示装置においても、よ
り見易くすることが市場拡大の重要な要素となりつつあ
り、そのまま技術課題となっている。従来から表示装置
の視認性向上の1手段として、低屈折率材料から構成さ
れる反射防止膜によって基板を被覆することが行われて
きている。ここに、反射防止膜を形成する方法として
は、例えばフッ素化合物の薄膜を蒸着により形成する方
法が知られている。然るに、近年における液晶表示を中
心としたコストダウンのニーズに対応でき、且つ大型表
示装置に対しても反射防止膜を形成できるような技術が
必要となってきている。しかしながら、反射防止膜とし
て従来の蒸着法を使用する場合には、大型基板に対し効
率良く反射防止膜を形成することが困難であるし、且つ
コストも真空装置を必要とすることで下げることが困難
であった。このような事情に基づいて、屈折率の低いフ
ッ素系ポリマーを有機溶剤に溶解して液状の組成物を調
製し、これを基板表面に塗布することによって反射防止
膜を形成する方法が検討され、例えば特開昭61-40845号
報、特公平6-98703号報においては、基板表面にフッ素
化アルキルシランの塗布が提案され、特開平6-115023号
報には特定の構造を有する含フッ素重合体をコートする
方法が提案されている。また、特開昭56−28219
には、含フッ素重合体とオルガノシロキサン重合体を反
応させて得られるグラフト共重合体を得る方法が提案さ
れている。さらに、特開昭62−280225には、両
末端パーオキサイドあるいは、両末端I含有ポリシロキ
サンを用いてフッ素オレフィンを重合することによって
得られるポリフルオロオレフィンセグメントAとポリシ
ロキサンセグメントBとが連結部位を介して結合したA
BAトリブロック型のポリシロキサン−ポリフルオロオ
レフィンブロック共重合体が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フッ素系材料を反射防止膜とした場合には、透明性に欠
けていたり、基材との密着が十分ではなく、特に繰り返
し擦ることで反射防止膜層が剥がれてしまうという問題
を有している。また、これらの欠点を改良するため提案
された前記特開昭56−28219、特開昭62−28
0225に記載のグラフトあるいはブロック共重合体
は、反射防止膜とした場合、基材への塗布性が悪いため
十分な反射防止効果が得られないという問題があった。
本発明は以上のような状況に鑑みなされたものである。
本発明の目的は、透明性に優れ、且つ低屈折率で良好な
反射防止効果を発揮することができるとともに、耐擦傷
性に優れた反射防止膜を形成することができるフッ素系
共重合体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は (a)下記一般式1で表される構造単位(以下、「構造
単位(a)」という)20〜70モル%、一般式1 [式中、R1はフッ素原子、フロロアルキル基、−OR2
表される基(R2はアルキル基またはフロロアルキル
基を示す)を示す] (b)下記一般式2で表される構造単位(以下、「構造
単位(b)」という)10〜70モル%および一般式2 [式中、R3は水素原子またはメチル基を、R4はアルキ
ル基、−(CH2)x−OR5で表される基(R5はアルキ
ル基、ヒドロキシアルキル基、グリシジル基を、xは0
または1の数を示す)、−OCOR5で表される基(R5
は前記と同様)、カルボキシル基またはアルコキシカル
ボニル基を示す] (c)下記一般式3で表されるアゾ基含有ポリシロキサ
ン化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位
(c)」という)0.1〜10モル%からなり、一般式
[式中、R6およびR7は、同一でも異なっていても良
、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ア
リール基を示す]、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,
000〜500,000であるフッ素系共重合体(以
下、「フッ素系共重合体1a」という)、構造単位
(a)20〜70モル%、構造単位(b)10〜70モ
ル%および構造単位、(d)下記一般式4で表される構
造単位(以下、「構造単位(d)」という)を−(OS
iR15R17)y−の量に換算して0.1〜10モル%か
らなり、一般式4 [式中、R10〜R13は水素原子、アルキル基または
シアノ基を示し、R14〜R17は水素原子またはアル
キル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の
数、yは1〜200の数を示す。]ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平
均分子量が5,000〜500,000であるフッ素系
共重合体(以下、「フッ素系共重合体1b」という)、
構造単位(a)20〜70モル%、構造単位(b)10
〜70モル%および構造単位(c)0.1〜10モル
%、および(e)下記一般式5で表される構造単位(以
下、「構造単位(e)」という)0.1〜5モル%から
なり、一般式5 (式中、R8は乳化作用を有する基を示す)ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン
換算数平均分子量が5,000〜500,000である
フッ素系共重合体(以下、フッ素系共重合体2a)とい
う)、構造単位(a)20〜70モル%、構造単位
(b)10〜70モル%および構造単位(d)を−(O
SiR15R17)y−の量に換算して0.1〜10モル
%、および構造単位(e)0.1〜5モル%からなり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポ
リスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,0
00であるフッ素系共重合体(以下、「フッ素系共重合
体2b」)という)、ならびにこれらの製造方法を提供
するものである。
【0005】本発明のフッ素系共重合体1aは、構造単
位(a)20〜70モル%、好ましくは25〜60モル
%、さらに好ましくは30〜55モル%、構造単位
(b)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル
%、さらに好ましくは30〜60モル%、構造単位
(c)0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル
%、さらに好ましくは0.1〜3モル%からなる。本発
明のフッ素系共重合体1bは、構造単位(a)20〜7
0モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好まし
くは30〜55モル%、構造単位(b)10〜70モル
%、好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは3
0〜60モル%、構造単位(d)を−(OSiR15R1
7)y−の量に換算して0.1〜10モル%、好ましく
は0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.1〜3モル
%からなる。また、フッ素系共重合体2aは構造単位
(a)20〜70モル%、好ましくは25〜60モル
%、さらに好ましくは30〜55モル%、構造単位
(b)10〜70モル%、好ましくは20〜60モル
%、さらに好ましくは30〜60モル%、構造単位
(c)0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル
%、さらに好ましくは0.1〜3モル%、構造単位
(e)0.1〜5モル%、好ましくは0.1〜3モル
%、さらに好ましくは0.5〜3モル%からなる。ま
た、フッ素系共重合体2bは構造単位(a)20〜70
モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好ましく
は30〜55モル%、構造単位(b)10〜70モル
%、好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは3
0〜60モル%、構造単位(d)を−(OSiR15R1
7)y−の量に換算して0.1〜10モル%、好ましく
は0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.1〜3モル
%、構造単位(e)0.1〜5モル%、好ましくは0.
1〜3モル%、さらに好ましくは0.5〜3モル%から
なる。フッ素系共重合体中1a、1b、2aおよび2b
において、構造単位(a)が20モル%未満では、得ら
れるフッ素系共重合体中のフッ素含量が40重量%以下
となり、本願が意図するところの光学的にフッ素含有材
料の特徴である、低屈折率の発現が困難となる。一方、
構造単位(a)が70モル%を越えると、得られる含フ
ッ素共重合体の有機溶剤への溶解性が著しく低下すると
ともに、透明性、基材への密着性が低下する。また、構
造単位(b)の割合が10モル%未満では、有機溶剤へ
の溶解性に劣り、70モル%を越えると本願共重合体の
特徴である、透明性、低反射率の光学特性が悪化する。
【0006】さらに、構造単位(c)の割合が10モル
%を越えると、または構造単位(d)を−(OSiR15
R17)y−の量に換算して10モル%を超えると、含フ
ッ素共重合体の透明性に劣り、コート材として使用する
際に塗布時にハジキ等を発生し易くなる。さらにまた、
構造単位(e)の割合が10モル%を越えると、粘着性
が出て取り扱いが困難なものとなり、コート材等で使用
する場合には耐湿性の低下を伴う。一般式1のR1にお
いて、フロロアルキル基としては、トリフロロメチル
基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パー
フロロブチル基、パーフロロヘキシル基、パーフロロシ
クロヘキシル基などの炭素数1〜6のフロロアルキル基
が挙げられ、R2においてアルキル基としてはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シ
クロヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が挙げ
られ、フロロアルキル基としてはR1と同様のものを挙
げられる。一般式2のR4においてアルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シ
クロヘキシル基、ラウリル基などの炭素数1〜12のア
ルキル基が、アルコキシカルボニル基としては、メトキ
シカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げら
れ、R5においてアルキル基としてはR4と同様のもの
を、ヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエ
チル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプ
ロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブ
チル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘ
キシル基が挙げられる。一般式3のR6〜R7において、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基
などの炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキ
ル基としてはトリフロロメチル基、パーフロロエチル
基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基などの
炭素数1〜4のフロロアルキル基などが、アリール基と
してはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基などが挙げ
られる。一般式4のR10〜R13において、アルキル基と
してはメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、
シクロヘキシル基などの炭素数1〜12のアルキル基
が、R14〜R17においてアルキル基としてはメチル基、
エチル基、プロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基
が挙げられる。一般式5のR8において、乳化作用を有
する基としては、疎水性基および親水性基の双方を有し
かつ親水性基はポリエチレンオキサイド、ポリプロピレ
ンオキサイドなどのポリエーテル構造を有する基が好ま
しい。
【0007】このような乳化作用を有する基としては下
記一般式6で表される基を挙げることができる。 一般式6 (式中、nは1〜20の数、mは0〜4の数、uは3〜
50の数を示す) 本発明において、構造単位(a)、構造単位(b)およ
び構造単位(c)はそれぞれ2種以上であってもよい。
また、本発明のフッ素系共重合体1aは、構造単位
(a)および構造単位(b)がランダムに結合してなる
ブロックと、構造単位(c)からなるブロックとからな
る。また、本発明のフッ素系共重合体1bは、構造単位
(a)および構造単位(b)がランダムに結合してなる
ブロックと、構造単位(d)からなるブロックとからな
る。本発明のフッ素系共重合体2aは構造単位(a)、
構造単位(b)および構造単位(e)がランダムに結合
してなるブロックと、構造単位(c)からなるブロック
とからなる。本発明のフッ素系共重合体2bは構造単位
(a)、構造単位(b)および構造単位(e)がランダ
ムに結合してなるブロックと、構造単位(d)からなる
ブロックとからなる。本発明のフッ素系共重合体1a、
1b、2aおよび2bは、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)で、テトラヒドロフラン(TH
F)を溶剤として測定し、ポリスチレン換算値として求
められた数平均分子量が5000〜500000、好ま
しくは10000〜3000000、更に好ましくは1
0000〜100000である。数平均分子量が前記範
囲よりも小さいと得られる含フッ素共重合体の機械的強
度が低下し、また前記範囲よりも大きいと溶液粘度が高
くなり、薄膜コーティングが困難となる。また本発明の
フッ素系共重合体1a、1b、2aおよび2bのフッ素
含量は30重量%以上、好ましくは40〜60重量%で
ある。なお、フッ素含量はフッ素原子の重量を、アリザ
リンコンプレクソン法で測定したものである。本発明の
フッ素系共重合体1aおよび1bは(a)フッ素原子を
含有するオレフィン単量体(以下、単に「(a)成分」
ともいう。)、(b)ビニルエーテル単量体(以下、単
に「(b)成分」ともいう。)および(c)成分である
アゾ基含有ポリシロキサン化合物(以下、単に「(c)
成分」ともいう)を、フッ素系共重合体2aおよび2b
ではさらに(e)反応性乳化剤(以下、単に「(e)成
分」ともいう)を共重合することにより製造することが
できる。
【0008】フッ素系共重合体の製造に使用する(a)
成分としては、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結
合基と少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙
げることができ、具体的には、例えばテトラフロロエチ
レン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロ
ロプロピレン等のフロロオレフィン類;一般式 CF2
=CF−O−R2(R2は前記と同様である)で表される
アルキルパーフロロビニルエーテルもしくはアルコキシ
アルキルパーフロロビニルエーテル類;パーフロロ(メ
チルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエー
テル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パー
フロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブ
チルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルキルビニル
エーテル)類;パーフロロ(プロポキシプロピルビニル
エーテル)等のパーフロロ(アルコキシアルキルビニル
エーテル)類などを挙げることができる。これらのフッ
素原子を含有する単量体は単独でも2種以上の併用であ
っても良い。特に、フッ素含有単量体として、ヘキサフ
ロロプロピレンとパーフロロアルキルパーフロロビニル
エーテル又はパーフロロアルコキシアルキルパーフロロ
ビニルエーテルが好ましく、更にはこれらを組み合わせ
て使用することが好ましい。(b)成分の具体例として
は、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n
−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテ
ル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエー
テル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチル
ビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オ
クチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、
2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビ
ニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシク
ロアルキルビニルエーテル類 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニ
ル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル
類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ
ル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)
アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレー
ト等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリ
ル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
等のカルボキシル基含有単量体化合物等を挙げることが
できる。
【0009】更には上記単量体の他に各種官能基を含有
する単量体を共重合することにより官能基を有する含フ
ッ素共重合体を得ることがができる。特に水酸基、エポ
キシ基が好ましい。水酸基を含有する単量体として、例
えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロ
キシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピル
ビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロ
キシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル
ビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;2−
ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチ
ルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等
の水酸基含有アリルエーテル類;アリルアルコール;ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル等を挙げる
ことができる。またエポキシ基を含有する単量体として
は、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジ
ルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、クロトン
酸グリシジルエステル、マレイン酸メチルグリシジルエ
ステル等を挙げることができる。これらの他の単量体
は、単独でも2種以上の併用であってもよい。前記共重
合可能な他の単量体のうち、本発明の含フッ素共重合体
の重合反応における収率を高める点から、アルキルビニ
ルエーテル類、シクロアルキルビニルエーテル類、カル
ボン酸ビニルエステル類が好適に使用される。特に含フ
ッ素共重合体中に共重合されるフッ素含量を高める点
で、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニル
エーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル等の低分子量単量体が好ましい。
【0010】さらに、硬化性樹脂組成物の硬化後の塗膜
の高硬度化、低屈折率化のためには、イソプロピルビニ
ルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ピバリ
ン酸ビニル等の分岐状単量体の使用が有効である。本発
明の含フッ素共重合体を構成する(c)成分であるアゾ
基含有ポリシロキサン化合物は−N=N−で示される熱
解裂容易なアゾ基を含有し、且つ前記一般式3で表され
るポリシロキサンセグメントを有する化合物であり、例
えば特開平6-93100号公報に記載の製造法により製造す
ることができるものである。このような化合物として
は、下記一般式7で表される化合物を挙げることができ
る。 一般式7 [式中、R10〜R13、R14〜R17、p、q、
s、tおよびyは前記一般式4と同様であり、zは1〜
20の数である。] 本発明において、一般式7で表される化合物としては、
下記一般式8で表される化合物が好ましい。 一般式8 さらに(e)成分としてはノニオン性反応性乳化剤を挙
げることができる。反応性乳化剤を共重合させることに
より、本願発明のフッ素系共重合体をコーティング材料
として使用する際の塗布性を大幅に向上させることがで
きる。これらノニオン性反応性乳化剤としては例えば、
下記一般式9で示される化合物を挙げることができる。 一般式9 (式中、n、mおよびuは一般式6と同様である)
【0011】本発明における(a)成分、(b)成分、
(c)成分の好ましい組み合わせは、具体的に、例えば
フロロオレフィン/アルキルビニルエーテル/ポリジメ
チルシロキサン単位、フロロオレフィン/パーフロロ
(アルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエーテル
/ポリジメチルシロキサン単位、フロロオレフィン/パ
ーフロロ(アルコキシアルキル)ビニルエーテル/アル
キルビニルエーテルル/ポリジメチルシロキサン単位、
フロロオレフィン/(パーフロロアルキル)ビニルエー
テル/アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサ
ン単位、フロロオレフィン/(パーフロロアルコキシア
ルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/ポ
リジメチルシロキサン単位であり、これらを光学的コー
ト材料として用いる際には、塗布性からノニオン性反応
性乳化剤を共重合させることが好ましい。フロロオレフ
ィン/アルキルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキ
シ基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位
/ノニオン性反応性乳化剤、フロロオレフィン/パーフ
ロロ(アルキルビニルエーテル)/アルキルビニルエー
テル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/
ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化
剤、フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキ
ル)ビニルエーテル/アルキルビニルエーテル/水酸基
あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/ポリジメチル
シロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤、フロロオレ
フィン/(パーフロロアルキル)ビニルエーテル/アル
キルビニルエーテル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビ
ニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン
性反応性乳化剤、フロロオレフィン/(パーフロロアル
コキシアルキル)ビニルエーテル/アルキルビニルエー
テル/水酸基あるいはエポキシ基含有ビニルエーテル/
ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤
等を挙げることができる。
【0012】本発明のフッ素系共重合体1a、1b、2
aおよび2bを製造する重合様式としては、ラジカル重
合開始剤の存在下、乳化、懸濁、塊状又は溶液重合法の
いずれでもよく、回分式、半連続式又は連続式の操作等
適宜選択できる。なお、(c)成分のアゾ基含有ポリシ
ロキサンはそれ自体が熱ラジカル発生剤であり、特定フ
ッ素オレフィン系重合体の重合開始剤として使用できる
が、他のラジカル開始剤も併用することもできる。
(a)成分〜(c)成分および必要に応じて(e)成分
の使用割合は、目的とする共重合体の組成に応じて調整
すればよい。従って、通常、(a)成分20〜70モル
%、(b)成分10〜70モル%、(c)成分0.1〜
10モル%、必要に応じて(e)成分0.1〜5モル%
の割合で重合する。
【0013】前記、併用することができるラジカル重合
開始剤としては、例えばアセチルパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノン
パーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化水
素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド
類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパ
ーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアル
キルパーオキサイド類;tert−ブチルパーオキシア
セテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等の
パーオキシエステル類;アゾビスイソブチロニトリル、
アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物;過硫酸
アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の
過硫酸塩;パーフロロエチルアイオダイド、パーフロロ
プロピルアイオダイド、パーフロロブチルアイオダイ
ド、(パーフロロブチル)エチルアイオダイド、パーフ
ロロヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロヘキシ
ル)エチルアイオダイド、パーフロロヘプチルアイオダ
イド、パーフロロオクチルアイオダイド、2−(パーフ
ロロオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロデシル
アイオダイド、2−(パーフロロデシル)エチルアイオ
ダイド、ヘプタフロロ−2−ヨードプロパン、パーフロ
ロ−3−メチルブチルアイオダイド、パーフロロ−5−
メチルヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロ−5−
メチルヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロ−7
−メチルオクチルアイオダイド、2−(パーフロロ−7
−メチルオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロ−
9−メチルデシルアイオダイド、2−(パーフロロ−9
−メチルデシル)エチルアイオダイド、2,2,3,3
−テトラフロロプロピルアイオダイド、1H,1H,5
H−オクタフロロペンチルアイオダイド、1H,1H,
7H−ドデカフロロヘプチルアイオダイド、テトラフロ
ロ−1,2−ジヨードエタン、オクタフロロ−1,4−
ジヨードブタン、ドデカフロロ−1,6−ジヨードヘキ
サン等のヨウ素含有フッ素化合物を挙げることができ
る。
【0014】前記ヨウ素含有フッ素化合物は単独、もし
くは前記有機過酸化物、アゾ系化合物あるいは過硫酸塩
と併用して用いることができる。また前記ラジカル重合
開始剤には、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ
亜硫酸ナトリウム等の無機還元剤、ナフテン酸コバル
ト、ジメチルアニリン等の有機還元剤を併用することが
できる。本発明のフッ素系共重合体の重合は、溶剤を用
いた溶剤系で反応させるのが好ましく、好ましい有機溶
剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソ
プロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ等のエステ
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等
のアミド類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類
等が挙げられ、これらに必要に応じてアルコール類、脂
肪族炭化水素類等を混合使用することもできる。(a)
〜(e)成分、重合開始剤、溶剤、その他添加剤等は、
通常一括して仕込み、反応させる。重合開始剤の使用割
合は、通常総モノマー量の0.1〜5モル%、反応温度は5
0〜90℃、反応時間は、10〜30時間である。本発
明のフッ素系共重合体は、前記重合反応を行った反応溶
液のまま、硬化性樹脂組成物に使用することができる
が、重合反応後の後処理を行うことについて特に制約は
ない。前記後処理としては、例えば重合反応溶液を、ア
ルコール等の含フッ素共重合体の不溶化溶剤に滴下し
含フッ素共重合体を凝固させることによる精製方法に代
表される、一般的な再沈殿処理を行うことができ、次い
で、これを溶剤に再度溶解して含フッ素共重合体の溶液
を調製することができる。また重合終了後の重合反応溶
液から残留モノマー除去し、そのまま含フッ素共重合体
の溶液として使用することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により、さらに具体的に説明する。但し、本発明は、
その要旨を越えない限りこれらの実施例に何ら制約され
るものではない。
【実施例】実施例中の部及び%は特にことわらない限
り、それぞれ重量部及び重量%を示す。 <実施例1> <フッ素系共重合体の製造>内容積2.0Lの電磁撹拌
機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置
換した後、酢酸エチル500g、パーフロロ(プロピル
ビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル
(EVE)48.7g、ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル(HBVE)26.4g、ノニオン性反応性乳化剤と
してアデカリアソープNE−30(旭電化工業株式会社
製)20.0g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンと
してVPS−1001(和光純薬工業株式会社製)3.
0g及び過酸化ラウロイル(LPO)1.0gを仕込
み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した
後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。次いでヘキ
サフロロプロピレン(HFP)120gを仕込み、昇温
を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した
時点での圧力は6.1kgf/cm2を示した。その後、60
℃で20時間撹拌下に反応を継続し、圧力が2.5kgf/c
m2に低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停
止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオ
ートクレーブを開放し、ポリマー溶液を得た。得られた
ポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させ
た後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行
い221gの含フッ素共重合体を得た。結果を表1に示
す。得られたポリマーをテトラヒドロフラン(THF)
に0.5%溶液となるよう調製し、GPC測定を行っ
た。得られたポリマーの数平均分子量は35000であ
った。さらにDSCによるガラス転移温度(Tg)、ア
リザリンコンプレクソン法によるフッ素含量を測定し
た。また、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析
結果、元素分析結果並びにフッ素含量、さらには600
における焼成後の残重量から無機シリカ分を測定し、
これらからフッ素系共重合体を構成する各単量体成分の
割合(モル比)を決定した。結果を表2に示す。乾燥後
のフッ素系共重合体の赤外チャートを図−1に示す。 <実施例2−7、比較例1−2>各単量体の仕込み量を
表1に示した割合に変更した以外は、実施例1と同様に
してフッ素系共重合体を合成した。結果を表2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表中の略号は、下記内容を示す。 (a)成分 HFP : ヘキサフロロプロピレン CTFE : クロロトリフロロエチレン FPVE : パーフロロ(プロピルビニルエー
テル) (b)成分 EVE : エチルビニルエーテル i−BVE : イソブチルビニルエーテル CHVE : シクロヘキシルビニルエーテル VAc : 酢酸ビニル VPi : ピバリン酸ビニル HBVE : ヒドロキシブチルビニルエーテル GVE : グリシジルビニルエーテル LPO : 過酸化ラウロイル (c)成分 VPS−0501:下記一般式 で表され、数平均分子
量が3〜4万、ポリシロキサン部分の分子量が約5,0
00のアゾ基含有ホ゜リシ゛メチルシロキサン(和光純薬工業株式会
社製) VPS−1001:下記一般式 で表され、数平均分子
量が7〜9万、ポリシロキサン部分の分子量が約10,
000のアゾ基含有ホ゜リシ゛メチルシロキサン(和光純薬工業株式
会社製) (e)成分 NE−10:下記一般式 で表され、nが9、mが1、u
が10、zが6〜8であるノニオン性反応性乳化剤NE−1
0(旭電化工業株式会社製) NE−30:下記一般式 で表され、nが9、mが1、
uが30、zが7〜9であるノニオン性反応性乳化剤NE−
30(旭電化工業株式会社製)
【0019】
【発明の効果】本発明の硬化性含フッ素共重合体を含有
する硬化性樹脂組成物から形成される硬化塗膜は、優れ
た透明性、耐久性、低屈折率という特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における含フッ素共重合体の赤外スペ
クトルを示すチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 穂積 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記一般式1で表される構造単位
    20〜70モル%、一般式1 [式中、R1はフッ素原子、フロロアルキル基、−OR2
    で表させる基(R2はアルキル基またはフロロアルキル
    基を示す。)を示す] (b)下記一般式2で表される構造単位10〜70モル
    %および一般式2 [式中、R3は水素原子またはメチル基を、R4はアルキ
    ル基、−(CH2)xOR5で表される基(R5はアルキル
    基、ヒドロキシアルキル基またはグリシジル基を、xは
    0または1の数を示す)、−OCOR5で表される基
    (R5はアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはグリ
    シジル基を示す)、カルボキシル基またはアルコキシカ
    ルボニル基を示す] (c)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記
    一般式3で表される構造単位0.1〜10モル%からな
    り、一般式3 [式中、R6およびR7は、同一でも異なっても良く、水
    素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール
    基を示す] ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポ
    リスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,0
    00であるフッ素系共重合体。
  2. 【請求項2】 (a)下記一般式1で表される構造単位
    20〜70モル%、一般式1 [式中、R1はフッ素原子、フロロアルキル基、−OR2
    で表される基(R2はアルキル基またはフロロアルキル
    基を示す。)を示す] (b)下記一般式2で表される構造単位10〜70モル
    %および一般式2 [式中、R3は水素原子またはメチル基を、R4はアルキ
    ル基、−(CH2)x−OR5で表される基(R5はアルキ
    ル基、ヒドロキシアルキル基またはグリシジル基を、x
    は0または1の数を示す)、−OCOR5で表される基
    (R5はアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはグリ
    シジル基を示す)、カルボキシル基またはアルコキシカ
    ルボニル基を示す] (d)下記一般式4で表される構造単位を−(OSiR
    15R17)y−の量に換算して0.1〜10モル%からな
    り、一般式4 [式中、R10〜R13は水素原子、アルキル基または
    シアノ基を示し、R14〜R17は水素原子またはアル
    キル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の
    数、yは1〜200の数を示す。] ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポ
    リスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,0
    00であるフッ素系共重合体。 【請求3】 (a)下記一般式1で表される構造単位2
    0〜70モル%、一般式1 [式中、R1はフッ素原子、フロロアルキル基、−OR2
    で表させる基(R2はアルキル基またはフロロアルキル
    基を示す。)を示す] (b)下記一般式2で表される構造単位10〜70モル
    %、一般式2 [式中、R3は水素原子またはメチル基を、R4はアルキ
    ル基、−(CH2)x−OR5で表される基(R5はアルキ
    ル基、ヒドロキシアルキル基、グリシジル基を、xは0
    または1の数を示す)、−OCOR5で表される基(R5
    は前記と同様)、カルボキシル基またはアルコキシカル
    ボニル基を示す] (c)アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記
    一般式3で表される構造単位0.1〜10モル%およ
    び、一般式3 [式中、R6およびR7は、同一でも異なっても良く、水
    素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール
    基を示す] (e)下記一般式5で表される構造単位0.1〜5モル
    %からなり、一般式5 (式中、R8は乳化作用を有する基を示す) ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポ
    リスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,0
    00であるフッ素系共重合体。
  3. 【請求項3】 (a)下記一般式1で表される構造単位
    20〜70モル%、一般式1 [式中、R1はフッ素原子、フロロアルキル基、−OR2
    で表させる基(R2はアルキル基またはフロロアルキル
    基を示す。)を示す] (b)下記一般式2で表される構造単位10〜70モル
    %、一般式2 [式中、R3は水素原子またはメチル基を、R4はアルキ
    ル基、−(CH2)x−OR5で表される基(R5はアルキ
    ル基、ヒドロキシアルキル基、グリシジル基を、xは0
    または1の数を示す)、−OCOR5で表される基(R5
    は前記と同様)、カルボキシル基またはアルコキシカル
    ボニル基を示す] (d)下記一般式4で表される構造単位を−(OSiR
    15R17)y−の量に換算して0.1〜10モル%および
    一般式4 [式中、R10〜R13は水素原子、アルキル基または
    シアノ基を示し、R14〜R17は水素原子またはアル
    キル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の
    数、yは1〜200の数を示す。] (e)下記一般式5で現れる構造単位0.1〜5モル%
    からなり、一般式5 (式中、R8は乳化作用を有する基を示す) ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポ
    リスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,0
    00であるフッ素系共重合体。
  4. 【請求項4】 フッ素含有オレフィン化合物、アゾ基含
    有ポリシロキサン化合物およびこれらと共重合可能な他
    の単量体化合物ならびに必要に応じて反応性乳化剤を反
    応させることを特徴とするフッ素系共重合体の製造方
    法。
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