JP2005290119A - フッ素含有オレフィン系重合体及び反射防止膜用低屈折率剤組成物 - Google Patents

フッ素含有オレフィン系重合体及び反射防止膜用低屈折率剤組成物 Download PDF

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Tetsuya Yamamura
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Abstract

【課題】 透明性が高く、屈折率が低く、基材に対する密着性が大きく、しかも優れた耐布擦り性を有する硬化膜を形成することができる硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 主鎖中にポリシロキサン骨格を4〜20モル%含有するフッ素含有オレフィン系重合体;それを含む硬化性樹脂組成物;及び硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フッ素含有オレフィン系重合体及び該フッ素含有オレフィン系重合体を含有する硬化性樹脂組成物に関し、特に、高い透明性と低い反射率特性を有し、耐布擦り性が良好である硬化膜を形成する硬化性樹脂組成物及び反射防止膜に関する。
現在、マルチメディアの発達に伴い、各種の表示装置(ディスプレイ装置)において種々の発展が見られている。そして、各種の表示装置のうち、特に、携帯用を中心に屋外で使用されるものでは、その視認性の向上がますます重要となってきており、大型表示装置においても、より見易くすることが需要者に要求されており、この事項がそのまま技術課題となっている。
従来、表示装置の視認性を向上させるための一手段として、低屈折率材料から構成される反射防止膜を、表示装置の基板に被覆することが行われており、反射防止膜を形成する方法としては、例えば、フッ素化合物の薄膜を蒸着法により形成する方法が知られている。然るに、近年では、液晶表示装置を中心として、低いコストで、しかも大型の表示装置に対しても、反射防止膜を形成することのできる技術が求められている。しかしながら、蒸着法による場合には、大面積の基板に対して、高い効率で均一な反射防止膜を形成することが困難であり、しかも真空装置を必要とするために、コストを低くすることが困難である。
このような事情から、屈折率の低いフッ素系重合体を有機溶剤に溶解して液状の組成物を調製し、これを基板の表面に塗布することによって反射防止膜を形成する方法が検討されている。例えば、基板の表面にフッ素化アルキルシランを塗布することが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、特定の構造を有するフッ素系重合体を塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
特開昭61−40845号公報 特公平6−98703号公報 特開平6−115023号公報 特開2003−183322号公報
しかしながら、各種の表示装置の大型化や携帯型表示装置等の発達に伴い、これらの表示画面にはより強固な耐擦傷性やさらなる埃付着防止性が求められるようになっている。このような用途に供するには、従来のフッ素系材料による反射防止膜は、基材との密着が十分ではなく、特に、繰り返し擦過を受けた場合に、当該反射防止膜層が剥がれてしまう、加えて液晶ディスプレイ等の反射防止膜表面に空気中のゴミ、埃が付着し、視認性を低下させるという問題を有している。さらに、これまでのフッ素系重合体を含む硬化性樹脂組成物による硬化膜は布との摩擦力が大きく耐布擦り性が悪い。本発明は、以上のような状況を背景としてなされたものであって、その目的は、透明性が高く、屈折率が低く、基材に対する密着性が大きく、しかも優れた耐布擦り性を有する硬化膜を形成することができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、透明性が高く、基材に対する密着性が大きく、しかも優れた耐布擦り性を有する反射防止膜を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、フッ素系共重合体の主鎖に特定量のポリシロキサン骨格を導入することによって、塗膜表面と布との摩擦が低減され、耐布擦り性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、反射防止性能に優れる従来の特性を維持しつつ、従来技術よりも基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高い反射防止膜用材料を提供する。
本発明は、
(1)主鎖中にポリシロキサン骨格を4〜20モル%含有するフッ素含有オレフィン系重合体;
(2)上記(1)に記載のフッ素含有オレフィン系重合体を含む硬化性樹脂組成物;
(3)さらに架橋性化合物を含有する上記(2)に記載の硬化性樹脂組成物;及び
(4)上記(2)又は(3)に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜
を提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、良好な熱硬化性を示し、また、本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化物は、低い屈折率及び耐布擦り性に優れる。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、特に、反射防止膜、光ファイバー鞘材等の光学材料の形成に有利に用いることができ、また、フッ素含量が高いことを利用して、耐候性が要求される基材に対する塗料用材料、耐候フィルム用材料、コーティング用材料、その他として好適に使用することができる。しかも、当該硬化膜は、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高く、良好な反射防止効果を付与することから、反射防止膜として極めて有用であり、各種の表示装置に適用することにより、その視認性を向上させることができる。
以下、本発明詳細に説明する。
1.フッ素含有オレフィン系重合体
本発明のフッ素含有オレフィン系重合体は、主鎖中にポリシロキサン骨格を4〜20モル%含有するものである。なお、ポリシロキサン骨格は、下記一般式(1)で表すことができる。
Figure 2005290119
式中、R及びRは、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す。
フッ素含有オレフィン系重合体の主鎖中のポリシロキサン骨格の割合(モル%)は、13C−NMRにおける逆ゲート付きデカップリング法によって測定することができる。
フッ素含有オレフィン系重合体は、好ましくは、フッ素含量が30質量%以上であり、ポリスチレン換算による数平均分子量が5000以上である。
また、フッ素含有オレフィン系重合体は、好ましくはフッ素含量が30質量%以上、より好ましくは40〜60質量%のものであり、さらにゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって得られるポリスチレン換算による数平均分子量が、好ましくは5000以上、より好ましくは10000〜500000のものである。ここに、フッ素含量は、アリザリンコンプレクソン法により測定された値、数平均分子量は、展開溶剤としてテトラヒドロフランを用いたときの値である。
本発明におけるフッ素含有オレフィン系重合体は、(a)フッ素含有オレフィン化合物(以下「(a)成分」という。)、(b)この(a)成分と共重合可能な水酸基を含有する単量体化合物(以下「(b)成分」という。」)及び(c)アゾ基含有ポリシロキサン化合物(以下「(c)成分」という。)、並びに、必要に応じて、(d)反応性乳化剤(以下「(d)成分」という。)、及び/又は(e)前記(a)成分と共重合可能な(b)成分以外の単量体化合物を反応させることにより得ることができる。
(a)成分であるフッ素含有オレフィン化合物としては、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙げることができ、その具体例としては、例えば、(1)テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロロプロピレン等のフロロオレフィン類;(2)パーフロロ(アルキルビニルエーテル)類もしくはパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;(3)パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルキルビニルエーテル)類;(4)パーフロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;その他を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を併用することができる。以上のうち、特にヘキサフロロプロピレン、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)が好ましく、さらにはこれらを組み合わせて使用することが好ましい。
(b)成分である水酸基を含有する単量体化合物としては、例えば、(1)2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;(2)2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;(3)アリルアルコール;(4)ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル;その他を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を併用することができる。好ましくは、水酸基含有アルキルビニルエーテル類である。
(c)成分のアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、−N=N−で示される熱解裂容易なアゾ基を含有すると共に、前記一般式(1)で表されるポリシロキサン骨格を有する化合物であり、例えば、特開平6−93100号公報に記載された方法により製造することのできるものである。(c)成分の具体例としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005290119
式中、y=10〜500、z=1〜50である。
上記の(a)成分、(b)成分及び(c)成分の好ましい組み合わせは、例えば、(1)フロロオレフィン/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、(2)フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、(3)フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、(4)フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、(5)フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位である。
本発明のフッ素含有オレフィン系重合体において、(a)成分に由来する構造単位は、好ましくは20〜70モル%、さらに好ましくは25〜65モル%、特に好ましくは30〜60モル%である。(a)成分に由来する構造単位の割合が20モル%未満では、得られるフッ素含有オレフィン系重合体中のフッ素含量が過少となりやすく、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物は、屈折率が十分に低いものとなりにくい。一方、(a)成分に由来する構造単位の割合が70モル%を超えると、得られるフッ素含有オレフィン系重合体の有機溶剤への溶解性が著しく低下するとともに、得られる硬化性樹脂組成物は、透明性及び基材への密着性が小さいものとなる。
フッ素含有オレフィン系重合体において、(b)成分に由来する構造単位は、10〜50モル%である。好ましくは下限値は13モル%以上であり、さらに好ましくは20モル%を超え、21モル%以上であり、また、好ましくは上限値は45モル%以下であり、さらに好ましくは35モル%以下である。このような(b)成分を所定量含有するフッ素含有オレフィン系重合体を用いて硬化性樹脂組成物を構成することにより、その硬化物において、良好な耐擦傷性と埃拭き取り性を実現することができる。他方、(b)成分に由来する構造単位の割合が10モル%未満では、フッ素含有オレフィン系重合体は、有機溶剤への溶解性が劣ったものとなり、50モル%を超えると、硬化性樹脂組成物による硬化物は、透明性及び低反射率の光学特性が悪化したものとなる。
(c)成分のアゾ基含有ポリシロキサン化合物は、それ自体が熱ラジカル発生剤であり、フッ素含有オレフィン系重合体を得るための重合反応において重合開始剤としての作用を有するが、他のラジカル開始剤を併用することもできる。フッ素含有オレフィン系重合体における(c)成分に由来する構造単位の割合は、一般式(1)で表されるポリシロキサン骨格が、4〜20モル%、好ましくは5〜20モル%、より好ましくは7〜20モル%、特に好ましくは10〜15モル%となる割合である。一般式(1)で表されるポリシロキサン骨格の割合が20モル%を超える場合には、得られるフッ素含有オレフィン系重合体は、透明性に劣ったものとなり、また塗布剤として用いる場合には、塗布時にハジキ等が発生し易くなる。
本発明においては、上記(a)〜(c)成分以外に、さらに(d)成分として、反応性乳化剤を単量体成分として用いることが好ましい。この(d)成分を用いることにより、フッ素含有オレフィン系重合体を塗布剤として使用する場合に、良好な塗布性及びレベリング性を得ることができる。この反応性乳化剤としては、特に、ノニオン性反応性乳化剤を用いることが好ましい。ノニオン性反応性乳化剤の具体例としては、例えば、下記一般式(3)又は一般式(4)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2005290119
式中、n、m及びsは、繰り返し単位を示し、n=1〜20、m=0〜4、s=3〜50である。
Figure 2005290119
式中、m及びsは、一般式(3)と同様である。Rは、直鎖状でも分岐状でもよいアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜40のアルキル基である。
フッ素含有オレフィン系重合体において、(d)成分由来の構成単位の割合は、好ましくは0〜10モル%であり、さらに好ましくは0.1〜5モル%、特に好ましくは0.1〜1モル%である。この割合が10モル%を超えると、得られる硬化性樹脂組成物が粘着性を帯びたものとなるために取り扱いが困難となり、塗布剤として使用する場合に耐湿性が低下する。
(e)成分の、(a)成分と共重合可能な(b)成分以外の単量体化合物としては、(1)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;(2)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;(3)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(4)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体化合物等であって、水酸基を含有しないものを挙げることができる。好ましくは、アルキルビニルエーテルである。
フッ素含有オレフィン系重合体において、(e)成分由来の構成単位の割合は、好ましくは0〜70モル%であり、さらに好ましくは5〜35モル%である。この割合が70モル%を超えると、得られる硬化性樹脂組成物が粘着性を帯びたものとなるために取り扱いが困難となり、塗布剤として使用する場合に耐湿性が低下する。
(d)成分を含有する場合の、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分の好ましい組み合わせは次のとおりである。
(1)フロロオレフィン/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル、(2)フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル、(3)フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル、(4)フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル、(5)フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル。
(c)成分と併用することができるラジカル重合開始剤としては、例えば、(1)アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;(2)メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;(3)過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;(4)ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;(5)tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類;(6)アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物類;(7)過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化ラウロイル等の過硫酸塩類;その他を挙げることができる。
上記のラジカル重合開始剤以外の具体例としては、例えば、パーフロロエチルアイオダイド、パーフロロプロピルアイオダイド、パーフロロブチルアイオダイド、(パーフロロブチル)エチルアイオダイド、パーフロロヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロヘプチルアイオダイド、パーフロロオクチルアイオダイド、2−(パーフロロオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロデシルアイオダイド、2−(パーフロロデシル)エチルアイオダイド、ヘプタフロロ−2−ヨードプロパン、パーフロロ−3−メチルブチルアイオダイド、パーフロロ−5−メチルヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロ−5−メチルヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロ−7−メチルオクチルアイオダイド、2−(パーフロロ−7−メチルオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロ−9−メチルデシルアイオダイド、2−(パーフロロ−9−メチルデシル)エチルアイオダイド、2,2,3,3−テトラフロロプロピルアイオダイド、1H,1H,5H−オクタフロロペンチルアイオダイド、1H,1H,7H−ドデカフロロヘプチルアイオダイド、テトラフロロ−1,2−ジヨードエタン、オクタフロロ−1,4−ジヨードブタン、ドデカフロロ−1,6−ジヨードヘキサン等のヨウ素含有フッ素化合物を挙げることができる。ヨウ素含有フッ素化合物は、単独で、又は上記の有機過酸化物、アゾ系化合物あるいは過硫酸塩と併用することができる。
本発明において、フッ素含有オレフィン系重合体を製造するための重合様式としては、ラジカル重合開始剤を用いる、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法又は溶液重合法のいずれをも用いることができ、重合操作としても、回分式、半連続式又は連続式の操作等から適宜のものを選択することができる。
フッ素含有オレフィン系重合体を得るための重合反応は、溶剤を用いた溶剤系で行うことが好ましい。ここに、好ましい有機溶剤としては、例えば、(1)酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;(2)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;(3)テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;(4)N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;(5)トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;その他を挙げることができる。さらに必要に応じて、アルコール類、脂肪族炭化水素類等を混合使用することもできる。
上記のようにして得られるフッ素含有オレフィン系重合体は、その重合反応で得られた反応溶液をそのまま硬化性樹脂組成物として使用することが可能な場合もあるが、重合反応溶液に対して適宜の後処理を行うことも自由である。この後処理としては、例えば、重合反応溶液を、アルコール等よりなる当該フッ素含有オレフィン系重合体の不溶化溶剤に滴加して当該フッ素含有オレフィン系重合体を凝固させる精製方法に代表される一般的な再沈殿処理を行うことができ、次いで、得られる固形の共重合体を溶剤に溶解させることにより、フッ素含有オレフィン系重合体の溶液を調製することができる。また、重合反応溶液から残留モノマーを除去したものを、そのままフッ素含有オレフィン系重合体の溶液として使用することもできる。
2.硬化性樹脂組成物
本発明の硬化性樹脂組成物は、実際上、硬化性を有することが必要であり、フッ素含有オレフィン系重合体それ自体が十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができ、また硬化特性を改善することができる。そして、架橋性化合物が用いられる場合に、当該架橋性化合物とフッ素含有オレフィン系重合体との混合物を硬化性樹脂組成物として用いること、又はフッ素含有オレフィン系重合体と架橋性化合物との全部を反応させた反応生成物もしくはそれらの一部のみを反応させた状態のものを硬化性樹脂組成物として用いることができる。
(1)架橋性化合物
架橋性化合物としては、例えば、各種アミノ化合物や、ペンタエリスリトール、ポリフェノール、グリコール等の各種水酸基含有化合物、その他を挙げることができる。
架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、フッ素含有オレフィン系重合体中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
フッ素含有オレフィン系重合体100質量部に対する架橋性化合物の使用量は、好ましくは70質量部以下であり、さらに好ましくは3〜50質量部、特に好ましくは5〜30質量部である。架橋性化合物の使用量が過少であると、得られる硬化性樹脂組成物により形成される薄膜の耐久性が不十分となる場合があり、70質量部を超えると、フッ素含有オレフィン系重合体との反応においてゲル化を回避することが困難であり、しかも硬化膜が低屈折率のものとならず、硬化物が脆いものとなる場合がある。
フッ素含有オレフィン系重合体と架橋性化合物との反応は、例えば、フッ素含有オレフィン系重合体を溶解させた有機溶剤の溶液に架橋性化合物を添加し、適宜の時間加熱、攪拌等により反応系を均一化させながら行えばよい。この反応のための加熱温度は、好ましくは30〜150℃の範囲であり、さらに好ましくは50〜120℃の範囲である。この加熱温度が30℃未満では、反応の進行が極めて遅く、150℃を超えると、目的とする反応の他に、架橋性化合物中のメチロール基やアルコキシ化メチル基同士の反応による橋掛け反応が生じてゲルが生成するので、好ましくない。反応の進行は、メチロール基又はアルコキシ化メチル基を赤外分光分析等により定量する方法、あるいは溶解している重合体を再沈殿法によって回収して、その増加量を測定することにより、定量的な確認を行うことができる。
また、フッ素含有オレフィン系重合体と架橋性化合物との反応には、有機溶剤、例えば、フッ素含有オレフィン系重合体の製造において用いられる有機溶剤と同じもの用いることが好ましい。本発明においては、このようにして得られる、フッ素含有オレフィン系重合体と架橋性化合物による反応溶液を、そのまま硬化性樹脂組成物の溶液として用いることもできるし、必要に応じて各種の添加剤を配合した上で使用することもできる。
(2)添加剤
本発明の硬化性樹脂組成物には、当該硬化性樹脂組成物の塗布性及び硬化後の薄膜の物性の改善や、塗膜に対する感光性の付与等を目的として、例えば、水酸基を有する種々のポリマーやモノマー、顔料又は染料等の着色剤、老化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤、熱酸発生剤、感光性酸発生剤、界面活性剤、重合禁止剤、溶剤、シリカを主成分とする粒子、活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物等の各種の添加剤を含有させることができる。特に、形成される硬化膜の硬度及び耐久性の改善を目的として、熱酸発生剤又は光酸発生剤を添加することが好ましく、特に、硬化性樹脂組成物の硬化後の透明性を低下させず、かつその溶液に均一に溶解するものを選択して用いるのが好ましい。
(i) 水酸基を有するポリマー
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有共重合性単量体を共重合して得られるポリマー、ノボラック樹脂又はレゾール樹脂として公知のフェノール骨格を有する樹脂等を挙げることができる。
(ii) 顔料又は染料等の着色剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる着色剤としては、例えば、(1)アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウム等の体質顔料;(2)亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラック等の無機顔料;(3)ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料;(4)マゼンタ、ローダミン等の塩基性染料;(5)ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジ等の直接染料;(6)ローセリン、メタニルイエロー等の酸性染料;その他を挙げることができる。
(iii) 老化防止剤、紫外線吸収剤等の安定化剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる老化防止剤、紫外線吸収剤としては、公知のものを使用することができる。
老化防止剤の具体例としては、例えば、ジ−tert−ブチルフェノール、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類、フェノチアジン、メルカプトベンズイミダゾール等を挙げることができる。
また、紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、フェニルサリシレートに代表されるサリチル酸系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の各種プラスチックの添加剤として使用される紫外線吸収剤を利用することができる。
(iv) 熱酸発生剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる熱酸発生剤は、当該硬化性樹脂組成物の塗膜等を加熱して硬化させる場合に、その加熱条件を、より穏和なものに改善することができる物質である。この熱酸発生剤の具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。この熱酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中のフッ素含有オレフィン系重合体100質量部に対して、好ましくは0〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。この割合が過大となると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が劣るものとなるので好ましくない。
(v) 感光性酸発生剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる感光性酸発生剤は、当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)下記一般式(5)で示されるスルホンイミド化合物類;(5)下記一般式(6)で示されるジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができる。
Figure 2005290119
式中、Xは、アルキレン基、アリレーン基、アルコキシレン基等の2価の基を示し、Rは、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。
Figure 2005290119
式中、R及びRは、互いに同一でも異なってもよく、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中のフッ素含有オレフィン系重合体100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。この割合が過大であると、硬化膜の強度が劣ったものとなり、透明性も低下するために好ましくない。
(vi) 界面活性剤
本発明の硬化性樹脂組成物には、当該硬化性樹脂組成物の塗布性を改善する目的で界面活性剤を配合することができる。この界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、具体的には、例えば、各種アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を利用することができるが、特に、硬化膜が優れた強度を有し、しかも良好な光学特性を有するものとするために、カチオン系界面活性剤を用いることが好ましい。さらには、第4級アンモニウム塩であることが好ましく、その中でも第4級ポリエーテルアンモニウム塩を用いると、埃拭き取り性がさらに改善される点で特に好ましい。第4級ポリエーテルアンモニウム塩であるカチオン系界面活性剤としては、旭電化工業社製アデカコールCC−15、CC−36、CC−42等が挙げられる。界面活性剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは5質量部以下である。
(vii) 重合禁止剤
本発明の硬化性樹脂組成物に配合することができる熱重合禁止剤としては、例えば、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン等を挙げることができる。この熱重合禁止剤は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは5質量部以下で用いられる。
(viii) 溶剤
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤を含有していてもよい。当該硬化性樹脂組成物の溶剤は、通常、フッ素含有オレフィン系重合体の製造に用いた溶剤、あるいはフッ素含有オレフィン系重合体と架橋性化合物との反応に用いた溶剤による溶液として得られ、従ってそのままで溶剤を含有するものである。
また、硬化性樹脂組成物の塗布性等を改善すること、その他の目的で、別途溶剤を添加し、配合することができる。本発明の硬化性樹脂組成物に含有される好ましい溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類を挙げることができる。さらに、本発明の硬化性樹脂組成物の溶液には、フッ素含有オレフィン系重合体を溶解し得ない溶剤、例えば、水、アルコール類、エーテル類等の貧溶剤を、フッ素含有オレフィン系重合体が析出しない範囲で併用することができる。これにより、当該フッ素含有オレフィン系重合体の溶液が、良好な保存性と好ましい塗布性を有するものとなる場合がある。このような貧溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等を挙げることができる。
(ix) シリカを主成分とする粒子
本発明の硬化性樹脂組成物には、当該硬化性樹脂組成物の硬化物の耐擦傷性、特にスチールウール耐性を改善する目的でシリカを主成分とする粒子を配合することができる。このシリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。動的光散乱法で求めた数平均粒子径が1〜100nm、固形分が10〜40質量%、pHが2.0〜6.5のコロイダルシリカが好ましい。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類およびケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、または2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカを主成分とする粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスO(動的光散乱法で求めた数平均粒子径7nm、固形分20質量%、pH2.7)、スノーテックスOL(動的光散乱法で求めた数平均粒子径:15nm、固形分:20質量%、pH2.5)等を挙げることができる。
また、コロイダルシリカ表面に化学修飾等の表面処理を行ったものを使用することができ、例えば分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1―トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1―トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。また、分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物を使用することもできる。分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物は、例えば反応性基としてNH基を有するものとして、尿素プロピルトリメトキシシラン、N―(2−アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン等、OH基を有するものとして、ビス(2−ヒドロキシエチル)―3―アミノトリプロピルメトキシシラン等、イソシアネート基を有するものとして3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等、チオシアネート基を有するものとして3−チオシアネートプロピルトリメトキシシラン等、エポキシ基を有するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、チオール基を有するものとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましい化合物として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
シリカを主成分とする粒子の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは10〜100質量部であり、さらに好ましくは10〜60質量部である。
(x) 活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物(以下「光重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する光ラジカル発生剤等が挙げられる。なお、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
光ラジカル発生剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3',4,4'−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、またはBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせなどを挙げることができる。これらの光重合開始剤のうち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノンなどが好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノンなどを挙げることができる。
光重合開始剤の添加量は特に制限されるものではないが、フッ素含有オレフィン系重合体100質量部に対し、0.01〜20質量部とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.01質量部未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20質量部を超えると、硬化物の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。また、このような理由から、光重合開始剤の添加量を、エチレン性不飽和基含有含フッ素含有重合体100質量部に対し、0.05〜15質量部とすることがより好ましく、0.1〜15質量部とすることがさらに好ましい。
(xi) 熱により活性種を発生する化合物
熱により活性種を発生する化合物(以下「熱重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
熱重合開始剤の添加量についても特に制限されるものではないが、エチレン性不飽和基含有含フッ素含有重合体100質量部に対し、0.01〜20質量部とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.01質量部未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20質量部を超えると、硬化物の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。また、このような理由から、エチレン性不飽和基含有含フッ素含有重合体100質量部に対し、熱重合開始剤の添加量を0.05〜15質量部とするのがより好ましく、0.1〜15質量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶液状で各種の基材に塗布することができ、得られた塗膜を硬化させることにより、例えば、基材が透明基材の場合には、優れた反射防止膜が形成される。
3.反射防止膜
以下、本発明の反射防止膜について説明する。本発明の反射防止膜は、上記硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる低屈折率層を含む。さらに、本発明の反射防止膜は、低屈折率層の下に、高屈折率層、ハードコート層、及び基材を含むことができる。図1に、かかる反射防止膜10を示す。図1に示すように、基材12の上に、ハードコート層14、高屈折率層16および低屈折率層18が積層されている。このとき、基材12の上に、ハードコート層14を設けずに、直接、高屈折率層16を形成してもよい。また、高屈折率層16と低屈折率層18の間、又は高屈折率層16とハードコート層14の間に、さらに、中屈折率層(図示せず。)を設けてもよい。
(1)低屈折率層
低屈折率層は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物から構成される。硬化性樹脂組成物の構成等については、上述の通りであるため、ここでの具体的な説明は省略するものとし、以下、低屈折率層の屈折率及び厚さについて説明する。
(i)屈折率
硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の屈折率(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)、すなわち、低屈折率膜の屈折率を1.45以下とすることが好ましい。この理由は、低屈折率膜の屈折率が1.45を超えると、高屈折率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果が著しく低下する場合があるためである。したがって、低屈折率膜の屈折率を1.44以下とするのがより好ましく、1.43以下とするのがさらに好ましい。なお、低屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、したがって、その他の低屈折率膜は1.45を超えた値であってもよい。
また、より優れた反射防止効果を得るためには、低屈折率層と高屈折率層との間の屈折率差を0.05以上の値とするのが好ましい。この理由は、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差が0.05未満の値となると、これらの反射防止膜層での相乗効果が得られず、却って反射防止効果が低下する場合があるためである。したがって、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差を0.1〜0.5の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.5の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(ii)厚さ
また、低屈折率層の厚さについても特に制限されるものではないが、例えば、50〜300nmであることが好ましい。この理由は、低屈折率層の厚さが50nm未満となると、下地としての高屈折率膜に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが300nmを超えると、光干渉が生じて反射防止効果が低下する場合があるためである。したがって、低屈折率層の厚さを50〜250nmとするのがより好ましく、60〜200nmとするのがさらに好ましい。なお、より高い反射防止性を得るために、低屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜300nmとすれば良い。
(2)高屈折率層
高屈折率層を形成するための硬化性組成物としては、特に制限されるものでないが、被膜形成成分として、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせを含むことが好ましい。これらの樹脂であれば、高屈折率層として、強固な薄膜を形成することができ、結果として、反射防止膜の耐擦傷性を著しく向上させることができるためである。しかしながら、通常、これらの樹脂単独での屈折率は1.45〜1.62であり、高い反射防止性能を得るには十分で無い場合がある。そのため、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することがより好ましい。また、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化できる硬化性組成物を用いることができるが、より好適には生産性の良好な紫外線硬化性組成物が用いられる。
高屈折率層の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、50〜30,000nmであることが好ましい。この理由は、高屈折率層の厚さが50nm未満となると、低屈折率層と組み合わせた場合に、反射防止効果や基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが30,000nmを超えると、光干渉が生じて逆に反射防止効果が低下する場合があるためである。したがって、高屈折率層の厚さを50〜1,000nmとするのがより好ましく、60〜500nmとするのがさらに好ましい。また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜30,000nmとすれば良い。なお、高屈折率層と基材との間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率層の厚さを50〜300nmとすることができる。
(3)ハードコート層
本発明の反射防止膜に用いるハードコート層の構成材料については特に制限されるものでない。このような材料としては、シロキサン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
また、ハードコート層の厚さについても特に制限されるものではないが、1〜50μmとするのが好ましく、5〜10μmとするのがより好ましい。この理由は、ハードコート層の厚さが1μm未満となると、反射防止膜の基材に対する密着力を向上させることができない場合があるためであり、一方、厚さが50μmを超えると、均一に形成するのが困難となる場合があるためである。
(4)基材
本発明の反射防止膜に用いる基材の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等からなる基材を挙げることができる。これらの基材を含む反射防止膜とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいは液晶表示装置におけるカラーフィルター等の広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
塗布法としては、公知の塗布方法を使用することができ、特に、ディップ法、コーター法、印刷法等各種の方法を適用することができる。
塗布により形成される硬化性樹脂組成物の塗膜は、硬化させて優れた光学特性と耐久性を有する硬化膜を形成させるために、特に、加熱による熱履歴を与えることが好ましい。もちろん、常温で放置した場合にも、時間の経過と共に硬化反応が進み、目的とする硬化膜が形成されるが、実際上は、加熱して硬化させることが、所要時間を短縮する上で効果的である。また、熱酸発生剤を硬化触媒として添加しておくことにより、さらに硬化反応を促進させることができる。この硬化触媒としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等のための硬化剤として使用されている前述の各種酸類やその塩類を利用することができ、特に、アンモニウム塩を好ましく用いることができる。硬化反応のための加熱条件は適宜選択することができるが、加熱温度は、塗布の対象である基材の耐熱限界温度以下であることが必要である。
硬化性樹脂組成物の硬化条件については特に制限されるものではないが、例えば加熱して硬化させる場合には、30〜200℃の範囲内の温度で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材等を損傷することなく、より効率的に耐擦傷性に優れた反射防止膜を得ることができる。また、このような理由から、50〜180℃の範囲内の温度で、2〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、5〜60分間加熱するのがさらに好ましい。
また、硬化性樹脂組成物を、活性エネルギー線を用いて硬化させる場合には、露光量を0.01〜10J/cm2 の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、露光量が0.01J/cm2 未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cm2 を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。また、このような理由により、露光量を0.1〜5J/cm2 の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明がこれらの実施例に制約されるものではない。また、以下の説明において「部」及び「%」は、特にことわらない限り、それぞれ質量部及び質量%を示す。
<フッ素含有オレフィン系重合体の製造>
実施例1
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、溶剤の酢酸エチル500g、(a)成分のパーフロロ(プロピルビニルエーテル)76.4g、(e)成分のエチルビニルエーテル(EVE)30.5gと、(b)成分の2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)42.4g、(d)成分のノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープNE−30」(旭電化工業株式会社製)20.0g、(c)成分のアゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)5.2g及び重合開始剤の過酸化ラウロイル(LPO)2.0gを仕込み、ドライアイス−メタノール系寒剤により−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次に、(a)成分のヘキサフロロプロピレン(HFP)100.7gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は60Paであった。その後、60℃で攪拌下に20時間反応を継続し、圧力が25Paに低下した時点で、オートクレーブを水冷して反応を停止させた。反応物が室温に達した後、未反応モノマーを放出してオートクレーブを開放し、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入し、ポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行って、220gのフッ素含有重合体1を得た。表1に、このフッ素含有重合体1を得るための単量体の仕込み量及びポリジメチルシロキサン骨格のモル%を示す。
実施例2、3及び比較例1、2
各単量体の種類及び仕込み量を、表1に示したように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフッ素含有重合体2〜5を調製した。また、これらの重合体を構成する各単量体成分の割合は、表2のとおりである。
Figure 2005290119
表1中の商品名は次のものを示している。
VPS−1001:前記一般式(2)で表され、y=120〜150、z=7〜10、数平均分子量が70000〜90000、ポリシロキサン骨格の分子量が約5000のアゾ基含有ポリジメチルシロキサン(和光純薬工業社製)
NE−30:前記一般式(3)で表され、n=9、m=1、s=30であるノニオン性反応性乳化剤「NE−30」(旭電化工業社製)
Figure 2005290119
<硬化性樹脂組成物の製造>
実施例4
実施例1で得られたフッ素含有重合体1の100g、架橋性化合物のメトキシ化メチルメラミン「サイメル303」(三井サイテック株式会社製)20g及び硬化触媒であるp−トルエンスルホン酸2gとをメチルイソブチルケトン(MIBK)900gに添加して溶解させることにより、硬化性樹脂組成物を調製した。
実施例5〜9及び比較例3〜5
フッ素含有重合体、架橋性化合物及び硬化触媒若しくは光重合開始剤の種類並びに量を表3に示すように変更した以外は、実施例4と同様にして硬化性樹脂組成物を調製した。
<硬化膜の評価>
実施例4〜9及び比較例3〜5で得られた硬化性樹脂組成物を用いて形成した硬化膜について、耐布擦り性試験を実施した。結果を表3に示す。
評価用試料の硬化膜は、以下のようにして作製した。
(1)ジルコニア含有ハードコート層用組成物の調製
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部、ジブチルスズジラウレート0.2部からなる溶液に対し、イソフォロンジイソシアネート20.6部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間攪拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで有機化合物(S1)を得た。次に合成した有機化合物(S1)8.2部、トルエンジルコニアゾル(数平均粒子径0.01μm、ジルコニア濃度30%)91.8部、メチルエチルケトン41.2部、イオン交換水0.1部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.3部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで架橋性粒子分散液(分散液a)を得た。この分散液aをアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、25%であった。乾燥空気気流下、紫外線を遮蔽した容器中において、製造した分散液aを312部、ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト12.0部、ペンタエリスリトールトリアクリレート9.0部、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン1.0部を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液のハードコート層用組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30%であった。
(2)硬化性樹脂組成物塗工用基材の作製
片面易接着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムA4100(東レ(株)製)の易接着処理面に、上記(1)で調製したジルコニア含有ハードコート層用組成物をワイヤーバーコータ(#7)を用いて塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、空気下、高圧水銀ランプを用いて、0.9J/cmの光照射条件で紫外線を照射し、硬化性樹脂組成物塗工用基材を作製した。この基材上のハードコート層の膜厚を触針式表面形状測定器により測定したところ、3μmであった。
(3)評価用試料である硬化膜の作製
上記(2)で作製した硬化性樹脂組成物塗工用基材上に、実施例4〜9及び比較例3〜5で得られた各硬化性樹脂組成物をワイヤーバーコータ(#3)を用いて塗工し、オーブン中、80℃で3分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素下、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cmの光照射条件で紫外線を照射し、評価用試料を作製した。このようにして得た各硬化物層の膜厚を反射率測定により概算したところ、いずれも約100nmであった。
耐布擦り性試験は、耐布(旭化成工業社製、商品名:ベンコット)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業製)に取り付け、硬化膜の表面を荷重1kgの条件で擦過し、傷のつき始めるまでの回数を目視で確認することによって行った。
Figure 2005290119
表3中の商品名は、次のものを示している。
サイメル303:メトキシ化メチルメラミン(三井サイテック株式会社製)
IRUGACURE907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1(チバガイギー社製、光重合開始剤)
表3の結果から、本発明で規定する割合より少ないポリジメチルシロキサン骨格を有するフッ素含有重合体4を用いた比較例1及び2の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化膜は、傷付きが確認された最少のベンコット摩耗試験回数(耐布擦り性)が30又は40であるのに対し、本発明で規定する割合で、ポリジメチルシロキサン骨格を含有するフッ素含有重合体1〜3を用いた実施例1〜6の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化膜は、耐布擦り性が100〜650であり、耐布擦り性が改善されることがわかる。なお、比較例5では、塗工時に未硬化組成物が基材面ではじかれたため塗工できず評価不能であった。
本発明の硬化性樹脂組成物は、良好な熱硬化性を示し、また、本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化物は、低い屈折率及び耐布擦り性に優れる。従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、特に、反射防止膜、光ファイバー鞘材等の光学材料の形成に有利に用いることができ、また、フッ素含量が高いことを利用して、耐候性が要求される基材に対する塗料用材料、耐候フィルム用材料、コーティング用材料、その他として好適に使用することができる。しかも、当該硬化膜は、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高く、良好な反射防止効果を付与することから、反射防止膜として極めて有用であり、各種の表示装置に適用することにより、その視認性を向上させることができる。
本発明の一実施形態による反射防止膜の断面図である。
符号の説明
10 反射防止膜
12 基材
14 ハードコート層
16 高屈折率層
18 低屈折率層

Claims (4)

  1. 主鎖中にポリシロキサン骨格を4〜20モル%含有するフッ素含有オレフィン系重合体。
  2. 請求項1に記載のフッ素含有オレフィン系重合体を含む硬化性樹脂組成物。
  3. さらに架橋性化合物を含有する請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項2又は3に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜。
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