JP2006161013A - 液状硬化性樹脂組成物、硬化膜及び積層体 - Google Patents

液状硬化性樹脂組成物、硬化膜及び積層体 Download PDF

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Hiromi Shimomura
宏臣 下村
Mitsunobu Doimoto
光伸 土居本
Yasunobu Suzuki
康伸 鈴木
Tetsuya Yamamura
哲也 山村
Takayoshi Tanabe
隆喜 田辺
Hideaki Takase
英明 高瀬
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Abstract

【課題】 低屈折率層と高屈折率層等の二層以上の多層構造を有する硬化膜を効率的に製造できる液状硬化性樹脂組成物を提供すること、及び透明性が高く、基材に対する密着性が大きく、しかも優れた耐擦傷性及び耐薬品性を有する硬化膜を提供する。
【解決手段】 下記成分
(A)含フッ素重合体
(B)熱硬化性化合物
(C)硬化触媒
(D)数平均粒子径が100nm以下である金属酸化物粒子
(E−1)(A)含フッ素重合体に対する溶解性が高い、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(C)速揮発溶剤」という)
(E−2)(D)金属酸化物粒子に対する分散安定性が高く、かつ、(E−1)速揮発溶剤と相溶性である、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(E−2)遅揮発溶剤」という)
(F)活性エネルギー線硬化性化合物
を含み、かつ、(E−1)速揮発溶剤の相対蒸発速度が、(E−2)遅揮発溶剤の相対蒸発速度よりも大きい液状硬化性樹脂組成物;それからなる硬化膜。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液状硬化性樹脂組成物、硬化膜及び積層体に関し、特に、例えば、本組成物を塗布して得られる一の塗膜から、低屈折率層と高屈折率層等の、二層以上の多層構造を有する硬化膜を形成することができる液状硬化性樹脂組成物、硬化膜及び積層体に関する。
現在、マルチメディアの発達に伴い、各種の表示装置(ディスプレイ装置)において種々の発展が見られている。そして、各種の表示装置のうち、特に、携帯用を中心に屋外で使用されるものでは、その視認性の向上がますます重要となってきており、大型表示装置においても、より見易くすることが需要者に要求されており、この事項がそのまま技術課題となっている。
従来、表示装置の視認性を向上させるための一手段として、低屈折率材料から構成される反射防止膜を、表示装置の基板に被覆することが行われており、反射防止膜を形成する方法としては、例えば、フッ素化合物の薄膜を蒸着法により形成する方法が知られている。然るに、近年では、液晶表示装置を中心として、低いコストで、しかも大型の表示装置に対しても、反射防止膜を形成することのできる技術が求められている。しかしながら、蒸着法による場合には、大面積の基板に対して、高い効率で均一な反射防止膜を形成することが困難であり、しかも真空装置を必要とするために、コストを低くすることが困難である。
このような事情から、屈折率の低いフッ素系重合体を有機溶剤に溶解して液状の組成物を調製し、これを基板の表面に塗布することによって反射防止膜を形成する方法が検討されている。例えば、基板の表面にフッ素化アルキルシランを塗布することが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、特定の構造を有するフッ素系重合体を塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭61−40845号公報 特公平6−98703号公報 特開平6−115023号公報
これら従来のフッ素系材料による反射防止膜は、基材上に設けられた高屈折率層に、フッ素系材料からなる低屈折率層を形成する必要があり、これらの層を形成するための塗布工程を別々に設ける必要があった。
また、表層である低屈折率層の耐擦傷性が十分ではなかった。
本発明は、以上のような状況を背景としてなされたものであって、その目的は、低屈折率層と高屈折率層とを効率的に製造できる液状硬化性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、透明性が高く、基材に対する密着性が大きく、しかも優れた耐擦傷性及び耐薬品性を有する硬化膜を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討を重ね、熱硬化性化合物及び活性エネルギー線硬化性化合物を添加することにより、低温短時間の硬化プロセスで、耐擦傷性、耐薬品性等に優れた硬化膜を与える液状硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、本発
明を完成した。
即ち、本発明は、以下の液状硬化性樹脂組成物、及びそれを硬化させてなる硬化膜を提供する。
[1]下記成分
(A)含フッ素重合体
(B)熱硬化性化合物
(C)硬化触媒
(D)数平均粒子径が100nm以下である金属酸化物粒子(以下、「(D)金属酸化物粒子」という)
(E−1)(A)含フッ素重合体に対する溶解性が高い、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(C)速揮発溶剤」という)
(E−2)(D)金属酸化物粒子に対する分散安定性が高く、かつ、(E−1)速揮発溶剤と相溶性である、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(E−2)遅揮発溶剤」という)
(F)活性エネルギー線硬化性化合物
を含み、かつ、(E−1)速揮発溶剤の相対蒸発速度が、(E−2)遅揮発溶剤の相対蒸発速度よりも大きい液状硬化性樹脂組成物。
[2]液状硬化性樹脂組成物中の(E−1)速揮発溶剤及び(E−2)遅揮発溶剤(以下、両者を併せて「(E)溶剤)」という)以外の成分総量100質量%中に、
(C)成分0.1〜20質量%
を含む上記[1]に記載の液状硬化性樹脂組成物。
[3]液状硬化性樹脂組成物中の(E)溶剤以外の成分総量100質量%中に、前記(B)成分5〜80質量%を含む上記[1]又は[2]に記載の液状硬化性樹脂組成物。
[4]前記(D)金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アンチモン含有酸化スズ、酸化スズ含有インジウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモン含有酸化亜鉛及びインジウム含有酸化亜鉛から選択される一又は二以上の金属酸化物を主成分とする粒子である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の液状硬化性樹脂組成物。
[5]前記金属酸化物粒子が、多層構造を有する金属酸化物粒子である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の液状硬化性樹脂組成物。
[6]前記(D)金属酸化物粒子が、重合性不飽和基を有する有機化合物と結合している上記[1]〜[5]のいずれかに記載の液状硬化性樹脂組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の液状硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、2層以上の多層構造を有することを特徴とする硬化膜。
[8]前記硬化膜が、前記(D)成分が高密度に存在する1以上の層と、前記(D)成分が実質的に存在しない1以下の層からなる二層以上の層構造を有する上記[7]に記載の硬化膜。
[9]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の液状硬化性樹脂組成物を加熱することにより及び/又は放射線を照射することにより硬化させる工程を有する硬化膜の製造方法。
本発明によれば、本発明の液状硬化性樹脂組成物を塗布して得られる一の塗膜から低屈折率層及び高屈折率層等を含む二層以上の多層構造を有する硬化膜が得られ、製造工程を簡略化できる。従って、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、特に、反射防止膜、光ファイバー鞘材等の光学材料の形成に有利に用いることができ、また、フッ素含量が高いことを利用して、耐候性が要求される基材に対する塗料用材料、耐候フィルム用材料、コーティング用材料、その他として好適に使用することができる。しかも、当該硬化膜は、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高く、耐薬品性に優れ、良好な反射防止効果を付与することから、反射防止膜として極めて有用であり、各種の表示装置に適用することにより、
その視認性を向上させることができる。
1.液状硬化性樹脂組成物
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、下記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E−1)、(E−2)及び(F)を含有する。
(A)含フッ素重合体
(B)熱硬化性化合物
(C)硬化触媒
(D)数平均粒子径が100nm以下である金属酸化物粒子
(E−1)(A)含フッ素重合体に対する溶解性が高い、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(C)速揮発溶剤」という)
(E−2)(D)金属酸化物粒子に対する分散安定性が高く、かつ、(E−1)速揮発溶剤と相溶性である、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(E−2)遅揮発溶剤」という)
(F)活性エネルギー線硬化性化合物
これらの成分について以下説明する。
(A)含フッ素重合体
含フッ素重合体は、分子内に炭素−フッ素結合を有する重合体であり、フッ素含量は30質量%以上である。含フッ素重合体としては、分子内に水酸基を有する含フッ素重合体(以下、「水酸基含有含フッ素重合体」又は単に「含フッ素重合体」ということがある)であれば、好適に使用することができる。ここで、フッ素含量は、アリザリンコンプレクソン法により測定された値である。
好ましい水酸基含有含フッ素重合体の例としては、水酸基を含有する単量体由来の構造単位を10モル%〜50モル%含有してなる、主鎖中にポリシロキサンセグメントを有するものが挙げられる。水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、フッ素含量が30質量%以上、より好ましくは40〜60質量%であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、展開溶剤としてテトラヒドロフランを用いたときのポリスチレン換算による数平均分子量が5000以上、より好ましくは10000〜500000のものである。
このような水酸基含有含フッ素重合体は、下記一般式(1)で表されるポリシロキサンセグメントを主鎖に有するオレフィン系重合体であり、水酸基含有含フッ素重合体における当該ポリシロキサンセグメントの割合は、通常0.1〜20モル%である。
式中、R及びRは、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す。
上記の含フッ素重合体は、(a)フッ素含有オレフィン化合物(以下「(a)成分」という。)、(b)この(a)成分と共重合可能な水酸基を含有する単量体化合物(以下「(b)成分」という。」)及び(c)アゾ基含有ポリシロキサン化合物(以下「(c)成分」という。)、並びに、必要に応じて、(d)反応性乳化剤(以下「(d)成分」という。)、及び/又は(e)前記(a)成分と共重合可能な(b)成分以外の単量体化合物を反応させることにより得ることができる。
(a)成分であるフッ素含有オレフィン化合物としては、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙げることができ、その具体例としては、例えば、(1)テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロロプロピレン等のフロロオレフィン類;(2)パーフロロ(アルキルビニルエーテル)類若しくはパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;(3)パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルキルビニルエーテル)類;(4)パーフロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;その他を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を併用することができる。以上のうち、特にヘキサフロロプロピレン、パーフロロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)が好ましく、さらにはこれらを組み合わせて使用することが好ましい。
(b)成分である水酸基を含有する単量体化合物としては、例えば、(1)2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;(2)2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;(3)アリルアルコール;(4)ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル;その他を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を併用することができる。好ましくは、水酸基含有アルキルビニルエーテル類である。
(c)成分のアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、−N=N−で示される熱解裂容易なアゾ基を含有すると共に、前記一般式(1)で表されるポリシロキサンセグメントを有する化合物であり、例えば、特開平6−93100号公報に記載された方法により製造することのできるものである。(c)成分の具体例としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
式中、y=10〜500、z=1〜50である。
上記の(a)成分、(b)成分及び(c)成分の好ましい組み合わせは、例えば、(1)フロロオレフィン/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、(2)フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、(3)フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、(4)フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位、(5)フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/水酸基含有アルキルビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位である。
この含フッ素重合体において、(a)成分に由来する構造単位は、好ましくは20〜70モル%、さらに好ましくは25〜65モル%、特に好ましくは30〜60モル%である。(a)成分に由来する構造単位の割合が20モル%未満では、得られる含フッ素重合体中のフッ素含量が過少となりやすく、得られる液状硬化性樹脂組成物の硬化物は、屈折率が十分に低いものとなりにくい。一方、(a)成分に由来する構造単位の割合が70モル%を超えると、得られる含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が著しく低下するとともに、得られる液状硬化性樹脂組成物は、透明性及び基材への密着性が小さいものとなる。
含フッ素重合体において、(b)成分に由来する構造単位は、好ましくは10〜50モル%である。より好ましくは下限値が13モル%以上であり、さらに好ましくは20モル%を超え、21モル%以上であり、また、好ましくは上限値が45モル%以下であり、さらに好ましくは35モル%以下である。このような(b)成分を所定量含有する含フッ素重合体を用いて液状硬化性樹脂組成物を構成することにより、その硬化物において、良好な耐擦傷性と埃拭き取り性を実現することができる。他方、(b)成分に由来する構造単位の割合が10モル%未満では、含フッ素重合体は、有機溶剤への溶解性が劣ったものとなり、50モル%を超えると、液状硬化性樹脂組成物による硬化物は、透明性及び低反射率の光学特性が悪化したものとなる。
(c)成分のアゾ基含有ポリシロキサン化合物は、それ自体が熱ラジカル発生剤であり、含フッ素重合体を得るための重合反応において重合開始剤としての作用を有するが、他のラジカル開始剤を併用することもできる。含フッ素重合体における(c)成分に由来する構造単位の割合は、一般式(1)で表されるポリシロキサンセグメントが、好ましくは0.1〜20モル%、さらに好ましくは0.1〜15モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%、特に好ましくは0.1〜5モル%となる割合である。一般式(1)で表されるポリシロキサンセグメントの割合が20モル%を超える場合には、得られる含フッ素重合体は、透明性に劣ったものとなり、また塗布剤として用いる場合には、塗布時にハジキ等が発生し易くなる。
上記(a)〜(c)成分以外に、さらに(d)成分として、反応性乳化剤を単量体成分として用いることが好ましい。この(d)成分を用いることにより、含フッ素重合体を塗布剤として使用する場合に、良好な塗布性及びレベリング性を得ることができる。この反応性乳化剤としては、特に、ノニオン性反応性乳化剤を用いることが好ましい。ノニオン性反応性乳化剤の具体例としては、例えば、下記一般式(3)又は一般式(4)で示される化合物を挙げることができる。
式中、nは1〜20であり、m及びsは、繰り返し単位を示し、m=0〜4、s=3〜50である。
式中、m及びsは、一般式(3)と同様である。Rは、直鎖状でも分岐状でもよいアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜40のアルキル基である。
含フッ素重合体において、(d)成分由来の構成単位の割合は、好ましくは0〜10モル%であり、さらに好ましくは0.1〜5モル%、特に好ましくは0.1〜1モル%である。この割合が10モル%を超えると、得られる液状硬化性樹脂組成物が粘着性を帯びたものとなるために取り扱いが困難となり、塗布剤として使用する場合に耐湿性が低下する。
(e)成分の、(a)成分と共重合可能な(b)成分以外の単量体化合物としては、(1)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル若しくはシクロアルキルビニルエーテル類;(2)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;(3)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(4)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体化合物等であって、水酸基を含有しないものを挙げることができる。好ましくは、アルキルビニルエーテルである。
含フッ素重合体において、(e)成分由来の構成単位の割合は、好ましくは0〜70モル%であり、さらに好ましくは5〜35モル%である。この割合が70モル%を超えると、得られる液状硬化性樹脂組成物が粘着性を帯びたものとなるために取り扱いが困難となり、塗布剤として使用する場合に耐湿性が低下する。
(d)成分を含有する場合の、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分の好ましい組み合わせは次のとおりである。
(1)フロロオレフィン/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル、(2)フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル、(3)フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル、(4)フロロオレフィン/パーフロロ(アルキルビニルエーテル)/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル、(5)フロロオレフィン/パーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)/水酸基含有ビニルエーテル/ポリジメチルシロキサン単位/ノニオン性反応性乳化剤/アルキルビニルエーテル。
(c)成分と併用することができるラジカル重合開始剤としては、例えば、(1)アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;(2)メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;(3)過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;(4)ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアルキルパーオ
キサイド類;(5)tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類;(6)アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物類;(7)過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;その他を挙げることができる。
上記のラジカル重合開始剤以外の具体例としては、例えば、パーフロロエチルアイオダイド、パーフロロプロピルアイオダイド、パーフロロブチルアイオダイド、(パーフロロブチル)エチルアイオダイド、パーフロロヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロヘプチルアイオダイド、パーフロロオクチルアイオダイド、2−(パーフロロオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロデシルアイオダイド、2−(パーフロロデシル)エチルアイオダイド、ヘプタフロロ−2−ヨードプロパン、パーフロロ−3−メチルブチルアイオダイド、パーフロロ−5−メチルヘキシルアイオダイド、2−(パーフロロ−5−メチルヘキシル)エチルアイオダイド、パーフロロ−7−メチルオクチルアイオダイド、2−(パーフロロ−7−メチルオクチル)エチルアイオダイド、パーフロロ−9−メチルデシルアイオダイド、2−(パーフロロ−9−メチルデシル)エチルアイオダイド、2,2,3,3−テトラフロロプロピルアイオダイド、1H,1H,5H−オクタフロロペンチルアイオダイド、1H,1H,7H−ドデカフロロヘプチルアイオダイド、テトラフロロ−1,2−ジヨードエタン、オクタフロロ−1,4−ジヨードブタン、ドデカフロロ−1,6−ジヨードヘキサン等のヨウ素含有フッ素化合物を挙げることができる。ヨウ素含有フッ素化合物は、単独で、又は上記の有機過酸化物、アゾ系化合物あるいは過硫酸塩と併用することができる。
含フッ素重合体を製造するための重合様式としては、ラジカル重合開始剤を用いる、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法又は溶液重合法のいずれをも用いることができ、重合操作としても、回分式、半連続式又は連続式の操作等から適宜のものを選択することができる。
含フッ素重合体を得るための重合反応は、溶剤を用いた溶剤系で行うことが好ましい。ここに、好ましい有機溶剤としては、例えば、(1)酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;(2)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;(3)テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;(4)N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;(5)トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;その他を挙げることができる。さらに必要に応じて、アルコール類、脂肪族炭化水素類等を混合使用することもできる。
上記のようにして得られる含フッ素重合体は、その重合反応で得られた反応溶液をそのまま液状硬化性樹脂組成物として使用することが可能な場合もあるが、重合反応溶液に対して適宜の後処理を行うことも自由である。この後処理としては、例えば、重合反応溶液を、アルコール等よりなる当該含フッ素重合体の不溶化溶剤に滴加して当該含フッ素重合体を凝固させる精製方法に代表される一般的な再沈殿処理を行うことができ、次いで、得られる固形の共重合体を溶剤に溶解させることにより、含フッ素重合体の溶液を調製することができる。また、重合反応溶液から残留モノマーを除去したものを、そのまま含フッ素重合体の溶液として使用することもできる。
液状硬化性樹脂組成物中の(E)溶剤以外の成分総量100質量%中の(A)含フッ素重合体の配合割合は、通常5〜80質量%の範囲であり、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは15〜80質量%の範囲である。この範囲を外れると反射防止効果が損なわれたり、塗膜強度が低下したりするため好ましくない。
(B)熱硬化性化合物
液状硬化性樹脂組成物において、熱硬化性化合物は上記(A)含フッ素重合体と単に混合して含めてもよいし、含フッ素重合体と熱硬化性化合物との全部を反応させた反応生成物若しくはそれらの一部のみを反応させた状態のものを含めてもよい。
熱硬化性化合物としては、例えば、各種アミノ化合物や、ペンタエリスリトール、ポリフェノール、グリコール等の各種水酸基含有化合物、その他を挙げることができる。
熱硬化性化合物として用いられるアミノ化合物は、含フッ素重合体中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。
メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているものであり、具体的には、メラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1分子中にメチロール基及びアルコキシ化メチル基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上有するものが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミン、アルコキシ化メチルメラミン、又はそれらの誘導体が好ましく、特に液状硬化性樹脂組成物に良好な保存安定性が得られる点、及び良好な反応性が得られる点で、アルコキシ化メチルメラミンが好ましい。熱硬化性化合物として用いられるメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンには特に制約はなく、例えば、文献「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹脂状物の使用も可能である。
また、尿素系化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール化ウロン及びアルコキシ化メチルウロン等を挙げることができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても、上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能である。
液状硬化性樹脂組成物中の(E)溶剤以外の成分総量100質量%中に含まれる熱硬化性化合物の使用量は、5〜80質量%の範囲であり、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%の範囲である。熱硬化性化合物の使用量が過少であると、得られる液状硬化性樹脂組成物により形成される薄膜の耐久性が不十分となる場合があり、80質量%を超えると、含フッ素重合体との反応においてゲル化を回避することが困難であり、硬化物が脆いものとなる場合がある。
含フッ素重合体と熱硬化性化合物との反応は、例えば、含フッ素重合体を溶解させた有機溶剤の溶液に熱硬化性化合物を添加し、適宜の時間加熱、攪拌等により反応系を均一化させながら行えばよい。この反応のための加熱温度は、好ましくは30〜150℃の範囲であり、さらに好ましくは50〜120℃の範囲である。この加熱温度が30℃未満では、反応の進行が極めて遅く、150℃を超えると、目的とする反応の他に、熱硬化性化合物中のメチロール基やアルコキシ化メチル基同士の反応による橋掛け反応が生じてゲルが生成するので、好ましくない。反応の進行は、メチロール基又はアルコキシ化メチル基を赤外分光分析等により定量する方法、あるいは溶解している重合体を再沈殿法によって回収して、その増加量を測定することにより、定量的な確認を行うことができる。
また、含フッ素重合体と熱硬化性化合物との反応には、有機溶剤、例えば、含フッ素重合体の製造において用いられる有機溶剤と同じもの用いることが好ましい。本発明におい
ては、このようにして得られる、含フッ素重合体と熱硬化性化合物による反応溶液を、そのまま液状硬化性樹脂組成物の溶液として用いることもできるし、必要に応じて各種の添加剤を配合した上で使用することもできる。
(C)硬化触媒
本発明で用いられる硬化触媒としては、例えば熱酸発生剤を挙げることができる。熱酸発生剤は、当該液状硬化性樹脂組成物の塗膜等を加熱して硬化させる場合に、硬化反応を促進させることができる物質であり、またその加熱条件を、より穏和なものに改善することができる物質である。この熱酸発生剤としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等のための硬化剤として使用されている各種酸類やその塩類を利用することができる。具体例としては、例えば、各種脂肪族スルホン酸とその塩、クエン酸、酢酸、マレイン酸等の各種脂肪族カルボン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩、アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩、各種金属塩、リン酸や有機酸のリン酸エステル等を挙げることができる。
液状硬化性樹脂組成物中の(E)溶剤以外の成分総量100質量%中に含まれる硬化触媒の使用量は、通常0.1〜20質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%の範囲である。硬化触媒の使用量が過少であると、十分な機械的強度、及び耐薬品性が得られないため好ましくない。この割合が過大になると、触媒が硬化膜中で可塑剤として作用してしまい、塗膜の透明性が損なわれたり、十分な機械的強度が得られなかったりして好ましくない。
本発明の液状硬化性樹脂組成物においては、上記(B)熱硬化性化合物及び(C)硬化触媒の添加量を上記特定範囲とすることによって、液状硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜の特性、特に耐擦傷性及び耐薬品性を改善することができる。
(D)数平均粒子径が100nm以下である金属酸化物粒子
金属酸化物粒子として、好ましくは、酸化チタン、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、アンチモン含有酸化スズ、酸化スズ含有インジウム、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモン含有酸化亜鉛及びインジウム含有酸化亜鉛選択される一又は二以上の金属酸化物を主成分とする粒子が使用できる。ここで、金属酸化物粒子を当該金属酸化物以外の前記一又は二以上の金属酸化物で被覆した多層構造を有する金属酸化物粒子を用いることもできる。多層構造を有する金属酸化物粒子の具体例としては、シリカ被覆酸化チタン粒子、アルミナ被覆酸化チタン粒子、ジルコニア被覆酸化チタン粒子等を挙げることができる。このような金属酸化物粒子の中で、シリカを主成分とする粒子、酸化チタンを主成分とする粒子又はシリカ被覆酸化チタン粒子が特に好ましい。
多層構造を有する金属酸化物粒子を用いることにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、硬化物の分解を抑止することができる。その結果、高屈折率で、耐光性に優れた硬化膜を得ることができる。
また、アンチモン含有酸化スズ粒子(ATO)等を用いることにより、硬化膜に帯電防止性を付与できる。この場合、後述するように、ATO粒子が偏在化するため、より少量の粒子添加量で有効な帯電防止性と良好な透明性を両立できる。
シリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。動的光散乱法、または電子顕微鏡観察により求めた数平均粒子径が1〜100nm、固形分が10〜40質量%、pHが2.0〜6.5のコロイダルシリカが好ましい。
金属酸化物粒子として、波長589nmにおける屈折率が1.5以上の金属酸化物粒子を用いることにより、二層以上の層を有する硬化膜を構成する金属酸化物粒子が高密度で存在する層の屈折率を高くすることができるため、反射防止層として好適となる。このような目的のためには、シリカ(屈折率約1.45)粒子は好適でない。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカを主成分とする粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスO(動的光散乱法で求めた数平均粒子径7nm、固形分20質量%、pH2.7)、スノーテックスOL(動的光散乱法で求めた数平均粒子径:15nm、固形分:20質量%、pH2.5)等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる(D)金属酸化物粒子は、下記重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)や、分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等(以下、「有機化合物(Ac)」という)を反応させる方法が挙げられる。ただし、ここでいう反応には、共有結合の他、物理吸着等の非共有結合も含まれる。この場合、有機化合物(Ab)と結合していない金属酸化物粒子(以下、金属酸化物粒子(Aa)」という)と、有機化合物(Ab)又は(Ac)とが結合した粒子を、反応性粒子(Dab)又は(Dac)という。
金属酸化物粒子(Ab)が重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)又は(Ac)と結合している反応性粒子(Dab)又は(Dac)とすることによって、(D)金属酸化物粒子成分に、重合性不飽和基を持たせ、他の重合性成分と強固な共有結合を形成することができ、得られる硬化膜の耐擦傷性を向上させることができる。
(1)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)による化学修飾
本発明に用いられる有機化合物(Ab)は、重合性不飽和基を有する化合物であり、さらに、下記式(5)に示す基を含む有機化合物であることが好ましい。また、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1を含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
[式中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
(i)重合性不飽和基
有機化合物(Ab)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げ
ることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
(ii)前記式(5)に示す基
有機化合物に含まれる前記式(5)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(5)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材や高屈折率層等の隣接層との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
(iii)シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。このようなシラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基を生成する化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(Aa)と結合する構成単位である。
(iv)好ましい態様
有機化合物(Ab)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(6)に示す化合物を挙げることができる。
式中、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、jは、1〜3の整数である。
[(RO) 3−jSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
10は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
式(6)で示される化合物の具体例として、下記式(7)で示される化合物が挙げられる。
[式中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。「Me」は、メチル基を示す。]
本発明で用いられる有機化合物(Ab)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃で数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃で数時間程度反応させることにより製造される。
(v)反応性粒子(Dab)
シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する有機化合物(Ab)を金属酸化物粒子(Aa)と混合し、加水分解させ、両者を結合させる。得られる反応性粒子(Dab)中の有機重合体成分すなわち加水分解性シランの加水分解物及び縮合物の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱質量分析により求めることができる。
金属酸化物粒子(Aa)への有機化合物(Ab)の結合量は、反応性粒子(Dab)(金属酸化物粒子(Aa)及び有機化合物(Ab)の合計)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。金属酸化物粒子(Aa)に結合した有機化合物(Ab)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子(Dab)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子(Dab)製造時の原料中の金属酸化物粒子(Aa)の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。反応性粒子(Dab)を構成する金属酸化物粒子(Aa)の含有量は、反応性粒子(Dab)の65〜95質量%であることが好ましい。
(2)分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等(有機化合物(Ac))による化学修飾
また、金属酸化物粒子(Aa)に、分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等(有機化合物(Ac))を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1―トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1―トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。また、分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物を使用することもできる。分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物は、例えば反応性基としてNH基を有するものとして、尿素プロピルトリメトキシシラン、N―(2−アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン等、OH基を有するものとして、ビス(2−ヒドロキシエチル)―3―アミノトリプロピルメトキシシラン等、イソシアネート基を有するものとして3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等、チオシアネート基を有するものとして3−チオシアネートプロピルトリメトキシシラン等、エポキシ基を有するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、チオール基を有するものとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましい化合物として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
液状硬化性樹脂組成物中の(E)溶剤以外の成分総量100質量%中に含まれる(D)金属酸化物粒子(反応性粒子(Dab)、(Dac)である場合を含む)の使用割合は、通常5〜80質量%の範囲であり、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%の範囲である。この範囲を外れると反射防止効果が損なわれたり、塗膜強度が低下したりするため好ましくない。
金属酸化物粒子の数平均粒子径は、数平均粒子径が100nm以下である。数平均粒子径が100nmを超えると、金属酸化物粒子を均一に分散させることが困難となる場合がある。また、金属酸化物粒子が沈降し易くなり、保存安定性に欠ける場合がある。さらには、得られる硬化膜の透明性が低下したり、濁度(Haze値)が上昇したりする場合がある。
数平均粒子径は、10〜80nmがより好ましく、20〜50nmがさらに好ましい。
尚、「数平均粒子径」は金属酸化物粒子が凝集しているときは、一次粒子径であり、金属酸化物粒子が球形でないときは(例えば、針状ATO等)、長径(縦長)と短径(横長)の平均である。数平均粒子径は、電子顕微鏡法で測定した数平均粒子径である。
(E)溶剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物においては、層分離を生じさせるために(E−1)速揮発溶剤及び(E−2)遅揮発溶剤の2種類の溶剤を配合する必要がある。(E−1)及び(E−2)の溶剤は、それぞれ1種以上を用いる。
(E−1)速揮発溶剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物に含まれる(E−1)速揮発溶剤は、上記(A)含フッ素重合体に対する溶解性が高い1種又は2種以上の溶剤である。そして、(E−1)速揮発溶剤の相対蒸発速度は、後述の(E−2)遅揮発溶剤の相対蒸発速度よりも大きいことが必要である。ここで、「相対蒸発速度」とは、酢酸ブチルが90質量%蒸発するのに要する時間を基準とする蒸発速度の相対値をいい、詳細は、TECHNIQUES OF CHEMISTRY VOL2 ORGANIC SOLVENTS Physical Properties and methods of purification 4th ed. (Interscience Publishers, Inc. 1986 page62)に記載のとおりである。また、(E−1)速揮発溶剤は、上記(D)金属酸化物粒子
に対する分散安定性が低いことが好ましい。(E−1)速揮発溶剤は、相対蒸発速度が(E−2)よりも大きく、(A)含フッ素重合体に対する溶解性が高く、かつ、(D)金属酸化物粒子に対する分散安定性が低いことにより、本発明の液状硬化性樹脂組成物を、基材に塗布し、溶剤(E−1)及び(E−2)を蒸発させる過程で、(D)金属酸化物粒子を偏在化させることができる。
本発明で(E−1)速揮発溶剤として用いることができる溶剤としては、相対蒸発速度が概ね1.7以上の溶剤であり、具体的には、メチルエチルケトン(MEK;相対蒸発速度3.8)、イソプロパノール(IPA;1.7)、メチルイソブチルケトン(MIBK;相対蒸発速度1.6)、メチルアミルケトン(MAK;0.3)、アセトン、メチルプロピルケトン等が挙げられる。
(E−2)遅揮発溶剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物に含まれる(E−2)遅揮発溶剤は、上記(D)金属酸化物粒子に対する分散安定性が高い、1種又は2種以上の溶剤である。また、(E−2)遅揮発溶剤は、上記(A)含フッ素重合体に対する溶解性が低いことが好ましい。
本発明で(E−2))遅揮発溶剤として用いることができる溶剤としては、相対蒸発速度が概ね1.7以下の溶剤であり、具体的には、メタノール(相対蒸発速度2.1)、イソプロパノール(IPA;1.7)、n−ブタノール(n−BuOH;0.5)、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
本発明で用いる(E−1)速揮発溶剤及び/又は(E−2)遅揮発溶剤は、通常、上記(A)含フッ素重合体の製造に用いた溶剤をそのまま用いることができる。
本発明で用いる(E−1)速揮発溶剤と(E−2)遅揮発溶剤は、相溶性であることが必要である。相溶性は、本発明の組成物の具体的構成において、(E−1)速揮発溶剤と(E−2)遅揮発溶剤が分離しない程度の相溶性があれば足りる。
ここで、選択された溶剤が、本発明で用いる(E−1)速揮発溶剤又は(E−2)遅揮発溶剤のいずれに該当するかは、選択された複数の溶剤種の間で相対的に決まるものであり、それ故、相対蒸発速度が1.7のイソプロパノールは、(E−1)速揮発溶剤として用いられることもあれば、(E−2)遅揮発溶剤として用いられることもある。
液状硬化性樹脂組成物中の溶剤((E−1)成分及び(E−2)成分を含む)以外の成分総量100質量部に対し、溶剤(E−1)及び溶剤(E−2)の合計量は、通常300〜5000質量部、好ましくは300〜4000質量部、より好ましくは300〜3000質量部を用いる。溶剤(E−1)と溶剤(E−2)の配合比は、1:99〜99:1の範囲で任意に選択することができる。
(F)活性エネルギー線硬化性化合物
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性化合物は、分子内に2以上の重合性不飽和基を含む化合物である。この化合物は組成物の成膜性を高めるために好適に用いられ、分子内に重合性不飽和基を2以上含むものであれば特に制限はないが、例えば、メラミンアクリレート類、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。この中では、(メタ)アクリルエステル類が好ましい。
以下、本発明に用いられる(F)成分の具体例を列挙する。
(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類の他、下記式(8)で示される化合物等を挙げることができる。この中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、下記式(8)で示される化合物が好ましい。
[式中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。
このような(F)成分の市販品としては、例えば、(株)三和ケミカル製 商品名:ニカラック MX−302、東亞合成(株)製 商品名:アロニックス M−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30
、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製 商品名:ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。
本発明の組成物中における、(F)活性エネルギー線硬化性化合物の配合割合は、通常5〜80質量%の範囲、好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。活性エネルギー線硬化性化合物の配合量が過小であると、十分な塗膜強度が得られず、逆に80質量%を超えると、反射防止効果が低下してしまうため好ましくない。
液状硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線硬化性化合物を添加することにより、本発明の液状硬化性樹脂組成物を硬化することによって得られる硬化膜の特性、特に耐擦傷性、耐薬品性をさらに好ましいものとすることができる。
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、上記(A)〜(F)成分の他、任意成分として液状硬化性樹脂組成物の塗布性及び硬化後の薄膜の物性の改善や、塗膜に対する感光性の付与等を目的として(G)光重合開始剤の他、(H)種々の添加剤を添加することができる。
(G)光重合開始剤
光重合開始剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、又はBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
これらの光重合開始剤のうち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等が好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等を挙げることができる。
液状硬化性樹脂組成物中の(E)溶剤以外の成分総量100質量%中の(G)光重合開
始剤の配合割合は、通常0.1〜10質量%の範囲、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。光重合開始剤の配合割合が過小であると、光重合が開始されず、逆に10質量%を超えると、触媒が硬化膜中で可塑剤として作用してしまい、透明性が損なわれたり、十分な機械的強度が得られなかったりするため好ましくない。
(H)その他の添加剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物に添加できる添加剤としては、例えば、水酸基を有する種々のポリマーやモノマー、顔料又は染料等の着色剤、老化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤、感光性酸発生剤、界面活性剤、重合禁止剤等の各種の添加剤を含有させることができる。特に、形成される硬化膜の硬度及び耐久性の改善を目的として、熱酸発生剤又は光酸発生剤を添加することが好ましく、特に、液状硬化性樹脂組成物の硬化後の透明性を低下させず、かつその溶液に均一に溶解するものを選択して用いるのが好ましい。
(i) 水酸基を有するポリマー
本発明の液状硬化性樹脂組成物に配合することができる水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有共重合性単量体を共重合して得られるポリマー、ノボラック樹脂又はレゾール樹脂として公知のフェノール骨格を有する樹脂等を挙げることができる。
(ii) 顔料又は染料等の着色剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物に配合することができる着色剤としては、例えば、(1)アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウム等の体質顔料;(2)亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラック等の無機顔料;(3)ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料;(4)マゼンタ、ローダミン等の塩基性染料;(5)ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジ等の直接染料;(6)ローセリン、メタニルイエロー等の酸性染料;その他を挙げることができる。
(iii) 老化防止剤、紫外線吸収剤等の安定化剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物に配合することができる老化防止剤、紫外線吸収剤としては、公知のものを使用することができる。
老化防止剤の具体例としては、例えば、ジ−tert−ブチルフェノール、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類、フェノチアジン、メルカプトベンズイミダゾール等を挙げることができる。
また、紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、フェニルサリシレートに代表されるサリチル酸系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の各種プラスチックの添加剤として使用される紫外線吸収剤を利用することができる。
(iv) 感光性酸発生剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物に配合することができる感光性酸発生剤は、当該液状硬
化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)下記一般式(9)で示されるスルホンイミド化合物類;(5)下記一般式(10)で示されるジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができる。
式中、Xは、アルキレン基、アリレーン基、アルコキシレン基等の2価の基を示し、Rは、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。
式中、R及びRは、互いに同一でも異なってもよく、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。液状硬化性樹脂組成物中の(E)溶剤以外の成分総量100質量%中の感光性酸発生剤の使用割合は、好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。この割合が過大であると、硬化膜の強度が劣ったものとなり、透明性も低下するために好ましくない。
(v) 界面活性剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、当該液状硬化性樹脂組成物の塗布性を改善する目的で界面活性剤を配合することができる。この界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、具体的には、例えば、各種アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を利用することができるが、特に、硬化膜が優れた強度を有し、しかも良好な光学特性を有するものとするために、カチオン系界面活性剤を用いることが好ましい。さらには、第4級アンモニウム塩であることが好ましく、その中でも第4級ポリエーテルアンモニウム塩を用いると、埃拭き取り性がさらに改善される点で特に好ましい。第4級ポリエーテルアンモニウム塩であるカチオン系界面活性剤としては、旭電化工業社製アデカコールCC−15、CC−36、CC−42等が挙げられる。界面活性剤の使用割合は、液状硬化性樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは5質量%以下である。
(vi) 重合禁止剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物に配合することができる熱重合禁止剤としては、例えば、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン等を挙げることができる。この熱重合禁止剤は、液状硬化性樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは5質量%以下で用いられる。
(vii) (C)及び(D)成分以外の溶剤
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、(C)及び(D)成分以外の溶剤を添加することができる。このような溶剤の種類と配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で自由に選択することができる。
2.硬化膜及びその製造方法
本発明の硬化膜は、上記本発明の液状硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、2層以上の多層構造を有することを特徴とする。特に、上記(D)金属酸化物粒子が高密度に存在する1以上の層と、上記(D)金属酸化物粒子が実質的に存在しない1以下の層からなる二層以上の層構造を有していることが好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物から硬化膜を形成する場合、基材(適用部材)に対してコーティングすることが好ましい。このようなコーティング方法としては、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、又はインクジェット法等の方法を用いることができる。
また、液状硬化性樹脂組成物を硬化する手段も特に制限されないが、例えば、加熱することが好ましい。この場合、30〜200℃で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材や形成される硬化膜を損傷することなく、より効率的に反射防止性に優れた硬化膜を得ることができる。好ましくは、50〜180℃で、2〜120分間、より好ましくは、80〜150℃で、2〜60分間加熱する。
また、活性エネルギー線を照射することによっても硬化することができる。ここで活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で小型である観点から、紫外線が好ましい。
この場合、例えば、紫外線照射装置(メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等)を用いて、0.001〜10J/cmの光照射条件のもとで行なうことができるが、照射条件はこれに限定されない。0.01〜5J/cmがより好ましく、0.1〜3J/cmがさらに好ましい。また、紫外線により硬化させる場合には、硬化速度を向上させることができる放射線(光)重合開始剤を添加することが好ましい。
尚、硬化膜の硬化程度は、ゲル化率を、ソックスレー抽出器を用いて測定することにより、定量的に確認することができる。
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、(B)熱硬化性化合物と(F)活性エネルギー線硬化性化合物の両方を含有するため、より効果的に硬化させるためには、上記の加熱と活性エネルギー線の照射を併用することが好ましい。加熱と活性エネルギー線の照射を併用す
ることにより、硬化膜の耐擦傷性や耐薬品性を改善することができる。
液状硬化性樹脂組成物を塗布後、組成物中の溶剤(E−1)及び溶剤(E−2)が蒸発して乾燥する過程において、(D)金属酸化物粒子が塗布下地側(隣接層との境界付近)又はその反対側に偏在化する。そのため、硬化膜の一方の界面付近では、(D)金属酸化物粒子が高密度で存在し、硬化膜の他方の界面付近では、(D)金属酸化物粒子が実質的に存在しないため、低屈折率の樹脂層が形成される。従って、液状硬化性樹脂組成物からなる一の塗膜を硬化させることにより、実質的に二層以上の多層構造を有する硬化膜が得られる。これらの分離して形成される各層は、例えば、得られた膜の断面を電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。(D)金属酸化物粒子が高密度に存在する層とは、金属酸化物粒子が集合している部分を指す概念であり、実質的に金属酸化物粒子を主成分として構成された層であるが、層内部に(A)成分等が共存する場合がある。他方、金属酸化物粒子が実質的に存在しない層とは、金属酸化物粒子が存在しない部分を指す概念であるが、本発明の効果を損なわない範囲で若干含まれていてもよい。この層は、実質的に(A)、(B)及び(F)成分の硬化物等の金属酸化物粒子以外の成分から構成された層である。本発明の硬化膜は、多くの場合、金属酸化物粒子が高密度に存在する層と金属酸化物粒子が実質的に存在しない層がそれぞれ連続した層を形成した二層構造を有する。基材にPET樹脂(易接着層を有するPET樹脂を含む)等を用いた場合、通常は、基材である層、金属酸化物粒子が高密度に存在する層、金属酸化物粒子が実質的に存在しない層が、この順番に隣接して形成される。
ここで、二層以上の層構造とは、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」と、「金属酸化物粒子が実質的に存在しない層」をそれぞれ含む2以上の層からなる場合もあり、また、2以上の「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」のみからなる2以上の層となる場合がある。
液状硬化性樹脂組成物が2種以上の金属酸化物粒子を含むときは、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」が2種類以上形成され得る。さらに、「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」の「金属酸化物粒子」は、少なくとも1種、即ち、1種又は2種以上の「金属酸化物粒子」を意味する。液状硬化性樹脂組成物が2種以上の金属酸化物粒子を含む場合、一つの「金属酸化物粒子が高密度に存在する層」が、2種以上の金属酸化物粒子から構成されていてもよい。
得られる硬化膜は、その膜厚方向に、屈折率が0.05〜0.8変化することが好ましく、0.1〜0.6変化することがより好ましい。更に、上記屈折率変化が前記実質的な二層構造の境界付近で主要な変化を有することが好ましい。
屈折率の変化の程度は、金属酸化物粒子の含有量、種類、含フッ素重合体の含有量、組成、及び熱硬化性化合物の含有量、種類等により調整できる。
また、硬化膜における低屈折率部分における屈折率は、例えば、1.3〜1.5であり、高屈折率部分における屈折率は、1.6〜2.2である。
3.積層体
本発明の積層体は、本発明の液状硬化性樹脂組成物から得られる二層以上の層構造を有する硬化膜を、積層構造の一部とする積層体である。本発明の積層体を構成する基材層以外の任意の二以上の隣接層は、本発明の液状硬化性樹脂組成物の硬化膜として製造することができる。
本発明の積層体は、例えば、基材が透明基材の場合には、最外層(基材から最も遠い層)に低屈折率層を設けることにより、優れた反射防止膜となる。本発明の積層体は、反射防止膜の他にも、例えば、レンズ、選択透過膜フィルター等の光学用部品に使用できる。
反射防止膜の具体的層構成は、特に限定されるものではない。通常は、基材上に、少なくとも、高屈折率膜、及び低屈折率膜をこの順に積層することにより反射防止機能を持たせたものである。積層体の層構成の一部には、この他にも、ハードコート層、帯電防止層等を含めることができる。本発明の液状硬化性樹脂組成物を硬化することによって得られる硬化膜は、一の工程によって、基材の上に、高屈折率層及び低屈折率層を形成できるため、製造工程の簡略化ができる。
反射防止膜における本発明の硬化膜の膜厚は、例えば、0.05μm〜50μmであるが、これに限定されない。
透明基材の具体例としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製ルミラー等)、ガラス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチリル樹脂、アリレート樹脂、ノルボルネン系樹脂(JSR(株)製アートン等)、メチルメタクリレート/スチレン共重合体樹脂、ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン(株)製ゼオネックス等)等の各種透明プラスチック板、フィルム等を挙げることができる。好ましくは、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製ルミラー等)、ノルボルネン系樹脂(JSR(株)製アートン等)である。
尚、基材と硬化膜の間には、他の層を介在させてもよく、例えば、ハードコート層、中屈折率層(屈折率1.5〜1.7)、及び低屈折率層(1.3〜1.5)と高屈折率層(1.6〜2.2)の組み合わせ等の層を設けることができる。
また、帯電防止層を設けることもできる。この場合、本発明の液状硬化性樹脂組成物を硬化することによって得られる硬化膜中にATO粒子等の導電性粒子を添加しなくても、帯電防止性を有する反射防止膜を得ることができる。帯電防止層には、ATO等の導電性を有する金属酸化物粒子、あるいは有機、又は無機の導電性化合物を添加した硬化性膜、前記金属酸化物を蒸着あるいはスパッタリングすることで得られる金属酸化物膜、導電性有機高分子からなる膜を挙げることができる。導電性有機高分子としては、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリピロール系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子等を例示することができるが、ポリチオフェン等のポリチオフェン系導電性高分子が好ましい。
これらの層は一層のみ形成してもよく、また、異なる層を二層以上形成してもよい。
これらの層の塗布法としては、公知の塗布方法を使用することができ、特に、ディップ法、コーター法、印刷法等各種の方法を適用することができる。
また、塗布により形成される液状硬化性樹脂組成物の塗膜は、硬化させて優れた光学特性と耐久性を有する硬化膜を形成させるために、特に、加熱による熱履歴を与えることが好ましい。もちろん、常温で放置した場合にも、時間の経過と共に硬化反応が進み、目的とする硬化膜が形成されるが、実際上は、加熱して硬化させることが、所要時間を短縮する上で効果的である。また、熱酸発生剤を硬化触媒として添加しておくことにより、さらに硬化反応を促進させることができる。この硬化触媒としては特に制限は無く、一般のウレア樹脂、メラミン樹脂等のための硬化剤として使用されている前述の各種酸類やその塩類を利用することができ、特に、アンモニウム塩を好ましく用いることができる。硬化反応のための加熱条件は適宜選択することができるが、加熱温度は、塗布の対象である基材の耐熱限界温度以下であることが必要である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明がこれらの実施例に制約されるものではない。また、以下の説明において「部」及び「%」は、特にことわらない限り、それぞれ質
量部及び質量%を示す。
製造例1
シリカ被覆TiO粒子分散液(S−1)
シリカ被覆された酸化チタン微粉末350質量部、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(平均重合度:約20)80質量部、イソプロピルアルコール1000質量部、ブチルセロソルブ1000質量部を加え、ガラスビーズにて10時間分散を行い、ガラスビーズを除去して、シリカ被覆酸化チタン粒子分散液(S−1)を2430質量部得た。ここで、得られたシリカ被覆TiO粒子分散液をアルミ皿上で秤量し、120℃のホットプレート上で1時間乾燥して全固形分濃度(分散液中の溶剤以外の成分総量の割合)を求めたところ、17質量%であった。また、このシリカ被覆TiO粒子分散液を磁性るつぼに秤量し、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥した後、750℃のマッフル炉中で1時間焼成を行ない、得られた無機残渣量、及び全固形分濃度から全固形分中の無機含量を求めたところ、82質量%であった。この固形物の電子顕微鏡観察の結果、短軸平均粒子径15nm、長軸平均粒子径46nm、アスペクト比3.1であった。
製造例2
球状ジルコニア粒子分散液(S−2)の製造
球状ジルコニア微粉末(住友大阪セメント(株)社製、数平均一次粒子径0.01μm)300部をメチルエチルケトン(MEK)700部に添加し、ガラスビーズにて168時間分散を行い、カラスビーズを除去してメチルエチルケトンジルコニアゾル950部を得た。分散ゾルをアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30%であった。この固形物の電子顕微鏡観察の結果、短軸平均粒子径15nm、長軸平均粒子径20nm、アスペクト比1.3であった。
製造例3
含フッ素重合体の製造
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル500g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)75.4g、エチルビニルエーテル34g、ヒドロキシエチルビニルエーテル41.6g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープNE−30」(旭電化工業株式会社製)50g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)7.5g及び過酸化ラウロイル1.25gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン99.1gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×10Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×10Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度31%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールと水の混合溶媒に投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの含フッ素重合体を得た。得られたポリマーにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)が37000、DSCによるガラス転移温度(Tg)が29.4℃であることを確認した。
製造例4
重合性不飽和基を有する有機化合物の合成
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレ−ト1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステル
A−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)を得た。反応液中の残存イソシアネ−ト量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収ス
ペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及び原料イソシアネ−ト化合物に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、前記式(4)で示される化合物(Ab)が773部得られた(以下、この化合物を、「アルコキシシラン1」ということがある。)ほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が混在している。
製造例5:式(8)で示される化合物の製造
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(8)で示される化合物が75部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在している。
製造例6
重合性不飽和基を有する有機化合物が結合した反応性シリカ被覆TiO粒子ゾル(化合物(Z―1))の製造
製造例1で製造したシリカ被覆TiO粒子分散液(S−1)(全固形分濃度17%、粒子濃度15%)556部、製造例4で製造したアルコキシシラン1の溶液2.2部、蒸留水0.23部、p−ヒドロキノンモノメチルエーテル0.04部を混合し、65℃で加熱攪拌した。4時間後、オルト蟻酸メチルエステル2.5部添加し、さらに1時間加熱することで、固形分18%の反応性シリカ被覆TiO粒子ゾル(化合物(Z−1))を得た。
製造例7
重合性不飽和基を有する有機化合物が結合した反応性アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子ゾル(化合物(Z―2))の製造
アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子分散液(テイカ株式会社製 全固形分濃度28%、粒子濃度24%)394部、製造例4で製造したアルコキシシラン1の溶液2.2部、蒸留水0.23部、p−ヒドロキノンモノメチルエーテル0.04部を混合し、65℃で加熱攪拌した。4時間後、オルト蟻酸メチルエステル2.5部添加し、さらに1時間加熱することで、固形分25%の反応性アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子ゾル(化合物(Z−2))を得た。
製造例8
重合性不飽和基を有する有機化合物が結合した反応性ジルコニア粒子ゾル(化合物(Z−
3))の製造
製造例2で製造した球状ジルコニア粒子分散液(S−2)(粒子濃度30%)315部、製造例4で製造したアルコキシシラン1の溶液2.2部、蒸留水0.23部、p−ヒドロキノンモノメチルエーテル0.04部を混合し、65℃で加熱攪拌した。4時間後、オルト蟻酸メチルエステル2.5部添加し、さらに1時間加熱することで、固形分31%の反応性ジルコニア粒子ゾル(化合物(Z−3))を得た。
製造例9
重合性不飽和基を有する有機化合物が結合した反応性アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子ゾル(化合物(Z―4))の製造
アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子分散液(テイカ株式会社製 全固形分濃度28%、粒子濃度24%)333.7部、製造例4で製造したアルコキシシラン1の溶液5.4部、蒸留水0.20部、p−ヒドロキノンモノメチルエーテル0.03部を混合し、65℃で加熱攪拌した。4時間後、オルト蟻酸メチルエステル2.2部添加し、さらに1時間加熱することで、固形分32%の反応性アルミナ、ジルコニア被覆TiO粒子ゾル(化合物(Z−4))を得た。
以下、本発明の液状硬化性樹脂組成物の調製例を実施例1〜8に、比較調製例を比較例1に示す。
実施例1
液状硬化性樹脂組成物1の調製
製造例6で得られた反応性シリカ被覆TiO粒子ゾル(化合物(Z−1)、反応性粒子として50.6g。)280.9g、製造例3で得られた含フッ素重合体23.1g、熱硬化性化合物のメトキシ化メチルメラミン「サイメル303」(三井サイテック株式会社製)14.3gと硬化触媒である、「キャタリスト4050」(三井サイテック(株)製、芳香族スルホン酸化合物 有効成分濃度32%)11.9g、活性エネルギー線硬化性化合物の前記式(8)で示される製造例5で製造した化合物2.0g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA−2C)5.3g光重合開始剤として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1.0gを溶剤のメチルエチルケトン300g、メチルイソブチルケトン320g、ターシャリーブタノール213g中に溶解させることにより、液状硬化性樹脂組成物1を得た。この液状硬化性樹脂組成物中の全固形分濃度(液状硬化性樹脂組成物中の溶剤以外の成分総量の割合)を、製造例1と同様に測定したところ8.5質量%であった。
実施例2〜8及び比較例1
液状硬化性樹脂組成物2〜9の調製
組成物の各成分の配合割合を下記表1のように変えた以外は、実施例1と同様にして液状硬化性樹脂組成物2〜9を調製した。
液状硬化性樹脂組成物1〜9の固形分組成を下記表1に示す。
実施例1〜8及び比較例1で調製した液状硬化性樹脂組成物1〜9をそれぞれワイヤーバーコータ(#3)を用いて、片面易接着ポリエチレンテレフタレートフィルムA4100(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)の易接着処理面、又は未処理面に塗工した後、オーブン中140℃で2分間乾燥し、大気下、オーク製作所製コンベア式水銀ランプを用い、0.6J/cmの紫外線を照射することにより、膜厚が0.2μmの硬化膜層を形成した。
<硬化膜の特性評価>
シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製MEK−ST
、数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%)98.6g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.1g、IRGACURE907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1.2g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)33.2g、シクロヘキサノン7gを混合攪拌し、シリカ粒子含有ハードコート層用組成物を得た。このシリカ粒子含有ハードコート層用組成物を、ワイヤーバーコータ(#12)を用いて、トリアセチルセルロースフィルム(LOFO製、膜厚80μm)に塗工した後、オーブン中80℃で1分間乾燥した。続いて、空気下、高圧水銀ランプを用いて、0.6J/cmの光照射条件で紫外線を照射することにより、ハードコート層を形成した。ハードコート層の膜厚を触針式膜厚計にて測定したところ5μmであった。
得られたハードコート層の上に、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、上記実施例1〜8及び比較例1で得られた液状硬化性樹脂組成物1〜9を塗工した後、オーブン中120℃で10分間加熱することにより、膜厚が0.2μmの硬化膜層を形成した。
得られた硬化膜を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
(1)反射防止特性
得られた反射防止用積層体の反射防止性を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率から、反射防止性を、以下の基準で評価した。
○:反射率が1%以下である。
△:反射率が2%以下である。
×:反射率が2%を超える。
(2)濁度
得られた積層体における濁度(Haze値)を、Haze計を用いて測定し、以下の基準で評価した。
○:Haze値が1%以下である。
△:Haze値が3%以下である。
×:Haze値が3%を超える。
(3)耐擦傷性テスト(スチールウール耐性テスト)
硬化膜のスチールウール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
(4)耐薬品性テスト(エタノール耐性テスト)
硬化膜のエタノール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、エタノールを染み込ませた不織布(BEMCOT S−2、旭化成工業社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で20回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
(5)層分離性
得られた硬化膜の断面を顕微鏡で観察し、二層に分離しているか否かを評価した。評価基準は次のとおりである。典型的な二層分離状態を示す電子顕微鏡写真を図2に示す。
○:二層に分離している。
×:二層に分離していない。
表1の結果から、固形分として、(A)含フッ素重合体、(B)熱硬化性化合物、(C)硬化触媒及び(D)金属酸化物粒子及び(F)活性エネルギー線硬化性化合物を含有し、かつ、特定の溶剤(E−1)及び(E−2)を含有する本発明の液状硬化性樹脂組成物は、基材上に塗布し、硬化させることにより、(D)金属酸化物粒子を高密度に含有する
層と(D)金属酸化物粒子が実質的に存在しない層との二層に分離することがわかる。
熱硬化成分と放射線硬化成分の両方を含有する本発明の液状硬化性樹脂組成物を熱硬化及び放射線硬化することにより、耐擦傷性と耐熱性が改善されることがわかる。
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、特に、反射防止膜、光ファイバー鞘材等の光学材料の形成に有利に用いることができ、また、フッ素含量が高いことを利用して、耐候性が要求される基材に対する塗料用材料、耐候フィルム用材料、コーティング用材料、その他として好適に使用することができる。しかも、当該硬化膜は、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高く、良好な反射防止効果を付与することから、反射防止膜として極めて有用である。
図1は、本発明の液状硬化性樹脂組成物を用いて作製した反射防止膜の模式図である。 図2は、二層分離、分離せず(一部凝集)及び均一構造の各状態の典型例の概念を示す電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1:反射防止膜
10:基材
12:高屈折率層
14:低屈折率層

Claims (9)

  1. 下記成分
    (A)含フッ素重合体
    (B)熱硬化性化合物
    (C)硬化触媒
    (D)数平均粒子径が100nm以下である金属酸化物粒子(以下、「(D)金属酸化物粒子」という)
    (E−1)(A)含フッ素重合体に対する溶解性が高い、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(C)速揮発溶剤」という)
    (E−2)(D)金属酸化物粒子に対する分散安定性が高く、かつ、(E−1)速揮発溶剤と相溶性である、1種又は2種以上の溶剤(以下、「(E−2)遅揮発溶剤」という)
    (F)活性エネルギー線硬化性化合物
    を含み、かつ、(E−1)速揮発溶剤の相対蒸発速度が、(E−2)遅揮発溶剤の相対蒸発速度よりも大きい液状硬化性樹脂組成物。
  2. 液状硬化性樹脂組成物中の(E−1)速揮発溶剤及び(E−2)遅揮発溶剤(以下、両者を併せて「(E)溶剤)」という)以外の成分総量100質量%中に、
    (C)成分0.1〜20質量%
    を含む請求項1に記載の液状硬化性樹脂組成物。
  3. 液状硬化性樹脂組成物中の(E)溶剤以外の成分総量100質量%中に、前記(B)成分5〜80質量%を含む請求項1又は2に記載の液状硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(D)金属酸化物粒子が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、アンチモン含有酸化スズ、酸化スズ含有インジウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモン含有酸化亜鉛及びインジウム含有酸化亜鉛から選択される一又は二以上の金属酸化物を主成分とする粒子である請求項1〜3のいずれか一に記載の液状硬化性樹脂組成物。
  5. 前記金属酸化物粒子が、多層構造を有する金属酸化物粒子である請求項1〜4のいずれか一に記載の液状硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(D)金属酸化物粒子が、重合性不飽和基を有する有機化合物と結合している請求項1〜5のいずれか一に記載の液状硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一に記載の液状硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、2層以上の多層構造を有することを特徴とする硬化膜。
  8. 前記硬化膜が、前記(D)成分が高密度に存在する1以上の層と、前記(D)成分が実質的に存在しない1以下の層からなる二層以上の層構造を有する請求項7に記載の硬化膜。
  9. 請求項1〜6のいずれか一に記載の液状硬化性樹脂組成物を加熱することにより及び/又は放射線を照射することにより硬化させる工程を有する硬化膜の製造方法。
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