JP2006096837A - 押出成形用樹脂組成物及びその押出成形品 - Google Patents

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Hitoshi Tomita
斉 冨田
Toshio Honma
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Kanebo Ltd
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Abstract

【課題】押出成形に適し帯電防止性を有するポリエステル系樹脂組成物、並びにこの組成物を用いて押出成形法により成形された押出成形品を提供する。
【解決手段】相対粘度2.0〜2.8を有するポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、高分子型帯電防止剤10〜40重量部及びグリシジル変性ポリオレフィン0.5〜10重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いて押出成形法により成形された押出成形品。
【効果】本発明のポリエステル系樹脂組成物は、押出成形に適しており、これを用いた押出成型品は帯電防止性を有しているため、これを用いたパッケージは内容物を静電気で破損しない。
【選択図】なし

Description

本発明は、押出成形に適し帯電防止性を有するポリエステル系樹脂組成物、並びにこの組成物を用いて押出成形法により成形された押出成形品に関する。
ポリエステル、特にポリブチレンテレフタレート(PBT)は、耐熱性、機械特性に優れているため、自動車部品、工業部品等広範囲に用いられている。
従来より、ポリブチレンテレフタレートに帯電防止性能を付与する方法としては、ケッチェンブラックを始めとするカーボンブラック等の導電性を有する固体粉末を樹脂中に混練、分散したものがよく知られている。しかし、ポリブチレンテレフタレートは、靭性が不十分であり、更に、帯電防止性能を付与するために固体粉末を配合したものは、靭性が著しく低下するという問題点があった。
ポリブチレンテレフタレートの靭性を改良する方法として、例えば、ポリブチレンテレフタレートに特定の共重合PBTを配合し、更に、カーボンブラック等を配合したものが開示されている。
しかし、カーボンブラック自体を使用することで、成形品に色の制限が生じたり、また、使用中にカーボンブラックが脱落し、汚染することがあり、問題となっている。
一方、ポリブチレンテレフタレートは、射出成形性に優れていることから、大部分は射出成形により得られているものに限定されていた。ところが、近年は、ポリブチレンテレフタレートの用途も一層高度化、広範囲化、特殊化する傾向にあり、これを押出成形法により効率よく経済的に成形してチューブ等の押出成形品を得ることが期待されている。
しかしながら、ポリブチレンテレフタレート樹脂は、一般に押出成形法を適用する上で最も重要とされる特性、即ち、ドローダウン性が激しく、押出成形法により所望の形状の成形品を得ることは困難である。
この改良方法としては、例えば、固有粘度の高い高重合度のポリブチレンテレフタレートを用いる方法等が考えられているが、帯電防止性能を付与するために、これにカーボンブラックを均一に分散させようとすると溶融粘度が高いため従来の加工温度では困難であり、溶融粘度を下げるために加工温度を上げるとポリブチレンテレフタレートの分解が促進され、押出成形加工に適した樹脂組成物を得ることが出来ない。
特開平9−48909号公報 特開2003−301115号公報
本発明の目的は、上記問題点を解消し、押出成形に適し帯電防止性を有するポリエステル系樹脂組成物、並びにこの組成物を用いて押出成形法により成形された押出成形品を提供するにある。
上記課題は、相対粘度2.0〜2.8を有するポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、高分子型帯電防止剤10〜40重量部及びグリシジル変性ポリオレフィン0.5〜10重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いて押出成形法により成形された押出成形品により解決する。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、押出成形に適しており、これを用いた押出成型品は帯電防止性を有しているため、これを用いたパッケージは内容物を静電気で破損しない。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、使用するポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体を主成分とする芳香族ジカルボン酸あるいはそのジエステル類と1,4−ブタンジオールを主成分とするグリコール類とを公知の方法で反応させ、得られる重合体である。
具体的には、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(例えばテレフタル酸ジメチル等)を主成分とし、これにイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、セバシン酸、アジピン酸等を適宜併用してなる芳香族ジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールを主成分とし、これにエチレングリコールあるいはエチレンオキサイド、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を適宜併用してなるグリコール成分とを重縮合したものである。
本発明に使用するポリブチレンテレフタレート樹脂は、相対粘度ηrelがテトラクロロエタン:フェノール=4:6の混合溶媒を用い20℃で測定して2.0〜2.8であることが肝要であり、特に、2.2〜2.6が好ましい。ηrel が2.0未満の場合、ドローダウン性が激しくなり押出成形品の形状は不良となる。一方、2.8を超える場合、高分子帯電防止剤及びグリシジル変性ポリオレフィンと混練する場合、混練温度を270℃以上に設定する必要があり、ポリブチレンテレフタレートや高分子型帯電防止剤が分解し、押出加工に供した場合、ドローダウン性が激しくなり押出成形品の形状は不良となる。
本発明に使用する高分子型帯電防止剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性が挙げられるが、耐熱性に優れていることから特に非イオン性が好ましい。
非イオン性の高分子型帯電防止剤としては、ポリエチレングリコール又はその誘導体が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリエーテルポリオレフィンブロックコポリマー等が挙げられる。
カチオン性の高分子型帯電防止剤としては、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩型スチレン重合体、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート4級化合物等の第4級アンモニウム塩型アミノアルキル(メタ)アクリレート重合体、ポリジアリルメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩型ジアリルアミン重合体が挙げられる。
アニオン性の高分子型帯電防止剤としては、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、ポリスチ
レンスルホン酸アンモニウム等のスルホン酸塩型スチレン重合体が挙げられる。
このうち、特にポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー及びポリエーテルポリオレフィンブロックコポリマーがポリブチレンテレフタレート樹脂と相溶性が良いために好ましい。
本発明に使用する高分子型帯電防止剤の配合量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、10〜40重量部であることが肝要であるが、好ましくは、15〜35重量部、さらに好ましくは、20〜30重量部である。高分子型帯電防止剤の配合量が10重量部未満の場合、表面抵抗値が高く帯電防止性は不良である。一方、40重量部を超える場合、ポリブチレンテレフタレート樹脂と溶融混練する際に相溶性が不良のため、ガットにならず、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることが出来ない。
本発明に使用するグリシジル変性ポリオレフィンとしては、具体的には、エポキシ基を有するグリシジルメタクリレートとエチレンとの共重合体又は第三成分として他のモノマーがグラフト共重合された三元共重合体である。三元共重合体の場合、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルスチレン等が第三成分として共重合される。このうち、特に、メチルグリシジルメタクリレートとエチレンの共重合体であるグリシジル変性エチレン系共重合体又は第三成分としてメタクリル酸メチルがグラフト共重合された三元共重合体が好ましい。
本発明に使用するグリシジル変性ポリオレフィンの配合量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、0.5〜10重量部であることが肝要であるが、好ましくは、1〜8重量部である。0.5重量部未満の場合、ポリブチレンテレフタレート樹脂と高分子型帯電防止剤と溶融混練する際に相溶性が不良のため、ガットにならず、本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることが出来ない。一方、10重量部を超える場合、外観は不良となる。
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で通常の添加剤、例えば酸化防止剤及び熱安定剤(例えばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組合せを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤及び離型剤(例えばモンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド、シリコン樹脂等)、染料(例えばニトロシン等)及び顔料(例えば硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイル等)、強化材(ガラス繊維、炭素繊維、ウィスカー等)等を1種以上添加することが出来る。
本発明の組成物には少量の他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体などのオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエステル、ABS樹脂、MBS樹脂などのグラフト共重合体など)を配合することが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は押出成形品となるまで、すべての成分が十分に分散されていることが好ましい。このための方法としては、例えば異方向回転2軸押出機を用いてペレット状の樹脂を作り、押出成形工程に供する方法がある。
本発明の押出成形法は、一般的に熱可塑性樹脂の押出成形に用いられている押出機を使用し、通常の方法で行えばよい。
即ち、上記の熱可塑性樹脂組成物を押出機で可塑化し、例えばパイプ状の押出成形品の場合は、環状のダイより押出し、サイジングダイで冷却、固化して形状を作り、例えば棒状の場合、パイプ状のダイより押出し、水等で冷却する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。尚、物性評価は、以下の方法に従って行った。
相対粘度ηrel : 溶媒 テトラクロロエタン:フェノール=4:6(重量比)、測定温度 20℃、濃度1.000g/dl
表面抵抗率 : JIS K 6911、印可電圧500V
押出成形品形状 : ○(良好)、×(不良)であらわした。
実施例1〜8、比較例1〜6
種々の粘度のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、高分子型帯電防止剤及びグリシジル変性ポリオレフィンを表1に示す組成で配合し、予備混合後、日本製鋼社製 二軸混練機(TEX−30)で混練し、ペレットを得た。得られたペレットを減圧乾燥後、押出成形機(株式会社陸亜製、単軸、スクリュー径=30mmφ、L/D=26、圧縮比=3)で、シリンダー温度220℃、サイジングダイを使用して板状物(幅=50、厚み=10mm)を押出成形した。外観及び表面抵抗率を評価し、結果も表1にあわせ示す。
実施例1から実施例4及び比較例1、2で高分子型帯電防止剤の配合量の適量がわかった。
実施例5、6及び比較例3、4より、グリシジル変性ポリオレフィンの配合量の適量がわかった。
実施例7、8及び比較例5、6より、ポリブチレンテレフタレート樹脂の溶液粘度の適値がわかった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、押出成形に適しており、これを用いた押出成型品は帯電防止性を有しているため、電気・電子分野や工業分野で得に静電気が嫌われるパッケージ分野での使用に適している。

Claims (4)

  1. 相対粘度2.0〜2.8のポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、高分子型帯電防止剤10〜40重量部及びグリシジル変性ポリオレフィン0.5〜10重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 高分子型帯電防止剤が、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー又はポリエーテルポリオレフィンブロックコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. グリシジル変性ポリオレフィンが、グリシジル変性エチレン系共重合体又は更にメタクリル酸メチルを共重合したものであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の樹脂組成物を使用して押出成形により製造される押出成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009256815A (ja) * 2008-04-14 2009-11-05 Asahi Kasei Fibers Corp 制電性長繊維不織布
CN114456497A (zh) * 2022-03-23 2022-05-10 横店集团得邦工程塑料有限公司 一种抗静电高强度pp材料的制备方法

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