JP2005247970A - ポリエステル系ポリマーアロイおよびそれから得られる異形押出し成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステル系ポリマーアロイは、極限粘度が0.60〜1.0dl/gの範囲にあるポリエステル樹脂(A);20〜50重量%と、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B);1〜20重量%と、密度が0.93g/cm3未満かつα−オレフィン単位含量が1〜10mol%のエ
チレン・α−オレフィン共重合体(C);49〜79重量%とからなり(A+B+C=100重量%)、溶融粘度が1,000Pa・s以上であるか、(A);50〜94重量%
と、(B);1〜20重量%と、(C)またはプロピレン系重合体(D);5〜49重量%とからなり(A+B+C+D=100重量%)、溶融粘度が1,000Pa・s以上で
ある。
【選択図】 なし
Description
なお機械的性質、特に低温時の耐衝撃性に優れた成形品を与えうるポリエステル組成物としては、例えば芳香族ポリエステル100重量部に対して、(A)α−オレフィン α,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるグリシジル基含有共重合体1〜50重量部および(B)エチレン40〜99モル%と炭素数3以上のα−オレフィン60〜1モル%からなるエチレン系共重合体1〜50重量部を含有せしめてなるポリエステル組成物がある(特許文献1参照)。しかし、同文献の第3欄39〜第4欄1行に「・・・芳香族ポリエステルは・・・相対粘度が1.2〜1.8の範囲にあることが好ましい。芳香族ポリエステルの相対粘度が1.2未満の場合は十分な機械的強度が得られず・・・」と記載されていることから、機械的特性に優れた成形体を得るためにポリエステル樹脂として相対粘度が1.2未満のものを用いることについては否定的である。
(1) 極限粘度(IV)が0.60〜1.0dl/gの範囲にあるポリエステル樹脂
(A);20〜50重量%と、
エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B);1〜20重量%と、
密度が0.93g/cm3未満かつ共重合成分単位含量が1〜10mol%のエチレン
共重合体(C);49〜79重量%と
とからなり(ここで、(A)、(B)、(C)の合計量が100重量%である。)、溶融粘度が1,000Pa・s以上であることを特徴とするポリエステル系ポリマーアロイ。
エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B);1〜20重量%と、
密度が0.93g/cm3未満であり、かつ共重合成分位含量が1〜10mol%のエ
チレン共重合体(C)および/またはプロピレン系重合体(D);1〜49重量%と
からなり(ここで、(A)、(B)、(C)、(D)の合計量が100重量%である。)、溶融粘度が1,000Pa・s以上であることを特徴とするポリエステル系ポリマーア
ロイ。
(5) 前記エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジルの共重合体(B)が、エチレン単位を45〜84重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を15〜40重量%、(メタ)アクリル酸グリシジル単位を1〜15重量%含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーアロイ。
(8) 上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーアロイを、異型押出し成形して得られることを特徴とする異型押出し成形体。
極限粘度(IV):フェノール/テトラクロルエタン=50/50(重量比)混合溶媒中、25℃で測定する
密度:JIS K 7112−D法に準じ、密度勾配管を用いて測定する
溶融粘度:JIS K 7199 法に準じ、270℃でポリマーアロイを溶融し、内径1
mm、長さ30mmのキャピラリーを用いて測定する
ここで、異形押出し成形とは、一般に可塑化した成形材料を製品形状に応じたダイを通して押出し、一定の断面を持った製品を連続的に成形する方法であって、製品の断面形状が円、楕円、長方形ないし正方形等の単純な形状であるものを除いたものをいう。異形押
出し成形により得られる異型押出し成形体の例としては、窓枠、中空板材、雨どい等がある。
本発明に係るポリエステル系ポリマーアロイは、ポリエステル樹脂(A)と、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B)と、エチレン共重合体(C)および/またはプロピレン系重合体(D)と、必要に応じてカルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体(E)とを含有している。
まず、本発明に係るポリエステル系ポリマーアロイを形成する各成分について説明する。
本発明に使用可能なポリエステル樹脂(A)は、芳香族または脂肪族のジカルボン酸とジオールとの重縮合体である。カルボン酸およびジオールは、各々1種類を選んで通常の重縮合条件下で製造してもよく、あるいは2種類以上適宜組み合わせて製造しても良い。
4−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸等を例示することができる。
リコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4―
ヒドロキシフェニル)プロパン等を例示することができる。
前記のジカルボン酸およびジオールとから製造したポリエステル樹脂として、PET樹脂、ポリブチレンテレフタレート等を代表例に挙げることができ、PET樹脂を用いることが好ましい。また、ポリエステル樹脂は、それらの成形体を一旦使用した後の再生品であってもよく、さらに未使用品と再生品の混合物であっても良い。
本発明に使用可能なエチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位含量が15
〜40重量%、好ましくは20〜35重量%、一層好ましくは25〜35重量%、(メタ)アクリル酸グリシジル単位含量が、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%(残分はエチレン単位含量)の3元共重合体である。
本発明に使用できるエチレン共重合体(C)は、一般のエチレン系重合体の中でも低密度の重合体に属する。具体的には、その密度が0.93g/cm3未満、好ましくは0.
85〜0.92g/cm3の範囲内にある共重合体で、エチレン・α−オレフィン共重合
体、エチレンとビニルモノマーとの共重合体等、エチレン繰り返し単位を主体に有する共重合体であればいずれをも使用することができる。その密度が0.93g/cm3未満の
重合体をポリマーアロイの一成分として使用すると、十分な耐衝撃性の改良効果が得られる。このエチレン共重合体は、未使用の重合体であっても、再生重合体であってもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、ASTM D−1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下に測定したメルトフローレート(MFR)の値が、好ましくは0.1〜20g/10分、より好ましくは0.5〜5g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRがこの範囲内にあると、ポリマーアロイの成形安定性を高め、機械的強度を高めることができる。
体等を挙げることができる。
本発明に使用できるプロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとのブロック共重合体、あるいはプロピレンとα−オレフィンとのゴム状重合体の何れであってもよい。
本発明で必要に応じて使用できるカルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体(E)は、具体的にはエチレン・α−オレフィン共重合体にα,β−不飽和カルボン酸をグ
ラフト共重合して得た重合体である。
α−オレフィンとしては、直鎖または分岐鎖状の炭素原子数3〜20のα−オレフィンが好ましい。例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等が挙げられる。共重合体のなかでも、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が好ましい。
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸を挙げることができ、特にアクリル酸、マレイン酸,無水マレイン酸が好ましい。
[ポリマーアロイ]
本発明に係るポリエステル系ポリマーアロイは、
ポリエステル樹脂(A);20〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%、
エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B);1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜8重量%、
エチレン共重合体(C);49〜79重量%、好ましくは60〜79重量%、より好ましくは65〜79重量%、
からなる(ここで、(A)、(B)、(C)の合計量が100重量%である。)。
ポリエステル樹脂(A)の含有割合が、25〜50重量%の範囲であると、柔軟性に富み、低温衝撃性能が極めて高い樹脂組成物が得られる。
ポリエステル樹脂(A);50〜94重量%、好ましくは60〜94重量%、より好ましくは70〜94重量%、
エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジルの共重合体(B);1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜8重量%、
エチレン共重合体(C)および/またはプロピレン系重合体(D);1〜49重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%からなる(ここで、(A)、
(B)、(C)、(D)の合計量が100重量%である。)。
ポリエステル樹脂(A)の含有割合が、50〜94重量%の範囲にあると、低温衝撃性能に優れ、かつエチレン共重合体よりも高剛性の樹脂組成物が得られる。
好ましくは1,000〜5,000Pa・s、より好ましくは1,100〜4,500Pa・sの範囲にある。溶融粘度が上記範囲内にあるポリマーアロイは、特に異形押出し成形に好適である。
[ポリマーアロイの物性]
本発明に係るポリエステル系ポリマーアロイは、ポリエステル樹脂(A)、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジルの共重合体(B)、エチレン共重合体(C)、プロピレン系重合体(D)の配合量を変えることにより、剛性、衝撃強度等の物性の調整が可能である。
一般的にポリエステル系ポリマーアロイを製造する場合は、まずヘンシェルミキサー、
Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等を用いて、前記の各成分を所定割合でブレンドするか、あるいは定量混合が可能な例えば3種混合機でポリマーアロイの各成分を定量後、所定の比率で定量混合して押出し機等に供給する。
異形押出し成形に先立ち、まず前記各成分を所定の割合で計量した樹脂組成物をヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラー、ブレンダー等のブレンダーで混合し、成形原料とする。また、前記の各成分を計量混合機用いて所定の割合に混合したドライブレンド状態の樹脂組成物とし、成形原料としてもよく、この場合は、さらに一軸押出し機、二軸押出し機、バンバリーミキサー等を用いて溶融混練する事によってメルトブレンドし、ペレット状の成形原料としても良い。
このようにして得られた成形体は、ポリエステルの特徴である、高剛性、高引張り強度を有している。
[製造例]
樹脂組成物に使用した材料は次の通りである。
(1)ポリエステル樹脂(A):
PET樹脂;極限粘度(IV)=0.74dl/g
(2)エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル
共重合体(B)
エチレン単位を67重量%、ノルマルブチルアクリレート単位を28重量%、グリシジルメタクリレート単位を5重量%含有する共重合体;MFR=12g/10分
(3)エチレン共重合体(C)
エチレン・1−ヘキセン共重合体(直鎖低密度ポリエチレン);密度=0.905g/cm3、MFR=1g/10分、1−ヘキセン含量6重量%
(4)プロピレン系重合体
プロピレン・エチレンブロック共重合体;密度=0.91g/cm3、MFR=1.7
g/10分、エチレン含量7重量%
(5)カルボン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(E)
MFR=0.2g/10分、エチレン含量=80モル%のエチレン・プロピレン共重合体に無水マレイン酸を1重量%グラフト共重合した共重合体
(6)二無水ピロメリット酸(F)
関東化学(株)の試薬を使用した。
(1)引張り試験:
ASTM D−638に準拠し、23℃で測定した。
(2)曲げ試験:
ASTM D−790に準拠し、23℃で測定した。
(3)IZOD衝撃強度:
ASTM D−638に準拠し、−20℃でノッチ付きで測定した。
(4)溶融粘度:
JIS K 7199 法に準じ、270℃でポリマーアロイを溶融し、直径1mm、長
さ30mmのキャピラリー内を押出し測定した。
ポリエステル樹脂(A)、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B)、エチレン共重合体(C)、プロピレン系重合体(D)を表1に記載の割合で、直径50mm、L/D=28の一軸押出し機で、265℃でメルトブレンドし、ペレット状とした。なお、この押出し前に、ポリエステル樹脂に含まれている水分は予め乾燥し、その割合を100ppm以下とした。
このペレットを80トン射出成形機(東洋機械金属株式会社製 Ti−80G2)に供給し、シリンダー温度280℃、金型温度30℃の条件にて、非晶状態にて試験片を作成した。
(比較製造例1〜3)
各成分の混合割合を表1に記載したように変更したこと以外は、製造例1〜8と同様な条件で、試験片を作成し、試験片物性を同じ表1に記した。比較製造例1は、PET樹脂(A)とエチレン共重合体(C)との組み合わせ、比較製造例3はPET樹脂(A)とプロピレン系重合体(D)の二成分系の組み合わせであり、何れもエチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジルの共重合体(B)を含まない配合系での試験片物性を示した。
いる。なお、異形押出し成形前に加水分解を抑える為に110℃にて4時間乾燥した。
成形条件は、成形機の先端温度を210℃及び240℃の2水準で樹脂を溶融し、スクリュー回転数30min-1、引き取り速度3.5m/minの条件にて、成形体を引き取り、水槽にて冷却後L型の成形体を得た。
であった。
なお、本成形温度は、PET樹脂の融点(約255℃)よりも低温度としたが、これはPET含量が概ね20〜50重量%の場合の、ポリマーアロイのモルホロジーは、海相がポリエチレン、島相がポリエステルの構造をとるため、ポリエステルはフィラーとしてポリエチレン相に分散した状態となる。その結果、ポリエステルの融点以下での成形が可能となり、ポリエステルの加水分解の影響を抑えられるばかりでなく、押出し成形時の溶融粘度を高く保つことが出来るので一段と成形が容易となる。
℃ at12.1sec-1)であった。この場合も、安定した運転が可能であった。
成形体は更に剛性を持ち、表面が平滑で光沢があった。
比較製造例1に示した樹脂組成で同様に異形押出し成形を行った。溶融粘度が660Pa・sと低いため、金型から樹脂を引き取る際に樹脂が垂れるドローダウン現象が目立つようになり、製品の形状が保てず、安定した成形は出来なかった。
Claims (8)
- 極限粘度(IV)が0.60〜1.0dl/gの範囲にあるポリエステル樹脂(A);20〜50重量%と、
エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B);1〜20重量%と、
密度が0.93g/cm3未満であり、かつ共重合成分単位含量が1〜10mol%の
エチレン共重合体(C);49〜79重量%と
からなり(ここで、(A)、(B)、(C)の合計量が100重量%である。)、溶融粘度が1,000Pa・s以上であることを特徴とするポリエステル系ポリマーアロイ。 - 極限粘度(IV)が0.60〜1.0dl/gの範囲にあるポリエステル樹脂(A);50〜94重量%と、
エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B);1〜20重量%と、
密度が0.93g/cm3未満であり、かつ共重合成分単位含量が1〜10mol%の
エチレン共重合体(C)および/またはプロピレン系重合体(D);1〜49重量%と
からなり(ここで、(A)、(B)、(C)、(D)の合計量が100重量%である。)、溶融粘度が1,000Pa・s以上であることを特徴とするポリエステル系ポリマーア
ロイ。 - さらにカルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体(E)を0.5〜10重量部含むことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル系ポリマーアロイ。
- 前記ポリエステル樹脂(A)が、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーアロイ。
- 前記エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体(B)が、エチレン単位を45〜84重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を15〜40重量%、(メタ)アクリル酸グリシジル単位を1〜15重量%含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーアロイ。
- 前記エチレン共重合体(C)が、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、結晶性ないし非晶性であり、かつASTM D−1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定したメルトフローレートの値が0.1〜20g/10分の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーアロイ。
- 前記プロピレン系重合体(D)が、プロピレン・エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーアロイ。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載のポリエステル系ポリマーアロイを、異型押出し成形して得られることを特徴とする異型押出し成形体。
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