JP2004263174A - 熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性ポリエステル樹脂本来の特性である良好な強度、剛性、耐熱性および耐衝撃性の性能バランスを有し、且つ、優れた流動性と難燃性ならびに燃焼時の火炎滴下物を防止することを可能とした熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物、およびこれを使用して形成された成型体を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部、臭素を含有する芳香族化合物(B)3〜50重量部、酸化アンチモン化合物(C)2〜30重量部、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(D)0.1〜3重量部および板状フィラー(E)0.7〜8重量部を含有して成る熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物およびそれを成型して得られる厚さ0.8mm以下の薄肉部分を有する成型品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物に関し、詳しくは、優れた難燃性を有すると共に、極めて薄肉の成型品を成型することが出来る優れた流動性を有する熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物、および、その成形品に関する。
ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂(以下、単にポリエステル樹脂と称することがある)は、機械的強度、耐薬品性および電気絶縁性などに優れるため、電気・電子部品、自動車部品などの電装部品、機械部品などに広く使用されている。この様な用途に供する場合、難燃性を有することが必要とされる。
また、近年、各種機器の小型化・軽量化の趨勢から、それに利用される各種電気・電子部品や電装部品も小型化と薄肉化が進んでいる。薄肉の成型品を得るために、これを形成する樹脂組成物に対して更なる良流動性が要求されている。さらに、この様な成型品には高い難燃性が求められ、その評価は成形品の最も薄い部分に対応する難燃性が要求される。この場合、難燃性としてUL−94に規定されるランクV−0の難燃性が指標とされる。具体的には、この規格に則って、短冊状の試験片にガスバーナーの炎で着火し、離炎後に火炎滴下物の無いことが要求される。
熱可塑性樹脂組成物を難燃化する方法としては、一般に、難燃剤として臭素または塩素を含有する芳香族化合物を使用し、難燃助剤として三酸化アンチモン等のアンチモン化合物を併用する方法が広く採用されており、離炎時の速やかな消火と接炎中の火炎滴下物の消火が期待される。しかしながら、樹脂組成物の難燃化は成型品が薄肉になるほど困難になる。上記の方法では、試験片の薄肉化に伴い、難燃剤と難燃助剤を大量に配合する必要が生じるが、その結果、難燃化の目的は達成できても、熱可塑性樹脂組成物本来の機械的特性や流動特性を損なったり、溶融成形の際に変色したりする問題が生じる。
接炎中の燃焼物の落下を防止するためには、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有ポリオレフィンや、アスベストを添加することが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、フッ素含有ポリオレフィンの大量の添加は、樹脂組成物の流動性を悪化させ、成型品の外観を悪化させる傾向がある。また、アスベストの添加はその有害性に問題がある。
熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物の流動性は、樹脂自体の分子量を小さくし溶融粘度を低下させる、又は、剛性および耐熱性を付与させることを目的として配合している無機充填材を減量すること等によって改良することが出来る。しかしながら、これらの方法によって良流動化した場合には、ポリエステル樹脂が本来有する機械的特性や耐熱性が実用上、満足し得ないほどに低下してしまいかねない。また、樹脂自体の分子量を小さくすることは、先に記した難燃化、特に火炎滴下物を防止する機能を大きく低下させることにも繋がる。
ところで、難燃化のために多量のハロゲン化芳香族化合物および難燃助剤のアンチモン化合物を配合した熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物は、耐アーク性、耐トラッキング性などの電気特性が低下する。これを改良するため、タルク、クレーに代表される珪酸塩化合物を配合した組成物が提案されている(例えば特許文献2〜4参照)。しかしながら、その効果を得るためには珪酸塩を多量に配合する必要があり、結果として、成型品の耐衝撃性や靭性などの機械的特性の低下を招く。その上、多量に添加すると、燃焼試験時のグローイング時間が長くなるという問題が発生する。
特公昭55−30024号公報 特開昭51−080351号公報 特開昭53−035753号公報 特開平2−225555号公報
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、熱可塑性ポリエステル樹脂本来の特性である良好な強度、剛性、耐熱性および耐衝撃性の性能バランスを有し、且つ、優れた流動性と難燃性ならびに燃焼時の火炎滴下物を防止することを可能とした熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物、およびこれを使用して形成された成型品を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、難燃性は、臭素含有芳香族化合物と酸化アンチモンを併用することにより達成でき、接炎中の火炎滴下物はフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンを多量に添加することにより達成できるが、その手段では本発明が目的とする良流動性が得られないことが分かった。そこで、本発明者らは更なる検討の結果、ポリテトラフルオロエチレンと共に、形状が板状の無機充填材(板状フィラー)をある特定量の範囲内で併用することに想到した。これにより、ポリテトラフルオロエチレンの量を減じても優れた難燃性が得られ、火炎滴下物の防止性を改善することが可能であり、その結果、樹脂本来の良流動性を保持したまま、良好な難燃性の樹脂組成物が得られることが判明し、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の第1の要旨は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部、臭素を含有する芳香族化合物(B)3〜50重量部、酸化アンチモン化合物(C)2〜30重量部、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(D)0.1〜3重量部および板状フィラー(E)0.7〜8重量部を含有して成る熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物に存する。
本発明の第2の要旨は第1の要旨に記載の熱可塑性ポリエステル系難燃樹脂組成物を成型して得られる、厚さ0.8mm以下の薄肉部分を有する成型品に存する。
本発明の熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物は、ポリエステル樹脂本来の良好な強度、剛性、耐熱性および耐衝撃性の性能バランスを有し、且つ、優れた流動性と難燃性を有する。本発明組成物を使用して製造された成型体は、例えば0.8mm以下の薄肉部において、UL−94規格のV−0を達成することが出来るので、薄肉成型体であって、高度の難燃性を要求される電気・電子部品、例えばリレー部品など材料として好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に使用される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、公知の芳香族ポリエステル樹脂を使用することが出来る。ここで芳香族ポリエステル樹脂とは、重合体の連鎖単位に芳香環を有するポリエステルで、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(以下、芳香族ジカルボン酸成分と称す)及びジオール及びそれらのエステル形成性誘導体(以下ジオール成分と称す)とを主成分とする重縮合反応により得られる重合体もしくは共重合体である。エステル形成性誘導体としては、例えばメチルエステル等の低級アルキルエステルが挙げられる。
原料の芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸などおよびそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。好ましくは、テレフタル酸或いはそのエステル形成性誘導体が使用される。
これらの芳香族ジカルボン酸成分は2種以上を混合して使用してもよい。なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸成分と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸或いはそれらのエステル形成性誘導体を1種以上混合して使用することが出来る。
ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパン−1、3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサン−1、4−ジメタノール等の脂環式ジオール等、およびそれらの混合物などが挙げられる。なお、少量であれば、ポリエチレングリコール、ポリ−1、3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の分子量400〜6、000の長鎖ジオールを1種以上共重合させてもよい。
本発明に使用される熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレン−1、2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等を挙げることが出来る。また前記の熱可塑性ポリエステル系樹脂にイソフタル酸、デカンジカルボン酸、4,4’−イソプロピリデン−ビス[(2,6−ジブロモフェノキシ)エトキシ−2−エタノール]、4,4’−イソプロピリデン−ビス[(2,6−ジブロモフェノキシ)エタノール]、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェノキシエトキシ−2−エタノール)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェノキシエタノール)等のモノマーを共重合したポリエステルを使用することも出来る。これらのうち好ましくはポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートで、より好ましくはポリブチレンテレフタレートである。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)としてポリブチレンテレフタレートを使用して本発明の目的とする難燃性の薄肉成形品を得る場合、ポリブチレンテレフタレートの固有粘度は特に限定されず、通常0.5dl/g以上で、通常1.2dl/g以下、好ましくは1.0dl/g以下、更に好ましくは0.9dl/g以下である。なお、本発明に於いて固有粘度とは、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタン1:1(重量比)の混合溶媒に試料を溶解し、ウベローデ粘度計を使用して30℃で測定した値である。なお、ポリブチレンテレフタレート以外のポリエステルの場合、その固有粘度は、通常0.3dl/g以上、好ましくは0.4dl/g以上で、通常1.5dl/g以下、好ましくは1.2dl/g以下である。
本発明に使用される臭素を含有する芳香族化合物(B)としては、ハロゲン系難燃剤として知られている臭素化合物が好ましく、具体的には、テトラブロモビスフェノールA型のエポキシオリゴマー若しくはポリマー、テトラブロモビスフェノールA型のポリカーボネートオリゴマー若しくはポリマー、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、ポリブロモフェニルエーテル、ブロム化ポリスチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド等のイミド化合物などが挙げられる。中でも好ましくは、テトラブロモビスフェノールA型エポキシオリゴマー若しくはポリマー、テトラブロモビスフェノールA型ポリカーボネートオリゴマー若しくはポリマー、ペンタブロモベンジルポリアクリレート及びブロム化ポリスチレンから選択される1種または2種以上である。本発明組成物中の臭素を含有する芳香族化合物(B)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、通常3重量部以上、好ましくは5重量部以上であり、また通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。臭素を含有する芳香族化合物の量が3重量部より少ないと充分な難燃効果が得られず、50重量部より多いと成型品の機械的強度の低下を招いたり、溶融時の熱安定性に支障をきたす恐れがある。
本発明に使用される酸化アンチモン化合物(C)は、臭素を含有する芳香族化合物(B)と組み合わせて使用される難燃助剤である。具体的には、三酸化アンチモン(Sb)、四酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)等の酸化アンチモン、或いは五酸化アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン酸塩が挙げられる。本発明組成物中の酸化アンチモン化合物(C)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、通常2重量部以上、好ましくは3重量部以上であり、また通常30重量部以下、好ましくは15重量部以下である。酸化アンチモン化合物の量が2重量部より少ないと充分な難燃効果が得られず、一方、30重量部より多いと成型品の機械的強度の低下を招いたり、溶融時の熱安定性に支障をきたす恐れがある。
本発明において滴下防止剤として使用されるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(D)は、重合体中に容易に分散し、且つ重合体に絡みつきながら繊維状材料を作る傾向を示すものである。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えばダイキン工業社製「ポリフロンFA−500」、「F−201L」又は「M−18」、旭硝子社製「フルオンCD−123」、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(R)6J」(これらは何れも商標)として市販されているものが挙げられる。
本発明組成物中のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(D)の含有量は、従来技術に於ける使用量より少なくてよく、(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上であり、また通常3重量部以下、好ましくは2重量部以下である。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの量が0.1重量部より少ないと本発明の効果が発揮されず、3重量部より多いと押し出し性、成形性などの加工性、更には成形品外観が損なわれる。
本発明に使用される板状フィラー(E)は、葉状、鱗片状、薄片状などの形状を有する無機フィラーである。特にかかる形状を有し、化学組成としてSiO単位を含む化合物が好ましい。具体的には、例えば珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、クレー、スメクタイト等が挙げられ、板状の形状を有するものであれば、天然品であっても合成品であってもよい。なかでもタルク、マイカ、クレー、カオリンが好ましく、特に好ましくはタルクである。板状フィラーの平均粒径には特に制限はないが、好ましい平均径としては0.01μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、また好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下である。平均粒径が0.01μm未満では、本発明組成物から得られる成型品の強度改善効果が不十分な場合があり、100μmを越えると靭性・外観性が低下する傾向がある。
本発明に使用される板状フィラーは、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤などの表面処理剤で処理されていてもよい。シランカップリング剤としては、例えばエポキシ系シラン、アミノ系シラン、ビニル系シラン等が挙げられ、チタネート系カップリング剤としては、例えばモノアルコキシ型、キレート型、コーディネート型などのものが挙げられる。カップリング剤による処理方法は、公知の方法が採用される。本発明組成物中の板状フィラー(E)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、通常0.7重量部以上、好ましくは1重量部以上であり、また通常8重量部以下、好ましくは7重量部以下である。板状フィラーの量が0.7重量部より少ない場合、若しくは逆に8重量部より多い場合の何れであっても本発明の効果が発揮されず、難燃性が損なわれる恐れがある。板状フィラー(E)は、単独では上述の量で難燃化、特に火炎滴下防止に寄与するものではない。本発明では、かかる少量の板状フィラー(E)とポリテトラフルオロエチレン(D)とを併用することにより、その使用量を低減して、充分な火炎滴下防止能を発揮させ、流動性の悪化や成型品外観を犠牲にすることなく、熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物の高度の難燃性を付与することを可能としている。
本発明の熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物は、上記(A)〜(E)の各成分の他に、ガラス強化剤(F)を含んでいてもよい。ガラス強化剤(F)としては、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維などが挙げられる。ガラス強化剤(F)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、通常9重量部以上、好ましくは20重量部以上であり、また通常100重量部以下、好ましくは80重量部以下である。ガラス強化剤の量が9重量部未満では、成形品に十分な剛性並びに耐熱性が得られない場合があり、100重量部より多いと、射出成形を行うための十分な流動性が得られない虞があり、また機械的物性が低下しやすくなる。
本発明の熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物は、上記(A)〜(F)成分の他に、その物性、流動性と難燃性を損なわない限りにおいて、慣用の他の添加剤(例えば各種エラストマー成分、安定材、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤など)を含有することが出来る。これらは樹脂の混練時、成形時などに含有させるとよい。これらの添加剤の配合量は、通常、本発明の樹脂組成物100重量部に対し、30〜0.1重量部である。また、必要に応じて、ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、AS樹脂、ABS樹脂などを配合することも差し支えない。これらの熱可塑性樹脂の配合量は、通常、本発明の樹脂組成物100重量部に対し、80〜1重量部である。
本発明の熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物を製造する方法は、特に制限されるものではなく、この種技術で採用される種々の方法が採用される。例えば(A)〜(E)成分、および必要に応じて使用される(F)成分や他の添加剤を配合し、スクリュー式押出機によってペレットに調製する一括ブレンド方法が挙げられる。またはスクリュー式押出機に、まず熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を供給して溶融し、他の供給口よりその他の成分および添加剤を供給・混練し、ペレットに調製する分割ブレンド方法などが挙げられる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリエステル樹脂が本来有する良好な機械的特性および流動性と共に優れた難燃性を有し、電気・電子部品、自動車その他の電装部品、機械部品などの広範囲の分野における材料として使用することが出来る。特に本発明の難燃性樹脂組成物は、薄肉成型体、例えば厚さ0.8mm以下の薄肉部分を有する成型体に使用しても、V−0の難燃性を示すので、リレー部品などの高度の難燃性を要求される薄肉成型品の材料として好適である。
本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物を成型する方法は特に限定されるものではなく、射出成型法、押出成型法、回転成型法、中空成型法、圧縮成型法などの熱可塑性樹脂の成形に利用される各種の成形方法が何れも利用可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例に於いて、以下の原料を使用した。
(1)PBT:ポリブチレンテレフタレート(三菱化学社製「NOVADURAN 5008」、極限粘度0.85)。
(2)PET:ポリエチレンテレフタレート(三菱化学社製「NOVAPET GV200」、極限粘度0.60)。
(3)PTT:ポリトリメチレンテレフタレート(DuPont社製「Sorona 3GT」、極限粘度1.04)。
(4)難燃剤A:ペンタブロモベンジルポリアクリレート(ブロモケム・ファーイースト社製「FR−1025」)。
(5)難燃剤B:テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂(阪本薬品工業社製「SR−T48」)。
(6)難燃剤C:テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂(宇進高分子社製「CXB−300C)。
(7)難燃剤D:テトラブロモビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学社製商品名「FR−53」)。
(8)難燃助剤:三酸化アンチモン(鈴裕化学社製「AT−3CN」)。
(9)PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業社製「ポリフロンM−18」)。
(10)タルクA:板状フィラー(林化成社製「ミクロンホワイト5000S」、平均粒径5μm)。
(11)タルクB:板状フィラー(林化成社製「タルカンPKC」、平均粒径12μm)。
(12)マイカ:板状フィラー(山口雲母社製「ミカレットA−21B」、平均粒径20μm)。
(13)カオリン:板状フィラー(土屋カオリン社製「SATINMTON No.5」)。
(14)酸化チタン:非板状フィラー(石原産業社製「CR−60」、平均粒径0.2μm)。
(15)GF:ガラス繊維(日本電気硝子社製「T−187」、繊維径13μmφ)。
実施例1〜7、比較例1〜6:
熱可塑性ポリエステル樹脂としてPBTを使用し、表−1又は表−2に示す組成比に従って各成分を配合し、2軸押出機(スクリュー径30mm)を使用して、バレル設定温度260℃、回転数150rpmで押出してペレットを製造した。得られたペレットを、120℃にて6〜8時間乾燥した後、直ちに、射出成形機(住友重機械社製、ネスタールSG75−SYCAP−MIIIA)を使用して温度255℃で以下の評価試験用の試験片を射出成形し、評価試験を行った。結果を表1〜4に示した。
樹脂組成物の評価試験は、以下の様にして行った。
(1)引張強度:ISO527−1及びISO527−2に従って測定した。
(2)シャルピー衝撃強度:ISO179に従って測定した。
(3)溶融粘度:キャピラリフローメータを使用し、バレル設定温度270℃、キャピラリー1mmφ×30mmLで、剪断速度91.2/secに於ける溶融粘度を測定した。
(4)成形品外観:厚み1/64インチ(約0.4mm)の試験片を作成し、試験片表面のPTFE由来である凝集物の有無を目視で観察した。評価基準は、凝集物無しを○、凝集物ありを×とした。
(5)難燃性試験:アンダーライターズラボラトリーズインコーポレーションのUL−94「材料分類のための燃焼試験(以下、UL−94)」に示される試験方法に従って、厚み1/32インチ(約0.8mm)の試験片を各5本作成し試験した。この試験方法により、5本の試料片の試験結果に基づいて、UL−94のV−0、V−1及びV−2のいずれかの等級に評価した。UL−94についての各等級の基準は概略以下の通りである。
V−0:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が5秒以下であり、且つ全試料とも脱脂綿に着火する微粒炎を落下しない。
V−1:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が25秒以下であり、且つ全試料とも脱脂綿に着火する微粒炎を落下しない。
V−2:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が25秒以下であり、且つこれらの試料が脱脂綿に着火する微粒炎を落下する。
また、UL−94は全試験片が特定のV等級に合格しなければ、その等級に分類してはならない旨を規定している。この条件を満たさない場合には、その5本の試験片は最も成績の悪い1本の試験片の等級が与えられる。
実施例8:
熱可塑性ポリエステル樹脂としてPET100重量部を使用する以外は実施例3と同じ処方で樹脂組成物を調製し、同様に成形温度275℃で射出成形して試験片を作成し、評価を行った。得られた試験片の外観は良好(凝集物なし)で、評価結果は、引張強度;145MPa、シャルピー衝撃強度;5.6kJ/m、難燃性;V−0であった。
実施例9:
熱可塑性ポリエステル樹脂としてPTT100重量部を使用する以外は実施例3と同じ処方で樹脂組成物を調製し、同様に成形温度265℃で射出成形して試験片を作成し、評価を行った。得られた試験片の外観は良好(凝集物なし)で、評価結果は、引張強度;140MPa、シャルピー衝撃強度;6.0kJ/m、難燃性;V−0であった。
以上、本発明について詳細に、かつその特定の実施形態について説明してきたが、本発明についての種々の変更および変形が、本発明の要旨および範囲を逸脱することなくなされることは、当業者にとって明らかである。

Claims (8)

  1. 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部、臭素を含有する芳香族化合物(B)3〜50重量部、酸化アンチモン化合物(C)2〜30重量部、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(D)0.1〜3重量部および板状フィラー(E)0.7〜8重量部を含有して成る熱可塑性ポリエステル系難燃性樹脂組成物。
  2. さらに、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対しガラス強化剤(F)9〜100重量部を含有する請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記板状フィラー(E)が珪酸塩化合物である請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂(A)がポリアルキレンテレフタレートである請求項1〜3の何れかに記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記板状フィラー(E)が、タルク、マイカ、クレー及びカオリンから選択される1種または2種以上の珪酸塩化合物である請求項1〜4の何れかに記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 前記臭素を含有する芳香族化合物(B)が、テトラブロモビスフェノールA型エポキシオリゴマー若しくはポリマー、テトラブロモビスフェノールA型ポリカーボネートオリゴマー若しくはポリマー、ペンタブロモベンジルポリアクリレート及びブロム化ポリスチレンから選択される1種または2種以上である請求項1〜4の何れかに記載の難燃樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の熱可塑性ポリエステル系難燃樹脂組成物を成型して得られる、厚さ0.8mm以下の薄肉部分を有する成型品。
  8. 成型品がリレー部品である請求項7に記載の成型品。
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