JP2006083290A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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一彦 前田
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Abstract

【課題】 高温で混練、成形加工を行っても、耐衝撃性、剛性の低下が少ない成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物、およびエンジニアリングプラスチックとアロイ化しても耐衝撃性、剛性に優れた成形品を提供する。
【解決手段】 ゲル含有量が65〜90質量%である共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)、および必要に応じて、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体を重合させた硬質共重合体(B)を含有するゴム強化スチレン系樹脂と、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(C)とを含有する熱可塑性樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高温混練、高温成形加工を行っても、耐衝撃性、剛性の低下が少ない成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物に関する。
共役ジエン系ゴムの存在下に芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト共重合体、あるいは該グラフト共重合体にさらに、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を重合させてなる硬質共重合体を配合した混合物は、ABS樹脂(ゴム強化スチレン系樹脂)として知られている。ABS樹脂は、加工性、機械的強度、表面光沢性、耐薬品性などに優れた性質を有しているため、今日多くの分野で幅広く用いられている。
近年、耐熱性を付与するために、芳香族ビニル系単量体の一部を不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体やイミド系単量体に置換するなどの改良が試みられている。
また、さらなる特性付与といった目的から、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等といったエンジニアリングプラスチックとABS樹脂とのアロイ化も検討されており、すでに上市されているものもある。
しかしながら、上記エンジニアリングプラスチックは、比較的高い融点あるいは加工温度を有することから、ABS樹脂と混練、成形した場合、ABS樹脂の構成成分の一つであるポリブタジエンが熱劣化を起こし、得られた成形品の耐衝撃性が低下するという問題があった。
このような点を改善する目的で、従来から、各種のフェノール系酸化防止剤を配合する手法、あるいはフェノール系酸化防止剤にさらに、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などの1種または2種以上を組み合わせて配合する手法が用いられてきた。
しかしながら、上記のような酸化防止剤添加だけでは、高温混練、高温成形加工による成形品の耐衝撃性の低下を充分に抑制することができないという問題点があった。
そこで、乳化重合したABS樹脂を凝析後、ある特定のフェノール系化合物の存在下で直接造粒する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、他の樹脂とのアロイ化についての例は開示されていない。
特許第2961577号公報
よって、本発明の目的は、高温で混練、成形加工を行っても、耐衝撃性、剛性の低下が少ない成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物、およびエンジニアリングプラスチックとアロイ化しても耐衝撃性、剛性に優れた成形品を提供することにある。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強化スチレン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物において、前記ゴム強化スチレン系樹脂が、ゲル含有量が65〜90質量%である共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)を含有することを特徴とするものである。
ここで、前記ゴム強化スチレン系樹脂は、グラフト共重合体(A)20〜80質量部と、硬質共重合体(B)20〜80質量部とを含有し[グラフト共重合体(A)および硬質共重合体(B)の合計100質量部]、前記グラフト共重合体(A)が、ゲル含有量が65〜90質量%である共役ジエン系ゴム40〜80質量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体90〜50質量%、シアン化ビニル系単量体10〜50質量%、および他のビニル系単量体0〜30質量%からなる単量体混合物60〜20質量部をグラフト重合させてなるものであり[共役ジエン系ゴムおよび単量体混合物の合計100質量部]、前記硬質共重合体(B)が、芳香族ビニル系単量体90〜50質量%、シアン化ビニル系単量体10〜50質量%、および他のビニル系単量体0〜30質量%を重合させたものであってもよい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記ゴム強化スチレン系樹脂と、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(C)とを含有することが望ましい。
また、本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、高温混練、高温成形加工を行っても、耐衝撃性、剛性の低下が少ない成形品を得ることができる。よって、エンジニアリングプラスチックとアロイ化しても、耐衝撃性、剛性に優れた成形品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ゴム強化スチレン系樹脂>
本発明におけるゴム強化スチレン系樹脂としては、(i)グラフト共重合体(A)を主成分とするもの、(ii)グラフト共重合体(A)および硬質共重合体(B)の混合物を主成分とするものの2種類がある。
(i)のゴム強化スチレン系樹脂は、共役ジエン系ゴムにグラフト重合させる芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を多くして、硬質共重合体(B)を省略したものであり、(ii)のゴム強化スチレン系樹脂は、共役ジエン系ゴムにグラフト重合させる芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を少なくし、別途、硬質共重合体(B)を加えることによってゴム強化スチレン系樹脂中のゴム含有量を調整しているものである。
本発明においては、いずれのゴム強化スチレン系樹脂を用いることができるが、ゴム含有量を調整しやすい点で、(ii)グラフト共重合体(A)および硬質共重合体(B)の混合物を主成分とするゴム強化スチレン系樹脂が好ましい。
<(i)ゴム強化スチレン系樹脂>
(i)のゴム強化スチレン系樹脂におけるグラフト共重合体(A)は、ゲル含有量が65〜90質量%である共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるものである。
共役ジエン系ゴムとしては、ボリブタジエン、ブタジエンと共重合可能なビニル系単量体との共重合体のような共役ジエン系重合体等が挙げられる。
共役ジエン系ゴムのゲル含有量は、65〜90質量%であり、好ましくは70〜85質量%であり、より好ましくは75〜85質量%である。このゲル含有量が65質量%未満では、高温で成形した時に得られる成形品の剛性が劣り、90質量%を超えると、高温で成形した時に得られる成形品の耐衝撃性が劣る。
ここでいうゲル含有量とは、次のようにして測定、算出された値である。
[ゲル含有量]
サンプル:Wc[g]をトルエンに溶解し、15000rpmで60分間遠心分離後、上澄液をデカンテーションし、不溶成分を60℃にて24時間乾燥して、乾燥不溶分量:Wg[g]を求め、下記式で算出する。
ゲル含有量 [質量%]=Wg/Wc×100
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸などが挙げられる。
これら単量体は、それぞれ1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
共役ジエン系ゴムにグラフト重合させる単量体混合物の量は、特に限定はされず、ゴム強化スチレン系樹脂のゴム含有量が所望の量となるように適宜調整すればよい。
ゴム強化スチレン系樹脂の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合等といった公知の方法が用いられる。
<(ii)ゴム強化スチレン系樹脂>
(グラフト共重合体(A))
(ii)のゴム強化スチレン系樹脂におけるグラフト共重合体(A)は、ゲル含有量が65〜90質量%である共役ジエン系ゴム40〜80質量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体90〜50質量%、シアン化ビニル系単量体10〜50質量%、および他のビニル系単量体0〜30質量%からなる単量体混合物60〜20質量部をグラフト重合させてなるものである[共役ジエン系ゴムおよび単量体混合物の合計100質量部]。
グラフト共重合体(A)を構成する共役ジエン系ゴムとしては、上記(i)ゴム強化スチレン系樹脂を構成する共役ジエン系ゴムとして例示したものと同様な共役ジエン系重合体を用いることができる。
共役ジエン系ゴムのゲル含有量は、65〜90質量%であり、好ましくは70〜85質量%であり、より好ましくは75〜85質量%である。このゲル含有量が65質量%未満では、高温で成形した時に得られる成形品の剛性が劣り、90質量%を超えると、高温で成形した時に得られる成形品の耐衝撃性が劣る。
共役ジエン系ゴムの質量平均粒子径は、100〜600nmの範囲にあることが好ましく、特に、150〜450nmの範囲にあることが好ましい。質量平均粒子径が100nm未満では、得られる成形品の耐衝撃性が低下して好ましくなく、一方、600nmを超えると、得られる成形品に光沢ムラが起こり、また、成形品の耐衝撃性が低下するおそれがある。
芳香族ビニル系単量体としては、(i)ゴム強化スチレン系樹脂を構成する芳香族ビニル系単量体として例示したものと同様な単量体を用いることができる。
芳香族ビニル系単量体の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、50〜90質量%であり、好ましくは55〜85質量%である。この範囲を外れると、得られる成形品の耐衝撃性の低下を招く。
シアン化ビニル系単量体としては、(i)ゴム強化スチレン系樹脂を構成するシアン化ビニル系単量体として例示したものと同様な単量体を用いることができる。
シアン化ビニル単量体の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、10〜50質量%であり、好ましくは15〜45質量%である。この範囲を外れると、得られる成形品の耐衝撃性の低下や、成形時の流動性の低下を招く。
これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、(i)ゴム強化スチレン系樹脂を構成する他のビニル系単量体として例示したものと同様な単量体を用いることができる。
他のビニル系単量体の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、0〜30質量%である。
共役ジエン系ゴムと単量体混合物との割合は、共役ジエン系ゴム40〜80質量部に対して、単量体混合物を60〜20質量部である[共役ジエン系ゴムおよび単量体混合物の合計100質量部]。この範囲を外れると、得られる成形品の耐衝撃性の低下や剛性の低下を招く。
グラフト共重合体(A)の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合等といった公知の方法が用いられる。
(ii)のゴム強化スチレン系樹脂においては、グラフト共重合体(A)が、(A)+(B)=100質量部に対して、20〜80質量部含有されていることが必要であり、30〜60質量部含有されていることが好ましい。グラフト共重合体(A)が20質量部未満では、得られる成形品の耐衝撃性等の性能が不十分であり、一方、80質量部を超えると、得られる成形品の剛性の低下や、成形時の流動性の低下を招く。
(硬質共重合体(B))
硬質共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体90〜50質量%、シアン化ビニル系単量体10〜50質量%、および他のビニル系単量体0〜30質量%を重合させたものである。
芳香族ビニル系単量体としては、ゴム強化スチレン系樹脂を構成する芳香族ビニル系単量体として例示したものと同様な単量体を用いることができる。
芳香族ビニル系単量体の仕込み量は、全単量体(100質量%)中、90〜50質量%であり、好ましくは85〜55質量%である。この範囲を外れると、得られる成形品の耐衝撃性が低下する。
シアン化ビニル単量体としては、ゴム強化スチレン系樹脂を構成するシアン化ビニル系単量体として例示したものと同様な単量体を用いることができる。
シアン化ビニル単量体の仕込み量は、全単量体(100質量%)中、10〜50質量%であり、好ましくは15〜45質量%である。この範囲を外れると、この範囲を外れると、得られる成形品の耐衝撃性や、成形時の流動性が低下する。
これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、ゴム強化スチレン系樹脂を構成する他のビニル系単量体として例示したものと同様な単量体を用いることができる。
他のビニル単量体の仕込み量は、全単量体(100質量%)中、0〜30質量%である。
硬質共重合体(B)の質量平均分子量は、80000〜200000が好ましい。質量平均分子量が80000未満では、耐衝撃性に劣り、200000を超えると、成形加工性が悪化する。ここで、硬質共重合体(B)の質量平均分子量は、この共重合体をテトラヒドロフランに溶解させ、「GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)」を用い、標準ポリスチレン換算法にて算出した値である。
硬質共重合体(B)の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合等といった通常公知の方法が用いられる。
(ii)のゴム強化スチレン系樹脂においては、硬質共重合体(B)が、(A)+(B)=100質量部に対して、20〜80質量部含有されていることが必要であり、40〜70質量部含有されていることが好ましい。硬質共重合体(B)が20質量部未満では、得られる成形品の剛性や成形時の流動性が不十分となり、一方、80質量部を超えると、得られる成形品の耐衝撃性等の性能が不十分である。
<熱可塑性樹脂(C)>
本発明における熱可塑性樹脂(C)としては、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン116、ナイロン4、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン6/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ナイロン11T、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド、ポリアミドエラストマー等を挙げることができる。上記において、Iはイソフタル酸成分、Tはテレフタル酸成分を示す。
これらのうち、特にナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6Tが好ましく用いられる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカンと、ホスゲン(ホスゲン法)またはジアリールカーボネート等の炭酸エステル(エステル交換法)とから得られるビス(ヒドロキシアリール)アルカン系ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸またはそのジアルキルエステルと脂肪族グリコール類との重縮合反応によって得られるポリアルキレンテレフタレート、あるいはこれを主体とする共重合体、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、少なくともゴム強化スチレン系樹脂を含有するものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、ゴム強化スチレン系樹脂5〜100質量部と、熱可塑性樹脂(C)0〜95質量部とを含有する[ゴム強化スチレン系樹脂および熱可塑性樹脂(C)の合計100質量部]ものであり、より好ましくは、ゴム強化スチレン系樹脂10〜99質量部と、熱可塑性樹脂(C)1〜90質量部とを含有するものである。熱可塑性樹脂(C)が95質量部を超えると、ポリカーボネート樹脂では成形時の流動性の低下を招き、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂では得られる成形品の耐衝撃性が低下する傾向にある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維やガラス繊維、タルクやウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカなどの充填剤、難燃剤(ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン化合物など)、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコーンオイル、カップリング剤などの各種の添加剤を1種以上配合してもよい。
これらの各成分を混合して、本発明の熱可塑性樹脂組成物をペレット化する方法としては特に制限はないが、例えば、押出機、バンバリーミキサー等を用いた溶融混練法が好ましい。
<成形品>
このようにして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押出、真空成形、圧空成形、異形押出成形、発泡成形、ブロー成形などによって、各種成形品に成形することができる。
成形品の具体例としては、建材、自動車、電気・電子・機械部品等の工業用品、スポーツ・レジャー用品等多くの用途に好適に使用可能であり、特に、自動車関連では、自動車のスポイラやコンソールボックス、ドアミラーハウジング、ランプハウジング、グリルなど、また、二輪などのカウリングなどが挙げられる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、グラフト共重合体(A)を構成する共役ジエン系ゴムとして、特定範囲のゲル含有量を有する共役ジエン系ゴムを用いることによって、高温混練、高温成形加工においても、耐衝撃性、剛性の低下が少ない成形品を得ることができる。よって、ABS樹脂等のゴム強化スチレン系樹脂を、エンジニアリングプラスチックとアロイ化しても、耐衝撃性、剛性に優れた成形品を得ることが可能となり、工業的な実用価値は極めて大きい。
以下に、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味するものとする。
共役ジエン系ゴムの質量平均粒子径は、Microtrac Model 9230UPA(日機装(株)製)を用いて動的光散乱法より測定した。
[合成例1]
グラフト共重合体(A−1)の製造:
オートクレーブに、質量平均粒子径が0.3μm、ゲル含有量が80質量%のポリブタジエンのラテックス50部(固形分)、不均化ロジン酸カリウム1部、水酸化カリウム0.03部を仕込み、60℃に加熱した。60℃に保持したままスチレン37部、アクリロニトリル13部、t−ドデシルメルカプタン0.1部を添加し60分間放置後、クメンハイドロパーオキサイド0.3部を添加し、硫酸第一鉄0.007部、ピロリン酸ナトリウム0.1部および結晶ブドウ糖0.3部を2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得た重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、充分水洗後、乾燥してグラフト共重合体(A−1)を得た。
[合成例2]
グラフト共重合体(A−2)の製造:
上記グラフト共重合体(A−1)の製造において、ポリブタジエン・ラテックスのゲル含有量を60質量%に変更した以外は、上記と同様にして、グラフト共重合体(A−2)を得た。
[合成例3]
グラフト共重合体(A−3)の製造:
上記グラフト共重合体(A−1)の製造において、ポリブタジエン・ラテックスのゲル含有量を95質量%に変更した以外は、上記と同様にして、グラフト共重合体(A−3)を得た。
[合成例4]
硬質共重合体(B−1)の合成:
窒素置換した反応器に水120部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.35部および、アクリロニトリル27部とスチレン73部とからなる単量体混合物を加え、開始温度60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応後、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、ビーズ状の硬質共重合体(B−1)を得た。得られた硬質共重合体(B−1)の質量平均分子量は120000であった。
[合成例5]
硬質共重合体(B−2)の合成:
ステンレス容器に純水200部、過硫酸カリウム0.3部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を仕込み、攪拌下に65℃に昇温した。これにスチレン72部、アクリロニトリル23部、メタクリル酸5部およびt−ドデシルメルカプタン0.4部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続的に加えた後、反応系の温度を70℃に昇温し、この温度で1時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水、乾燥して、不飽和カルボン酸変性硬質共重合体(B−2)を得た。得られた不飽和カルボン酸、即ち、メタクリル酸変性硬質共重合体(B−2)の質量平均分子量は105000であった。
[実施例1、比較例1〜2]
表1に示す配合割合のグラフト共重合体(A)および硬質共重合体(B)、さらに、0.5部の滑剤(日本油脂(株)製「PRN−208」)を混合した後、2軸押出機(日本製綱所(株)製、TEX−30α)にて溶融混合し、ペレット化した。この樹脂ペレットを表1に示す各温度で75トン射出成形機(日本製鋼所(株)製、J75E−P)にて成形し、必要なテストピースを作製し、各種物性を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
[実施例2〜5、比較例3〜10]
熱可塑性樹脂(C)のポリアミド樹脂として「ウベナイロン 1022B」(宇部興産(株)製、ナイロン6)(表2中、C−1)、ポリカーボネート樹脂として「ユーピロン S−1000F」(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)(表2中、C−2)、ポリエチレンテレフタレート樹脂として「クラペット KS750RC」(クラレ(株)製)(表2中、C−3)を用意した。表2に示す配合割合のグラフト共重合体(A)、硬質共重合体(B)および熱可塑性樹脂(C)、さらに、0.5部の滑剤(「PRN−208」日本油脂(株)製)を混合した後、2軸押出機(日本製綱所(株)製、TEX−30α)にて溶融混合し、ペレット化した。この樹脂ペレットを表2に示す各温度で75トン射出成形機(日本製鋼所(株)製、J75E−P)にて成形し、必要なテストピースを作製し、各種物性を下記の方法で測定した。結果を表2に示す。
(Izod衝撃強さ(1/8”厚み、ノッチ付き))
ASTM D256に準じて測定した。
(曲げ弾性率)
ASTM D790に準じて測定した。
Figure 2006083290
Figure 2006083290
表1に示すように、比較例1は共役ジエン系ゴムのゲル含有量が65質量%未満の場合であり、高温成形することで得られる成形品の剛性が大幅に低下する。また、比較例2は共役ジエン系ゴムのゲル含有量が90質量%を超える場合であり、高温成形することで得られる成形品の耐衝撃性が大幅に低下する。
これに対して、実施例1の樹脂組成物は、成形温度に依存せず、高い衝撃性、剛性を有する。
また、表2に示すように、熱可塑性樹脂(C)と配合した場合についても、共役ジエン系ゴムのゲル含有量が65質量%未満では、比較例3、5、7、9のように、高温混練、高温成形することで得られる成形品の剛性が大幅に低下し、共役ジエン系ゴムのゲル含有量が90質量%を超える場合、比較例4、6、8、10のように、高温混練、高温成形することで得られる成形品の耐衝撃性が大幅に低下する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、ABS樹脂等のゴム強化スチレン系樹脂をエンジニアリングプラスチックとアロイ化したものであっても、耐衝撃性、剛性に優れたものとなり、工業的な実用価値は極めて大きい。

Claims (4)

  1. ゴム強化スチレン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物において、
    前記ゴム強化スチレン系樹脂が、ゲル含有量が65〜90質量%である共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ゴム強化スチレン系樹脂が、グラフト共重合体(A)20〜80質量部と、硬質共重合体(B)20〜80質量部とを含有し[グラフト共重合体(A)および硬質共重合体(B)の合計100質量部]、
    前記グラフト共重合体(A)が、ゲル含有量が65〜90質量%である共役ジエン系ゴム40〜80質量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体90〜50質量%、シアン化ビニル系単量体10〜50質量%、および他のビニル系単量体0〜30質量%からなる単量体混合物60〜20質量部をグラフト重合させてなるものであり[共役ジエン系ゴムおよび単量体混合物の合計100質量部]、
    前記硬質共重合体(B)が、芳香族ビニル系単量体90〜50質量%、シアン化ビニル系単量体10〜50質量%、および他のビニル系単量体0〜30質量%を重合させたものであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ゴム強化スチレン系樹脂と、
    ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(C)と
    を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1ないし3いずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品。
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