JP2004083617A - 真空成形用熱可塑性樹脂組成物および車両用外装部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高温環境下での引張り試験において、120℃〜150℃の間にて最大伸び率を示し、且つ、150℃での高温環境下での引張り強度が10MPa以下となる真空成形用熱可塑性樹脂組成物。特に該樹脂組成物としてポリアミド樹脂(A)5〜40重量部、ジエン系ゴムの存在下に芳香族ビニルとシアン化ビニルをグラフト重合してなるグラフト重合体(B)60〜95重量部、還元粘度0.2〜0.6dl/gの不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜30重量部および芳香族ビニルとシアン化ビニルを重合してなる共重合体(D)0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕からなることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂組成物に関するものである。詳しくは、真空成形性、耐衝撃性、耐薬品性のバランスに優れ、かつ耐熱性、剛性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は、耐薬品性、耐熱性、耐磨耗性等に優れる樹脂であり、自動車部品や電気・電子部品として広く使用されているが、融点が高いことから、真空成形法には適せず、大型部品の真空成形加工ができないという欠点を有している。
また、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)は、容易に真空成形が可能であり、耐衝撃性、成形性に優れる樹脂であり、事務機器部品、電気部品、自動車部品等として広く使用されているが、耐薬品性、耐磨耗性に劣るという欠点を有している。
そこで、これらの欠点を補うべく、ポリアミド樹脂とABS樹脂のブレンド、すなわちポリアミド/ABSアロイが提案されている(特公昭38−23476号)。
しかし、ポリアミド樹脂とABS樹脂は相溶性が乏しいため、この相溶性を改良する方法として、不飽和カルボン酸をスチレン、アクリロニトリルと共に共重合してなる変性共重合体を配合する方法が提案されている(特開昭63−179957号、特開昭64−158号)。
これらの方法により、相溶性といった点においては改善がみられ、耐衝撃性等においては一応の改良効果が認められている。
一方、これら材料からなる樹脂成形品、例えば大型のテレビハウジング、冷蔵庫外板パネル等の家電製品、ドアパネル、ホイルキャップ、バンパー、フェンダー等の車両用部品等においては、生産コストの都合上、真空成形法により生産されるケースがあるが、一般にポリアミド系アロイ樹脂はその融点が上昇してしまうことから真空成形時の加熱が困難となり、真空成形法においては致命的な欠点となる。
従って、このような状況下、ポリアミド/ABSアロイにおいて、耐衝撃性、耐薬品性を低下させることなく、真空成形性の改良された樹脂組成物が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、特にポリアミド/ABSアロイにおいて、耐衝撃性、耐薬品性を低下させることなく、真空成形性が改良され、かつ耐熱性、剛性にも優れた樹脂組成物の提供を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、高温環境下での引張り試験において、120℃〜150℃の間にて最大伸び率を示し、且つ、150℃での高温環境下での引張り強度が10MPa以下となる真空成形用熱可塑性樹脂組成物を提供するものであり、特に、本発明は、ポリアミド樹脂とABS樹脂とを特定の比率にて調整し、かつ特定の共重合体を配合することにより、耐衝撃性、耐薬品性を低下させることなく、真空成形性が改良され、かつ耐熱性、剛性にも優れた樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明における真空成形用熱可塑性樹脂組成物は、上記の条件を満足する樹脂組成物である。
上記の真空成形性の評価法としては高温環境下での引張り試験による強度および伸び率の温度依存性挙動から判断できる。すなわち、本発明にかかる樹脂組成物を真空成形時に加熱される温度である高温域において引張試験を行い、120℃から150℃の間に最大引張伸び率を持ち、且つ150℃での引張強度が10MPa以下とすることが必要である。この引張挙動を有することにより、シートを過度に加熱することなく、編肉のない厚みの均一な真空成形品を得ることができる。
【0006】
本発明においては、特にこのような樹脂組成物として、ポリアミド樹脂(A)5〜40重量部、ジエン系ゴム10〜80重量%の存在下に芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜50重量%からなる単量体混合物90〜20重量%をグラフト重合してなるグラフト重合体(B)60〜95重量部、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜49.5重量%を重合してなる還元粘度0.2〜0.6dl/gの不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜30重量部および芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜50重量%を重合してなる共重合体(D)0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕からなる樹脂組成物を使用することが、耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性、剛性および真空成形性のバランスの点において好ましい。
【0007】
本発明において用いられるポリアミド樹脂(A)とは、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン116、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン6/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ナイロン11T、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド等が挙げられる。なお、上記”I”はイソフタル酸成分、”T”はテレフタル酸成分を示す。
これらのうち、特にナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6Tが好ましい。
【0008】
本発明において用いられるグラフト重合体(B)とは、ジエン系ゴム10〜80重量%の存在下に芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル単量体10〜50重量%からなる単量体混合物90〜20重量%をグラフト重合してなるグラフト重合体である。
【0009】
上記グラフト重合体(B)を構成するジエン系ゴムは、例えば1,3−ブタジエン等に代表されるジエン系単量体を50重量%以上含む単量体を重合してなる重合体であり、該ジエン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体等が挙げられる。具体的には、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−メチルメタアクリレート共重合体である。また、ジエン系ゴムのゲル含有量(溶媒:トルエン)には特に制限はないが、好ましくは60〜95重量%のものが好ましく使用できる。
【0010】
グラフト重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
また、本発明においては、上記芳香族ビニル系単量体の一部を他の共重合可能なビニル系単量体、例えばマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、O−クロル−N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の不飽和カルボン酸エステル系単量体等に置換してもよい。
【0011】
なお、本発明においては、耐衝撃性と耐熱性、剛性の面より、特にグラフト重合体(B)を構成するジエン系ゴムとして、特定粒子径の小粒子ゴムを凝集させてなる、凝集肥大化ゴムを使用することが好ましい。具体的には、重量平均粒子径0.05〜0.20μの小粒子ジエン系ゴムラテックスを重量平均粒子径0.20〜0.8μに凝集肥大化させたジエン系ゴムラテックスを使用することが好ましい。
上記の小粒子ジエン系ゴムラテックスを凝集肥大化する方法としては、従来公知の方法、例えば酸性物質を添加する方法(特公昭42−3112、特公昭55−19246、特公平2−9601、特開昭63−117005、特開昭63−132903、特開平7−157501、特開平8−259777)、酸基含有ラテックスを添加する方法(特開昭56−166201、特開昭59−93701、特開平1−126301、特開平8−59704)等を採用することができ、特に制限はない。
【0012】
上記グラフト重合体の製造方法には特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法又はこれらの組み合わせにより重合することができるが、特に上記凝集肥大化ゴムラテックスを使用する際には通常の乳化重合法が採用でき、またその際に使用する乳化剤、開始剤、各種助剤については公知のものが使用でき何ら限定はない。
【0013】
本発明において用いられる不飽和カルボン酸変性共重合体(C)とは、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜49.5重量%を重合してなる還元粘度が0.2〜0.6dl/gの共重合体である。
共重合体(C)の還元粘度が0.2dl/g未満では耐衝撃性に劣り、また0.6dl/gを超えるとシート成形性、真空成形性に劣り好ましくない。
なお、共重合体(C)の還元粘度は、共重合体(C)を30℃,ジメチルホルムアミド(DMF)の溶液濃度0.4g/dlにて測定された粘度である。
【0014】
共重合体(C)を構成する不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にメタクリル酸が好ましい。
芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体としては、グラフト重合体(B)の項で例示したものと同様のものを使用することができる。
また、芳香族ビニル系単量体の一部を他の共重合可能なビニル系単量体、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の不飽和カルボン酸エステル系単量体等に置換してもよい。
【0015】
上記共重合体(C)の製造においては公知の乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を採用することができ、またその際に使用する乳化剤、開始剤、各種助剤については公知のものが使用でき何ら限定はない。また、不飽和カルボン酸単量体の添加方法についても特に制限はなく、他の単量体と混合して重合系へ添加する方法、水溶液として添加する方法等を採用することができる。
なお、共重合体(C)の還元粘度については、重合温度、単量体の添加方法、使用する開始剤および例えばt−ドデシルメルカプタン等の重合連鎖移動剤の種類および量により適宜調整することができる。
【0016】
本発明において用いられる共重合体(D)とは、芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜50重量%重合してなる共重合体である。
共重合体(D)を構成する芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体としては、グラフト重合体(B)の項で例示したものと同様のものを使用することができる。
また、本発明においては、上記共重合体(D)を構成する芳香族ビニル系単量体の一部をマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、O−クロル−N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の不飽和カルボン酸エステル系単量体等に置換してもよい。
なお、共重合体(D)の還元粘度については何ら限定はないが、0.3〜1.2dl/gの範囲であることが好ましい。
【0017】
上記共重合体(D)の製造においては、公知の乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を採用することができ、またその際に使用する乳化剤、開始剤、各種助剤については公知のものが使用でき何ら限定はない。
【0018】
本発明における上記ポリアミド樹脂(A)、グラフト重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)および共重合体(D)の配合割合は、(A)5〜40重量部、(B)60〜95重量部、(C)1〜30重量部および(D)0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕であり、この範囲内とすることにより本発明の目的とする組成物が得られるので好ましい。
また、組成物の真空成形性と耐薬品性の面から、ポリアミド樹脂含有量は特に10〜30重量部であることが望ましく、また物性バランスの観点から、組成物全体に占めるジエン系ゴム含有量は5〜40重量%の範囲であることが好ましい。
【0019】
ポリアミド樹脂(A)、グラフト重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)および共重合体(D)の混合順序ならびにその状態には何ら制限はなく、パウダー、ペレットなどの形態による、(A)、(B)、(C)および(D)成分の一括同時混合、特定の二成分を予備混合した後残る成分を混合する方法が例示される。これらの溶融混合に際してはバンバリーミキサー、ロール、押出機等を用いることができる。
なお、混合に際し、必要に応じてポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の他の熱可塑性樹脂、さらには酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、難燃剤、離型剤、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、金属フレーク等の公知の添加剤、補強材、充填材(タルク等)等を添加することができる。
【0020】
以下に本発明について詳細に説明する。尚、本発明はこれにより何ら制限を受けるものでは無い。また、部および%は何れも重量基準で示した。
【0021】
〔参考例−1〕
耐圧容器に1,3−ブタジエン100部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.25部、ロジン酸ナトリウム2.5部、水酸化ナトリウム0.1部、純水170部を仕込み、80℃に昇温したのち重合を開始した。重合は10時間で終了させた。得られたジエン系ゴムラテックス(b−▲1▼)は、固形分37%、重量平均粒子径0.1μ、ゲル含有量90%であった。
なお、ゲル含有量は、ラテックスを乾燥させてフィルムを作製し、約1gを秤量した後、トルエンに23℃で48時間浸漬させた後、不溶分を100メッシュ金網で濾別・乾燥し、その重量%を測定した。
【0022】
〔参考例−2〕
耐圧容器に、参考例−1で得られたジエン系ゴムラテックス(b−▲1▼)270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10部を添加し、固形分34%、重量平均粒子径0.3μの肥大化ジエン系ゴムラテックス(b−1)を得た。
【0023】
〔参考例−3〕
耐圧容器に、参考例−2で得られた肥大化ジエン系ゴムラテックス(b−1)50部(固形分)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、過硫酸カリウム、0.3部を仕込み、70℃に昇温した後、スチレン35部およびアクリロニトリル15部からなる単量体混合物を5時間に亘って連続添加し、グラフト重合体ラテックスB−1を得た。得られたラテックス100重量部(固形分)当たり酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(住友化学工業社製:スミライザーBBM)1部およびトリスノニルフェニルホスファイト2部を添加した後、硫酸マグネシウムを用いて塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体B−1を得た。
また、上記の重合において、ジエン系ゴムラテックス60部(固形分)、スチレン28部およびアクリロニトリル12部に変更した以外は上記と同様にして、グラフト重合体B−2を得た。
【0024】
〔参考例−4〕
耐圧容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン67部、アクリロニトリル30部、メタクリル酸3部およびt−ドデシルメルカプタン1.5部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温し、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析・脱水・乾燥し、不飽和カルボン酸変性共重合体C−1を得た。得られた共重合体C−1の還元粘度は0.3であった。
さらに、C−1の重合において、t−ドデシルメルカプタンを0.3部に変更した以外は同様にして不飽和カルボン酸変性共重合体C−iを得た。得られた共重合体C−iの還元粘度は0.65であった。
【0025】
〔参考例−5〕
耐圧容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン70部、アクリロニトリル30部、およびt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温し、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析・脱水・乾燥し、共重合体D−1を得た。得られた共重合体D−1の還元粘度は0.6であった。
【0026】
〔実施例1〜4および比較例1〜5〕
ポリアミド樹脂(A)、参考例で製造したグラフト共重合体B−1〜2、共重合体C−1、C−iおよび共重合体D−1、さらに実施例4、5においてはタルク(林化成社製 ミクロンホワイト#5000S)を表1に示す配合割合で混合し、40mm二軸押出機を用いて250℃で溶融混合、ペレットとした後、射出成形機にて各種試験片を作成し物性を評価した。結果を表1に示す。
なお、実施例および比較例で使用したポリアミド樹脂(A)はナイロン6(ユニチカ社製、ユニチカナイロン6 A1030BRT)を使用した。
【0027】
o耐衝撃性:ASTM D−256に準拠。1/8インチ、23℃。
o耐熱性:ASTM D−648に準拠。1/4インチ、0.45MPa荷重。
o剛性:ASTM D−790に準拠。
o真空成形性:JIS2号型ダンベルを用いて、引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−500)にて設定温度100℃〜170℃の恒温範囲での10℃毎の引張強度および引張伸び率を測定した。また、引張速度は500mm/分とした。
ここで、引張強度は真空成形の予備加熱時における溶融粘度を測る指標として有意義であり、真空成形時のシート加熱温度である150℃の高温領域にて10MPa以下であることが必要である。
また、引張伸び率は真空成形時の賦型性を測る指標として適している。編肉の無い成形品を得るためには、120℃〜150℃の温度にて最大引張伸び率を示すことが必要である。
最大引張伸び率が120〜150℃範囲にあるものを○、無いものを×とした。
JIS2号型ダンベル:測定部幅×厚み=6mm×2mm
o耐薬品性:歪み1%の円弧治具に長さ=20cm、巾=2cm、厚み=3mmの試験片を固定し、ガソリンを塗布後、常温で24時間放置した後の表面状態を目視判定した。
○:クラック無し、×:クラックまたは折れが発生。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
本発明における樹脂組成物は、上記のとおり耐衝撃性、耐薬品性、真空成形性のバランスに優れ、かつ耐熱性、剛性に優れるものであり、特に大型の家電製品、車両部品等、多様な用途において有用である。
Claims (4)
- 高温環境下での引張り試験において、120℃〜150℃の間にて最大伸び率を示し、且つ、150℃での高温環境下での引張り強度が10MPa以下となる真空成形用熱可塑性樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)5〜40重量部、ジエン系ゴム10〜80重量%の存在下に芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜50重量%からなる単量体混合物90〜20重量%をグラフト重合してなるグラフト重合体(B)60〜95重量部、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜49.5重量%を重合してなる還元粘度0.2〜0.6dl/gの不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜30重量部および芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜50重量%を重合してなる共重合体(D)0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕からなり、高温環境下での引張り試験において、120℃〜150℃の間にて最大伸び率を示し、且つ、150℃での高温環境下での引張り強度が10MPa以下となることを特徴とする真空成形用熱可塑性樹脂組成物。
- グラフト重合体(B)が、重量平均粒子径0.05〜0.20μの小粒子ジエン系ゴムラテックスを重量平均粒子径0.20〜0.8μに凝集肥大化させたジエン系ゴムラテックス(固形分)10〜80重量%の存在下に芳香族ビニル系単量体50〜90重量%およびシアン化ビニル系単量体10〜50重量%からなる単量体混合物90〜20重量%をグラフト重合してなるグラフト重合体である請求項2記載の真空成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3何れかに記載の樹脂組成物を真空成形してなる車両用外装部品。
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