JP2006076855A - 半導体ナノ粒子を含む粘性分散液 - Google Patents

半導体ナノ粒子を含む粘性分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温成膜によって高純度の多孔性半導体膜を形成させるために有用な半導体ナノ粒子含有粘性分散液を提供する。
【解決手段】 分散媒体中に結晶性半導体ナノ粒子が分散されてなる分散液であって、該分散媒体が、炭素原子数が3〜5のアルコールを主成分とする親水性有機溶媒を53〜92質量%そして水を8〜47質量%含んでいて、有機質バインダを2質量%以上含むことのない溶媒混合物であり、そして該結晶性半導体ナノ粒子が分散液全体に対して8〜40質量%の量にて分散されている粘性分散液。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂等の絶縁性の有機質バインダを実質的に含まない半導体ナノ粒子と分散媒体のみからなる粘性の高いペーストに関する。
二酸化チタンナノ粒子を代表とする半導体ナノ粒子は、光触媒への分野やコンデンサ、キャパシタ、電池などのエレクトロニクス素子の分野、燃料電池や太陽電池などのエネルギーの分野で超薄膜あるいは多孔質膜の形成材料として広く用いられている。光触媒材料としてとくに二酸化チタンのナノ粒子を含む成膜材料はペーストもしくはスプレーの形で産業で実用化されており、塗装材や表面改質材として利用されている。また、エネルギーの分野においても、比表面積の大きい半導体ナノ粒子を電極材料に用いた蓄電素子や色素増感太陽電池の開発が活発化している。色素増感太陽電池は、シリコンのp−n接合や化合物半導体のヘテロ接合を光発電層とするこれまでの固体接合型太陽電池に代わる低コストの太陽電池であり、半導体ナノ粒子の多孔膜を活用した技術として特に重要である。
色素増感型太陽電池の基本技術は、非特許文献1及び特許文献1に開示されている。この色素増感型太陽電池は、800nmまでの可視光に応答し、既に10%以上のエネルギー変換効率に達したものが実現しており、アモルファスシリコン太陽電池を凌駕する15%以上のエネルギー変換効率の実現に向けて精力的な研究が続けられている。
なかでも、シリコン太陽電池とは異なる特徴を有するものとして、カラフルで透明性に優れた色素増感型太陽電池の研究、特にプラスチックを基板とするフィルム型の色素増感型太陽電池の研究が活発である。これまでのガラス型の色素増感太陽電池では、増粘用のバインダを含む粘性の半導体ナノ粒子含有粘性分散液を塗布し、このバインダを焼き飛ばす高温(450℃以上)の焼成工程によって半導体多孔膜を成膜していたのに対して、プラスチックを基板とするフィルム型の色素増感型太陽電池では、低温下での成膜工程が必要となる。このようなフィルム型太陽電池の製造に必要な半導体多孔膜の低温成膜法としては、電気泳動法を用いる半導体多孔性膜の形成が提案されている(非特許文献2、特許文献2参照)。また、その外にも、半導体微粒子の分散体を電極支持体にコーティングし、加圧して製膜する、いわゆるプレス法が提案されている(特許文献3参照)。
これらの方法においては、プラスチック電極の耐熱性の範囲内である150℃以下の低温で半導体多孔性膜を形成することができ、印刷分野で用いているロール式生産方式が適用可能なので、低コストで太陽電池を製造しうる利点はある。しかし、これにより得られる電極を用いた太陽電池はエネルギー効率が1〜3%程度であって、従来の焼成法で製造されたガラス電極に比べ低効率になるという欠点がある。
これは、従来の高温の焼成工程では、原料に由来する不純物が完全に除かれるが、プレス法その他の低温成膜法では、これらの不純物が完全には除去されず、半導体粒子の分散溶媒中に存在する不純物(多くは有機物)や成膜用に少量添加されるバインダの有機物が多孔性半導体膜中に絶縁性物質として混入してくるためである。従って、低温成膜において、バインダ材料として用いられたポリマーや有機性不純物の混入を一定水準以下に低減して、実質的にバインダを含有しない高純度の色素増感半導体膜を形成させ、軽量で大面積のフィルム型太陽電池を製造することが、強く要望されている。
米国特許4927721号明細書(特許請求の範囲その他) 特開2002−100416号公報(特許請求の範囲その他) 特表第00/72373 A1号公報(特許請求の範囲その他) 「ネイチュア(Nature)」、第353巻、p737−740、1991年 「ケミストリー・レターズ(Chemistry letters)」、2002年、p1250
本発明は、本発明者による、低温成膜によって高純度の多孔性半導体膜を形成させるために有用な半導体ナノ粒子含有粘性分散液についての研究に基づいて完成されたものである。
本発明者らは、プラスチックフィルム上に低温成膜によって半導体多孔膜を形成するために最適な粘性液体組成物の組成を検討した結果、半導体ナノ粒子に対してこれを分散する溶媒(分散媒体)の種類、そしてこの溶媒と半導体含有のゾルとの混合比率を選ぶことによって、フィルム上に密着性の良い多孔性薄膜を形成することが可能な半導体ナノ粒子含有粘性分散液を発明するに至った。
本発明は、分散媒体中に結晶性半導体ナノ粒子が分散されてなる分散液であって、該分散媒体が、炭素原子数が3〜5のアルコールを主成分とする親水性有機溶媒を53〜92質量%そして水を8〜47質量%含んでいて、有機質バインダを2質量%以上含むことのない溶媒混合物であり、そして該結晶性半導体ナノ粒子が分散液全体に対して8〜40質量%の量にて分散されていることを特徴とする粘性分散液にある。
本発明の半導体ナノ粒子含有粘性分散液を用いることにより、低温下の塗布成膜工程による汎用のフィルムならびに導電性フィルム上への半導体多孔膜の形成が可能となる。従って、本発明の半導体ナノ粒子含有粘性分散液を用いることにより、エネルギー変換効率と保存耐久性に優れたフィルム型の色素増感光電池の組み立てが可能となる。
本発明の半導体ナノ粒子含有粘性分散液(以下、「ペースト」ともいう)は、二酸化チタンを代表とする多孔性半導体層材料を低温下で基板上に成膜し、多孔性半導体薄膜を作製する目的で特に有効に用いられるものであり、なかでも、低温の成膜を必要とするプラスチックフィルム電極の作製に有効に用いることができる。本ペーストは、半導体の結晶性のナノ粒子が主たる成分として分散された粘性の白色の不透明な液体であり、粘度を高める目的もしくは成膜において基板との密着性を高める目的で通常添加される樹脂やラテックスなどのバインダ材料を実質的に含まないか、あるいは限られた含有量以下の少量でしか含まないため、形成される多孔性半導体薄膜の導電性は高いレベルに保たれる。
本発明のペーストに含まれる結晶性のナノ粒子は、公知の方法を用いて製造することができる。製造法としては、例えば「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)に記載されているゾル−ゲル法や、金属塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法や、金属化合物を気相中、高温で熱分解して超微粒子とするいわゆる気相における噴霧熱分解法などにより調製することができる。これらの方法によって作らせる二酸化チタンの超微粒子およびナノ粒子については、柳田博明監修、微粒子工学大系第II巻、応用技術、フジテクノシステム(2002年)に解説されている。
本発明のペーストには、結晶性の半導体材料のナノ粒子が主成分として含まれる。半導体材料としては、金属の酸化物及び金属カルコゲニドを使用することができる。これら酸化物及びカルコゲニドの金属元素としては、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉛、アンチモン、ビスマス、カドミウム、鉛などが挙げられる。また、ペロブスカイト構造を有する金属化合物として好ましいのは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどである。
好ましい半導体材料としては、n型の無機半導体材料、例えばTiO2、TiSrO3、ZnO、Nb23、SnO2、WO3、Si、CdS、CdSe、V25、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO3、FeS2、PbSなどがあるが、これらのうちより好ましい半導体は金属酸化物からなる半導体材料である。好ましい材料としては、TiO2、ZnO、SnO2、WO3、Nb23が挙げられる。なかでも特に好ましいのは二酸化チタン(TiO2)である。
本発明のペーストに結晶性の二酸化チタンのナノ粒子を用いる場合、二酸化チタンのナノ粒子は、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型のいずれかの結晶構造を有する。なかでも、本発明のペーストに好ましい粒子は、アナターゼ型結晶とブルッカイト型結晶であり、本発明のペーストには少なくともアナターゼ型結晶とブルッカイト型結晶の粒子の混合物を含むことが好ましい。結晶構造はX線回折法による回折パターンの測定もしくは透過型電子顕微鏡観察による結晶格子像の検出によって検定することができる。また結晶構造はX線回折パターンによって決定することができる。二酸化チタンの粒子の形状は、無定形、球体、多面体、ファイバー状、ナノチューブ状など様々な形であってよいが、多面体ならびにナノチューブ状のものが好ましく、特に多面体の形状が好ましい。
ペーストに含まれる半導体ナノ粒子(例、二酸化チタンナノ粒子)のサイズについては、その平均粒子径が、10nm以上、150nm未満であることが好ましい。この平均粒子径は15nm以上、100nm以下であることがより好ましい。また、平均粒子径は20nm以上、80nm以下であることが最も好ましい。ナノ粒子の平均粒子径は、たとえばレーザー光散乱法などを用いた光相関法や操作型電子顕微鏡観察によって測定される粒径分布から計算される。
ペーストに含まれる半導体ナノ粒子(例、二酸化チタンナノ粒子)は、平均粒子径と粒径分布の異なる二種類以上の微粒子を含んでもよい。すなわち、ナノ粒子に加えて、平均粒径の大きい微粒子を混合することができる。この場合は、平均粒径150nm以上600nm以下である結晶性の二酸化チタン粒子を、大粒子として含むことが好ましい。このような大粒子は、ナノ粒子に対して質量割合として5〜80%の割合で添加することができ、質量割合として10〜50%の割合で添加することが好ましい。
半導体ナノ粒子は、ペーストの全組成物の質量を基準として、8質量%以上、40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上で、35質量%以下であることが特に好ましい。
本発明のペーストには、半導体以外の各種無機化合物を添加剤として混合することができる。無機化合物としては、各種の酸化物や、半導体材料ならびに導電材料を挙げることができる。無機酸化物としては金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類の酸化物、ランタノイド及びSi、P、Seなどの非金属の酸化物が含まれる。ここで金属の例としては、Al、Ge、Sn、In、Sb、Tl、Pb、Biなどが挙げられ、アルカリ金属とアルカリ土類金属の例としては、Li、Mg、Ca、Sr、Baなどを挙げることができる。また、遷移金属の例としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、W、Os、Ir、Pt、Auなどを挙げることができる。また導電材料の例としては、金属、貴金属や炭素系材料などが挙げられる。
本発明のペーストは、塗工に必要な十分に高い粘度をもつ粘性液体組成物であり、その粘度が、800mPa・s以上であることが好ましい。ここで、1mPa・sは、1センチポイズに相当する。ペーストの粘度は細管式粘度測定法、回転式粘度測定法などによって計測することができる。本発明のペーストの粘度は、1000mPa・s以上であることがさらに好ましい。また、ペーストの粘度は3000mPa・s以上で、15000mPa・s以下であることがより好ましい。
本発明の粘性液体組成物には、炭素原子数が3〜5のアルコールが主成分とする親水性有機溶媒と水との混合溶媒が分散媒体として用いられる。このアルコールの例としては、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどの脂肪族アルコールが挙げられる。これらのアルコールは直鎖状であってもよく、また分岐状であっても良い。たとえば、1−プロパノール、2−プロパノール、1―ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノールなどが用いられる。これらの中でも好ましいものは、分岐状の脂肪族アルコールである2−プロパノールとtert−ブタノールであり、最も好ましいものは、tert−ブタノールである。なお、親水性有機溶媒には、上記の炭素原子数が3〜5のアルコール以外に、メタノールやエタノールなどの他の低級アルコール、アセトンやエーテルなどの他の親水性有機溶媒が少量(30質量%以下、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、さらに5質量%以下の量)含有されていてもよい。
本発明のペーストでは、アルコールに加えて、水が分散溶媒として混合される。水はナノ粒子の分散を良化しペーストの粘度を適性に保つ目的で添加される。水の含有量は、混合溶媒中で、8質量%以上、43質量%以下である。水の含有量は、15質量%以上、35質量%以下であることが好ましい。なかでも、15質量%以上、25質量%以下であることが好ましい。また、本ペーストを構成する水とアルコールはその体積比が1:7〜1:1.7の範囲にあることが好ましい。水の添加は、とくに二酸化チタンナノ粒子などの酸化物半導体ナノ粒子を用いるペーストに対してその効果が顕著である。
本発明のペーストに、有機物からなるバインダを混合して用いる場合は、バインダーの含有量を一定水準以下の少ない条件で用いることが好ましい。バインダとは粒子どうしの結着や粒子と基板の密着に効果を持つ結合助材を意味し、樹脂材料や高分子材料そしてワックスなどが含まれる。本発明のペーストについて、有機物からなるバインダの含有量はペーストの全質量に対して2%未満であることが必要である。また、本発明のペーストは実質的にバインダーを含有しないことが好ましい。ここで、バインダを実質的には含まないとは、有機物からなるバインダーの質量が全組成物の質量中で占める含有量が1質量%以下であることを意味する。もっとも好ましい条件は、バインダの含有量が0.5質量%以下に調整されることである。ここでバインダ用樹脂の例としては、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。
本発明のペーストは、酸化物半導体ナノ粒子の凝集を防止する目的で、酸性の液体であることが好ましく、そのpHが1〜6の酸性の液体であることが好ましい。またpHが3〜5の酸性の液体であることがさらに好ましい。
本発明のペーストを、電極基板上に塗工し、低温の加熱処理を施すことによって、多孔性の金属酸化物半導体層が被覆された電極を作製することができる。すなわち、本発明のペーストを50μm〜200μmの厚みで基板上に塗工し、得られた液体膜を乾燥後、室温以上150℃以下の低温下で加熱処理を施すことによって基板と良く密着した多孔性の金属酸化物半導体層が得られる。この低温下の加熱処理は120〜150℃の範囲で行うことが好ましい。このようにして作製した多孔性の層は、ナノサイズの細孔を有するメソポーラス膜である。本発明のペースとの塗工には、ドクターブレード法、スキージ法、スクリーンプリンティング法などを用いることができる。
ペーストを塗工する基板としては、ガラス、金属、プラスチックなどの材料からなる基板や電極基板を用いることができるが、好ましいものは、可撓性プラスチック支持体からなる基板や電極である。とくに好ましいものは、電極として用いるのに有用な透明導電性プラスチックフィルムであり、表面抵抗が20Ω/□以下の透明導電性プラスチックフィルムを用いることが特に好ましい。本発明のペーストを用いて作製される電極として好ましいものは、表面抵抗が20Ω/□以下の透明導電性プラスチックフィルムの表面に多孔性の半導体層が被覆されたプラスチック電極である。プラスチック電極の厚みは、多孔質半導体層を含めて150〜700μmの範囲にあることが好ましく、200〜450μmの範囲にあることが特に好ましい。プラスチック支持体単独の厚みは、140〜650μmが好ましく、180〜400μmが特に好ましい。
本発明のペーストを塗工するために用いる透明導電性プラスチックフィルムは、導電層とそれを担持するプラスチック支持体によって構成される。透明導電性プラスチックフィルムのプラスチック支持体には、無着色で透明性が高く、耐熱性が高く、耐薬品性ならびにガス遮断性に優れ、かつ低コストの材料が好ましく選ばれる。この観点から、好ましいプラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)などが用いられる。これらの中で耐薬品性やコストの点で特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)である。
透明導電性プラスチック支持体の導電層には、導電材料として、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウムなどの金属、炭素又はインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズなどの導電性金属酸化物などを用いることができる。この中で光学的透明性をもつ点で導電性金属酸化物が好ましく、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)ならびに酸化亜鉛が特に好ましい。導電層は、その表面抵抗(あるいはシート抵抗)が低いことが必要であり、表面抵抗値は20Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗値は、好ましくは10Ω/□以下、さらに好ましくは3Ω/□以下である。この導電層には集電のための補助リードをパターニングなどにより配置させることができる。このような補助リードは、通常、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなどの低抵抗の金属材料によって形成される。このような補助リードがパターニングされた透明導電層においては、表面抵抗値は補助リードを含めた表面の抵抗値として測定され、その値は好ましくは10Ω/□以下、さらに好ましくは3Ω/□以下である。このような補助リードのパターンは透明プラスチック基板上に形成され、さらにその上にITO膜などからなる透明導電層を設けるのが好ましい。
本発明のペーストを用いて上記のように作製される半導体多孔膜を担持したプラスチック電極は色素増感電極として用いることができる。色素増感電極の作製のためには、金属酸化物半導体層の表面を、色素の吸着によって増感することが必要である。増感に用いる色素分子としては、色素増感半導体にこれまで用いられてきた既知の増感材料が広く用いられる。このようなものとしては、例えばシアニン系、メロシアニン系、オキソノール系、キサンテン系、スクワリリウム系、ポリメチン系、クマリン系、リボフラビン系、ペリレン系などの有機色素、Ru錯体や金属フタロシアニン誘導体、金属ポルフィリン誘導体、クロロフィル誘導体などの錯体系色素などがある。そのほか「機能材料」、2003年6月号、第5〜18ページに記載されている合成色素と天然色素や、「ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J.Chem.Phys.)」、B.第107巻、第597ページ(2003年)に記載されるクマリンを中心とする有機色素を用いることもできる。
プラスチック電極基板上に形成された多孔性半導体層は、実質的に半導体を含む無機化合物材料と色素のみから構成される。実質的に半導体を含む無機化合物材料と色素のみから構成されるとは、半導体を含む無機化合物材料と色素が該粒子層の主たる構成要素であり、これらの構成要素の合計の質量が該粒子層の全固形分の質量にほぼ等しいことを意味する。半導体を含む無機化合物材料と色素の二種以外の固形分として粒子層に混入する可能性のあるものは、例えば、少量の高分子樹脂バインダや炭素材料などが挙げられる。半導体を含む無機化合物材料と色素を除く固形分が多孔性半導体層の全質量に含まれる割合は、1質量%以下であることが好ましい。
本発明において半導体を含む無機化合物が多孔性粒子層の全質量に占める割合は、例えば次の方法によって計測することができる。すなわち、該多孔性粒子層をプラスチック支持体より剥離し、多孔性粒子層に含まれる粒子層構成成分以外の物質として、電解液などの構成成分に由来する液体成分や固形成分を、電解液を構成する溶媒を用いて洗い落とし粒子層の単体のみとし、次に、粒子層を乾燥して質量を計量する。この質量が全固形分の質量である。
次いで、全固形分をアルコールやアセトニトリルなどの極性有機溶媒ならびにトルエンやクロロホルムなどの非極性有機溶媒によって十分に洗浄し有機物質を除去し、次に、酸素雰囲気下もしくは空気中で粒子層を400℃以上で1時間以上加熱し、加熱後の残留分の質量を計量する。この残留分の乾燥質量を全固形分の質量で除したものが半導体を含む無機化合物の質量が全固形分質量に占める割合である。
色素増感電極において色素の質量が占める割合は、例えば次の方法によって計測することができる。すなわち該粒子層をプラスチック支持体より剥離し、全質量を計量したのち、該粒子層を、水、メタノール、アセトニトリルなどの色素の溶出に有効な有機溶媒によって十分に洗浄し、色素を粒子層から脱離させ、粒子層を色素の色がほとんど残らない程度まで洗浄する。色素を含む洗浄溶液からエバポレーションによって溶媒を除去した後、残留する色素の乾燥質量を計量する。色素の乾燥質量を全固形分質量で除した値が目的の色素の割合である。
また、こうして求められる無機化合物の割合と色素の割合の合計を1から減じたものが、無機化合物と色素を除く固形分の質量が該粒子層の全質量に占める割合として求められる。無機化合物と色素を除く固形分として含まれるものには、例えば、高分子樹脂などのバインダが挙げられる。
本発明のペーストを塗工して作る多孔性半導体層において、層内を空孔が占める体積分率で示される空孔率は40%〜85%の範囲にあることが好ましい。この空孔率は50%〜75%の範囲にあるものが特に好ましい。
本発明のペーストをプラスチック電極上に塗工して作られる多孔性の金属酸化物半導体電極を用いて、色素増感太陽電池ならびに光電池を作製することができる。多孔性の金属酸化物半導体層としては特に二酸化チタン層が優れた性能を発揮する。そして、多孔性の二酸化チタン層に色素を吸着して得られる色素増感プラスチック電極を光電極とし、これにイオン導電性層と対極を積層させた多層体によって構成される機械的にフレキシブルなフィルム型太陽電池ならびに光電変換素子を作製することができる。
フィルム型太陽電池に用いるイオン導電性電解質層としては、水系電解液、有機溶媒電解液、イオン性液体電解液(溶融塩電解液)などを用いることができる。これらの電解液に含ませる酸化還元剤としては、I2とヨウ化物の組合せ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KIなどの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど第四級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)を含む電解液、Br2と臭化物の組合せ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBrなどの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど第四級アンモニウム化合物の臭素塩など)を含む電解液のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどの硫黄化合物、などを用いることができる。この中でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど第四級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が光電池として高い性能を出す点で好ましい。
太陽電池の対極の導電層には、白金、金、銀、銅、チタン、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属、炭素系材料又は導電性金属酸化物、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物を導電材料として用いることができる。この中でも白金、チタン、ITO膜、ならびに炭素系材料が耐腐食性に優れる点で好ましい。
本発明のペーストを用いて作るフィルム型光電池には、上記の基本的層構成に加えて所望に応じさらに各種の層を設けることができる。例えば導電性プラスチック支持体と多孔性半導体層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として設けることができる。
下塗り層として好ましいのは金属酸化物であり、たとえばTiO2、SnO2、Fe23、WO3、ZnO、Nb25などである。下塗り層は、例えばElectrochim.Acta 40、643−652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法の他、スパッタ法などにより塗設することができる。下塗り層の好ましい膜厚は5〜100nmである。また、光電極として作用する多孔性半導体電極と対極の一方又は両方の外側表面、導電層と基板の間又は基板の中間に、保護層、反射防止層、ガスバリアー層などの機能性層を設けてもよい。これらの機能性層は、その材質に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法などによって形成することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を実施例として示す。
[粘性液体組成物の調製]
ルチル/アナターゼ混合型の結晶性の二酸化チタンナノ粒子(平均粒径60nm)とルチル型結晶の二酸化チタン粒子(平均粒子径約300nm、粒径分布200〜500nm)とを5:1の質量比で含む粒子粉末21g、そしてブルッカイト型結晶の粒子を含む二酸化チタンナノ粒子(粒径10〜30nm)が分散された酸性のゾル水溶液(濃度20質量%)60mLを、tert−ブタノール150mLに混合した。この混合物を自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使って均一に攪拌混合することによって、白色の粘性液体組成物(質量約220g)を調製した。このペースト中の水の含有量は全組成に対して体積として25%、質量として27%であり、水とアルコールの体積比は1:2.7であった。ペースト中の二酸化チタンの含有量は16質量%であった。このペーストは二酸化チタンと溶媒のみからなり、バインダを含んでいない粘性のバインダフリーペーストであり、回転粘度計によって計測された粘度は2400mO・sであった。また、ペーストは酸性の液体でありpHは4を示した。
比較実験として、上記のペーストに対して組成の異なる各種のペーストを調製した。第一に、ゾル水溶液とアルコールの使用量を変えることによって、水の含有量が異なる各種のペーストを調製した。第二に、分散用アルコールとしてtert−ブタノールに代えて2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ペンタノール、1−ヘキサノールを用いてペーストの調製を行った。第三に、二酸化チタンの粒子粉末の使用量を変更し、ペースト中の酸化チタンの含有量を5質量%から50質量%の範囲で変えたペーストを調製した。第四に、上記のブルッカイト型結晶性粒子を含む二酸化チタンナノ粒子が分散されたゾル水溶液をブルッカイト型結晶性粒子を含まないルチルとアナターゼの混合型の結晶性粒子(平均粒径15nm)を分散した水溶液に代えてペーストを調製した。
[ペーストの特性評価]
以上の各種の組成のペーストについて、粘度、塗工性能の評価、そして保存安定性の評価を行った。塗工性能の評価は次のように行った。ペーストを厚さ125μmのポリエチレンテレフラレートフィルムにスキージ法によって液膜厚さ100μmで塗布し、塗布膜を室温下で乾燥後、さらに150℃で5分間乾燥させた。得られた乾燥膜の品質を二つの観点で評価した。一点目は、膜の表面状態の均一性でありこれは目視によって評価した。二点目は、半導体膜の密着の強度であり、フィルムを曲率1.0cm-1まで機械的に10回曲げる疲労試験を行い、この疲労試験の後に、多孔性半導体層の剥離の状態を目視によって判定した。これらの評価の結果を、A:非常に良い、B:良い、C:Bより劣るが、実用性はある、の三段階で判定した。
保存安定性については、密閉した容器に入れたペーストを遮光下、4℃で冷蔵庫中に30日間静値して保存した。保存後、容器を手で振ってペーストを攪拌した後、粘度を再測定し、粘度の変化と塗工性能の評価をもとに保存安定性を、A:非常に良い、B:良い、C:Bより劣るが、実用性はある、の三段階で判定した。表1には、このように試作したペーストの組成を示し、表2には、ペーストの粘度、塗工性能、そして保存安定性の評価結果を示す。
[各種の半導体ナノ粒子ペーストの調製]
上記の二酸化チタンに代えて、半導体ナノ結晶として酸化スズ(平均粒径35nm)、酸化亜鉛(平均粒径60nm)、硫化カドミウム(粒径10〜50nm)を用いて上記実施例と同様な方法でバインダーフリーペーストの調製を行った。これらの半導体には上記実施例と同様にブルッカイト型結晶の粒子を含む二酸化チタンナノ粒子のゲル水溶液を混合し、アルコールにはtert−ブタノールを用いた。得られたペースト中の水の含有量は全組成に対して質量として23〜30%であり、半導体の含有量は15〜22質量%であった。これらの三種のペーストについて粘度、塗工性能、そして保存安定性の評価を行った。ペーストの組成を表1にその評価結果を表2に加えて示した。
[ペーストを用いた色素増感太陽電池の作製]
(1)プラスチックフィルム電極の作製
透明導電性プラスチックフィルムとして、ITOを導電膜として担持したフィルム厚み200μm、表面抵抗15Ω/□のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。この導電性フィルムの表面抵抗を下げるために、銀分散ペーストをスクリーン印刷する方法で、ITO膜上に線幅100μm、厚さ20μmの銀の集電用補助リード線を10mmの間隙で平行線状にパターニングした。これらの銀パターンの上に、ポリエステル系樹脂を保護膜として幅250μmで塗布して銀線を完全に保護した。得られたパターン入り導電性ITO−PETフィルムの実用シート抵抗は3Ω/□となった。
このITO−PETフィルムのITO面にドクターブレード法によって上記の実施例1で調製したtert−ブタノール分散型の二酸化チタン分散ペースト(水含有量:27質量%)を100μmの液厚みで塗布し、室温で乾燥後、さらに150℃で5分間乾燥を行って多孔性の酸化チタン粒子層を担持したフィルム電極を作製した。
なお、比較用の電極を作製するために、第一に、電極作製用のペーストの組成中に半導体材料以外の固形分として平均分子量が5万のポリエチレングリコール(PEG)の粉末を樹脂バインダーとして添加し、バインダー含有ペーストを調製した。このPEGの含有量は0.2質量%から5質量%の範囲で変えて比較した。また、半導体ナノ粒子の違いの比較として、上記の実施例で調製した酸化スズ含有ペーストならびに酸化亜鉛含有ペーストを用いて、多孔性の酸化スズ粒子層を担持したフィルム電極ならびに酸化亜鉛粒子層を担持したフィルム電極を作製した。
(2)色素増感太陽電池の作製
Ruビピリジル錯体色素としてビスイソシアネートビスビピリジルRu錯体のテトラブチルアンモニウム塩(N719)を、アセトニトリル:tert‐ブタノール(1:1)の混合溶媒に濃度3×10-4モル/リットルに溶解した色素溶液に上記の多孔性半導体フィルム電極基板を浸漬して、撹拌下40℃で60分放置して、色素吸着を完了し、色素増感酸化チタンITO−PETフィルム電極を作製した。
対極としてITOを導電膜として担持した厚み400μm、表面抵抗15Ω/□のポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルムのITO表面に、厚さ100nmの白金膜をスパッタリング法で被覆したシート抵抗0.8Ω/□の導電性フィルムを用いた。
色素増感ITO−PETフィルム電極の半導体層をフィルムから掻き落として、受光面積40cm2(5cm×8cm)の受光層を形成した。この電極に対して、上記の対極の白金蒸着ITO−PETフィルムを重ね合わせ、その間隙に毛管効果によってプロピレンカーボネート、tert‐ブチルピリジン、ヨウ化リチウム、ヨウ素から成る非水有機電解液を注入した。このように作製したサンドイッチ型のフィルム電池のエッジ部にエポキシ系の熱効果型シール材を注入し、110℃で20分間硬化処理を行った。このようにして組み立てた名刺サイズのフィルム型光電池は厚さが約600μm、重さが3.6gとなった。
(3)フィルム型太陽電池の光電変換特性の評価
500Wのキセノンランプを装着した太陽光シミュレータ用を用いて、上記のフィルム型光電池に対し、入射光強度が100mW/cm2のAM1.5模擬太陽光を、色素増感半導体フィルム電極側から照射した。電池は恒温装置のステージ上に密着して固定し、照射中の素子の温度を40℃に制御した。電流電圧測定装置を用いて、素子に印加するDC電圧を10mV/秒の定速でスキャンし、素子の出力する光電流を計測することにより、光電流−電圧特性を測定した。これにより求められた上記の各種素子の短絡光電流密度(Jsc)、エネルギー変換効率(η)を、フィルム電極の塗工に用いたペーストの組成とともに、表3に示す。
Figure 2006076855
Figure 2006076855
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表1の結果から、多孔質半導体層形成用ペーストとしての実用性について以下のことが明らかである。
1)バインダを含まないペースト組成において、水の含有量が8質量%に満たないものは粘度が低く塗布において流れてしまい、塗り付けができず、保存によって沈殿が生じるため塗布用ペーストとして使用することができない。また、水の含有量が47質量%を超えるものは同じ低粘度である欠点に加えて、塗布したときにフィルム基板表面ではじいてしまい塗り付かず、塗布用ペーストとして使用することができない。水の含有量が8質量%〜47質量%の範囲では特に良好な塗布性能を与えたものは、水の含有量が15〜35質量%のペーストであった。
2)組成中のアルコールの種類に関しては、ブタノール(炭素数4)ならびにブロパノール(炭素数3)は良好な粘度と塗布性能を持つペーストを与えたが、ペンタノール(炭素数5)ではペーストの品質が若干低下した。ヘキサノール(炭素数6)では水との相分離が生じる結果、使用に耐えるペーストは調製できない。
3)組成中の半導体ナノ粒子の含有量については、含有量が8質量%に満たないペーストは粘度が低下し塗布膜の均一性が低下し、含有量が40質量%を超えるペーストでは粘度がかなり増加するとともに粒子の凝集を生じ塗布膜の均一性と質が低下する。
4)組成中の半導体ナノ粒子にブルッカイト型結晶を含むペーストでは水の含有量を最適な範囲とすることで良好なペーストが得られたのに対し、ブルッカイト型結晶を含まないものは、塗布膜の均一性と密着性が若干低下する。
5)二酸化チタンに代えて、金属酸化物半導体の酸化スズ、酸化亜鉛、硫化物半導体の硫化カドミウムのナノ粒子を用いた場合も水の含有量を最適な範囲に調整することで粘性のペーストが得られることが示された。
また、表3の結果から、本発明のペーストを太陽電池の光電極材料の作製に用いたとき、優れた光電変換の実用性能に与えることが明らかである。
以上のように、本発明に開示する構成条件をもつ、半導体ナノ粒子を含む液体ペーストは、バインダーを含まない組成条件においても高い粘度と良好な保存安定性を示し、フィルム上に塗布して得られる多孔質膜は、良好な膜質と高い剥離耐久性を与える。また本ペーストをフィルムに塗布し150℃以下の低温で乾燥処理して得られる半導体膜は、高い導電性を示し、本ペーストがフィルム電極作製用ペーストとしても有用であることが示された。このフィルム電極を用いて光電変換性能に優れた色素増感太陽電池を提供することができる。
本発明のペーストをドクターブレード法やスクリーンプリンティング法の塗布用ペーストとして用いることにより、膜質と密着性に優れた半導体多孔質膜が得られる。本ペーストをフィルム基板に用い低温での成膜を行うことによって、光電変換性能に優れたフィルム型色素増感太陽電池が提供される。

Claims (12)

  1. 分散媒体中に結晶性半導体ナノ粒子が分散されてなる分散液であって、該分散媒体が、炭素原子数が3〜5のアルコールを主成分とする親水性有機溶媒を53〜92質量%そして水を8〜47質量%含んでいて、有機質バインダを2質量%以上含むことのない溶媒混合物であり、そして該結晶性半導体ナノ粒子が分散液全体に対して8〜40質量%の量にて分散されていることを特徴とする粘性分散液。
  2. 多孔質半導体層形成用である請求項1に記載の粘性分散液。
  3. 親水性有機溶媒中の炭素原子数が3〜5のアルコールの含有量が70容量%以上である請求項1もしくは2に記載の粘性分散液。
  4. 炭素原子数が3〜5のアルコールがtert−ブタノールである請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の粘性分散液。
  5. 結晶性半導体ナノ粒子が二酸化チタンのナノ粒子である請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の粘性分散液。
  6. 二酸化チタンのナノ粒子が、少なくともアナターゼ型結晶とブルッカイト型結晶の混合物からなるナノ粒子を含む請求項5に記載の粘性分散液。
  7. 粘度が800mPa・s以上である請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の粘性分散液。
  8. 粘度が3000〜15000mPa・sである請求項7に記載の粘性分散液。
  9. 該溶媒混合物中の炭素原子数が3〜5のアルコールを主成分とする親水性有機溶媒の含有量が65〜85質量%であり、水の含有量が15〜35質量%である請求項1に記載の粘性分散液。
  10. 該結晶性半導体ナノ粒子が分散液の全体量に対して15〜38質量%の量にて分散されてなる請求項1に記載の粘性分散液。
  11. 溶媒混合物が有機質バインダを1質量%以上含むことのない請求項1に記載の粘性分散液。
  12. 有機質バインダを該結晶性半導体ナノ粒子に対して2質量%以上含むことのない請求項1に記載の粘性分散液。
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