JP2010225326A - 光電気化学電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な有機色素を用いて、変換効率の高い光電気化学電池を提供する。特にプラスチックフィルム基板を用いたプラスチックフィルム型太陽電池を提供する。
【解決手段】支持体、導電層、色素により増感された半導体微粒子層、電荷輸送層及び対極を有する光電気化学電池であって、前記半導体微粒子層が、下記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素から選択された少なくとも1種によって増感された半導体微粒子を含有する光電気化学電池。
Figure 2010225326

[式中、R11〜R14及びR21〜R23は各々独立に水素原子又は1価の置換基を表す。R15、R24及びR25は各々独立にアルキル基を表す。A11、A12、A21及びA22は各々独立に、炭素、窒素、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる原子からなる3〜9員環を形成するための原子団を表す。Xは酸素原子または硫黄原子を表す。n1及びn2は各々0〜4の整数を表す。前記一般式(1)又は(2)で表される色素は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。]
【選択図】なし

Description

本発明は光電気化学電池に関し、詳しくは化合物によって増感される半導体微粒子を含有する光電変換素子を用いた光電気化学電池(色素増感型太陽電池)に関する。
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、光発電装置に用いられている。光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。
特許文献1〜7には、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子(以後、色素増感光電変換素子と略す)、またはこれを作製するための材料および製造技術が開示されている。この方式の第一の利点は二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度に精製することなく用いることができるため、比較的安価な光電変換素子を提供できる点にある。第二の利点は用いられる色素の吸収がブロードなため、可視光線のほぼ全ての波長領域の光を電気に変換できることである。これらの特徴は太陽エネルギーを電気に変換することを目的とした光電変換素子(いわゆる太陽電池)に応用する際に有利であることから、この方面への応用が検討されている。
しかしながら、この方式の色素増感光電変換素子で高い変換効率を実現するには増感色素として高価なルテニウム錯体色素を用いなければならず、実用化の障害となることが懸念される。このような理由から、有機色素のような安価な色素によって増感され、高い効率で光電変換することのできる光電変換素子の開発が望まれていた。
また、シリコン太陽電池とは異なる特徴を有する太陽電池として、プラスチックフィルム型の色素増感太陽電池の研究も行われている。このプラスチックフィルム型太陽電池を製造するためには、従来のガラス基板を用いた半導体電極膜の製膜時に通常必要な500℃近い高温焼結工程を回避することが必要であり、酸化チタンなどの半導体ナノ粒子の低温製膜法が提案されている。例えば電気泳動を用いる方法(例えば非特許文献1、特許文献8を参照)、半導体微粒子の分散体を電気支持体にコーティングし、加圧して製膜するプレス法(例えば特許文献9を参照)などが提案されている。これらの方法によって得られる電極を用いた太陽電池はエネルギー変換効率が5%以下で、従来のガラス基板を用いた高温製膜により製造されたセルに比べエネルギー変換効率が低下するという欠点があった。従って、低温製膜において、エネルギー変換効率の低下を抑える技術が強く望まれていた。
米国特許4927721号明細書 米国特許4684537号明細書 米国特許5084365号明細書 米国特許5350644号明細書 米国特許5463057号明細書 米国特許5525440号明細書 特開平7−249790号公報 特開2002−100416号公報 国際公開WO00/72373号パンフレット
「ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサイエティー(Journal of Electrochemical Society)」2004年、第151巻、1767〜1773頁
本発明の目的は、安価な有機色素を用いて、変換効率の高い光電気化学電池を提供することであり、特にプラスチックフィルム基板を用いたプラスチックフィルム型太陽電池を提供することである。
本発明の課題は、以下の方法によって達成された。
<1>支持体、導電層、色素により増感された半導体微粒子層、電荷輸送層及び対極を有する光電気化学電池であって、前記半導体微粒子層が、下記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素から選択された少なくとも1種によって増感された半導体微粒子を含有することを特徴とする光電気化学電池。
Figure 2010225326
[一般式(1)中、R11、R12、R13及びR14は各々独立に水素原子または1価の置換基を表す。R11〜R14は互いに結合して環を形成してもよい。R15はアルキル基を表す。A11は、炭素原子および窒素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる3〜9員環を形成するための原子団を表す。A12は、炭素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる3〜9員環を形成するための原子団を表す。Xは酸素原子または硫黄原子を表す。n1は0〜4の整数を表す。前記一般式(1)で表されるポリメチン色素は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。]
Figure 2010225326
[一般式(2)中、R21、R22及びR23は各々独立に水素原子または1価の置換基を表す。R21〜R23は互いに結合して環を形成してもよい。R24及びR25は各々独立にアルキル基を表す。A21及びA22は各々独立に、炭素原子および窒素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる5〜9員環を形成するための原子団を表す。n2は0〜4の整数を表す。前記一般式(2)で表されるポリメチン色素は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。]
<2>前記半導体微粒子層が、以下の組成からなる塗布膜形成用組成物を用いて形成されたものである、<1>項に記載の光電気化学電池。
[塗布膜形成用組成物:(a)平均粒子径20〜80nmの結晶性半導体ナノ粒子と、(b)バインダーと、(c)炭素数3〜5のアルコールと水との混合物とを含み、かつ全組成物中の含水率が20〜60質量%、前記(a)成分の含有率が10〜35質量%、前記(b)成分の前記(a)成分に対する割合が0.2〜5質量%であり、25℃における粘度が少なくとも2.5Pa・sである塗膜形成組成物。]
<3>前記(a)成分が酸化チタンを含む、<2>項に記載の光電気化学電池。
<4>前記(c)成分におけるアルコールがイソプロピルアルコール又はブチルアルコールである、<2>又は<3>項に記載の光電気化学電池。
<5>前記(b)成分の前記(a)成分に対する割合が0.2〜2質量%である、<2>〜<4>のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
<6>前記塗布膜形成用組成物の25℃における粘度が3.5〜10Pa・sである、<2>〜<5>のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
<7>前記一般式(1)中、炭素原子、窒素原子およびA11によって構成される複素環が、ベンゾチアゾリン、チアゾリジン、チエノチアゾリン、ベンゾオキサゾリン、オキサゾリジン、インドレニン、ナフトチアゾリン、ベンゾイミダゾリン、イミダゾリン、イミダゾリジン又はベンゾインドレニンである、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
<8>前記一般式(2)中、炭素原子、窒素原子およびA21又はA22によって構成される複素環が、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾリン、チアゾリジン、チエノチアゾリン、ベンゾオキサゾリン、オキサゾリジン、インドレニン、ナフトチアゾリン、ベンゾイミダゾリン、イミダゾリン、イミダゾリジン又はベンゾインドレニンである、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
<9>前記一般式(1)中、炭素原子およびA12によって構成される環がロダニンである、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
<10>前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素が少なくとも1つのカルボキシル基を有する、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
本発明の光電気化学電池は、可視光領域から近赤外領域までの幅広い波長領域で光を吸収する化合物により半導体微粒子が増感されるため、効率よく光電変換を行うことができる。また、従来用いられていたルテニウムを使用しないため、低コストで提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光電気化学電池は、下記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素から選択された少なくとも1種によって増感された半導体微粒子を含有する半導体微粒子層(感光層)を有する。下記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素を用いることによって、変換効率に優れた色素増感型太陽電池を低コストで得ることができる。
下記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素について詳しく説明する。
Figure 2010225326
[一般式(1)中、R11、R12、R13及びR14は各々独立に水素原子または1価の置換基を表す。R11〜R14は互いに結合して環を形成してもよい。R15はアルキル基を表す。A11は、炭素原子および窒素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる3〜9員環を形成するための原子団を表す。A12は、炭素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる3〜9員環を形成するための原子団を表す。Xは酸素原子または硫黄原子を表す。n1は0〜4の整数を表す。前記一般式(1)で表されるポリメチン色素は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。]
Figure 2010225326
[一般式(2)中、R21、R22及びR23は各々独立に水素原子または1価の置換基を表す。R21〜R23は互いに結合して環を形成してもよい。R24及びR25は各々独立にアルキル基を表す。A21及びA22は各々独立に、炭素原子および窒素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる5〜9員環を形成するための原子団を表す。n2は0〜4の整数を表す。前記一般式(2)で表されるポリメチン色素は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。]
前記一般式(1)中、R11、R12、R13及びR14は各々水素原子または1価の置換基を表す。1価の置換基としては、アルキル基ないしアルケニル基(例えばメチル、エチル、ブチル、イソブチル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル、フェネチル等)、アリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)、複素環残基(例えばピリジル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ等)、ヒドロキシ基および酸素陰イオン、ニトロ基、シアノ基、アミド基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(例えば、3ーフェニルウレイド等)、ウレタン基(例えばイソブトキシカルボニルアミノ、カルバモイルオキシ等)、エステル基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(例えばN−メチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル等)、スルファモイル基(例えばN−フェニルスルファモイル等)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル等)、アミノ基(アミノ、メチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ等)、スルホニル基(例えばメチルスルホニル等)、ホスホニル基およびそのエステル、ホスホニルオキシ基およびそのエステル、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられる。置換基の炭素原子上にはさらに上記の置換基があっても良い。
11〜R14で表されるメチン鎖置換基は互いに結合して3〜9員の単環もしくは多環性の芳香環、複素環、もしくは脂環式の環を形成してもよい。好ましい環としてはシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ベンゼン、デヒドロデカリン、ピリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、フラン、ジヒドロフラン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、ヘキサヒドロキノリン等が挙げられる。これらすべての環はさらに3〜8員の芳香環、複素環、もしくは脂環式の環が縮合していてもよい。
前記一般式(1)中、R15はアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜12の置換もしくは無置換のアルキル基である。アルキル基およびその置換基の例としてはR11〜R14の説明で述べたものが挙げられる。
前記一般式(1)中、A11は、炭素原子および窒素原子とともに、3〜9員の単環もしくは縮合環を形成するための原子団を表す。原子団の中で環を構成する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子が挙げられ、好ましくは炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子である。
炭素原子、窒素原子およびA11によって構成される複素環としては、ピロリジン、チアゾリジン、オキサゾリジン、チアゾリン、オキサゾリン、ベンゾチアゾリン、チエノチアゾリン、ベンゾオキサゾリン、インドレニン、ナフトチアゾリン、ナフトオキサゾリン、ベンゾインドレニン等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾチアゾリン、チアゾリジン、チエノチアゾリン、ベンゾオキサゾリン、オキサゾリジン、インドレニン、ナフトチアゾリン、ベンゾイミダゾリン、イミダゾリン、イミダゾリジン又はベンゾインドレニンが好ましい。これらの複素環は前述の置換基を有していてもよい。
前記一般式(1)中、A12は、炭素原子とともに、3〜9員の単環もしくは縮合環を形成するための原子団を表す。原子団の中で環を構成する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子である。
炭素原子およびA12によって構成される環としては複素環が好ましく、さらには5員の複素環の環状ケトン(チオケトンも含む)が好ましい。これらは置換基を有していてもよい。置換基は前述のもの以外に置換エキソメチレン基、置換ポリメチン基が挙げられる。
置換エキソメチレン基における置換基の例としてはシアノ基、カルボキシル基、スルホニル基、アシル基、および複素環残基などが挙げられる。複素環残基は四級窒素原子に基づく電荷を有していてもよい。置換エキソメチレン基の具体例としてはジシアノメチレン、1−シアノ−1−カルボキシメチレン、1−メタンスルホニル−1−カルボキシメチレン、1−シアノ−1−アセチルメチレン、1−(3−メチルベンゾオキサゾリウム−2−イル)メチレンなどが挙げられる。
特に、炭素原子およびA12によって構成される複素環としてはロダニンが好ましく、これはアルキル基(例えばメチル、エチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル)等で置換されていてもよい。
前記一般式(1)中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくは酸素原子である。
前記一般式(1)中、n1は0〜4の整数を表す。メチン鎖の長さは色素の吸収波長に関係し、n1の値が大きいほど長波な光を吸収する。そのため、n1の値は目的に応じて適宜決定される。
前記一般式(2)中、R21〜R23は各々独立に水素原子または1価の置換基を表す。R21〜R23は互いに結合して環を形成してもよい。R21〜R23は前記一般式(1)におけるR11〜R14と同義であり、好ましい範囲も同様である。R24及びR25は各々独立にアルキル基を表し、前記一般式(1)におけるR15と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(2)中、A21及びA22は各々独立に、炭素原子および窒素原子とともに5ないし9員の単環もしくは縮合環を形成するための原子団を表す。原子団の中で環を構成する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子である。
炭素原子、窒素原子およびA21又はA22によって構成される複素環としては、ピロリジン、チアゾリジン、オキサゾリジン、チアゾリン、オキサゾリン、ベンゾチアゾリン、チエノチアゾリン、ベンゾオキサゾリン、インドレニン、ナフトチアゾリン、ナフトオキサゾリン、ベンゾインドレニン等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾリン、チアゾリジン、チエノチアゾリン、ベンゾオキサゾリン、オキサゾリジン、インドレニン、ナフトチアゾリン、ベンゾイミダゾリン、イミダゾリン、イミダゾリジン又はベンゾインドレニンが好ましい。これらは前述の置換基を有していてもよい。
前記一般式(2)中、n2は0〜4の整数を表し、前記一般式(1)におけるn1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。対イオンとしては特に制限はなく有機、無機のいずれでもよい。代表的な例としてはハロゲンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、水酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のアニオン、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)、アンモニウム、アルキルアンモニウム(例えばジエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等)、ピリジニウム、アルキルピリジニウム(例えばメチルピリジニウム)、グアニジニウム、テトラアルキルホスホニウム等のカチオンが挙げられる。
前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素は、半導体微粒子への吸着性の観点から、酸性基を有することが特に好ましい。酸性基としては水−テトラヒドロフラン混合溶媒(体積比50対50)中のpKaが10以下のものが好ましい。特に好ましくはカルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、水酸基、リン酸モノエステルおよびジエステル基等である。このうちカルボキシル基が最も好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成したものであってもよい。また分子内塩を形成していてもよい。
以下に、前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。本発明において、Meはメチル基を、Etはエチル基を表す。
Figure 2010225326
Figure 2010225326
Figure 2010225326
前記一般式(1)又は(2)で表される本発明のポリメチン色素は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著,「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニン・ダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Willey & Sons)社,ニューヨーク,ロンドン,1994年刊、ディー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著,「ヘテロサイクリック・コンパウンズ − スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds - Special Topics In Heterocyclic Chemistry)」,第18章,第14節482項〜515項、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Willey & Sons)社,ニューヨーク,ロンドン,1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」,2nd Edition,Vol.4,Part B,第15章369項〜422項,エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Eisevier Science Publishing Company Inc.)社,ニューヨーク,1977年刊、英国特許第1077611号明細書などに記載の方法で合成することができる。例えば、例示化合物FF−6は、米国特許4,513,081号明細書及び特開昭59−214030号公報などに記載の方法に従って合成することができる。
本発明の光電気化学電池は、支持体、導電層、前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素により増感された半導体微粒子層(感光層)、電荷輸送層(電荷移動層)及び対極を有する。
本発明の光電気化学電池において、導電層とそれを担持する支持体とによって構成される導電性支持体、および当該導電性支持体上に塗設された前記半導体微粒子層(感光層)よりなる色素増感光電変換素子は電極として作用する。前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素により増感された半導体微粒子層(感光層)は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。一層の感光層中の色素は一種類でも多種の混合でもよい。感光層に入射した光は色素を励起する。励起色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素から半導体微粒子の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体に到達する。この時色素分子は酸化体となっているが、電極上の電子が外部回路で仕事をしながら色素酸化体に戻るのが光電気化学電池であり、色素増感光電変換素子はこの電池の負極として働く。
以下、支持体、導電層、および半導体微粒子層について詳しく説明する。
本発明の光電気化学電池に用いられる支持体としては、ガラス、金属、プラスチックなどの材料からなる基板や電極基板が挙げられる。好ましくはプラスチック支持体からなる基板や電極である。特に、電極として用いるのに有用な透明導電性プラスチックフィルムが好ましく、表面抵抗が15Ω/cm2以下の透明導電性プラスチックフィルムを用いるのが特に好ましい。
本発明の光電気化学電池に用いられる電極として好ましくは、表面抵抗が15Ω/cm2以下の透明導電性プラスチックフィルムの表面に後述する塗布膜形成用組成物を塗工し乾燥することで得られる、多孔性の金属酸化物半導体層が被覆されたプラスチック電極である。
透明導電性プラスチックフィルムは、好ましくは導電層とそれを担持するプラスチック支持体とによって構成される。プラスチック材料の好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)などが挙げられる。これらの中で耐薬品性やコストの点で特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである。
導電層における導電材料としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウムなどの金属、炭素又はインジウム−スズ複合酸化物(ITO)、酸化スズなどの導電性金属酸化物などを用いることができる。この中で光学的透明性をもつ点で導電性金属酸化物が好ましく、インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、並びに酸化亜鉛が特に好ましい。導電層は、その表面抵抗(あるいはシート抵抗)が低いことが必要であり、表面抵抗値は15Ω/cm2以下であることが好ましい。表面抵抗値は、好ましくは10Ω/cm2以下、さらに好ましくは3Ω/cm2以下である。この導電層には集電のための補助リードをパターニングなどにより配置させることができる。このような補助リードは、通常、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケルなどの低抵抗の金属材料によって形成することができる。
本発明の光電気化学電池において半導体微粒子層は、以下の組成からなる塗布膜形成用組成物を用いて形成されたものであることが好ましい。
[塗布膜形成用組成物:(a)平均粒子径20〜80nmの結晶性半導体ナノ粒子と、(b)バインダーと、(c)炭素数3〜5のアルコールと水との混合物とを含み、かつ全組成物中の含水率が20〜60質量%、前記(a)成分の含有率が10〜35質量%、前記(b)成分の前記(a)成分に対する割合が0.2〜5質量%であり、25℃における粘度が少なくとも2.5Pa・sである塗膜形成組成物。]
前記(a)成分として用いる結晶性半導体ナノ粒子は、公知の方法、例えばゾル−ゲル法や、金属塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法、金属化合物を気相中、高温で熱分解して超微粒子とするいわゆる気相における噴霧熱分解法などにより調製することができる。
前記(a)成分として用いる結晶性半導体ナノ粒子は、結晶性の金属酸化物半導体、好ましくはn型の金属酸化物半導体のナノ粒子であり、このような金属酸化物としては、例えば酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タングステンなどが挙げられる。これらのうち好ましい金属酸化物半導体ナノ粒子は二酸化チタン(TiO2)、ZnO、SnO2、WO3、Nb23であり、特に好ましいのは二酸化チタンである。結晶性半導体として結晶性二酸化チタンを用いる場合、これはルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型のいずれかの結晶構造を有するもの、なかでも、少なくともブルッカイト型結晶構造を有するものが好ましい。
前記(a)成分として用いる結晶性半導体ナノ粒子の平均粒子径は、20〜80nmの範囲にあり、好ましくは30〜70nmである。この平均粒子径は、例えば、レーザー光散乱法を用いた光相関法や操作型電子顕微鏡観察によって測定される粒径分布から計算することができる。
この結晶性半導体ナノ粒子は、平均粒子径および粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を含んでもよい。本発明では、前記の平均粒子径20〜80nmのナノ粒子に加えて、平均粒子径の大きい微粒子を混合することができる。この場合は、平均粒子径150〜600nmである結晶性の粒子を大粒子として含むのが好ましい。このような大粒子は、前記の平均粒子径20〜80nmのナノ粒子に対して5〜80質量%の割合で添加することができ、10〜50質量%の割合で添加することが好ましい。
前記塗布膜形成用組成物において、前記(a)成分の平均粒子径20〜80nmの結晶性半導体ナノ粒子の含有率は、10〜35質量%であり、12〜20質量%であることが好ましい。また、前記塗布膜形成用組成物において、半導体の全量の含有率は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。
前記塗布膜形成用組成物には、主成分である半導体粒子以外の無機化合物を添加剤として混合することができる。この無機化合物としては、各種の酸化物や、半導体材料並びに導電材料を含んでよい。無機酸化物としては金属、アルカリ金属、遷移金属、希土類の酸化物、ランタノイド及びSi、P、Seなどの非金属の酸化物が含まれる。
金属としては、例えば、Al、Ge、Sn、In、Sb、Tl、Pb、Biなど、アルカリ金属としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、Baなどを挙げることができる。また、遷移金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、W、Os、Ir、Pt、Auなどを挙げることができる。
半導体材料としては、Si、CdS、CdSe、V25、ZnS、ZnSe、SnSe、FeS2、PbSなどが挙げられる。また導電材料としては、金属、貴金属や炭素系材料などが挙げられる。
前記塗布膜形成用組成物には、(b)成分としてバインダーが含まれる。ここでバインダーとは粒子同士の結着や粒子と基板の密着に効果をもつ結合助剤を意味し、樹脂材料や高分子材料そしてワックスなどが含まれる。バインダーの種類には特に制限はないが、通常ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどが好ましく用いられる。
前記塗布膜形成用組成物において、前記(b)成分のバインダーの含有量は、前記(a)成分の平均粒子径20〜80nmの結晶性半導体ナノ粒子に対して0.2〜5質量%の範囲であり、0.2〜2質量%であることが好ましく、0.3〜1質量%であることがより好ましい。
前記塗布膜形成用組成物には、(c)成分の分散溶媒として炭素数3〜5のアルコールと水との混合物が含まれる。炭素数3〜5のアルコールとしては、例えばプロパノール、ブタノール、ペンタノールを用いることができる。これらのアルコールは分岐状のアルコールであることが好ましい。より好ましいアルコールは第三ブチルアルコール(t−ブチルアルコール)及びイソプロピルアルコール(2−プロパノール)であり、特に好ましくは第三ブチルアルコールである。
前記塗布膜形成用組成物の含水率は20〜60質量%であり、好ましくは25〜45質量%である。前記塗布膜形成用組成物のpHは、好ましくは6以下、より好ましくはpH3〜5に調整される。
前記塗布膜形成用組成物の粘度は、25℃において少なくとも2.5Pa・sであり、2.5〜15Pa・sの範囲であることが好ましく、3.5〜10Pa・sの範囲であることが特に好ましい。ここで、1Pa・sは、10Poiseに相当する。粘度は細管式粘度測定法、回転式粘度測定法などによって計測することができる。
前記塗布膜形成用組成物を電極基板上に塗工し、低温の加熱処理を施すことによって、多孔性の半導体微粒子層が被覆された電極を作製することができる。具体的には、まず前記塗布膜形成用組成物を好ましくは50〜200μmの厚みで導電性基板上に塗工する。この際、塗工は、ドクターブレード法、スキージ法、スクリーン印刷法などを用いて行うことができるが、スクリーン印刷法を用いることが最も有利である。次いで、得られた液体膜を乾燥後、室温〜200℃の低温下で加熱処理を施すことで、導電性基板に良く密着した多孔性の半導体微粒子層を得る。低温下の加熱処理は150℃以下で行うことが好ましい。このようにして作製した多孔性の層は、ナノサイズの細孔を有するメソポーラス膜である。
本発明の光電気化学電池において、半導体微粒子層中の半導体微粒子は、前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素の吸着により増感されている。半導体微粒子に色素を吸着させるには、色素溶液の中によく乾燥した半導体微粒子を長時間浸漬する方法が一般的である。色素溶液は必要に応じて50℃ないし100℃に加熱されてもよい。色素の吸着は半導体微粒子の塗布前に行っても塗布後に行ってもよい。また、半導体微粒子と色素を同時に塗布して吸着させても良い。未吸着の色素は洗浄によって除去する。塗布膜の焼成を行う場合は色素の吸着は焼成後に行うことが好ましい。焼成後、塗布膜表面に水が吸着する前にすばやく色素を吸着させるのが特に好ましい。吸着する色素は1種類でもよいし、数種混合して用いてもよい。混合する場合、前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素同士を混合してもよいし、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号の各明細書および特開平7−249790号公報などに記載の錯体色素と前記ポリメチン色素とを混合してもよい。用途が光電気化学電池である場合、光電変換の波長域をできるだけ広くするように色素が選ばれる。
色素の使用量は、全体で、支持体1m2当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは0.5〜10ミリモルである。この場合、前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素の使用量は5モル%以上とすることが好ましい。
また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。
このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
また、会合などの色素同士の相互作用を低減する目的で、無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸)等が挙げられる。
色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
なお、前記色素増感光電変換素子では、導電性支持体と感光層との界面近傍において、導電剤と半導体微粒子とが相互に拡散して混合していてもよい。
このようにして作製された色素増感光電変換素子は各種のセンサーや光再生型の光電気化学電池に応用することができる。光電気化学電池に応用する場合、電荷移動層(電荷輸送層)及び対向電極(対極)が必要である。
以下、電荷移動層および対向電極について詳しく説明する。
電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層である。代表的な例としては酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解液、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。
これらの電解液に含ませる酸化還元対としては、例えばヨウ素とヨウ化物(例えばヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム等)の組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体の組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン類(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体の組み合わせ、2価と3価の鉄錯体(例えば赤血塩と黄血塩)の組み合わせ等が挙げられる。これらのうちヨウ素とヨウ化物の組み合わせが好ましい。これらを溶かす有機溶媒としては非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。溶融塩としては例えばヨウ化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)が挙げられ、これらにポリエチレンオキシド等のポリマーを混合することにより、室温での流動性を高めてもよい。この場合のポリマーの添加量は1〜50質量%である。
酸化還元対は電子のキャリアになるのである程度の濃度が必要である。液体あるいはゲル電解質として用いる場合の溶液中の好ましい濃度としては合計で0.01モル/l以上であり、より好ましくは0.1モル/l以上であり、特に好ましくは0.3モル/l以上である。この場合の上限には特に制限はないが、通常5モル/l程度である。
対向電極は光電気化学電池の正極として働くものである。対向電極は通常前述の導電性支持体と同義であるが、強度が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。ただし、支持体を有する方が密閉性の点で有利である。
感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対向電極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の光電気化学電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対向電極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。光電気化学電池の対向電極としては金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、またはプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。
光電気化学電池では構成物の蒸散を防止するために電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
このようにして得られる光電気化学電池の特性は好ましくは、AM1.5Gで100mW/cm2のとき、開放電圧0.01〜3V、短絡電流密度0.001〜20mA/cm2、形状因子0.1〜0.99、変換効率0.001〜25%である。
以下に本発明の色素増感太陽電池の作成方法について実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(塗膜形成用組成物(ペーストA)の調製)
ルチル/アナターゼ混合型の結晶性二酸化チタンナノ粒子(平均粒径50nm)とルチル型結晶の二酸化チタン粒子(平均粒子径約300nm、粒径分布200〜500nm)とを6:1の質量比で含む粒子粉末30g、ブルッカイト型結晶の粒子を含む二酸化チタンナノ粒子(粒径10〜30nm)が分散された酸性のゾル水溶液(濃度15質量%)90ml、及びバインダー樹脂材料としてポリエチレングリコール(平均分子量約200万)0.2gを、t−ブチルアルコール100mlに混合した。この混合物を自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使って均一に撹拌混合することによって、白色の粘性ペーストA(質量約200g)を調製した。このペースト中の水の含有量は全組成に対して42体積%、40質量%であり、アルコールと水の体積比は10:9であった。ペーストは酸性の液体であり、pHは4を示した。ペースト中の酸化チタンの含有量は20質量%であり、バインダー樹脂が酸化チタンに対して占める割合は約0.4%であった。また、回転粘度計によって計測されたこのペーストの25℃における粘度は3.8Pa・sであった。
(比較用塗膜形成用組成物(ペーストB)の調製)
比較用として、上記とは粘度の異なる塗膜形成用組成物(ペーストB)を調製した。具体的には、前記ペーストAの調製において、バインダー樹脂であるポリエチレングリコールの酸化チタンに対して占める割合を約6.0%添加量に変更したこと以外は前記ペーストAと同様にしてペーストBを調製した。ペーストBの粘度を上記と同様にして測定したところ、13Pa・sであった。
(塗膜形成用組成物を用いた色素増感太陽電池の作製)
(1)プラスチックフィルム電極の作製
透明導電性プラスチックフィルムとして、ITOを導電膜として担持したフィルム厚み200μm、表面抵抗15Ω/cm2のポリエチレンナフタレート(PEN)を用いた。この導電性フィルムの表面抵抗を下げるために、銀含有組成物をスクリーン印刷する方法で、ITO膜上に線幅100μm、厚さ20μmの銀の集電用補助リード線を15mmの間隙で平行線状にパターニングした。これらの銀パターンの上に、ポリエステル系樹脂を保護膜として幅250μmで塗布して銀線を完全に保護した。得られたパターン入り導電性ITO−PENフィルムの実用シート抵抗は9Ω/cm2となった。
このITO−PENフィルムのITO面にスクリーン印刷機(ニューロング社製)と開口面積率が50%、厚さ160μmのスクリーンを用いて前記のt−ブチルアルコール分散型の酸化チタン分散ペーストA(含水率:40質量%)を印刷し、室温で乾燥後、さらに150℃で5分間乾燥を行って多孔性の酸化チタン粒子層を担持したフィルム電極を作製した。
(2)色素増感太陽電池の作製
例示色素FF−1を、エタノール溶媒に濃度3×10-4モル/リットルに溶解した色素溶液に上記の多孔性半導体フィルム電極基板を浸漬して、撹拌下40℃で60分放置して、色素吸着を完了し、色素増感酸化チタンITO−PENフィルム電極を作製した。
対極としてITOを導電膜として担持した厚み250μmのポリエチレンナフタレート(PEN)のフィルムの表面に、真空スパッタリング法で厚さ100nmのチタンを被覆し、さらにその表面に白金を10nmの厚みで被覆したシート抵抗3Ω/cm2の導電性フィルムを用いた。
色素増感ITO−PENフィルム電極の半導体層をフィルムから掻き落として、受光面積40cm2(5cm×8cm)の受光層を形成した。この電極に対して、上記の対極の白金蒸着PENフィルムを重ね合わせ、その間隙に毛管効果によってプロピレンカーボネート、t−ブチルピリジン、ヨウ化リチウム、ヨウ素から成る非水有機電解液を注入した。このように作製したサンドイッチ型のフィルム電池のエッジ部にエポキシ系の熱効果型シール材を注入し、110℃で20分間硬化処理を行った。このようにしてフィルム型光電池101を作製した。このフィルム型光電池101は名刺サイズで、厚さが約500μm、重さが3.0gであった。
また、フィルム型光電池101の作製において、色素を下記表1に示したように変更したこと以外は同様にしてフィルム型光電池102〜110を作製した。また、塗膜形成用組成物をペーストBに変更し、色素を下記表1に示したように変更したこと以外は同様にしてフィルム型光電池111〜112を作製した。
(3)太陽電池の光電変換特性の評価
500Wのキセノンランプを装着した太陽光シミュレーター用を用いて、上記のフィルム型光電池101〜112に対し、入射光強度が25mW/cm2のAM1.5模擬太陽光を、色素増感半導体フィルム電極側から照射した。ソースメーターを用いて、素子に印加するDC電圧をスキャンし光電流を計測して光電流−電圧特性を測定した。エネルギー変換効率が1.7%以上のものを◎、0.8%以上1.7%未満のものを○、0.4%以上0.8%未満のものを△、0.4%未満のものを×として評価した。結果を表1に示す。
Figure 2010225326
Figure 2010225326
表1の結果から明らかなように、前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素によって増感された半導体微粒子を含有する本発明の光電気化学電池101〜109及び111は、いずれも効率よく光電変換することがわかった。中でも、前記一般式(1)においてA12により形成される環がロダニンである例示色素FF-4及びFF-6を用いた試料104及び106は、特に効率よく光電変換することがわかった。
また、(a)平均粒子径20〜80nmの結晶性半導体ナノ粒子と、(b)バインダーと、(c)炭素数3〜5のアルコールと水との混合物とを含み、かつ全組成物中の含水率が20〜60質量%、前記(a)成分の含有率が10〜35質量%、前記(b)成分の前記(a)成分に対する割合が0.2〜5質量%であり、25℃における粘度が少なくとも2.5Pa・sである塗膜形成組成物を用いて半導体微粒子層を形成した本発明の光電気化学電池101〜109は、いずれも効率よく光電変換することがわかった。このことから、前記組成の塗膜形成組成物は、フィルム型太陽電池並びに光電池に用いる色素増感フィルム電極の作製に有用であり、光電変換性能に優れた色素増感、プラスチックフィルム型太陽電池を提供することができることがわかった。

Claims (10)

  1. 支持体、導電層、色素により増感された半導体微粒子層、電荷輸送層及び対極を有する光電気化学電池であって、前記半導体微粒子層が、下記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素から選択された少なくとも1種によって増感された半導体微粒子を含有することを特徴とする光電気化学電池。
    Figure 2010225326
    [一般式(1)中、R11、R12、R13及びR14は各々独立に水素原子または1価の置換基を表す。R11〜R14は互いに結合して環を形成してもよい。R15はアルキル基を表す。A11は、炭素原子および窒素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる3〜9員環を形成するための原子団を表す。A12は、炭素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる3〜9員環を形成するための原子団を表す。Xは酸素原子または硫黄原子を表す。n1は0〜4の整数を表す。前記一般式(1)で表されるポリメチン色素は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。]
    Figure 2010225326
    [一般式(2)中、R21、R22及びR23は各々独立に水素原子または1価の置換基を表す。R21〜R23は互いに結合して環を形成してもよい。R24及びR25は各々独立にアルキル基を表す。A21及びA22は各々独立に、炭素原子および窒素原子とともに、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる原子からなる5〜9員環を形成するための原子団を表す。n2は0〜4の整数を表す。前記一般式(2)で表されるポリメチン色素は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。]
  2. 前記半導体微粒子層が、以下の組成からなる塗布膜形成用組成物を用いて形成されたものである、請求項1記載の光電気化学電池。
    [塗布膜形成用組成物:(a)平均粒子径20〜80nmの結晶性半導体ナノ粒子と、(b)バインダーと、(c)炭素数3〜5のアルコールと水との混合物とを含み、かつ全組成物中の含水率が20〜60質量%、前記(a)成分の含有率が10〜35質量%、前記(b)成分の前記(a)成分に対する割合が0.2〜5質量%であり、25℃における粘度が少なくとも2.5Pa・sである塗膜形成組成物。]
  3. 前記(a)成分が酸化チタンを含む、請求項2記載の光電気化学電池。
  4. 前記(c)成分におけるアルコールがイソプロピルアルコール又はブチルアルコールである、請求項2又は3に記載の光電気化学電池。
  5. 前記(b)成分の前記(a)成分に対する割合が0.2〜2質量%である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
  6. 前記塗布膜形成用組成物の25℃における粘度が3.5〜10Pa・sである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
  7. 前記一般式(1)中、炭素原子、窒素原子およびA11によって構成される複素環が、ベンゾチアゾリン、チアゾリジン、チエノチアゾリン、ベンゾオキサゾリン、オキサゾリジン、インドレニン、ナフトチアゾリン、ベンゾイミダゾリン、イミダゾリン、イミダゾリジン又はベンゾインドレニンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
  8. 前記一般式(2)中、炭素原子、窒素原子およびA21又はA22によって構成される複素環が、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾリン、チアゾリジン、チエノチアゾリン、ベンゾオキサゾリン、オキサゾリジン、インドレニン、ナフトチアゾリン、ベンゾイミダゾリン、イミダゾリン、イミダゾリジン又はベンゾインドレニンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
  9. 前記一般式(1)中、炭素原子およびA12によって構成される環がロダニンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
  10. 前記一般式(1)又は(2)で表されるポリメチン色素が少なくとも1つのカルボキシル基を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電気化学電池。
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