JP2003252624A - 酸化チタン微粒子の作製方法及び光電変換素子 - Google Patents

酸化チタン微粒子の作製方法及び光電変換素子

Info

Publication number
JP2003252624A
JP2003252624A JP2002052107A JP2002052107A JP2003252624A JP 2003252624 A JP2003252624 A JP 2003252624A JP 2002052107 A JP2002052107 A JP 2002052107A JP 2002052107 A JP2002052107 A JP 2002052107A JP 2003252624 A JP2003252624 A JP 2003252624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
photoelectric conversion
layer
fine particles
conversion element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002052107A
Other languages
English (en)
Inventor
Jiro Tsukahara
次郎 塚原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2002052107A priority Critical patent/JP2003252624A/ja
Publication of JP2003252624A publication Critical patent/JP2003252624A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 色素増感光電変換素子に用いる酸化チタン微
粒子の作製方法、及びこの酸化チタン微粒子を用いた変
換効率に優れた光電変換素子を提供する。 【解決手段】 ドーパントとしてニオブ又はタンタルを
添加することを特徴とする酸化チタン微粒子を作製する
方法、及びこの方法により作製した酸化チタン微粒子を
半導体微粒子として感光層に使用することを特徴とする
光電変換素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性半導体微粒子
として使用する酸化チタン微粒子の作製方法、及びこの
酸化チタン微粒子を用いた色素増感光電変換素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光電変換素子は各種の光センサー、複写
機、光発電装置等に用いられている。光電変換素子には
金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色
素を用いたもの、これらを組み合わせたもの等があり、
様々な方式が実用化されている。ここで、酸化チタンは
n型半導体として知られており、光などを受けることで
電子を放出する特性を利用して光触媒等に広く用いられ
ている。また感光性半導体である特性を利用して光電変
換素子の材料としても検討されている。
【0003】米国特許4927721号、同4684537号、同5084
365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、世界
特許98/50393号、特開平7-249790号及び特表平10-50452
1号には、色素によって増感した半導体微粒子を用いた
光電変換素子(以下、「色素増感光電変換素子」と略
す)並びにこれを作製するための材料及び製造技術が開
示されている。色素増感光電変換素子の利点は、二酸化
チタン等の安価な酸化物半導体を高純度に精製すること
なく用いることができるため比較的安価に製造できる点
にある。
【0004】酸化チタン微粒子の作製には通常ゾル−ゲ
ル法が好ましく用いられる。ゾル−ゲル法は当該分野に
おいて広く知られた微粒子合成法であり、例えばバーン
サイドらのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10
巻,第9号,2419〜2425頁等に詳しく記載されている。
ゾル−ゲル法で作製された酸化チタン微粒子を色素増感
光電変換素子に応用した例としては、ジャーナル・オブ
・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第
12号,3157〜3171頁(1997年)に記載のバルベらの報告
が挙げられる。しかしながら、このような光電変換素子
は作製したすべての素子について常に変換効率が高いと
は限らず、なお一層の変換効率向上が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、色素
増感光電変換素子に用いる酸化チタン微粒子の作製方
法、及びこの酸化チタン微粒子を用いた変換効率に優れ
た光電変換素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは下記の(1)〜(6)により短絡電流
が増大し、変換効率に優れた色素増感光電変換素子が得
られることを発見し、本発明に想到した。 (1)ニオブ又はタンタルをドーパントとして添加するこ
とを特徴とする酸化チタン微粒子の作製方法。 (2)チタンアルコキシドの加水分解による酸化チタン微
粒子の作製方法であって、加水分解の際にニオブ又はタ
ンタルの化合物を作用させることによりドーパントを添
加することを特徴とする(1)の酸化チタン微粒子の作製
方法。 (3)ニオブ又はタンタルの化合物がニオブ又はタンタル
のアルコキシドであることを特徴とする(2)の酸化チタ
ン微粒子の作製方法。 (4)チタンアルコキシドの加水分解触媒としてアミンを
用いることを特徴とする(2)〜(4)の酸化チタン微粒子の
作製方法。 (5) 酸化チタン前駆体及び/又は酸化チタン前駆体と配
位子とにより形成された錯体と水とを含有する混合物を
圧力容器内で150〜300℃に加熱する工程を含むことを特
徴とする(2)〜(5)の酸化チタン微粒子の作製方法。 (6)酸化チタン前駆体としてハロゲン化チタン又はオル
トチタン酸エステルを用いることを特徴とする(5)の酸
化チタン微粒子の作製方法。 (7)色素が吸着した半導体微粒子を含有する感光層と導
電性支持体とを有する光電変換素子であって、上記半導
体微粒子を含有する感光層に(1)〜(6)の方法で作製され
た酸化チタン微粒子を用いることを特徴とする光電変換
素子。
【0007】
【発明の実施の形態】[1] ドーパント添加酸化チタン微
粒子の作製法 酸化チタン微粒子の作製法は火焔分解法、加水分解法等
が知られている。ドーパントとしてニオブ又はタンタル
添加した酸化チタン微粒子を作製するには、上記のいず
れの方法を適用してもよいが、反応速度を制御しやすい
加水分解法が最も適している。加水分解法はゾル−ゲル
法とも呼ばれ、酸化チタン前駆体を液相で水と反応させ
る方法である。通常、(1)酸化チタン前駆体と水との混
合工程、(2)加熱工程、及び(3)後処理工程から成る。加
水分解法によりニオブ又はタンタルを添加(ドープ)し
た酸化チタンを合成する場合には、混合工程又は加熱工
程においてニオブ又はタンタルの化合物を加えるのが好
ましい。
【0008】(1) 酸化チタン前駆体と水との混合工程 酸化チタン前駆体は加水分解により酸化チタンを生ずる
ものであり、例えばハロゲン化チタン(三塩化チタン、
四塩化チタン等)、オルトチタン酸エステル(オルトチ
タン酸メチル、オルトチタン酸エチル、オルトチタン酸
イソプロピル、オルトチタン酸ブチル等)等が挙げられ
る。これらのうち特にオルトチタン酸エステルが好まし
い。これらの前駆体は加水分解に先だって各種の配位子
(例えばアセチルアセトン、アミノエタノール、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミ
ン、その他のアミン、ピリジンカルボン酸、酒石酸、シ
ュウ酸、乳酸、グリコール酸、その他のヒドロキシカル
ボン酸等)を添加し、錯体を形成してもよい。一般に錯
体の加水分解速度は遅く、ドーパントを取り込み易いの
で好ましい。特にアミノエタノール、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン等のアミ
ン類を添加することが好ましい。
【0009】酸化チタン前駆体及び/又は酸化チタン前
駆体と配位子とにより形成された錯体と水との混合方法
は特に制限はない。例えば、酸化チタン前駆体及び/又
は酸化チタン前駆体と配位子とにより形成された錯体を
水中に一気に加える方法、酸化チタン前駆体及び/又は
酸化チタン前駆体と配位子とにより形成された錯体を水
中に滴下する方法等が一般的である。この他、酸化チタ
ン前駆体及び/又は酸化チタン前駆体と配位子とにより
形成された錯体を含む非水溶液を密閉した容器に封入
し、気相から水分を供給する方法でもよい。また、上記
配位子を含む水溶液中に酸化チタン前駆体を加える方法
も好ましい。混合の際の温度は特に制限されないが、通
常5〜50℃である。
【0010】本発明の酸化チタン微粒子の作製方法は、
混合工程又は後述する加熱工程においてドーパント添加
を目的としてニオブ又はタンタルの化合物を添加する。
ニオブ又はタンタルの化合物の好ましい例としては、ニ
オブ又はタンタルのハロゲン化物(例えば塩化ニオブ、
臭化ニオブ、塩化タンタル、臭化タンタル等)、ニオブ
又はタンタルのアルコキシド(例えばメトキシド、エト
キシド、イソプロポキシド、ブトキシド等)等が挙げら
れる。このうち特にニオブ又はタンタルのアルコキシド
が好ましい。ニオブ又はタンタルの化合物の添加量は全
チタンに対し0.001〜20モル%であり、好ましくは0.01
〜2モル%である。ニオブ又はタンタルの化合物は、酸
化チタン前駆体及び/又は酸化チタン前駆体と配位子と
により形成された錯体とあらかじめ混合してから水中に
添加してもよいし、別々に水中に添加してもよい。別々
に添加する場合、ニオブ又はタンタルの化合物を酸化チ
タン前駆体及び/又は酸化チタン前駆体と配位子により
形成された錯体よりも先に添加しても後から添加しても
よい。
【0011】(2) 加熱工程 上記混合工程によって得られた混合物を60〜300℃の温
度で加熱して加水分解する。加熱温度は常圧で行う場合
50〜100℃、好ましくは60〜90℃であり、高圧で行う場
合100〜400℃、好ましくは150〜300℃である。常圧加熱
と高圧加熱を組み合わせることも好ましい。この場合、
順序として常圧加熱の後に高圧加熱を行うのが普通であ
る。加熱時間は通常1〜60時間であり、好ましくは3〜
48時間である。常圧加熱と高圧加熱を組み合わせる場
合、常圧加熱時間は30分〜12時間、好ましくは1〜8時
間であり、高圧加熱時間は1〜48時間好ましくは3〜36
時間である。加熱の際、反応の促進又は抑制のための添
加剤を加えてもよい。このような添加剤の例としては酸
(例えば酢酸、硫酸、硝酸等)、アルカリ(例えば水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリメチ
ルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等)、又は
前述の配位子等が挙げられる。また、前述のニオブ又は
タンタルの化合物をこの加熱工程で添加してもよい。
【0012】高圧加熱には圧力容器(例えばチタン製オ
ートクレーブ、ステンレス製オートクレーブ、内壁がテ
フロン(登録商標)製のステンレス製オートクレーブ
等)を用いる。オートクレーブは撹拌装置が付属してい
るものが好ましい。
【0013】加熱工程により酸化チタン微粒子の分散液
が得られる。酸化チタン微粒子の粒径は加熱温度、加熱
時間、添加剤の種類及び量等によって変化し、平均粒径
は通常5〜50 nmである。
【0014】酸化チタン微粒子の分散液を作製する方法
の例としては、前述のゾル−ゲル法等で調製した分散液
又はコロイド溶液をそのまま用いる方法、乳鉢ですり潰
す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法等が挙
げられる。
【0015】酸化チタン微粒子の分散液に用いる分散媒
は、水又は各種有機溶媒(メタノール、エタノール、イ
ソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、ア
セトニトリル、酢酸エチル等)であってよい。分散する
際に必要に応じてポリエチレングリコールのようなポリ
マー、界面活性剤、酸、キレート剤等を分散助剤として
用いてもよい。ポリエチレングリコールの分子量を変え
ることで、分散液の粘度が調節でき、また剥がれにくい
半導体微粒子層を形成することができるので、ポリエチ
レングリコールを添加することは好ましい。
【0016】(3) 後処理 上記酸化チタン分散液を濃縮又は溶媒置換する。使用目
的に応じて最終的に乾燥粉末、水分散液、水分散ペース
ト、有機溶媒分散液、有機溶媒分散ペースト等を調製す
る。濃縮の方法としては、静置又は遠心分離後デカンテ
ーションによる方法、水の減圧留去による方法等があ
る。溶媒置換の方法は遠心分離、デカンテーション及び
溶媒添加を繰り返す方法が一般的である。ペーストを得
るための増粘剤としては各種のポリマー(例えばポリス
チレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸及びその塩、ポリ
エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアク
リルアミド等)、多糖類、ゼラチン、各種の低分子増粘
剤(シトロネロール、ネロール、テルピネオール等)等
が好ましい。
【0017】水分散液、水分散ペースト、有機溶媒分散
液、有機溶媒分散ペースト等における酸化チタンの含量
は1〜40質量%であり、5〜30質量%が好ましい。
【0018】[2] 光電変換素子 本発明の光電変換素子は、好ましくは図1に示すよう
に、導電層10、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30、
対極導電層40をこの順に積層してなり、感光層20を色素
22によって増感した酸化チタン微粒子21と、酸化チタン
微粒子21の間の空隙に浸透した電荷輸送材料23とから構
成する。感光層20中の電荷輸送材料23は通常、電荷輸送
層30に用いる材料と同じものである。また光電変換素子
に強度を付与するため、導電層10及び/又は対極導電層
40の下地として基板50を設けてもよい。本発明では、導
電層10及び任意に設ける基板50からなる層を「導電性支
持体」、対極導電層40及び任意に設ける基板50からなる
層を「対極」と呼ぶ。
【0019】本発明においては感光層20は光散乱性の異
なる複数の層から成る。なお、図1中の導電層10、対極
導電層40及び基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明
対極導電層40a及び透明基板50aであってもよい。このよ
うな光電変換素子のうち、電気的仕事(発電)をさせる
ために外部負荷に接続したものが光電池であり、光学的
情報のセンシングを目的として作られたものが光センサ
ーである。光電池のうち、電荷輸送材料23が主としてイ
オン輸送材料からなるものを特に光電気化学電池と呼
び、また太陽光による発電を主目的とするものを太陽電
池と呼ぶ。
【0020】(A)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層又は(2)導電層及び基
板の2層からなる。強度や密封性が十分に保たれるよう
な導電層を使用すれば、基板は必ずしも必要ではない。
(1)の場合、導電層の材料としては、導電層として金属
のように十分な強度が得られ、かつ導電性があるものを
用いる。(2)の場合、感光層側に導電剤からなる導電層
を有する基板を導電性支持体として使用することができ
る。好ましい導電剤の例としては金属(白金、金、銀、
銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、
または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化
物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられ
る。導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0021】導電性支持体の表面抵抗は低い程好まし
い。この表面抵抗は好ましくは100Ω/□以下であり、
より好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限に
は特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0022】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であるこ
とを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が
特に好ましい。
【0023】透明導電性支持体としては、ガラス、プラ
スチック等からなる透明基板の表面に導電性金属酸化物
からなる透明導電層を塗布、蒸着等により形成したもの
が好ましい。なかでもフッ素をドーピングした二酸化ス
ズからなる導電層をソーダ石灰フロートガラスからなる
透明基板上に積層した導電性ガラスは低コストで好まし
い。また低コストでフレキシブルな光電変換素子及び太
陽電池を得るには、透明ポリマーフィルムに導電層を設
けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルムの材
料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタ
レート(PEN)、シンジオタクチックポリステレン(SP
S)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネ
ート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン
(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテ
ルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェ
ノキシ等が挙げられる。十分な透明性を確保するために
は、導電性金属酸化物の塗布量はガラス又はプラスチッ
クの基板1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0024】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードはアルミニ
ウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属からなるの
が好ましく、特にアルミニウム又は銀からなるのが好ま
しい。透明基板上に金属リードを蒸着、スパッタリング
等で設置し、その上にフッ素をドープした酸化スズ、又
はITO膜からなる透明導電層を設けるのが好ましい。ま
た透明導電層を透明基板に設けた後、透明導電層上に金
属リードを設置するのも好ましい。金属リード設置によ
る入射光量の低下は好ましくは10%以内、より好ましく
は1〜5%とする。
【0025】(B)感光層 感光層において、酸化チタン微粒子はいわゆる感光体と
して作用し、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を
生ずる。色素増感した酸化チタン微粒子では、光吸収及
びこれによる電子及び正孔の発生は主として色素におい
て起こり、酸化チタン微粒子はこの電子を受け取り伝達
する役割を担う。酸化チタンは、光励起下で伝導体電子
がキャリアーとなりアノード電流を与えるn型半導体で
ある。
【0026】ニオブ又はタンタルをドープした酸化チタ
ン微粒子を用いる本発明の光電変換素子は短絡電流が大
きく、変換効率が高い。その原因は明らかではないが、
少なくとも本発明の酸化チタン微粒子は5価のドーパン
ト(ニオブ又はタンタル)を含むためキャリアー密度が
高いものと推定され、キャリアー密度と短絡電流との間
に関連があるものと考えられる。用いる酸化チタン全体
に占める本発明の酸化チタン微粒子の含有率は30質量%
以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
【0027】(1) 半導体微粒子層 導電性支持体上に上記酸化チタン微粒子からなる半導体
微粒子層を形成する際には、酸化チタン微粒子を含有す
る分散液又はコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する
方法を用いるのが一般的である。光電変換素子の量産
化、酸化チタン微粒子を含有する分散液又はコロイド溶
液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮すると、湿式
の製膜方法を用いるのが比較的望ましい。湿式の製膜方
法としては塗布法及び印刷法が代表的である。
【0028】好ましい塗布方法の例としては、アプリケ
ーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリン
グ系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリ
ケーションとメータリングを同一部分にできるものとし
て特公昭58-4589号に開示されているワイヤーバー法、
米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記
載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カー
テン法等が挙げられる。また汎用機としてスピン法やス
プレー法も好ましい。湿式印刷方法としては凸版、オフ
セット及びグラビアの三大印刷法をはじめ、凹版、ゴム
版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から液粘
度やウェット厚さに応じて製膜方法を選択してよい。
【0029】半導体微粒子層は単層に限らず、粒径の異
なる酸化チタン微粒子分散液を多層塗布したり、異なる
種類の酸化チタン微粒子(或いは異なるバインダー、添
加剤等)を含有する層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布では膜厚が不足する場合にも、多層塗布
は有効である。
【0030】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒
子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダ
ー等の添加剤により大きく左右される。分散液が高粘度
(例えば0.01〜500Poise)である場合はエクストルージ
ョン法、キャスト法又はスクリーン印刷法を用いるのが
好ましい。また低粘度(例えば0.1Poise以下)である場
合は、均一な膜を形成するためにはスライドホッパー
法、ワイヤーバー法又はスピン法を用いるのが好まし
い。なお、塗布量がある程度多い場合は低粘度であって
もエクストルージョン法による塗布が可能である。この
ように分散液の粘度、塗布量、支持体、塗布速度等に応
じて適宜製膜方法を選択すればよい。
【0031】半導体微粒子層は単層に限定されず、粒径
の違った酸化チタン微粒子の分散液を多層塗布したり、
種類が異なる酸化チタン微粒子(或いは異なるバインダ
ー、添加剤等)を含有する層を多層塗布したりすること
もできる。一度の塗布で膜厚が足りない場合にも多層塗
布は有効である。多層塗布にはエクストルージョン法及
びスライドホッパー法が適している。多層塗布する場合
は同時に多層を塗布してもよいし、数回から十数回、順
次重ね塗りしてもよい。順次重ね塗りする際にはスクリ
ーン印刷法も好ましく使用できる。
【0032】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど、単位投影面積当たりの担持
色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。従って半導体微粒子層の好ましい厚さは0.1〜1
00μmである。本発明の光電変換素子を太陽電池に用い
る場合、半導体微粒子層の厚さは好ましくは1〜30μ
m、より好ましくは2〜25μmである。導電性支持体1m2
当たりの酸化チタン微粒子の塗布量は、好ましくは0.5
〜400g、より好ましくは5〜100gである。
【0033】酸化チタン微粒子を導電性支持体上に塗布
した後、酸化チタン微粒子同士を電子的に接触させると
ともに塗膜強度や導電性支持体との密着性を向上させる
ために、加熱処理するのが好ましい。加熱処理における
加熱温度は好ましくは40〜700℃であり、より好ましく
は100〜600℃である。また加熱時間は10分〜10時間程度
である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い
基板を用いる場合、高温処理は基板の劣化を招くため好
ましくない。またコストの観点からもできる限り低温で
加熱処理を行うのが好ましい。5nm以下の小さい酸化チ
タン微粒子や鉱酸等の存在下で加熱処理を行うと、加熱
温度の低温化が可能となる。
【0034】加熱処理後、酸化チタン微粒子の表面積を
増大させたり、酸化チタン微粒子近傍の純度を高め色素
から酸化チタン微粒子への電子注入効率を高める目的
で、米国特許5084365号に記載されているような四塩化
チタン水溶液等を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン
水溶液等を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよ
い。
【0035】半導体微粒子層は、多くの色素を吸着する
ことができるように大きい表面積を有することが好まし
い。半導体微粒子層を導電性支持体上に塗布した状態で
の表面積は投影面積に対して10倍以上であるのが好まし
く、100倍以上であるのがより好ましい。この上限は特
に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0036】(2)色素 感光層に用いる増感色素は、可視域や近赤外域に吸収特
性を有し半導体を増感し得るものであれば特に限定され
ないが、金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン系色
素及びフタロシアニン系色素が好ましく使用でき、中で
も金属錯体色素が特に好ましい。フタロシアニン、ナフ
タロシアニン、金属フタロシアニン、金属ナフタロシア
ニン、テトラフェニルポルフィリンやテトラアザポルフ
ィリン等のポルフィリン類、金属ポルフィリン、それら
の誘導体等も用いることができる。色素レーザー用に用
いられる色素類も本発明において使用できる。また、光
電変換の波長域をできるだけ広くし、且つ変換効率を上
げるために、二種類以上の色素を併用することができ
る。この場合、目的とする光源の波長域と強度分布に合
わせるように併用する色素とその割合を選ぶことができ
る。
【0037】色素は酸化チタン微粒子の表面に対して吸
着能力の有る適当な結合基(interlocking group)を有
するのが好ましい。好ましい結合基の例としては、-COO
H基、-OH基、-SO2H基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2
のような酸性基、並びにオキシム、ジオキシム、ヒドロ
キシキノリン、サリチレート及びα-ケトエノレートの
ようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。中
でも-COOH基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2基が特に好
ましい。これらの結合基はアルカリ金属等と塩を形成し
ていてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。ま
たポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環
やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有
するなら、この部分を結合基としてもよい。以下、感光
層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
【0038】(a)金属錯体色素 本発明で用いる金属錯体色素の金属原子はルテニウムRu
であるのが好ましい。ルテニウム錯体色素の例として
は、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、
同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7-249
790号、特表平10-504512号、WO98/50393号、特開2000-2
6487号等に記載のものが挙げられる。また、好ましい金
属錯体色素の具体例としては、特開2001-320068号の段
落番号0051〜0057に記載のものが挙げられる。最も典型
的な金属錯体色素としては、下記D-1及びD-2が挙げられ
る。
【0039】
【化1】
【0040】(b)メチン色素 好ましいメチン色素は、シアニン色素、メロシアニン色
素、スクワリリウム色素等のポリメチン色素である。好
ましいポリメチン色素の例としては、特開平11-35836
号、同11-158395号、同11-163378号、同11-214730号、
同11-214731号、欧州特許892411号及び同911841号に記
載の色素が挙げられる。これらのポリメチン色素の合成
法については、エフ・エム・ハーマー(F. M. Hamer)
著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイ
ズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocycl
ic Compounds - Cyanine Dyes and Related Compound
s)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wile
y & Sons)社、ニューヨーク、ロンドン(1964年刊)、
デー・エム・スターマー(D. M. Sturmer)著「ヘテロ
サイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス
・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocy
clic Compounds - Specialtopics in Heterocyclic Che
mistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン
・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)
社、ニューヨーク、ロンドン(1977年刊)、「ロッズ・
ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's
Chemistry of Carbon Compounds)」、2nd. Ed.、vol.
IV、part B、第15章、第369から422頁、エルセビア・
サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevi
er Science Publishing Company Inc.)社、ニューヨー
ク(1977刊)、英国特許第1,077,611号、Ukrainskii Kh
imicheskii Zhurnal, 第40巻, 第3号, 253〜258頁、Dy
es and Pigments, 第21巻, 227〜234頁、これらの引用
文献等に記載されている。
【0041】(3)酸化チタン微粒子への色素の吸着 酸化チタン微粒子に色素を吸着させる際には、色素の溶
液中によく乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持
体を浸漬する方法、又は色素の溶液を半導体微粒子層に
塗布する方法を用いることができる。前者の方法の場
合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等
が利用可能である。浸漬法を用いる場合、色素の吸着は
室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されて
いるように加熱還流して行ってもよい。後者の方法の場
合、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストル
ージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等が利
用できる。また、インクジェット法等によって色素を画
像状に塗布し、この画像そのものを光電変換素子とする
こともできる。
【0042】色素の溶液(吸着液)に用いる溶媒は、好
ましくはアルコール類(メタノール、エタノール、t-ブ
タノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセ
トニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニ
トリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジク
ロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベ
ンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,
N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド
等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジ
ノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エ
チル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチ
ル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(ア
セトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素
(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)又
はこれらの混合溶媒である。
【0043】色素の吸着量は、半導体微粒子層の単位面
積(1m2)当たり0.01〜100mmolとするのが好ましい。
また色素の酸化チタン微粒子に対する吸着量は、酸化チ
タン微粒子1g当たり0.01〜1mmolであるのが好まし
い。このような色素の吸着量とすることにより酸化チタ
ン微粒子の増感効果が十分に得られる。色素の吸着量が
少なすぎると増感効果が不十分となり、色素の吸着量が
多すぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感
効果が低減する。色素の吸着量を増やすためには、吸着
前に酸化チタン微粒子を加熱処理するのが好ましい。酸
化チタン微粒子表面に水が吸着するのを避けるために、
加熱処理後には常温に戻さずに半導体微粒子層の温度が
60〜150℃の間で素早く色素の吸着を行うのが好まし
い。
【0044】色素間の凝集等の相互作用を低減するため
に、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を色素
吸着液に添加し、酸化チタン微粒子に共吸着させてよ
い。このような無色の化合物の例としては、カルボキシ
ル基やスルホ基を有するステロイド化合物(コール酸、
デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオ
キシコール酸等)や、下記のようなスルホン酸塩類等が
挙げられる。
【0045】
【化2】
【0046】未吸着の色素は、吸着工程後、速やかに洗
浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中で
アセトニトリル、アルコール系溶剤のような有機溶媒等
を用いて行うのが好ましい。
【0047】色素を吸着した後、アミン類、4級アンモ
ニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を有するウレイ
ド化合物、少なくとも1つのシリル基を有するシリル化
合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いて
酸化チタン微粒子の表面を処理してもよい。好ましいア
ミン類の例としてはピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポ
リビニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級アンモ
ニウム塩の例としてはテトラブチルアンモニウムヨージ
ド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられ
る。これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、液体の
場合はそのまま用いてもよい。
【0048】(C)電荷輸送層 電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有
する電荷輸送材料を含有する。本発明で用いる電荷輸送
材料は、(i)イオンが関わる電荷輸送材料であっても、
(ii)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材料であ
ってもよい。(i)イオンが関わる電荷輸送材料として
は、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質組成物、
酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還
元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸したいわ
ゆるゲル電解質組成物、固体電解質組成物等が挙げら
れ、(ii)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材料
としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料等が
挙げられる。これらの電荷輸送材料は複数併用してもよ
い。本発明では、電荷輸送層に溶融塩電解質組成物又は
ゲル電解質組成物を用いるのが好ましい。
【0049】(1)溶融塩電解質組成物 溶融塩電解質組成物は溶融塩を含む。溶融塩電解質組成
物は常温で液体であるのが好ましい。主成分である溶融
塩は室温において液状であるか、又は低融点の電解質で
あり、その一般的な例としてはWO95/18456号、特開平8-
259543号、電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)等
に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾ
リウム塩等が挙げられる。溶融塩の融点は50℃以下であ
るのが好ましく、25℃以下であるのが特に好ましい。溶
融塩の具体例は特開2001-320068号の段落番号0066〜008
2に詳しく記載されている。
【0050】溶融塩は単独で使用しても2種以上混合し
て使用してもよい。また、LiI、NaI、KI、LiBF4、CF3CO
OLi、CF3COONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を併
用することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、組成
物全体に対して2質量%以下であるのが好ましく、1質
量%以下がさらに好ましい。また、溶融塩電解質組成物
に含まれるアニオンの50モル%以上がヨウ化物イオンで
あることが好ましい。
【0051】通常、溶融塩電解質組成物はヨウ素を含有
する。ヨウ素の含有量は、溶融塩電解質組成物全体に対
して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%
であるのがより好ましい。
【0052】溶融塩電解質組成物の揮発性は低いことが
好ましく、溶媒を含まないことが好ましい。溶媒を添加
する場合でも、溶媒の添加量は溶融塩電解質組成物全体
に対して30質量%以下に留めることが好ましい。溶融塩
電解質組成物は後述のようにゲル化して使用してもよ
い。
【0053】(2)電解液 電解液は電解質、溶媒及び添加物から構成されることが
好ましい。電解液に用いる電解質の例としては、I2とヨ
ウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、
テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウム
ヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモ
ニウム化合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、Br2と臭化物
(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、テト
ラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロ
マイド等の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合
わせ、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセ
ン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナト
リウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等の
イオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン
等が挙げられる。中でも、I2とLiI又はピリジニウムヨ
ーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニ
ウム化合物ヨウ素塩を組み合わせた電解質が好ましい。
電解質は混合して用いてもよい。
【0054】電解液中の電解質濃度は好ましくは0.1〜1
0Mであり、より好ましくは0.2〜4Mである。また、電解
液にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度
は0.01〜0.5Mである。
【0055】電解液に使用する溶媒は、粘度が低くイオ
ン移動度を向上したり、若しくは誘電率が高く有効キャ
リアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発
現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒
の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネート等のカーボネート化合物、3-メチル-2-オキサ
ゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエ
ーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアル
キルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エー
テル類、メタノール、エタノール、エチレングリコール
モノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアル
キルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエ
ーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテ
ル等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセト
ニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化
合物、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の非プロ
トン極性物質、水等が挙げられる。これらの溶媒は混合
して用いることもできる。
【0056】また、J. Am. Ceram. Soc., 80 (12) 3157
-3171 (1997)に記載されているようなtert-ブチルピリ
ジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合物を
前述の溶融塩電解質組成物や電解液に添加することが好
ましい。塩基性化合物を電解液に添加する場合の好まし
い濃度範囲は0.05〜2Mである。溶融塩電解質組成物に
添加する場合、塩基性化合物はイオン性基を有すること
が好ましい。溶融塩電解質組成物全体に対する塩基性化
合物の質量比は好ましくは1〜40質量%であり、より好
ましくは5〜30質量%である。
【0057】(3)ゲル電解質組成物」 本発明では、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官
能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法
により、前述の溶融塩電解質組成物や電解液をゲル化
(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加
によりゲル化する場合は、“Polymer Electrolyte Revi
ews-1及び2”(J. R. MacCallumとC. A.Vincentの共
編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物を
使用することができるが、特にポリアクリロニトリル及
びポリフッ化ビニリデンが好ましく使用できる。オイル
ゲル化剤添加によりゲル化する場合は工業科学雑誌(J.
Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Sec.), 46, 779 (194
3)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989)、J. Chem.
Soc., Chem. Commun., 1993, 390、Angew. Chem. Int.
Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem. Lett., 1996, 88
5、及びJ. Chem. Soc.,Chem. Commun., 1997, 545に記
載されている化合物を使用することができるが、アミド
構造を有する化合物を使用するのが好ましい。電解液を
ゲル化した例は特開平11-185863号に、溶融塩電解質を
ゲル化した例は特開2000-58140号にも記載されており、
これらも本発明に適用できる。
【0058】また、ポリマーの架橋反応によりゲル化さ
せる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマー及び
架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい
架橋可能な反応性基は、アミノ基、含窒素複素環(ピリ
ジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール
環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピ
ペラジン環等)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に
対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(ハロゲン化
アルキル類、ハロゲン化アラルキル類、スルホン酸エス
テル類、酸無水物、酸クロライド類、イソシアネート化
合物、α,β-不飽和スルホニル化合物、α,β-不飽和カ
ルボニル化合物、α,β-不飽和ニトリル化合物等)であ
る。特開2000-17076号及び同2000-86724号に記載されて
いる架橋技術も適用できる。
【0059】(4)正孔輸送材料 本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質のかわり
に、有機固体正孔輸送材料、無機固体正孔輸送材料、或
いはこの両者を組み合わせた材料を使用することができ
る。
【0060】(a)有機正孔輸送材料 本発明において好ましく使用できる有機正孔輸送材料の
例としては、J. Hagen, et al., Synthetic Metal, 89,
215-220 (1997)、Nature, Vol.395, 8 Oct.,p583-585
(1998)、WO97/10617、特開昭59-194393号、特開平5-234
681号、米国特許第4,923,774号、特開平4-308688号、米
国特許第4,764,625号、特開平3-269084号、同4-129271
号、同4-175395号、同4-264189号、同4-290851号、同4-
364153号、同5-25473号、同5-239455号、同5-320634
号、同6-1972号、同7-138562号、同7-252474号、同11-1
44773号等に記載の芳香族アミン類、特開平11-149821
号、同11-148067号、同11-176489号等に記載のトリフェ
ニレン誘導体類等が挙げられる。また、Adv. Mater.,
9, No.7, p557 (1997)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,
34, No.3, p303-307 (1995)、JACS, Vol.120, No.4, p6
64-672 (1998)等に記載のオリゴチオフェン化合物、K.
Murakoshi, et al., Chem. Lett. p471 (1997)に記載の
ポリピロール、“Handbook of Organic Conductive Mol
ecules and Polymers, Vol. 1,2,3,4”(NALWA著、WILE
Y出版)に記載のポリアセチレン及びその誘導体、ポリ
(p-フェニレン)及びその誘導体、ポリ(p-フェニレンビ
ニレン)及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及び
その誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアニ
リン及びその誘導体、ポリトルイジン及びその誘導体等
の導電性高分子も好ましく使用することができる。
【0061】Nature, Vol.395, 8 Oct., p583-585 (199
8)に記載されているように、ドーパントレベルをコント
ロールするためにトリス(4-ブロモフェニル)アミニウム
ヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカル
を含有する化合物を正孔輸送材料に添加してもよい。ま
た、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層
の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加
してもよい。
【0062】(b)無機正孔輸送材料 無機正孔輸送材料としてはp型無機化合物半導体を用い
ることができ、そのバンドギャップは好ましくは2eV以
上、より好ましくは2.5eV以上である。また、p型無機化
合物半導体のイオン化ポテンシャルは、色素の正孔を還
元するためには色素吸着電極のイオン化ポテンシャルよ
り小さいことが必要である。使用する色素によってp型
無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範
囲は異なるが、一般に好ましくは4.5〜5.5eV、より好ま
しくは4.7〜5.3eVである。好ましいp型無機化合物半導
体は1価の銅を含む化合物半導体であり、その例として
はCuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuGaSe2、Cu
2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2等が挙げられる。中
でも、CuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。
他のp型無機化合物半導体の例としては、GaP、NiO、Co
O、FeO、Bi2O3、MoO2、Cr 2O3等が挙げられる。
【0063】(5)電荷輸送層の形成 電荷輸送層は2通りの方法のいずれかにより形成でき
る。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせておき、
その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法である。も
う1つは感光層上に直接電荷輸送層を付与する方法で、
対極はその後付与することになる。
【0064】前者の方法の場合、電荷輸送層を挟み込む
際には、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス
又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換す
る真空プロセスを利用できる。
【0065】後者の方法において、湿式の電荷輸送層を
用いる場合は、通常未乾燥のまま対極を付与しエッジ部
の液漏洩防止措置を施す。またゲル電解質組成物を用い
る場合には、これを湿式で塗布した後で重合等の方法に
より固体化してよい。固体化は対極を付与する前に行っ
ても後に行ってもよい。電解液、湿式有機正孔輸送材
料、ゲル電解質組成物等からなる電荷輸送層を形成する
場合は、前述の半導体微粒子層の形成方法と同様の方法
を利用できる。
【0066】固体電解質組成物や固体正孔輸送材料を用
いる場合には、真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理
で電荷輸送層を形成し、その後対極を付与することもで
きる。有機正孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト法、塗
布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重
合法等により電極内部に導入することができる。無機固
体化合物はキャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬
法、電解析出法、無電解メッキ法等により電極内部に導
入することができる。
【0067】(D)対極 対極は前述の導電性支持体と同様に、導電性材料からな
る対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持
基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導
電剤の例としては、金属(白金、金、銀、銅、アルミニ
ウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、導電性金
属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ
酸化スズ等)等が挙げられる。この中でも白金、金、
銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムが好ましい。対
極に用いる基板は、好ましくはガラス基板又はプラスチ
ック基板であり、これに上記の導電剤を塗布又は蒸着し
て用いることができる。対極導電層の厚さは特に制限さ
れないが、好ましくは3nm〜10μmである。対極導電層
の表面抵抗は低い程よく、好ましくは50Ω/□以下、よ
り好ましくは20Ω/□以下である。
【0068】導電性支持体と対極のいずれか一方又は両
方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するた
めには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的
に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは導電
性支持体を透明にして光を導電性支持体側から入射させ
るのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を
有するのが好ましい。このような性質を得るためには、
対極として金属又は導電性酸化物を蒸着したガラス又は
プラスチック、或いは金属薄膜を使用してよい。
【0069】対極は電荷輸送層上に直接導電剤を塗布、
メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基
板の導電層側を貼り付けて設置すればよい。導電性支持
体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対極の
抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。
金属リードの好ましい態様は導電性支持体の場合と同じ
である。
【0070】(E)その他の層 対極と導電性支持体の短絡を防止するため、導電性支持
体と感光層の間には緻密な半導体の薄膜層を下塗り層と
して予め塗設しておくことが好ましい。この下塗り層に
より短絡を防止する方法は、電荷輸送層に電子輸送材料
や正孔輸送材料を用いる場合は特に有効である。下塗り
層は好ましくはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO又はNb2O5
からなり、さらに好ましくはTiO2からなる。下塗り層
は、例えばElectrochim. Acta, 40, 643-652 (1995)に
記載のスプレーパイロリシス法や、スパッタ法等により
塗設することができる。下塗り層の膜厚は好ましくは5
〜1000nmであり、より好ましくは10〜500nmである。
【0071】また、導電性支持体と対極の一方又は両方
の外側表面、導電層と基板の間又は基板の中間に、保護
層、反射防止層等の機能性層を設けてもよい。これらの
機能性層の形成方法は、その材質に応じて塗布法、蒸着
法、貼り付け法等から適宜選択できる。
【0072】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。本発明の光電変換素子の好ましい内部構
造の例を、前述の図1及び図2〜図9に示す。
【0073】図2に示す構造は、透明導電層10aと透明
対極導電層40aとの間に、感光層20と電荷輸送層30とを
介在させたものであり、両面から光が入射する構造とな
っている。図3に示す構造は、透明基板50a上に一部金
属リード11を設け、その上に透明導電層10aを設け、下
塗り層60、感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を
この順で設け、更に支持基板50を配置したものであり、
導電層側から光が入射する構造となっている。図4に示
す構造は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60
を介して感光層20を設け、更に電荷輸送層30と透明対極
導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明
基板50aを金属リード11側を内側にして配置したもので
あり、対極側から光が入射する構造である。図5に示す
構造は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、更
に透明導電層10a(又は40a)を設けたもの1組の間に下
塗り層60、感光層20及び電荷輸送層30を介在させたもの
であり、両面から光が入射する構造である。図6に示す
構造は、透明基板50a上に透明導電層10a、下塗り層60、
感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を設け、この
上に支持基板50を配置したものであり、導電層側から光
が入射する構造である。図7に示す構造は、支持基板50
上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設
け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40aを設け、
この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側か
ら光が入射する構造である。図8に示す構造は、透明基
板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感
光層20を設け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40
aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、
両面から光が入射する構造となっている。図9に示す構
造は、支持基板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介
して感光層20を設け、更に固体の電荷輸送層30を設け、
この上に一部対極導電層40又は金属リード11を有するも
のであり、対極側から光が入射する構造となっている。
【0074】[3]光電池 本発明の光電池は、上記本発明の光電変換素子に外部負
荷で仕事をさせるようにしたものである。光電池のう
ち、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなる場
合を特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発
電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
【0075】光電池の側面は、構成物の劣化や内容物の
揮散を防止するためにポリマーや接着剤等で密封するの
が好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接
続する外部回路自体は公知のものでよい。
【0076】本発明の光電変換素子を太陽電池に適用す
る場合も、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電
変換素子の構造と同じである。また、本発明の光電変換
素子を用いた色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モ
ジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりう
る。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミッ
ク等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹
脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取
り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材
料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板
側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体
的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタ
イプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、
アモルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体
型モジュール構造等が知られており、本発明の光電変換
素子を用いた色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所
及び環境により、適宜モジュール構造を選択できる。具
体的には、特願平11-8457号、特開2000-268892号等に記
載の構造や態様とすることが好ましい。
【0077】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0078】1.酸化チタン微粒子分散液の調製 表1に示すようにニオブ及びタンタルの化合物をそれぞ
れ水360gに加え、これらにそれぞれジエタノールアミン
23gを加えて混合した。各混合液に25℃でそれぞれオル
トチタン酸テトライソプロピル(和光純薬製)56.8gを
一気に添加し1時間撹拌した。次いで各液を80℃に加熱
し、6時間撹拌して均一な溶液を得た。次に各溶液50ml
をそれぞれステンレス製オートクレーブに入れ、240
℃、16時間撹拌した後、得られた酸化チタン分散物を15
000回転で30分間遠心分離した。デカンテーションによ
り上澄みを除いた後、各分散物にポリエチレングリコー
ル(分子量20000、和光純薬製)0.3g及び水11gを加え
て溶解した。さらにそれぞれにエタノール1g及び濃硝
酸0.4mlを加えて本発明の酸化チタン微粒子を含む分散
液B-1〜B-8を調製した。B-1〜B-8の固形分含有量は14質
量%であった。
【0079】ニオブ及びタンタルの化合物の添加を除い
た以外は(1)と同様にして比較用酸化チタン微粒子分散
液Aを調製した。Aの固形分含有量は14質量%であった。
【0080】X線回折法により求めた比較用酸化チタン
微粒子の平均粒径は18nmであった。またA及びB-1〜B-8
を大量の水で希釈し、400nm及び500nmにおける濁度を測
定した。その結果A及びB-1〜B-8の酸化チタン分散液の
濁度がほぼ等しかったことから、B-1〜B-8の酸化チタン
微粒子の平均粒径についても18nm前後であると推定し
た。
【0081】
【表1】
【0082】2.色素吸着酸化チタン電極の作製 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導
電性ガラス(日本板硝子製、表面抵抗は約10Ω/cm2
を用意し、その導電面側に得られた分散液A及びB-1〜B-
8をドクターブレードを用いてそれぞれ塗布した。25℃
で1時間乾燥した後、電気炉(ヤマト科学製マッフル炉
FP-32型)を用いて470℃で30分間加熱処理した。加熱処
理後に測定した塗布重量はいずれも16g/m2であった。次
に下記の色素(B)0.3ミリモル/l、及び界面活性剤(W)3
%を含む吸着液に5時間浸漬した。浸漬は吸着液の溶媒
としてエタノール:t-ブタノール:アセトニトリル=
1:1:2(体積比)からなる混合溶媒を用い、液温45
℃で行った。次いで色素の吸着した酸化チタン電極をエ
タノール及びアセトニトリルで順次洗浄した。
【0083】
【化3】
【0084】3.光電変換素子の作製 上述のようにして作製した色素吸着酸化チタン電極基板
(2cm×2cm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと
重ね合わせた(図10参照)。次に、両ガラスの隙間に毛
細管現象を利用して電解液(ヨウ化1,3-ジメチルイミ
ダゾリウム(0.65モル/l)、ヨウ素(0.05モル/l)及
びt-ブチルピリジン(0.1モル/l)のメトキシアセトニト
リル溶液)をしみこませて電極中に導入し、表2に示す
光電変換素子C-1〜C-9を得た。
【0085】以上により、図10に示すような、導電性ガ
ラス1(ガラス2上に導電層3が設層されたもの)、色
素吸着酸化チタン電極4、電荷輸送層5、白金層6及び
ガラス7が順に積層された光電変換素子を得た。
【0086】4.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルタ
ー(Oriel社製AM1.5)を通すことにより模擬太陽光を発
生させた。この光の強度は垂直面において110mW/cm2
あった。各光電変換素子C-1〜C-9の導電性ガラスの端部
に銀ペーストを塗布して負極とし、この負極と白金蒸着
ガラス(正極)を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238
型)に接続した。各光電変換素子に模擬太陽光を垂直に
照射しながら電流電圧特性を測定し光電変換効率を求め
た。表2に各光電変換素子の変換効率を示す。
【0087】
【表2】
【0088】表2に示した通り、本発明の酸化チタン微
粒子を用いた光電変換素子(C-2〜C-9)は比較用光電変
換素子(C-1)に比べて短絡電流が高く、その結果、変
換効率が高いことがわかる。中でもタンタルのアルコキ
シドを用いて不純物ドープしたC-7〜C-8は特に変換効率
が高い。
【0089】
【発明の効果】上記の通り、本発明の作製方法によれ
ば、酸化チタン微粒子にドーパントとしてニオブ又はタ
ンタルを添加することにより、変換効率に優れた色素増
感光電変換素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図10】 実施例で作製した光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・酸化チタン微粒子 22・・・色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷輸送層 40・・・対極導電層 40a・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・透明基板 60・・・下塗り層 1・・・導電性ガラス 2・・・ガラス 3・・・導電層 4・・・色素吸着酸化チタン層 5・・・電荷輸送層 6・・・白金層 7・・・ガラス

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化チタン微粒子を作製する方法であっ
    て、ドーパントとしてニオブ又はタンタルを添加するこ
    とを特徴とする酸化チタン微粒子の作製方法。
  2. 【請求項2】 色素が吸着した半導体微粒子を含有する
    感光層と導電性支持体とを有する光電変換素子であっ
    て、前記半導体微粒子として請求項1に記載の方法によ
    り作製した酸化チタン微粒子を用いることを特徴とする
    光電変換素子。
JP2002052107A 2002-02-27 2002-02-27 酸化チタン微粒子の作製方法及び光電変換素子 Pending JP2003252624A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002052107A JP2003252624A (ja) 2002-02-27 2002-02-27 酸化チタン微粒子の作製方法及び光電変換素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002052107A JP2003252624A (ja) 2002-02-27 2002-02-27 酸化チタン微粒子の作製方法及び光電変換素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003252624A true JP2003252624A (ja) 2003-09-10

Family

ID=28663898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002052107A Pending JP2003252624A (ja) 2002-02-27 2002-02-27 酸化チタン微粒子の作製方法及び光電変換素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003252624A (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004319439A (ja) * 2003-04-04 2004-11-11 Sharp Corp 色素増感太陽電池およびその製造方法
WO2005087666A1 (ja) 2004-03-17 2005-09-22 Nippon Aerosil Co., Ltd. 酸化チタン粒子及びこの酸化チタン粒子を用いた光電変換素子並びにその酸化チタン粒子の製造方法
JP2006076855A (ja) * 2004-09-10 2006-03-23 Peccell Technologies Inc 半導体ナノ粒子を含む粘性分散液
JP2006083029A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Kyoto Univ 金属酸化物のナノ結晶体、及びその製造方法
JP2006128079A (ja) * 2004-10-01 2006-05-18 Kyushu Institute Of Technology 色素増感太陽電池及びその半導体電極用酸化チタンの製造方法
WO2010050575A1 (ja) 2008-10-29 2010-05-06 富士フイルム株式会社 色素、これを用いた光電変換素子、光電気化学電池、および色素の製造方法
JP2010225468A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Sumitomo Chemical Co Ltd 透明導電性基板の製造方法、これに用いる前駆体溶液およびその取り扱い方法
EP2302650A2 (en) 2009-09-28 2011-03-30 Fujifilm Corporation Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell
EP2306479A2 (en) 2009-09-28 2011-04-06 Fujifilm Corporation Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell
JP2011197568A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
JP2011197569A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
WO2014129575A1 (ja) 2013-02-22 2014-08-28 富士フイルム株式会社 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および色素増感太陽電池
JP2016051891A (ja) * 2014-08-28 2016-04-11 公立大学法人 滋賀県立大学 太陽電池およびその太陽電池の製造方法
US20170288159A1 (en) * 2016-04-01 2017-10-05 Korea Institute Of Science And Technology Electron transport layer for flexible perovskite solar cell and flexible perovskite solar cell including the same
KR20230079928A (ko) * 2021-11-29 2023-06-07 서울대학교산학협력단 질화탄탈륨 기반 광전극 제조방법 및 이에 의하여 제조된 광전극

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004319439A (ja) * 2003-04-04 2004-11-11 Sharp Corp 色素増感太陽電池およびその製造方法
JP4563697B2 (ja) * 2003-04-04 2010-10-13 シャープ株式会社 色素増感太陽電池およびその製造方法
WO2005087666A1 (ja) 2004-03-17 2005-09-22 Nippon Aerosil Co., Ltd. 酸化チタン粒子及びこの酸化チタン粒子を用いた光電変換素子並びにその酸化チタン粒子の製造方法
KR100830786B1 (ko) * 2004-03-17 2008-05-20 닛폰 에어로실 가부시키가이샤 산화타이타늄 입자, 이 산화타이타늄 입자를 이용한 광전 변환 소자 및 그 산화타이타늄 입자의 제조방법
JP4562467B2 (ja) * 2004-09-10 2010-10-13 ペクセル・テクノロジーズ株式会社 半導体ナノ粒子を含む粘性分散液
JP2006076855A (ja) * 2004-09-10 2006-03-23 Peccell Technologies Inc 半導体ナノ粒子を含む粘性分散液
JP4620990B2 (ja) * 2004-09-17 2011-01-26 国立大学法人京都大学 金属酸化物のナノ結晶体、及びその製造方法
JP2006083029A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Kyoto Univ 金属酸化物のナノ結晶体、及びその製造方法
JP2006128079A (ja) * 2004-10-01 2006-05-18 Kyushu Institute Of Technology 色素増感太陽電池及びその半導体電極用酸化チタンの製造方法
EP2845882A2 (en) 2008-10-29 2015-03-11 Fujifilm Corporation Dye, Photoelectric Conversion Element and Photoelectrochemical Cell
WO2010050575A1 (ja) 2008-10-29 2010-05-06 富士フイルム株式会社 色素、これを用いた光電変換素子、光電気化学電池、および色素の製造方法
JP2010225468A (ja) * 2009-03-24 2010-10-07 Sumitomo Chemical Co Ltd 透明導電性基板の製造方法、これに用いる前駆体溶液およびその取り扱い方法
EP2302650A2 (en) 2009-09-28 2011-03-30 Fujifilm Corporation Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell
EP2306479A2 (en) 2009-09-28 2011-04-06 Fujifilm Corporation Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell
JP2011197568A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
JP2011197569A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
WO2014129575A1 (ja) 2013-02-22 2014-08-28 富士フイルム株式会社 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および色素増感太陽電池
JP2016051891A (ja) * 2014-08-28 2016-04-11 公立大学法人 滋賀県立大学 太陽電池およびその太陽電池の製造方法
US20170288159A1 (en) * 2016-04-01 2017-10-05 Korea Institute Of Science And Technology Electron transport layer for flexible perovskite solar cell and flexible perovskite solar cell including the same
US10431759B2 (en) * 2016-04-01 2019-10-01 Korea Institute Of Science And Technology Electron transport layer for flexible perovskite solar cell and flexible perovskite solar cell including the same
KR20230079928A (ko) * 2021-11-29 2023-06-07 서울대학교산학협력단 질화탄탈륨 기반 광전극 제조방법 및 이에 의하여 제조된 광전극
KR102654253B1 (ko) 2021-11-29 2024-04-02 서울대학교산학협력단 질화탄탈륨 기반 광전극 제조방법 및 이에 의하여 제조된 광전극

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5081345B2 (ja) 光電変換素子の製造方法
US20030230335A1 (en) Methods for producing titanium oxide sol and fine titanium oxide particles, and photoelectric conversion device
EP1180774A2 (en) Photoelectric conversion device and method for producing same
JP4500420B2 (ja) 光電変換素子および光電池
JP4453889B2 (ja) 電解液組成物、光電変換素子及び光電池
JP2003187881A (ja) 光電変換素子の作製方法、光電変換素子及び光電池
JP2003252624A (ja) 酸化チタン微粒子の作製方法及び光電変換素子
JP2003297443A (ja) 光電変換用酸化物半導体電極および色素増感型太陽電池
EP1375428B1 (en) Methods for producing titanium oxide sol and fine titanium oxide particles for use in photoelectric conversion devices
JP2002222968A (ja) 光電変換素子および光電気化学電池
JP4247820B2 (ja) 光電変換素子の作製方法及び光電変換素子
JP2001167808A (ja) 光電変換素子および光電池
EP1296339A2 (en) Method for producing a photoelectrochemical cell
JP2003257506A (ja) 電解質組成物、光電変換素子及び光電池
JP2002075470A (ja) 光電変換素子およびこれを用いた光電池
JP4100491B2 (ja) 半導体微粒子層、光電変換素子及び光電池
JP2004010403A (ja) 多重構造酸化チタン微粒子、及びその作製方法、及びそれを含有する光電変換素子並びに光電池
JP4072891B2 (ja) 光電変換素子の作製方法及び光電池
JP4578695B2 (ja) 光電変換素子の作成方法
JP4247810B2 (ja) 光電変換素子及び光電池
JP4776871B2 (ja) 半導体微粒子膜、光電変換素子及び光電池
JP4958331B2 (ja) 光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電池
JP2004238213A (ja) 酸化チタン粒子の製造方法、及びそれを用いた光電変換素子
JP2002261310A (ja) 酸化チタン微粒子の製造方法、光電変換素子及び光電池
JP2004124124A (ja) 金属−金属酸化物複合電極の作製方法、光電変換素子及び光電池