JP2004124124A - 金属−金属酸化物複合電極の作製方法、光電変換素子及び光電池 - Google Patents

金属−金属酸化物複合電極の作製方法、光電変換素子及び光電池 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換素子に好適な金属−金属酸化物複合電極の作製方法、及び酸化物層の機械的強度が高く、光電流の大きい色素増感光電変換素子を提供する。
【解決手段】亜鉛、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた金属、又は亜鉛、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた金属を含む合金を電解酸化することにより金属酸化物を形成した電極を作製し、前記電極の前記金属酸化物表面に前記金属酸化物よりも伝導帯のエネルギーレベルが貴である金属酸化物を吸着させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
金属−金属酸化物複合電極の作製方法、その方法により作製された金属−金属酸化物複合電極を含む光電変換素子及び光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
光電変換素子は各種の光センサー、複写機、光発電装置等に用いられている。光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、これらを組み合わせたもの等の様々な方式が実用化されている。
【0003】
例えば、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子(以下「色素増感光電変換素子」と記す。)、並びにこれを作製するための材料及び製造技術が開示されている(例えば、特許文献1〜9及び非特許文献1〜3参照。)。これらの技術によれば、酸化物半導体微粒子を用いて塗布膜を作製し色素を吸着させるだけで優れた光電変換素子となるため、コストパフォーマンスの高い光電変換素子を得ることができる。
【0004】
しかしながら、酸化物半導体微粒子とその支持体である透明電極との密着性は必ずしも高くなく、酸化物半導体微粒子の剥離の問題があった。一方、電解酸化によって金属の表面に酸化物の層を形成する手法が知られている。この手法を用いれば導電性支持体である金属電極とそれに強固に密着した金属酸化物の層を形成できるため、機械的強度の問題は解決するはずである。ところが、色素増感光電変換素子に好適なチタン、ニオブ、タングステン等の金属にこの手法を適用すると、強固な酸化被膜が得られるものの投影面積に対する表面積の割合(表面粗度)が小さく、小さな光電流しか取り出せないという問題があった。また、アルミニウムや亜鉛等の金属では、この電解酸化によって表面粗度の大きい金属−金属酸化物複合電極が得られるが、これら酸化物の伝導帯のエネルギーレベルが卑でありすぎるため色素増感光電変換素子への適用は困難であった。このように、酸化物半導体膜の機械的強度が高く、取り出せる光電流の大きい色素増感光電変換素子が望まれているにもかかわらず、これまで実現できていなかった。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第4927721号明細書
【特許文献2】
米国特許第4684537号明細書
【特許文献3】
米国特許第5084365号明細書
【特許文献4】
米国特許第5350644号明細書
【特許文献5】
米国特許第5463057号明細書
【特許文献6】
米国特許第5525440号明細書
【特許文献7】
国際公開第98/50393号パンフレット
【特許文献8】
特開平7−249790号公報
【特許文献9】
特表平10−504521号公報
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・セラミック・ソサイエティ(Journal of the American Ceramic Society)」, 1997年, 第80巻, p.3157−3171
【非特許文献2】
「アカウンツ・オブ・ケミカル・リサーチ(Accounts of Chemical Research)」, 2000年, 第33巻, p.269−277
【非特許文献3】
「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」, 1993年, 第115巻, p.6832
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、機械的強度が高く表面粗度の大きい、色素増感光電変換素子に適した伝導帯のエネルギーレベルの金属−金属酸化物複合電極を提供することであり、本発明の第二の目的は、機械的強度が高く光電流の大きい色素増感光電変換素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、下記の(1)〜(5)により機械的強度が高く表面粗度の大きい金属−金属酸化物複合電極、光電流の大きい色素増感光電変換素子及び光電池が得られることを発見し、本発明に想到した。
(1) 亜鉛、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた金属、又は亜鉛、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた金属を含む合金を電解酸化することにより金属酸化物を形成した電極を作製し、前記電極の前記金属酸化物表面に前記金属酸化物よりも伝導帯のエネルギーレベルが貴である金属酸化物を吸着させることを特徴とする金属−金属酸化物複合電極の作製方法。
(2) 金属亜鉛又は亜鉛を含む合金を電解酸化し、酸化亜鉛表面に、酸化亜鉛よりも伝導帯のエネルギーレベルが貴である金属酸化物を吸着させて亜鉛−酸化亜鉛複合電極を作製することを特徴とする(1)に記載の作製方法。
(3) 前記電極の表面に吸着させる前記金属酸化物が酸化錫又は酸化インジウムを含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の作製方法。
(4) (1)〜(3)に記載の方法で作製された金属−金属酸化物複合電極、色素及び電荷輸送材料を含むことを特徴とする色素増感光電変換素子。
(5) (4)に記載の色素増感光電変換素子を用いた光電池
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の要点は亜鉛、アルミニウム又はジルコニウムをアノードとし、電解質溶液中で電流を通じて表面粗度の大きい金属−金属酸化物複合電極を作製した後、得られた複合電極の金属酸化物表面にこれらの金属酸化物よりも伝導帯のエネルギーレベルが貴である金属酸化物を吸着させることにより、色素増感光電変換素子に適した伝導帯のエネルギーレベルを有する金属−金属酸化物複合電極を得ることである。以下その方法を詳しく説明する。
【0009】
[1] 金属−金属酸化物複合電極の作製方法
金属−金属酸化物複合電極(以下「複合電極」と略す。)を作製する本発明の方法は、亜鉛、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた金属、又は亜鉛、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた金属を含む合金を電解酸化する工程(工程1)と、得られた電極表面上にこれらの金属の酸化物よりも伝導帯のエネルギーレベルが貴である金属酸化物を吸着させる工程(工程2)の2工程からなる。
【0010】
(1) 電解酸化工程
複合電極を作製するために用いる金属は亜鉛、アルミニウム又はジルコニウムである。これらは単体であっても合金であっても良いが、単体の金属の方が好ましい。合金を用いるのは生成する複合電極を多孔質とする場合であり、合金中に含まれる亜鉛、アルミニウム又はジルコニウム以外の元素としては、電解酸化の条件で大部分が溶出する元素を用いる。合金中の亜鉛、アルミニウム又はジルコニウムが合金全体に占める比率は30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。複合電極の使用目的が色素増感光電変換素子である場合、金属としては亜鉛が特に好ましく合金としては亜鉛を含む合金が特に好ましい。この場合、金属又は合金の形状は板状であることが好ましい。
【0011】
次に電解酸化の条件について説明する。まず、電解酸化する金属電極をアノードとして電源に接続する。電解電圧は通常0.1〜200Vであり、好ましくは5〜150Vであり、より好ましくは20〜120Vである。電解電圧が高いほうが作製する金属−金属酸化物複合電極の表面粗度が増すため光電流が増大する。従って、安全上問題がなければ電解電圧は高い程よい。電解の際に参照極を用いて3極系としても、参照極を用いずに2極系としても良い。電解電圧が5V以上の場合は参照極を特に用いる必要はない。対極は特に制限はないが反応性の低い貴金属(金、白金等)、カーボン等が好ましい。
【0012】
電解質溶液は水系、非水系のいずれも使用可能であるが水系が好ましい。電解質としては酸(硫酸、硝酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、酢酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、トルフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)、アルカリ(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等)、上記の酸とアルカリを中和してできる塩(硫酸ナトリウム、硝酸リチウム、過塩素酸カリウム等)等が挙げられる。なかでも酸、特に強酸(硫酸、硝酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、トルフルオロメタンスルホン酸等)が好ましい。
【0013】
電解温度及び電解時間は条件に応じて適宜決定することができる。典型的な条件は電解温度が5〜70℃で、電解時間が1分〜24時間である。また、電解酸化と同時に紫外線照射を行ってもよい。紫外線とは波長400 nm以下の光であって、通常100〜400 nm、好ましくは180〜380 nmである。紫外線の他に可視光線、赤外線等が混合していても良い。紫外線の強度は通常0.1〜500 mW/cmであり、1〜100mW/cmが好ましい。紫外線の発生装置は、通常、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ等を用いる。また、紫外線レーザーを用いても良い。
【0014】
紫外線は金属又は合金の一方の面だけに照射しても良いし、両面に照射しても良い。紫外線の照射と電圧の印加は同時であっても、紫外線照射時間に対して電圧印加の時間が長くても良い。例えば、紫外線照射前に電解酸化を開始しても、紫外線照射後に電解酸化を継続しても良い。また電解酸化を連続的に行いながら紫外線の照射を間歇的に行っても良い。ただし、少なくとも紫外線照射と電圧印加が同時に行われている時間があることを要する。
【0015】
(2) 吸着工程
上記のようにして形成された表面粗度の大きな複合電極の金属酸化物表面上に吸着させる化合物は、これらの金属酸化物よりも伝導帯のエネルギーレベルが貴である金属酸化物である。ここで、伝導体のエネルギーレベルが貴であるとはエネルギーレベルが低いことを意味し、エネルギーレベルの値としてはより正側に大きいことを意味する。金属酸化物の伝導帯のエネルギーレベルに関しては、例えば、ハグフェルト(A. Hagfeldt)及びグレッチェル(M. Gratzel)による「ケミカル・レビューズ(Chemical Reviews)」、1995年、第95巻、p.49〜68に記載された値等を参考にできる。例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及び酸化ジルコニウムより伝導帯のエネルギーレベルが貴な金属酸化物としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化ルテニウム等が挙げられる。好ましくは酸化錫及び酸化インジウムであり、最も好ましくは酸化錫である。吸着させる方法としては、予め作製したこれらの金属酸化物の微粒子を用いる方法(以下「微粒子吸着法」と記す。)、複合電極とこれら金属酸化物の前駆体を反応させることにより電極表面に酸化物を吸着させる方法(以下「前駆体法」と記す。)等が挙げられる。
【0016】
(A) 微粒子吸着法
微粒子吸着法に用いる酸化物微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径から求めた一次粒子の平均粒径は好ましくは1〜100 nm、より好ましくは3〜50 nmである。また、吸着させる際には、酸化物微粒子を水又は有機溶媒に分散させるが、好ましくは水に分散させ、適宜分散剤(ポリエチレングリコール等)を添加しても良い。吸着させる方法としては、複合電極を微粒子の分散液に浸漬して吸着させる方法(浸漬法)、複合電極を電源に接続した後分散液に浸漬し、かつ印加することにより酸化物微粒子を電着させる方法(電着法)、酸化物微粒子の分散液を複合電極上に塗布して吸着させる方法(塗布法)等が挙げられる。これらの方法により酸化物微粒子を吸着させた後、分散液の溶媒を除去し、複合電極と吸着させた酸化物微粒子の接触を向上させるため焼成するのが好ましい。焼成温度は150〜700℃が好ましく、300〜550℃がより好ましい。焼成時間は5分〜24時間が好ましい。
【0017】
(B) 前駆体法
複合電極に吸着させる金属酸化物の前駆体としては、金属のアルコキシド、ハロゲン化物、金属塩等が好ましく使用できる。吸着させる方法としては、複合電極を前駆体である金属アルコキシド又はハロゲン化物の溶液(例えばアセトニトリル、アルコール溶媒等)に浸漬して吸着させる方法(浸漬法)、複合電極をカソードとして電源に接続したのち金属塩の水溶液に浸漬し、かつ印加することにより金属をメッキする方法(メッキ法)等が挙げられる。前駆体を吸着させた後、微粒子吸着法と同様の条件で焼成することにより金属酸化物を表面に吸着させた複合電極を作製することができる。焼成の好ましい条件は上記の微粒子吸着法と同じである。
【0018】
このようにして金属−金属酸化物電極上に吸着させた金属酸化物の吸着量はX線表面元素分析(XPS)により求めることができる。金属酸化物の吸着量は、複合電極の金属酸化物に対し好ましくは1〜100モル%、より好ましくは5〜50モル%である。
【0019】
[2] 光電変換素子
作製された複合電極は色素増感光電変換素子に好ましく用いることができる。色素増感光電変換素子は好ましくは図1に示すように導電層10、感光層20、電荷輸送層30及び透明対極導電層40aをこの順に積層してなる。本発明では導電層10に複合電極の金属部分を用い、感光層20に複合電極の金属酸化物(吸着させた金属酸化物を含む)部分を用いる。光電変換素子に強度を付与するために、透明対極導電層40aの下地として透明基板50aを設けてもよい。なお、本明細書では対極導電層40及び任意で設ける基板50からなる層を「対極」と呼び、対極は透明であることを要する。このような光電変換素子のうち、電気的仕事(発電)をさせるために外部負荷に接続したものが光電池であり、光学的情報のセンシングを目的に作られたものが光センサーである。光電池の中で、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなるものを光電気化学電池と呼び、また太陽光による発電を主目的とするものを太陽電池と呼ぶ。
【0020】
図1に示す光電変換素子において、色素により増感した金属酸化物を含む感光層20に入射した光は色素等を励起し、励起された色素等中の高エネルギーの電子は金属酸化物の伝導帯に渡され、更に拡散して導電層10に到達する。このとき色素は酸化体となっている。光電池においては、導電層10中の電子が外部回路で仕事をしながら透明対極導電層40a及び電荷輸送層30を経て色素の酸化体に戻り、色素が再生する。感光層20は負極として働き、透明対極導電層40aは正極として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20との境界、感光層20と電荷輸送層30との境界、電荷輸送層30と透明対極導電層40aとの境界等)では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層及び構成について詳細に説明する。
【0021】
(A) 導電層及び感光層
金属−金属酸化物複合電極は適切な増感色素を吸着することにより金属部分が導電層に、金属酸化物部分が感光層になる。感光層おいて色素増感した金属酸化物は感光体として作用し、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生じる。光吸収及びこれによる電子及び正孔の発生は主として色素において起こり、金属酸化物はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。すなわち、金属酸化物は光励起下で伝導体電子によるアノード電流を与えるn型半導体である。
【0022】
(1) 半導体
膜強度を低下させない範囲で複合電極上に半導体微粒子を含有する分散液又はコロイド溶液を塗布しても良い。この場合、塗布された半導体微粒子も色素を担持して感光体として作用する。塗布した半導体微粒子膜の厚さは機械的強度を保つために5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。半導体微粒子はペロブスカイト構造を有する化合物(チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)、TiO、SnO、WO、ZnO、Nb、In等であり、好ましくはZnO、SnO、WO、TiO又はNbであり、最も好ましくはTiOである。半導体微粒子はアナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型のいずれの結晶形を有していてもよい。
【0023】
半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径から求めた一次粒子の平均粒径は好ましくは5〜200 nm、より好ましくは8〜100 nmである。また、分散液中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は好ましくは0.01〜10μmである。
【0024】
好ましい塗布方法の例としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分にできるものとして特公昭58−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許第2681294号明細書、同第2761419号明細書、同第2761791号明細書等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が挙げられる。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては凸版、オフセット及びグラビアの三大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から液粘度やウェット厚さに応じて製膜方法を選択してよい。
【0025】
半導体微粒子を複合電極上に塗布した後、半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに塗膜強度や複合電極との密着性を向上させるために、加熱処理するのが好ましい。加熱処理における加熱温度は好ましくは40〜700℃であり、より好ましくは100〜600℃である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い基板を用いる場合、高温処理は基板の劣化を招くため好ましくない。またコストの観点からもできる限り低温で加熱処理を行うのが好ましい。5nm以下の小さい半導体微粒子や鉱酸等の存在下で加熱処理を行うと、加熱温度の低温化が可能となる。
【0026】
上記加熱処理に代えて加圧処理を行っても良い。加圧処理の方法についてはリンドストロームらによる「ジャーナル・オブ・フォトケミストリー・アンド・フォトバイオロジー(Journal of photochemistry and photobiology)」, 2001年(エルゼビア), 第145巻, p.107−112に詳しく記載されている。加圧処理を行う場合、半導体微粒子塗布液にはポリマー等のバインダーを用いない。
【0027】
加熱処理、又は加圧処理の後、例えば米国特許第5084365号明細書に記載されているような四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0028】
(2) 処理
本発明では、感光層に用いる半導体微粒子を金属化合物の溶液で処理してもよい。金属化合物としては、例えばスカンジウム、イットリウム、ランタノイド、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれる金属のアルコキシド又はハロゲン化物等が使用できる。金属化合物の溶液(処理液)は通常、水溶液又はアルコール溶液である。なお、「処理」とは、半導体微粒子に色素を吸着させる前に、該半導体微粒子と上記処理液をある時間接触させる操作を意味する。接触後に半導体微粒子に上記金属化合物が吸着していても吸着していなくてもよい。処理は上記半導体微粒子層を形成した後に行うのが好ましい。
【0029】
処理の具体的方法としては、半導体微粒子を該処理液に浸漬する方法(浸漬法)が好ましい例として挙げられる。また、処理液をスプレー状に一定時間吹き付ける方法(スプレー法)も適用できる。浸漬法を行う際の処理液の温度(浸漬温度)は特に限定されないが、典型的には−10〜70℃であり、好ましくは0〜40℃である。処理時間も特に限定されず、典型的には1分〜24時間であり、好ましくは30分〜15時間である。浸漬の後、半導体微粒子を蒸留水等の溶媒で洗浄してもよい。また、浸漬処理によって半導体微粒子に付着した物質の結合を強めるために焼成してもよい。焼成の条件は、上述した加熱処理の条件と同様に設定すればよい。
【0030】
(3) 色素
感光層に用いる増感色素は、可視域や近赤外域に吸収特性を有し半導体を増感し得るものであれば特に限定されないが、金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン系色素及びフタロシアニン系色素が好ましく使用でき、中でも金属錯体色素が特に好ましい。フタロシアニン、ナフタロシアニン、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリンやテトラアザポルフィリン等のポルフィリン類、金属ポルフィリン、それらの誘導体等も用いることができる。色素レーザー用に用いられる色素類も本発明において使用できる。また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、且つ変換効率を上げるために、二種類以上の色素を併用することができる。この場合、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように併用する色素とその割合を選ぶことができる。
【0031】
色素は金属酸化物の表面に対して吸着能力の有る適当な結合基(interlockinggroup)を有するのが好ましい。好ましい結合基の例としては、−COOH基、−OH基、−SOH基、−P(O)(OH)基及び−OP(O)(OH)基のような酸性基、並びにオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレート及びα−ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。中でも−COOH基、−P(O)(OH)基及び−OP(O)(OH)基が特に好ましい。これらの結合基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。またポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基としてもよい。以下、感光層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
【0032】
(a) 金属錯体色素
本発明で用いる金属錯体色素の金属原子はルテニウムRuであるのが好ましい。ルテニウム錯体色素の例としては、米国特許第4927721号明細書、同第4684537号明細書、同第5084365号明細書、同第5350644号明細書、同第5463057号明細書、同第5525440号明細書、特開平7−249790号公報、特表平10−504512号公報、国際公開98/50393号パンフレット、特開2000−26487号公報等に記載のものが挙げられる。また、好ましい金属錯体色素の具体例としては、特開2001−320068号公報の段落番号0051〜0057に記載のものが挙げられる。最も典型的な金属錯体色素としては、下記D−1及びD−2が挙げられる。
【0033】
【化1】
Figure 2004124124
【0034】
(b) メチン色素
好ましいメチン色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等のポリメチン色素である。好ましいポリメチン色素の例としては、特開平11−35836号公報、同11−158395号公報、同11−163378号公報、同11−214730号公報、同11−214731号公報、欧州特許第892411号明細書及び同第911841号明細書に記載の色素が挙げられる。これらのポリメチン色素の合成法については、エフ・エム・ハーマー(F. M. Hamer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds − Cyanine Dyes and Related Compounds)」, ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社, ニューヨーク, ロンドン, 1964年、デー・エム・スターマー(D. M. Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds − Specialtopics in Heterocyclic Chemistry)」, ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社, ニューヨーク,ロンドン, 1977年, 第18章, 第14節, p.82〜515、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」, 第2版, エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社, ニューヨーク, 1977年, 第IV巻, part B, 第15章, p.369−422、英国特許第1,077,611号明細書、「Ukrainskii Khimicheskii Zhurnal」, 第40巻, 第3号, p.253−258、「ダイズ・アンド・ピグメンツ(Dyes and Pigments)」, 第21巻, p.227−234、これらの引用文献等に記載されている。
【0035】
(4) 金属酸化物への色素の吸着
金属酸化物に色素を吸着させる際には、色素の溶液中によく乾燥した複合電極を浸漬する方法、又は色素の溶液を複合電極に塗布する方法を用いることができる。前者の方法の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が利用可能である。浸漬法を用いる場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7−249790号公報に記載されているように加熱還流して行ってもよい。後者の方法の場合、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等が利用できる。また、インクジェット法等によって色素を画像状に塗布し、この画像そのものを光電変換素子とすることもできる。複合電極に半導体微粒子層を形成する場合は、形成した半導体微粒子層に上記の方法で色素を吸着させることができる。
【0036】
色素の溶液(吸着液)に用いる溶媒は、好ましくはアルコール類(メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)又はこれらの混合溶媒である。
【0037】
色素の吸着量は、複合電極の単位面積(1m)当たり0.01〜100 mmolとするのが好ましい。また色素の金属酸化物に対する吸着量は、金属酸化物1g当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。このような色素の吸着量とすることにより金属酸化物の増感効果が十分に得られる。色素の吸着量が少なすぎると増感効果が不十分となり、色素の吸着量が多すぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果が低減する。色素の吸着量を増やすためには、吸着前に複合電極を加熱処理するのが好ましい。複合電極表面に水が吸着するのを避けるために、加熱処理後には常温に戻さずに複合電極の温度が60〜150℃の間で素早く色素の吸着を行うのが好ましい。
【0038】
色素間の凝集等の相互作用を低減するために、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を色素吸着液に添加し、金属酸化物に共吸着させてよい。このような無色の化合物の例としては、カルボキシル基やスルホ基を有するステロイド化合物(コール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸等)や、下記のようなスルホン酸塩類等が挙げられる。
【0039】
【化2】
Figure 2004124124
【0040】
未吸着の色素は、吸着工程後、速やかに洗浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中でアセトニトリル、アルコール系溶剤のような有機溶媒等を用いて行うのが好ましい。
【0041】
色素を吸着させた後、アミン類、4級アンモニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を有するウレイド化合物、少なくとも1つのシリル基を有するシリル化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いて複合電極の表面を処理してもよい。好ましいアミン類の例としてはピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級アンモニウム塩の例としてはテトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、液体の場合はそのまま用いてもよい。
【0042】
(B) 電荷輸送層
電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する。本発明で用いる電荷輸送材料は、(i)イオンが関わる電荷輸送材料であっても、(ii)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材料であってもよい。(i)イオンが関わる電荷輸送材料としては、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質組成物、酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸したいわゆるゲル電解質組成物、固体電解質組成物等が挙げられ、(ii)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は複数併用してもよい。本発明では、電荷輸送層に溶融塩電解質組成物又はゲル電解質組成物を用いるのが好ましい。
【0043】
(1) 溶融塩電解質組成物
溶融塩電解質組成物は溶融塩を含む。溶融塩電解質組成物は常温で液体であるのが好ましい。主成分である溶融塩は室温において液状であるか、又は低融点の電解質であり、その一般的な例としては国際公開第95/18456号パンフレット、特開平8−259543号公報、「電気化学」, 1997年, 第65巻, 第11号, p.923等に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等が挙げられる。溶融塩の融点は50℃以下であるのが好ましく、25℃以下であるのが特に好ましい。溶融塩の具体例は特開2001−320068号公報の段落番号0066〜0082に詳しく記載されている。
【0044】
溶融塩は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、LiI、NaI、KI、LiBF、CFCOOLi、CFCOONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を併用することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、組成物全体に対して2質量%以下であるのが好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また、溶融塩電解質組成物に含まれるアニオンの50モル%以上がヨウ化物イオンであることが好ましい。
【0045】
通常、溶融塩電解質組成物はヨウ素を含有する。ヨウ素の含有量は、溶融塩電解質組成物全体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
【0046】
溶融塩電解質組成物の揮発性は低いことが好ましく、溶媒を含まないことが好ましい。溶媒を添加する場合でも、溶媒の添加量は溶融塩電解質組成物全体に対して30質量%以下に留めることが好ましい。溶融塩電解質組成物は後述のようにゲル化して使用してもよい。
【0047】
(2) 電解液
電解液は電解質、溶媒及び添加物から構成されることが好ましい。電解液に用いる電解質の例としては、Iとヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、Brと臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr等の金属臭化物、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合わせ、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等が挙げられる。中でも、IとLiI又はピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物ヨウ素塩を組み合わせた電解質が好ましい。電解質は混合して用いてもよい。
【0048】
電解液中の電解質濃度は好ましくは0.1〜10 Mであり、より好ましくは0.2〜4Mである。また、電解液にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01〜0.5 Mである。
【0049】
電解液に使用する溶媒は、粘度が低くイオン移動度を向上したり、若しくは誘電率が高く有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の非プロトン極性物質、水等が挙げられる。これらの溶媒は混合して用いることもできる。
【0050】
また、「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・セラミック・ソサイエティ(Journal of the American Ceramic Society)」, 1997年, 第80巻, 第12号, p.3157−3171に記載されているようなtert−ブチルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の塩基性化合物を前述の溶融塩電解質組成物や電解液に添加することが好ましい。塩基性化合物を電解液に添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05〜2Mである。溶融塩電解質組成物に添加する場合、塩基性化合物はイオン性基を有することが好ましい。溶融塩電解質組成物全体に対する塩基性化合物の質量比は好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。
【0051】
(3) ゲル電解質組成物
本発明では、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法により、前述の溶融塩電解質組成物や電解液をゲル化(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加によりゲル化する場合は、「ポリマー・エレクトロライト・レビューズ(Polymer Electrolyte Reviews)−1及び2」(J. R. MacCallumとC. A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル及びポリフッ化ビニリデンが好ましく使用できる。オイルゲル化剤添加によりゲル化する場合は「工業科学雑誌(Journal of the Chemical Society ofJapan, Industrial Chemistry Sections)」, 1943年, 第46巻, p.779、「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」, 1989年, 第111巻, p.5542、「ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ, ケミカル・コミュニケーションズ(Journal of the Chemical Society, Chemical Communications)」, 1993年, p.390、「Angewandte Chemie International Edition in English」, 1996年, 第35巻, p.1949、「ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)」, 1996年, p.885、及び「ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ, ケミカル・コミュニケーションズ(Journal of the Chemical Society, Chemical Communications)」, 1997年, p.545に記載されている化合物を使用することができるが、アミド構造を有する化合物を使用するのが好ましい。電解液をゲル化した例は特開平11−185863号公報に、溶融塩電解質をゲル化した例は特開2000−58140号公報にも記載されており、これらも本発明に適用できる。
【0052】
また、ポリマーの架橋反応によりゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマー及び架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、アミノ基、含窒素複素環(ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(ハロゲン化アルキル類、ハロゲン化アラルキル類、スルホン酸エステル類、酸無水物、酸クロライド類、イソシアネート化合物、α,β−不飽和スルホニル化合物、α,β−不飽和カルボニル化合物、α,β−不飽和ニトリル化合物等)である。特開2000−17076号公報及び同2000−86724号公報に記載されている架橋技術も適用できる。
【0053】
(4) 正孔輸送材料
本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質のかわりに、有機固体正孔輸送材料、無機固体正孔輸送材料、或いはこの両者を組み合わせた材料を使用することができる。
【0054】
(a) 有機正孔輸送材料
本発明において好ましく使用できる有機正孔輸送材料の例としては、ジェイ・ハーゲン(J. Hagen)等著, 「シンセティック・メタル(Synthetic Metal)」,1997年, 第89巻, p.215−220、「ネイチャー(Nature)」, 1998年, 第395巻, 第8号 Oct., p583−585、国際公開第97/10617号パンフレット、特開昭59−194393号公報、特開平5−234681号公報、米国特許第4,923,774号明細書、特開平4−308688号公報、米国特許第4,764,625号明細書、特開平3−269084号公報、同4−129271号公報、同4−175395号公報、同4−264189号公報、同4−290851号公報、同4−364153号公報、同5−25473号公報、同5−239455号公報、同5−320634号公報、同6−1972号公報、同7−138562号公報、同7−252474号公報、同11−144773号公報等に記載の芳香族アミン類、特開平11−149821号公報、同11−148067号公報、同11−176489号公報等に記載のトリフェニレン誘導体類等が挙げられる。また、「アドバンスド・マテリアルズ(Advanced Materials)」, 1997年, 第9巻, 第7号, p.557、「Angewandte Chemie International Edition in English」, 1995年, 第34巻, 第3号, p.303−307、「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」, 1998年, 第120巻, 第4号,p.664−672等に記載のオリゴチオフェン化合物、K. Murakoshi, et al., 「ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters)」, 1997年, p.471に記載のポリピロール、NALWA著「ハンドブック・オブ・オーガニック・コンダクティブ・モレキュールズ・アンド・ポリマーズ(Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers)」, 第1,2,3,4巻, WILEY出版に記載のポリアセチレン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレン)及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリトルイジン及びその誘導体等の導電性高分子も好ましく使用することができる。
【0055】
「ネイチャー(Nature)」, 1998年, 第395巻, 第8号 Oct., p.583−585に記載されているように、ドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を正孔輸送材料に添加してもよい。また、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CFSON]のような塩を添加してもよい。
【0056】
(b) 無機正孔輸送材料
無機正孔輸送材料としてはp型無機化合物半導体を用いることができ、そのバンドギャップは好ましくは2eV以上、より好ましくは2.5eV以上である。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは、色素の正孔を還元するためには色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なるが、一般に好ましくは4.5〜5.5 eV、より好ましくは4.7〜5.3 eVである。好ましいp型無機化合物半導体は1価の銅を含む化合物半導体であり、その例としてはCuI、CuSCN、CuInSe、Cu(In,Ga)Se、CuGaSe、Cu2O、CuS、CuGaS、CuInS、CuAlSe等が挙げられる。中でも、CuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。他のp型無機化合物半導体の例としては、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi、MoO、Cr等が挙げられる。
【0057】
(5) 電荷輸送層の形成
電荷輸送層は2通りの方法のいずれかにより形成できる。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法である。もう1つは感光層上に直接電荷輸送層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
【0058】
前者の方法の場合、電荷輸送層を挟み込む際には、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
【0059】
後者の方法において、湿式の電荷輸送層を用いる場合は、通常未乾燥のまま対極を付与しエッジ部の液漏洩防止措置を施す。またゲル電解質組成物を用いる場合には、これを湿式で塗布した後で重合等の方法により固体化してよい。固体化は対極を付与する前に行っても後に行ってもよい。電解液、湿式有機正孔輸送材料、ゲル電解質組成物等からなる電荷輸送層を形成する場合は、前述の半導体微粒子層の形成方法と同様の方法を利用できる。
【0060】
固体電解質組成物や固体正孔輸送材料を用いる場合には、真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷輸送層を形成し、その後対極を付与することもできる。有機正孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等により電極内部に導入することができる。無機固体化合物はキャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解析出法、無電解メッキ法等により電極内部に導入することができる。
【0061】
(C) 対極
対極は導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。本発明では色素増感光電変換素子は対極側から光を照射するので、対極導電層に用いるのは透明性の高い金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズ等)である。これに金属(白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、等を少量併用しても良い。対極に用いる基板は、好ましくはガラス基板又はプラスチック基板であり、これに上記の導電剤を塗布又は蒸着して用いることができる。対極導電層の厚さは光透過率によって制限される。光透過率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。対極導電層の表面抵抗は低い程よく、好ましくは50Ω/□以下、より好ましくは20Ω/□以下である。
【0062】
対極は電荷輸送層上に直接導電剤を塗布、メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基板の導電層側を貼り付けて設置すればよい。対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いても良い。金属リードは白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀等の金属からなるのが好ましく、アルミニウム又は銀からなるのが特に好ましい。透明基板上に金属リードを蒸着、スパッタリング等で設置し、その上にフッ素をドープした酸化スズ、ITO膜等からなる透明対極導電層を設けるのが好ましい。また、透明対極導電層を透明基板に設けた後、透明対極導電層上に金属リードを設置することも好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は、好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0063】
(D) 光電変換素子の内部構造の具体例
上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ様々な形態が可能である。光電変換素子の内部構造を大きく2つに分けると、両面から光の入射が可能な構造と、片面からのみ光の入射が可能な構造とがある。光電変換素子の好ましい内部構造の例を、前述の図1及び図2〜図4に示す。図2に示す構造は、導電層10、感光層20の上に電荷輸送層30、透明対極導電層40aを設け、この上に一部に金属リード11を設けた透明基板50aを金属リード11側を内側にして配置したものである。図3に示す構造は、導電層10の両面に感光層20、電荷輸送層30、及び透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものである。図4に示す構造は、導電層10、感光層20の上に固体の電荷輸送層30を設け、この上に一部対極導電層40又は金属リード11を有するものである。
【0064】
[3] 光電池
本発明の光電池は、上記本発明の光電変換素子に外部負荷で仕事をさせるようにしたものである。光電池のうち、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなる場合を特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
【0065】
光電池の側面は、構成物の劣化や内容物の揮散を防止するためにポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接続する外部回路自体は公知のものでよい。
【0066】
本発明の光電変換素子を太陽電池に適用する場合も、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素子の構造と同じである。また、本発明の光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体型モジュール構造等が知られており、本発明の光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜モジュール構造を選択できる。具体的には、特願平11−8457号、特開2000−268892号公報等に記載の構造や態様とすることが好ましい。
【0067】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0068】
実施例1
(1) TiO微粒子塗布電極(比較用電極A)の作製
内側をテフロン(登録商標)でコーティングしたステンレス製容器にTiO微粒子(日本アエロジル社製、P−25)15 g、水45 g、トリトンX−100(アルドリッチ社製)1g、及び直径0.5 mmのジルコニアビーズ((株)ニッカトー製)30 gを入れ、サンドグラインダーミル((株)アイメックス製)を用いて1500 rpmで2時間分散させた。分散物からジルコニアビーズを濾過し、TiO微粒子塗布液を得た。
【0069】
フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導電性ガラス(日本板硝子(株)製、表面抵抗約10 Ω/cm、長さ100 mm、幅19 mm、厚さ1.1 mm)の導電面側にドクターブレードを用いて上記TiO微粒子塗布液を塗布した。25℃で30分間乾燥した後、電気炉(ヤマト科学(株)製マッフル炉FP−32型)により450℃で30分間焼成し、TiO微粒子塗布電極(比較用電極A)を得た。塗布、焼成前後の質量変化より比較用電極AのTiOの塗布量を求めたところ9g/mであった。
【0070】
(2) 亜鉛−酸化亜鉛複合電極(比較用電極B)の作製
長さ20 mm、幅10 mm、厚さ0.5 mmの亜鉛板(アルドリッチ社製)の長手方向の上端をソースメジャーユニットの+端子に接続し、下から14 mmまでを石英セルの中に入れた0.3 M希シュウ酸中に浸漬した。同じセル中に浸漬した白金ワイヤーをソースメジャーユニットの−端子に接続し、70 Vの電圧で電解酸化した。この条件でさらに3時間電解酸化を続けた。得られた電極を450℃で30分間焼成し、比較用の亜鉛−酸化亜鉛複合電極Bを得た。
【0071】
(3) 複合電極E−1の作製
酸化錫の微粒子(シーアイ化成製)1.5 gを水9mlに添加し、ポリエチレングリコール20000(0.3 g)と少量の硝酸を加え、30分間良く攪拌して酸化錫の分散液(W−1)を作製した。上記(2)と同様の方法で作製した亜鉛−酸化亜鉛複合電極Bを分散液W−1中に40℃で1時間浸漬した後、水で洗浄し、さらに400℃で30分焼成することによって複合電極E−1を得た。
【0072】
(4) 電極の機械的強度の評価
比較用電極Aを10 mm×19 mmの大きさにカットし、塗布面側にマイラーテープ(日東電工(株)製)を貼り、指の腹でよく擦って圧着した。次にこのテープを剥がしたところ、かなりの量のTiOが剥離してテープの粘着面に付着していることが確認された。一方、比較用電極B及び複合電極E−1について同様の実験を行ったところ、テープの粘着面にTiOは全く付着しなかった。このことから、複合電極E−1はTiO微粒子を塗布、焼成した電極よりもTiO層の機械的強度が高いことがわかる。
【0073】
実施例2
(1) 比較用チタン−酸化チタン複合電極Cの作製
長さ20 mm、幅10 mm、厚さ0.25 mmのチタン板(アルドリッチ社製)の長手方向の上端をソースメジャーユニット238型(ケースレー社製)の+端子に接続し、下から14 mmまでを石英セルの中に入れた2M希硫酸中に浸漬した。同じセル中に浸漬した白金ワイヤーをソースメジャーユニットの−端子に接続し、70Vの電圧で電解酸化した。得られた電極を450℃で30分間焼成した後、実施例1(3)に記載の酸化錫の分散液W−1中に40℃で1時間浸漬し、更に水で洗浄後400℃で30分焼成することによって比較用チタン−酸化チタン電極Cを得た。
【0074】
(2) 色素の吸着
焼成直後の電極(比較用電極B、C及び本発明の方法による複合電極E−1)を下記の色素(D−1)0.3ミリモル/リットルを含む溶液(吸着液)に16時間浸漬した。吸着温度を25℃とし、吸着液の溶媒としてはエタノール、t−ブタノール、アセトニトリルを1:1:2(体積比)で混合した溶媒を用いた。色素の染着した比較用電極B、比較用電極C及び複合電極E−1をエタノール、アセトニトリルで順次洗浄し、それぞれ色素増感電極DB、DC及びDE−1を得た。
【0075】
【化3】
Figure 2004124124
【0076】
(3) 対極の作製
フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導電性ガラス(日本板硝子(株)製、表面抵抗約10 Ω/cm)を長さ20 mm、幅12 mmにカットし、JEE−4C型真空蒸着装置(日本電子(株)製)を用いて、導電ガラスの透明性を失わない程度に白金を蒸着した。この白金蒸着導電ガラスの透過率は550 nmの光に対して70%であった。
【0077】
(4) 光電変換素子の作製
図5に示すように、作製した色素増感電極101、ポリエチレンスペーサーフィルム(厚さ:25μm)103、白金蒸着導電ガラス102を重ね、両ガラスの隙間に電解液(ヨウ化1,3−ジメチルイミダゾリウム0.65モル/リットル、ヨウ素0.05モル/リットル、及びt−ブチルピリジン0.1モル/リットルのアセトニトリル溶液)を加えた。あふれ出た過剰の電解液を紙でふき取り、2枚の電極をクリップで固定することにより、表1に示す光電変換素子CB、CC及びCE−1を得た。
【0078】
【表1】
Figure 2004124124
【0079】
(5) 光電変換効率の測定
500 Wのキセノンランプ(ウシオ(株)製)の光を分光フィルター(Oriel社製、AM1.5D)を通すことにより模擬太陽光を発生させた。光の強度は垂直面において87 mW/cmであった。光電変換素子の白金蒸着導電ガラスの端部に銀ペーストを塗布して正極とし、この正極と色素増感電極(負極)を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)に接続した。模擬太陽光を垂直に照射しながら、発生した光電流を測定した。表2に本発明の光電変換素子CE−1と比較用光電変換素子CB及びCCの光電流の値を示す。
【0080】
(6) 色素吸着量の測定
色素増感電極の活性領域(10 mm×10 mm、光電流測定に用いた領域)を0.1N水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し溶出した色素を分光法で定量した。このとき裏面を含むその他の領域は、色素が吸着していても溶出しないように、マイラーテープを貼ってマスクした。
【0081】
【表2】
Figure 2004124124
【0082】
表2の結果から、酸化錫を吸着させていない亜鉛−酸化亜鉛複合比較電極Bを用いた光電変換素子CBでは、全く光電流が得られないのに対し、酸化錫を吸着させた亜鉛−酸化亜鉛複合電極E−1を用いた光電変換素子CE−1は、同様の色素吸着量であるにも拘わらず光電流が得られる。このことは、電極表面に酸化亜鉛よりも伝導体のエネルギーレベルが貴な酸化錫を吸着させることによって、光励起された色素からの電子注入が可能になったためと考えられる。また、複合電極E−1と同様に酸化錫を吸着させたチタン−酸化チタン複合比較電極Cを用いた光電変換素子DCは、本発明の光電変換素子CE−1に比べ得られる光電流が少ない。これは金属チタンの電解酸化による表面粗度が小さいため色素吸着量が少ないことが原因と推定できる。これらのことより、本発明の光電変換素子CE−1は光電流が大きく、優れた光電変換素子であることがわかる。
【0083】
実施例3
複合電極に用いる金属及びその表面に吸着させる金属酸化物を表3に示す金属及び表面吸着酸化物に変えた以外実施例1と同様の方法で複合電極E−2〜5を作製した。得られた電極を実施例2と同様の方法で光電変換素子(CE−2〜CE−5)とし、光電流及び色素吸着量を測定した。CE−2〜CE−5及び対照としてCE−1の測定結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
Figure 2004124124
【0085】
表3から金属亜鉛を電解酸化した後、その表面に酸化錫を吸着させた複合電極を用いた光電変換素子CE−1は光電流の値が大きいことがわかる。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の方法によれば、金属−金属酸化物複合電極の金属酸化物表面に、電極の金属酸化物よりも伝導帯のエネルギーレベルが貴である金属酸化物を吸着させることにより機械的強度が高く表面粗度の大きい、色素増感光電変換素子に適した伝導帯のエネルギーレベルの金属−金属酸化物複合電極が得られる。この金属−金属酸化物複合電極を用いることにより酸化物半導体膜の機械的強度が高く、かつ光電流の大きい色素増感光電変換素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一実施例による光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図2】本発明の好ましい別の実施例による光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図3】本発明の好ましいさらに別の実施例による光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図4】本発明の好ましいさらに別の実施例による光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図5】実施例2で作製した光電変換素子の構成を示す分解図である。
【符号の説明】
10・・・導電層
11・・・金属リード
20・・・感光層
21・・・半導体微粒子
22・・・色素
23・・・電荷輸送材料
30・・・電荷輸送層
40a・・・透明対極導電層
50a・・・透明基板
101・・・色素増感電極
102・・・白金蒸着導電ガラス
103・・・ポリエチレンスペーサーフィルム

Claims (4)

  1. 亜鉛、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた金属、又は亜鉛、アルミニウム及びジルコニウムからなる群から選ばれた金属を含む合金を電解酸化することにより金属酸化物を形成した電極を作製し、前記電極の前記金属酸化物表面に前記金属酸化物よりも伝導帯のエネルギーレベルが貴である金属酸化物を吸着させることを特徴とする金属−金属酸化物複合電極の作製方法。
  2. 請求項1に記載の金属−金属酸化物複合電極の作製方法において、前記電極の表面に吸着させる前記金属酸化物が酸化錫又は酸化インジウムを含むことを特徴とする金属−金属酸化物複合電極の作製方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で作製された金属−金属酸化物複合電極、色素及び電荷輸送材料を含むことを特徴とする色素増感光電変換素子。
  4. 請求項3に記載の色素増感光電変換素子を用いた光電池。
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