JP2006070026A - 光反応性有機薄膜を形成する新規化合物及び有機薄膜形成体 - Google Patents
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Abstract
光応答性を低下させることなく、成膜性に影響する構造部分や表面物性に影響する部位を柔軟に変換でき、比較的低エネルギーの波長光により表面変換が可能で、かつ、再現性良く基板上に有機薄膜を形成できる化合物、及び、基体表面に該化合物を含有する組成物から形成された有機薄膜を有する有機薄膜形成体を提供する。
【解決手段】
下記式(I)で示される化合物、及び、基体表面に、前記式(I)で示される化合物を含む有機薄膜形成用組成物から形成された有機薄膜を有する有機薄膜形成体。
【化1】
〔式中、Xはヘテロ原子を含有する官能基を表す。Rはハロゲン原子で置換された(C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基)等を、nは1〜30の整数を、mは1〜5の整数を、G1は単結合又は炭素数が1〜3の2価の炭化水素基を表し、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、G2は酸素原子等をそれぞれ表す。〕
【選択図】 なし。
Description
(i)特許文献1には、レジスト表面に吸着させたヘキサメチルジシラザン膜へ電子線を選択的に照射して、照射部分を除去し、その後酸素プラズマ処理することで、除去された部分のレジストのみをエッチングできることが記載されている。
(ii)特許文献2には、光触媒とフッ素を含有する複合層への光照射によって、フッ素含有量が低下することを利用したパターン形成体が開示されている。
(iii)特許文献3には、凹凸の有る下地層と撥水性単分子膜の中間に光分解活性層をいれ、光照射で撥水層を選択的に除去し、撥水部と親水部をパターン形成する方法が開示されている。
(iv)特許文献4には、ポルフィリン−銅錯体の単分子膜に、紫外線を含む放射線や、熱によって部分的に分子の配座が変化することを利用したレジストや記憶素子への適用が、開示されている。
(v)特許文献5には、有機分子膜への200nm以上、380nm以下の紫外線照射によって、有機分子膜の照射部を除去できることが記載されている。
(vi)非特許文献5及び特許文献6、7には、2−ニトロベンジルエステル、エーテル及び、カーボネート類と末端シリル基から成る化合物群が、紫外線照射によって接触角を減らすことができる表面修飾剤として有用である旨開示されている。
(vii)特許文献8には、珪素末端のベンジルフェニルスルホン化合物の自己組織化膜において、紫外線照射によって描いたパターン上にアミン系高分子化合物をグラフトできることが記載されている。
(viii)特許文献9〜11には、光触媒作用を有する下地、もしくはマスク剤と有機薄膜層の組み合わせによってパターン形成を行う方法が記載されている。
(ix)特許文献12には、アリール基と珪素−珪素結合を分子内に有する紫外線で分解できる化合物と、その化合物を含む有機膜に308nmの紫外光でパターン形成を行うことが記載されている。
(x)特許文献13には、水素終端したシリコンウェハー上に不飽和結合を有する有機分子の単分子膜を形成し、これを紫外線でパターニングする方法が記載されている。
(xi)特許文献14には、有機単分子膜を電子線ビームリソグラフィでパターニングする方法が記載されている。
かくして本発明の第1によれば、式(I)
Rは、ハロゲン原子で置換された(C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20アルキルチオ基、C2〜C20アシル基、C1〜C20モノアルキルアミノ基又はC2〜C40ジアルキルアミノ基)を表す。
nは1〜30の整数を表し、mは1〜5の整数を表す。mが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよい。
G1は、単結合又は炭素数が1〜3である2価の炭化水素基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
G2は、酸素原子、硫黄原子又はNr1(r1は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)のいずれかを表す。〕で示される化合物が提供される。
1)前記式(I)で表される化合物
本発明の化合物は、前記式(I)で表されるものである。
前記式(I)中、Xは、ヘテロ原子を含む官能基を表す。
本発明において、官能基とは、基体表面、好ましくは金属又は金属酸化物表面と相互作用できる基を意味する。またヘテロ原子とは、周期律表(長周期型)の第13〜17族の炭素原子以外の原子をいい、例えば、ホウ素原子、アルミニウム原子、珪素原子、窒素原子、りん原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
有機溶剤に対する撥液性を発現する上では、前記ハロゲン原子で置換された(C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20アルキルチオ基、C2〜C20アシル基、C1〜C20モノアルキルアミノ基又はC1〜C40ジアルキルアミノ基)中のハロゲン原子数を(N1)、対応する(C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20アルキルチオ基、C2〜C20アシル基、C1〜C20モノアルキルアミノ基及びC1〜C40ジアルキルアミノ基)中の炭素上の置換可能な全結合数を(N2)としたとき、(N1)/(N2)×100(%)の値が、好ましくは20%以上、より好ましくは40%、特に好ましくは60%以上である。
式(A)中、kは、1〜19の整数を表し、lは1〜6の整数を表す。但し、(2k+1)/(2k+1+2l)×100≧20である。G3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、Nr2(r2は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される基、又はカルボニル基を表す。
即ち、CF3(100%)、CF3CH2(60%)、C2F5(100%)、n−C3F7(100%)、i−C3F7(100%)、CF3(CH2)2(43%)、CF3(CH2)3(33%)、C2F5(CH2)2(56%)、C2F5(CH2)6(29%)、n−C3F7(CH2)3(53%)、n−C4F9(CH2)2(69%)、n−C4F9(CH2)3(60%)、n−C6F13(CH2)3(68%)、n−C6F13(CH2)6(52%)、n−C8F17(CH2)2(81%)、n−C8F17(CH2)6(59%)、n−C10F21(CH2)3(78%)、n−C10F21(CH2)6(64%)等のフルオロアルキル基;
G1の具体例としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
芳香族基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、トリフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。これらの中でも、パラフェニレン基、パラビフェニレン基、パラトリフェニレン基又はナフチレン基が好ましい。
G2の具体例としては、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、−NH−、−N(CH3)−、−N(C2H5)−、−N(n−C3H7)−、−N(i−C3H7)−、等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子(−O−)が特に好ましい。
本発明化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。一般的な製造方法を下記に示す。
以下、本発明化合物の製造方法を、上記反応式を参照しながら詳細に説明する。
本発明化合物のうち、前記式(I)において、Xが塩素原子若しくはアルコキシ基を有するシリル基である化合物(I−1)は、以下のようにして製造することができる。
用いる縮合剤としては、アゾジカルボン酸ジエチルエステル等のアゾジカルボン酸エステル類と、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類の組合せが挙げられる。
またヒドロシランの反応に用いる触媒としては、白金、パラジウム、ニッケル、ルテニウム、ロジウム等の遷移金属又はそのハロゲン化物、及びその有機金属錯体が挙げられる。
本発明化合物のうち、前記式(I)中、Xがメルカプト基またはアミノ基である化合物(I−2)は、次のようにして製造することができる。
まず、化合物(4)にα、ω−ジハロアルカンを反応させて化合物(5’)を得る。次いで、(製造法1)と同様にG3側の保護基(Prt)を脱保護し、アルキル化した後、得られた化合物(7’)の末端ハロゲンを、硫黄又は窒素原子と求核置換反応させることにより、目的とする化合物(I−2)を得ることができる。
本発明化合物のうち、前記式(I)中、Xがホスホノ基である化合物(I−3)は、化合物(7’)と亜リン酸トリエステルを反応させ、加水分解させる方法により製造することができる。
本発明化合物のうち、前記式(I)中、Xがジスルフィド基(−S−S−)である化合物は、Xがメルカプト基である化合物を酸化的に二量化させることにより得ることができる。
反応は、−80℃から+200℃の温度範囲で円滑に進行する。
目的物の構造は、NMRスペクトル、マススペクトル、IRスペクトルの測定、元素分析等を行うことにより、確認することができる。
本発明の有機薄膜形成体は、本発明の化合物(以下、「化合物(I)」ということがある。)を含む有機薄膜形成用組成物から形成された有機薄膜を有することを特徴とする。
用いる溶媒としては、化合物(I)に対し不活性であり、化合物(I)を溶解するものであれば特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類:ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゾトリフルオライド、(ノナフルオロブチル)エチルエーテル等のフッ化炭化水素類;クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、THF、1,4−ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;等が挙げられる。
基体表面にディッピングにより有機薄膜を形成させる際の浸漬時間は、特に制限されないが、10秒〜24時間の間で行うのが好ましい。
得られる有機薄膜の厚みは特に制約されないが、通常、0.2〜100nm程度である。
炭酸水素カリウム5.45gのDMF50ml懸濁液中に、4−メルカプトフェノール7.80gを加えた。次いで、この反応液に、4−アセトキシベンジルクロリド10.1gを氷冷下に加え、室温で5時間撹拌した。反応液を水とジエチルエーテルで分液し、有機層を分取した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、濃縮し、目的物14.7gを得た。
4−[(4’−アセトキシフェニル)メタンスルホニル]フェノール9.64g及びトリフェニルホスフィン12.36g、9−デセン−1−オール5.90gをジクロロメタン100mlに溶解させ、ここに、アゾジカルボン酸ジメチルエステルの40%トルエン溶液17.3gを氷冷下に滴下した。滴下終了後、反応液を室温に戻し、室温で16時間撹拌した。反応液を濃縮し、濃縮物をメタノールより再結晶化させることにより、目的物7.62gを得た。
4−(アセトキシ)ベンジル−4−(9−デセニルオキシ)フェニルスルホン2.1gのメタノール30ml溶液に、1規定のNaOH水溶液5mlを加え、室温にて1時間撹拌した。反応混合物を塩酸水にあけ、析出した結晶をろ過し、水でよく洗った後、乾燥させて、脱アセチル化合物を得た。このものと、トリフェニルホスフィン1.65g、6−(パーフルオロブチル)ヘキシルアルコール1.63gのジクロロメタン20mlの懸濁液に、アゾジカルボン酸ジメチル40%トルエン溶液2.30gを滴下した。混合物を5時間室温にて撹拌後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1(体積比))により精製して、目的物1.90gを得た。
実施例2で得た化合物1.90gを窒素雰囲気下、トリエトキシシラン5mlに溶解し、そこに、10%白金/活性炭触媒10mgを加えた。混合物を加熱し、約60℃で、5時間反応させた後、濃縮し、脱水トルエン10mlに溶解させた溶液を、セライトろ過して、活性炭及び触媒を取り除いた後、ろ液を濃縮し、目的のトリエトキシシリル体(第1表中、化合物No.327の化合物)2.5gをアモルファス結晶として得た。
実施例3で得た化合物2.5gを、脱水トルエン5mlに溶解し、シュウ酸ジクロリド2滴を予め加えた脱水メタノール5mlを加え、室温で30分撹拌した。混合物の濃縮、前記処理をさらに2度繰り返し、濃縮乾固し、トリメトキシ体(第1表中、化合物No.326の化合物)2.2gを、アモルファス結晶として得た。
これら実施例に従って合成した化合物の1H−NMRを第2表に示す。
第3表に示す化合物を無水トルエンで希釈して濃度1重量%の溶液を得た。この溶液に、テトライソプロポキシチタンを、第3表に示す化合物に対して1mol%となるように加え、最後に水分量が200ppm以上となるよう、イオン交換水を加え、30分以上、撹拌または静置して、均一なディップ溶液を得た。この溶液に対して、予め400℃加熱で吸着有機分を除去し、オゾン発生装置中で洗浄したソーダライムガラス基板、又は、シリコンウェーハ基板を、60分間浸漬後、基板を引き出し、水−THF(1:4(体積比))の混合液中、超音波洗浄により、多層の吸着分を除去し、60℃、10分間乾燥して有機薄膜を成膜した。
実施例6で得られた、有機薄膜が形成されたソーダライムガラス基板表面に、マイクロシリンジから水5μlを滴下し、60秒後に、接触角測定器(エルマ(株)社製、360S型)を用いて接触角を測定した。該当する基板を、254nmの光(殺菌灯、2mW/cm2)にて照射し、一定時間後、接触角を測定した。同様に、有機薄膜形成基板表面のテトラデカンに対する接触角測定、及び光照射後の接触角の変化を測定した。照射時間による接触角の変化を第3表にまとめた。
Claims (7)
- 式(I)
Rは、ハロゲン原子で置換された(C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20アルキルチオ基、C2〜C20アシル基、C1〜C20モノアルキルアミノ基又はC2〜C40ジアルキルアミノ基)を表す。
nは1〜30の整数を表し、mは1〜5の整数を表す。mが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよい。
G1は、単結合又は炭素数が1〜3である2価の炭化水素基を表す。
Arは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
G2は、酸素原子、硫黄原子又はNr1(r1は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される基を表す。〕で示される化合物。 - 前記ハロゲン原子で置換された(C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20アルキルチオ基、C2〜C20アシル基、C1〜C20モノアルキルアミノ基又はC2〜C40ジアルキルアミノ基)中のハロゲン原子数を(N1)、対応する(C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20アルキルチオ基、C2〜C20アシル基、C1〜C20モノアルキルアミノ基及びC2〜C40ジアルキルアミノ基)中の炭素上の置換可能な全結合数を(N2)としたとき、(N1)/(N2)×100(%)の値が20%以上である請求項1記載の化合物。
- 前記Rが、フッ素原子で置換された(C1〜C20アルキル基、C1〜C20アルコキシ基、C1〜C20アルキルチオ基、C2〜C20アシル基、C1〜C20モノアルキルアミノ基及びC2〜C40ジアルキルアミノ基)である請求項1又は2に記載の化合物。
- 前記Rが、式(A):CkF(2k+1)−(CH2)l−G3−〔式中、kは、1〜19の整数を表し、lは1〜6の整数を表し、G3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、Nr2(r2は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される基、又はカルボニル基を表す。〕で示される基である請求項3に記載の化合物。
- 前記Xが、塩素原子若しくはアルコキシ基を有するシリル基、メルカプト基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アシルチオ基、ジスルフィド基、アミノ基又はホスホノ基である請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
- 前記Arが、パラフェニレン基、パラビフェニレン基、パラトリフェニレン基又はナフチレン基である請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
- 基体表面に、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物を含む有機薄膜形成用組成物から形成された有機薄膜を有することを特徴とする有機薄膜形成体。
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