JP4928075B2 - 有機薄膜表面物性の変換方法 - Google Patents

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本発明は、基板上に形成された、感光性化合物を含む有機薄膜に光照射して、該有機薄膜の表面物性を効率よく変換する方法に関する。
近年、単純なアルキルアルコキシシラン系界面活性剤を光リソグラフィーに応用したり、あるいはアルキルアルコキシシラン系界面活性剤に光反応性を付与したアルコキシシラン系界面活性剤が開発されている。
例えば、非特許文献1には、フェニルトリクロロシランが形成する疎水性単分子膜に、193nm(0.3〜0.4J/cm)、248nm(50J/cm)の紫外線を照射するとケイ素と炭素の間の結合が切断されることで、基板表面が親水化されることが記載されている。また、非特許文献2には、172nmの紫外線にてアルキルシラン薄膜の炭素−炭素結合を切断することでラジカルを形成させ、これが表面有機物を分解することを利用して親水化を行う旨が記載されている。
しかしながら、これらの文献記載の方法によりパターンを形成するためには、照射領域の化学吸着膜を、結合を切断することによって完全に除去しなければならず、そのためには、Xeエキシマーランプ等を使用する遠紫外線を用い、高い露光量で照射しなければならず、高額な照射装置が必要であるという問題があった。
この問題を解決するため、有機薄膜そのものに光反応性を付与した化学吸着膜が、いくつか報告されている。
例えば、
(a)非特許文献3には、クロロメチルフェニルトリメトキシシランから形成された自己組織化単分子膜に193nm及び248nmの紫外線を照射すると脱ハロゲン化水素反応してアルデヒドが形成するため、これを利用してパターンを作製できる旨が記載されている。
(b)特許文献1には、メルカプト基を有する自己組織化単分子膜に対し、193nmで露光してスルホン化することでパターン化できる旨が記載されている。
特許文献2には、ジアゾナフトキノン基を有する自己組織化単分子膜に対し、360nmの紫外線を照射して選択的に表面をインデンカルボン酸基に変化させることでパターン化できる旨が記載されている。
(c)非特許文献4には、アゾイソブチロニトリル構造を有する自己組織化単分子膜に、185nm及び254nmの波長光を照射してラジカルを発生させることにより、ポリマーを選択的にグラフト重合させることでパターン化を行う旨が記載されている。
(d)非特許文献5では、ベンゾフェノン骨格を有する自己組織化単分子膜に対し、340nm以上の波長の光を照射させてラジカルを発生させることにより、ポリマーを選択的にグラフト重合させることでパターン化を行う旨が記載されている。
(e)特許文献3には、アミノ基、水酸基などの光分解性脱保護基であるオルト−ニトロベンジルオキシカルボニル基を有する自己組織化単分子膜に対し、350nm以上の波長で光脱保護することで、選択的に表面をアミノ化する技術が記載されている。
(f)特許文献4では、オルトニトロベンジル基をスルホニル基の光脱保護基として用いた自己組織化単分子膜を設計し、親水−撥水パターニングを行う旨が記載されている。
(g)特許文献5では、ジシランを有する有機薄膜に対し、308nmの紫外線を照射することで選択的にジシランを切断させ、切断部を空気中の水分と反応させて親水化させることでパターン化を行う技術が記載されている。
(h)また特許文献6では、ベンジルスルホニル基を有する有機薄膜に対し、254nmの紫外線を照射することで選択的に表面をスルフィン酸基に変化させてパターン化を行う旨が記載されている。
しかしながら、これらの文献に記載された化学吸着膜は、成膜に長時間を要し、短時間で充分に緻密な単分子膜を形成することが困難であり、また、光に対する反応性が悪く、光反応を充分に進行させるためには、多くの時間と光エネルギーを必要とするものが多い。
従って、より簡便かつ効率よく緻密な単分子膜を形成することができ、より精密なパターンをより効率よく形成することができる新しい技術の開発が要望されている。
本発明に関連して、非特許文献6には、光脱離保護基であるニトロベンジルエステル誘導体からなるSAM膜において、光脱離後の反応性物質を捕捉するためにヒドラジンを含む溶液に浸漬して光照射したが、効果の改善はなかったとの記載がある。
US5391463号公報 特開平6−202343号公報 WO9015070号公報 特開2003−321479号公報 特開2003−162058号公報 特開2003−301059号公報 Science,252,551(1991) 表面化学.,22,364(2001) Langmuir,15,5429(1999) Mater.Sci.Eng.C,C8−C9,291(1999) J.Am.Chem.Soc.,121,3607(1999) Can.J.Chem.,74,2509(1996)
本発明者は、先の特願2004−311046号において、ヘテロ原子を含む官能基を有する感光性化合物を、有機溶媒中、金属水酸化物、金属アルコキシド類、キレート化又は配位化された金属化合物、金属アルコキシド類を水で処理して得られる加水分解生成物、及び酸から選ばれる少なくとも1種、並びに水で処理することで有機薄膜形成用溶液を調製し、この溶液を基材の表面に塗布することにより、不純物が少ない緻密な単分子膜(有機薄膜)を迅速に形成する技術を提案している。
しかしながら、このようにして得られた有機薄膜に光照射すると、有機薄膜中の化合物の一部が変化して脱離した部分が有機薄膜表面部に残存し、光照射による物性変換効率や膜質を低下させる場合があった。そして、このような場合には、光照射した後において、有機薄膜の表面を有機溶媒で洗浄する必要があり、操作が煩雑となっていた。
そこで、本発明はこの問題を解決して、基板上に形成された感光性化合物を含む有機薄膜に光照射して、前記有機薄膜の表面物性を高い効率で変換する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、基板上に形成された、光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を含む有機薄膜に光照射する際、光照射によって脱離する部分に高い親和性を有する有機溶媒中に有機薄膜を浸漬し、該有機溶媒を介して前記有機薄膜に光照射すると、該有機薄膜の表面物性を極めて効率よく変化させることができることを見出した。また、同様に、前記有機薄膜を50〜250℃に加熱しながら光照射することによっても、該有機薄膜の表面物性を極めて効率よく変化させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、基板上に形成された、光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を含む有機薄膜に、(A)有機溶媒を介して光照射するか、又は(B)前記有機薄膜を50〜250℃に加熱しながら光照射する、ことを特徴とする有機薄膜の表面物性の変換方法が提供される。
本発明の変換方法においては、前記有機薄膜が、光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を、有機溶媒中、金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、キレート化又は配位化された金属化合物、金属アルコキシド類を水で処理して得られる加水分解生成物、及び酸から選ばれる少なくとも1種、並びに水で処理することによって得られるものであることが好ましい。
本発明の変換方法においては、前記感光性化合物として、式(I)
Figure 0004928075
〔式中、Xは、ヘテロ原子を含む官能基を表す。
Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子を表す。
nは1〜30の整数を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよく、2つのRが結合して環を形成していてもよい。
G1は、単結合又は炭素数1〜3の2価の飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。
Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
G2は、酸素原子、硫黄原子又はNr(rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される基を表す。〕
で表される化合物を用いることが好ましい。
本発明の変換方法においては、前記有機薄膜が、自己組織化単分子膜又は単分子相当膜厚の有機薄膜であることが好ましい。
本発明によれば、有機薄膜の表面物性の変換を、効率よく簡便に行うことができる。
本発明によれば、電子部品や超微細構造を有する構造体等のパターン形成を効率よく行うことができる。
以下、本発明の有機薄膜の表面物性の変換方法を詳細に説明する。
本発明の有機薄膜の表面物性の変換方法は、基板上に形成された、光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を含む有機薄膜に、(A)有機溶媒を介して光照射する、又は(B)前記有機薄膜を50〜250℃に加熱しながら光照射することを特徴とする。
1)有機薄膜
本発明に用いる有機薄膜は、光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を含む有機薄膜である。
前記感光性化合物は、光照射により脱離する保護基を有する化合物であれば、特に制限されない。本発明のより優れた効果が得られることから、ヘテロ原子を含む官能基を有する感光性化合物を用いるのが好ましく、前記式(I)で表される化合物を用いるのが特に好ましい。
前記式(I)中、式(I−a)
Figure 0004928075
(式中、R、m、G1は、前記と同じ意味を表す。)で表される部分が、光照射により脱離する保護基と考えられる。
前記式(I)中、Xはヘテロ原子を含む官能基を表す。
本発明において、官能基とは、基体表面、好ましくは金属又は金属酸化物表面と相互作用できる基を意味する。またヘテロ原子とは、周期律表(長周期型)の第13〜17族の炭素原子以外の原子をいい、例えば、ホウ素原子、アルミニウム原子、珪素原子、窒素原子、りん原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
前記Xの具体例としては、塩素原子若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基を有し、さらに置換基を有していてもよいシリル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシルチオ基、置換基を有していてもよいジスルフィド基、置換基を有していてもよいアミノ基又は置換基を有していてもよいホスホノ基が好ましい。
塩素原子若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基を有し、さらに置換基を有していてもよいシリル基としては、クロロジヒドロシリル基、クロロジメチルシリル基、クロロジエチルシリル基、クロロジフェニルシリル基、クロロメチルフェニルシリル基、ジクロロヒドロシリル基、ジクロロメチルシリル基、ジクロロエチルシリル基、ジクロロフェニルシリル基、トリクロロシリル基等の塩素原子を有し炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基等の置換基を有していてもよいシリル基;トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシクロロシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジメトキシフェニルシリル基、トリエトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジエトキシクロロシリル基、ジエトキシエチルシリル基、ジエトキシフェニルシリル基、トリプロポキシシリル基、ジプロポキシメチルシリル基、ジプロポキシクロロシリル基、ジプロポキシエチルシリル基等の炭素数1〜4のアルコキシ基を有し炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基等の置換基を有していてもよいシリル基;等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシエチルチオ基、カルボキシエチルチオ基等が挙げられる。
炭素数1〜10のアシルチオ基としては、アセチルチオ基、プロピオニルチオ基、ベンゾイルチオ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルジスルフィド基としては、メチルジスルフィド基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等が挙げられる。
また、置換基を有していてもよいホスホノ基としては、−P(=O)(OH)、−P(=O)(OCH、−P(=O)(OC、−P(=O)(OC、−P(=O)(OC、−P(=O)(OPh)等が挙げられる。
これらの中でも、Xとしては、塩素原子若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基を有し、さらに置換基を有していてもよいシリル基;又は炭素数1〜4のアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよいホスホノ基;が好ましい。
Rは、置換基を有していてもよい(炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、アリール基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜40のジアルキルアミノ基)、又はハロゲン原子を表す。
前記Rの炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基,3−ピリジル基、4−ピリジル基、5−ピリジル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基等が挙げられる。
炭素数2〜40のジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルn−プロピルアミノ基等が挙げられる。
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これら炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、アリール基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基及び炭素数2〜40のジアルキルアミノ基は、任意の位置に置換基を有していてもよく、また、同一若しくは相異なる複数の置換基を有していてもよい。
前記(炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基及び炭素数2〜40のジアルキルアミノ基)の置換基としては、特に制限されないが、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;メトキシカルボニル基等の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜4のアルキルチオ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等の炭素数1〜4のアルキルスルホニル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。
前記アリール基の置換基としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜4のアルキルチオ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等の炭素数1〜4のアルキルスルホニル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、撥液性を発現できる観点から、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のフルオロアルコキシ基、アリール基、及びフッ素原子が好ましい。なお、撥液性とは撥水性、撥油性のことである。
mは0〜5の整数を表し、mが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよい。
mが2以上のとき、2つのRは結合して環を形成してもよい。形成される環としては、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、ベンゾシクロブテン環、インダン環等の縮合環が挙げられる。
また、2つのRが結合して縮合環を形成している場合に、該縮合環は、置換基を有していてもよい。該置換基としては特に制約されないが、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜4のアルキルチオ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等の炭素数1〜4のアルキルスルホニル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよいフェニル基;等が挙げられる。
nは1〜30の整数を表す。
G1は、単結合又は炭素数が1〜3である2価の飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。
G1の具体例としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ビニレン基等が挙げられる。
Arは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
2価の芳香族基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、トリフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。これらの中でも、パラフェニレン基、パラビフェニレン基、パラトリフェニレン基又はナフチレン基が好ましい。
前記2価の芳香族基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基等のアルキル基;メトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。
G2は、酸素原子、硫黄原子又はNrで表される基を表す。rは、水素原子、又はメチル基等の炭素数1〜4のアルキル基を表す。
G2の具体例としては、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、−NH−、−N(CH)−、−N(C)−、−N(n−C)−、−N(i−C)−等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子(−O−)が好ましい。
前記式(I)で表される化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。
Figure 0004928075
(式中、R、G1、Ar、n、m及びXは前記と同じ意味を表す。Halはハロゲン原子を表し、G’はO、Nrを表し、Qは、水素原子、又は塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;等の置換基を表す。)
(製造法1)Xがシリル基である化合物(1−1)の製造
先ず、芳香族化合物(2)に対し、1〜2当量の塩基存在下、該当する置換基Rを有する化合物(3)を反応させて、スルフィド化合物(4)を得る。次に、得られたスルフィド化合物(4)を、適当な酸化剤によって酸化して、対応するスルホン体(5)を得る。次いで、得られたスルホン体(5)と、末端がオレフィンであるアルキルハライド又はアルコールとを、塩基又は縮合剤の存在下に反応させることにより、オレフィン体(6)を得る。 さらに、得られたオレフィン体(6)を、適当な触媒存在下にヒドロシランと反応させて、Xがシリル基(X=SiQ)で表される化合物(1−1)を得ることができる。
上記反応で用いることができる塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の三級アミン類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド類;水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物類;炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類;等が挙げられる。
用いる酸化剤としては、過酸化水素、過酢酸、m−クロロ過安息香酸等の過酸化物類が挙げられる。
用いる縮合剤としては、アゾジカルボン酸ジエチルエステル等のアゾジカルボン酸エステル類と、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類の組合せが挙げられる。
また、ヒドロシランの反応に用いる触媒としては、白金、パラジウム、ニッケル、ルテニウム、ロジウム等の遷移金属又はそのハロゲン化物、及びその有機金属錯体が挙げられる。
(製造法2)Xがホスホノ基である化合物(1−2)の製造
Xがホスホノ基(X=P(=O)(OQ))である化合物(1−2)は、化合物(6)に亜リン酸ジエステル(HO−P(OQ))を適当な触媒存在下に反応させ、次いで、加水分解することによって得ることができる。亜リン酸ジエステルの反応に用いる触媒としては、白金、パラジウム、ニッケル、ルテニウム、ロジウム等の遷移金属又はそのハロゲン化物、及びその有機金属錯体が挙げられる。
また、Xがホスホノ基である化合物(1−2)は、後述する化合物(7)と亜リン酸トリエステル(P(OQ))を反応させ、加水分解させる方法によっても製造することができる。
(製造法3)Xがメルカプト基、炭素数1〜4のアルキルチオ基又はアミノ基である化合物(1−3)の製造
Xがメルカプト基(X=SH)、炭素数1〜4のアルキルチオ基(X=SQ)またはアミノ基(X=NH)である化合物(1−3)は、化合物(5)に、α,ω−ジハロアルカンを反応させて化合部(7)を得、得られた化合物(7)の末端ハロゲンを、硫黄又は窒素原子と求核置換反応させることにより得ることができる。
(製造法4)Xがジスルフィド基である化合物(1−3)の製造
Xがジスルフィド基(X=SS−)である化合物(1−3)は、Xがメルカプト基である化合物を酸化的に二量化させることにより得ることができる。
(製造法5)n=0である化合物の製造
前記式(I)において、nが0である化合物(1)は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの一方の水酸基のみをアルキル化し、残りの水酸基を、末端がオレフィンもしくはハロゲン原子のアルキル化剤を反応させて得た化合物に、上記製造法1〜4のXを導入する方法を適用することで、製造することができる。
(製造法6)G2がSである化合物の製造
前記式(I)において、G2がSである化合物(1)は、前記化合物(5)を公知の方法により硫黄化し、その後、前記製造法1〜5と同様にして得ることができる。
上記製造法1〜6において、反応に用いることができる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に制約されない。例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトニトリル等のニトリル類;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;及びこれらの2種以上の組合せが挙げられる。また、水−有機溶媒の二相系を用いることもできる。反応は、−80℃から+200℃の間で円滑に進行する。
いずれの反応においても、反応終了後は有機合成化学における通常の後処理操作、分離・精製を行うことにより、目的物を単離することができる。目的物の構造は、NMRスペクトル、マススペクトル、IRスペクトルの測定;元素分析;等により、確認することができる。
本発明に用いる有機薄膜は、有機薄膜形成用組成物を用いて形成することができる。
有機薄膜形成用組成物は、光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を、有機溶媒中、金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、キレート化又は配位化された金属化合物、金属アルコキシド類を水で処理して得られる加水分解生成物、及び酸から選ばれる少なくとも1種、並びに水で処理することにより調製することができる。
前記金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、キレート化若しくは配位化された金属化合物、金属アルコキシド類を水で処理して得られた加水分解生成物、の金属としては特に制限されない。均一な膜厚で緻密な有機薄膜を容易に形成できることから、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、パラジウム、白金、ニッケル及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、チタン、ジルコニウム、アルミニウム又はケイ素であるのがより好ましく、チタンが特に好ましい。
前記金属としては、特に制限されないが、周期律表第10族の金属が好ましく、パラジウム、白金が特に好ましい。
前記金属酸化物としては、特に制限されないが、好ましい具体例として、酸化パラジウム(IV)、酸化白金(IV)が挙げられる。
前記金属塩としては、特に制限されず、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。より具体的には、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、塩化白金(II)、硝酸ニッケル(II)、硝酸パラジウム(II)、硫酸ニッケル(II)、硫酸パラジウム(II)、臭化白金(II)、酢酸ニッケル(II)、酢酸パラジウム(II)、酢酸白金(II)、シュウ酸パラジウム(II)等が挙げられる。
前記金属水酸化物としては、金属の水酸化物であれば、どのような製造方法で得られたものであってもよい。金属水酸化物の製造方法としては、後述する金属アルコキシド類を加水分解する方法、金属塩を金属水酸化物と反応させる方法等が挙げられる。また、金属水酸化物として市販されているものを、所望により精製して使用することもできる。
金属水酸化物の種類は特に限定されないが、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物が好ましい。金属水酸化物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属水酸化物の製造に用いる金属アルコキシド類としては、後述する金属アルコキシド類の加水分解生成物の製造に用いることができるものと同様のものが挙げられる。また、ここで用いる金属塩としては特に制限されず、例えば、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。
前記金属アルコキシド類としては、特に限定されないが、透明性に優れる有機薄膜を得ることができること等の理由から、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の、金属アルコキシドが好ましい。
金属アルコキシド類の具体例としては、Si(OCH、Si(OC、Si(OC−i)、Si(OC−t)等のケイ素アルコキシド;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC−i)、Ti(OC等のチタンアルコキシド;Ti[OSi(CH、Ti[OSi(C等のテトラキストリアルキルシロキシチタン;Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC等のジルコニウムアルコキシド;Al(OCH、Al(OC、Al(OC−i)、Al(OC等のアルミニウムアルコキシド;Ge(OC等のゲルマニウムアルコキシド;In(OCH、In(OC、In(OC−i)、In(OC等のインジウムアルコキシド;Sn(OCH、Sn(OC、Sn(OC−i)、Sn(OC等のスズアルコキシド;Ta(OCH、Ta(OC、Ta(OC−i)、Ta(OC等のタンタルアルコキシド;W(OCH、W(OC、W(OC−i)、W(OC等のタングステンアルコキシド;Zn(OC等の亜鉛アルコキシド;Pb(OC、Pb(OC−i)等の鉛アルコキシド;等が挙げられる。
これらの金属アルコキシド類は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また本発明においては、金属アルコキシド類として、2種以上の金属アルコキシド類の反応により得られる複合アルコキシド、1種もしくは2種以上の金属アルコキシド類と、1種もしくは2種以上の金属塩との反応により得られる複合アルコキシド、及びこれらの組み合わせを用いることもできる。
2種以上の金属アルコキシド類の反応により得られる複合アルコキシドとしては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシドと、遷移金属のアルコキシドとの反応により得られる複合アルコキシドや、第3B族元素の組合せにより錯塩の形で得られる複合アルコキシド等を例示することができる。
その具体例としては、BaTi(OR)、SrTi(OR)、BaZr(OR)、SrZr(OR)、LiNb(OR)、LiTa(OR)、及び、これらの組合せ、LiVO(OR)、MgAl(OR)、(RO)SiOAl(OR’)、(RO)SiOTi(OR’)、(RO)SiOZr(OR’)、(RO)SiOB(OR’)、(RO)SiONb(OR’)、(RO)SiOTa(OR’)等のケイ素アルコキシドと、前記金属アルコキシド類との反応物及びその縮重合物等が挙げられる。ここで、R及びR’は、アルキル基を表す。
1種もしくは2種以上の金属アルコキシド類と1種もしくは2種以上の金属塩との反応により得られる複合アルコキシドとしては、金属塩と金属アルコキシド類との反応により得られる化合物を例示することができる。ここで用いる金属塩としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩等を、金属アルコキシド類としては、上述した金属アルコキシド類と同様のものをそれぞれ例示することができる。
前記キレート化又は配位化された金属化合物は、金属化合物の溶液に、該金属化合物の金属と錯体を形成し得るキレート化剤又は配位化合物を添加することにより調製することができる。キレート化又は配位化された金属化合物を用いる場合には、再現性よく、所望の物性を有する有機薄膜を形成することができる。
前記キレート化又は配位化された金属化合物の調製に用いる金属化合物としては、金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、及び/又は金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類を水で処理して得られた加水分解生成物を使用することができる。
前記キレート化剤又は配位化合物としては、前記金属化合物の金属にキレート化又は配位して、錯体を形成し得るものであれば特に限定されない。
キレート化剤又は配位化合物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族カルボン酸類;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アレイン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;安息香酸、トルイル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲノカルボン酸類;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のβ−ケトエステル類;テトラヒドロフラン、フラン、フランカルボン酸、チオフェン、チオフェンカルボン酸、ピリジン、ニコチン酸、イソニコチン酸等の複素環化合物類;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン化合物;等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
キレート化剤又は配位化合物の添加量は、金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、又は金属アルコキシド類を水で処理して得られた加水分解生成物の金属1モルに対して、0.1〜10倍モル、好ましくは0.3〜2倍モル、より好ましくは0.5〜1.2倍モルである。
キレート化剤又は配位化合物を添加した後は、全容を十分に撹拌することで、金属錯体の溶液を得ることができる。撹拌温度は、通常0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲である。撹拌時間は、通常数分から数時間である。
キレート化又は配位化された金属化合物は、単離したものを使用することもできるし、前記金属化合物の溶液にキレート化剤又は配位化合物を添加して得られたキレート化又は配位化された金属化合物の溶液として使用することもできる。また、調製したキレート化又は配位化された金属化合物の溶液は保存しておくことができ、A成分である感光性化合物及び水と混合することで、有機薄膜形成用溶液を得ることができる。
前記金属アルコキシド類を水で処理して得られる加水分解生成物としては、金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類の2倍当量以上の水で加水分解することによって得られたものであっても、金属アルコキシド類を該金属アルコキシド類の2倍当量未満の水で部分加水分解することによって得られたものでもよい。また、金属アルコキシド類の部分加水分解生成物を得た後、この部分加水分解生成物を、さらに所定量の水(先の部分加水分解に使用した水の量との合計で金属アルコキシド類の2倍当量以上となる量の水)で加水分解することによって得られたものであってもよい。
金属アルコキシド類と水との反応は、有機溶媒中、金属アルコキシド類と水とを混合して行うこともできるし、有機溶媒を用いずに、直接金属アルコキシド類と水とを混合して行うこともできる。
有機溶媒中で金属アルコキシド類と水とを反応させる方法としては、(i)金属アルコキシド類の有機溶媒溶液に、水又は有機溶媒で希釈した水を添加する方法、(ii)水が懸濁または溶解した有機溶媒中に、金属アルコキシド類、または金属アルコキシド類の有機溶媒溶液を添加する方法等が挙げられる。水を金属アルコキシド類の2倍当量以上用いる場合は、(ii)の方法が好ましく、水を金属アルコキシド類の2倍当量未満用いる場合は、(i)の方法が好ましい。この場合、金属アルコキシド類の有機溶媒中の濃度は、急激な発熱を抑制し、撹拌が可能な流動性を有する範囲であれば特に限定されないが、5〜30重量%の範囲が好ましい。
用いる有機溶媒としては、その有機溶媒中で、金属アルコキシド類の加水分解生成物が、分散質となって分散できるものであるのが好ましく、金属界面活性剤を水で処理する反応を低温で行う上では、水の溶解度が大きく、低温で凝固しない溶媒がより好ましい。
用いる有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン(特開平9−208438号公報等)等;が挙げられる。
これらの溶媒は1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。混合溶媒として用いる場合には、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒と、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ル、t−ブタノール等の低級アルコール溶媒系の組み合わせが好ましい。この場合の低級アルコール系溶媒としては、イソプロパノ−ル、t−ブタノール等の2級以上のアルコール系溶媒を用いるのがより好ましい。混合溶媒の混合比は特に制限されないが、炭化水素系溶媒と低級アルコール系溶媒を、体積比で、99/1〜50/50の範囲で用いるのが好ましい。
用いる水は、中性であれば特に制限されないが、不純物が少なく、緻密な有機薄膜を得る観点から、純水、蒸留水又はイオン交換水を用いるのが好ましい。
水の使用量は、前記金属アルコキシド類に対し2倍当量以上用いる場合は、2.0〜8倍当量が好ましく、3〜5倍当量がより好ましい。前記金属アルコキシド類に対し2倍当量未満用いる場合は、0.5〜2.0倍当量が好ましい。
金属アルコキシド類の加水分解反応温度は、用いる金属アルコキシド類の反応性や安定性等によるが、通常−100℃から有機溶媒還流温度範囲である。
金属アルコキシド類に対して0.5から1.0倍当量未満の水を反応させる場合、その反応温度は特に制限されず、通常−100〜+100℃、好ましくは、−20℃から、用いる有機溶媒又は加水分解によって遊離するアルコールの沸点の範囲である。
金属アルコキシド類に対して1.0倍当量以上の水を反応させる場合、その反応温度は、通常−100〜−20℃、好ましくは、−100〜−50℃である。この場合、先ず、1.0倍当量未満の水を任意の温度で反応させた後、−20℃以下の温度でさらに水を添加して反応させてもよい。また、低温で水を添加し、一定時間熟成した後、反応液の温度を室温から用いた溶媒の還流温度まで昇温してさらに反応を行うこともできる。
また、金属アルコキシド類の水による加水分解反応においては、酸、塩基又は分散安定化剤を添加してもよい。酸及び塩基は、凝結してできた沈殿を再び分散させる解膠剤として、また、金属アルコキシド類を加水分解、脱水縮合させてコロイド粒子等の分散質を製造するための触媒として、及び生成した分散質の分散剤として機能するものであれば特に制限されない。
ここで用いる酸としては、例えば、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等の鉱酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等の光照射によって酸を発生する光酸発生剤;が挙げられる。
塩基としては、例えば、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、アンモニア、ジメチルホルムアミド、ホスフィン等が挙げられる。
分散安定化剤は、分散質を分散媒中に安定に分散させる効力を有する、解膠剤、保護コロイド、界面活性剤等の凝結防止剤等の剤をいう。例えば、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の多価カルボン酸;ヒドロキシカルボン酸;ピロ燐酸、トリポリ燐酸等の燐酸;アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチル−ヘキサン−2,4−ジオン等の金属原子に対して強いキレート能力を有する多座配位子化合物;スルパース3000、9000、17000、20000、24000(以上、ゼネカ社製)、Disperbyk−161、−162、−163、−164(以上、ビックケミー社製)等の脂肪族アミン系、ハイドロステアリン酸系、ポリエステルアミン;ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリシロキシアルキレン)シロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーン等(特開平9−208438号公報、特開平2000−53421号公報等)のシリコーン化合物;等が挙げられる。
上記のようにして得られる加水分解生成物は、有機溶媒中、金属アルコキシド類を完全に加水分解した金属水酸化物になったものでもよいし、完全に加水分解しないでオリゴマーの状態で存在している部分加水分解性成物であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
具体的には、有機溶媒中で凝集せずに安定に分散している性質を有する分散質となっている。この場合、分散質とは、分散系中に分散している微細粒子のことをいい、具体的には、コロイド粒子等を例示することができる。
ここで、凝集せずに安定に分散している状態とは、有機溶媒中、加水分解生成物の分散質が、凝結して不均質に分離していない状態を表し、好ましくは透明で均質な状態を表す。また、透明とは、可視光における透過率が高い状態をいい、具体的には、分散質の濃度を酸化物換算で0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対象試料を有機溶媒とし、光の波長を550nmとする条件で測定した分光透過率で表して、好ましくは80〜100%の透過率を表す状態をいう。
加水分解生成物の分散質の粒子径は特に限定されないが、可視光における高い透過率を得るためには、通常1〜300nm、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nm、特に好ましくは1〜10nmの範囲である。
前記酸としては、特に制限されないが、pKa値(酸解離定数の逆数の対数値)が1〜6である、有機酸又は無機酸を用いるのが好ましい。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、4−クロロ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の芳香族カルボン酸;モノクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン原子で置換された脂肪族カルボン酸;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等の芳香族基で置換された脂肪族カルボン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸;等が挙げられる。
無機酸としては、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、塩化白金酸等が挙げられる。これらの中でも、感光性化合物の官能基を活性化する力に優れ、取り扱いが容易であることから、pKa値が1〜6の有機酸がより好ましく、pKa値が2〜5の有機酸が特に好ましい。
酸解離定数Kaは、ガラス電極、金属電極、金属アマルガム電極、酸化還元電極、イオン選択性電極等のさまざまな電極を用いる、ポテンショメトリーにより精度よく測定することができる。本発明において、酸解離定数Kaは、水溶液中(水に溶解しないものは、水と適当な有機溶媒との混合溶媒、又は適当な有機溶媒中)のpH値を測定することにより求めることができる。pKa値は、測定条件により、±0.3程度相違する場合がある。なお、種々の有機酸の酸解離定数Ka又はpKa値は、A.E.Martell,R.M.Smith,Critical Stability Constants,Vol.1,2,3,5,Plenum Press(1974,1975,1977,1982)等に記載されている。
本発明においては、前記酸に代えて、シラノール縮合触媒等を使用することもできる。
シラノール縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、及びチタン酸エステルキレート等が挙げられる。具体例としては、酢酸第一スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチルスズビスオクチルチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレート、チタンテトラエトキサイド、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイド、チタンビス(アセチルアセトニル)ジプロポキシサイド等が挙げられる。
光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を、有機溶媒中、金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、キレート化又は配位化された金属化合物、金属アルコキシド類を水で処理して得られる加水分解生成物、及び酸から選ばれる少なくとも1種(以下、これらをまとめて「b成分」ということがある)、並びに水で処理する方法としては、具体的には、(i)感光性化合物、及びb成分の有機溶媒溶液に水を添加する方法、(ii)感光性化合物と水の有機溶媒溶液に、b成分を添加する方法等が挙げられる。
また、急激な反応を抑えるためには、(i)の方法において添加する水、(ii)の方法において添加するb成分は、有機溶媒等で希釈したものであるのが好ましい。
前記有機薄膜形成用溶液の調製に用いる有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒及びシリコーン系溶媒が好ましく、炭化水素系溶媒及びフッ化炭素系溶媒がより好ましく、沸点が100〜250℃の炭化水素系溶媒及びフッ化炭素系溶媒が特に好ましい。
具体的には、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン等の炭化水素系溶媒;CBrClCF、CClFCFCCl、CClFCFCHFCl、CFCFCHCl、CFCBrFCBrF、CClFCClFCFCCl、Cl(CFCFCl)Cl、Cl(CFCFCl)CFCCl、Cl(CFCFCl)Cl等フロン系溶媒、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等のシリコーン系溶媒;ベンゾトリフルオライド、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等のフッ化炭素系溶媒;が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機薄膜形成用溶液中の感光性化合物の含有量は、特に制限されないが、緻密な単分子膜を製造するためには、0.1〜30重量%の範囲が好ましい。
有機薄膜形成用溶液の調製に用いるb成分の量は、b成分が、金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、キレート化又は配位化された金属化合物、金属アルコキシド類を水で処理して得られた加水分解生成物である場合、形成する単分子の有機薄膜の物性に影響を与えない量であれば特に制限されないが、感光性化合物1モルに対して酸化物換算モル数で、通常0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜1モル、より好ましくは0.001〜0.2モルである。
また、前記b成分が、酸である場合、感光性化合物1モルに対して、通常0.0001〜100モル、好ましくは0.001〜100モル、より好ましくは0.001〜10モルである。このような範囲でb成分を使用することで、不純物のない緻密な単分子膜である有機薄膜を迅速に形成することができる。
有機薄膜形成用溶液の調製に用いる水の量は、用いる感光性化合物、b成分、塗布する基材等の種類に応じて適宜決定することができる。水の使用量があまり多いと、感光性化合物が互いに縮合し、基体表面への化学吸着が阻害されたり、単分子膜とならないので好ましくない。
前記感光性化合物、有機溶媒、b成分、及び水の混合物を撹拌することで、有機薄膜形成用溶液を得ることができる。撹拌温度は、通常−100℃〜+100℃、好ましくは−20℃〜+50℃である。撹拌時間は、通常、数分から数時間である。
また、この場合においては、均一な有機薄膜形成用溶液を得るために、超音波処理を施すことも好ましい。
調製した有機薄膜形成用溶液中に、金属酸化物等を含む析出物が生じる場合があるが、これらの析出物等の不純物は、不純物のない緻密な単分子の有機薄膜を得るためには、ここで除去しておくのが好ましい。析出物は、濾過、デカント等の操作で簡便に除去することができる。
有機薄膜は、上記のようにして得られた有機薄膜形成用溶液を、基材の表面に接触させることにより形成することができる。
基材の形状は特に限定されないが、フィルム状、シート状又は板状が好ましい。
用いる基材としては、表面に活性水素を有する基材が好ましい。基材材料としては、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属;セラミックス;ガラス;プラスチック;紙;天然繊維又は合成繊維;皮革;その他親水性物質;等が挙げられる。
表面に活性水素を持たない基材の場合には、予め基材の表面を酸素を含むプラズマ雰囲気中で処理(例えば100Wで20分)したり、コロナ処理して親水性基を導入することも好ましい。導入する親水性基としては、水酸基(−OH)が好ましいが、活性水素を有する−COOH、−CHO、=NH、−NH等の官能基等であってもよい。
また、基材の表面に、予めSiCl、SiHCl、SiHCl、Cl−(SiClO)c−SiCl(式中、cは0又は自然数を表す。)から選ばれる少なくとも一つの化合物を接触させた後、脱塩化水素反応させることにより、表面に活性水素を有するシリカ下地層を形成しておくこともできる。
前記有機薄膜形成用溶液を基材表面に接触する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、ディップ法、スピンコート法、スプレー法、ローラコート法、メイヤバー法、スクリーン印刷法、刷毛塗り法等が挙げられ、これらの中でも、均一な膜質を有する自己組織化単分子膜又は単分子相当膜を簡便に形成できることから、ディップ法が好ましい。
有機薄膜形成用溶液を基材表面に接触する温度は、有機薄膜形成用溶液が安定性を保てる温度範囲であれば、特に制限されない。通常、室温から溶液の調製に用いる溶媒の還流温度までの範囲で行うことができる。接触に好適な温度とするには、有機薄膜形成用溶液を加熱するか、基材そのものを加熱すればよい。
有機薄膜形成用溶液中における水分量は、基体表面への化学吸着が阻害される;緻密な単分子膜が製造できない;有効に用いることのできる感光性化合物の量を損失する;又は触媒が失活する;等の問題を生じない範囲以下の量が好ましい。さらに、ディップ法により該溶液を基材に接触させる場合には、接触時間を10分間以内、好ましくは5分間以内で緻密で均質な有機薄膜を1度にしかも該溶液が接触した基材前面に形成させるために、基材表面、又は膜の形成を促進活性化させるのに十分な水分量以上が好ましい。
水分量は、具体的には50ppm以上が好ましく、また、50ppmから有機溶媒への飽和水分量の範囲、より具体的には、50〜1000ppmの範囲が好ましく、250〜800ppmの範囲がより好ましい。50ppm以上では、迅速に有機薄膜の形成が行え、1000ppmより少ない場合には、感光性化合物等が失活するという問題が少ない。
なお、ここで示す水分量は、該有機薄膜形成用溶液の一部を採取してカールフィッシャー法で測定した値を示し、その方法原理を用いた装置で測定した値であれば、測定装置については特に限定されない。尚、有機薄膜形成用溶液が均一である場合には、均一な溶液を一部採取して測定し、有機溶媒と水分層が2層となっている場合には、有機溶媒層より一部採取して測定し、有機溶媒中に水分層が分散し分離不可能な状態である場合には、その分散液をそのまま採取して測定した値を示す。
また、膜形成を促進するために超音波を用いることもできる。基材表面に接触する工程は、1度に長い時間行っても、短時間の塗布を数回に分けて行ってもよい。
有機薄膜形成用溶液を基材表面に接触した後、膜表面に付着した余分な試剤、不純物等を除去するために、洗浄工程を設けることもできる。洗浄工程を設けることにより、より有機薄膜の膜厚を精密に制御することができる。
洗浄方法は、表面の付着物を除去できる方法であれば、特に制限されない。具体的には、(ア)用いた感光性化合物を溶解し得る溶媒中に基材を浸漬させる方法;(イ)真空中または、常圧下で大気中に放置して蒸発させる方法;(ウ)乾燥窒素ガス等の不活性ガスを吹き付けて吹き飛ばす方法;等が挙げられる。前記(ア)の方法においては、基材を浸漬させた後、さらに超音波処理を施すことが、良好な有機薄膜を得る上で好ましい。
有機薄膜形成用溶液を基材上に接触又は洗浄した後は、基材表面上に形成された膜を安定化させるために、基材を加熱するのが好ましい。加熱する温度は、基材、形成された有機薄膜の安定性等によって適宜選択することができる。
有機薄膜形成用溶液を基材上に塗布すると、該溶液中の感光性化合物が基材表面に吸着され、薄膜が形成される。感光性化合物が基材表面に吸着される機構の詳細は明らかではないが、表面に活性水素を有する基材の場合には次のように考えることができる。すなわち、有機薄膜形成用溶液中においては、感光性化合物の官能基が水により加水分解された状態となっている。そして、この状態の感光性化合物が基材表面の活性水素と反応して、基材と強固な化学結合を形成してなる薄膜が形成される。この薄膜は、基材の活性水素と反応して形成されるものであって、単分子膜となる。
以上のようにして、不純物の少ない緻密な有機薄膜を形成することができる。得られる有機薄膜は、好ましくは自己組織化単分子膜又は単分子相当膜厚の有機薄膜である。
ここで、自己組織化単分子膜とは、基板表面上に自発的に形成される化学結合を介して機能分子が配列・固定されてなる単分子膜をいい、単分子相当膜厚の有機薄膜とは、単分子膜とほとんど大差ない膜厚を有する有機薄膜をいう。
本発明の有機薄膜の表面物性の変換方法は、上記のようにして形成された基板上の有機薄膜に、(A)有機溶媒を介して光照射する、又は(B)前記有機薄膜を、50〜250℃に加熱しながら光照射する、ものである。
このようにして光照射することにより、有機薄膜を単に光照射する場合と比して、より効率よく、かつ確実に有機薄膜の表面物性を変換させることができる。
(A)有機溶媒を介して光照射する方法
有機溶媒を介して光照射する方法としては、有機薄膜表面上に有機溶媒の層を設け、この有機用溶媒の層の上部から光照射する方法であれば特に制限されない。例えば、有機溶媒中に前記有機薄膜が形成された基板を浸漬し、該有機溶媒の液面上部から前記有機薄膜を光照射する方法が挙げられる。この方法によれば、光照射により脱離した保護基が、前記有機溶媒に速やかに溶解・除去されると考えられるため、光照射による脱離反応の効率が向上し、より顕著な表面物性の変化を得ることができる。
パターン形成に用いる場合は、フォトマスクと有機薄膜の間を有機溶媒で満たして光照射行うこともできる。
用いる有機溶媒としては、照射光を吸収せず、有機薄膜に影響を与えないものであれば特に制約されないが、光照射により、感光性化合物から脱離する保護基と高い親和性を有する有機溶媒の使用が好ましい。
有機溶媒の好ましい具体例としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、シクロヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール、2−エトキシエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、カルビトール等のアルコール系有機溶媒;等が挙げられる。
また、前記有機薄膜表面上に設ける有機溶媒の層の厚みは特に制限されず、照射光が充分に有機薄膜表面に到達でき、かつ、光照射により脱離した保護基を速やかに溶解・除去するために十分な有機溶媒量が確保される厚みであればよい。
(B)有機薄膜を加熱しながら光照射する方法
有機薄膜を加熱しながら光照射する方法としては、所定温度に加熱した有機薄膜に光照射するものであれば、特に制限されない。具体的には、前記有機薄膜が形成された基板をホットプレート上に載置し、所定温度に加熱しながら該有機薄膜に光照射する方法や、高い放射熱を発生する光源のもとで光照射する方法等が挙げられる。これらの方法によれば、光照射により脱離した保護基が、速やかに加熱除去されると考えられるため、光照射による脱離反応の効率が向上し、より顕著な表面物性の変化を得ることができる。
有機薄膜を加熱する温度は、50〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは130〜170℃である。加熱する温度が50℃未満では、本発明の効果を得ることができず、250℃以上に加熱すると、基板が熱により変形したり、有機薄膜が熱により分解あるいは変性するおそれがある。
照射する光としては、光照射により、感光性化合物の保護基を脱離させるものであれば特に制限されないが、紫外線が好ましく、波長350nm以下の光が好ましく、波長220〜310nmの光が特に好ましい。
紫外線を照射する場合、用いる光源としては、紫外線を照射することができるものであれば特に制限されないが、254nmの紫外光を照射できる殺菌灯、又は200nm以下の波長の光をフィルターによりカットした低圧水銀灯の使用が特に好ましい。また、照射光量は、好ましくは40J/cm以下、より好ましくは5J/cm以下である。照射時間は、通常、数秒から数十分である。
光照射を行うと、有機薄膜の表面物性が変換する。具体的には、紫外線が照射されると、有機薄膜の照射部位のみの感光性化合物の構造が変化し、その一部(保護基)が脱離して、撥液性から親液性へと変化する。
この変化は、例えば、光照射前後の有機薄膜表面のテトラデカンや水に対する接触角を測定することにより確認することができる。接触角は、接触角測定器を用いて測定することができる。
本発明の方法は、電気デバイス等の電子部品や超微細構造を有する構造体のパターンの形成に好ましく応用することができる。
すなわち、本発明の変換方法を利用することにより、有機薄膜が形成された基板の有機薄膜側に、所望のパターンを有し、紫外光を遮断するマスクを配置して紫外光を照射することで、パターン形成を行うことができる。
このパターン形成方法は、従来のフォトリソグラフィープロセスと同様、種々の薄膜プロセスに応用できる。例えば、金属膜、セラミック膜、有機材料膜等のパターン形成や、パターン形成されたこれらの膜の形成に応用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、下記の実施例により何ら限定されるものではない。
(製造例1)有機薄膜の形成
(1)有機薄膜形成用溶液の調製
下記式(II)
Figure 0004928075
で表される化合物に、イオン交換水8mgを加えたトルエン24.8gを加え、固形分濃度1重量%の溶液を得た。この溶液に、チタンテトライソプロプキシドを、式(II)で表される化合物に対し1mol%混合し、全容を30分間攪拌することで、有機薄膜形成用溶液(SO−1)を調製した。
(2)有機薄膜の形成
ソーダライムガラス基板を用意し、それぞれを洗剤とともに超音波洗浄した後、イオン交換水、エタノールで順次洗浄後、60℃で乾燥し、オゾン発生装置中でさらに洗浄した。
このようにして得られたソーダライムガラス基板の18枚を、上記有機薄膜形成用溶液(SO−1)中に1時間浸漬後、基板を引き出し、THF−水(4:1)中で1分間超音波洗浄し、60℃、30分間乾燥して、有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板を得た。
(製造例2)有機薄膜の形成
前記式(II)で表される化合物に代えて、下記式(III)
Figure 0004928075
で表される化合物を用いた他は、製造例1と同様にして、有機薄膜(SAM−2)付ガラス基板を12枚得た。
なお、以下の実験は、各実施例及び比較例毎にそれぞれ3枚の有機薄膜(SAM−1、2)付ガラス基板を用いて行った。
参考例1、2、実施例1、比較例1〜3)
製造例1で作製した有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板の有機薄膜表面に、マイクロシリンジからテトラデカン2μlを滴下し、60秒後に、接触角測定器(エルマ(株)社製、360S型)を用いて有機薄膜表面の接触角をそれぞれ測定した。SAM−1のテトラデカンに対する接触角は、50〜54°の値を示した。
次に、下記に示す操作を行い、60秒経過後、有機薄膜表面の接触角を上記と同様に測定した。なお、光照射には、殺菌灯(254nmの光、2mW/cm)を用いた。
参考例1:室温下、有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板をn−ヘキサン中にそれぞれ浸漬し(有機薄膜表面から、n−ヘキサンの液面までの深さは5mm)、n−ヘキサンの液面上部から光照射を行った。
参考例2:室温下、有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板を2−エトキシエタノール中にそれぞれ浸漬し(有機薄膜表面から、2−エトキシエタノールの液面までの深さは5mm)、2−エトキシエタノールの液面上部から光照射を行った。
実施例1:表面温度150℃のホットプレート上に、有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板をそれぞれ載置し、充分に基板を加熱した後、光照射を行った。
比較例1:室温下、大気雰囲気中で、有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板への光照射をそれぞれ行った。
比較例2:室温下、大気雰囲気中で光照射した後、有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板をn−ヘキサン中にそれぞれ浸漬し、超音波照射を1分行った。
比較例3:表面温度150℃のホットプレート上に有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板を光基板をそれぞれ載置し、254nm波長光を遮るシャーレをかぶせて、光照射を行った。
参考例1、2、実施例1、及び比較例1〜3について、SAM−1への光照射1分後のテトラデカン接触角変化量(3枚の平均値)を第1表に示す。
Figure 0004928075
第1表より、有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板をn−ヘキサン又は2−エトキシエタノールに浸漬した状態で、有機溶媒の液面上部から光照射を行う(参考例1,2)、又は有機薄膜(SAM−1)付ガラス基板を150℃に加熱した状態で光照射を行う(実施例1)と、テトラデカンの接触角の変化量は比較例1〜3に比して大きくなることが分かった。
参考例3,4、比較例4、5)
製造例2で作製した有機薄膜(SAM−2)付ガラス基板の有機薄膜表面に、マイクロシリンジから水2μlを滴下し、60秒後に、接触角測定器(エルマ(株)社製、360S型)を用いて有機薄膜表面の接触角をそれぞれ測定した。SAM−2の水に対する接触角は98〜100°の値を示した。
次に、下記に示す操作を行い、10分経過後、有機薄膜表面の接触角を上記と同様に測定した。なお、光照射には、殺菌灯(254nmの光、2mW/cm)を用いた。
参考例3:参考例1と同様
参考例4:参考例2と同様
比較例4:比較例1と同様
比較例5:比較例2と同様
参考例3、4、及び比較例4、5について、SAM−2への光照射10分後の水接触角変化量(3枚の平均値)を第2表に示す。
Figure 0004928075
第2表より、有機薄膜(SAM−2)付ガラス基板をn−ヘキサン又は2−エトキシエタノールに浸漬した状態で、有機溶媒の液面上部から光照射を行う(参考例3、4)と、水の接触角の変化量は比較例4、5に比して大きくなることが分かった。

Claims (4)

  1. 基板上に形成された、光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を、有機溶媒中、金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、キレート化又は配位化された金属化合物、金属アルコキシド類を水で処理して得られる加水分解生成物、及び酸から選ばれる少なくとも1種、並びに水で処理することによって得られる有機薄膜形成用組成物を用いて形成されたものであって、自己組織化単分子膜又は単分子相当膜厚の有機薄膜に、該有機薄膜を50〜200℃に加熱しながら光照射することを特徴とする有機薄膜の表面物性の変換方法。
  2. 前記感光性化合物として、式(I)
    Figure 0004928075
    〔式中、Xは、ヘテロ原子を含む官能基を表す。
    Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表す。
    nは1〜30の整数を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよく、2つのRが結合して環を形成していてもよい。
    G1は、単結合又は炭素数1〜3の2価の飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。
    Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
    G2は、酸素原子、硫黄原子又はNr(rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される基を表す。〕
    で表される化合物を用いることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜の表面物性の変換方法。
  3. 前記有機薄膜が、光照射により脱離する保護基を有する感光性化合物を、有機溶媒中、金属、金属酸化物、金属塩、金属水酸化物、金属アルコキシド類、キレート化又は配位化された金属化合物、金属アルコキシド類を水で処理して得られる加水分解生成物、及び酸から選ばれる少なくとも1種、並びに水で処理することによって得られる有機薄膜形成用組成物を、ディップ法により、基板の表面に接触させることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機薄膜の表面物性の変換方法。
  4. 光照射されることにより、前記有機薄膜の照射部位のみの感光性化合物の保護基が脱離して、前記有機薄膜の照射部位表面が撥液性から親液性へ変化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜の表面物性の変換方法。
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