JP4746032B2 - チタン酸化物粒子の分散液、チタン酸化物薄膜、有機機能膜形成用溶液、有機機能膜形成基体及びその製造方法 - Google Patents

チタン酸化物粒子の分散液、チタン酸化物薄膜、有機機能膜形成用溶液、有機機能膜形成基体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、チタンキレート化合物を含む有機溶媒溶液に大過剰の水を添加することによって得られるチタン酸化物粒子の分散液及びその製造方法、この分散液から形成されるチタン酸化物薄膜、前記分散液に加水分解性基を有する金属化合物の溶液を添加して得られる有機機能膜形成用溶液、並びにこの溶液を用いて得られる有機機能膜形成基体及びその製造方法に関する。
本願は、2005年2月15日に日本に出願された特願2005−037616号及び2005年9月21日に日本に出願された特願2005−273905号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、ガラス、金属、プラスチック、セラミックス等からなる基体の表面を目的に応じて改質することが様々な分野で行われている。例えば、ガラスやプラスチックの表面に撥水性や撥油性を付与するために、含フッ素シラン系カップリング剤を用いてコーティング膜を形成するものが挙げられる。
基体表面を改質するためのコーティング膜の形成方法としては、例えば、特許文献1には、少なくともアルコキシシラン系界面活性剤、活性水素を含まない非水系溶媒及びシラノール縮合触媒を含む混合溶液を前記基体表面に接触させて、シロキサン結合を介して共有結合した化学吸着膜を形成する方法が提案されている。そこでは、シラノール縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類から選ばれる少なくとも一つの物質が例示されている。
しかしながら、この方法は成膜に長時間を要するものである。また、シラノール縮合触媒等が溶液中に残存したまま成膜を行なうと、それらの触媒が吸着を阻害し、緻密な単分子膜が生成できないという問題があった。
従って、特に電気デバイス等の設計における微細なパターニング等の分野においては、不純物の少ない緻密な単分子膜を迅速に形成する技術の開発が要望されていた。
本発明に関連して、特許文献2には、アセチルアセトナート化合物が、水及び有機溶媒からなる混合溶媒中に均一に溶解又は分散してなることを特徴とする透明セラミックス被膜形成用組成物が記載されている。この文献に記載された技術は、ガラス、プラスチック等の基材表面に、耐久性、耐擦傷性が高く、屈折率や誘電率を自由にコントロールでき、しかも低温で透明なセラミックス被膜を硬化できる透明セラミックス被膜形成用組成物である。
また、特許文献3には、(a)一般式:RSi(OR(Rは炭素数1〜8の有機基を、Rは炭素数1〜5のアルキル基等を表す。)で表されるオルガノシラン、(b)一般式:(RSi(OR(R、Rは前記と同じ意味を表す。)で表されるオルガノシラン、(c)一般式:Zr(OR、Ti(OR、及びAl(OR(Rは炭素数2〜5のアルキル基を表す。)の群から選ばれた少なくとも一種の金属アルコラート、該金属アルコラートとβ−ジケトン類及び/又はβ−ケトエステル類の反応で得られるキレート化合物、並びに該キレート化合物を水と反応させて得られる部分的加水分解物から選ばれた少なくとも一種、(d)親水性有機溶媒、及び(e)水を混合し、上記(a)成分と(b)成分とを共縮合させてなることを特徴とするコーティング用組成物が記載されている。この文献に記載された技術は、金属やプラスチック製品の表面に、耐水性、耐薬品性、耐クラック性、耐候性および密着性に優れた塗膜を形成するためのコーティング用組成物である。
非特許文献1には、Ti(OPrをアセチルアセトン(acacH)で処理した後、エタノールで希釈することにより、Ti(OPr(acac)/PrOH/EtOH=1/1/3の組成を有する溶液が得られること、この溶液は安定な光感応性コロイド溶液であること、及び溶液に含まれるコロイドの粒子径は30〜60Åであるとの記載がある。
また、非特許文献2には、Ti(OPrの溶液にアセチルアセトン等のキレート剤を添加して、Ti(OPr4−x(L)で表される化合物を含む溶液を得、さらにこの溶液に、チタン原子に対して2当量の水を添加することにより酸化チタン微粒子の分散液を得る方法が記載されている。
しかしながら、上記特許文献2、3及び非特許文献1、2には、水を大過剰(チタン原子に対して5倍モル以上)添加することで、チタン酸化物薄膜の形成等に適したチタン酸化物粒子の分散液が得られる旨の記載はない。
特開平8−337654号公報 特開平2−048403号公報 特許第22924081号公報 Mat.Res.Symp.Proc.,Vol.121,P317−322,1988年 Bull.Korean.Chem.Soc.,Vol.20,No.12,1999年
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、不純物の少ない緻密な有機薄膜を迅速に形成でき、かつチタン酸化物薄膜形成材料となり得るチタン酸化物粒子の分散液及びその製造方法、この分散液から形成されるチタン酸化物薄膜、前記分散液に加水分解性基を有する金属化合物の溶液を添加して得られる有機機能膜形成用溶液、並びにこの溶液を用いて得られる有機機能膜形成基体及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、チタンアルコキシドの(部分)加水分解生成物を含む有機溶媒溶液を用いて、基体表面にコーティング膜を形成する方法について鋭意検討した。その結果、チタンキレート化合物を含む有機溶媒溶液に、該チタンキレート化合物に対して大過剰の水を添加すると、粒子径が1〜20nmであるチタン酸化物の微粒子が均一に分散してなる分散液が得られること、及びこの分散液を基体表面上に塗布し、乾燥すると、不純物が少ない緻密なチタン酸化物薄膜を迅速かつ簡便に形成することができることを見出した。
また、本発明者らは、前記分散液を加水分解性基を有する金属化合物の溶液と所定割合で混合することにより、光リソグラフィー法等に適用可能な有機機能膜を迅速に形成できる有機機能膜形成用溶液を得ることができること、及びこの溶液を使用して、基体上に有機機能膜を簡便かつ効率よく形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、以下の[1]〜[10]のチタン酸化物粒子の分散液、チタン酸化物薄膜、有機機能膜形成用溶液、及び有機機能膜形成基体を提供することができる。
[1]チタン原子に、加水分解性基とキレート配位子とが結合してなるチタンキレート化合物と、該チタンキレート化合物に対して5倍モル以上の水とを混合して得られるチタン酸化物粒子の分散液であって、該チタン酸化物の含有量が、分散液全体に対して酸化チタン換算濃度で0.1〜10重量%であり、
前記チタン酸化物粒子が、平均粒子径が1〜20nmの粒子であり、
前記チタンキレート化合物が、式(I)
式中、Xはキレート配位子を表し、Rは置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、n1は2であり、Rは同一であっても相異なっていてもよく、Xは同一であっても相異なっていてもよいで表される化合物であり、
前記分散液が、製造後室温にて3ヶ月経過後において、分散質の濃度を酸化物換算で0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対照試料を有機溶媒とし、光の波長を550nmとする条件で測定した分光透過率で表して、80〜100%の透過率を表すことを特徴とするチタン酸化物粒子の分散液。
[2]前記チタン酸化物の含有量が、分散液全体に対して酸化チタン換算濃度で0.1〜5重量%であることを特徴とする[1]の分散液。
[3]前記加水分解性基が、置換基を有していてもよいアルコキシ基であることを特徴とする[1]又は[2]の分散液。
[4][1]〜[3]のいずれかの分散液を、基体の表面に接触させて形成したことを特徴とするチタン酸化物薄膜。
[5]炭素含有率が10%以下であることを特徴とする[4]のチタン酸化物薄膜。
[6]加水分解性基または水酸基を有する金属化合物に、[1]〜[3]のいずれかの分散液を含有することを特徴とする有機機能膜形成用溶液。
[7]前記分散液に含まれるチタン化合物1モルに対して、前記金属化合物を2倍モル以上用いることを特徴とする[6]の有機機能膜形成用溶液。
[8]前記金属化合物の金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする[6]又は[7]の有機機能膜形成用溶液。
[9]前記金属化合物の加水分解性基が、置換基を有していてもよいアルコキシ基であることを特徴とする[6]〜[8]のいずれかに記載の有機機能膜形成用溶液。
[10]基体表面に、[6]〜[9]のいずれかに記載の有機機能膜形成用溶液を接触させて形成された有機薄膜を有することを特徴とする有機機能膜形成基体。
また、本発明によれば、(1)〜(11)のようなチタン酸化物粒子の分散液、(12)〜(13)のような分散液の製造方法、(14)〜(26)のようなチタン酸化物薄膜、(27)〜(40)のような有機機能膜形成用溶液、(41)〜(52)のような有機機能膜形成基体を提供することもできる。
(1)チタン原子に、加水分解性基または水酸基とキレート配位子とが結合してなるチタンキレート化合物と、該チタンキレート化合物に対して5倍モル以上の水とを混合して得られるチタン酸化物粒子の分散液であって、該チタン酸化物の含有量が、分散液全体に対して酸化チタン換算濃度で0.1〜10重量%であることを特徴とするチタン酸化物粒子の分散液。
(2)前記チタン酸化物粒子が、平均粒子径が1〜20nmの範囲の微粒子であることを特徴とする(1)の分散液。
(3)前記チタン酸化物の含有量が、分散液全体に対して酸化チタン換算濃度で0.1〜5重量%であることを特徴とする(1)又は(2)の分散液。
(4)前記チタン酸化物粒子が両親媒性であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかの分散液。
(5)前記混合する水の量が、前記チタンキレート化合物に対して10倍モル以上であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかの分散液。
(6)前記加水分解性基が、置換基を有していてもよいアルコキシル基であることを特徴とする(1)〜(5)いずれかの分散液。
(7)前記チタンキレート化合物が、式(I)
〔式中、Xはキレート配位子を表し、Rは置換基を有していてもよいアルコキシル基を表し、n1は1〜3の整数を表し、n1が2以上のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよく、(4−n1)が2以上のとき、Xは同一であっても相異なっていてもよい。〕で表される化合物であることを特徴とする(1)〜(6)いずれかの分散液。
(8)チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液に、所定量のキレート化合物を添加して得られる溶液と、前記チタンアルコキシド化合物に対して5倍モル以上の水とを混合して得られるチタン酸化物粒子の分散液。
(9)前記混合する水の量が、前記チタンアルコキシド化合物に対して10倍モル以上であることを特徴とする(8)の分散液。
(10)前記有機溶媒が、水混和性溶媒であることを特徴とする(8)又は(9)の分散液。
(11)前記水混和性溶媒が、アルコール類を含有する溶媒であることを特徴とする(10)の分散液。
本発明の第2によれば、下記(12)、(13)の分散液の製造方法が提供される。
(12)チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液に、所定量のキレート化合物を添加し、さらに前記チタンアルコキシド化合物に対して5倍モル以上の水を添加することを特徴とする(1)〜(11)いずれかの分散液の製造方法。
(13)水の添加量が、前記チタンアルコキシド化合物に対して10倍モル以上であることを特徴とする(12)の製造方法。
本発明の第3によれば、下記(14)〜(26)のチタン酸化物薄膜が提供される。
(14)前記(1)〜(11)いずれかの分散液を、基体の表面に接触させて形成したことを特徴とするチタン酸化物薄膜。
(15)膜厚が500nm以下の薄膜であることを特徴とする(14)のチタン酸化物薄膜。
(16)前記基体が、プラスチックからなることを特徴とする(14)又は(15)のチタン酸化物薄膜。
(17)光照射することにより、薄膜に接触した有機物を分解及び/又は除去できるものであることを特徴とする(14)〜(16)いずれかのチタン酸化物薄膜。
(18)前記薄膜に接触した有機物が単分子膜であることを特徴とする(17)のチタン酸化物薄膜。
(19)前記単分子膜がケイ素化合物の単分子膜であることを特徴とする(18)のチタン酸化物薄膜。
(20)光照射することにより、水の接触角が20°以下の親水性膜となることを特徴とする(14)〜(19)いずれかのチタン酸化物薄膜。
(21)光照射に用いる照射光が、紫外線であることを特徴とする(17)〜(20)いずれかのチタン酸化物薄膜。
(22)光照射する照射光が、波長250〜350nmの紫外線であることを特徴とする(21)のチタン酸化物薄膜。
(23)照射光の照射光量が、40J/cm以下であることを特徴とする(17)〜(22)いずれかのチタン酸化物薄膜。
(24)有機物を含有する薄膜であることを特徴とする(14)〜(23)いずれかのチタン酸化物薄膜。
(25)炭素元素の含有率が2〜40%の薄膜であることを特徴とする(14)〜(24)いずれかのチタン酸化物薄膜。
(26)平均表面粗さRaが1nm以下の薄膜であることを特徴とする(14)〜(25)いずれかのチタン酸化物薄膜。
本発明の第4によれば、下記(27)〜(40)の有機機能膜形成用溶液が提供される。
(27)加水分解性基または水酸基を有する金属化合物に、前記(1)〜(11)いずれかの分散液を含有することを特徴とする有機機能膜形成用溶液。
(28)前記分散液に含まれるチタン化合物1モルに対して、前記金属化合物を2倍モル以上用いることを特徴とする(27)の有機機能膜形成用溶液。
(29)加水分解性基または水酸基を有する金属化合物の有機溶媒溶液に、加水分解性基または水酸基及びキレート配位子を有するチタンキレート化合物を含む溶液と、前記チタンキレート化合物及び金属化合物の総モル数に対して5倍モル以上の水とを混合して得られる有機機能膜形成用溶液。
(30)前記混合する水の量が、前記チタンキレート化合物及び金属化合物の総モル数に対して10倍モル以上であることを特徴とする(29)の有機機能膜形成用溶液。
(31)前記チタンキレート化合物の加水分解性基が、置換基を有していてもよいアルコキシル基であることを特徴とする(29)又は(30)の有機機能膜形成用溶液。
(32)前記チタンキレート化合物1モルに対して、金属化合物を2倍モル以上用いることを特徴とする(29)〜(31)いずれかの有機機能膜形成用溶液。
(33)前記チタンキレート化合物及び金属化合物の総含有量が、金属酸化物換算で0.1〜10重量%であることを特徴とする(29)〜(32)いずれかの有機機能膜形成用溶液。
(34)チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液に、キレート化合物、及び加水分解性基を有する金属化合物の所定量をそれぞれ添加して得られる溶液と、前記チタンアルコキシド化合物及び金属化合物の総モル数に対して5倍モル以上の水とを混合して得られる有機機能膜形成用溶液。
(35)前記混合する水の量が、前記チタンアルコキシド化合物及び金属化合物の総モル数に対して10倍モル以上であることを特徴とする(34)の有機機能膜形成用溶液。
(36)前記金属化合物の金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(27)〜(35)いずれかの有機機能膜形成用溶液。
(37)前記金属化合物の加水分解性基が、置換基を有していてもよいアルコキシル基であることを特徴とする(27)〜(36)いずれかの有機機能膜形成用溶液。
(38)前記金属化合物が、式(II)
〔式中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭化水素基又は連結基を含むハロゲン化炭化水素基を表し、Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属原子を表し、Rは置換基を有していてもよいアルコキシル基を表し、mはMの原子価を表す。n2は0から(m−1)の整数を表し、n2が2以上のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよく、(m−1)が2以上のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよい。〕で表される化合物であることを特徴とする(27)〜(37)いずれかの有機機能膜形成用溶液。
(39)前記有機溶媒が、水混和性溶媒であることを特徴とする(27)〜(38)いずれかの有機機能膜形成用溶液。
(40)前記有機溶媒が、アルコール類を含有する溶媒であることを特徴とする(39)の有機機能膜形成用溶液。
本発明の第5によれば、下記(41)〜(52)の有機機能膜形成基体が提供される。
(41)基体表面に、前記(27)〜(40)いずれかに記載の有機機能膜形成用溶液を接触させて形成された有機薄膜を有することを特徴とする有機機能膜形成基体。
(42)前記基体が、前記(1)〜(11)いずれかの分散液から形成されたチタン酸化物薄膜を有することを特徴とする(41)の有機機能膜形成基体。
(43)前記基体が、金属、セラミックス、ガラス及びプラスチックからなる群から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする(41)又は(42)の有機機能膜形成基体。
(44)前記基体が、プラスチックからなることを特徴とする(41)〜(43)いずれかの有機機能膜形成基体。
(45)前記有機機能膜が、光照射されることにより、有機機能膜に接触する有機物を分解及び/又は除去できるものであることを特徴とする(41)〜(44)いずれかの有機機能膜形成基体。
(46)前記有機機能膜が、光照射されることにより、水の接触角が20°以下の親水性膜となる薄膜であることを特徴とする(41)〜(45)いずれかの有機機能膜形成基体。
(47)光照射に用いる照射光が、紫外線であることを特徴とする(45)又は(46)の有機機能膜形成基体。
(48)光照射する照射光が、波長250〜350nmの紫外線であることを特徴とする(47)の有機機能膜形成基体。
(49)照射光の照射光量が、40J/cm以下であることを特徴とする(47)又は(48)の有機機能膜形成基体。
(50)前記有機機能膜が、有機物を含有する薄膜であることを特徴とする(41)〜(49)いずれかの有機機能膜形成基体。
(51)前記有機機能膜が、炭素元素の含有率が2〜40%の薄膜であることを特徴とする(41)〜(50)いずれかの有機機能膜形成基体。
(52)前記有機機能膜が、膜厚が500nm以下の薄膜であることを特徴とする(41)〜(51)いずれかの有機機能膜形成基体。
本発明の第6によれば、下記(53)の有機機能膜形成基体の製造方法が提供される。
(53)前記(14)〜(26)いずれかのチタン酸化物薄膜が表面に形成されたチタン酸化物薄膜形成基体を、前記(27)〜(40)いずれかの有機機能膜形成用溶液と接触させることにより、前記チタン酸化物薄膜上に有機機能膜を形成することを特徴とする前記(41)〜(52)いずれかの有機機能膜形成基体の製造方法。
本発明のチタン酸化物粒子の分散液は、平均粒子径がナノメートルオーダーであるチタン酸化物の微粒子が、水系溶媒中で安定に分散してなるものである。本発明の分散液は安定であり、室温で3ヶ月保存後であっても、ほとんど変化しないものである。
本発明の分散液によれば、不純物が少ない繊密な単分子膜であるチタン酸化物薄膜を迅速かつ簡便に形成できる。また、本発明のチタン酸化物粒子の分散液は、本発明の有機機能膜形成用材料としても有用である。
本発明の有機機能膜形成用溶液によれば、光リソグラフィー法等に適用可能な有機機能膜を基体上に迅速かつ簡便に形成することができる。
本発明の有機機能膜形成基体は、有機機能膜が基体上に形成されたものであり、光リソグラフィー法に好適に用いることができる。
A−3溶液に含まれるチタン酸化物粒子の粒子径分布を示す図である。 A−3溶液を室温で真空乾燥して得られた粉末のTG−DTA分析結果を示す図である。 A−3溶液のゼーター電位測定結果を示す図である。 A−3溶液をコートする前後での走査型プローブ顕微鏡による観察図である。(a)がA−3をコートする前のポリエステル基板の表面図であり、(b)がA−3溶液から形成した薄膜の表面図である。 A−1溶液を用いて形成した薄膜(C−1)の元素の分布のXPS分析結果を示す図である。 A−4溶液を用いて形成した薄膜(C−8)の元素の分布のXPS分析結果を示す図である。 H−1溶液を用いて形成した薄膜(CH−1)の元素の分布のXPS分析結果を示す図である。 H−2溶液を用いて形成した薄膜(CH−2)の元素の分布のXPS分析結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1)チタン酸化物粒子の分散液
本発明の第1は、チタン原子に、加水分解性基とキレート配位子とが結合してなるチタンキレート化合物と、該チタンキレート化合物に対して大過剰の水とを混合して得られるチタン酸化物粒子の分散液である。
本発明に用いるチタンキレート化合物は、チタン原子に、加水分解性基及びキレート配位子が結合してなるチタン化合物であれば、特に制限されない。
中心金属原子であるチタン原子の原子価は、通常2〜4価、好ましくは4価である。
加水分解性基としては、水と反応して分解する基であれば特に制限されない。具体的には、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ハロゲン原子、イソシアネート基、シアノ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
前記アルコキシル基、アシルオキシ基の置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミド基、イミド基、エステル基、水酸基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらの中でも、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基、ハロゲン原子又はイソシアネート基が好ましく、置換基を有していてもよいアルコキシル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルコキシル基が特に好ましい。
キレート配位子としては、金属と結合してキレートを形成し得る配位子であれば特に制限されず、中性配位子でも陰イオンでも構わない。少なくとも一箇所で金属原子に結合していればよく、単座配位子であっても、多座配位子であってもよい。また、例えば、2座配位子であっても2座で一つの金属原子に結合していなくてもよい。
キレート配位子の具体例としては、以下のものが挙げられる。ただし、キレート配位子となり得るキレート化合物として例示する。
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のβ−ケトエステル類;エチレングリコール等のグリコール類;オキシ酢酸等のグリコール酸類;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びそのナトリウム塩、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、トリ(ピリジニルメチル)アミン等の含窒素化合物;
フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、フェナントロリン、ジフェナントロリン、置換フェナントロリン、2,2’:6’,2”−ターピリジン、ピリジンイミン、架橋脂肪族ジアミン、4−4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、O,S,Se,Teの配位したビピリジン、アルキルイミノピリジン、アルキルビピリジニルアミン、アルキル置換トリピリジン、ジ(アルキルアミノ)アルキルピリジン、エチレンジアミンジピリジン、その他の複素環化合物;
2−メルカプトエタノール等のメルカプトアルコール類;エタンジチオール等のジチオール類;2−メルカプトエチルアミン等のメルカプトアミン類;2,4−ペンタンジチオン等のジチオケトン類;等の硫黄含有化合物等が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
チタンキレート化合物の好ましい具体例としては、前記式(I)で示される化合物の1種又は2種以上が挙げられる。
式(I)中、Rは置換基を有していてもよいアルコキシル基を表し、Xはキレート配位子を表す。Rの具体例としては、前記加水分解性基の置換基を有していてもよいアルコキシル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、Xの具体例としては、前記キレート配位子として例示したものと同様のものが挙げられる。
n1は、1〜3のいずれかの整数を表す。高密度の有機薄膜を形成する上では、n1は1であるのが好ましい。
n1が2以上のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよく、(4−n1)が2以上のとき、Xは同一であっても相異なっていてもよい。
チタンキレート化合物の製造方法としては、特に制約はなく、例えば、後述するチタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液に、所定量のキレート化合物を添加する方法等が挙げられる。キレート化合物の添加量は、チタンアルコキシド化合物1モルに対して、通常1〜5倍モル、好ましくは1〜3倍モルである。
本発明の分散液の調製に用いる水は、中性であれば特に制限されないが、不純物が少なく、緻密なチタン酸化物薄膜を得る観点から、純水、蒸留水又はイオン交換水を用いるのが好ましい。
水の使用量は、前記チタンキレート化合物に対し大過剰であり、具体的には、前記チタンキレート化合物に対し5倍モル以上、好ましくは10倍モル以上、より好ましくは20倍モル以上である。
また、水の最大使用量は、調整する分散液中のチタンキレート化合物濃度によって決まり、例えば、0.1%以上の濃度の分散液の場合の水の使用量は、チタンキレート化合物に対して10000倍モル以下、好ましくは5000倍モル以下である。0.1%以下の濃度の分散液であれば、水の最大使用量は更に多くなる。
水は、有機溶媒で希釈して用いることもできる。また、水は一度に添加しても、数回に分けて分割して添加しても、連続的に一定量ずつを添加してもよい。
用いる有機溶媒としては、後述するチタンキレート化合物の溶液に用いる有機溶媒と同様のものが挙げられる。
チタンキレート化合物と大過剰の水とを混合することで、チタンキレート化合物の加水分解反応を開始させる。
チタンキレート化合物と大過剰の水とを混合する方法としては、例えば、チタンキレート化合物の有機溶媒溶液に水を添加する方法、チタンキレート化合物又はチタンキレート化合物の有機溶媒溶液を水に添加する方法が挙げられる。
チタンキレート化合物の有機溶媒溶液に用いる有機溶媒としては、特に制約はなく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等のシリコーン(特開平9−208438号公報等)類;フロン類;CBrClCF、CClFCFCCl、CClFCFCHFCl、CFCFCHCl、CFCBrFCBrF、CClFCClFCFCCl、Cl(CFCFCl)Cl、Cl(CFCFCl)CFCCl、Cl(CFCFCl)Cl等のフッ化炭素類;等が挙げられる。
これらの中でも、前記チタンキレート化合物等の加水分解反応が容易に進行して、緻密で均一なチタン酸化物薄膜を形成でき、かつ低温で凝固しない分散液が得られることから、水混和性溶媒であるのが好ましく、アルコール類を含有する溶媒がより好ましい。
アルコール類を含有する溶媒としては、アルコール類の一種以上からなる溶媒、又はアルコール類と他の有機溶媒からなる混合溶媒が挙げられ、アルコール類と他の有機溶媒からなる混合溶媒が好ましい。
前記アルコール類と他の有機溶媒からなる混合溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類と、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ル、t−ブタノール等の低級アルコール類を組み合わせた混合溶媒が好ましい。混合溶媒の混合比は特に限定されないが、炭化水素類と低級アルコール類とを、体積比で、99/1〜50/50の範囲で用いるのが好ましい。
前記チタンキレート化合物の有機溶媒中の濃度は、水が添加された際に急激な発熱を抑制し、撹拌が可能な流動性を有する範囲であれば特に限定されないが、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。
チタンキレート化合物の加水分解反応の反応温度は、用いるチタンキレート化合物の反応性や安定性等によるが、通常、−100℃から用いる有機溶媒の還流温度までの範囲、好ましくは、−20℃から室温までの温度範囲である。また、チタンキレート化合物の溶液に低温で水を添加して一定時間熟成させた後、反応液の温度を室温から用いる溶媒の還流温度まで昇温して、加水分解、脱水縮合反応をさらに行うこともできる。
撹拌時間は、通常、数分から数時間である。また、この場合においては、均一な分散液を得るために、超音波処理を施すことも好ましい。
また、チタンキレート化合物の水による加水分解反応においては、酸、塩基又は分散安定化剤を添加してもよい。酸及び塩基は、凝結してできた沈殿を再び分散させる解膠剤として、また、チタンキレート化合物を加水分解、脱水縮合させてコロイド粒子等の分散質を製造するための触媒として、及び生成した分散質の分散剤として機能するものであれば特に制限されない。
用いる酸としては、塩酸、硝酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等の鉱酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート等の光照射によって酸を発生する光酸発生剤;が挙げられる。
用いる塩基としては、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、アンモニア、ジメチルホルムアミド、ホスフィン等が挙げられる。
分散安定化剤とは、分散質を分散媒中に安定に分散させる効力を有する、解膠剤、保護コロイド、界面活性剤等の凝結防止剤等の剤をいう。例えば、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の多価カルボン酸;ヒドロキシカルボン酸;ピロ燐酸、トリポリ燐酸等の燐酸;アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサンジオン等の金属原子に対して強いキレート能力を有する多座配位子化合物;スルパース3000、9000、17000、20000、24000(以上、ゼネカ社製)、Disperbyk−161、−162、−163、−164(以上、ビックケミー社製)等の脂肪族アミン系、ハイドロステアリン酸系、ポリエステルアミン;ジメチルポリシロキサン・メチル(ポリシロキシアルキレン)シロキサン共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーン等(特開平9−208438号公報、特開2000−53421号公報等)のシリコーン化合物;等が挙げられる。
本発明の分散液のチタン酸化物の含有量は、分散液全体に対して酸化チタン換算濃度で0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の分散液は、チタンキレート化合物の加水分解生成物であるチタン酸化物の微粒子が、水溶媒中又は有機溶媒中で凝集せずに安定に分散している性質を有するチタン酸化物粒子の分散液である。ここで、凝集せずに安定に分散している状態とは、有機溶媒中、チタンキレート化合物等の加水分解生成物の分散質が、凝結して不均質に分離していない状態を表し、好ましくは透明で均質な状態を表す。ここで透明とは、可視光における透過率が高い状態をいい、具体的には、分散質の濃度を酸化物換算で0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対照試料を有機溶媒とし、光の波長を550nmとする条件で測定した分光透過率で表して、好ましくは80〜100%の透過率を表す状態をいう。
本発明の分散液に含まれるチタン酸化物粒子は両親媒性であることが好ましい。すなわち、チタン酸化物の粒子は、水溶媒に対しても有機溶媒に対して親和性を有するものであるのが、均一で安定な分散液を得る上で好ましい。このようなチタン酸化物粒子を含む分散液は、水の含有量が分散液全体に対して50重量%を超えるものであっても、基板上に塗工した場合にハジキなどが生じることがなく、均一な膜質のチタン酸化物薄膜を与える。
本発明の分散液に含まれるチタン酸化物粒子の粒子径は特に限定されないが、通常1〜100nm、好ましくは1〜50nm、より好ましくは1〜20nmの範囲である。また、チタン酸化物粒子は単分散であるのが好ましい。
本発明の分散液は、保存安定性に優れる。すなわち、本発明の分散液を密栓して室温で3ヶ月間保存した後であっても、分散液は白濁を生じることがなく、含まれるチタン酸化物粒子の平均粒子径はほとんど変化しない。また、3ヶ月保存後の分散液を使用しても、均質な膜質のチタン酸化物薄膜を形成することができる。
本発明の分散液及び薄膜は、後述する、不純物が少なく緻密な光感応性を利用したパターン形成用無機膜、印刷版用表面処理膜、SAM膜形成用の下地無機膜、LCD、PDP、SED(Surface Conduction Electron Emission Display)、有機EL、電子ペーパーなどの各種ディスプレイに使用される絶縁膜、配向膜、反射膜、反射防止膜などの機能膜、反射防止膜用高屈折膜及び低屈折膜などの光学膜、半導体素子用薄膜、光触媒膜及びその前駆体膜、インク密着性改良膜、プラスチック表面の改質膜等の形成、並びに、これらの膜を形成するための濡れ性及び密着性向上下地膜材料、また接着剤、塗料及びコーティング剤用硬化剤もしくは架橋剤、エステル化等の反応触媒等、ガラス基板表面に製膜してなる曇硝子の製造、防菌防黴剤等のバインダー又は担体等に用いることができる。
特に本発明の分散液は、後述するように、本発明のチタン酸化物薄膜及び有機機能膜の製造原料として有用である。
2)本発明の分散液の製造方法
本発明の第2は、チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液に、所定のキレート化合物を添加して得られる溶液と、前記チタンアルコキシド化合物に対して大過剰の水とを混合することを特徴とする本発明の分散液の製造方法である。この方法によれば、入手が容易なチタンアルコキシド化合物を使用して、本発明の分散液を簡便かつ効率よく製造することができる
本発明に用いるチタンアルコキシド化合物としては、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解生成物、又はチタン原子を含む複合アルコキシド等が挙げられる。
チタンアルコキシドの具体例としては、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC−i)、Ti(OC、Ti[OSi(CH、Ti[OSi(C等が挙げられる。これらのチタンアルコキシドは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
チタンアルコキシドの加水分解生成物は、前記チタンアルコキシドを全部又は部分的に水で加水分解して得られる化合物である。チタンアルコキシドの部分加水分解生成物を得るときの水の使用量は、チタンアルコキシドの2倍当量以上である。
複合アルコキシドとしては、(i)チタンアルコキシドと金属アルコキシドとの反応により得られる複合アルコキシド、(ii)1種もしくは2種以上のチタンアルコキシドと、1種もしくは2種以上の金属塩との反応により得られる複合アルコキシドが挙げられる。
(i)のチタンアルコキシドと金属アルコキシドとの反応により得られる複合アルコキシドとしては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドと、チタンアルコキシドとの反応により得られる複合アルコキシド等を例示することができる。(i)の複合アルコキシドの具体例としては、BaTi(OR)、SrTi(OR)等が挙げられる。ここで、Rはアルキル基等を表す。
(ii)の複合アルコキシドの合成に用いる金属塩としては、金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。前記金属塩の金属としては、周期律表(長周期型)第1族〜第14族の金属が挙げられる。
本発明に用いるキレート化合物としては、チタン原子に配位できるものであれば特に制約はなく、具体的には、前記チタンキレート化合物のキレート配位子となり得るキレート化合物として例示したのと同様のものを挙げることができる。キレート化合物の添加量は、チタン原子1モルに対して、通常1〜5倍モル、好ましくは1〜3倍モルである。
本発明に用いる有機溶媒としては、特に制約はなく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン等のシリコーン(特開平9−208438号公報等)類;フロン類;CBrClCF、CClFCFCCl、CClFCFCHFCl、CFCFCHCl、CFCBrFCBrF、CClFCClFCFCCl、Cl(CFCFCl)Cl、Cl(CFCFCl)CFCCl、Cl(CFCFCl)Cl等のフッ化炭素類;等が挙げられる。
これらの中でも、用いる有機溶媒としては、前記チタンキレート化合物等の加水分解反応が容易に進行して、緻密で均一なチタン酸化物薄膜を形成でき、かつ低温で凝固しない分散液が得られることから、水混和性溶媒であるのが好ましく、アルコール類を含有する溶媒がより好ましい。
アルコール類を含有する溶媒としては、アルコール類の一種以上からなる溶媒、又はアルコール類と他の有機溶媒からなる混合溶媒が挙げられ、アルコール類と他の有機溶媒からなる混合溶媒が好ましい。
前記アルコール類と他の有機溶媒からなる混合溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類と、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ル、t−ブタノール等の低級アルコール類を組み合わせた混合溶媒が好ましい。混合溶媒の混合比は特に限定されないが、炭化水素類と低級アルコール類とを、体積比で、99/1〜50/50の範囲で用いるのが好ましい。
用いる水は、中性であれば特に制限されないが、不純物が少なく、緻密なチタン酸化物薄膜を得る観点から、純水、蒸留水又はイオン交換水を用いるのが好ましい。
水は、有機溶媒で希釈して用いることもできる。また、水は一度に添加しても、数回に分けて分割して添加しても、連続的に一定量ずつを添加してもよい。
ここで用いる有機溶媒としては、前記チタンアルコキシド化合物を溶解する有機溶媒と同様のものが挙げられる。
水の使用量は、前記チタンアルコキシド化合物に対し大過剰であり、具体的には、前記チタンキレート化合物又はチタンアルコキシド化合物に対し5倍モル以上、好ましくは10倍モル以上、より好ましくは20倍モル以上である。
また、水の最大使用量は、調整する分散液中のチタンキレート化合物濃度によって決まり、例えば、0.1%以上の濃度の分散液の場合の水の使用量は、チタンキレート化合物に対して10000倍モル以下、好ましくは5000倍モル以下である。0.1%以下の濃度の分散液であれば、水の最大使用量は更に多くなる。
チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液にキレート化合物を添加して得られた溶液と水とを混合する方法としては、チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液にキレート化合物を添加して得られた溶液に、水又は有機溶媒で希釈した水を添加する方法、水中又は水が懸濁若しくは溶解した有機溶媒中に、チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液にキレート化合物を添加して得られた溶液を添加する方法が挙げられるが、収率よく目的とする加水分解生成物を得ることができることから、前者の方法が好ましい。
チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液にキレート化合物を添加すると、チタンキレート化合物の有機溶媒溶液が得られ、この溶液に大過剰の水を添加すると、チタンキレート化合物等の加水分解反応が開始すると考えられる。
この加水分解反応の反応温度は、用いるチタンアルコキシド化合物やキレート化合物の反応性や安定性等にもよるが、通常、−100℃から用いる有機溶媒の還流温度までの範囲、好ましくは、−20℃から室温までの温度範囲である。また、チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液にキレート化合物を添加して得られた溶液に低温で水を添加して一定時間熟成させた後、反応液の温度を室温から用いる溶媒の還流温度まで昇温して、加水分解、脱水縮合反応をさらに行うこともできる。
撹拌時間は、通常、数分から数時間である。また、この場合においては、均一な有機薄膜形成用溶液を得るために、超音波処理を施すことも好ましい。
また、チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液にキレート化合物を添加して得られた溶液に水を添加して、水による加水分解反応を行う際においては、酸、塩基又は分散安定化剤を添加してもよい。酸、塩基及び分散安定化剤の具体例としては、前記チタンキレート化合物を水で加水分解する際に添加することができる酸、塩基及び分散安定化剤と同様のものが挙げられる。
以上のようにして、本発明のチタン酸化物粒子の分散液を得ることができる。
また、本発明においては、チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液にキレート化合物を添加して得られる溶液からチタンキレート化合物を単離し、単離したチタンキレート化合物を有機溶媒に再溶解させて、水を添加する方法によっても、本発明の分散液を製造することができる。
なお、調製した分散液中に不溶物が析出する場合があるが、これらの析出物は、濾過、デカント等の操作で除去することにより、均一な分散液を得ることができる。
3)チタン酸化物薄膜
本発明の第3は、本発明の分散液を、金属、セラミックス、ガラス及びプラスチックからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる基体の表面に接触させて形成したことを特徴とするチタン酸化物薄膜である。
本発明に用いる基体としては、金属、セラミックス、ガラス及びプラスチックからなる群から選ばれる少なくとも一種からなる基体が好ましく、プラスチックからなる基体がより好ましい。
プラスチックとしては、特に制約はないが、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。
また、本発明に用いる基体としては、特に限定されないが、薄膜との密着性を向上させる目的で、その表面に水酸基等の活性水素を有するものを用いてもよい。
本発明の分散液を基体表面に接触させる方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、ディップ法、スピンコート法、スプレー法、ローラコート法、メイヤバー法、スクリーン印刷法、刷毛塗り法等が挙げられる。
本発明のチタン酸化物薄膜は、光照射することにより、薄膜に接触した有機物を分解及び/又は除去できるものである。この薄膜に接触させる有機物としては、特に限定されないが、単分子膜の場合、高速分解できるので効率的である。特にシラン系の界面活性剤等のケイ素化合物の場合、自己組織的に単分子膜がチタン酸化物薄膜上に形成されるので、有効である。
有機物の単分子膜を形成する手法としては、気相蒸着法、有機物を溶解した溶液からの化学吸着法、LB法など各種方法があるが、どれを用いてもよい。
溶液からの化学吸着法を用いる場合、溶液を基体表面に接触させる温度は、溶液が安定性を保つことができる温度範囲であれば、特に制限されない。通常、室温から用いる有機溶媒の還流温度までの範囲である。接触に好適な温度に加熱するには、分散液を加熱するか、基体そのものを加熱すればよい。
また、本発明の分散液を基体表面に接触させた後、膜形成を促進するために超音波を用いることもできる。
基体表面に接触する工程は、1度に長い時間行っても、短時間の塗布を数回に分けて行ってもよい。
単分子膜を形成した後においては、膜表面に付着した余分な試剤、不純物等を除去するために、洗浄工程を設けることもできる。洗浄工程を設けることにより、より膜厚を制御することができる。
洗浄方法としては、表面の付着物を除去できる方法であれば、特に制限されない。例えば、用いたチタンキレート化合物を溶解し得る溶媒中に基体を浸漬させる方法;真空中、又は常圧下で大気中に放置して蒸発させる方法;乾燥窒素ガス等の不活性ガスを吹き付けて吹き飛ばす方法;等が挙げられる。
本発明の分散液を基体上に接触又は洗浄した後は、基体表面上に形成された膜を安定化させるために、基体を加熱するのが好ましい。加熱する温度は、基体の種類、形成した単分子膜の安定性等によって適宜選択することができる。
ケイ素化合物の単分子膜が基体表面に形成される機構の詳細は明らかではないが、表面に活性水素を有しているチタン酸化物薄膜上に、ケイ素化合物が物理吸着若しくは化学吸着した後に、Ti−O−Siの強固な結合を形成し、表面を被覆するものと推定される。
以上のようにして得られる本発明のチタン酸化物薄膜の膜厚は、特に制限されないが、通常500nm以下、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは5〜50nmである。
本発明のチタン酸化物薄膜は、有機物を含有する薄膜であるのが好ましく、炭素元素の含有率は2〜40%の薄膜であるのがより好ましい。
また、本発明のチタン酸化物薄膜は平坦性に優れる。本発明のチタン酸化物薄膜の平均表面粗さRaは、2nm以下、好ましくは1nm以下である。従って、後述するように、このチタン酸化物薄膜上に平坦な有機機能膜を形成することができる。
チタン酸化物薄膜は、一般的には光照射されることにより、何らかの薄膜物性が変化する性質を有する薄膜である。本発明のチタン酸化物薄膜は、光照射されることにより、チタン酸化物薄膜に接触した有機物を分解及び/又は除去することができる光触媒活性膜であるのが好ましい。
光照射に用いる照射光は、紫外線であるのが好ましく、波長250〜350nmの紫外線であるのがより好ましい。
照射光の照射光量は、40J/cm以下、好ましくは5J/cm以下である。
本発明のチタン酸化物薄膜は、光照射されることによって、水の接触角が20°以下の親水性膜となるものであるのがより好ましい。本発明のチタン酸化物薄膜がこのような性質を有する薄膜である場合には、所定のパターンを有するレジスト膜を成膜したり、所定のパターンで光照射することにより、特定の部位のみを親水性の薄膜に変換することができる。
本発明のチタン酸化物薄膜は、本発明の分散液を使用することにより、基体表面に迅速に形成されるものであり、用いる基体の種類に係わらず、不純物が少なく緻密である。
このようなチタン酸化物薄膜は、光触媒活性膜の他、電気デバイス用等の設計パターン形成や、エレクトロニクス製品、特に電化製品、自動車、産業機器、鏡、眼鏡レンズ等の耐熱性、耐候性、耐摩耗性超薄膜コーティングに適用できる。
また、後述するように、このチタン酸化物薄膜上にさらに本発明の有機機能膜形成用溶液等により有機機能膜を形成すると、チタン酸化物薄膜は光触媒層として働き、簡便に光リソグラフィーを行うことができる。
4)有機機能膜形成用溶液
本発明の第4は、加水分解性基を有する金属化合物の有機溶媒溶液に、本発明の分散液を添加して得られる有機機能膜形成用溶液である。
本発明に用いる金属化合物は、少なくとも1以上の加水分解性基を有するものであれば特に制限されない。加水分解性基としては、水と反応して分解する基であれば特に制限されない。具体的には、置換基を有していてもよいアルコキシル基;置換基を有していてもよいアシルオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;イソシアネート基;シアノ基;アミノ基;又はアミド基等が挙げられる。
これらの具体例としては、前記チタンキレート化合物の加水分解性基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられ、なかでも、置換基を有していてもよいアルコキシル基であるのが好ましい。置換基を有していてもよいアルコキシル基の具体例は、前記チタンキレート化合物の置換基を有していてもよいアルコキシル基の具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。
本発明に用いる金属化合物の金属としては、特に制限されないが、例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
なかでも、本発明に用いる金属化合物としては、前記式(II)で示される化合物が好ましい。
前記式(II)中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいハロゲン化炭化水素基、連結基を含む炭化水素基又は連結基を含むハロゲン化炭化水素基を表す。
置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜30のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、n−デシニル基、n−オクタデシニル基等の炭素数2〜30のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;等が挙げられる。
置換基を有していてもよいハロゲン化炭化水素基のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜30のハロゲン化アルキル基、炭素数2〜30のハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アリール基等が挙げられる。具体的には、上記例示した炭化水素基中の水素原子の1個以上がフッ素原子、塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子に置換された基が挙げられる。
これらの中でも、炭素数1〜30のアルキル基中の水素原子の2個以上がハロゲン原子に置換された基が好ましく、炭素数1〜30のアルキル基中の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換されたフッ素化アルキル基がより好ましい。また、フッ素化アルキル基が分岐構造を有する場合には、分岐部分は炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜2の短鎖であるのが好ましい。
フッ素化アルキル基としては、末端炭素原子にフッ素原子が1個以上結合した基が好ましく、末端炭素原子にフッ素原子が3個結合したCF基部分を有する基がより好ましく、末端部分に、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル部分を有し、かつ後述する金属原子Mとの間に、−(CH−(式中、hは1〜6の整数を表し、好ましくは2〜4の整数である。)で表されるアルキレン基を有する基が特に好ましい。フッ素化アルキル基中のフッ素原子数は、[(フッ素化アルキル基中のフッ素原子数)/(フッ素化アルキル基に対応する同一炭素数のアルキル基中に存在する水素原子数)×100]%で表現したときに、60%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
前記置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよいハロゲン化炭化水素基の置換基としては、カルボキシル基;アミド基;イミド基;エステル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基;又は水酸基等が挙げられる。これらの置換基の数は0〜3であるのが好ましい。
連結基を含む炭化水素基の炭化水素基としては、具体的には、前記置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
また、連結基を含むハロゲン化炭化水素基のハロゲン化炭化水素基としては、具体的には、前記置換基を有していてもよいハロゲン化炭化水素基のハロゲン化炭化水素基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記連結基は、炭化水素基若しくはハロゲン化炭化水素基の炭素−炭素結合間、又は炭化水素基の炭素と後述する金属原子Mとの間に存在するのが好ましい。
連結基の具体例としては、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−C(=O)O−又は−C(=O)NR21−(式中、R21は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;を表す。)等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、撥水性、耐久性の観点から、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のフッ素化アルキル基、又は連結基を含むフッ素化アルキル基であるのが好ましい。
のより好ましい具体例としては、CH−、CHCH−、(CHCH−、(CHC−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH−、CH(CH10−、CH(CH11−、CH(CH12−、CH(CH13−、CH(CH14−、CH(CH15−、CH(CH16−、CH(CH17−、CH(CH18−、CH(CH19−、CH(CH20−、CH(CH21−、CH(CH22−、CH(CH23−、CH(CH24−、CH(CH25−、
CF−、CFCF−、(CFCF−、(CFC−、CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CF(CH−、CF(CFO(CF(CH−、CF(CFO(CF(CH−、CF(CFO(CF(CH−、CF(CFCONH(CH−、CF(CFCONH(CH−、CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CO−NH(CH−、
CH(CF(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF10(CH−、CH(CF11(CH−、CH(CF12(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF(CH−、CH(CF11(CH−、CHCH(CF(CH−、CHCH(CF(CH−、CHCH(CF10(CH−、CH(CFO(CF(CH−、CH(CF(CHO(CH−、CH(CF(CHO(CH−、CH(CF(CHO(CH−、CHCH(CF(CHO(CH−、CH(CFCONH(CH−、CH(CFCONH(CH−、CH(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)CO−NH(CH−、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、チタン原子及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属原子を表し、ケイ素原子が特に好ましい。
は置換基を有していてもよいアルコキシル基を表す。置換基を有していてもよいアルコキシル機の具体例としては、前記チタンキレート化合物の置換基を有していてもよいアルコキシル基の項で列記したものと同様のものが挙げられる。
mはMの原子価を表す。
n2は0から(m−1)の整数を表し、n2が2以上のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよく、(m−1)が2以上のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよい。
前記式(II)で表される化合物としては、式(III)
で表される化合物であるのがより好ましい。
式中、M、R、m及びn2は前記と同じ意味を表す。
及びRは、それぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。
は、アルキレン基、ビニレン基、エチニレン基、アリーレン基、又はケイ素原子及び/若しくは酸素原子を含む2価の連結基を表す。Rの具体例を下記に示す。
(式中、a及びbは任意の自然数を表す。)
Wは、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−へキシル基、イソへキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等のアルコキシル基;アルキル基の一部又はすべての水素原子がフッ素原子に置換された含フッ素アルキル基;又はアルコキシル基の一部若しくはすべての水素原子がフッ素原子に置換された含フッ素アルコキシル基;等を表す。
n2は、高密度の有機薄膜を形成する上では、0が好ましい。n2が2以上のとき、Wは同一であっても相異なっていてもよく、(m−n2−1)が2以上のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよい。
また、pは0又は自然数を表し、qは0又は1を表す。
金属化合物の好ましい具体例を下記に示す。なお、金属原子がケイ素原子である化合物を代表例として示すが、金属化合物はこれらに限定されるものではない。
Si(OCH、Si(OC、CHSi(OCH、CHCHSi(OCH、CSi(OCH、CH(CHSi(OCH、CH(CHSi(OCH、CH(CHSi(OCH、CH(CH11Si(OCH、CH(CH13Si(OCH、CH(CH15Si(OCH、CH(CH17Si(OCH、CH(CH19Si(OCH、CH(CH21Si(OCH、CH(CH17Si(OC、CH(CH17SiCl、CH(CHSi(OC、CH(CHSiCl、CH(CHSi(CH)(OC、CH(CHSi(CH)(OCH、CH(CHSi(CH(OC)、CH(CHSi(CH(OCH)、
CHCHO(CH15Si(OCH、CFCHO(CH15Si(OCH、CH(CHSi(CH(CH15Si(OCH、CH(CHSi(CH(CHSi(OCH、CHCOO(CH15Si(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF−(CH=CH)−Si(OCH、CHCHO(CH15Si(OC、CH(CHSi(CH(CH15Si(OC、CH(CHSi(CH(CHSi(OC、CF(CHSi(CH(CHSi(OC、CHCOO(CH15Si(OC、CFCOO(CH15Si(OC、CFCOO(CH15Si(OCH、CF(CF(CHSi(OC、CF(CF(CHSi(OC、CF(CF(CHSi(OC、CF(CF(CH=CH)Si(OC、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(OCH、CF(CF(CHSi(CH)(OC、CF(CF(CHSi(CH)(OCH、CF(CF(CHSi(CH(OC)、CF(CF(CHSi(CH(OCH)、
CF(CHSiCl、CF(CF(CHSiCl、CF(CF(CHSiCl、CF(CF(CHSiCl、CF(CF(CHSiCl、CF(CF(CHSiCl
、CF(CF(CHSiCl、CF(CFO(CF(CHSiCl、CF(CFO(CF(CHSiCl、CF(CF(CHO(CHSiCl、CF(CFCONH(CHSiCl、CF(CFCONH(CHSiCl、CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)−CONH(CHSiCl
CF(CF(CHSi(CH)Cl、CF(CF(CHSi(CH)Cl、CF(CHSi(CH)Cl、CF(CF(CHSi(CH)Cl、CF(CF(CHSi(CH)Cl、CF(CF(CHSi(CH)Cl、CF(CF(CF(CHSi(CH)Cl、CF(CF(CF(CHSi(CH)Cl、CF(CF(CHO(CHSi(CH)Cl、CF(CFCONH(CHSi(CH)Cl、CF(CFCONH(CHSi(CH)Cl、CF(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)−CONH(CHSi(CH)Cl、CH(CHSiCl、CH(CF(CHSiCl、CH(CF(CHSi(CH)Cl、CH(CF(CHSi(OCH、CH(CF(CHSi(NCO)、CH(CF(CHSiCl、CH(CF(CHSi(OCH、CH(CF(CHSi(NCO)、CH(CF(CHSiCl、CH(CF(CHSi(OCH、CH(CF(CHSi(NCO)
CHCH(CF(CHSiCl、CHCH(CF(CHSi(OCH、CHCH(CF(CHSi(NCO)、CHCH(CF(CHSiCl、CHCH(CF(CHSi(OCH、CHCH(CF(CHSi(NCO)
CHCH(CF10(CHSiCl、CH(CF4O(CF(CHSiCl、CH(CF(CHO(CHSiCl、CH(CF(CHO(CHSiCl、CH(CF(CHO(CHSiCl、CHCH(CF(CHO(CHSiCl、CH(CFCONH(CHSiCl、CH(CFCONH(CHSiCl、CH(CFO[CF(CF)CF(CF)O]CF(CF)−CONH(CHSiCl
本発明の有機機能膜形成用溶液を調製するにあたって、用いる有機溶媒、水、用いるチタンキレート化合物は、前記分散液の項で説明したのと同様のものをそれぞれ用いることができる。
本発明の有機機能膜形成用溶液において、前記金属化合物の使用量は、前記分散液中に含まれるチタン化合物1モルに対して、2倍モル以上である。
また、2倍モル以上の金属化合物の最大使用量とは、チタンキレート化合物1モルに対して、最大1000倍モル以下、好ましくは100倍モル以下、更に好ましくは、20倍モル以下である。
有機機能膜形成用溶液中におけるチタン酸化物及び金属化合物の総含有量は、金属酸化物換算で、0.1〜10重量%であるのが好ましい。
本発明の有機機能膜形成用溶液は、上述したように、(a)加水分解性基を有する金属化合物の有機溶媒溶液に、本発明の分散液の所定量を添加する方法によって得ることができる。
また、本発明の有機機能膜形成用溶液は、(b)加水分解性基を有する金属化合物の有機溶媒溶液に、前記チタンキレート化合物を所定量添加し、さらに、前記金属化合物及びチタンキレート化合物に対して大過剰の水を添加する方法、又は(c)前記チタンアルコキシド化合物の有機溶媒溶液に、キレート化合物及び金属化合物の所定量をそれぞれ添加し、さらに前記金属化合物及びチタンアルコキシド化合物に対して大過剰の水を添加する方法によっても得ることができる。
前記(b)の方法は、加水分解性基を有する金属化合物の存在下に、系内で本発明の分散液を調製するものである。また、(c)の方法は、加水分解性基を有する金属化合物の存在下に、系内でチタンキレート化合物を調製し、さらに大過剰の水を添加して、系内で本発明の分散液を調製するものである。
前記(b)の方法において、添加する水の量は前記チタンキレート化合物及び金属化合物の総モル数に対して大過剰であり、好ましくは5倍モル以上、より好ましくは10倍モル以上、特に好ましくは20倍モル以上である。
また、水の最大使用量は、調整する分散液中のチタンキレート化合物濃度によって決まり、例えば、0.1%以上の濃度の分散液の場合の水の使用量は、チタンキレート化合物に対して10000倍モル以下、好ましくは5000倍モル以下である。0.1%以下の濃度の分散液であれば、水の最大使用量は更に多くなる。
前記(c)の方法において、添加する水の量は、前記チタンアルコキシド化合物及び金属化合物の総モル数に対して大過剰であり、好ましくは5倍モル以上、より好ましくは10倍モル以上、特に好ましくは20倍モル以上である。
また、水の最大使用量は、調整する分散液中のチタンキレート化合物濃度によって決まり、例えば、0.1%以上の濃度の分散液の場合の水の使用量は、チタンキレート化合物に対して10000倍モル以下、好ましくは5000倍モル以下である。0.1%以下の濃度の分散液であれば、水の最大使用量は更に多くなる。
水を添加することにより、金属化合物及びチタンキレート化合物の加水分解又は加水分解縮重合反応を開始させることができる。この反応は、通常は、金属化合物及びチタンキレート化合物の有機溶媒溶液に、水又は有機溶媒で希釈した水を添加することによって円滑に進行するものである。もちろん、水が懸濁又は溶解した有機溶媒中に、金属化合物及びチタンキレート化合物、又は金属化合物及びチタンキレート化合物の有機溶媒溶液を添加して行うこともできる。
反応温度、反応時間等の反応条件としては、前述した本発明の分散液の調製の際と同様の条件を採用できる。また、反応溶液中に、前記と同様の酸、塩基又は分散安定化剤を添加して反応を行ってもよい。
5)有機機能膜形成基体及びその製造方法
本発明の第5は、基体表面に、本発明の有機機能薄膜形成溶液から形成された有機薄膜を有することを特徴とする有機機能膜形成基体である。
本発明の有機機能膜形成基体は、前記基体表面、又はチタン酸化物薄膜形成基体のチタン酸化物薄膜が形成されている側に、有機機能膜形成用溶液を接触させることで製造することができる。
有機機能膜形成用溶液を接触させて有機機能膜を形成する方法としては、前記基体表面にチタン酸化物薄膜を形成する方法と同様の方法を採用することができる。
用いる基体としては、特に制約はないが、前記チタン酸化物薄膜を形成する基体として例示したものと同様のものや、基板上に本発明の分散液から形成されたチタン酸化物薄膜を有するチタン酸化物薄膜形成基体が挙げられ、後者が好ましい。
チタン酸化物薄膜形成基体を用いる場合、該基体のチタン酸化物薄膜上に有機機能膜が形成された有機機能膜形成基体は、チタン酸化物薄膜の光触媒活性機能により、光リソグラフィー等に応用することができる。
得られる有機機能膜の膜厚は、特に制限されないが、通常500nm以下である。
また、得られる有機機能膜は、有機物を含有する薄膜であるのが好ましく、炭素元素の含有率は2〜40%である有機物を含有する薄膜であるのがより好ましい。
このような有機機能膜としては、光照射することにより、有機機能膜に接触した有機物を分解及び/又は除去することができるものであるのが好ましい。
また有機機能膜は、光照射されることによって、水の接触角が20°以下の親水性膜となるものであるのが好ましい。このような有機機能膜を使用することにより、所定のパターンを有するレジスト膜を成膜したり、所定のパターンで光照射することにより、特定の部位のみを親水性の薄膜に変換することができる。
光照射に用いる照射光は、紫外線であるのが好ましく、波長250〜350nmの紫外線であるのがより好ましい。
照射光の照射光量は、40J/cm以下、好ましくは5J/cm以下である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例中、実施例4、実施例13、及び実施例14は参考例である。
(1)薄膜形成用溶液
(実施例1)薄膜形成用溶液の調製(1)
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達社製、T−50、酸化チタン換算固形分量16.5重量%)181.8gをエタノール/酢酸エチル=50/50(容積比)の混合溶媒2518.2gに溶解した。この溶液に、イオン交換水300g(ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタンに対して44.4倍モル)を室温で攪拌しながらゆっくり滴下し、滴下終了後、2時間撹拌した後、さらに1日間静置し、加水分解することにより、酸化チタン換算濃度2重量%のチタン酸化物粒子(平均粒子径4.3nm)を含む黄色透明な薄膜形成用溶液(以下、「A−1溶液」と略記する)を得た。これらの操作はいずれも室温で行った。
(実施例2)薄膜形成用溶液の調製(2)
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達社製、T−50、酸化チタン換算固形分量16.5重量%)363.6gを2−ブタノール2336.4gに溶解させた。この溶液に、イオン交換水300g(ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタンに対して22.2倍モル)を室温で攪拌しながらゆっくり滴下し、滴下終了後、2時間撹拌した後、さらに2日間静置し、加水分解することにより、酸化チタン換算濃度1重量%のチタン酸化物粒子(平均粒子径5.0nm)を含む黄色透明な薄膜形成用溶液(以下、「A−2溶液」と略記する)を得た。これらの操作はいずれも室温で行った。
(実施例3)薄膜形成用溶液の調製(3)
ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達社製、T−50、酸化チタン換算固形分量16.5重量%)181.8gをイオン交換水2818.2g(ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタンに対して417倍モル)中に室温で攪拌しながらゆっくり滴下し、滴下終了後、2時間撹拌した後、さらに1日間静置し、加水分解することにより、酸化チタン換算濃度1重量%のチタン酸化物粒子(平均粒子径4.0nm)を含む黄色透明な薄膜形成用溶液(以下、「A−3溶液」と略記する)を得た。これらの操作はいずれも室温で行った。
(実施例4)薄膜形成用溶液の調製(4)
メチルシリケート(三菱化学社製、MS−56、酸化ケイ素換算固形分量57.3重量%)47.12gをエタノール/酢酸エチル=50/50(容積比)の混合溶媒2634.7gに溶解後、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタン(日本曹達社製、T−50、酸化チタン換算固形分量16.5重量%)18.2gを添加した。得られた溶液に、イオン交換水300g(メチルシリケート及びジイソプロポキシビスアセチルアセトナートチタンの合計モル数に対して34.2倍モル)を室温で攪拌しながらゆっくり滴下し、滴下終了後、2時間撹拌した後、さらに1日間静置し、加水分解することにより、酸化チタン換算濃度1重量%のチタン酸化物粒子(平均粒子径8.3nm)を含む黄色透明な薄膜形成用溶液(以下、「A−4溶液」と略記する)を得た。これらの操作はいずれも室温で行った。
(実施例5)薄膜形成用溶液の調製(5)
オクタデシルトリメトキシシラン(ODS)4gをトルエン396gに溶解した。この溶液を室温でA−1溶液600gに撹拌しながら滴下後、さらに24時間攪拌して、ODSとチタン酸化物との反応生成物の微粒子を含む黄色透明な薄膜形成用溶液(水含有量=チタン酸化物及びODSの合計モル数に対して38.9倍モル)(以下、「A−5溶液」と略記する)を得た。これらの操作はいずれも室温で行った。
(比較例1)薄膜形成用溶液の調製(6)
ジイソプロポキシジアセチルアセトナートチタン(日本曹達社製、T−50、酸化チタン換算固形分量16.5重量%)181.8gをエタノール/酢酸エチル=50/50(容積比)の混合溶媒2818.2gに溶解して、酸化チタン換算濃度1重量%の黄色透明な薄膜形成用溶液(以下、「H−1溶液」と略記する)を得た。これらの操作はいずれも室温で行った。
(比較例2)薄膜形成用溶液の調製(7)
ジイソプロポキシジアセチルアセトナートチタン(日本曹達社製、T−50、酸化チタン換算固形分量16.5重量%)181.8gをエタノール/酢酸エチル=50/50(容積比)の混合溶媒2794.6gに溶解した。この溶液に、イオン交換水24.3g(ジイソプロポキシビスアセチルアセトナトチタンに対して3.6倍モル)を室温で攪拌しながらゆっくりと滴下し、酸化チタン換算濃度1重量%のチタン酸化物粒子を含む黄色透明な薄膜形成用溶液(以下、「H−2溶液」と略記する)を得た。これらの操作はいずれも室温で行った。
(2)溶液の評価方法
上記実施例1〜5で調製した薄膜形成用溶液(A−1溶液〜A−5溶液)、および比較例1、2で調製した薄膜形成用溶液(H−1溶液、H−2溶液)の物性を、下記の試験方法により試験して評価した。
(i)溶液中金属化合物の粒子径測定
溶液中の金属化合物の粒子径を、粒度計(HPPS、Malvern Instruments Ltd製)で測定した。
また、薄膜形成用溶液(A−1〜A−5、H−1、H−2)を室温で3ヶ月保存後の粒子径も測定した。
測定結果を第1表にまとめた。第1表中、粒子径は平均粒子径を表す。
第1表に示すように、A−1溶液〜A−5溶液中において、チタンキレート化合物は、大量の水の添加により加水分解縮合が進み、ポリマー化し、酸化チタンに非常に近い構造を持つ、粒子径4〜10nmのチタン酸化物の粒子になっていた。
A−3溶液に含まれるチタン酸化物粒子の粒子径分布を図1に示す。図1中、横軸は平均粒子径(nm)、縦軸はピーク強度(Intensity)をそれぞれ示す。A−3溶液に含まれるチタン酸化物粒子は、非常にシャープな単分散性を示した。
また、第1表に示すように、室温での保存安定性も良好であり、3ヶ月保存した後においても、粒子径は13nm以下であって、溶液は透明であった。このことから、本実施例の薄膜形成用溶液は保存安定性に優れていることが示された。
一方、比較例1の水を全く添加しない場合には、加水分解反応は起こらないので、チタン化合物の粒子の形成は見られず、粒子径は測定不可であった。
比較例2の、添加した水の量がチタンに対し3.6倍モルの場合には、イソプロポキシ基の加水分解縮重合は進むので、1nm前後の粒子が生成した。しかし、キレート部の加水分解は十分に進行しておらず、そのために溶液中で凝集が起こり、86nmの大きな凝集物の生成が見られ、安定性も良くなかった。
(ii)A−3溶液中のチタン酸化物粒子のTG/DTA測定
A−3溶液を50℃で減圧濃縮後、50℃で真空乾燥し、粉末とした。この粉末を窒素ガスを流しながら、昇温速度20℃/分の条件で、TG/DTA(示差熱重量分析)を測定した。測定分析結果を図2に示す。図2より、原料のジイソプロポキシジアセチルアセトナートチタン(T−50)の場合に観測されるイソプロポキシ基及びアセチルアセトナート基の分解に伴うシャープな吸熱ピークが、A−3溶液の場合には観測されなかった。このことから、A−3溶液中において、イソプロポキシ基及びアセチルアセトナート基は、ほぼ全て加水分解されていることが示唆された。重量減少は、粒子に吸着した水分、イソプロパノール、アセチルアセトンアルコール及び表面水酸基の脱離によるものと推測される。
また、FT−IR及びH−NMRでの分析でも、チタン原子に結合しているイソプロポキシ基及びアセチルアセトナート基は観測されなかった。
(iii)溶液のpH滴定ゼーター電位の測定
0.2mol/リットルの塩酸と0.2mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液とを使用して、実施例3のA−3溶液のpHを2から12まで変化させて、ゼーター電位を測定した。測定結果を図3に示す。図3に示すA−3溶液のゼーター電位測定結果から、等電位点pHは6.29であり、アナターゼ型酸化チタンとほぼ同じ挙動を示した。A−3溶液のpHは5前後であるので、粒子はプラスに帯電し、安定化されていることが示唆される。
(iv)酸化チタン粒子の両親媒性の評価
水9gにトルエン1gを加えた溶液中に、A−1溶液〜A−3溶液を、0.1g又は1g添加後、超音波で分散し、安定な分散乳化物が得られるかどうかを判定した。A−1溶液〜A−3溶液の全ての場合において、安定な分散乳化物が得られた。トルエン滴の外周表面を両親媒性ナノ粒子が包囲したためと考えられる。
H−NMRの分析結果から、Tiに結合しているアルコキシル基とキレート基の合計は、比較例1では4倍モル、比較例2では0.8倍モルであり、比較例1(H−1)、比較例2(H−2)の溶液では、チタンキレート化合物の加水分解が不十分であった。
また、H−1及びH−2溶液では、明瞭なゼーター電位は観測されなかった。
(3)薄膜の形成
(実施例6〜17、比較例3、4)
下記に示す薄膜形成用基板を用意し、それぞれの基板の表面をエタノールで洗浄し、乾燥した。次いで、各基板表面に、上記実施例1〜5で調製した薄膜形成用溶液(A−1溶液〜A−5溶液)、および比較例1、2で調製した薄膜形成用溶液(H−1溶液、H−2溶液)のそれぞれをメイヤーバー(バーNo.3使用)で塗工し、60℃で10分間乾燥し、薄膜を形成した。得られた薄膜をC−1〜C−12、CH−1、CH−2とする。
60℃乾燥で膜が得られるのでプラスチック等の耐熱性のない基板にも適応できた。
薄膜形成用基板としては、次のものを用いた。
B−1:ポリエステルシート(東レ社製ルミラー)
B−2:ポリイミドシート(デュポン社製カプトン)
B−3:ソーダライムガラス板(SLG)
B−4:アルミニウム板
基板の種類と薄膜形成用溶液を第表にまとめて示す。
(4)薄膜の評価方法
次に、上記(3)で形成した薄膜(C−1〜C−12、CH−1、CH−2)の物性を、下記の試験方法により測定し、評価した。
(i)薄膜の結晶性
薄膜の結晶性をX線回折装置で測定することにより調べた。
薄膜(C−1〜C−12)は、全て膜厚10〜40nmのアモルファスの膜であった。
(ii)膜外観
薄膜コートによるヘイズ率変化を測定及び目視により、薄膜の外観を観察し、以下のように評価した。
評価 ○:透明、ヘイズ率変化0.5%以下、膜斑なし
評価 ×:ヘイズ率変化0.5%以上、膜斑あり
(iii)密着性(テープ剥離試験)
各試料にセロハンテープを貼り付け複数回指の腹で擦りつけ、その後、テープを引き剥がした際、基板上の膜が剥離しているかをXPSで元素分析し、以下のように評価した。
評価 ○:剥離しない
評価 ×:剥離する
以上の評価結果を第2表にまとめた。
第2表より、薄膜(C−1〜C−12)の膜外観はすべて良好であり、また密着性もすべて良好であった。一方、比較例3の薄膜(CH−1)及び比較例4の薄膜(CH−2)薄膜ではクモリが見られ、また、密着性も良くなかった。
(iv)薄膜の平坦性
A−3溶液をコートする前後での走査型プローブ顕微鏡による平均表面粗さ(Ra)を図4に示す。図4より、ポリエステル基板の平均表面粗さが1.37nmであったのに比べ、膜をコートすると平均表面粗さRaの値が0.70nmとなり、表面粗さが改善され、平坦化されていることがわかる。
(v)薄膜中の元素の分布
薄膜中の元素の深さ方向の分布をXPS装置(Quntum2000、アルバックファイ社製)を用いて測定した。アルゴンスパッタリングにより、1kVで0.25分間隔で膜を削り、膜の炭素原子、酸素原子、チタン原子等の含有率をX線光電子分光法により測定し、下記式により求めた。
A−1溶液から形成された薄膜(C−1)中の元素分布をXPSにより調べた結果を図5に示した。基板はポリエステルで、A−1溶液をコートし、60℃乾燥して得た試料で、深さ方向での分析結果である。薄膜中の有機物による炭素含有率は、10%以下と非常に少なく、ほぼ酸化チタンになっていることが分かる。
A−4溶液から形成された薄膜(C−8)中の元素分布をXPSにより調べた結果を図6に示した。この場合においても、薄膜中の残留炭素量は60℃乾燥で形成したにもかかわらず、非常に少なく10重量%以下であった。
これに対し、比較例1のH−1溶液を用いて、同様に形成した薄膜(CH−1)は、図7に示すように、膜の表面(深さ0〜10nm)は空気中の水分で加水分解が進行し、炭素含有量が比較的少なくなっているが、膜の内部(深さ10〜40nm)には多量の炭素が残存しており、不均一で強度の弱い膜となっていた。
また、比較例2のH−2溶液を用いて、同様に形成した薄膜も、図8に示すように、膜中は、有機物に由来する炭素原子の含有率が高く、チタン酸化物にはなっておらず、弱い薄膜であった。
(vi)水の接触角の測定
各試料の表面層にマイクロシリンジから水滴5μlを滴下した後、30秒後に、接触角測定器(エルマ(株)社製、360S型)を用いて試料表面の接触角を測定した。
測定結果を第2表にまとめた。
(vii)紫外線(UV)感応性評価
UV照射用ランプとして次の2種を用いた。
UV1:殺菌灯(東芝製GL−15:254nmのUV)、強度4mW/cm
UV2:ブラックライト(東芝製FL15BLB:365nmのUV)、強度2mW/cm
薄膜に上記紫外線を照射し、表面濡れ性の変化を水の接触角を測定することにより評価した。水の接触角が20°以下になるまで(親水化するまで)のUV照射エネルギーを算出した。
算出結果を第2表にまとめた。
なお、実施例1のA−1溶液を用いて、上記光源UV2を使用した場合を参考例1とした。
実施例で得られた薄膜に254nmのUV光を照射すると、速やかに親水化し、20°以下の接触角を示した。
実施例13の薄膜の接触角はUV光照射前でも20°前後の親水性を示し、254nmのUVを照射すると、更に親水化した。
A−5溶液を用いて形成した薄膜(C−10〜C−12)は、非常に高い撥水性を示し、更に低エネルギーの254nmのUV照射により親水化した。このことから、フォトマスクによる照射で親水―疎水パターン化も可能であり、インクやメッキにより機能性の膜を塗り分けられる用途にも期待できる。
また、UV1を使用する254nmのUV光照射に代えて、UVオゾン装置(アイグラフィック社製、アイオゾン洗浄装置、低圧水銀灯)を用いて、薄膜を3分間UVオゾン処理したところ、薄膜の水の接触角が10°以下に親水化した。UV1を使用した場合と同様の効果が得られた。
しかし、比較例1のH−1溶液から形成した薄膜では膜中の残存有機物があるため、膜は親水化しなかった。
比較例2のH−2溶液から形成した薄膜では、親水化するものの、親水化するのに長時間を要した(すなわち、親水化に必要なエネルギーが大きい)。
また、実施例1の薄膜は365nmのUV光照射では親水化せず、通常のアナターゼ型酸化チタン光触媒の場合、365nmの光で親水化するのとは異なっていた(参考例1)。
(実施例18)
基板B−1上に、A−3溶液を用いて薄膜C−13を形成した。この基板を、薄膜C−13が上側になるように高圧水銀灯(アイグラフィックス社製、ランプ強度160W/cm、ランプの高さ10cm、波長分布は下記第3表参照)を上部に取りつけたベルトコンベアー上に搭載し、高圧水銀灯の下をコンベアスピードが16.67cm/secの速度で通過させた。このとき、高圧水銀灯による照射時間は0.60秒であった。この操作を10回繰り返し、各回毎の薄膜C−13の水に対する接触角を測定した。測定結果を下記第4表に示す。
第4表より、通過回数7回(合計照射時間4.20秒)で、薄膜C−13の水の接触角は7.0°になった。このことから、実施例18の基板によれば、極めて短時間(3.0秒程度)の紫外光の照射により、薄膜C−13の光照射面を親水化(水の接触角が20°以下)することができることがわかる。
本発明のチタン酸化物粒子の分散液は、平均粒子径がナノメートルオーダーであるチタン酸化物の微粒子が、水系溶媒中で安定に分散してなるものである。本発明の分散液は安定であり、室温で3ヶ月保存後であっても、ほとんど変化しないものである。
本発明の分散液によれば、不純物が少ない繊密な単分子膜であるチタン酸化物薄膜を迅速かつ簡便に形成できる。また、本発明のチタン酸化物粒子の分散液は、本発明の有機機能膜形成用材料としても有用である。
本発明の有機機能膜形成用溶液によれば、光リソグラフィー法等に適用可能な有機機能膜を基体上に迅速かつ簡便に形成することができる。
本発明の有機機能膜形成基体は、有機機能膜が基体上に形成されたものであり、光リソグラフィー法に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. チタン原子に、加水分解性基とキレート配位子とが結合してなるチタンキレート化合物と、該チタンキレート化合物に対して5倍モル以上の水とを混合して得られるチタン酸化物粒子の分散液であって、該チタン酸化物の含有量が、分散液全体に対して酸化チタン換算濃度で0.1〜10重量%であり、
    前記チタン酸化物粒子が、平均粒子径が1〜20nmの粒子であり、
    前記チタンキレート化合物が、式(I)
    式中、Xはキレート配位子を表し、Rは置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、n1は2であり、Rは同一であっても相異なっていてもよく、Xは同一であっても相異なっていてもよいで表される化合物であり、
    前記分散液が、製造後室温にて3ヶ月経過後において、分散質の濃度を酸化物換算で0.5重量%とし、石英セルの光路長を1cmとし、対照試料を有機溶媒とし、光の波長を550nmとする条件で測定した分光透過率で表して、80〜100%の透過率を表すことを特徴とするチタン酸化物粒子の分散液。
  2. 前記チタン酸化物の含有量が、分散液全体に対して酸化チタン換算濃度で0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の分散液。
  3. 前記加水分解性基が、置換基を有していてもよいアルコキシ基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の分散液。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の分散液を、基体の表面に接触させて形成したことを特徴とするチタン酸化物薄膜。
  5. 炭素含有率が10%以下であることを特徴とする請求項4に記載のチタン酸化物薄膜。
  6. 加水分解性基または水酸基を有する金属化合物に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分散液を含有することを特徴とする有機機能膜形成用溶液。
  7. 前記分散液に含まれるチタン化合物1モルに対して、前記金属化合物を2倍モル以上用いることを特徴とする請求項6記載の有機機能膜形成用溶液。
  8. 前記金属化合物の金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6又は7に記載の有機機能膜形成用溶液。
  9. 前記金属化合物の加水分解性基が、置換基を有していてもよいアルコキシ基であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の有機機能膜形成用溶液。
  10. 基体表面に、請求項6〜9のいずれか一項に記載の有機機能膜形成用溶液を接触させて形成された有機薄膜を有することを特徴とする有機機能膜形成基体。
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