JP2007206552A - 光処理基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光分解反応により撥水親水性の薄膜が形成した基材を短時間で製造する方法の提供。
【解決手段】光照射によって分解して撥水親水性が変化する芳香族ニトロ化合物を含有する光分解性材料からなる薄膜(A)が基材表面に形成した処理基材を得て、ついで該薄膜(A)の最表面に液体(B)を接触させ、ついで該薄膜(A)に光照射することによって光照射部の光分解性材料を分解し、薄膜(A)の光照射部の撥水親水性が変化して撥水性および/または親水性の薄膜になった光処理基材を得ることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】光照射によって分解して撥水親水性が変化する芳香族ニトロ化合物を含有する光分解性材料からなる薄膜(A)が基材表面に形成した処理基材を得て、ついで該薄膜(A)の最表面に液体(B)を接触させ、ついで該薄膜(A)に光照射することによって光照射部の光分解性材料を分解し、薄膜(A)の光照射部の撥水親水性が変化して撥水性および/または親水性の薄膜になった光処理基材を得ることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、光照射部の撥水親水性が変化した光処理基材を効率的に製造する方法に関する。
半導体素子、集積回路、有機ELディスプレイ用デバイス等の微細デバイスの製造方法としては、真空蒸着、スパッタリング等によって基板上に機能性材料の薄膜を形成させ、該薄膜をフォトリソグラフィによってパターン化する手法が用いられる。しかしフォトリソグラフィの工程は複雑であり、エネルギーおよび材料等の利用効率が低く、設備が高価である問題があった。
基材表面に、機能性材料の溶液を、インクジェット印刷、スクリーン印刷、マイクログラビア印刷等の方法でパターン形成する技術が、低コストおよび低エネルギーであるパターン形成方法として提案されている。機能性材料としては、金属配線を形成する金属粒子分散ペースト、カラーフィルタを形成する色素材料、電子デバイス・有機ディスプレイを形成するセラミック材料、有機半導体材料等が挙げられる。特に基材が、プラスチック基板等のフレキシブルな基板である場合には、上記方法とロールツーロールを組み合わせる方法が提案されている。
基材表面に、機能性材料の溶液を、インクジェット印刷、スクリーン印刷、マイクログラビア印刷等の方法でパターン形成する技術が、低コストおよび低エネルギーであるパターン形成方法として提案されている。機能性材料としては、金属配線を形成する金属粒子分散ペースト、カラーフィルタを形成する色素材料、電子デバイス・有機ディスプレイを形成するセラミック材料、有機半導体材料等が挙げられる。特に基材が、プラスチック基板等のフレキシブルな基板である場合には、上記方法とロールツーロールを組み合わせる方法が提案されている。
基板表面に、特性の異なるパターンを形成して微細デバイスを作製する方法が提案されている。たとえば、基板表面に親液性領域と撥液性領域とを形成し、機能性材料の溶液を親液性領域に塗布する方法がある。この方法では、親液性領域で溶液が濡れ広がり、撥液性領域にはにじみ出ないことから、親液性領域と撥液性領域のパターンに応じた機能性材料のパターンが形成できる。
基材表面に親液性領域と撥液性領域とを形成する方法としては、具体的には、親液性表面に撥液性物質を塗布して薄膜を形成し、光照射により該撥液性物質を分解し、つぎに除去する方法が挙げられる。該方法で得られた基材は、光照射部位のみが親液性表面になる(特許文献1参照。)。
薄膜パターンを形成する基板上の薄膜は、単分子程度の膜厚であるのが好ましく、自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer。以下略してSAMと記す。)が好ましい。SAMの分解・除去方法としては、紫外線を用いた方法が好ましいとされている。しかし、紫外線としては、200nm以下の高エネルギー線が用いられるため、薄膜パターンに有機物を用いる場合には、有機物までもが分解する問題があった。
長波長の紫外線を用いる方法としては、光触媒と撥水性化合物を用いる方法も知られているが、該方法においても、他の有機物を分解する問題がある(特許文献2参照。)。
300nm以上の光で効率的に分解する薄膜形成材料として光分解性含フッ素化合物が知られているが、通常の条件下では、長時間の光照射する必要があった(特許文献3参照。)。
基材表面に親液性領域と撥液性領域とを形成する方法としては、具体的には、親液性表面に撥液性物質を塗布して薄膜を形成し、光照射により該撥液性物質を分解し、つぎに除去する方法が挙げられる。該方法で得られた基材は、光照射部位のみが親液性表面になる(特許文献1参照。)。
薄膜パターンを形成する基板上の薄膜は、単分子程度の膜厚であるのが好ましく、自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer。以下略してSAMと記す。)が好ましい。SAMの分解・除去方法としては、紫外線を用いた方法が好ましいとされている。しかし、紫外線としては、200nm以下の高エネルギー線が用いられるため、薄膜パターンに有機物を用いる場合には、有機物までもが分解する問題があった。
長波長の紫外線を用いる方法としては、光触媒と撥水性化合物を用いる方法も知られているが、該方法においても、他の有機物を分解する問題がある(特許文献2参照。)。
300nm以上の光で効率的に分解する薄膜形成材料として光分解性含フッ素化合物が知られているが、通常の条件下では、長時間の光照射する必要があった(特許文献3参照。)。
従来の光分解反応は、高エネルギーである短波長の光を用いるため、分解反応の制御が困難、真空設備が必要になる、等の問題がある。一方長波長の光では膜の分解反応時間が長くなる問題がある。よって、本発明の目的は、従来技術が有する前述の光分解反応の欠点を解消し、短工程で、安価な装置を用いて実施でき、かつ、長波長の光を用いた単時間の分解反応による光処理基材の製造方法の提供にある。
発明者らは、光分解性材料を液体に接触させて分解させた後に光照射することにより、上記課題を解決することができることを見出した。本発明の要旨は以下のとおりである。
1.光照射によって分解して撥水親水性が変化する光分解性材料からなる薄膜(A)が基材表面に形成した処理基材を得て、
ついで該薄膜(A)の最表面に液体(B)を接触させ、
ついで該薄膜(A)に光照射することによって光照射部の光分解性材料を分解し、薄膜(A)の光照射部の撥水親水性が変化して撥水性および/または親水性の薄膜になった光処理基材を得ることを特徴とする、
光処理基材の製造方法。
2.薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、基材表面に形成した薄膜(A)の最表面に液体(B)からなる層を形成することにより行う上記1に記載の光処理基材の製造方法。
3.薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、処理基材を液体(B)中に浸漬することにより行い、ついで処理基材を液体(B)に浸漬したまま光照射することによって光照射部の光分解性材料の分解を行う、上記1に記載の光処理基材の製造方法。
4.薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、回転塗布、浸漬塗布、はけ塗り、流し塗り、スキージ塗布、スプレー塗布および手塗りから選ばれる塗布方法によって、薄膜(A)表面に液体(B)を塗布することにより行う上記1に記載の光処理基材の製造方法。
5.薄膜(A)が撥水性であり、光照射部が親水性の薄膜になる上記1〜4のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
6.薄膜(A)が撥水性であり、液体(B)が25℃における表面張力が40mN/m以下である液体である、上記4または5に記載の光処理基材の製造方法。
7.液体(B)が、界面活性剤を含有する水である、上記6に記載の光処理基材の製造方法。
8.光分解性材料からなる薄膜(A)が、下式(1)で表される含フッ素化合物、該含フッ素化合物の加水分解物、および該含フッ素化合物の部分加水分解縮合物から選ばれる1種以上の化合物、を基材表面に塗布することにより形成される撥水性の薄膜であり、該薄膜の光照射部が親水性の薄膜になる上記1〜7のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
1.光照射によって分解して撥水親水性が変化する光分解性材料からなる薄膜(A)が基材表面に形成した処理基材を得て、
ついで該薄膜(A)の最表面に液体(B)を接触させ、
ついで該薄膜(A)に光照射することによって光照射部の光分解性材料を分解し、薄膜(A)の光照射部の撥水親水性が変化して撥水性および/または親水性の薄膜になった光処理基材を得ることを特徴とする、
光処理基材の製造方法。
2.薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、基材表面に形成した薄膜(A)の最表面に液体(B)からなる層を形成することにより行う上記1に記載の光処理基材の製造方法。
3.薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、処理基材を液体(B)中に浸漬することにより行い、ついで処理基材を液体(B)に浸漬したまま光照射することによって光照射部の光分解性材料の分解を行う、上記1に記載の光処理基材の製造方法。
4.薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、回転塗布、浸漬塗布、はけ塗り、流し塗り、スキージ塗布、スプレー塗布および手塗りから選ばれる塗布方法によって、薄膜(A)表面に液体(B)を塗布することにより行う上記1に記載の光処理基材の製造方法。
5.薄膜(A)が撥水性であり、光照射部が親水性の薄膜になる上記1〜4のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
6.薄膜(A)が撥水性であり、液体(B)が25℃における表面張力が40mN/m以下である液体である、上記4または5に記載の光処理基材の製造方法。
7.液体(B)が、界面活性剤を含有する水である、上記6に記載の光処理基材の製造方法。
8.光分解性材料からなる薄膜(A)が、下式(1)で表される含フッ素化合物、該含フッ素化合物の加水分解物、および該含フッ素化合物の部分加水分解縮合物から選ばれる1種以上の化合物、を基材表面に塗布することにより形成される撥水性の薄膜であり、該薄膜の光照射部が親水性の薄膜になる上記1〜7のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
ただし、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、または加水分解性の基を持たない1価有機基を示し、かつ、4つの基のうち少なくとも1つは、RF基を部分構造とする基またはRF基を示す(ただし、RF基は、アルキル基、アルケニル基、エーテル性酸素原子を有するアルキル基、およびエーテル性酸素原子を有するアルケニル基から選ばれる基中に存在する水素原子の2個以上がフッ素置換された基を示す。)。
R5は、水素原子または加水分解性基を持たない1価有機基を示す。
R6は、加水分解性基、または、加水分解性基を部分構造として持つ1価有機基を示す。
Aは、光照射により分解する連結基。
9.R6が、加水分解性シリル基、または、加水分解性シリルを部分構造として持つである上記8記載の光処理基材の製造方法。
10.光照射を波長250nm以上の光を照射することにより行う上記1〜9のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、または加水分解性の基を持たない1価有機基を示し、かつ、4つの基のうち少なくとも1つは、RF基を部分構造とする基またはRF基を示す(ただし、RF基は、アルキル基、アルケニル基、エーテル性酸素原子を有するアルキル基、およびエーテル性酸素原子を有するアルケニル基から選ばれる基中に存在する水素原子の2個以上がフッ素置換された基を示す。)。
R5は、水素原子または加水分解性基を持たない1価有機基を示す。
R6は、加水分解性基、または、加水分解性基を部分構造として持つ1価有機基を示す。
Aは、光照射により分解する連結基。
9.R6が、加水分解性シリル基、または、加水分解性シリルを部分構造として持つである上記8記載の光処理基材の製造方法。
10.光照射を波長250nm以上の光を照射することにより行う上記1〜9のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
本発明の光処理基材の製造方法によれば、光分解性材料を液体に接触させて光分解反応を行うことにより、反応が促進され、短時間で反応が進行する。よって、長波長の光によっても容易に薄膜の分解反応を実施できる。その結果、短工程で、安価な装置を用いた光処理基材の製造ができる。
本発明における薄膜(A)は、光照射によって分解して撥水親水性が変化する光分解性材料からなる。撥水親水性が変化するとは、光照射前の薄膜(A)が撥水性である場合、光照射後の薄膜(A)が親水性に変化することをいい、光照射前の薄膜(A)が親水性である場合、光照射後の薄膜(A)が撥水性に変化することをいう。本発明においては、薄膜(A)が前者のように変化するのが好ましい。
ここで、撥水親水性は、水に対する接触角により評価できる。ここで接触角とは、実施例に記載の方法により測定される値である。
ここで、撥水親水性は、水に対する接触角により評価できる。ここで接触角とは、実施例に記載の方法により測定される値である。
光照射前の薄膜(A)が撥水性である場合には、薄膜(A)表面の水に対する接触角が、90度以上である場合が好ましく、100度以上である場合より好ましく、105度以上である場合が最も好ましい。光照射後の薄膜(A)が親水性になる場合には、該薄膜表面の水に対する接触角が、前記と同じ条件において60度以下である場合が好ましく、40度以下である場合がより好ましく、20度以下である場合が最も好ましい。
光照射前の薄膜(A)が親水性である場合には、薄膜(A)表面の水に対する接触角が、60度以下である場合が好ましく、40度以下である場合がより好ましく、20度以下である場合が最も好ましい。光照射後の薄膜(A)が撥水性になる場合には、該薄膜表面の水に対する接触角が90度以上である場合が好ましく、100度以上である場合がより好ましく、105度以上である場合が最も好ましい。
光照射前の薄膜(A)が親水性である場合には、薄膜(A)表面の水に対する接触角が、60度以下である場合が好ましく、40度以下である場合がより好ましく、20度以下である場合が最も好ましい。光照射後の薄膜(A)が撥水性になる場合には、該薄膜表面の水に対する接触角が90度以上である場合が好ましく、100度以上である場合がより好ましく、105度以上である場合が最も好ましい。
本発明において撥水親水性が変化するとは、光照射前後において、水に対する接触角の差が生じることをいう。該接触角の差は、30度以上であることが好ましく、50度以上がより好ましく、60度以上が特に好ましい。30度以上の差があれば、親水性領域または撥水性領域のみを、所望の液性の溶液で覆うことができる。たとえば、本発明の方法で得た光処理基材表面に、金属配線を形成するための金属粒子分散ペースト、カラーフィルタを形成するための色素材料、電子デバイス・有機ディスプレイを形成するためのセラミック材料、または有機半導体材料等の機能性材料を含む溶液として塗布できる。通常は該溶液の表面張力は、基材表面の親水性領域の表面張力よりも小さく、撥水性領域の表面張力よりも大きいことから、基材表面の親水性の領域にのみ濡れ広げることができる。
薄膜(A)の厚さは、100nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、5nm以下が特に好ましい。該膜厚の薄膜(A)であると、光照射時に光が効率よく吸収され、分解反応が効率よく進行する利点がある。
本発明における薄膜(A)は処理基材の最表面に形成される。薄膜(A)は基材の表面に接して形成していてもよく、基材上に形成された1または2以上の中間層を介して形成していてもよい。中間層としては、本発明における光照射によって、光分解しない材料からなる層であるのが好ましい。基材の材質としては、ガラス、石英ガラス、シリコンウェハ、プラスチック板、または金属板等が好ましい。また、中間層としては、金属薄膜が好ましい。
本発明における薄膜(A)は処理基材の最表面に形成される。薄膜(A)は基材の表面に接して形成していてもよく、基材上に形成された1または2以上の中間層を介して形成していてもよい。中間層としては、本発明における光照射によって、光分解しない材料からなる層であるのが好ましい。基材の材質としては、ガラス、石英ガラス、シリコンウェハ、プラスチック板、または金属板等が好ましい。また、中間層としては、金属薄膜が好ましい。
本発明における光分解性材料としては、光吸収により分解する部分構造を必須とする有機材料が好ましい。
薄膜(A)が光照射前に撥水性である場合には、光照射により分解する部分構造と、撥水性を発揮する部分構造とを必須とする有機材料が好ましい。該有機材料は光照射後に親水性になるが、親水性を発揮する部分構造は、光照射により形成されても、光照射前から存在していてもよく、光照射により形成される構造であるのが好ましい。
薄膜(A)が光照射前に親水性である場合には、光照射により分解する部分構造と、親水性を発揮する部分構造とを必須とする有機材料が好ましい。該有機材料は光照射後に撥水性になるが、撥水性を発揮する部分構造は、光照射により形成されても、光照射前から存在していてもよく、光照射前から存在する構造であるのが好ましい。
薄膜(A)が光照射前に撥水性である場合には、光照射により分解する部分構造と、撥水性を発揮する部分構造とを必須とする有機材料が好ましい。該有機材料は光照射後に親水性になるが、親水性を発揮する部分構造は、光照射により形成されても、光照射前から存在していてもよく、光照射により形成される構造であるのが好ましい。
薄膜(A)が光照射前に親水性である場合には、光照射により分解する部分構造と、親水性を発揮する部分構造とを必須とする有機材料が好ましい。該有機材料は光照射後に撥水性になるが、撥水性を発揮する部分構造は、光照射により形成されても、光照射前から存在していてもよく、光照射前から存在する構造であるのが好ましい。
親水性を発揮する部分構造としては、−OH、−NH2、−NH(CH3)、−COOH、−C(=O)NH2、−SO3H,−SH、等の親水性基が挙げられる。
光照射により分解する部分構造としては、エーテル性酸素原子(−O−)、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)O−、−OSO2−、−OC(=O)NH−、または−S−等が挙げられる。これらの基は、分解反応により親水性の基に変換される。たとえば、−O−はOHに、−NH−は−NH2に、−N(CH3)−は−NH(CH3)に、−C(=O)O−は―COOHに、−NHC(=O)−は−C(=O)NH2に、―OSO2−は−SO3Hに、−OC(=O)NH−は(脱CO2を伴い)−NH2に、−S−は−SHに変化する。上記部分構造の中でも、−O−、−NH−、−C(=O)O−、−OSO2−が好ましく、光照射後の薄膜が親水性に優れた薄膜となりうることから−C(=O)O−、−OSO2−が特に好ましい。なおこれらの基の向きは該基に両端に結合する構造に応じて適宜変更されうる。
光照射により分解する部分構造としては、エーテル性酸素原子(−O−)、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)O−、−OSO2−、−OC(=O)NH−、または−S−等が挙げられる。これらの基は、分解反応により親水性の基に変換される。たとえば、−O−はOHに、−NH−は−NH2に、−N(CH3)−は−NH(CH3)に、−C(=O)O−は―COOHに、−NHC(=O)−は−C(=O)NH2に、―OSO2−は−SO3Hに、−OC(=O)NH−は(脱CO2を伴い)−NH2に、−S−は−SHに変化する。上記部分構造の中でも、−O−、−NH−、−C(=O)O−、−OSO2−が好ましく、光照射後の薄膜が親水性に優れた薄膜となりうることから−C(=O)O−、−OSO2−が特に好ましい。なおこれらの基の向きは該基に両端に結合する構造に応じて適宜変更されうる。
撥水性を発揮する部分構造としては、フッ素原子を有する基または長鎖のアルキル基が好ましく、フッ素原子を有する基が好ましい。
フッ素原子を有する基としては、フッ素原子を有する炭化水素基、炭素−炭素単結合間にエーテル性酸素原子が挿入された炭化水素基、または、炭素−炭素単結合間にチオエーテル性のイオウ原子が挿入された炭化水素基が挙げられる。フッ素原子を有する炭化水素基は、飽和の基であっても、不飽和の基であってもよい。またフッ素原子を有する基の構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または部分的に環を有する構造が挙げられ、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分の炭素原子数は1〜4が好ましい。
フッ素原子を有する基としては、1価の基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、エーテル性酸素原子を有するアルキル基、およびエーテル性酸素原子を有するアルケニル基から選ばれる基(以下、該基をR基という。)中に存在する水素原子の1個以上がフッ素置換された基(以下、該基をRF基という)が特に好ましい。RF基は、R基がフッ素原子とフッ素原子以外のハロゲン原子とで置換された基であってもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
フッ素原子を有する基としては、フッ素原子を有する炭化水素基、炭素−炭素単結合間にエーテル性酸素原子が挿入された炭化水素基、または、炭素−炭素単結合間にチオエーテル性のイオウ原子が挿入された炭化水素基が挙げられる。フッ素原子を有する炭化水素基は、飽和の基であっても、不飽和の基であってもよい。またフッ素原子を有する基の構造は、直鎖構造、分岐構造、環構造、または部分的に環を有する構造が挙げられ、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分の炭素原子数は1〜4が好ましい。
フッ素原子を有する基としては、1価の基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、エーテル性酸素原子を有するアルキル基、およびエーテル性酸素原子を有するアルケニル基から選ばれる基(以下、該基をR基という。)中に存在する水素原子の1個以上がフッ素置換された基(以下、該基をRF基という)が特に好ましい。RF基は、R基がフッ素原子とフッ素原子以外のハロゲン原子とで置換された基であってもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
RF基中のフッ素原子数は、((RF基中のフッ素原子数)/(R基中の水素原子数))×100(%)の値が60%以上となる数が好ましく、特に80%以上となる数が好ましい。RF基は、前記のR基の水素原子が1個以上がフッ素原子のみで置換された基であるのが好ましく、該R基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基(すなわち、R基がペルフルオロ化された基。以下、該基をRFF基と記す。)が好ましい。
RF基の炭素原子数は1〜20が好ましく、4〜16がより好ましく、6〜12が特に好ましい。炭素原子数が該範囲であると、優れた撥水性を発揮する利点がある。
RF基としては、CnF2n+1−、CnF2n−1−、CClF2Cn−1F2n−2−、またはCpF2p+1O(CqF2qO)sCrF2r−で表されるRFF基、およびCHF2Cn−1F2n−2−で表されるRF基が好ましく、該RFF基が特に好ましい。ただし、nは1〜20の整数を示し、4〜16の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。pは1〜3の整数、qは2または3、rは1〜3の整数、sは0〜4の整数であることが好ましい。
RF基の炭素原子数は1〜20が好ましく、4〜16がより好ましく、6〜12が特に好ましい。炭素原子数が該範囲であると、優れた撥水性を発揮する利点がある。
RF基としては、CnF2n+1−、CnF2n−1−、CClF2Cn−1F2n−2−、またはCpF2p+1O(CqF2qO)sCrF2r−で表されるRFF基、およびCHF2Cn−1F2n−2−で表されるRF基が好ましく、該RFF基が特に好ましい。ただし、nは1〜20の整数を示し、4〜16の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。pは1〜3の整数、qは2または3、rは1〜3の整数、sは0〜4の整数であることが好ましい。
RF基の具体例としては、以下の基が挙げられる。
F(CF2)4−、F(CF2)6−、F(CF2)8−、CF3CF2CF=CF−、CF3CF2CF2CF2CF=CF−、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF=CF−、HCF2CF2CF2CF2−、HCF2CF2CF2CF2CF2CF2−、HCF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2−、ClCF2CF2CF2CF2−、ClCF2CF2CF2CF2CF2CF2−、ClCF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2−。
CF3CF2OCF2CF2OCF2−、CF3CF2OCF2CF2OCF2CF2−、CF3CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2−、CF3CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2−。
CF3CF2CF2OCF2−、CF3CF2CF2OCF2CF2−、CF3CF2CF2OCF(CF3)−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF2CF2−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2−。CF3CF2CF2OCF=CF−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF−。
F(CF2)4−、F(CF2)6−、F(CF2)8−、CF3CF2CF=CF−、CF3CF2CF2CF2CF=CF−、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF=CF−、HCF2CF2CF2CF2−、HCF2CF2CF2CF2CF2CF2−、HCF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2−、ClCF2CF2CF2CF2−、ClCF2CF2CF2CF2CF2CF2−、ClCF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2−。
CF3CF2OCF2CF2OCF2−、CF3CF2OCF2CF2OCF2CF2−、CF3CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2−、CF3CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2−。
CF3CF2CF2OCF2−、CF3CF2CF2OCF2CF2−、CF3CF2CF2OCF(CF3)−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF2CF2−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2−。CF3CF2CF2OCF=CF−、CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF−。
本発明における光分解性材料からなる薄膜(A)は、下式(1)で表される含フッ素化合物、該含フッ素化合物の加水分解物、および該含フッ素化合物の部分加水分解縮合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、化合物(1)と記す。)、または化合物(1)と他の成分を含む組成物が基材表面に処理されることによって形成する薄膜が好ましい。化合物(1)は基材表面に処理されると、分子間、他の成分、または基材や中間層表面の反応性基と反応して、膜を形成する化合物である。
ただし、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、または加水分解性の基を持たない1価有機基を示し、かつ、4つの基のうち少なくとも1つは、RF基を部分構造とする基またはRF基を示す。
R5は、水素原子または加水分解性基を持たない1価有機基を示す。
R6は、加水分解性基、または、加水分解性基を部分構造として持つ1価有機基を示す。
Aは、光照射により分解する連結基を示す。
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、または加水分解性の基を持たない1価有機基を示し、かつ、4つの基のうち少なくとも1つは、RF基を部分構造とする基またはRF基を示す。
R5は、水素原子または加水分解性基を持たない1価有機基を示す。
R6は、加水分解性基、または、加水分解性基を部分構造として持つ1価有機基を示す。
Aは、光照射により分解する連結基を示す。
化合物(1)中の基のうち、R1〜R4の少なくとも1つは撥水性を発揮する基である。撥水性を発揮する基が、RF基を部分構造とする基である場合には、式RF−B−で表される基(RFは前述のRF基を示し、Bはフッ素原子を含まない2価連結基を示す。)が好ましく、式RFF−B−で表される基(RFFは前述のRFF基を示す。)が特に好ましい。Bは、RF基またはRFF基とベンゼン環を連結する基である。
Bとしては、(飽和または不飽和の)2価炭化水素基、または、該2価炭化水素基の片末端に、エーテル性酸素原子、(置換または非置換の)イミノ結合、エステル結合、ケト基(−C(O)−)もしくは(置換または非置換の)アミド結合が結合した基が好ましい。これらのうち、ベンゼン環と結合するBの原子が、エーテル性酸素原子、窒素原子、カルボニル炭素原子、または不飽和炭素原子である場合には、ベンゼン環と共鳴構造をとり、化合物(1)の光吸収特性を向上できるため好ましい。
Bの具体例としては、−CH=CH−、−CH2CH=CH−、または−CH2CH2CH=CH−、−(CH2)tO−、−(CH2)tNH−、−(CH2)tN(CH3)−、−(CH2)tOC(=O)−、−(CH2)tC(=O)O−、−(CH2)tC(=O)−、−(CH2)tC(=O)NH−で表される基が好ましい。ただし、tは0〜4の整数を示す。これらのうちBとしては、−(CH2)tO−(tは1〜4の整数)がより好ましく、式−(CH2)3O−で表される基(ただし、該基はO−でベンゼン環と連結することを示す。)が特に好ましい。
さらに、式RFF−B−で表される基としては、式CnF2n+1(CH2)tO−で表される基が特に好ましい。ただし、nは1〜20の整数を示し、4〜16が好ましく、6〜12が特に好ましい。tは前記と同じ意味を示す。
Bの具体例としては、−CH=CH−、−CH2CH=CH−、または−CH2CH2CH=CH−、−(CH2)tO−、−(CH2)tNH−、−(CH2)tN(CH3)−、−(CH2)tOC(=O)−、−(CH2)tC(=O)O−、−(CH2)tC(=O)−、−(CH2)tC(=O)NH−で表される基が好ましい。ただし、tは0〜4の整数を示す。これらのうちBとしては、−(CH2)tO−(tは1〜4の整数)がより好ましく、式−(CH2)3O−で表される基(ただし、該基はO−でベンゼン環と連結することを示す。)が特に好ましい。
さらに、式RFF−B−で表される基としては、式CnF2n+1(CH2)tO−で表される基が特に好ましい。ただし、nは1〜20の整数を示し、4〜16が好ましく、6〜12が特に好ましい。tは前記と同じ意味を示す。
化合物(1)中のRF基は、入手容易性および経済性の観点からは1個が好ましいことから、R1〜R4の1個がRF基またはRF基を部分構造とする基であり、残余のR1〜R4はRF基を含有しない基であるのが好ましい。
R1〜R4が、RF基を含有しない基である場合には、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ニトロ基、またはシアノ基が好ましい。特に、R1〜R4が、水素原子、アルコキシ基、およびニトロ基から選ばれる2種または3種の基であるのが好ましい。R1〜R4が、アルコキシ基またはニトロ基である場合には、ベンゼン環と共鳴構造をとりうることから、前記と同様の理由で好ましい。またR1〜R4は水素原子を必須とするのが好ましい。R1〜R4は、2個が水素原子であり、残余の1個がRF基を部分構造とする基またはRF基であり、残余の1個がアルコキシ基であるのが好ましい。
R1〜R4の例としては、水素原子、−OCH3、−OCH2CH3、−OCH2CH2CH3、−OCH(CH3)2、−NH(CH3)、−N(CH3)2、−CN、−C(=O)OH、−C(=O)OCH3、−OC(=O)CH3、−NHC(=O)CH3、または−N(CH3)C(=O)CH3等が好ましい。
R1〜R4が、RF基を含有しない基である場合には、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、ニトロ基、またはシアノ基が好ましい。特に、R1〜R4が、水素原子、アルコキシ基、およびニトロ基から選ばれる2種または3種の基であるのが好ましい。R1〜R4が、アルコキシ基またはニトロ基である場合には、ベンゼン環と共鳴構造をとりうることから、前記と同様の理由で好ましい。またR1〜R4は水素原子を必須とするのが好ましい。R1〜R4は、2個が水素原子であり、残余の1個がRF基を部分構造とする基またはRF基であり、残余の1個がアルコキシ基であるのが好ましい。
R1〜R4の例としては、水素原子、−OCH3、−OCH2CH3、−OCH2CH2CH3、−OCH(CH3)2、−NH(CH3)、−N(CH3)2、−CN、−C(=O)OH、−C(=O)OCH3、−OC(=O)CH3、−NHC(=O)CH3、または−N(CH3)C(=O)CH3等が好ましい。
R5は、−A−R6とベンゼン環を連結する−CHR5−なる2価基を形成する基であり、水素原子が好ましい。R5が1価有機基である場合は、低級アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
Aは、光照射により分解する部分構造のうち、分解によって親水性基に変化する基が好ましく−O−、−NH−、−N(CH3)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−、−OC(=O)NH−、−OSO2−が挙げられ、−OC(=O)−が好ましい。なお、該基(A)の向きは、右側にR6が、左側にCHR5が結合する。Aが−OC(=O)−である場合には、光分解後の薄膜が親水性に優れた薄膜となりうる。
Aは、光照射により分解する部分構造のうち、分解によって親水性基に変化する基が好ましく−O−、−NH−、−N(CH3)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−、−OC(=O)NH−、−OSO2−が挙げられ、−OC(=O)−が好ましい。なお、該基(A)の向きは、右側にR6が、左側にCHR5が結合する。Aが−OC(=O)−である場合には、光分解後の薄膜が親水性に優れた薄膜となりうる。
R6中の加水分解性基は、基材に処理したときに薄膜(A)を形成させる基である。加水分解性基としては、加水分解性シリル基が好ましい。加水分解性シリル基としては、Siに加水分解性の官能基(X)が1〜3個結合した基が好ましく、式−Si(R62)3−mXmで表される基が特に好ましい。R6部分の構造は基材の種類等に応じて適宜変更できる。基材の種類によっては、R6が加水分解性基以外の基である化合物の使用も考えられる。たとえば基材が金である場合にはR6が−SH基を有する化合物の使用も考えられるが、本発明においては、種々の基材に対して汎用性があり、かつ本発明の目的を有効に達成しうることから、R6が加水分解性基を有する基、特に好ましくは加水分解性シリル基を有する基である化合物を使用する。
Xとしては、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、イソシアネート基、ハロゲン原子が好ましく、ハロゲン原子(特に塩素原子)またはアルコキシ基がより好ましく、化合物(1)のハンドリングがよいことからアルコキシ基が最も好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。mはSiに結合する加水分解性の官能基(X)の数を示し、該数が多いほど基材に対する薄膜の密着性が優れることから、mは2または3が好ましく、3が特に好ましい。すなわち、式−Si(R62)3−mXmで表される基は、トリアルコキシシリル基が好ましい。R62は、低級アルキル基が好ましく、メチル基が好ましい。
R6中の加水分解性基は、Aと直接連結、または、2価の連結基を介してAと連結、するのが好ましく、後者の場合が好ましい。加水分解性基が2価の連結基を介してAと連結する場合のR6の具体例としては、−R61−Si(R62)3−mXmで表される基が好ましい。R61としては炭素数1〜10のアルキレン基、または該アルキレン基の炭素−炭素結合間に−C(=O)−または−NH−が挿入された基を示し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基が特に好ましい。アルキレン基としては、直鎖のアルキレン基が好ましい。R61は光分解反応後に光処理基材に残余する基であることから、R61の炭素数が多すぎると親水性が低下するおそれがある。
式(1)で表される含フッ素化合物としては、下記化合物(1−1)が好ましい。
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
R20:アルコキシ基を示す。
RF、B:前記と同じ意味を示す。
A1:−OC(=O)−を示す。
R61:炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
X:加水分解性基を示す。
R20:アルコキシ基を示す。
RF、B:前記と同じ意味を示す。
A1:−OC(=O)−を示す。
R61:炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
X:加水分解性基を示す。
式(1)で表される含フッ素化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。なお、以下において、メチル基をMe、エチル基をEtと表記する場合がある。
化合物(1)が加水分解物であるとは、式(1)中の加水分解性基の一部または全部を加水分解して水酸基に変換した化合物であることをいう。たとえば、式(1)中の加水分解性基が式−Si(R62)3−mXm(ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。)である場合には、加水分解性基であるXの一部または全部が水酸基に変換された化合物をいう。
化合物(1)が部分加水分解分解縮合物であるとは、前記の加水分解物である化合物(1)の水酸基の一部が分子間または他の化合物と加水分解縮合して形成する化合物をいう。部分分解縮合物は、化合物(1)の水酸基に由来する少なくとも1個の水酸基が存在する化合物である。他の化合物としては、水酸基と加水分解縮合する基を有する化合物(1)以外の化合物であり、後述する式SiX4(X4は加水分解性基または水酸基を示す。)で表される化合物が好ましい。
化合物(1)が部分加水分解分解縮合物であるとは、前記の加水分解物である化合物(1)の水酸基の一部が分子間または他の化合物と加水分解縮合して形成する化合物をいう。部分分解縮合物は、化合物(1)の水酸基に由来する少なくとも1個の水酸基が存在する化合物である。他の化合物としては、水酸基と加水分解縮合する基を有する化合物(1)以外の化合物であり、後述する式SiX4(X4は加水分解性基または水酸基を示す。)で表される化合物が好ましい。
化合物(1)を用いて薄膜(A)が基材表面に形成した処理基材を得る方法としては、基材表面に化合物(1)を付着させる公知の方法が適用できる。化合物(1)の使用に際しては、化合物(1)のみを用いてもよく、化合物(1)と化合物(1)と反応しうる他の化合物を併用してもよい。他の化合物としては、化合物(1)中の加水分解性基または水酸基と反応しうる基(以下、反応性基と記す。)、を有する化合物が好ましく、該反応性基がケイ素原子に直接結合した構造を有する化合物が特に好ましく、式SiX4(X4は前記と同じ意味を示す。)で表される化合物がとりわけ好ましい。該化合物の具体例としては、テトラクロロシラン、テトライソシアネートシラン、テトラアルコキシシランが好ましい。化合物(1)を基材表面に付着させることにより、化合物(1)がさらに加水分解縮合する、化合物(1)が基材と化学結合を形成する等が起こり、薄膜(A)が形成する。
化合物(1)は、溶媒に溶解させて溶液とするのが好ましい。化合物(1)を基材表面に付着する方法としては、化合物(1)を含む溶液を、基材表面に塗布する方法が好ましく、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、または手塗り等の塗布方法で塗布する方法が挙げられる。塗布は、室温下または加熱下で行うことが好ましい。また塗布後には、処理基材は、大気中または窒素気流中等で乾燥されることが好ましい。該乾燥は室温で行うのが好ましい。乾燥を加熱下で行う場合には、基材の材質の耐熱性によって温度および時間を適宜変更するのが好ましい。化合物(1)は化学気相蒸着で基材表面に付着させてもよい。
本発明方法の特徴は、薄膜(A)の最表面に液体(B)を接触させた状態で、薄膜(A)に光照射をすることにある。薄膜(A)表面に液体(B)を接触させた状態で光照射を行うと、薄膜(A)の光分解反応が促進し、短時間で分解反応が進行する。その理由は定かではないが、気相中で光照射を行う場合に比して、液体が分子間のエネルギー移動による消光現象を抑制した結果、照射に用いた光エネルギーが効率よく薄膜(A)に伝えられるため、と考えられる。
液体(B)としては、常温および常圧において液状であって、光照射に用いる光を吸収しない溶媒または光を吸収しにくい溶媒が好ましい。液体(B)の例としては、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アミン類、芳香族炭化水素類、パラフィン系炭化水素類、ハロゲン系溶媒が挙げられる。液体(B)は1種のみを用いても、2種以上を用いて粘度、極性、または沸点等を調節した混合液体であってもよい。液体(B)としては、水のみ、または水に他の液体を添加した液体が好ましく、環境面での観点から水のみが特に好ましい。
本発明における光照射の方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
方法1;薄膜(A)が形成された処理基材を液体(B)中に浸漬し、そのまま薄膜(A)に光照射する方法。
方法2;処理基材の薄膜(A)の最表面に液体(B)からなる層を形成し、薄膜(A)に光照射する方法。
方法2の場合には、処理基材表面に液体(B)の層を形成させた後に光照射を行うのが好ましい。液体(B)の層を形成させる方法としては、回転塗布、浸漬塗布、はけ塗り、流し塗り、スキージ塗布、スプレー塗布および手塗りから選ばれる塗布方法が好ましく、生産性に優れる回転塗布法または浸漬塗布法が特に好ましい。
方法1;薄膜(A)が形成された処理基材を液体(B)中に浸漬し、そのまま薄膜(A)に光照射する方法。
方法2;処理基材の薄膜(A)の最表面に液体(B)からなる層を形成し、薄膜(A)に光照射する方法。
方法2の場合には、処理基材表面に液体(B)の層を形成させた後に光照射を行うのが好ましい。液体(B)の層を形成させる方法としては、回転塗布、浸漬塗布、はけ塗り、流し塗り、スキージ塗布、スプレー塗布および手塗りから選ばれる塗布方法が好ましく、生産性に優れる回転塗布法または浸漬塗布法が特に好ましい。
処理基材表面の薄膜(A)が撥水性である場合には、液体(B)を薄膜上に保持しやすくするために、25℃における表面張力が40mN/m以下である液体(B)の使用が好ましい。該表面張力に調節するために、液体(B)には界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては特に限定されず、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種類以上を用いるのが好ましく、光を吸収する部位(芳香環等)を持たない界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤は、フッ素系であっても非フッ素系であってもよい。界面活性剤の量は液体(B)に対して5質量%以下が好ましい。
また、液体(B)に酸、塩基、またはそれらの塩を含ませてもよい。これらを含ませた場合には、分解反応が促進される傾向がある。酸としては特に限定されず、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸等の有機酸が挙げられる。また、塩基としては特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等が挙げられる。
また、液体(B)に酸、塩基、またはそれらの塩を含ませてもよい。これらを含ませた場合には、分解反応が促進される傾向がある。酸としては特に限定されず、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸等の有機酸が挙げられる。また、塩基としては特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等が挙げられる。
光照射に用いる光は、波長250nm以上の光が好ましく、波長300nm以上の光がより好ましく、波長350nm以上の光が特に好ましい。該波長の上限は400nmが好ましい。波長250nm以上の光は、基材を分解する恐れが少ない利点がある。また、従来の気相中での光分解反応では250nm以上の光は比較的長波長とされていたが、本発明では薄膜(A)上に存在する液体(B)によって適度な分解速度を維持することができる。気相反応では長波長の光では比較的長時間の照射が必要であるが、本発明における液相反応では長波長の光を用いても短時間で分解ができる。該照射時間は、光の波長、光の強度・光源の種類、薄膜(A)を形成する材料の種類等に応じて、適宜変更しうる。
光照射の光源には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、窒素等の気体レーザー、有機色素溶液の液体レーザー、無機単結晶に希土類イオンを含有させた固体レーザー等を用いることが好ましい。単色光を照射したい場合には、光源にレーザーを用いるのが好ましい。レーザ光以外の光源を用いて単色光を得たい場合には、広帯域の線スペクトルまたは連続スペクトルを、バンドパスフィルター、カットオフフィルター等の光学フィルターを使用して、必要な波長を有する光を取り出すのが好ましい。光源は、一度に大面積に照射できることから、高圧水銀ランプまたは超高圧水銀ランプが好ましい。
本発明においては、光照射することによって、薄膜(A)の光照射部の撥水親水性が変化する。光照射は、薄膜(A)の全面に行ってもよく、一部に行ってもよく、通常は一部に行う。光照射を薄膜(A)の一部に行うことにより、光照射面と非照射面との間に撥水親水性が異なる表面が形成する。光照射を薄膜の一部に行う方法としては、所定のパターンを有するフォトマスクを介して光照射を行う方法、レーザー光を用いて薄膜(A)の一部にのみ光照射を行う方法が挙げられ、前者の方法は、一度に大きな面積を照射できるため好ましい。
光照射は、基材が光照射に用いる光を透過する波長の光であれば、基材のどちらの面側から行ってもよく、通常は基材の薄膜(A)面側から液体(B)を介して光照射を行うのが好ましい。
光の照射時間は、光の波長および強度と薄膜(A)の種類により適宜変更されうる。通常は、気相中で照射を行う場合に比して照射量が1/5〜1/10程度となる時間で、薄膜(A)の接触角を変化させうる。
光照射は、基材が光照射に用いる光を透過する波長の光であれば、基材のどちらの面側から行ってもよく、通常は基材の薄膜(A)面側から液体(B)を介して光照射を行うのが好ましい。
光の照射時間は、光の波長および強度と薄膜(A)の種類により適宜変更されうる。通常は、気相中で照射を行う場合に比して照射量が1/5〜1/10程度となる時間で、薄膜(A)の接触角を変化させうる。
本発明により得られた光処理基材は、撥水性表面からなる、親水性表面からなる、または撥水性表面と親水性表面とからなる。このうち有用性の観点から、光処理基材は、撥水性表面と親水性表面とからなる光処理基材が好ましい。該光処理基材は、撥水性または親水性のパターンが基材表面に形成することから、該表面の撥水性領域には撥水性の機能性材料を、親水性領域には親水性の機能性材料を付着させ、様々な基材に応用できる。
たとえば、機能性材料として、親水性または撥水性のインクを用いインクジェット法を用いて本発明により得られた光処理基材に付着させた場合には、スタンプとなりうる。さらに撥水性または親水性のパターンを精密に形成した場合には、マイクロコンタクトプリンティング用のスタンプ等としても利用できる。また、機能性材料をインクジェット法または真空蒸着法等の方法で本発明の光処理基材に付着させた種々の機能を有する部材を製造することもできる。たとえば、金属配線を形成する金属粒子分散ペースト、カラーフィルタを形成する色素材料、電子デバイス・有機ディスプレイを形成するセラミック材料、有機半導体材料等を機能性材料として光処理基材に付着させることもできる。本発明において、基材としてプラスチック基板等のフレキシブル基板を用いた場合には、ロールツーロール法(Roll to Roll法)が実施できるように設置した複数のロールと、複数のロールの間に露光機を設置して基板への光照射を行うことにより、高スループットで光処理基材を得ることができる。また、本発明によれば、該光処理基材を長波長の光を用いて、短時間で製造できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例においては、ジクロロペンタフルオロプロパン(以下、R−225と記す。)としては、旭硝子社製商品名AK−225を用いた。水に対する接触角は、静滴法を用い基材に水滴(25℃)を3ケ所乗せ、25℃、1気圧の条件で測定した接触角3点の平均値として求めた。
実施例においては、ジクロロペンタフルオロプロパン(以下、R−225と記す。)としては、旭硝子社製商品名AK−225を用いた。水に対する接触角は、静滴法を用い基材に水滴(25℃)を3ケ所乗せ、25℃、1気圧の条件で測定した接触角3点の平均値として求めた。
[基材(Siウェハ基材)の製造方法]
5cm四方の酸化膜付Siウェハ基材を、5分間UVオゾン処理し、洗浄済みSiウェハを得た。洗浄済みSiウェハ表面の水に対する接触角は5度以下であった。
5cm四方の酸化膜付Siウェハ基材を、5分間UVオゾン処理し、洗浄済みSiウェハを得た。洗浄済みSiウェハ表面の水に対する接触角は5度以下であった。
[処理基材(撥水性基材)の製造方法]
ガラス製容器に下記化合物(a)の1質量部、トルエンの100質量部および洗浄済みSiウェハ基材を入れ100℃で1時間加熱した後、Siウェハ基材を取り出し、アセトンで5回、R−225で5回洗浄し風乾して基材(a)を作製した。得られた基材(a)の化合物(a)処理面の水に対する接触角は、106度の撥水性であった。
ガラス製容器に下記化合物(a)の1質量部、トルエンの100質量部および洗浄済みSiウェハ基材を入れ100℃で1時間加熱した後、Siウェハ基材を取り出し、アセトンで5回、R−225で5回洗浄し風乾して基材(a)を作製した。得られた基材(a)の化合物(a)処理面の水に対する接触角は、106度の撥水性であった。
[光照射]
光照射は、基材(a)の化合物(a)処理面上から超高圧水銀ランプを照射することにより行った。超高圧水銀ランプの300nm以下の波長の光はフィルタでカットした。照度は365nmにおいて100mW/cm2、254nmにおいて0mW/cm2とした。
光照射は、基材(a)の化合物(a)処理面上から超高圧水銀ランプを照射することにより行った。超高圧水銀ランプの300nm以下の波長の光はフィルタでカットした。照度は365nmにおいて100mW/cm2、254nmにおいて0mW/cm2とした。
[光照射試験(実施例1−16、比較例1)]
基材(a)をそれぞれ異なる容器に入れ、それぞれの容器に表1に示す液体を基材(a)の処理面より上に3mmの高さまで満たし、光照射を10秒間行った後にとり出した。つぎに、それぞれアセトンで5回洗浄、つぎにR−225で5回洗浄し、風乾した後に、接触角測定を行った。同様に光照射を60秒間、120秒間、300秒間行った光処理基材(a)においても洗浄、風乾、接触角測定を行った。比較例1は、液を入れずに光照射を行うこと以外は、同様に洗浄と接触角測定を行った。各光処理基材について、光照射時間毎の接触角測定結果を表1にまとめて示す。なお、表中のDMFはジメチルホルムアミドを、IPAは2−プロパノールを示し、サーフロンS−111は旭硝子社製アニオン性フッ素系界面活性剤の商品名である。
基材(a)をそれぞれ異なる容器に入れ、それぞれの容器に表1に示す液体を基材(a)の処理面より上に3mmの高さまで満たし、光照射を10秒間行った後にとり出した。つぎに、それぞれアセトンで5回洗浄、つぎにR−225で5回洗浄し、風乾した後に、接触角測定を行った。同様に光照射を60秒間、120秒間、300秒間行った光処理基材(a)においても洗浄、風乾、接触角測定を行った。比較例1は、液を入れずに光照射を行うこと以外は、同様に洗浄と接触角測定を行った。各光処理基材について、光照射時間毎の接触角測定結果を表1にまとめて示す。なお、表中のDMFはジメチルホルムアミドを、IPAは2−プロパノールを示し、サーフロンS−111は旭硝子社製アニオン性フッ素系界面活性剤の商品名である。
[光照射試験(実施例17−18、比較例2)]
基材(a)をそれぞれ異なる容器に入れ、それぞれの容器に表2に示す液体を基材が充分に浸るまで満たし、10秒後に取り出した後に、液膜面上部からの光照射を行った。つぎに、光照射後の基材(a)を、水で5回洗浄し、アセトンで5回洗浄し、R−225で5回洗浄した後、風乾して接触角測定を行った。比較例2は、液に浸漬せずに光照射を行うこと以外は、同様に洗浄と接触角測定を行った。液体の25℃における表面張力(単位:mN/m)と、各光処理基材についての光照射時間毎の接触角測定結果を表2にまとめて示す。
基材(a)をそれぞれ異なる容器に入れ、それぞれの容器に表2に示す液体を基材が充分に浸るまで満たし、10秒後に取り出した後に、液膜面上部からの光照射を行った。つぎに、光照射後の基材(a)を、水で5回洗浄し、アセトンで5回洗浄し、R−225で5回洗浄した後、風乾して接触角測定を行った。比較例2は、液に浸漬せずに光照射を行うこと以外は、同様に洗浄と接触角測定を行った。液体の25℃における表面張力(単位:mN/m)と、各光処理基材についての光照射時間毎の接触角測定結果を表2にまとめて示す。
表1および表2に示すとおり、本発明の方法では、基材(a)表面に液体を接触させて光照射を行うことにより短時間で30度以上の接触角が変化した。
[パターニング試験]
基材(a)の化合物(a)処理面にフォトマスク(ライン/スペース=10μm/10μm)を重ね合わせ、基材とフォトマスク間に50質量%の2−プロパノール水溶液をピペットで注入した。つぎに、フォトマスク側から超高圧水銀ランプで5分間照射した。つぎに、フォトマスクをはがし、アセトンで5回洗浄、さらにR−225で5回洗浄した後、風乾した。サンプル表面を観察したSEM像において、幅10μmの明暗パターンの形成が確認できた。SEM像を図1に示す。
基材(a)の化合物(a)処理面にフォトマスク(ライン/スペース=10μm/10μm)を重ね合わせ、基材とフォトマスク間に50質量%の2−プロパノール水溶液をピペットで注入した。つぎに、フォトマスク側から超高圧水銀ランプで5分間照射した。つぎに、フォトマスクをはがし、アセトンで5回洗浄、さらにR−225で5回洗浄した後、風乾した。サンプル表面を観察したSEM像において、幅10μmの明暗パターンの形成が確認できた。SEM像を図1に示す。
本発明によれば、従来の方法よりも、短時間の光照射で撥水親水性の表面を有する光処理基材を得ることができる。フォトマスク光やレーザー光を用いて光照射を行った場合には、撥水性と親水性の表面がパターン形成してなる光処理基材が得られる。該処理基材にインクジェットプリンティングにより機能性材料を噴射すると、通常は親水性領域に機能性材料の鮮明なパターンが形成できる。さらに、親水性領域または撥水性領域に親水性または撥水性のインクを含ませ、別の基材に転写することにより、マイクロコンタクトプリンティング用のスタンプ等として利用できる。
また、該処理基材にインクジェットプリンティングまたは真空蒸着等の手法で、親水性領域または撥水性領域のみに機能性材料を蒸着させることによっても、機能性材料のパターンが形成された基材が得られる。得られた基材は、金属配線板として、カラーフィルタとして、電子デバイス・有機ディスプレイ用材料として、有機半導体材料等として有用である。
また、該処理基材にインクジェットプリンティングまたは真空蒸着等の手法で、親水性領域または撥水性領域のみに機能性材料を蒸着させることによっても、機能性材料のパターンが形成された基材が得られる。得られた基材は、金属配線板として、カラーフィルタとして、電子デバイス・有機ディスプレイ用材料として、有機半導体材料等として有用である。
Claims (10)
- 光照射によって分解して撥水親水性が変化する光分解性材料からなる薄膜(A)が基材表面に形成した処理基材を得て、
ついで該薄膜(A)の最表面に液体(B)を接触させ、
ついで該薄膜(A)に光照射することによって光照射部の光分解性材料を分解し、薄膜(A)の光照射部の撥水親水性が変化して撥水性および/または親水性の薄膜になった光処理基材を得ることを特徴とする、
光処理基材の製造方法。 - 薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、基材表面に形成した薄膜(A)の最表面に液体(B)からなる層を形成することにより行う請求項1に記載の光処理基材の製造方法。
- 薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、処理基材を液体(B)中に浸漬することにより行い、ついで処理基材を液体(B)に浸漬したまま光照射することによって光照射部の光分解性材料の分解を行う、請求項1に記載の光処理基材の製造方法。
- 薄膜(A)の最表面への液体(B)の接触を、回転塗布、浸漬塗布、はけ塗り、流し塗り、スキージ塗布、スプレー塗布および手塗りから選ばれる塗布方法によって、薄膜(A)表面に液体(B)を塗布することにより行う請求項1に記載の光処理基材の製造方法。
- 薄膜(A)が撥水性であり、光照射部が親水性の薄膜になる請求項1〜4のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
- 薄膜(A)が撥水性であり、液体(B)が25℃における表面張力が40mN/m以下である液体である、請求項4または5に記載の光処理基材の製造方法。
- 液体(B)が、界面活性剤を含有する水である、請求項6に記載の光処理基材の製造方法。
- 光分解性材料からなる薄膜(A)が、下式(1)で表される含フッ素化合物、該含フッ素化合物の加水分解物、および該含フッ素化合物の部分加水分解縮合物から選ばれる1種以上の化合物、を基材表面に塗布することにより形成される撥水性の薄膜であり、該薄膜の光照射部が親水性の薄膜になる請求項1〜7のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、または加水分解性の基を持たない1価有機基を示し、かつ、4つの基のうち少なくとも1つは、RF基を部分構造とする基またはRF基を示す(ただし、RF基は、アルキル基、アルケニル基、エーテル性酸素原子を有するアルキル基、およびエーテル性酸素原子を有するアルケニル基から選ばれる基中に存在する水素原子の2個以上がフッ素置換された基を示す。)。
R5は、水素原子または加水分解性基を持たない1価有機基を示す。
R6は、加水分解性基、または、加水分解性基を部分構造として持つ1価有機基を示す。
Aは、光照射により分解する連結基。 - R6が、加水分解性シリル基、または、加水分解性シリルを部分構造として持つ基である請求項8記載の光処理基材の製造方法。
- 光照射を波長250nm以上の光を照射することにより行う請求項1〜9のいずれかに記載の光処理基材の製造方法。
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WO2011105249A1 (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-01 | 株式会社ニコン | パターン形成方法 |
JPWO2013176222A1 (ja) * | 2012-05-24 | 2016-01-14 | 株式会社ニコン | 基板処理装置、及びデバイス製造方法 |
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