JP5712670B2 - 撥水性保護膜形成薬液 - Google Patents

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本発明は、半導体デバイス製造などにおける基板(ウェハ)の洗浄技術に関する。
半導体チップの製造では、成膜、リソグラフィやエッチングなどを経てシリコンウェハ表面に微細な凹凸パターンが形成され、その後、ウェハ表面を清浄なものとするために、水(純水)や有機溶媒を用いて洗浄がなされる。素子は集積度を上げるために、微細化される方向にあるため、凹凸パターンの間隔は益々狭くなってきている。このため、水(純水)を用いて洗浄し、水をウェハ表面から乾燥させる際、気液界面がパターンを通過するときに毛細管現象により、凹凸パターンが倒れるという問題が生じやすくなってきている。この問題は、特に凹凸のパターン間隔がより狭くなった、例えばラインアンドスペース形状のパターンのウェハの場合、線幅(凹部の幅)が20nm台、10nm台世代の半導体チップにおいてより顕著になってきている。
特許文献1には、パターン倒れを抑制する手法として気液界面がパターンを通過する前に洗浄液を水から2−プロパノールへ置換する技術が開示されている。しかし、対応できるパターンのアスペクト比が5以下である等、限界があると言われている。
また、特許文献2には、パターン倒れを抑制する手法として、レジストパターンを対象とする技術が開示されている。この手法は毛細管力を極限まで下げることによって、パターン倒れを抑制する手法である。しかし、この開示された技術はレジストパターンを対象としており、レジスト自体を改質するものであり、本用途に適用できるものではない。さらに、最終的にレジストと共に除去が可能であるため、乾燥後の処理剤の除去方法を想定する必要がなく、本目的には適用できない。
また、特許文献3には、シリコン系材料の凹凸形状パターンを形成したウェハ表面に、水溶性界面活性剤またはシランカップリング剤を用いて撥水性保護膜を形成し、毛細管力を低減し、パターンの倒壊を防止する洗浄方法が開示されている。
また、特許文献4、5には、N,N−ジメチルアミノトリメチルシランを始めとするシリル化剤及び溶剤を含む処理液を用いて疎水化処理を行うことにより、パターン倒れを防ぐ技術が開示されている。
特開2008−198958号公報 特開平5−299336号公報 特許第4403202号 特開2010−129932 国際公開第10/47196号パンフレット
本発明は、半導体デバイス製造などにおいて、特に微細でアスペクト比の高い回路パターン化されたデバイスの製造歩留まりの向上を目的とした基板(ウェハ)の洗浄技術に関するものであり、また、表面に凹凸パターンを有するウェハの凹凸パターン倒れを誘発しやすい洗浄工程を改善することを目的とした撥水性薬液等に関するものである。これまで、前記ウェハとしては表面にシリコン元素を有するウェハが一般的に用いられてきたが、パターンの多様化に伴ってチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を表面に有するウェハが用いられ始めている。凹凸パターンの表面を撥水化することでパターン倒れを防止しようとする場合において、凹凸パターン表面に撥水性保護膜を形成するためには、凹凸パターン表面やウェハ表面に存在する水酸基などの反応活性点と、保護膜を形成する化合物とを結合させる必要がある。凹凸パターンは、その材料の種類に応じて元々の水酸基量が異なることや、水などによる表面処理の条件により水酸基の形成されやすさが異なることから、単位面積あたりの水酸基量に違いが生じることがある。さらには、反応活性点である水酸基が結合する原子によっても、水酸基の反応性が異なってくる。前記物質のように、表面に水酸基を形成しにくい物質あるいは表面に存在する水酸基の反応性が低い物質を、凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部に含むウェハの場合、特許文献3乃至5に記載のいずれの処理液及び処理方法を用いてもパターンの倒壊を防止する撥水性保護膜を形成できないため、パターンの倒壊を防止できないという問題がある。
本発明は、表面に凹凸パターンを形成されたウェハにおいて、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部が、チタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハ(以降、「金属系ウェハ」または単に「ウェハ」と記載する場合がある)の凹部表面に撥水性保護膜(以降、単に「保護膜」と記載する場合がある)を形成する撥水性保護膜形成剤(以降、単に「保護膜形成剤」と記載する場合がある)を含有する撥水性保護膜形成薬液(以降、「保護膜形成薬液」または単に「薬液」と記載する場合がある)を提供することを課題とし、また、前記薬液を用いて凹部表面に保護膜を形成することで、該凹部に保持された液体と該凹部表面との相互作用を低減せしめることによって、パターン倒れを誘発しやすい洗浄工程を改善する前記ウェハの洗浄方法を提供することを課題とする。
パターン倒れは、ウェハの乾燥時に気液界面がパターンを通過するときに生じる。これは、パターンのアスペクト比が高い部分と低い部分との間において、残液高さの差ができ、それによってパターンに作用する毛細管力に差が生じることが原因と言われている。
このため、毛細管力を小さくすれば、残液高さの違いによる毛細管力の差が低減し、パターン倒れが解消すると期待できる。毛細管力の大きさは、以下に示される式で求められるPの絶対値であり、この式からγ、もしくは、cosθを小さくすれば、毛細管力を低減できると期待される。
P=2×γ×cosθ/S
(式中、γは凹部に保持されている液体の表面張力、θは凹部表面と凹部に保持されている液体のなす接触角、Sは凹部の幅である。)
本発明では、上記課題を克服するために、凹凸パターン表面に形成される撥水性保護膜の材料に着目した。つまり、本発明は、チタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、ルテニウムといった、表面に水酸基を形成しにくい物質あるいは表面に存在する水酸基の反応性が低い物質を、凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部に含むウェハであっても、前記凹部表面に効果的に撥水性を付与するものである。
本発明者らは鋭意検討を行い、保護膜形成剤として、疎水性の強い疎水基を有するケイ素化合物を含有する撥水性保護膜形成薬液用いることで、ウェハの凹凸パターン表面の材質に依存しにくく良好な撥水性を生じせしめる保護膜を形成し、効率的に洗浄が行えることを見出した。
本発明における疎水基とは、無置換の炭化水素基、或いは炭化水素基中の水素元素の一部がハロゲン元素により置換された炭化水素基を示している。疎水基の疎水性は、前記炭化水素基中の炭素数が多いほど強くなる。さらには、炭化水素基中の水素元素の一部がハロゲン元素により置換された炭化水素基の場合、疎水基の疎水性が強くなる場合がある。特に、置換するハロゲン元素がフッ素元素であれば、疎水基の疎水性が強くなり、置換するフッ素元素数が多いほど、疎水基の疎水性が強くなる。
本発明は、表面に凹凸パターンを形成されたウェハであって、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの洗浄工程後において、該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持された洗浄液を置換して前記ウェハの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成するための撥水性保護膜形成剤を含有する撥水性保護膜形成薬液であり、前記撥水性保護膜形成剤が下記一般式[1]で表されるケイ素化合物であることを特徴とする、撥水性保護膜形成薬液である。
a bSiX4−a−b [1]
[式[1]中、Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の少なくとも1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、式[1]のR、及びR中に含まれる炭素数の合計が6以上であり、Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、及び、ハロゲン基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。また、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は1〜3である。]
前記撥水性保護膜形成剤は、下記一般式[2]で表されるケイ素化合物をであることが好ましい。
a bSiX [2]
[式[2]中、Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の少なくとも1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、式[2]のR、及びR中に含まれる炭素数の合計が6以上であり、Xは、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、または、ハロゲン基である。また、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は3である。]
また、前記撥水性保護膜形成剤は、下記一般式[3]で表されるケイ素化合物であることが好ましい。
(CHSiX [3]
[式[3]中、Rは炭素数が4〜18の少なくとも1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基であり、Xはケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、または、ハロゲン基である。]
また、前記ケイ素化合物中のRまたはRが、5以上のフッ素原子を含有していることが好ましい。前記のような、5以上の水素元素がフッ素元素により置換した炭化水素基は、特に優れた疎水性を有する基であるため、その結果、得られる保護膜により優れた撥水性を付与できる。
また、前記撥水性保護膜形成薬液は、溶媒を含有することが好ましい。
また、前記撥水性保護膜形成薬液は、酸を含有することが好ましい。
また、前記撥水性保護膜形成剤が、前記撥水性保護膜形成薬液の総量100質量%に対して0.1〜50質量%となるように混合されてなることが好ましい。
また、本発明は、凹凸パターンを形成されたウェハであって、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの洗浄方法であって、
前記ウェハ表面を水系洗浄液で洗浄する、水系洗浄液洗浄工程
該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持された洗浄液を置換して前記ウェハ表面に撥水性保護膜を形成するための撥水性保護膜形成剤を含有する撥水性保護膜形成薬液を、前記ウェハの少なくとも凹部に保持し、該凹部表面に撥水性保護膜を形成する、撥水性保護膜形成工程
ウェハ表面の液体を除去して乾燥する、液体除去工程
前記凹部表面から撥水性保護膜を除去する、撥水性保護膜除去工程
を含み、撥水性保護膜形成工程において前記の撥水性保護膜形成薬液を用いることを特徴とする、ウェハの洗浄方法である。
また、前記撥水性保護膜除去工程において、撥水性保護膜が、ウェハ表面を光照射すること、ウェハを加熱すること、ウェハをオゾン曝露すること、及びウェハをプラズマ照射することからなる群から選ばれる少なくとも1つの処理方法で行われることを特徴とする洗浄方法であることが好ましい。
本発明において、撥水性保護膜とは、ウェハ表面に形成されることにより、該ウェハ表面の濡れ性を低くする膜、すなわち撥水性を付与する膜のことである。本発明において撥水性とは、物品表面の表面エネルギーを低減させて、水やその他の液体と該物品表面との間(界面)で相互作用、例えば、水素結合、分子間力などを低減させる意味である。特に水に対して相互作用を低減させる効果が大きいが、水と水以外の液体の混合液や、水以外の液体に対しても相互作用を低減させる効果を有する。該相互作用の低減により、物品表面に対する液体の接触角を大きくすることができる。
本発明の薬液を用いることで、表面に凹凸パターンを形成されたウェハにおいて該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの洗浄過程において、凹凸パターンに働く毛細管力を低下させ、ひいてはパターン倒れ防止効果を示す。該洗浄方法を用いると、表面に凹凸パターンを有するウェハの製造方法中の洗浄工程が、スループットが低下することなく改善される。従って、本発明の洗浄方法、及び、薬液を用いて行われる表面に凹凸パターンを有するウェハの製造方法は、生産性が高いものとなる。また、表面の材質が異なる多品種のウェハの洗浄にも対応できるため、ウェハの種類に応じた洗浄条件の変更を軽減することに奏功する。
表面が凹凸パターン2を有する面とされたウェハ1を斜視したときの模式図を示す図である。 図1中のa−a’断面の一部を示したものである。 凹部4が保護膜形成薬液8を保持した状態の模式図を示している。 保護膜が形成された凹部4に液体が保持された状態の模式図を示す図である。
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明の撥水性保護膜形成薬液は、表面に凹凸パターンを形成されたウェハであって、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの洗浄工程後において、該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持された洗浄液を置換して前記ウェハの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成するための撥水性保護膜形成剤を含有する撥水性保護膜形成薬液であり、前記撥水性保護膜形成剤が下記一般式[1]で表されるケイ素化合物であることを特徴とする薬液である。
a bSiX4−a−b [1]
[式[1]中、Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の少なくとも1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、式[1]のR、及びR中に含まれる炭素数の合計が6以上であり、Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、及び、ハロゲン基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。また、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は1〜3である。]
例えば、ケイ素表面や酸化ケイ素表面には、反応活性点である水酸基(シラノール基)が豊富に存在するが、一般的に、チタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウム表面には、水酸基が形成しにくく、また、存在する水酸基の反応性が低い。このように量が少ない、あるいは反応性が低い水酸基に対して、従来のシランカップリング剤を反応させても表面に充分な撥水性を付与することは困難である。しかし、疎水性基が、強い疎水性を有する基であれば、優れた撥水性を付与することが可能である。R、及びRで表される炭化水素基は疎水性基であり、R、及びR中に含まれる炭素数の合計が多いほど、また、Rの水素元素がフッ素元素に置換されている炭化水素基である場合、置換されているフッ素元素数が多いほど、疎水性が強い疎水性基であることを意味している。このような疎水性基を有する撥水性保護膜形成剤であれば、前記ウェハ表面に存在する水酸基が少ない、あるいは反応性が低い場合でも、優れた撥水性能を発現する保護膜を形成することができる。なお、式[1]のR、及びR中に含まれる炭素数の合計が6以上とは、式[1]にR、及びRとして1個〜3個含まれる疎水性基の全ての炭素の数の合計が6以上であるということを示している。
また、一般式[1]のXで表される、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基は、炭素、水素、ホウ素、窒素、リン、酸素、硫黄、ケイ素、ゲルマニウム、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの元素から、構成される官能基であれば良く、例えば、−NSi(CH基、−NSi(CH基、−NSi(CH17基、−N(CH基、−N(C基、−N(C基、−N(CH)(C)基、−NH(C)基、−NCO基、イミダゾール基、アセトアミド基などが挙げられる。
さらに、一般式[1]のXで表される、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基は、炭素、水素、ホウ素、窒素、リン、酸素、硫黄、ケイ素、ゲルマニウム、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの元素から、構成される官能基であれば良く、例えば、−OCH基、−OC基、−OC基、−OCOCH基、−OCOCF基などが挙げられる。
また、一般式[1]のXで表される、ハロゲン基としては−F基、−Cl基、−Br基、−I基などが挙げられる。
前記一般式[1]のXで表される基は、前記ウェハ表面の水酸基と反応して、該ケイ素化合物中のケイ素元素と該ウェハ表面との間に結合を形成することにより、保護膜を形成することができる。
特に、前記のチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、ルテニウムといった物質の表面に存在する水酸基は、前記ケイ素化合物との反応性が低いため、該水酸基を完全に反応させることができない場合がある。そのような場合でも、R、及びRで表される疎水性基が嵩高いものであり、また、Rが優れた疎水性を有する基であれば、結果として優れた撥水性の保護膜を得ることが可能である。
また、前記のチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、ルテニウムといった物質が金属単体や窒化物の場合、酸化物の場合に比べて、該物質表面に存在する水酸基の量が少ないことがある。そのような場合でも、R、及びRで表される疎水性基が嵩高いものであり、また、Rが優れた疎水性を有する基であれば、結果として優れた撥水性の保護膜を得ることが可能である。
一般式[1]で示されるケイ素化合物としては、例えば、C(CHSiCl、C11(CHSiCl、C13(CHSiCl、C15(CHSiCl、C17(CHSiCl、C11(CH)HSiCl、C13(CH)HSiCl、C15(CH)HSiCl、C17(CH)HSiCl、C(CHSiCl、C(CHSiCl、C(CHSiCl、C11(CHSiCl、C13(CHSiCl、C15(CHSiCl、C17(CHSiCl、CF(CSiCl、C(CSiCl、C(CSiCl、C(CSiCl、C11(CSiCl、C13(CSiCl、C15(CSiCl、C17(CSiCl、CF(CSiCl、C(CSiCl、C(CSiCl、C(CSiCl、C11(CSiCl、C13(CSiCl、C15(CSiCl、C17(CSiCl、[CFSiCl、[CSiCl、[CSiCl、[CSiCl、[C11SiCl、[C13SiCl、[C15SiCl、[C17SiCl、C(CH)SiCl、C(CH)SiCl、C11(CH)SiCl、C13(CH)SiCl、C15(CH)SiCl、C17(CH)SiCl、CSiCl、C11SiCl、C13SiCl、C15SiCl、C17SiClなどのクロロシラン系化合物が挙げられる。
また、例えば、C(CHSiOCH、C11(CHSiOCH、C13(CHSiOCH、C15(CHSiOCH、C17(CHSiOCH、C19(CHSiOCH、C1021(CHSiOCH、C1123(CHSiOCH、C1225(CHSiOCH、C1327(CHSiOCH、C1429(CHSiOCH、C1531(CHSiOCH、C1633(CHSiOCH、C1735(CHSiOCH、C1837(CHSiOCH、C(CH)HSiOCH、C(CH)HSiOCH、C11(CH)HSiOCH、C13(CH)HSiOCH、C15(CH)HSiOCH、C17(CH)HSiOCH、C(CHSiOCH、C(CHSiOCH、C(CHSiOCH、C11(CHSiOCH、C13(CHSiOCH、C15(CHSiOCH、C17(CHSiOCH、CF(CSiOCH、C(CSiOCH、C(CSiOCH、C(CSiOCH、C11(CSiOCH、C13(CSiOCH、C15(CSiOCH、C17(CSiOCH、[CFSiOCH、[CSiOCH、[CSiOCH、[CSiOCH、[C11SiOCH、[C13SiOCH、[C15SiOCH、[C17SiOCH、C(CH)Si(OCH、C(CH)Si(OCH、C11(CH)Si(OCH、C13(CH)Si(OCH、C15(CH)Si(OCH、C17(CH)Si(OCH、CSi(OCH、C11Si(OCH、C13Si(OCH、C15Si(OCH、C17Si(OCH、C(CHSiOC、C(CHSiOC、C(CHSiOC、C11(CHSiOC、C13(CHSiOC、C15(CHSiOC、C17(CHSiOC、C(CH)Si(OC、C(CH)Si(OC、C11(CH)Si(OC、C13(CH)Si(OC、C15(CH)Si(OC、C17(CH)Si(OC、CSi(OC、C11Si(OC、C13Si(OC、C15Si(OC、C17Si(OCなどのアルコキシシラン系化合物が挙げられる。
また、例えば、C(CHSiNCO、C(CHSiNCO、C(CHSiNCO、C11(CHSiNCO、C13(CHSiNCO、C15(CHSiNCO、C17(CHSiNCO、C(CH)Si(NCO)、C(CH)Si(NCO)、C11(CH)Si(NCO)、C13(CH)Si(NCO)、C15(CH)Si(NCO)、C17(CH)Si(NCO)、CSi(NCO)、C11Si(NCO)、C13Si(NCO)、C15Si(NCO)、C17Si(NCO)などのイソシアネートシラン系化合物が挙げられる。
また、例えば、C(CHSiNH、C(CHSiNH、C(CHSiNH、C11(CHSiNH、C13(CHSiNH、C15(CHSiNH、C17(CHSiNH、[C(CHSi]NH、[C(CHSi]NH、[C(CHSi]NH、[C11(CHSi]NH、[C13(CHSi]NH、[C15(CHSi]NH、[C17(CHSi]NH、[CF(CSi]NH、[C(CSi]NH、[C(CSi]NH、[C(CSi]NH、[C11(CSi]NH、[C13(CSi]NH、[C15(CSi]NH、[C17(CSi]NH、{[CFSi}NH、{[CSi}NH、{[CSi}NH、{[CSi}NH、{[C11Si}NH、{[C13Si}NH、{[C15Si}NH、{[C17Si}NH、[C(CHSi]N、[C(CHSi]N、[C(CHSi]N、[C11(CHSi]N、[C13(CHSi]N、[C15(CHSi]N、[C17(CHSi]N、C(CHSiN(CH、C11(CHSiN(CH、C13(CHSiN(CH、C15(CHSiN(CH、C17(CHSiN(CH、C19(CHSiN(CH、C1021(CHSiN(CH、C11(CH)HSiN(CH、C13(CH)HSiN(CH、C15(CH)HSiN(CH、C17(CH)HSiN(CH、C19(CH)HSiN(CH、C1021(CH)HSiN(CH、C(CHSiN(CH、C(CHSiN(CH、C(CHSiN(CH、C11(CHSiN(CH、C13(CHSiN(CH、C15(CHSiN(CH、C17(CHSiN(CH、CF(CSiN(CH、C(CSiN(CH、C(CSiN(CH、C(CSiN(CH、C11(CSiN(CH、C13(CSiN(CH、C15(CSiN(CH、C17(CSiN(CH、[CFSiN(CH、[CSiN(CH、[CSiN(CH、[CSiN(CH、[C11SiN(CH、[C13SiN(CH、[C15SiN(CH、[C17SiN(CH、C(CH)Si[N(CH、C(CH)Si[N(CH、C11(CH)Si[N(CH、C13(CH)Si[N(CH、C15(CH)Si[N(CH、C17(CH)Si[N(CH、CSi[N(CH、C11Si[N(CH、C13Si[N(CH、C15Si[N(CH、C17
Si[N(CH、C(CHSiN(C、C11(CHSiN(C、C13(CHSiN(C、C15(CHSiN(C、C17(CHSiN(C、C19(CHSiN(C、C1021(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C(CHSiN(C、C11(CHSiN(C、C13(CHSiN(C、C15(CHSiN(C、C17(CHSiN(C、CF(CSiN(C、C(CSiN(C、C(CSiN(C、C(CSiN(C、C11(CSiN(C、C13(CSiN(C、C15(CSiN(C、C17(CSiN(C、[CFSiN(C、[CSiN(C、[CSiN(C、[CSiN(C、[C11SiN(C、[C13SiN(C、[C15SiN(C、[C17SiN(Cなどのアミノシラン系化合物が挙げられる。
また、一般式[1]のaとbの合計は1〜3の整数であればよいが、aとbの合計が1又は2である場合、前記薬液を長期保存すると、水分の混入などにより、前記ケイ素化合物同士の重合反応が起こりやすく、前記ウェハ表面に撥水性保護膜を安定的に形成し難い傾向がある。これを考慮すると、一般式[1]のaとbの合計が3のもの、すなわち、下記一般式[2]で表されるケイ素化合物が好ましい。
a bSiX [2]
[式[2]中、Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の少なくとも1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、式[2]のR、及びR中に含まれる炭素数の合計が6以上であり、Xは、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、または、ハロゲン基である。また、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は3である。]
さらに、前記の一般式[1]のaとbの合計が3のケイ素化合物のうち、bが2であり、Rがいずれもメチル基であるもの、すなわち、下記一般式[3]で表されるケイ素化合物は、ウェハ表面の水酸基との反応性が高いので好ましい。これは、ウェハ表面の水酸基と前記ケイ素化合物のXで表される基との反応において、疎水性基による立体障害が反応性に大きな影響を与えるためであり、ケイ素元素に結合するアルキル鎖は最も長い一つを除く残り二つは短い方が好ましいからである。
(CHSiX [3]
[式[3]中、Rは炭素数が4〜18の少なくとも1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基であり、Xはケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、または、ハロゲン基である。]
撥水性保護膜形成剤は、撥水性保護膜形成薬液に少なくとも含有されていればよく、各種有機溶媒などを用いて希釈することができる。該有機溶媒は、前記撥水性保護膜形成剤を溶解するものであれば良く、例えば、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコールの誘導体、含窒素化合物溶媒などが好適に使用される。希釈する溶媒として水を用いた場合、水により前記ケイ素化合物のXで表される基が加水分解してシラノール基(Si−OH)となり、発生したシラノール基同士が縮合反応することにより、前記ケイ素化合物同士が結合して2量体が生成する。この2量体は、ウェハ表面の水酸基との反応性が低いため、ウェハ表面を十分に撥水化できない、または撥水化に要する時間が長くなることから、水を溶媒として使用することは好ましくない。
さらに、前記ケイ素化合物は、プロトン性溶媒と反応しやすいため、前記有機溶媒として、非プロトン性溶媒を用いると、短時間でウェハ表面に撥水性を発現しやすくなるので特に好ましい。なお、非プロトン性溶媒は、非プロトン性極性溶媒と非プロトン性非極性溶媒の両方のことである。このような非プロトン性溶媒としては、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、水酸基を持たない多価アルコールの誘導体、N−H結合を持たない含窒素化合物溶媒が挙げられる。前記炭化水素類の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどがあり、前記エステル類の例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチルなどがあり、前記エーテル類の例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどがあり、前記ケトン類の例としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトンなどがあり、前記含ハロゲン溶媒の例としては、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1、1、1、3、3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子製)、Novec HFE−7100、Novec HFE−7200、Novec7300、Novec7600(いずれも3M製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルなどがあり、前記スルホキシド系溶媒の例としては、ジメチルスルホキシドなどがあり、前記水酸基を持たない多価アルコール誘導体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどがあり、N−H結合を持たない含窒素化合物溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチルアミン、ピリジンなどがある。
さらにまた、前記有機溶媒に不燃性のものを使うと、撥水性保護膜形成薬液が不燃性になる、あるいは、引火点が高くなるので好ましい。含ハロゲン溶媒は不燃性のものが多く、不燃性含ハロゲン溶媒は不燃性有機溶媒として好適に使用できる。
また、前記有機溶媒に極性溶媒を用いると、前記保護膜形成剤であるケイ素化合物と、ウェハ表面の水酸基との反応が進行し易いので好ましい。
また、有機溶媒には、微量の水分であれば存在してもよい。ただし、この水分が溶媒に大量に含まれると、ケイ素化合物は該水分によって加水分解して反応性が低下することがある。このため、溶媒中の水分量は低くすることが好ましく、該水分量は、前記ケイ素化合物と混合したときに、該ケイ素化合物に対して、モル比で1モル倍未満とすることが好ましく、0.5モル倍未満にすることが特に好ましい。
前記撥水性保護膜形成薬液は、該薬液の総量100質量%中に、前記撥水性保護膜形成剤が0.1〜50質量%含有されていれば好ましく、より好適な撥水性保護膜形成剤の含有量は前記薬液の総量100質量%に対して0.3〜20質量%である。撥水性保護膜形成剤が0.1質量%未満では撥水性付与効果が不十分となる傾向があり、50質量%より多い場合、洗浄後に撥水性保護膜形成剤由来の成分がウェハ表面に不純物として残留する懸念があることから好ましくない。また、撥水性保護膜形成剤の使用量が増すため、コスト的な観点から見ても好ましくない。
また、前記薬液には、前記ケイ素化合物と、ウェハ表面の水酸基との反応を促進させるために、触媒が添加されても良い。このような触媒として、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロキオン酸、無水ペンタフルオロプロキオン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩化水素などの水を含まない酸、アンモニア、アルキルアミンなどの塩基、ピリジン、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性含窒素溶媒、硫化アンモニウム、酢酸カリウム、メチルヒドロキシアミン塩酸塩などの塩、および、スズ、アルミニウム、チタンなどの金属錯体や金属塩が好適に用いられる。特に、触媒効果を考慮すると、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、硫酸、塩化水素などの酸が好ましく、当該の酸は水分を含んでいないことが好ましい。また、上記触媒は反応により撥水性保護膜の一部を形成するものであってもよい。
特に、一般式[1]表されるケイ素化合物の疎水性基RやRの炭素数が多くなると、立体障害のためにウェハ表面の水酸基に対する該ケイ素化合物の反応性が低下する場合がある。この場合は、水を含まない酸を触媒として添加することで、ウェハ表面の水酸基と前記ケイ素化合物との反応が促進され、前記のような疎水性基の立体障害による反応性の低下を補ってくれる場合がある。
前記触媒の添加量は、前記ケイ素化合物の総量100質量%に対して、0.01〜100質量%が好ましい。添加量が少なくなると触媒効果が低下するので好ましくない。また、過剰に添加しても触媒効果は向上せず、ケイ素化合物よりも多くすると、逆に触媒効果が低下する場合もある。さらに、不純物としてウェハ表面に残留する懸念もある。このため、前記触媒添加量は、0.01〜100質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.2〜20質量%である。
続いて、本発明のウェハの洗浄方法について説明する。
本発明の薬液を用いて洗浄するウェハは、一般的には、ウェハ表面を微細な凹凸パターンを有する面とする前処理工程を経たものを用いることが多い。
前記前処理工程において、ウェハ表面に微細なパターンを形成できるのであればその方法は限定されないが、一般的方法としては、該ウェハ表面にレジストを塗布したのち、レジストマスクを介してレジストに露光し、露光されたレジスト、または、露光されなかったレジストをエッチング除去することによって所望の凹凸パターンを有するレジストを作製する。また、レジストにパターンを有するモールドを押し当てることでも、凹凸パターンを有するレジストを得ることができる。次に、ウェハをエッチングする。このとき、レジストパターンの凹の部分に相当するウェハ表面が選択的にエッチングされる。最後に、レジストを剥離すると、微細な凹凸パターンを有するウェハが得られる。
なお、前記ウェハとしては、シリコンウェハ、シリコンおよび/またはシリカ(SiO)を含む複数の成分から構成されたウェハ、シリコンカーバイドウェハ、サファイアウェハ、各種化合物半導体ウェハ、プラスチックウェハなどの表面をチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムの金属系の物質の層で被覆したもの、またはウェハ上に多層膜を形成し、そのうちの少なくとも1層が前記金属系の物質の層であるもの等が挙げられ、上記の凹凸パターン形成工程は、該金属系の物質の層を含む層において行われる。また、上記凹凸パターンを形成したときに、該凹凸パターンの少なくとも一部が該金属系の物質となるものも含まれる。さらには、ウェハ上に凹凸パターンを形成し、その凹凸パターンの表面に前記金属系の物質の層を形成したものも含む。
また、前記金属系の物質を含む複数の成分から構成されたウェハに対しても、該金属系の物質の表面に前記保護膜を形成することができる。該複数の成分から構成されたウェハとしては、前記金属系の物質がウェハ表面に形成したもの、あるいは、凹凸パターンを形成したときに、該凹凸パターンの少なくとも一部が該金属系の物質となるものも含まれる。なお、本発明の薬液で保護膜を形成できるのは前記凹凸パターン中の少なくとも前記金属系の物質部分の表面である。
本発明は、表面に凹凸パターンを形成されたウェハであって、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの洗浄方法であって、
前記ウェハ表面を水系洗浄液で洗浄する、水系洗浄液洗浄工程
該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持された洗浄液を置換して前記ウェハ表面に撥水性保護膜を形成するための撥水性保護膜形成剤を含有する撥水性保護膜形成薬液を、前記ウェハの少なくとも凹部に保持し、該凹部表面に撥水性保護膜を形成する、撥水性保護膜形成工程
ウェハ表面の液体を除去して乾燥する、液体除去工程
前記凹部表面から撥水性保護膜を除去する、撥水性保護膜除去工程
を有する。
前記水系洗浄液の例としては、水、あるいは、水に有機溶媒、酸、アルカリのうち少なくとも1種以上が混合された水を主成分(例えば、水の含有率が50質量%以上)とするものが挙げられる。
前記水系洗浄において、レジストを除去し、ウェハ表面のパーティクル等を除去した後に、乾燥等により水系洗浄液を除去する際に、凹部の幅が小さく、凸部のアスペクト比が大きいと、パターン倒れが生じやすくなる。該凹凸パターンは、図1及び図2に記すように定義される。図1は、表面が凹凸パターン2を有する面とされたウェハ1を斜視したときの模式図を示し、図2は図1中のa−a’断面の一部を示したものである。凹部の幅5は、図2に示すように凸部3と凸部3の間隔で示され、凸部のアスペクト比は、凸部の高さ6を凸部の幅7で割ったもので表される。洗浄工程でのパターン倒れは、凹部の幅が70nm以下、特には45nm以下、アスペクト比が4以上、特には6以上のときに生じやすくなる。
さらに、水系洗浄液洗浄工程において、水系洗浄液が保持されて接触する、チタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質からなる部位では、水系洗浄液との接触により、表面の一部が酸化され、水酸基が形成される。この酸化はわずかではあるが、本発明で供する撥水性保護膜形成剤は強い疎水性をもつため、酸化されて形成された一部の水酸基と反応して、優れた撥水性保護膜を形成することが可能である。
このウェハ表面の酸化は、水系洗浄液が純水であっても進行するが、水系洗浄液の酸性が強かったり、水系洗浄液の温度が高かったりすると、より進行しやすいため、酸化を促進させる目的で水系洗浄液に酸を添加したり、水系洗浄液の温度を高くしても良い。さらには、酸化を促進させる目的で、過酸化水素やオゾンなどを添加しても良い。
本発明のウェハの洗浄方法において、パターン倒れを発生させずに効率的に洗浄するためには、前記水系洗浄液洗浄工程から撥水性保護膜形成工程を、ウェハの少なくとも凹部に常に液体が保持された状態で行うことが好ましい。また、撥水性保護膜形成工程の後で、ウェハの凹部に保持された撥水性保護膜形成薬液をその他の液体に置換する場合も、上記と同様にウェハの少なくとも凹部に常に液体が保持された状態で行うことが好ましい。なお、本発明において、ウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部に前記水系洗浄液、前記薬液やその他の液体を保持できるのであれば、該ウェハの洗浄方式は特に限定されない。ウェハの洗浄方式としては、ウェハをほぼ水平に保持して回転させながら回転中心付近に液体を供給してウェハを1枚ずつ洗浄するスピン洗浄に代表される枚葉方式や、洗浄槽内で複数枚のウェハを浸漬し洗浄するバッチ方式が挙げられる。なお、ウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部に前記水系洗浄液、前記薬液やその他の液体を供給するときの前記水系洗浄液、前記薬液やその他の液体の形態としては、該凹部に保持された時に液体になるものであれば特に限定されず、たとえば、液体、蒸気などがある。
次に、撥水性保護膜形成工程について説明する。前記水系洗浄工程から撥水性保護膜形成工程への移行は、水系洗浄工程においてウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部に保持されていた水系洗浄液から、撥水性保護膜形成薬液に置換されることで行われる。この水系洗浄液から撥水性保護膜形成薬液への置換においては、直接置換されても良いし、異なる洗浄液A(以降、単に「洗浄液A」と記載する場合がある)に一度以上置換された後に、撥水性保護膜形成薬液に置換されても良い。前記洗浄液Aの好ましい例としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合物、または、それらに酸、アルカリ、界面活性剤のうち少なくとも1種以上が混合されたもの等が挙げられる。また、前記洗浄液Aの好ましい例の一つである有機溶媒の例としては、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコールの誘導体、含窒素化合物溶媒等が挙げられる。
前記撥水性保護膜形成工程における撥水性保護膜の形成は、ウェハの凹凸パターンの少なくとも凹部に撥水性保護膜形成薬液を保持することにより行われる。図3は、凹部4が撥水性保護膜形成薬液8を保持した状態の模式図を示している。図3の模式図のウェハは、図1のa−a’断面の一部を示すものである。この撥水性保護膜形成工程の際に、撥水性保護膜形成薬液が、凹凸パターン2が形成されたウェハ1に供される。この際、撥水性保護膜形成薬液は図3に示したように少なくとも凹部4に保持された状態となり、凹部4の表面が撥水化される。なお、本発明の保護膜は、必ずしも連続的に形成されていなくてもよく、また、必ずしも均一に形成されていなくてもよいが、より優れた撥水性を付与できるため、連続的に、また、均一に形成されていることがより好ましい。
また、保護膜形成工程では、薬液の温度を高くすると、より短時間で前記保護膜を形成しやすいが、撥水性保護膜形成薬液の沸騰や蒸発などにより該薬液の安定性が損なわれる恐れがあるため、前記薬液は10〜160℃で保持されることが好ましく、特には15〜120℃が好ましい。
撥水性保護膜形成剤により撥水化された凹部4に液体9が保持された場合の模式図を図4に示す。図4の模式図のウェハは、図1のa−a’断面の一部を示すものである。凹部4の表面には撥水性保護膜形成剤により撥水性保護膜10が形成されている。このとき凹部4に保持されている液体9は、前記薬液、該薬液から異なる洗浄液B(以降、単に「洗浄液B」と記載する場合がある)に置換した後の液体(洗浄液B)でもよいし、置換途中の液体(薬液と洗浄液の混合液)であってもよい。前記撥水性保護膜10は、液体9が凹部4から除去されるときもウェハ表面に保持されている。
前記洗浄液Bの好ましい例としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合物、または、それらに酸、アルカリ、界面活性剤のうち少なくとも1種以上が混合されたもの等が挙げられる。また、前記洗浄液Bの好ましい例の一つである有機溶媒の例としては、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコール類の誘導体、含窒素化合物溶媒等が挙げられる。
前記凹凸パターンを有するウェハの凹部に液体が保持されると、該凹部に毛細管力が働く。この毛細管力の大きさは、前述したように以下に示される式で求められるPの絶対値である。
P=2×γ×cosθ/S
(式中、γは凹部に保持されている液体の表面張力、θは凹部表面と凹部に保持されている液体のなす接触角、Sは凹部の幅である。)
図4の凹部4のように凹部表面に撥水性保護膜が存在すると、θが増大され、Pの絶対値が低減される。パターン倒れの抑制の観点から、Pの絶対値は小さいほど好ましく、除去される液体との接触角を90°付近に調整して毛細管力を限りなく0.0MN/mに近づけることが理想的である。
図4のように、凹部表面に保護膜10が形成されたとき、該表面に水が保持されたと仮定したときの接触角は50〜130°であると、パターン倒れが発生し難いため好ましい。接触角は90°に近いほど該凹部に働く毛細管力が小さくなり、パターン倒れが更に発生し難くなるため、70〜110°が特に好ましい。また、例えば、線幅(凹部の幅)が45nmのラインアンドスペース形状のパターンのウェハの場合、毛細管力は2.1MN/m以下であることが好ましい。該毛細管力が2.1MN/m以下であれば、パターン倒れが発生し難いため好ましい。また、該毛細管力が小さくなると、パターン倒れは更に発生し難くなるため、該毛細管力は1.1MN/m以下が特に好ましい。さらに、除去される液体との接触角を90°付近に調整して毛細管力を限りなく0.0MN/mに近づけることが理想的である。
続いて、前記液体除去工程について説明する。なお、凹部に保持されている液体は、前記薬液、洗浄液B、または、薬液と洗浄液の混合液である。前記液体を除去する方法として、自然乾燥、エアー乾燥、Nガス乾燥、スピン乾燥法、IPA(2−プロパノール)蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、加熱乾燥、温風乾燥、真空乾燥などの周知の乾燥方法によって行うことが好ましい。前記液体を効率よく除去するために、保持された液体を排液して除去した後に、残った液体を乾燥させても良い。
最後に、撥水性保護膜除去工程について説明する。前記撥水性保護膜を除去する場合、該保護膜中のC−C結合、C−F結合を切断することが有効である。その方法としては、前記結合を切断できるものであれば特に限定されないが、例えば、ウェハ表面を光照射すること、ウェハを加熱すること、ウェハをオゾン曝露すること、ウェハ表面にプラズマ照射すること、ウェハ表面にコロナ放電すること等が挙げられる。
光照射で前記保護膜を除去する場合、該保護膜中のC−C結合、C−F結合の結合エネルギーである83kcal/mol、116kcal/molに相当するエネルギーである340nm、240nmよりも短い波長を含む紫外線を照射することが好ましい。この光源としては、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマランプ、カーボンアークなどが用いられる。
また、光照射で前記保護膜を除去する場合、紫外線で前記保護膜の構成成分を分解すると同時にオゾンを発生させ、該オゾンによって前記保護膜の構成成分を酸化揮発させると、処理時間が短くなるので特に好ましい。この光源として、低圧水銀ランプやエキシマランプなどを用いてもよい。また、光照射しながらウェハを加熱してもよい。
ウェハを加熱する場合、400〜700℃、好ましくは、500〜700℃でウェハの加熱を行う。この加熱時間は、1〜60分間、好ましくは10〜30分間の保持で行うことが好ましい。また、当該工程では、オゾン曝露、プラズマ照射、コロナ放電などを併用してもよい。また、ウェハを加熱しながら光照射を行ってもよい。
加熱により前記保護膜を除去する方法は、ウェハを熱源に接触させる方法、熱処理炉などの加熱された雰囲気にウェハを置く方法などがある。なお、加熱された雰囲気にウェハを置く方法は、複数枚のウェハを処理する場合であっても、ウェハ表面に前記保護膜を除去するためのエネルギーを均質に付与しやすいことから、操作が簡便で処理が短時間で済み処理能力が高いという工業的に有利な方法である。
ウェハをオゾン曝露する場合、低圧水銀灯などによる紫外線照射や高電圧による低温放電等で発生させたオゾンをウェハ表面に供しても良い。ウェハをオゾン曝露しながら光照射してもよいし、加熱してもよい。
前記の光照射、加熱、オゾン曝露、プラズマ照射、コロナ放電を組み合わせることによって、効率的にウェハ表面の保護膜を除去することができる。
ウェハの表面に凹凸パターンを形成すること、凹凸パターンの少なくとも凹部に保持された洗浄液を他の洗浄液で置換することは、他の文献等にて種々の検討がなされ、既に確立された技術であるので、本発明では、前記保護膜形成薬液の評価を中心に行った。また、下記の式
P=2×γ×cosθ/S
(式中、γは凹部に保持されている液体の表面張力、θは凹部表面と凹部に保持されている液体のなす接触角、Sは凹部の幅である。)
から明らかなようにパターン倒れは、洗浄液のウェハ表面への接触角、すなわち液滴の接触角と、洗浄液の表面張力に大きく依存する。凹凸パターンの凹部に保持された洗浄液の場合、液滴の接触角と、パターン倒れと等価なものとして考えてよい該凹部に働く毛細管力とは相関性があるので、前記式と保護膜の液滴の接触角の評価から毛細管力を導き出してもよい。なお、実施例において、前記洗浄液として水を用いた。
しかしながら、表面に微細な凹凸パターンを有するウェハの場合、該凹凸パターン表面に形成された前記保護膜10自体の接触角を正確に評価できない。
水滴の接触角評価は、JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」にもあるように、サンプル(基材)表面に数μlの水滴を滴下し、水滴と基材表面のなす角度の測定によりなされる。しかし、パターンを有するウェハの場合、接触角が非常に大きくなる。これは、Wenzel効果やCassie効果が生じるからで、接触角が基材の表面形状(ラフネス)に影響され、見かけ上の水滴の接触角が増大するためである。
そこで、本実施例では前記薬液を表面が平滑なウェハに供して、ウェハ表面に保護膜を形成して、該保護膜を表面に凹凸パターン2が形成されたウェハ1の表面に形成された保護膜10とみなし、種々評価を行った。なお、本実施例では、表面が平滑なウェハとして、表面が平滑なシリコンウェハ上に窒化チタン層を有する窒化チタン膜付きウェハ(以降、「TiNウェハ」と記載することがある)を用いた。
詳細を下記に述べる。以下では、本発明の撥水性保護膜形成薬液を用いて洗浄されたウェハの評価方法、保護膜形成薬液の調製、そして、本発明の撥水性保護膜形成薬液を用いて洗浄されたウェハの評価結果が述べられる。
〔本発明の撥水性保護膜形成薬液を用いて洗浄されたウェハの評価方法〕
本発明の撥水性保護膜形成薬液を用いて洗浄されたウェハの評価方法として、以下の(1)〜(4)の評価を行った。
(1)ウェハ表面に形成された保護膜の接触角評価
保護膜が形成されたウェハ表面上に純水約2μlを置き、水滴とウェハ表面とのなす角(接触角)を接触角計(協和界面科学製:CA−X型)で測定した。ここでは保護膜の接触角が50〜130°の範囲であったものを合格とした。
(2)毛細管力の評価
下式を用いてPを算出し、毛細管力(Pの絶対値)を求めた。
P=2×γ×cosθ/S
(式中、γは凹部に保持されている液体の表面張力、θは凹部表面と凹部に保持されている液体のなす接触角、Sは凹部の幅である。)
なお、本実施例では、パターン形状の一例として、線幅(凹部の幅)が45nmのラインアンドスペース形状のパターンのウェハを想定した。なお、線幅が45nmのパターンでは、気液界面がウェハ表面のパターンを通過するとき、液体が水の場合はパターンが倒れやすく、2−プロパノールの場合はパターンが倒れ難い傾向がある。ウェハ表面が例えば、窒化チタンである場合、該表面に対する2−プロパノールの接触角は0.5°であり、同様に水の接触角は2°である。また、他の金属系の物質(チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、ルテニウム等)においても同程度である。上記の条件の場合、洗浄液が、2−プロパノール(表面張力:22mN/m)では毛細管力は0.98MN/mとなる。一方、水銀を除く液体の中で表面張力が最も大きい水(表面張力:72mN/m)では毛細管力は3.2MN/mとなる。そこで中間の2.1MN/mを目標とし、水が保持されたときの毛細管力が2.1MN/m以下になれば合格とした。
(3)保護膜の除去性
以下の条件で低圧水銀灯のUV光をサンプルに1分間照射した。照射後に水滴の接触角が10°以下となったものを、前記保護膜が除去されたと判断して、合格とした。
・ランプ:セン特殊光源製PL2003N−10
・照度:15mW/cm(光源からサンプルまでの距離は10mm)
(4)保護膜除去後のウェハの表面平滑性評価
原子間力電子顕微鏡(セイコ−電子製:SPI3700、2.5μm四方スキャン)によって表面観察し、ウェハ洗浄前後の表面中心線平均面粗さ:Ra(nm)の差ΔRa(nm)を求めた。なお、Raは、JIS B 0601で定義されている中心線平均粗さを測定面に対し適用して三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの差の絶対値を平均した値」として次式で算出した。
Figure 0005712670
ここで、X、X、Y、Yは、それぞれ、X座標、Y座標の測定範囲を示す。Sは、測定面が理想的にフラットであるとした時の面積であり、(X−X)×(Y−Y)の値とした。また、F(X,Y)は、測定点(X,Y)における高さ、Zは、測定面内の平均高さを表す。
保護膜形成前のウェハ表面のRa値、及び保護膜を除去した後のウェハ表面のRa値を測定し、両者の差(ΔRa)が±1nm以内であれば、洗浄によってウェハ表面が浸食されていない、および、前記薬液の残渣がウェハ表面にないとし、合格とした。
[実施例1]
(1)撥水性保護膜形成薬液の調製
撥水性保護膜形成剤としてノナフルオロヘキシルジメチルクロロシラン〔C(CH(CHSiCl〕;10g、有機溶媒としてハイドロフルオロエーテル(3M製HFE−7100);90gを混合し、約5分間撹拌して、保護膜形成薬液の総量に対する保護膜形成剤の濃度(以降「保護膜形成剤濃度」と記載する)が10質量%の保護膜形成薬液を得た。
(2)TiNウェハの洗浄
平滑なTiNウェハ(表面に厚さ50nmの窒化チタン層を有するシリコンウェハ)を1質量%のフッ酸水溶液に1分間浸漬し、次いで水系洗浄液洗浄工程として純水に1分間浸漬した。その後、該ウェハを2−プロパノール(以降、「iPA」と記載することがある)に1分間浸漬した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以降、「PGMEA」と記載することがある)に1分間浸漬した。
(3)ウェハ表面への撥水性洗浄液による表面処理
「(2)TiNウェハの洗浄」後のTiNウェハを、上記「(1)保護膜形成薬液の調製」で調製した保護膜形成薬液に20℃で1分間浸漬させた。その後、該TiNウェハをiPAに10秒間浸漬した。最後に、該TiNウェハをiPAから取出し、エアーを吹き付けて、表面のiPAを除去した。
得られたTiNウェハを上記「本発明の撥水性保護膜形成薬液を用いて洗浄されたウェハの評価方法」に記載した要領で評価したところ、表1に示す通り、撥水性保護膜形成前の初期接触角が10°未満であったものが、保護膜形成後の接触角は91°となり、優れた撥水性付与効果を示した。また、上記「毛細管力の評価」に記載した式を使って水が保持されたときの毛細管力を計算したところ、毛細管力は0.06MN/mとなり、毛細管力は小さかった。また、UV照射後の接触角は10°未満であり保護膜は除去できた。さらに、UV照射によるウェハのΔRa値は±0.5nm以内であり、洗浄時にウェハは侵食されず、さらにUV照射後に保護膜の残渣は残らないことが確認できた。
Figure 0005712670
[実施例2〜4]
実施例1で用いた保護膜形成剤、有機溶媒、保護膜形成剤濃度、触媒、保護膜形成工程の時間を適宜変更して、ウェハの表面処理を行い、さらにその評価を行った。結果を表1に示す。なお、触媒濃度は、保護膜形成剤の総量100質量%に対する質量%濃度である。
[比較例1]
保護膜形成薬液として、N,N−ジメチルアミノトリメチルシラン〔(CHSiN(CH〕;10g、PGMEA;90gを混合したものを用いた以外は、実施例1と同じである。結果、表1に示す通り表面処理後のTiNウェハの接触角は18°となり、撥水性付与効果は得られなかった。また、上記「毛細管力の評価」に記載した式を使って水が保持されたときの毛細管力を計算したところ、毛細管力は3.0MN/mとなり、毛細管力は大きかった。
1 ウェハ
2 ウェハ表面の凹凸パターン
3 パターンの凸部
4 パターンの凹部
5 凹部の幅
6 凸部の高さ
7 凸部の幅
8 凹部4に保持された撥水性保護膜形成薬液
9 凹部4に保持された液体
10 撥水性保護膜

Claims (9)

  1. 表面に凹凸パターンを形成されたウェハであって、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの洗浄工程後において、該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持された洗浄液を置換して前記ウェハの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成するための撥水性保護膜形成剤を含有する撥水性保護膜形成薬液であり、
    前記撥水性保護膜形成剤が下記一般式[1]で表されるケイ素化合物であることを特徴とする、撥水性保護膜形成薬液。
    a bSiX4−a−b [1]
    [式[1]中、Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、式[1]のR、及びR中に含まれる炭素数の合計が6以上であり、Xは、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、及び、ハロゲン基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基である。また、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は1〜3である。]
  2. 前記撥水性保護膜形成剤が、下記一般式[2]で表されるケイ素化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の撥水性保護膜形成薬液。
    a bSiX [2]
    [式[2]中、Rは、それぞれ互いに独立して、炭素数が1〜18の少なくとも1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基、Rは、それぞれ互いに独立して、水素基、又は炭素数が1〜18の炭化水素基であり、式[2]のR、及びR中に含まれる炭素数の合計が6以上であり、Xは、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、または、ハロゲン基である。また、aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は3である。]
  3. 前記撥水性保護膜形成剤が、下記一般式[3]で表されるケイ素化合物であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の撥水性保護膜形成薬液。
    (CHSiX [3]
    [式[3]中、Rは炭素数が4〜18の1以上の水素元素がフッ素元素に置換された炭化水素基であり、Xはケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、または、ハロゲン基である。]
  4. 前記ケイ素化合物中のRまたはRが、5以上のフッ素原子を含有していることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の撥水性保護膜形成薬液。
  5. 溶媒を含有することを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の撥水性保護膜形成薬液。
  6. 酸を含有することを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の撥水性保護膜形成薬液。
  7. 前記撥水性保護膜形成剤が、前記撥水性保護膜形成薬液の総量100質量%に対して0.1〜50質量%となるように混合されてなることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の撥水性保護膜形成薬液。
  8. 表面に凹凸パターンを形成されたウェハであって、
    該凹凸パターンの少なくとも凹部表面の一部がチタン、窒化チタン、タングステン、アルミニウム、銅、スズ、窒化タンタル、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の物質を含むウェハの洗浄方法であって、
    前記ウェハ表面を水系洗浄液で洗浄する、水系洗浄液洗浄工程
    該凹凸パターンの少なくとも凹部に保持された洗浄液を置換して前記ウェハ表面に撥水性保護膜を形成するための撥水性保護膜形成剤を含有する撥水性保護膜形成薬液を、前記ウェハの少なくとも凹部に保持し、該凹部表面に撥水性保護膜を形成する、撥水性保護膜形成工程
    ウェハ表面の液体を除去して乾燥する、液体除去工程
    前記凹部表面から撥水性保護膜を除去する、撥水性保護膜除去工程
    を含み、
    撥水性保護膜形成工程において請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の撥水性保護膜形成薬液を用いることを特徴とする、ウェハの洗浄方法。
  9. 前記撥水性保護膜除去工程において、撥水性保護膜が、ウェハ表面を光照射すること、ウェハを加熱すること、ウェハをオゾン曝露すること、及びウェハをプラズマ照射することからなる群から選ばれる少なくとも1つの処理方法で行われることを特徴とする請求項8に記載の洗浄方法。
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