JP2006066388A - 自動車用ワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 極細線、細線および太線からなる複数本の電線を集束して1本のワイヤハーネスを形成し、前記極細線の導体は少なくとも1本の高引張線材と複数の導電性素線を集束してなり、前記細線の導体は複数本の素線を圧縮して集束した圧縮導体からなり、前記太線の導体は複数本の素線を集束したものからなる。前記極細線の導体は、前記高引線材を中心素線とし、該中心素線の外周を包囲するように7〜9本の前記導電性素線を配置している。
【選択図】 図1
Description
そこで、電線の導体を圧縮したり、導体を被覆する絶縁層を薄肉化することにより電線の細径化・軽量化を図る試みがなされている。
また、電線の絶縁層を薄肉化した場合、軽量化することができるが、絶縁層の耐摩耗性を維持するために、従来よりも耐摩耗性を有する樹脂で絶縁層を成形する必要がある。その場合、絶縁層は硬くなり、電線自体も硬くなって曲げにくくなる。
ワイヤハーネスを車両に配索する際には、ワイヤハーネスを所定の形状に折り曲げなければならず、このような絶縁層の硬い電線を複数本束ねたワイヤハーネスであると、所定形状に折り曲げる作業に多大な労力と時間を要し、作業効率が悪くなる問題がある。
なお、ワイヤハーネスの種類によっては、前記太線を除いて、極細線および細線からなる複数本の電線を集束して1本のワイヤハーネスを形成している場合もある。このような場合も、少なくとも1本の高引張線材と複数の導電性素線を集束してなる前記極細線と、前記細線の導体は複数本の素線を圧縮して集束した圧縮導体からなる細線とで構成している。
ワイヤハーネスを構成する前記極細線、細線および太線のいずれも、前記導体を絶縁樹脂からなる絶縁層で被覆しており、該絶縁層の厚さは略従来と同様とし導体の絶縁および保護を図っている。
前記太線の導体は複数本の素線からなる撚線としていることが好ましい。
本発明では、前記したように、極細線は、その導体を少なくとも1本の高引張線材と、複数本の導電性素線とからなる撚線構造体としていることにより、導体断面積が0.05mm2〜0.3mm2の極細線としても、高引張線材を含んでいるため、引張強度を高めることができ、機械的強度の信頼性を保つことができる。
このように、極細線は導体自体に引張強度を持たせているため、絶縁層は従来と同様な樹脂で形成して絶縁層の柔軟性を保持でき、電線を小径化しながら柔らかくすることができる。よって、ワイヤハーネスを構成する電線群中に占める割合が多い信号用となる極細線の小径化を図ることによりワイヤハーネス全体の外径を減少でき、配索スペースを狭くできると共に配索作業性も高めることができる。
ワイヤハーネスを形成する電線のうち20%以上の電線を、導体断面積が0.05mm2〜0.3mm2である極細線に置換することにより、ワイヤハーネス全体の細径化・軽量化を図ることができると共に、柔軟性の高い極細線を多数本集束しているためにワイヤハーネス自体の柔軟性も向上させることができる。
これにより、ワイヤハーネスを車両に配索する際には、ワイヤハーネスを所定の形状に容易に屈曲させて配索することができ、ワイヤハーネスの配索作業の効率を向上させることができる。
通常、ワイヤハーネスを構成する電線は、電源(パワー)系、アース系、信号系に大別される。信号系電線の電流量は少量でよいが、従来は電線の引張強度を維持するため、信号線として電流量としては必要以上となる導体断面積が0.35mm2の電線が一般的に使用されている。
本発明では、導体断面積が0.05mm2〜0.3mm2の極細線としても引張強度を保持できるため、信号線として必要な電流量を確保できる前記極細線に置き換えて用いている。
また、前記極細線の導体を、複数本の高引張線材の外周に前記導電性素線7〜9本を密着配置して形成してもよい。この場合、高引張線材は2〜4本が好ましく、高引張線材が外周の導電性素線より小径であってもよい。
具体的には、中心素線となる高引張線材としてステンレス鋼を用いることが好ましく、外周の導電性素線は銅または銅合金から形成していることが好ましい。
ステンレス鋼の断面積は導体の断面積の13〜35%としていることが好ましい。
また、高引張線材の外周に配置の導電性素線に使用される銅または銅合金は、通常電線に使用される各種のものが使用可能であるが、導電性、引張強度、伸び等の観点から純銅、Cu−Ag合金、Cu−Ni−Si合金等が好ましい。
導体を被覆する絶縁層の素材は特に限定されず、該絶縁層の肉厚は0.1〜0.3mm、好ましくは0.2mmとしている。
よって、前記ワイヤハーネスを車両に配索する際には、ワイヤハーネスを所定の形状に容易に折り曲げて配索することができ、ワイヤハーネスの配索作業の効率を向上させることができる。
図1乃至図4は第1実施形態を示し、図1が自動車のインストルメントパネル内に配索するインストルメントパネルハーネスからなるワイヤハーネスW/Hを示す。
前記ワイヤハーネスW/Hを構成する多数の電線のうち20〜50%(本実施形態では30%)の電線を、図2中で断面を黒色で示した極細線w1から構成している。ワイヤハーネスW/Hは前記極細線w1と、細線w2(断面を斜線で示す)、太線w3からなる電線群を集束して構成している。
極細線w1は、図3に示すように、ステンレス鋼からなる1本の高引張線材を中心素線11とし、その周囲に8本の銅からなる素線を外周素線12として、互いに密着させて配置している。これら外周素線12を中心素線11の周囲に撚って撚線構造体とし、外周素線12を外部から中心素線11側へ押圧して導体10を形成している。
導体10を被覆する絶縁層13は、細線w2と同様な高強度樹脂(オレフィン樹脂)で形成し、その肉厚を0.2mmとしている。
さらに、細線w2も圧縮導体として導体断面積を小さくしていると共に絶縁層22も薄肉化しているため、極細線w1と細線w2とを組み合わせて用いていることにより、ワイヤハーネスW/Hの外径を小さくすることができる。
詳細には、極細線w1の導体は、従来用いられていた導体断面積0.35mm2の直径に対して23%程度縮小され、かつ、極細線w1の重量は同一長さの導体断面積0.35mm2の電線に対して51%軽量化されている。よって、この極細線をワイヤハーネスW/Hの電線群のうちの20〜50%とすることにより、ワイヤハーネスの外径の小径化と軽量化が達成でき、自動車内での配索作業性を高めることができる。
かつ、前記極細線は信号回路用、細線は比較的所要通電量が小さい小電流回路用、太線は比較的所要通電量が大きい中、大電流回路用として用いることで、ワイヤハーネスを構成する電線群を、要求される各所要通電量に対応した電線より構成することができる。
本変形例では、極細線の導体を構成する高引張線材(ステンレス鋼)からなる中心素線の本数を第1実施形態と相違させている。
即ち、本変形例の極細線w1’は、図5に示すように、ステンレス鋼からなる4本の高引張線材を中心素線11’とし、その周囲に8本の銅からなる素線を外周素線12’として、互いに密着させて配置している。4本の中心素線11’を撚って撚線とすると共に外周素線12’を中心素線11’の周囲に撚って撚線構造体とし、外周素線12’を外部から中心素線11’側へ押圧して導体10を形成している。
なお、本変形例では、中心素線11’の径を0.140mm、外周素線12’の径を0.190mmとして、中心素線11’を外周素線12’よりも小径としている。
導体10’を被覆する絶縁層13’は、第1実施形態と同様、肉厚0.2mmの高強度樹脂(オレフィン樹脂)で形成している。
なお、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
また、本変形例の極細線w1’は後述する第2実施形態のワイヤハーネスW/Hにも用いることができる。
前記極細線w1および細線w2の構造は第1実施形態と同一としているため、説明を省略する。
細線w2は導体断面積を0.35mm2とし、該導体を被覆する絶縁層の肉厚を0.20mmとして薄肉化している。
ワイヤハーネスW/H1〜ワイヤハーネスW/H3はいずれも電線本数を109本とした。
細線w2からなるワイヤハーネスW/H2の剛性値を基準値として剛性比率100とすると、一般電線からなるワイヤハーネスW/H3の剛性比率は85であった。
具体的には、ワイヤハーネスW/H2の細線w2を極細線w1に置換していき、極細線w1の比率を高くしていった。ワイヤハーネスW/H1では、抜き取った細線w2の本数分だけ極細線w1を補っていき、極細線w1と細線w2の合計本数は109本として一定とした。
折れ線グラフの横軸をワイヤハーネスW/H1中の極細線w1の比率、縦軸を剛性比率とした。
また、極細線w1の比率を増加すればする程、ワイヤハーネスW/H1の剛性が低下し、大きな柔軟性を得られることも確認できた。
また、174本の電線を集束したワイヤハーネスでは、実線2の極細線w1を61本で約35%としたワイヤハーネスW/H1は、実線1の細線w2のみからなるワイヤハーネスW/H2と比較して剛性を21%低下でき、実線3のワイヤハーネスW/H3の剛性値と略同等となった。
さらに、224本の電線を集束したワイヤハーネスでは、実線2の極細線w1を110本で約49%としたワイヤハーネスW/H1は、実線1の細線w2のみからなるワイヤハーネスW/H2と比較して剛性値を28%低下でき、実線3のワイヤハーネスW/H3の剛性値と略同等となった。
このようにワイヤハーネスの電線本数を様々に変えた場合にも極細線を用いることでワイヤハーネスの柔軟性を高めて屈曲性を向上させることができ、配索作業を容易にすることができることが確認できた。
11 中心素線
12 外周素線
13、22、33 絶縁層
21 素線
30 試験機
w1 極細線
w2 細線
w3 太線
W/H(W/H1〜W/H3)ワイヤハーネス
Claims (10)
- 極細線、細線および太線からなる複数本の電線を集束して1本のワイヤハーネスを形成し、前記極細線の導体は少なくとも1本の高引張線材と複数の導電性素線を集束してなり、前記細線の導体は複数本の素線を圧縮して集束した圧縮導体からなり、前記太線の導体は複数本の素線を集束したものからなることを特徴とする自動車用ワイヤハーネス。
- 極細線および細線からなる複数本の電線を集束して1本のワイヤハーネスを形成し、前記極細線の導体は少なくとも1本の高引張線材と複数の導電性素線を集束してなり、前記細線の導体は複数本の素線を圧縮して集束した圧縮導体からなることを特徴とする自動車用ワイヤハーネス。
- 前記極細線の導体を構成する前記高引張線材は太い導電性芯線からなると共に前記複数の導電性素線は前記高引張線材よりも小径な素線からなり、
前記太線の導体は複数本の素線からなる撚線としている請求項1に記載の自動車用ワイヤハーネス。 - 前記ワイヤハーネスを構成する電線は、それぞれ前記導体を絶縁樹脂からなる絶縁層で被覆しており、
前記極細線の導体断面積は0.05mm2以上0.3mm2以下、前記細線の導体断面積は0.3mm2を超えて1.5mm2以下に設定している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ワイヤハーネス。 - 前記極細線の導体は、1本の前記高引張線材を中心とし、または、2〜4本の前記高引張線材を中心とし、その外周を包囲するように密着配置される7〜9本の前記導電性素線からなる外周素線とで断面略円形に形成し、撚線構造としている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ワイヤハーネス。
- 前記極細線の高引張線材はステンレス鋼からなり、導電性素線は銅または銅合金からなる一方、前記細線の素線は同一径の銅または銅合金からなる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ワイヤハーネス。
- 前記細線の導体を被覆する絶縁層はオレフィン系樹脂から形成し、該絶縁層の肉厚は前記極細線と同じ厚さとして薄肉化している請求項1乃至請求項6のいずれか1項の記載の自動車用ワイヤハーネス。
- 前記1本のワイヤハーネスを構成する電線群のうち、20%以上の電線は前記極細線としている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の自動車用ワイヤハーネス。
- 前記極細線は信号線として用いている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の自動車用ワイヤハーネス。
- 前記極細線を20〜50%備えているインストルメントパネルハーネスからなる請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の自動車用ワイヤハーネス。
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