JP2020027776A - 複合ケーブル - Google Patents
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Abstract
Description
また、近年、電動パーキングブレーキ(Electric Parking Brake。以下EPBという。)の普及に伴い、EPB制御デバイスからEPBのアクチュエータに電力を供給するEPBケーブル(電源線)も知られている。
そのため、従来、それらのケーブルは、一緒にテープで巻いたり結束バンドで束ねる等して車両内に組み付けられることが多かった。
また、例えば特許文献2、3では、一対の電源線と一対の信号線とにテープを巻き付けて覆い、その上から全体をシースした複合ケーブルが開示されている。
そして、ABSケーブルとEPBケーブルとを別々に組み付けたりそれらを束ねる等して組み付ける場合に比べて、車両内でケーブルが占めるスペースをより小さくすること(省スペース化)が可能となるといったメリットがある。
複合ケーブルの可撓性が劣ると(すなわち硬く曲げにくいと)、複合ケーブルを車両内に組み付ける際に組み付けにくくなる。また、複合ケーブルの耐屈曲性が劣ると、複合ケーブルに曲げる力が繰り返し加わった際に、複合ケーブル内で断線するなど、複合ケーブルが損傷するおそれがある。
そのため、複合ケーブルの電源線や信号線を制御デバイスやセンサ等に接続するために複合ケーブルの端末を加工する際に、テープを取り除かなければならなくなるなど、端末加工性が良くなく、作業が面倒になる等の問題があった。
中心導体に耐熱樹脂が被覆された構造をそれぞれ有する2本の電源線と、中心導体に耐熱樹脂が被覆された構造をそれぞれ有する2本の信号線とを備える複合ケーブルであって、
前記2本の電源線と前記2本の信号線の計4本が全体的に撚り合わされており、
前記2本の電源線と前記2本の信号線とが一括シース層で隙間なく直接被覆されていることを特徴とする。
前記電源線は、電動パーキングブレーキの制御デバイスからアクチュエータに電力を供給するための電源線であり、
前記信号線は、ABSセンサからABS制御デバイスに信号を送信するための信号線であることを特徴とする。
本実施形態では、複合ケーブルは、2本(一対)の電源線と2本(一対)の信号線の計4本が全体的に撚り合わされており、撚り合わされた2本の電源線と2本の信号線とが一括シース層で隙間なく直接被覆されている。
また、2本の信号線3、3は、ABSセンサ61からABS制御デバイス60に信号を送信するための信号線として用いられるようになっている。
しかし、本実施形態に係る複合ケーブル1では、上記のように2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4により複合化されており、計4本の線を1本のケーブルとして扱うことが可能となる。
なお、複合ケーブル1の電源線2、2や信号線3、3を、EPB用の電源線やABS用の信号線以外の電源線や信号線として用いることも可能であり、その場合も本発明を適用することができる。
以下、いくつかの構成例を挙げて具体的に説明するが、上記の基本的な構成、すなわち2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本が全体的に撚り合わされており、撚り合わされた2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている構成は以下のいずれの構成例においても同様である。
図2は、構成例1に係る複合ケーブルの構成を表す図であり、(A)は断面図、(B)は側面図を表す。
構成例1に係る複合ケーブル1では、2本の信号線3、3のうちの1本の信号線3(3a)が、2本の電源線2、2のうちの一方の電源線2(2a)と接し、もう1本の信号線3(3b)が、2本の電源線2、2のうちの他方の電源線2(2b)と接するように配置されている。
そして、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本が全体的に撚り合わされており、撚り合わされた2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。
図3は、構成例2に係る複合ケーブルの構成を表す断面図である。
構成例2に係る複合ケーブル1では、2本の信号線3、3のうちの1本の信号線3(3c)が、2本の電源線2、2のいずれにも接するように配置されている。そして、もう1本の信号線3(3d)は、2本の電源線2、2のうちの一方の電源線2と信号線3に接する状態になっている。
そして、撚り合わされた2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。
また、構成例1と構成例2における構造の違いは本質的なものではなく、実際に、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とを構成例1のように撚り合わせようとすると、2本の信号線3、3が2本の電源線2、2に対して相対的に位置が比較的容易にずれて、構成例2の状態になり得る。
そして、2本の信号線3、3の2本の電源線2、2に対する相対的な位置が構成例2のようにずれても、通常、何ら問題は生じない。なお、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とを、構成例1のような位置関係を保つように撚り合わせることが可能であることは言うまでもない。
図4は、構成例3に係る複合ケーブルの構成を表す断面図である。
構成例3に係る複合ケーブル1では、2本の信号線3、3がそれぞれ、2本の電源線2、2のいずれにも接するように配置されている。
そして、この場合も、全体的に撚り合わされた2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。
電源線2と信号線3は、いずれも、中心導体21、31に耐熱樹脂22、32が被覆された構造を有している。
そして、本実施形態では、電源線2と信号線3は、いずれも、中心導体21、31が、図5に示すように、銅線や銅合金線等からなる複数の素線21a、31aがそれぞれ撚り合わされて構成されている。なお、図5は、電源線2(中心導体21)と信号線3(中心導体31)とが同じ太さであることを表すものではない。
耐熱樹脂22、32として架橋された樹脂を用いることで、電源線2や信号線3の耐熱性を向上させることが可能となる。そのため、例えば、車両に組み付けられた複合ケーブル1がエンジン等の熱で高温に晒される場合があるが、そのような場合でも熱により電源線2や信号線3の被覆が溶けるなどして損傷することを防止することが可能となる。
このように、一括シース層4を架橋性の耐熱樹脂で構成することで、上記の電源線2と信号線3の耐熱樹脂22、32の場合と同様に、複合ケーブル1が高温に晒される等しても、熱により一括シース層4が溶けるなどして複合ケーブル1が損傷することを防止することが可能となる。なお、一括シース層4を樹脂層等で外側から更に被覆するように構成することも可能である。
上記のように、複合ケーブル1は、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本が全体的に撚り合わされており、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。
そのため、それを車両内等に組み付ける場合、従来のように2本の電源線(例えばEPBケーブル)と2本の信号線(例えばABSケーブル)とを別々に組み付ける場合に比べて、車両内等で占めるスペースをより小さくすることが可能となり、複合ケーブル1を車両内等に組み付ける場合に省スペース化を図ることが可能となる。
このように、本実施形態にように電源線2や信号線3を撚り合わせることで電源線2や信号線3が撓みやすくなり、それらを内蔵する複合ケーブル1(図2〜図4参照)の可撓性を向上させることが可能となる。
そのため、電源線2や信号線3を撚った方が曲げやすくなり、また、曲げる力が繰り返し加わった場合のダメージもより小さくなる。そのため、本実施形態にように電源線2や信号線3を撚り合わせることで電源線2や信号線3の耐屈曲性が高くなり、それらを内蔵する複合ケーブル1の耐屈曲性を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態に係る複合ケーブル1における上記のような優れた可撓性や耐屈曲性(特に可撓性)と良好な端末加工性とは、以下のように互いに関連していると考えられる。
そのため、本実施形態に係る複合ケーブル1では、撚り合わされた計4本の配線(2本の電源線2、2と2本の信号線3、3)をテープ巻きせずに一括シース層4で隙間なく直接被覆しているため、上記のように、可撓性も端末加工性も良好なものとなっていると考えられる。
そのため、本実施形態に係る複合ケーブル1では、仮に複合ケーブル1に曲げる力が繰り返し加わる等しても、電源線2や信号線3が複合ケーブル1内で断線する等して複合ケーブル1が損傷するおそれがなく、耐屈曲性が良好なものになっていると考えられる。
また、複合ケーブル1を可撓性や耐屈曲性、端末加工性に優れたものとすることが可能となる。
エチレン−αオレフィン系エラストマーはゴム性を有するとともに、高温や低温に晒されても硬度が上昇しないため、複合ケーブル1の可撓性や耐屈曲性が向上する。また、一括シース層4を容易に成形加工することが可能となる等のメリットがある。
また、同様の理由で、一括シース層4を、ベース樹脂100質量部のうちスチレン系エラストマーが5質量部以上含まれるように構成することも可能である。
しかし、2本の信号線3、3と2本の電源線2、2との全体的な撚り合わせ構造における撚りピッチ(撚り線がある配置から次に同じ配置になるまでの長さ)が小さくなるように撚ると、撚りピッチが大きい場合に比べて電源線2や信号線3の長さが長くなり、その分、電源線2や信号線3の電気抵抗が大きくなる。
そして、電源線2や信号線3の電気抵抗が大きくなり過ぎると、種々の問題が生じ得る。
なお、複合ケーブル1の可撓性や耐屈曲性は、上記のような撚りピッチだけでなく、層心径(撚り線の中心を円の中心とし、撚り線を構成する各線(この場合は2本の電源線2、2)の各中心を通る円の直径)にも関連することが分かっている。
複合ケーブル1をこのように構成すれば、複合ケーブル1が優れた可撓性や耐屈曲性を有するものとなる。
そのため、複合ケーブル1の撚り込み率Aが10%以下になるように構成されていることが望ましい。
複合ケーブル1をこのように構成すれば、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とを全体的に撚ることで長くなり電気抵抗が大きくなっても、実際上、問題を生じることなく複合ケーブル1を使用することができる。
2 電源線
3 信号線
4 一括シース層
21、31 中心導体
21a、31a 素線
22、32 耐熱樹脂
50 電動パーキングブレーキの制御デバイス
51 アクチュエータ
60 ABS制御デバイス
61 ABSセンサ
A 撚り込み率
Claims (10)
- 中心導体に耐熱樹脂が被覆された構造をそれぞれ有する2本の電源線と、中心導体に耐熱樹脂が被覆された構造をそれぞれ有する2本の信号線とを備える複合ケーブルであって、
前記2本の電源線と前記2本の信号線の計4本が全体的に撚り合わされており、
前記2本の電源線と前記2本の信号線とが一括シース層で隙間なく直接被覆されていることを特徴とする複合ケーブル。 - 前記2本の信号線のうちの1本の前記信号線が、前記2本の電源線のうちの一方の前記電源線と接し、前記2本の信号線のうちのもう1本の前記信号線が、前記2本の電源線のうちの他方の前記電源線と接するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合ケーブル。
- 前記2本の信号線のうちの1本の前記信号線が、前記2本の電源線のいずれにも接するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合ケーブル。
- 前記2本の信号線がそれぞれ、前記2本の電源線のいずれにも接するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合ケーブル。
- 前記電源線は、電動パーキングブレーキの制御デバイスからアクチュエータに電力を供給するための電源線であり、
前記信号線は、ABSセンサからABS制御デバイスに信号を送信するための信号線であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複合ケーブル。 - 前記電源線及び前記信号線は、いずれも、前記中心導体が、複数の素線が撚り合わされて構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
- 前記2本の電源線と前記2本の信号線の全体的な撚り合わせ構造における撚り込み率が1%以上になるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
- 前記一括シース層は、ベース樹脂100質量部のうちエチレン−αオレフィン系エラストマーが15〜60質量部含まれることを特徴とすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
- 前記電源線及び前記信号線は、いずれも、前記耐熱樹脂が、架橋された樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
- 前記一括シース層が、架橋性の耐熱樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
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