JP2020027776A - 複合ケーブル - Google Patents

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【課題】車両内等に組み付ける場合に省スペース化を図ることが可能で、可撓性や耐屈曲性、端末加工性に優れた複合ケーブルを提供する。【解決手段】中心導体21に耐熱樹脂22が被覆された構造をそれぞれ有する2本の電源線2、2と、中心導体31に耐熱樹脂32が被覆された構造をそれぞれ有する2本の信号線3、3とを備える複合ケーブル1であって、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本が全体的に撚り合わされており、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。【選択図】図2

Description

本発明は、車両等に配置される複合ケーブルに関する。
従来から、車両において、ABS(Anti-lock Brake System)を機能させるために、車輪の近傍に配置されたABSセンサからABS制御デバイスに信号を送信するためのABSケーブル(信号線)が知られている。
また、近年、電動パーキングブレーキ(Electric Parking Brake。以下EPBという。)の普及に伴い、EPB制御デバイスからEPBのアクチュエータに電力を供給するEPBケーブル(電源線)も知られている。
そして、車両において、ABS制御デバイスとEPB制御デバイスとが近い位置あるいはほぼ同じ位置に配置され、一方でABSセンサと電動ブレーキのアクチュエータとはそれぞれ車輪の部分に配置されるため、それらを繋ぐABSケーブルやEPBケーブルは、通常、車両内に同じような経路で組み付けられる。
そのため、従来、それらのケーブルは、一緒にテープで巻いたり結束バンドで束ねる等して車両内に組み付けられることが多かった。
さらに、近年、それらのケーブルを1本のケーブルにまとめた複合ケーブルの開発が進められている。例えば特許文献1では、一対の電源線(EPBケーブル)と一対の信号線(ABSケーブル)とを一括でシースした複合ケーブルが開示されている。
また、例えば特許文献2、3では、一対の電源線と一対の信号線とにテープを巻き付けて覆い、その上から全体をシースした複合ケーブルが開示されている。
このように構成することで、電源線(EPBケーブル)と信号線(ABSケーブル)とを複合化して1本のケーブルのように扱うことが可能となる。
そして、ABSケーブルとEPBケーブルとを別々に組み付けたりそれらを束ねる等して組み付ける場合に比べて、車両内でケーブルが占めるスペースをより小さくすること(省スペース化)が可能となるといったメリットがある。
特許第5541331号公報 特許第6183730号公報 特許第6222532号公報
しかしながら、特許文献1に記載された複合ケーブルは、可撓性や耐屈曲性が劣る場合があった。
複合ケーブルの可撓性が劣ると(すなわち硬く曲げにくいと)、複合ケーブルを車両内に組み付ける際に組み付けにくくなる。また、複合ケーブルの耐屈曲性が劣ると、複合ケーブルに曲げる力が繰り返し加わった際に、複合ケーブル内で断線するなど、複合ケーブルが損傷するおそれがある。
また、特許文献2、3に記載された複合ケーブルでは、上記のように、電源線(EPBケーブル)や信号線(ABSケーブル)にテープが巻き付けられている。
そのため、複合ケーブルの電源線や信号線を制御デバイスやセンサ等に接続するために複合ケーブルの端末を加工する際に、テープを取り除かなければならなくなるなど、端末加工性が良くなく、作業が面倒になる等の問題があった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、車両内等に組み付ける場合に省スペース化を図ることが可能で、可撓性や耐屈曲性、端末加工性に優れた複合ケーブルを提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
中心導体に耐熱樹脂が被覆された構造をそれぞれ有する2本の電源線と、中心導体に耐熱樹脂が被覆された構造をそれぞれ有する2本の信号線とを備える複合ケーブルであって、
前記2本の電源線と前記2本の信号線の計4本が全体的に撚り合わされており、
前記2本の電源線と前記2本の信号線とが一括シース層で隙間なく直接被覆されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の複合ケーブルにおいて、前記2本の信号線のうちの1本の前記信号線が、前記2本の電源線のうちの一方の前記電源線と接し、前記2本の信号線のうちのもう1本の前記信号線が、前記2本の電源線のうちの他方の前記電源線と接するように配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の複合ケーブルにおいて、前記2本の信号線のうちの1本の前記信号線が、前記2本の電源線のいずれにも接するように配置されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の複合ケーブルにおいて、前記2本の信号線がそれぞれ、前記2本の電源線のいずれにも接するように配置されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複合ケーブルにおいて、
前記電源線は、電動パーキングブレーキの制御デバイスからアクチュエータに電力を供給するための電源線であり、
前記信号線は、ABSセンサからABS制御デバイスに信号を送信するための信号線であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の複合ケーブルにおいて、前記電源線及び前記信号線は、いずれも、前記中心導体が、複数の素線が撚り合わされて構成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の複合ケーブルにおいて、 前記2本の電源線と前記2本の信号線の全体的な撚り合わせ構造における撚り込み率が1%以上になるように構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の複合ケーブルにおいて、前記一括シース層は、ベース樹脂100質量部のうちエチレン−αオレフィン系エラストマーが15〜60質量部含まれることを特徴とすることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の複合ケーブルにおいて、前記電源線及び前記信号線は、いずれも、前記耐熱樹脂が、架橋された樹脂を含むことを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の複合ケーブルにおいて、前記一括シース層が、架橋性の耐熱樹脂で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、複合ケーブルを車両内等に組み付ける場合に省スペース化を図ることが可能となり、複合ケーブルを可撓性や耐屈曲性、端末加工性に優れたものとすることが可能となる。
複合ケーブルの電源線をEPB制御デバイスとアクチュエータに接続し、信号線をABSセンサとABS制御デバイスに接続した状態を表す図である。 構成例1に係る複合ケーブルの構成を表す(A)断面図であり、(B)側面図である。 構成例2に係る複合ケーブルの構成を表す断面図である。 構成例3に係る複合ケーブルの構成を表す断面図である。 電源線や信号線の中心導線が複数の素線を撚り合わされて構成されていることを表す図である。 (A)直線状の信号線、及び(B)バネ状やコイル状の信号線を表す図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る複合ケーブルについて説明する。ただし、以下に述べる各実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態や図示例に限定するものではない。
本実施形態では、複合ケーブルは、2本(一対)の電源線と2本(一対)の信号線の計4本が全体的に撚り合わされており、撚り合わされた2本の電源線と2本の信号線とが一括シース層で隙間なく直接被覆されている。
そして、本実施形態では、図1に示すように、例えば、2本の電源線2、2はEPB(電動パーキングブレーキ)の制御デバイス50からアクチュエータ51に電力を供給するための電源線として用いられる。
また、2本の信号線3、3は、ABSセンサ61からABS制御デバイス60に信号を送信するための信号線として用いられるようになっている。
従来のように、車両等に2本の電源線(例えばEPBケーブル)と2本の信号線(例えばABSケーブル)とを別々に組み付ける場合、それらを束ねる等しても2本の電源線と2本の信号線の計4本の線を組み付けなければならず、車両内等でそれらが比較的大きなスペースを占めていた。
しかし、本実施形態に係る複合ケーブル1では、上記のように2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4により複合化されており、計4本の線を1本のケーブルとして扱うことが可能となる。
そのため、複合ケーブル1を車両等に組み付ける場合に、上記の従来の場合に比べて、車両等内での省スペース化を図ることが可能となる。
なお、複合ケーブル1の電源線2、2や信号線3、3を、EPB用の電源線やABS用の信号線以外の電源線や信号線として用いることも可能であり、その場合も本発明を適用することができる。
複合ケーブル1内での2本の電源線2、2と2本の信号線3、3との相対的な配置は、種々構成することが可能である。
以下、いくつかの構成例を挙げて具体的に説明するが、上記の基本的な構成、すなわち2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本が全体的に撚り合わされており、撚り合わされた2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている構成は以下のいずれの構成例においても同様である。
[構成例1]
図2は、構成例1に係る複合ケーブルの構成を表す図であり、(A)は断面図、(B)は側面図を表す。
構成例1に係る複合ケーブル1では、2本の信号線3、3のうちの1本の信号線3(3a)が、2本の電源線2、2のうちの一方の電源線2(2a)と接し、もう1本の信号線3(3b)が、2本の電源線2、2のうちの他方の電源線2(2b)と接するように配置されている。
そして、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本が全体的に撚り合わされており、撚り合わされた2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。
[構成例2]
図3は、構成例2に係る複合ケーブルの構成を表す断面図である。
構成例2に係る複合ケーブル1では、2本の信号線3、3のうちの1本の信号線3(3c)が、2本の電源線2、2のいずれにも接するように配置されている。そして、もう1本の信号線3(3d)は、2本の電源線2、2のうちの一方の電源線2と信号線3に接する状態になっている。
そして、構成例2や後述する構成例3では図(B)のような複合ケーブル1の側面図の図示を省略するが、この場合も2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本が全体的に撚り合わされている。
そして、撚り合わされた2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。
なお、2本の電源線3、3に対する2本の信号線3、3の配置が、図3における配置と鏡像の関係にある場合も構成例2に含まれる。
また、構成例1と構成例2における構造の違いは本質的なものではなく、実際に、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とを構成例1のように撚り合わせようとすると、2本の信号線3、3が2本の電源線2、2に対して相対的に位置が比較的容易にずれて、構成例2の状態になり得る。
そして、2本の信号線3、3の2本の電源線2、2に対する相対的な位置が構成例2のようにずれても、通常、何ら問題は生じない。なお、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とを、構成例1のような位置関係を保つように撚り合わせることが可能であることは言うまでもない。
[構成例3]
図4は、構成例3に係る複合ケーブルの構成を表す断面図である。
構成例3に係る複合ケーブル1では、2本の信号線3、3がそれぞれ、2本の電源線2、2のいずれにも接するように配置されている。
そして、この場合も、全体的に撚り合わされた2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。
次に、各構成例に共通の構成について説明する。
電源線2と信号線3は、いずれも、中心導体21、31に耐熱樹脂22、32が被覆された構造を有している。
そして、本実施形態では、電源線2と信号線3は、いずれも、中心導体21、31が、図5に示すように、銅線や銅合金線等からなる複数の素線21a、31aがそれぞれ撚り合わされて構成されている。なお、図5は、電源線2(中心導体21)と信号線3(中心導体31)とが同じ太さであることを表すものではない。
また、本実施形態では、電源線2と信号線3の耐熱樹脂22、32は、いずれも、架橋された樹脂を含むように構成されている。架橋された樹脂としては、例えば架橋ポリエチレン(Cross-linked polyethylene)を用いることができる。
耐熱樹脂22、32として架橋された樹脂を用いることで、電源線2や信号線3の耐熱性を向上させることが可能となる。そのため、例えば、車両に組み付けられた複合ケーブル1がエンジン等の熱で高温に晒される場合があるが、そのような場合でも熱により電源線2や信号線3の被覆が溶けるなどして損傷することを防止することが可能となる。
また、本実施形態では、一括シース層4は、架橋性の耐熱樹脂で構成されている。
このように、一括シース層4を架橋性の耐熱樹脂で構成することで、上記の電源線2と信号線3の耐熱樹脂22、32の場合と同様に、複合ケーブル1が高温に晒される等しても、熱により一括シース層4が溶けるなどして複合ケーブル1が損傷することを防止することが可能となる。なお、一括シース層4を樹脂層等で外側から更に被覆するように構成することも可能である。
次に、本実施形態に係る複合ケーブル1の作用について説明する。
上記のように、複合ケーブル1は、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本が全体的に撚り合わされており、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とが一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。
このように、本実施形態では、電源線2や信号線3が一括シース層4により複合化されているため、図1に示したように、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の4本の線を1本のケーブルとして扱うことが可能となる。
そのため、それを車両内等に組み付ける場合、従来のように2本の電源線(例えばEPBケーブル)と2本の信号線(例えばABSケーブル)とを別々に組み付ける場合に比べて、車両内等で占めるスペースをより小さくすることが可能となり、複合ケーブル1を車両内等に組み付ける場合に省スペース化を図ることが可能となる。
一方、電源線2や信号線3を撚らず、図6(A)に示すように直線状になっている場合、それを径方向(図中の矢印の方向)に変形させようとしても変形させにくい(撓みにくい)。しかし、図6(B)に示すように、電源線2や信号線3を撚ってバネ状やコイル状にすると、その径方向(図中の矢印の方向)に比較的容易に変形させることができる(撓みやすい)。
このように、本実施形態にように電源線2や信号線3を撚り合わせることで電源線2や信号線3が撓みやすくなり、それらを内蔵する複合ケーブル1(図2〜図4参照)の可撓性を向上させることが可能となる。
また、電源線2や信号線3が直線状であるよりも、バネ状やコイル状にした方が、電源線2や信号線3を曲げたときの歪み(伸び歪みや圧縮歪み)が小さくなる。
そのため、電源線2や信号線3を撚った方が曲げやすくなり、また、曲げる力が繰り返し加わった場合のダメージもより小さくなる。そのため、本実施形態にように電源線2や信号線3を撚り合わせることで電源線2や信号線3の耐屈曲性が高くなり、それらを内蔵する複合ケーブル1の耐屈曲性を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態に係る複合ケーブル1では、2本の電源線2、2や2本の信号線3、3がテープ巻きされずに一括シース層4で隙間なく直接被覆されている。そのため、複合ケーブル1の端末を加工する際に、テープを取り除く等の作業が不要になり、端末加工性に優れたものとなっている。
なお、本実施形態に係る複合ケーブル1における上記のような優れた可撓性や耐屈曲性(特に可撓性)と良好な端末加工性とは、以下のように互いに関連していると考えられる。
すなわち、複合ケーブルを形成する際、従来は、電源線2や信号線3等の複数の配線を全体的に撚り合わせる場合、通常、それらをテープ巻きしていたが、撚り合わせた配線をテープ巻きすると、上記のようにテープを取り除くなど面倒な作業が必要になり端末加工性が良くないだけでなく、撚り合わされた配線の可撓性もテープ巻きする分だけ悪化する。
そのため、本実施形態に係る複合ケーブル1では、撚り合わされた計4本の配線(2本の電源線2、2と2本の信号線3、3)をテープ巻きせずに一括シース層4で隙間なく直接被覆しているため、上記のように、可撓性も端末加工性も良好なものとなっていると考えられる。
また、本実施形態では、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3の計4本を全体的に撚り合わせ、それらが一括シース層4で隙間なく直接被覆されているため、電源線2、2も信号線3、3も一括シース層4により確実に保護される。
そのため、本実施形態に係る複合ケーブル1では、仮に複合ケーブル1に曲げる力が繰り返し加わる等しても、電源線2や信号線3が複合ケーブル1内で断線する等して複合ケーブル1が損傷するおそれがなく、耐屈曲性が良好なものになっていると考えられる。
以上のように、本実施形態に係る複合ケーブル1によれば、複合ケーブル1を車両内等に組み付ける場合に省スペース化を図ることが可能となる。
また、複合ケーブル1を可撓性や耐屈曲性、端末加工性に優れたものとすることが可能となる。
なお、複合ケーブル1の可撓性や耐屈曲性をより向上させるために、一括シース層4(図2〜図4参照)を、ベース樹脂100質量部のうちエチレン−αオレフィン系エラストマーが15〜60質量部含まれるように構成することが可能である。
エチレン−αオレフィン系エラストマーはゴム性を有するとともに、高温や低温に晒されても硬度が上昇しないため、複合ケーブル1の可撓性や耐屈曲性が向上する。また、一括シース層4を容易に成形加工することが可能となる等のメリットがある。
また、同様の理由で、一括シース層4を、ベース樹脂100質量部のうちスチレン系エラストマーが5質量部以上含まれるように構成することも可能である。
また、本実施形態では、上記のように、複合ケーブル1の2本の電源線2、2と2本の信号線3、3との全体を撚り合わせることで、複合ケーブル1の可撓性や耐屈曲性が向上する。
しかし、2本の信号線3、3と2本の電源線2、2との全体的な撚り合わせ構造における撚りピッチ(撚り線がある配置から次に同じ配置になるまでの長さ)が小さくなるように撚ると、撚りピッチが大きい場合に比べて電源線2や信号線3の長さが長くなり、その分、電源線2や信号線3の電気抵抗が大きくなる。
そして、電源線2や信号線3の電気抵抗が大きくなり過ぎると、種々の問題が生じ得る。
そのため、複合ケーブル1における撚りピッチはそれぞれ適切なピッチに設定されることが望ましい。
なお、複合ケーブル1の可撓性や耐屈曲性は、上記のような撚りピッチだけでなく、層心径(撚り線の中心を円の中心とし、撚り線を構成する各線(この場合は2本の電源線2、2)の各中心を通る円の直径)にも関連することが分かっている。
そのため、本発明者らは、下記式(1)で算出される撚り込み率Aについて研究を行った。なお、撚りピッチをP、層心径をDとするとき、撚り込み率A(%)は、下記式(1)で表される。
Figure 2020027776
その結果、可撓性や耐屈曲性の観点からは、複合ケーブル1の2本の電源線2、2と2本の信号線3、3との全体的な撚り合わせ構造における撚り込み率Aが1%以上になるように構成されていることが好ましいことが分かった。
複合ケーブル1をこのように構成すれば、複合ケーブル1が優れた可撓性や耐屈曲性を有するものとなる。
また、逆に、撚り込み率Aが大き過ぎると、今度は、上記のように2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とを全体的に撚り合わせたことにより電気抵抗が大きくなり過ぎる可能性がある。
そのため、複合ケーブル1の撚り込み率Aが10%以下になるように構成されていることが望ましい。
複合ケーブル1をこのように構成すれば、2本の電源線2、2と2本の信号線3、3とを全体的に撚ることで長くなり電気抵抗が大きくなっても、実際上、問題を生じることなく複合ケーブル1を使用することができる。
なお、本発明が上記の実施形態等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
1 複合ケーブル
2 電源線
3 信号線
4 一括シース層
21、31 中心導体
21a、31a 素線
22、32 耐熱樹脂
50 電動パーキングブレーキの制御デバイス
51 アクチュエータ
60 ABS制御デバイス
61 ABSセンサ
A 撚り込み率

Claims (10)

  1. 中心導体に耐熱樹脂が被覆された構造をそれぞれ有する2本の電源線と、中心導体に耐熱樹脂が被覆された構造をそれぞれ有する2本の信号線とを備える複合ケーブルであって、
    前記2本の電源線と前記2本の信号線の計4本が全体的に撚り合わされており、
    前記2本の電源線と前記2本の信号線とが一括シース層で隙間なく直接被覆されていることを特徴とする複合ケーブル。
  2. 前記2本の信号線のうちの1本の前記信号線が、前記2本の電源線のうちの一方の前記電源線と接し、前記2本の信号線のうちのもう1本の前記信号線が、前記2本の電源線のうちの他方の前記電源線と接するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合ケーブル。
  3. 前記2本の信号線のうちの1本の前記信号線が、前記2本の電源線のいずれにも接するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合ケーブル。
  4. 前記2本の信号線がそれぞれ、前記2本の電源線のいずれにも接するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合ケーブル。
  5. 前記電源線は、電動パーキングブレーキの制御デバイスからアクチュエータに電力を供給するための電源線であり、
    前記信号線は、ABSセンサからABS制御デバイスに信号を送信するための信号線であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
  6. 前記電源線及び前記信号線は、いずれも、前記中心導体が、複数の素線が撚り合わされて構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
  7. 前記2本の電源線と前記2本の信号線の全体的な撚り合わせ構造における撚り込み率が1%以上になるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
  8. 前記一括シース層は、ベース樹脂100質量部のうちエチレン−αオレフィン系エラストマーが15〜60質量部含まれることを特徴とすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
  9. 前記電源線及び前記信号線は、いずれも、前記耐熱樹脂が、架橋された樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
  10. 前記一括シース層が、架橋性の耐熱樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の複合ケーブル。
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