JP2006059694A - 高分子電解質材、ならびにそれを用いた高分子電解質膜、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
本発明は、高プロトン伝導度と低燃料クロスオーバーを両立し、耐溶剤性に優れる上に、高分子電解質型燃料電池としたときに高出力、高エネルギー密度を達成することができる高分子電解質材、およびそれからなる高分子電解質膜、膜電極複合体ならびに高分子電解質型燃料電池を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の高分子電解質材は、少なくともイオン性基を有する炭化水素系ポリマーと下記一般式(M1)で示される基を有する架橋性化合物から得られる高分子電解質材であって、該高分子電解質材の含水状態のヘーズが30%以下であることを特徴とするものである。また、本発明の高分子電解質膜、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池は、かかる高分子電解質材を用いて構成されていることを特徴とするものである。
【化1】
(ここで、R1は水素、または任意の有機基である。)
【選択図】 なし
Description
「ポリマー」(Polymer), 1987, vol. 28, 1009. 「ジャーナル オブ メンブレン サイエンス」 (Journal of Membrane Science), 83 (1993) 211-220.
すなわち、本発明の高分子電解質材は、少なくともイオン性基を有する炭化水素系ポリマーと前記一般式(M1)で示される基を有する架橋性化合物からなり、その高分子電解質材の含水状態におけるヘーズが30%以下であるという透明性を有することが特徴である。
これらイオン性基を有するパーフルオロ系ポリマーは、ポリマー中の疎水性部分と親水性部分が明確な相構造を形成するために、含水状態ではポリマー中にクラスターと呼ばれる水のチャンネルが形成される。この水チャンネル中はメタノールなどの燃料の移動が容易であり、燃料クロスオーバー低減が望めない。
で示される繰返し単位を有する芳香族炭化水素系ポリマー、および下記一般式(P3)
で示される繰返し単位を有するポリイミドから選ばれることが好ましい。
本発明の高分子電解質材の好ましい態様は、本発明の高分子電解質材を前記一般式(M1)で示される基を有する架橋性化合物で架橋せしめた高分子電解質膜である。前記架橋性化合物で架橋せしめることにより、燃料クロスオーバーおよび燃料に対する膨潤を抑制する効果が期待でき、機械的強度が向上し、より好ましくなる。
検体となる膜状の試料を25℃の純水に24時間浸漬し、40℃で24時間真空乾燥した後、元素分析により測定した。炭素、水素、窒素の分析は全自動元素分析装置varioEL、硫黄の分析はフラスコ燃焼法・酢酸バリウム滴定で実施した。ポリマーの組成比から単位グラムあたりのスルホン酸基密度(mmol/g)を算出した。
膜状の試料を25℃の30重量%メタノール水溶液に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、できるだけ素早く定電位交流インピーダンス法でプロトン伝導度を測定した。
膜状の試料を30重量%メタノール水溶液に24時間浸漬した後、20℃において30重量%メタノール水溶液を用いて測定した。
試料としては、含水状態、すなわち25℃で、乾燥高分子電解質膜の1000倍重量の純水中に24時間浸漬した高分子電解質膜を使用し、表面の水滴を拭き取った後、全自動直読ヘーズコンピューター(スガ試験機(株)社製:HGM−2DP)を使用し、曇価(Hz%)を測定した。
検体となる高分子電解質材(約0.1g)を純水で十分に洗浄した後、40℃で24時間真空乾燥して重量を測定した。高分子電解質材を1000倍重量のN−メチルピロリドンに浸漬し、密閉容器中、撹拌しながら50℃、5時間加熱した。次に、アドバンテック社製濾紙(No.2)を用いて濾過を行った。濾過時に1000倍重量の同一溶剤で濾紙と残渣を洗浄し、十分に溶出物を溶剤中に溶出させた。残渣を40℃で24時間真空乾燥して重量を測定することにより、重量減を算出した。
ポリマーの重量平均分子量をGPCにより測定した。紫外検出器と示差屈折計の一体型装置として東ソー製HLC−8022GPCを、またGPCカラムとして東ソー製TSK gel SuperHM−H(内径6.0mm、長さ15cm)2本を用い、N−メチル−2−ピロリドン溶媒(臭化リチウムを10mmol/L含有するN−メチル−2−ピロリドン溶媒)にて、流量0.2mL/minで測定し、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を求めた。
下記式(G1)で表されるジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンの合成
下記式(G2)で表されるポリマーの合成
炭酸カリウム6.9g、4,4'−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール14.1g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノン4.4g、および上記合成例1で得たジソジウム 3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン8.4gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、上記式(G2)で示されるポリマーを得た。得られたポリマーのプロトン置換後のスルホン酸基密度は1.7mmol/g、重量平均分子量は22万であった。
イオン性基を有する炭化水素系ポリマーとして合成例2で得た前記式(G2)のポリマーを溶解させた25重量%N−メチルピロリドン(NMP)溶液16gと、架橋性化合物としてHMOM−TPPHBA(本州化学工業社製)1gを混合し、1時間室温で攪拌した。混合溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて2時間乾燥後、窒素下325℃で10分間熱処理し、高分子電解質膜を得た。1N塩酸に24時間浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に24時間浸漬して充分洗浄した。
架橋性化合物のHMOM−TPPHBA(本州化学工業社製)1gをTML−BPA(本州化学工業社製)1gに変えた以外は実施例1に記載の方法で膜の作製を行った。
イオン性基を有するポリマーとしてパーフルオロ系である市販のナフィオン(R)117膜(デュポン社製)を用い、イオン伝導度、MCOおよびヘーズ、N−メチルピロリドンに対する重量減を評価した。ナフィオン117膜は100℃の5%過酸化水素水中にて30分、続いて100℃の5%希硫酸中にて30分浸漬した後、100℃の脱イオン水でよく洗浄した。ナフィオン(R)117膜のヘーズは5%、NMPに対する重量減は2%であった。プロトン伝導度、メタノール透過量の評価結果は表1にまとめた。ヘーズは小さく、耐溶剤性に優れていた。プロトン伝導性は比較的高いが、メタノールクロスオーバーが極めて大きかった。
イオン性基を有する炭化水素系ポリマーであるスルホン化PPO(S−PPO)の合成はPPOとして三菱ガス化学社製YPX−100Lを用い、J. Appl. Polym. Sci., 29, 4017 (1984).記載の方法で、スルホン化PPO/PVDFのブレンド高分子電解質材を作製した。
イオン性基を有する炭化水素系ポリマーである合成例2で得たポリマー(Na型)をN−メチルピロリドンを溶媒とする25重量%溶液とし、架橋製化合物は添加せずに、当該溶液をガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥して溶媒を除去した。さらに、窒素ガス雰囲気下、200〜325℃まで1時間かけて昇温し、325℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷した。1N塩酸に1日間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に1日間以上浸漬して充分洗浄した。
実施例1の高分子電解質膜を用いて、次の方法により高分子電解質型燃料電池を作製し評価した。また、比較例1の市販のナフィオン117(R)膜も同様に高分子電解質型燃料電池を作製し評価した。
Claims (15)
- 該高分子電解質材が、50℃のN−メチルピロリドンに5時間浸漬した時の重量減が30重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質材。
- 該高分子電解質材が、イオン性基を有する炭化水素系ポリマー100重量部に対し、該架橋性化合物を1〜50重量部含むものであることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子電解質材。
- 前記イオン性基を有する炭化水素系ポリマーが、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびカルボン酸基から選ばれた少なくとも1種のイオン性基を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質材。
- 前記イオン性基を有する炭化水素系ポリマーが、少なくともスルホン酸基を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質材。
- 該高分子電解質材のスルホン酸基密度が0.5〜3.0mmol/gであることを特徴とする請求項5に記載の高分子電解質材。
- 前記イオン性基を有する炭化水素系ポリマーが、非架橋ポリマーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質材。
- 前記イオン性基を有する炭化水素系ポリマーが、スルホニル基、オキシ基、チオ基、カルボニル基、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸エステル基、エステル基、アミド基、イミド基およびホスファゼン基から選ばれた少なくとも1種の基を含むものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質材。
- 前記一般式(M1)のR1が、炭素数1〜20までのアルキル基、またはR2CO基(R2は炭素数1〜20までのアルキル基を表す)であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の高分子電解質材。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の高分子電解質材を用いて構成されていることを特徴とする高分子電解質膜。
- 少なくともイオン性基を有する炭化水素系ポリマーと、前記一般式(M1)で示される基を有する架橋性化合物との混合物で構成される塗液を、流延後、架橋せしめる工程を経ることにより、請求項11に記載の高分子電解質膜を製造することを特徴とする高分子電解質膜の製造法。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の高分子電解質材あるいは高分子電解質膜を用いて構成されているものであることを特徴とする膜電極複合体。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の高分子電解質材あるいは高分子電解質膜を用いて構成されていることを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
- 該高分子電解質型燃料電池が、炭素数1〜6の有機化合物、およびこれらと水の混合物から選ばれた少なくとも1種を燃料とする直接型燃料電池であることを特徴とする請求項14に記載の高分子電解質型燃料電池。
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