JP2008276982A - 燃料電池用触媒層 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入された高分子電解質と一般式−CH2OR(1)で示される基を2つ以上有する少なくとも1種以上の化合物Xから得られる固体電解質、および、導電性触媒担体と該導電性触媒担体に担時された触媒活性物質からなる燃料電池用触媒、を含む燃料電池用触媒層であって、該導電性触媒担体に対する該固体電解質の比率y(y=固体電解質の重量/導電性触媒担体の重量)が0.1≦y<0.8を満足するように設定されていることを特徴とする燃料電池用触媒層であることに関する。
【選択図】なし
Description
該導電性触媒担体に対する該固体電解質の比率y(y=固体電解質の重量/導電性触媒担体の重量)が0.1≦y<0.8を満足するように設定されていることを特徴とする燃料電池用触媒層によって、その触媒層を用いた燃料電池が優れた発電特性、耐久性を確保できることを見出し、本願発明を完成させるに至った。本発明は、かかる新知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。
(式中、Rは水素またはアルキル基またはアシル基を表し、1種類の化合物に含まれるRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)。
該導電性触媒担体に対する該固体電解質の比率y(y=固体電解質の重量/導電性触媒担体の重量)が0.1≦y<0.8を満足するように設定されていることを特徴とする燃料電池用触媒層である。
(式中、Rは水素またはアルキル基またはアシル基を表し、1種類の化合物に含まれるRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)。
(1.本発明の燃料電池用触媒層)
本発明にかかる燃料電池用触媒層は、少なくとも、芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入された高分子電解質と下記一般式(1)で示される基を2つ以上有する少なくとも1種以上の化合物Xから得られる固体電解質、および、導電性触媒担体と該導電性触媒担体に担時された触媒活性物質からなる燃料電池用触媒、を含む燃料電池用触媒層であって、
該導電性触媒担体に対する該固体電解質の比率y(y=固体電解質の重量/導電性触媒担体の重量)が0.1≦y<0.8を満足するように設定されていることを特徴とする燃料電池用触媒層であればよく、その他の成分、材料、配合割合、および製造条件等の具体的な構成については、特に限定されるものではない。
(式中、Rは水素またはアルキル基またはアシル基を表し、1種類の化合物に含まれるRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)。
本発明に用いる高分子電解質は、芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入されていればよく、それ以外の具体的な構成については、特に限定されない。前記芳香族単位を有する高分子化合物としては、例えば、ポリアリールエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリスルホン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルスルホン、スチレン−(エチレン−ブチレン)スチレン共重合体、スチレン−(ポリイソブチレン)−スチレン共重合体、ポリ1,4−ビフェニレンエーテルエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シアン酸エステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン−ポリスチレングラフト共重合体、ポリエチレン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリプロピレン−ポリスチレングラフト共重合体、(エチレン−グリシジルメタクリレート)−ポリスチレングラフト共重合体、(エチレン−エチルアクリレート)−ポリスチレングラフト共重合体、ポリプロピレン−(アクリロニトリル−スチレン)グラフト共重合体、ポリカーボネート−ポリスチレングラフト共重合体、ポリカーボネート−(アクリロニトリル−スチレン)グラフト共重合体、酢酸ビニル樹脂−ポリスチレンブロック共重合体、アクリル樹脂−ポリスチレンブロック共重合体、モディパーシリーズ(日本油脂株式会社製、登録商標)、エポフレンドシリーズ(ダイセル化学株式会社製)などが例示される。特に、化学的安定性および熱的安定性や、プロトン伝導性置換基の導入のしやすさ、得られるプロトン伝導性高分子電解質のプロトン伝導性、さらに得られ高分子電解質の耐久性、などを考慮すると、前記芳香族単位を有する高分子化合物は、下記の(i)〜(iii)から選択される1種のポリマー、又はこれらポリマーの混合物であることが好ましい。
(i)ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテルおよび変性ポリフェニレンエーテルからなるポリマーの群より選択される、少なくとも1種のポリマー;
(ii)前記(i)に記載のポリマーを含む共重合体;
(iii)前記(i),(ii)に記載のポリマーの誘導体。
つぎに、本発明の燃料電池用触媒層における、下記一般式(1)で示される基を2つ以上有する少なくとも1種以上の化合物Xについて、具体的に説明する。
(式中、Rは水素またはアルキル基またはアシル基を表し、1種類の化合物に含まれるRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)。
つぎに、本発明の燃料電池用触媒層における、燃料電池用触媒について、具体的に説明する。本発明で使用される燃料電池用触媒とは、文字通り、当業者にとって従来公知の燃料電池用触媒であればよく、導電性触媒担体と該導電性触媒担体に担時された触媒活性物質を含むものであればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。
次に本発明にかかる燃料電池用触媒層の製造方法の一例について説明する。本発明の燃料電池用触媒層は、前記高分子電解質と、前記化合物Xと、前記燃料電池用触媒と、溶媒、を含む触媒インクを調製する。ここで前記溶媒は、前記高分子電解質と前記化合物Xと前記燃料電池用触媒を溶解あるいは分散できること、さらに後工程で実施する上記高分子電解質と前記化合物Xとの化学反応を阻害しないこと、を除いては特に限定がなく、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドンあるいはジメチルスルホキシドなどが例示できる。これらのなかで、後工程における溶媒の除去のしやすさや前記化学反応の起こりやすさなどを考慮すると、メタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒が好ましく、特にメタノールが好ましい。また、使用する溶媒と水が混ざりあう場合には、前記溶媒が水を含むことが好ましい。これによって、可燃性の溶媒が触媒上で急激に反応して燃焼するなどの危険性を低減することができる。
(式中、Rは水素またはアルキル基またはアシル基を表し、1種類の化合物に含まれるRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)。
本発明の燃料電池用触媒層転写シートは、高分子フィルムあるいは無機物シートなどの支持体上に前述した燃料電池用触媒層が積層、形成されたものである。前記高分子フィルムは文字通り、当業者にとって従来公知の高分子フィルムであればよく、燃料電池用触媒層転写シートの加工条件や使用条件における熱的な劣化や化学的な劣化が引き起こされるものでなければ、その他の具体的な構成については、特に限定されない。かかる高分子フィルムとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパルバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択される少なくとも1種を含む、ことが製造工程でかかる加熱条件に耐え、工業的入手も容易であることから好ましい。前記無機物シートは文字通り、当業者にとって従来公知の無機物シートであればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。かかる無機物のシートとしては、チタン、ステンレス、アルミ、銅からなる群から選択される少なくとも1種を含む、ことが製造工程でかかる加熱条件に耐え、工業的入手も容易であることから好ましい。本発明においては、ハンドリング性や工業的生産性などの点から、支持体として高分子フィルムを使用した燃料電池用触媒層転写シートであることが好ましい。
本発明の燃料電池用ガス拡散電極は、導電性多孔質シート上に前述した燃料電池用触媒層が積層、形成されたものである。前記導電性多孔質シートは、文字通り、当業者にとって従来公知の導電性多孔質シートであればよく、その使用環境に応じて、熱的、化学的、電気化学的な劣化が引き起こされるものでなければ、その他の具体的な構成については、特に限定されない。燃料や酸化剤の拡散性や電気化学的な安定性、工業的入手の容易さなどから、本発明の燃料電池用電極の製造方法において、前記導電性多孔質シートは、カーボンペーパー、カーボンクロスおよびカーボンフエルトからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、前記導電性多孔質シートは、燃料や酸化剤含まれる加湿水や、液体燃料や生成水によるフラッディングを抑制できる点から、撥水処理が施されていることが好ましい。また、前記導電性多孔質シートは、触媒層と導電性多孔質シートとの電気的接触を向上させたり、水分管理を適切に実施できるといった点から、前記燃料電池用触媒層形成材料を塗布する面上に、撥水導電性材料からなる層を備えること、が好ましい。すなわち、撥水導電性材料からなる層は触媒層と導電性多孔質シートの間に設置されることになる。撥水導電性材料としては、カーボンブラックなどの導電性微粒子とテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系高分子化合物から構成されることが例示できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の燃料電池用触媒層、燃料電池用触媒層転写シートおよび燃料電池用ガス拡散電極と、高分子電解質膜から、燃料電池用膜電極接合体が製造できる。本発明の燃料電池用膜電極接合体は、燃料電池用触媒層、燃料電池用触媒層転写シートおよび燃料電池用ガス拡散電極の製造方法、により得られる燃料電池用触媒層、燃料電池用触媒層転写シートおよび燃料電池用ガス拡散電極を、高分子電解質膜の少なくとも一方の面に配置し、加熱圧接するものであればよく、その他の製造条件、成分、材料、配合割合等の具体的な構成については、特に限定されるものではない。
本発明の固体高分子形燃料電池は、前記燃料電池用触媒層を備えるもの、即ち前記燃料電池用触媒層から得られる膜電極接合体を、燃料、並びに酸化剤を送り込む流路が形成された一対のセパレーターなどの間に挿入することにより、得られるものである。前記セパレーターは、特に限定されず、例えばカーボングラファイトやステンレス鋼の導電性材料のものが使用できる。特にステンレス鋼などの金属製材料を使用する場合は、耐腐食性の処理を施していることが好ましい。これらセパレーターの代わりに、燃料、並びに酸化剤の供給経路を備える部材で代替しても構わない。
<高分子電解質の作製>
触媒層形成材料用高分子電解質として、スルホン酸基含有ポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)を合成した。
<燃料電池用触媒層および燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)の作製>
触媒インクを次の手順にて作製した。まず、前記S−PEEK(0.057g)と化合物XとしてのTML−BPAF−MF(0.011g)(前記構造式(6))と、メタノール(0.619g)からなる電解質溶液(0.687g)を調製した。
次いで純水(4.17g)に白金−ルテニウム担時カーボン触媒粉末(田中貴金属工業株式会社製TEC61E54、カーボン/白金/ルテニウム=46.8/30.0/23.2(重量比)、0.833g)および前記電解質溶液(0.687g)、メタノール(4.17g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌し、触媒インクを得た。
燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を次の手順で作製した。上記方法で調製した触媒インクを、エアブラシを使用して、カーボンペーパー製拡散層(SGLカーボンジャパン株式会社製SGL24BA、50mm×50mm)に白金目付量1.0mg/cm2になるまで、吹き付けた。それを80℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金目付量1.0mg/cm2の燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を得た。
<燃料電池用ガス拡散電極(カソード側)の作製>
燃料電池用ガス拡散電極(カソード側)を次の手順にて作製した。純水(10.9g)に白金担時カーボン触媒粉末(田中貴金属工業株式会社製TEC10E50E、カーボン/白金=55.0/45.0(重量比)、1.09g)および電解質溶液としてナフィオン溶液(5wt%、8.64g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌し、カソード用触媒インクを作製した。
燃料電池用ガス拡散電極(カソード側)を次の手順で作製した。上記方法で作製した触媒インクを、エアブラシを使用して、カーボンペーパー製拡散層(SGLカーボンジャパン株式会社製SGL24BA、50mm×50mm)に白金目付量1.0mg/cm2になるまで、吹き付けた。それを80℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金目付量1.0mg/cm2の燃料電池用ガス拡散電極(カソード側)を得た。
<高分子電解質膜>
高分子電解質膜として、ナフィオン膜(デュポン社製NRE−212CS)を使用した。
<燃料電池用膜電極接合体の作製>
本発明の膜電極接合体は、加熱圧接機(テスター産業株式会社製)を用いて次の手順で作製した。まず、SUS板、ポリテトラフルオロエチレンシート(100mm×100mm×0.05mm)、前記アノード側燃料電池用ガス拡散電極(22mm×22mm)、前記高分子電解質膜、前記カソード側ガス拡散電極(22mm×22mm)、ポリテトラフルオロエチレンシート(100mm×100mm×0.05mm)およびSUS板の順に積層した。この積層物を150℃に加熱した加圧板に設置した後、9.8MPa、30分間保持の条件で加熱圧接することによって、燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)中のS−PEEKとTML−BPAF−MFとを反応させ、固体電解質とし、本発明の実施例1の燃料電池用膜電極接合体を得た。(燃料電池用触媒層(アノード側)における導電性触媒担体に対する固体電解質の比率y=0.18)
以下の方法に従って、燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を作製した以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例2の燃料電池用膜電極接合体を得た。(燃料電池用触媒層(アノード側)における導電性触媒担体に対する固体電解質の比率y=0.25)
<燃料電池用触媒層および燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)の作製>
触媒インクを次の手順にて作製した。まず、前記S−PEEK(0.082g)と化合物XとしてのTML−BPAF−MF(0.016g)(前記構造式(6))と、メタノール(0.878g)からなる電解質溶液(0.976g)を調製した。
次いで純水(4.17g)に白金−ルテニウム担時カーボン触媒粉末(田中貴金属工業株式会社製TEC61E54、カーボン/白金/ルテニウム=46.8/30.0/23.2(重量比)、0.833g)および前記電解質溶液(0.976g)、メタノール(4.17g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌し、触媒インクを得た。
燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を次の手順で作製した。上記方法で調製した触媒インクを、エアブラシを使用して、カーボンペーパー製拡散層(SGLカーボンジャパン株式会社製SGL24BA、50mm×50mm)に白金目付量1.0mg/cm2になるまで、吹き付けた。それを80℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金目付量1.0mg/cm2の燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を得た。
以下の方法に従って、燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を作製した以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例3の燃料電池用膜電極接合体を得た。(燃料電池用触媒層(アノード側)における導電性触媒担体に対する固体電解質の比率y=0.43)
<燃料電池用触媒層および燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)の作製>
触媒インクを次の手順にて作製した。まず、前記S−PEEK(0.139g)と化合物XとしてのTML−BPAF−MF(0.028g)と、メタノール(1.504g)からなる電解質溶液(1.671g)を調製した。
次いで純水(4.17g)に白金−ルテニウム担時カーボン触媒粉末(田中貴金属工業株式会社製TEC61E54、カーボン/白金/ルテニウム=46.8/30.0/23.2(重量比)、0.833g)および前記電解質溶液(1.671g)、メタノール(4.17g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌し、触媒インクを得た。
燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を次の手順で作製した。上記方法で調製した触媒インクを、エアブラシを使用して、カーボンペーパー製拡散層(SGLカーボンジャパン株式会社製SGL24BA、50mm×50mm)に白金目付量1.0mg/cm2になるまで、吹き付けた。それを80℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金目付量1.0mg/cm2の燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を得た。
以下の方法に従って、燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を作製した以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例4の燃料電池用膜電極接合体を得た。(燃料電池用触媒層(アノード側)における導電性触媒担体に対する固体電解質の比率y=0.74)
<燃料電池用触媒層および燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)の作製>
触媒インクを次の手順にて作製した。まず、前記S−PEEK(0.241g)と化合物XとしてのTML−BPAF−MF(0.048g)と、メタノール(2.605g)からなる電解質溶液(2.894g)を調製した。
次いで純水(4.17g)に白金−ルテニウム担時カーボン触媒粉末(田中貴金属工業株式会社製TEC61E54、カーボン/白金/ルテニウム=46.8/30.0/23.2(重量比)、0.833g)および前記電解質溶液(2.894g)、メタノール(4.17g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌し、触媒インクを得た。
燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を次の手順で作製した。上記方法で調製した触媒インクを、エアブラシを使用して、カーボンペーパー製拡散層(SGLカーボンジャパン株式会社製SGL24BA、50mm×50mm)に白金目付量1.0mg/cm2になるまで、吹き付けた。それを80℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金目付量1.0mg/cm2の燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を得た。
以下の方法に従って、燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を作製した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の燃料電池用膜電極接合体を得た。(燃料電池用触媒層(アノード側)における導電性触媒担体に対する固体電解質の比率y=0.74)
<燃料電池用触媒層および燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)の作製>
触媒インクを次の手順にて作製した。まず、前記S−PEEK(0.289g)と、メタノール(2.605g)からなる電解質溶液(2.894g)を調製した。
次いで純水(4.17g)に白金−ルテニウム担時カーボン触媒粉末(田中貴金属工業株式会社製TEC61E54、カーボン/白金/ルテニウム=46.8/30.0/23.2(重量比)、0.833g)および前記電解質溶液(2.894g)、メタノール(4.17g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌し、触媒インクを得た。
燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を次の手順で作製した。上記方法で調製した触媒インクを、エアブラシを使用して、カーボンペーパー製拡散層(SGLカーボンジャパン株式会社製SGL24BA、50mm×50mm)に白金目付量1.0mg/cm2になるまで、吹き付けた。それを80℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金目付量1.0mg/cm2の燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を得た。
以下の方法に従って、燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を作製した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の燃料電池用膜電極接合体を得た。(燃料電池用触媒層(アノード側)における導電性触媒担体に対する固体電解質の比率y=0.74)
<燃料電池用触媒層および燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)の作製>
純水(8.33g)に白金−ルテニウム担時カーボン触媒粉末(田中貴金属工業株式会社製TEC61E54、カーボン/白金/ルテニウム=46.8/30.0/23.2(重量比)、0.833g)およびナフィオン溶液(5wt%、5.789g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌し、触媒インクを得た。
燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を次の手順で作製した。上記方法で調製した触媒インクを、エアブラシを使用して、カーボンペーパー製拡散層(SGLカーボンジャパン株式会社製SGL24BA、50mm×50mm)に白金目付量1.0mg/cm2になるまで、吹き付けた。それを80℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金目付量1.0mg/cm2の燃料電池用ガス拡散電極(アノード側)を得た。
<燃料電池用触媒層のメタノール耐久性試験>
本発明の燃料電池用膜電極接合体をメタノールに浸漬し、60℃で100時間保持したときの状態を目視観察した。結果を表1に示す。
<直接メタノール形燃料電池の発電試験>
本発明の固体高分子形燃料電池(直接メタノール形燃料電池)は、市販の燃料電池単セル(エレクトロケム社製)に、前記膜電極接合体を設置して組み立てた。まず、アノード側エンドプレート(集電体)、ガスフロープレート(カーボンセパレーター)、ポリテトラフルオロエチレンガスケット(0.15mm)、膜電極接合体、ポリテトラフルオロエチレンガスケット(0.15mm)、ガスフロープレート(カーボンセパレーター)、カソード側エンドプレート(集電体)の順に積層した。次いで、M3のボルトを用いて2N・mで締め付けることによって、本発明の固体高分子形燃料電池を得た。このようにして作製した燃料電池の発電特性は、セル温度60℃、アノード側に1mol/Lのメタノール水溶液、カソード側に無加湿の空気を供給することによって測定した。結果を表2に示す。
Claims (12)
- 少なくとも、芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入された高分子電解質と下記一般式(1)で示される基を2つ以上有する少なくとも1種以上の化合物Xから得られる固体電解質、および、導電性触媒担体と該導電性触媒担体に担時された触媒活性物質からなる燃料電池用触媒、を含む燃料電池用触媒層であって、
該導電性触媒担体に対する該固体電解質の比率y(y=固体電解質の重量/導電性触媒担体の重量)が0.1≦y<0.8を満足するように設定されていることを特徴とする燃料電池用触媒層。
−CH2OR・・・(1)
(式中、Rは水素またはアルキル基またはアシル基を表し、1種類の化合物に含まれるRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)。 - 前記yが0.19≦y≦0.42であることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池用触媒層。
- 前記芳香族単位を有する高分子化合物が芳香族ポリエーテル系高分子化合物であることを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層。
- 前記プロトン伝導性基が、スルホン酸基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層。
- 前記導電性触媒担体が、カーボン担体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層。
- 前記触媒活性物質が、白金、コバルトおよびルテニウム、からなる群から選択される、少なくとも1種および/または少なくとも1種を含む合金である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層。
- 前記燃料電池用触媒層が、直接メタノール形燃料電池のアノード触媒層である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層。
- 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層が、高分子フィルム上に形成されていることを特徴とする、燃料電池用触媒層転写シート。
- 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層が、導電性多孔質シート上に形成されていることを特徴とする、燃料電池用ガス拡散電極。
- 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層が、アノードおよび/またはカソードに使用され、プロトン伝導性をもつ高分子電解質膜を挟んで接合されてなることを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体。
- 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層を備える固体高分子形燃料電池。
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