JP5609475B2 - 電極触媒層、電極触媒層の製造方法、この電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池 - Google Patents

電極触媒層、電極触媒層の製造方法、この電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、電極触媒層、電極触媒層の製造方法、この電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池に係り、特に、固体高分子形燃料電池の触媒を高効率に利用した電極触媒層、電極触媒層の製造方法、この電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池(以下、PEFC)は、燃料電池自動車、定置用コージェネレーション、携帯機器用の電源として研究開発が進められている。PEFCの心臓部は、2枚のガス拡散電極の間にH伝導性の高分子電解質膜を挿入した膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEAと記す)である。
ガス拡散電極の触媒層の燃料極(アノード電極触媒層)では、水素の酸化(H→2H+2e)が起こり、ガス拡散電極の触媒層の空気極(カソード電極触媒層)では、酸素の還元(2H→1/2O+2e)が起こる。電極触媒としては、ケッチェンブラック1等の細孔を有する担体に白金を主体とする数ナノメーターの活性金属の触媒粒子を担持させたものが用いられる。
図3に、触媒粒子2を担持したケッチェンブラック1を示す。触媒粒子2を担持したケッチェンブラック1はカーボン粒子であって、図3中では一次粒子8として示す。触媒粒子2と担体との組み合わせは、例えば白金とケッチェンブラック(以下、Pt/KBと記す)、プラチナ・ルテニウムとケッチェンブラック等が用いられている。しかし、白金は高価であるため、その使用量を低減するとともに、その利用率を高めることが求められている。
PEFCのカソード電極触媒層において、触媒粒子の利用率を高めるためには、水素イオンを触媒粒子に効率的に供給する必要がある。このとき、水素イオンはイオン伝導性高分子電解質(以下、アイオノマーとも記す)を介して触媒粒子に到達するため、触媒粒子2をアイオノマーで被覆する必要がある。
アノード電極触媒層では、水素やメタノールを酸化して生じた水素イオンを電解質膜まで伝導させるため、ガス拡散層をアイオノマーで被覆する必要がある。ここで、アイオノマー被覆が厚くなるとH伝導性は高くなるが、反応物や生成物の物質拡散が遅くなる。一方、アイオノマー被覆が薄くなると、物質拡散速度が高くなるが、H伝導性が低くなる。したがって、ガス拡散電極のアイオノマー被覆では、H伝導性と物質拡散速度とのバランスを考慮することが求められている。
従来のガス拡散電極の製造方法としては、白金、ケッチェンブラック、アイオノマーと溶媒とを適切な割合で混合したペーストを作製し、これを電解質膜に直接、または転写基材やガス拡散層に塗布し、その後、接合するものがあった。
ところで、ケッチェンブラックを担体とした場合、電極触媒層には、三種類の細孔が存在する。一つは、図3に示したケッチェンブラック1を含む一次粒子8内の細孔3である。また、二つ目は、一次粒子8が凝集したPt/KB一次凝集体(これ以上分離できない最小の触媒単位)内部の一次細孔(約100nm以下のサイズ)であり、三つ目は、Pt/KB一次凝集体間の二次細孔(100nm超)である。
図4は、Pt/KB一次凝集体内部の一次細孔、あるいはPt/KB一次凝集体間の二次細孔を示した模式図である。図中、Pt/KB一次凝集体4の内部に一次細孔5が生じ、Pt/KB一次凝集体4間(一次細孔5間)に二次細孔6が生じていることが分かる。
前記したように、固体高分子形燃料電池の課題の一つとして、コスト高が挙げられる。その中でも、Pt触媒は高価であるため、できる限り、Ptの利用率を向上させる必要がある。そのPt触媒は、80%以上が一次細孔の内壁または一次粒子内の細孔に担持されているとの説もあり、内壁や一次粒子内の細孔のPt触媒を有効に利用することは、コスト低下につながると考えられる。しかし、アイオノマー同士は凝集しやすいため、一次細孔の内壁や一次粒子内の細孔にアイオノマーが入り込むことができないと言われている。図5は、一次凝集体4とアイオノマー7との状態を模式的に示した図である。
上記の問題を解決するため、現在、一次細孔5の内壁にアイオノマー7を高温高圧処理によって導入し、白金の利用率を向上させる技術がある。このような技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
国際公開第07/126153号
一般的に、炭化水素系アイオノマーを触媒粒子への水素イオンの供給に用いた場合、高加湿条件で性能を得るためには、膨潤しにくい低酸価のアイオノマー、低加湿条件で性能を得るためには、高酸価のアイオノマーが必要であると考えられる。
しかしながら、前記した従来技術では、高温高圧処理を施す場合に使用されるアイオノマーと、一次細孔間の二次細孔にプロトンネットワークを形成する際に使用されるアイオノマーとが同じ酸価のため、酸価の高いアイオノマーを使用すると、高加湿条件下において一次細孔内のアイオノマーが膨潤してしまい、ガス透過性の低下や白金利用率の低下を起こす。一方、酸価の低いアイオノマーを使用すると、保湿性が小さいために低加湿条件下での電池の発電特性が低下するという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、高加湿条件下においてガス透過性が低下せず、触媒の利用率が高く、かつ低加湿条件下においても保水性が高い電極触媒層、電極触媒層の製造方法、この電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の電極触媒層の製造方法は、触媒が担持されたカーボン粒子と第1のイオン伝導性高分子電解質と溶媒とを含むインクを高温高圧処理することにより、前記カーボン粒子内の細孔及び前記カーボン粒子の凝集体内の一次細孔に前記第1のイオン伝導性高分子電解質を導入し、冷却処理及び真空乾燥を行って、複合粒子を作製する工程と、前記複合粒子に、第2のイオン伝導性高分子電解質と溶媒とを加えて再度インク化することにより電極触媒インクを作製する工程と、前記電極触媒インクを用いて電極触媒層を形成する工程と、を含み、前記第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価が前記第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価より低いことを特徴とする。
このように構成することにより、一次細孔には第1のイオン伝導性高分子電解質が導入されて一次細孔内の触媒に水素を効率よく供給することによって触媒を活性化することができる。また、複合粒子の周囲を第2のイオン伝導性高分子電解質で被覆して一次細孔間の二次細孔内の触媒にも効率的に水素を供給し、触媒を活性化することができる。さらに、第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価を第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価よりも低くしたことから、高加湿条件下においてガス透過性が低下せず、かつ低加湿条件下においても保水性が高い電極触媒層の製造方法を提供することができる。
また、本発明の電極触媒層の製造方法は、上記した発明において、前記第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価が、1.0meq/g以上、2.0meq/g以下であることが望ましい。
このような発明によれば、第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価を最適にすることができる。
また、本発明の電極触媒層の製造方法は、上記した発明において、前記第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価が、2.0meq/g以上、3.0meq/g以下であることが望ましい。
このような発明によれば、第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価を最適にすることができる。
本発明の固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜(例えば図1に示した固体高分子電解質膜11)と前記高分子電解質膜を挟持した請求項1乃至3記載の一対の電極触媒層(例えば図1に示した電極触媒層12、13)とを備える膜電極接合体(例えば図1に示した膜電極接合体21)と、前記膜電極接合体を挟持した一対のガス拡散層(例えば図1に示したガス拡散層14、15)と、前記膜電極接合体及び前記ガス拡散層を挟持した一対のセパレータ(例えば図1に示したセパレータ10)とを備えることを特徴とする。
このような発明によれば、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電極触媒層の製造方法によって製造された電極触媒層を提供することができる。このため、触媒の利用効率が高く、しかも高加湿条件下においてガス透過性が低下せず、かつ低加湿条件下においても保水性が高い電極触媒層を使った固体高分子形燃料電池を提供することができる。
本発明の電極触媒層は、触媒(例えば図2に示した触媒粒子2)が担持されたカーボン粒子(例えば図2に示した一次粒子)と、該カーボン粒子内の細孔及び前記カーボン粒子の凝集体内の一次細孔に導入された第1のイオン伝導性高分子電解質(例えば図2に
示したアイオノマー27)と、前記凝集体間に生じる二次細孔に導入された第2のイオン伝導性高分子電解質(例えば図2に示したアイオノマー28)と、を含み、前記第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価が前記第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価より低いことを特徴とする。
このような発明によれば、触媒の利用効率が高く、しかも高加湿条件下においてガス透過性が低下せず、かつ低加湿条件下においても保水性が高い電極触媒層を提供することが
できる。
本発明によれば、一次粒子内の細孔と一次細孔に第1の低酸価のイオン伝導性高分子電解質を導入し、その後、冷却処理、真空処理を行い、さらに溶媒と第2の高酸価のイオン伝導性高分子電解質を加えることで、高加湿条件下においてガス透過性が低下せず、白金利用率が高く、かつ低加湿条件下においても保水性が向上し、触媒利用率が高い電極触媒層、電極触媒層の製造方法、この電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池を提供することができる。
本発明の一実施形態の固体高分子形燃料電池を説明するための図である。 本発明の一実施形態の電極触媒層を模式的に示した図である。 一般的な触媒粒子を担持したケッチェンブラックを示す図である。 一般的な一次凝集体内部の一次細孔、あるいは一次凝集体間の二次細孔を示した模式図である。 一般的な一次凝集体とアイオノマーとの状態を模式的に示した図である。
以下に、本発明の電極触媒層、電極触媒層の製造方法、この電極触媒層を用いた固体高分子形燃料電池の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は、以下に記載する実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本実施形態の範囲に含まれるものである。
本実施形態の電極触媒層は、触媒粒子が担持されたカーボン粒子(以下、本実施形態では一次粒子と記す)の一次凝集体を含む電極触媒層であって、一次凝集体の内部の細孔である一次細孔の内壁に低酸価のアイオノマーが被覆されており、さらに一次細孔間の二次細孔のプロトンネットワークには、高酸価のアイオノマーを用いている。これにより、PEFCにおいて、高加湿、低加湿においても触媒利用率が高まり、発電特性を向上させることができる。
1.固体高分子形燃料電池
図1は、本実施形態の固体高分子形燃料電池を説明するための図であって、固体高分子形燃料電池の分解模式図を示した図である。本実施形態の固体高分子形燃料電池は、膜電極接合体21、カソードとなる空気極16、アノードとなる燃料極17を備えている。膜電極接合体21は固体高分子電解質膜11、電極触媒層12、13を含み、電極触媒層12とガス拡散層14とが空気極16を構成する。また、電極触媒層13とガス拡散層とが燃料極17を構成する。
また、図示した固体高分子形燃料電池では、膜電極接合体21、空気極16、燃料極17が2つのセパレータ10によって図中に示した上下方向から挟まれていて、セパレータ10にはガス流路18、冷却水流路19が形成されている。
膜電極接合体21の電極触媒層12と対向してガス拡散層14が、電極触媒層13と対向してガス拡散層15及び燃料極側のガス拡散層15が配置される。これにより、空気極(カソード)16及び燃料極(アノード)17が構成される。そして、ガス流通用のガス流路18、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路19を備えた導電性でかつ不透過性の材料よりなる一組のセパレータ10が配置される。
燃料極17側のセパレータ10のガス流路18からは、燃料ガスとして例えば水素ガスが供給される。一方、空気極16側のセパレータ10のガス流路18からは、酸化剤ガスとして例えば酸素を含むガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と酸素ガスとを触媒の存在下で電極反応させることにより、燃料極17と空気極16との間に起電力を生じさせることができる。
(膜電極接合体の製造方法)
次に、図1に示した膜電極接合体21の製造方法を説明する。本実施形態の電極触媒層12、13の製造方法では、白金が担持された炭素粒子と溶媒、アイオノマーが混合されて高温高圧処理が施され、さらに真空乾燥が施されることによって触媒担持粒子が得られる。その後、触媒担持粒子を再インク化した触媒インクは転写シートまたはガス拡散電極に塗布され、乾燥させることによって電極触媒層12、13が形成される。
触媒インクの塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法等を用いることができる。
本実施形態の電極触媒層12、13の基材としては、ガス拡散層、転写シートを用いることができる。ガス拡散層14、15としては、ガス拡散性と導電性とを有する材質のものを用いることができる。また転写シートとしては、転写性がよい材質であればよい。また、固体高分子電解質膜11に直接電極触媒層を形成しても良い。
基材として転写シートを用いた場合には、固体高分子電解質膜11に電極触媒層12、13が接合された後に転写シートを剥離し、固体高分子電解質膜11の両面に電極触媒層12、13を備える膜電極接合体21が形成される。
(触媒インクの作製)
次に、前記した膜電極接合体の製造方法において使用される触媒インクの作製について説明する。
1.触媒
本実施形態では、白金やパラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属またはこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が触媒として使用できる。また、これらの触媒の粒径は、大きすぎると触媒の活性が低下し、小さすぎると触媒の安定性が低下するため、0.5〜20nmが好ましい。更に好ましくは、1〜5nmが良い。
これらの触媒を担持するカーボン粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒に侵されないものであればどのようなものでも構わないが、カーボンブラックやグラファイト、ケッチェンブラック、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンが使用できる。カーボン粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると電極触媒層のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下したりするので、10〜1000nm程度が好ましい。更に好ましくは、10〜100nmが良い。
2.インク
本実施形態の高温高圧処理を施す際のインクの分散媒として使用される溶媒は、触媒粒子や高分子電解質を侵食することなく、かつアイオノマーに対して良溶媒であることが好ましい。その理由は、貧溶媒であると、塗工が難しくなるためである。また、良溶媒を用いることにより、アイオノマーの分子サイズを小さくすることができ、一次細孔や一次粒子内の細孔に効率よくアイオノマーを侵入させることができる。
具体的には、溶媒には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等が好ましい。
また、上記程の良溶媒ではないが、1−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール等のアルコール類、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤、エチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール等の極性溶剤を使用しても問題ない。
これらの溶剤のうち二種類以上を混合させたものを使用することができる。また、溶媒として低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高く、このような溶媒を用いる際は、水との混合溶媒にするのが好ましい。溶剤には、高分子電解質となじみがよい水が含まれていてもよい。水の添加量は、高分子電解質が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限はない。
一次細孔内に導入される第1のイオン伝導性高分子電解質は、低酸価であることが望ましい。具体的には、1.0meq/g以上、2.0meq/g以下であることが好ましい。1.0meq/g未満であると、プロトン伝導性が低下し、2.0meq/gを超えると、膨潤しやすくなり、一次細孔を塞いでしまい、ガス拡散性が低下してしまうためである。
高温高圧処理されるインクのケッチェンブラック等のカーボン材料に対する第1のイオン伝導性高分子電解質の重量比は、0.2以上0.5以下であることが好ましい。この理由は、0.2未満であると、第1のイオン伝導性高分子電解質の量が少な過ぎ、十分に一次細孔や一次粒子の細孔に第1のイオン伝導性高分子電解質が侵入せず、また、0.5以上であると、一次細孔や一次粒子の細孔に第1のイオン伝導性高分子電解質が侵入し過ぎてしまい、ガス拡散性や水排出性が低下するためである。
3.高温高圧処理
高温高圧処理は、上記のインクを窒素ガスで満たしたPTFE系容器に移してオートクレーブに密閉し、加熱するのが好ましい。この際の温度と内圧は、250℃以上になると第1のイオン伝導性高分子電解質のスルホン酸基が脱離する可能性があるため、250℃以下で処理することが望ましい。処理時間は、第1の低酸価のイオン伝導性高分子電解質が劣化しないように短時間であることが望ましい。
その後、容器内を常圧に戻して水で急冷し、高温高圧処理を施した後にインクを真空乾燥するのが望ましい。本実施形態では、このような工程を経て、複合粒子を作製することができる。
4.再インク化処理
ガス拡散層や転写基材に複合粒子を塗工する際には、複合粒子を再度インク化する必要がある。再インク化処理では、溶媒に加えて、第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価よりも酸価が高い第2のイオン伝導性高分子電解質を加える必要がある。その理由は、一次粒子間のプロトンネットワークの確保と均一な触媒インクを作製するためである。
再インク化する際に使用される第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価は、2.0meq/g以上、3.0meq/g以下であることが望ましい。その理由は、酸価が低すぎると、保水性が低下してしまい低加湿条件下での発電特性が得られにくいためである。これにより、プロトン伝導性、ガス拡散性及び保水性を十分に保持することができる。
再インク化した触媒インクでは、ケッチェンブラック等のカーボン材料に対する第2のイオン伝導性高分子電解質の重量比は0.3以上、0.7以下であることが好ましく、トータルのカーボン材料に対するアイオノマーの重量比が、0.5以上になることが望ましい。その理由は、再インク化の際に加えられる第2のイオン伝導性高分子電解質の量が少な過ぎると、一次粒子間のプロトンネットワークが不十分になり、高い発電特性が得られない。また多すぎるとガス拡散性や水排出性が低下するためである。
本実施形態の複合粒子を、電極触媒インク化する際の分散媒として使用される溶媒は、触媒粒子や高分子電解質を侵食することなく、かつ良溶媒に近い方が望ましい。その理由は、貧溶媒になり過ぎると、塗工が難しくなるためである。また、良溶媒に貧溶媒を少量加えることにより、アイオノマーの分子サイズを100nm以上に制御することができ、一次細孔内に侵入することなく、一次粒子間のプロトンネットワークを十分に形成できる大きさとなる。
具体的には、溶媒として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等が好ましい。
また、上記程の良溶媒ではないが、1−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール等のアルコール類、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤、エチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール等の極性溶剤を使用しても問題ない。また、単独では貧溶媒となるが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤を混合させても問題ない。さらに、これらの溶剤のうち二種類以上を混合させたものを使用することができる。
5.アイオノマー
イオン伝導性高分子電解質であるアイオノマーとしては、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質や炭化水素系高分子電解質が挙げられる。パーフルオロスルホン酸系高分子電解質としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製、以下同じ。)等が挙げられる。
炭化水素系高分子電解質としては、機械強度、耐溶剤性、耐酸化性の観点から、エンジアリングプラスチックがスルホン化された材料が好ましい。具体的には、芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエーテルニトリル、芳香族ポリエーテルピリジン、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリアゾール、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリフェニレン等を挙げることができる。
また、アイオノマーの一次構造としては、側鎖型でも主鎖型でも問題ない。一方、共重合体様式としては、ホモポリマー、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合体でも問題ないが、ランダム共重合体が望ましい。その理由は、アイオノマーは、数nmの膜厚であるため、ブロック共重合体ではプロトンネットワークが形成されにくく、発電特性が向上しないためである。
本実施形態では、上記のアイオノマーから酸価の異なるアイオノマーを選択し、選択されたアイオノマーのうちのより酸価が低いアイオノマーを第1のイオン伝導性高分子電解質とし、より酸価の高いアイオノマーを第2のイオン伝導性高分子電解質として用いる。このとき、アイオノマーは、同じ種類のアイオノマーでもよく、また、異なるアイオノマーを用いても、複数のアイオノマーを組み合わせて用いてもよい。
酸価の調整方法としては、例えば、高分子をスルホン化する方法や、スルホン酸基を有する低分子を合成して高分子量化する方法等が挙げられる。高分子をスルホン化する方法は、例えば、高分子を発煙硫酸や濃硫酸、クロロスルホン酸等で処理することによって簡便に実現できる。一方、スルホン酸基を有する低分子を合成し高分子量化する方法は、低分子の合成の際にスルホン酸基を導入しているため、酸価を制御しやすい利点がある。
酸価の調整方法は、用いられるアイオノマーの種類によって異なるが、酸価の制御という点においては、スルホン酸基を有する低分子を合成し高分子量化する方法がより好ましい。また、酸価の異なるアイオノマーを複数組み合わせて第1のイオン伝導性高分子電解質または第2のイオン伝導性高分子電解質全体の酸価を調整してもよい。
6.架橋剤
本実施形態で使用されるアイオノマーは、高酸価の場合、水に溶解する可能性がある。そのときには、架橋剤を使用して水への溶解を防いでもよい。本実施形態で使用される架橋剤は、プロトン伝導性高分子のプロトン酸基を介さずにプロトン酸基以外の部分で反応を進行させることができ、反応の前後においてプロトン伝導性材料のプロトン伝導性に変化を及ぼさない架橋剤であればよく、特に限定されるものではない。
架橋剤としては、芳香環に−CHCl基、−CHOCH基、−CHOHを有する材料等が挙げられるが、芳香環にメチロール基が結合した構造を有する架橋剤は、加熱により容易に反応が進行するので、本実施形態においてより好ましい。
芳香環に−CHCl基、−CHOCH基、−CHOH基を有する架橋としては、−CHCl基、−CHOCH基、−CHOH基を有する芳香環を分子内に少なくとも2つ以上有する化合物が、プロトン伝導性高分子に含まれるプロトン酸基を介さずに反応が進行する。反応によってプロトン伝導性高分子にプロトン伝導性が損なわれず、かつ加熱により容易に反応が進行するので、本実施形態において好ましく使用できる。反応方法としては、光照射法、加熱法、pH調整法等を用いることができる。
7.固体高分子電解質膜
図1に示した固体高分子電解質膜11の材料としては、ナフィオン等のフッ素系電解質膜もしくは炭化水素系電解質膜が挙げられる。炭化水素系電解質膜としては、機械強度、耐溶剤性、耐酸化性の観点から、エンジアリングプラスチックがスルホン化された材料が好ましい。具体的には、芳香族ポリエーテル、芳香族ポリエーテルケトン、芳香族ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエーテルスルホン、芳香族ポリスルホン、芳香族ポリエーテルニトリル、芳香族ポリエーテルピリジン、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリアゾール、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリフェニレン等を挙げることができる。
また、固体高分子電解質膜11の一次構造としては、側鎖型でも主鎖型でも問題ないが、低加湿での高プロトン伝導性を得るために側鎖型が望ましい。一方、共重合体様式としては、ホモポリマー、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体でも問題ないが、ブロック共重合体が望ましい。その理由は、プロトン伝導部位を有する親水部位と機械特性を有する疎水部位とに分けることができ、低加湿でも高プロトン伝導性を有した炭化水素系電解質膜を得ることができるためである。
以上の条件によって電極触媒層を製造することにより、一次細孔に低酸価のアイオノマーが導入され、一次細孔間の二次細孔に高酸価のアイオノマーが導入された電極触媒層を得ることができる。
図2は、このような電極触媒層を模式的に示した図である。図2にあっても、一次粒子8内に一次粒子内の細孔があり(図3に示した一次粒子内の細孔3、図2においては図示せず)、一次粒子8が凝集した一次凝集体4内に一次細孔がある。また、一次凝集体4間に二次細孔が生じる。図2によれば、一次細孔5に低酸価のアイオノマー27が導入され、一次細孔間の二次細孔になり得る空間に高酸価のアイオノマー28が導入されていることが分かる。
(実施例)
以下、本実施形態を実施例により詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
(高温高圧処理時に低酸価のアイオノマーを使用し、再インク化時に高酸価のアイオノマーを混合した電極触媒層及び膜電極接合体の作製)
1.触媒インクの作製
本実施例では、アイオノマーとして酸価1.8meq/gのスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)、酸価2.7meg/gのS−PEEK、金属触媒として白金を用い、アイオノマー/カーボン重量比がトータルで0.85、0.3mg/cmの電極触媒層を以下のようにして作製した。
本実施例では、先ず、酸価1.8meq/gのS−PEEKを0.22g、架橋剤である1,4−ベンゼンジメタノールを0.033g計量し、固形分濃度が20となるように純水を0.44g、エタノールを0.44g加え、撹拌し、S−PEEK溶液を作製した(以下、このS−PEEK溶液をS−PEEK溶液(i)と記す)。また、アイオノマーとして酸価2.7meq/gのS−PEEKを0.25g、架橋剤として1,4−ベンゼンジメタノールを0.0375g計量し、固形分濃度が20となるように純水を0.5g、エタノールを0.5g加え、撹拌し、S−PEEK溶液を作製した(以下、このS−PEEK溶液をS−PEEK溶液(ii)と記す)。
次に、本実施例では、PTFE系の樹脂容器にPt/KB触媒(田中貴金属工業株式会社、TEC10E50E、46.3wt%Pt)1.02gが入れられ、純水5.77gが加えられる。触媒と純水がなじんだ後、さらに4.58gのエタノールが加えられる。最後に、固形分濃度が20、酸価1.8meq/gのS−PEEK溶液(i)が加えられる。このときのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.4であった。
上記のペーストは、次に、窒素ガスで満たしたオートクレーブに密閉され、200℃で2時間加熱される。この処理中の容器内圧力は、約20気圧と推定される。処理後、溶媒蒸気を逃がすことによって容器内は常圧に戻され、水で急冷される。上記の処理により得られたペーストは、真空乾燥処理として80℃で3時間乾燥されることにより、塊状のアイオノマー被覆Pt/KBとなった。
次に、触媒層塗工用のペーストの調整として、塊状のアイオノマー被覆Pt/KB触媒がボールミル用ジルコニアポットに入れられ、純水5.82g、エタノール4.61が加えられ、S−PEEK溶液(ii)と混合される。このときの固形分濃度は、約10wt%に設定される。この後、遊星ボールミルで撹拌することにより、触媒層塗工用ペーストが得られる。このときのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.45であった。トータルのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.85となった。
(比較例1)
次に、上記した実施例と比較される比較例について説明する。
(高温高圧処理時に低酸価のアイオノマーを使用し、再インク化時に低酸価のアイオノマーを混合した電極触媒層及び膜電極接合体の作製)
比較例1では、アイオノマーとして酸価1.8meq/gのS−PEEK、金属触媒として白金を用い、アイオノマー/カーボン重量比がトータルで0.85、0.3mg/cmの電極触媒層を以下のようにして作製した。
1.触媒インクの作製
比較例1では、先ず、酸価1.8meq/gのS−PEEKを0.22g、架橋剤である1,4−ベンゼンジメタノール(東京化成工業株式会社)0.033gに固形分濃度が20となるように純水を0.44g、エタノールを0.44g加え、撹拌し、S−PEEK溶液(i)を作製した。また、アイオノマーとして酸価1.8meq/gのS−PEEK0.25g、架橋剤である1,4−ベンゼンジメタノール0.0375gに固形分濃度が20となるように純水を0.5g、エタノールを0.5g加え、撹拌し、S−PEEK溶液(ii)を作製した。
次に、比較例1では、PTFE系の樹脂容器にPt/KB触媒(田中貴金属工業株式会社、TEC10E50E、46.3wt%Pt)1.02gが入れられ、純水5.77gが加えられて触媒となじまされる。さらに4.58gのエタノールが入れられ、最後に、固形分濃度が20の酸価1.8meq/gのS−PEEK溶液(i)が加えられる。このときのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.4であった。
次に、上記のペーストは窒素ガスで満たされたオートクレーブに密閉され、200℃で2時間加熱される。この処理中の容器内圧力は、約20気圧と推定される。処理後、容器内は溶媒蒸気を逃がすことによって常圧に戻され、水で急冷される。上記の処理により得られたペーストは真空乾燥処理として80℃で3時間乾燥され、塊状のアイオノマー被覆Pt/KBとなった。
次に、触媒層塗工用のペーストの調整として、塊状のアイオノマー被覆Pt/KB触媒はボールミル用ジルコニアポットに入れられて、純水5.82g、エタノール4.61gが加えられ、(ii)のS−PEEK溶液が混合される。このときの固形分濃度は約10wt%に設定される。この後、遊星ボールミルで撹拌され、触媒層塗工用ペーストが得られる。このときのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.45であった。トータルのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.85であった。
(比較例2)
(高温高圧処理時に高酸価のアイオノマーを使用し、再インク化時に高酸価のアイオノマーを混合した電極触媒層及び膜電極接合体の作製)
比較例2では、アイオノマーとして酸価2.7meq/gのS−PEEK、金属触媒として白金を用い、アイオノマー/カーボン重量比がトータルで0.85、0.3mg/cmの電極触媒層を以下のようにして作製した。
1.触媒インクの作製
比較例2では、先ず、酸価2.7meq/gのS−PEEKを0.22g、架橋剤である1,4−ベンゼンジメタノールを0.033gに固形分濃度が20となるように純水0.44g、エタノールを.44gが加えられ、撹拌されてS−PEEK溶液(i)が作製される。これにアイオノマーとして酸価2.7meq/gのS−PEEKを0.25g、架橋剤として1,4−ベンゼンジメタノールが0.0375g加えられる。さらに、固形分濃度が20となるように純水0.5g、エタノール0.5gが加えられて撹拌され、S−PEEK溶液(ii)が作製される。
次に、PTFE系の樹脂容器にPt/KB触媒(田中貴金属工業株式会社、TEC10E50E、46.3wt%Pt)1.02gが入れられ、純水5.77gが加えられ、触媒と純水がなじませられ、さらに4.58gのエタノールが加えられる。最後に、固形分濃度が20の酸価2.7meq/gのS−PEEK溶液(i)が加えられる。このときのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.4であった。
次に、上記のペーストは窒素ガスで満たされたオートクレーブに密閉され、200℃で2時間加熱される。この処理中の容器内圧力は、約20気圧と推定される。処理後、容器内は溶媒蒸気を逃がすことによって常圧に戻され、急冷される。上記の処理により得られたペーストは、真空乾燥処理として80℃で3時間乾燥され、塊状のアイオノマー被覆Pt/KBとなった。
次に、触媒層塗工用のペーストの調整として、塊状のアイオノマー被覆Pt/KB触媒はボールミル用ジルコニアポットに入れられて、純水5.82g、エタノール4.61gが加えられ、S−PEEK溶液(ii)と混合される。このときの固形分濃度は約10wt%に設定される。この後、遊星ボールミルで撹拌され、触媒層塗工用ペーストが得られる。このときのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.45であった。トータルのアイオノマー/カーボン(重量比)は、0.85であった。
2.触媒層の作製
触媒層は、PTFE基材上に上記のペーストがPtの担持量が0.3mg/cmになるようにドクターブレードにより塗工され、60℃で5分間乾燥されることによって作製される。
3.膜電極接合体の作製
膜電極接合体は、5cmの正方形に切り抜かれた触媒層をNafion211膜に配置し、140℃、150kgf/cmの条件で30分間ホットプレスすることによって作製される。
(実施例と比較例1、比較例2の発電特性の比較)
以上説明した実施例1、比較例1、比較例2で作製された膜電極接合体にガス拡散層としてのカーボンクロスを挟むように貼り合わせ、発電評価セル(エヌエフ回路設計ブロック社製)内に設置した。これを燃料電池測定装置(エヌエフ回路設計ブロック社製)を用いて、セル温度80℃で、以下に示す運転条件で電流電圧測定を行った。
燃料ガスとしては水素を500cc/min流し、酸化剤ガスとして空気を1000cc/min流した。加湿器では、高加湿条件としてアノード100%RH、カソード100%RHを設定し、低加湿条件としてアノード60%RH、カソード60%RHを設定した。
白金利用率の指標の一つである比較例1、比較例2と実施例のオーム損を除去した質量活性は、0.9Vvs.RHEにおける白金触媒使用量あたりの電流値(A/g)が、比較例1、比較例2より実施例の方が高加湿の条件下、低加湿の条件下ともに向上した。
本発明は、電気自動車、燃料電池自動車等の自動車、ノートパソコン、携帯電話、携帯情報端末等のモバイル機器、家庭用発電装置等の発電源として用いられる固体高分子形燃料電池を構成する電極触媒層として利用できる。
1 ケッチェンブラック
2 触媒粒子
3 一次粒子内の細孔
4 一次凝集体
5 一次細孔
6 二次細孔
7,27,28 アイオノマー
8 一次粒子
10 セパレータ
11 固体高分子電解質膜
12 電極触媒層
13 電極触媒層
14,15 ガス拡散層
16 空気極
17 燃料極
18 ガス流路
19 冷却水流路
21 膜電極接合体

Claims (5)

  1. 触媒が担持されたカーボン粒子と第1のイオン伝導性高分子電解質と溶媒とを含むインクを高温高圧処理することにより、前記カーボン粒子内の細孔及び前記カーボン粒子の凝集体内の一次細孔に前記第1のイオン伝導性高分子電解質を導入し、冷却処理及び真空乾燥を行って、複合粒子を作製する工程と、
    前記複合粒子に、第2のイオン伝導性高分子電解質と溶媒とを加えて再度インク化することにより電極触媒インクを作製する工程と、
    前記電極触媒インクを用いて電極触媒層を形成する工程と、を含み、
    前記第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価が前記第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価より低いことを特徴とする電極触媒層の製造方法。
  2. 前記第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価が、1.0meq/g以上、2.0meq/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の電極触媒層の製造方法。
  3. 前記第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価が、2.0meq/g以上、3.0meq/g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電極触媒層の製造方法。
  4. 高分子電解質膜と前記高分子電解質膜を挟持した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電極触媒層の製造方法によって製造された一対の電極触媒層とを備える膜電極接合体と、前記膜電極接合体を挟持した一対のガス拡散層と、前記膜電極接合体及び前記ガス拡散層を挟持した一対のセパレータとを備えることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
  5. 触媒が担持されたカーボン粒子と、該カーボン粒子内の細孔及び前記カーボン粒子の凝集体内の一次細孔に導入された第1のイオン伝導性高分子電解質と、前記凝集体間に生じる二次細孔に導入された第2のイオン伝導性高分子電解質と、を含み、
    前記第1のイオン伝導性高分子電解質の酸価が前記第2のイオン伝導性高分子電解質の酸価より低いことを特徴とする電極触媒層。
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