JP2006043604A - 気体吸着材および断熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空断熱材に用いた時に断熱性能を損なわず、特に吸着困難な窒素に関して、常温低圧下で窒素吸着活性を発揮できる気体吸着材を提供する。
【解決手段】工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を、化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライト2は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材1による熱伝導率の増大を抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
【選択図】図6

Description

本発明は、気体吸着材および気体吸着材を含む断熱体に関するものである。
近年、地球環境問題である温暖化を防止することの重要性から、省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギーの推進が行われている。特に冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する断熱材が求められている。
このような課題を解決する一手段として、空間を保持する芯材と、空間と外気を遮断する外被材によって構成される真空断熱体がある。その芯材として、一般に、粉体材料、繊維材料、連通化した発泡体などが用いられているが、近年では、真空断熱体への要求が多岐にわたってきており、一層高性能な真空断熱体が求められている。
真空断熱体の断熱原理は、熱を伝える空気を可能な限り排除し、気体による熱伝導を低減することである。空気を介在して熱伝導が行われる場合、断熱性能に影響を及ぼす因子として気体の平均自由行程がある。
平均自由行程とは、空気を構成する分子の一つが別の分子と衝突するまでに進む距離のことであり、平均自由行程よりも芯材が形成する空隙が大きい場合は空隙内において分子同士が衝突し、気体による熱伝導が生じるため、熱伝導率は大きくなる。逆に平均自由行程よりも空隙が小さい場合は、分子の衝突による熱伝導がほとんどなくなるため熱伝導率は小さくなる。
従って、真空断熱体の断熱性能を向上するためには、分子の衝突による気体熱伝導を抑制する必要がある。すなわち、気体分子をできる限り排除して、内部を高真空とするのである。しかしながら、工業的レベルで高真空を実現することは困難であり、実用的に達成可能な真空度は0.1torr程度までである。
また、真空断熱体内部から発生するガスや、外部から経時的に真空断熱体へ透過侵入してくるガスも、真空断熱体の経時的な断熱性能の劣化を招く要因となる。よって、これらの気体、すなわち空気中の窒素および酸素、水分、また含有量は微量であるが気体熱伝導率の大きい水素を吸着除去することにより、初期断熱性能や経時的な断熱性能を維持することが可能となる。
また、これらの気体の吸着は、非可逆であることが要求されるため、低圧かで気体分子を再放出する可能性のある物理吸着は不適であり、より強固な結合を形成する化学吸着が望ましい。しかしながら、空気の80%をしめる窒素は、その安定な三重結合のため、化学吸着させることは非常に困難である。
このような課題を解決する手段として、水分吸着物質と酸素の吸収に水分を必要としない酸素吸収剤との組み合わせによる真空用ゲッターが提案されている(特許文献1参照)。
また、真空用ゲッターとして非蒸発型バリウムゲッターであるBaLi合金を用いた窒素吸着材が提案されている(特許文献2参照)。
また、さらに水分も同時に吸着可能とした、BaLi合金と乾燥剤とを含むゲッター物質をアルミニウム容器へ封入した真空用ゲッターが提案されている(特許文献3参照)。
また、精製対象ガスから窒素などの不純物ガスを除去する方法として、銅イオン交換したZSM−5型ゼオライトからなる吸着材が提案されている(特許文献4参照)。
特開平9−267873号公報 特開平5−131134号公報 特表平9−512088号公報 特開2003−311148号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、水分および酸素は吸着可能であるが、特に吸着困難な窒素吸着に関しては具体的に述べられていない。
また、特許文献2および特許文献3の構成では、BaLi合金で窒素を化学的に吸着することが可能であるが、合金材料であるためにゲッター自身の熱伝導率が高く、ゲッターを適用することにより断熱性能の悪化する部位が生じることとなる。また、特許文献3の構成では、アルミニウム容器へ封入されており、さらに熱伝導性の高い構成となっている。また、構成材料として用いられているBaはPRTR指定物質であり、作業環境に規制が設けられている。
一方、特許文献4の構成では、銅イオン交換したZSM−5型ゼオライトによりガス精製などの限られた絶乾条件では窒素吸着が可能であるが、我々の求める断熱体中の窒素吸着に用いるには問題がある。すなわち、断熱体中には必ず水分が共存しており、窒素活性サイトである銅イオンは、窒素よりも水分との反応活性が高いため、水分により酸化されその結果銅水酸化物を形成し、窒素に対して不活性となるのである。
本発明の目的は、真空断熱体の内部圧力を低減し、かつ、その圧力を維持する気体吸着材であって、特に吸着困難な窒素に関して、常温低圧下で窒素吸着活性を発揮できる吸着材を提供することである。また、断熱性能を損なわない気体吸着材を提供することである。また、有害性を持たない気体吸着材を提供することである。さらに、芯材の空隙径を低減することにより残存気体の影響による気体熱伝導の増大を抑制する優れた断熱性能を有する高性能な真空断熱体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと、化学的水分吸着性物質とを含む気体吸着材を用いるのである。
これにより、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトが、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、固体熱伝導率が低減できるものである。その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
本発明の気体吸着材は、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと、化学的水分吸着性物質とを含む気体吸着材により、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトが、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、固体熱伝導率が低減できるものである。その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
請求項1に記載の気体吸着材の発明は、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比(Si/Al)が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと、化学的水分吸着性物質とを含むのである。
まず、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトの調整方法について述べる。
はじめに、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下であるナトリウム型ゼオライトへ銅イオン交換を行う。イオン交換は、従来から行われている既知の方法にて行うことができるが、塩化銅水溶液やアンミン酸銅水溶液など銅の可溶性塩の水溶液に浸漬する方法が一般的であり、中でもプロピオン酸銅(II)や酢酸銅(II)などカルボキシラトを含むCu2+溶液を用いた方法や、硝酸銅(II)溶液を用いた方法で調整されたものは、窒素吸着活性が高い。
また、銅イオン交換率は、イオン交換可能な量の少なくとも50%以上であることが望ましい。これは、銅イオン交換型ゼオライト中のCu+が窒素吸着活性サイトであるため、銅イオン交換率が高いほど、窒素吸着能が高まるためである。
イオン交換後は、十分に水洗、乾燥後、低圧下にて適切な熱処理を行うことにより、イオン交換により導入されたCu2+がCu+へと還元され、窒素吸着能を発現するものである。
熱処理時の圧力は、水分による銅水酸化物形成を抑制するため、10mPa以下、好ましくは1mPa以下であり、温度はCu+への還元を進行させるため、350℃以上、好ましくは500℃程度である。
次いで、本発明の気体吸着材の作製方法について述べる。熱処理され窒素吸着活性となったゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトは、窒素や水、酸素に触れることなく、Arなどの不活性ガス雰囲気下で化学的水分吸着性物質と混合あるいは化学的水分吸着性物質により周囲を覆うなどして、ペレット化、あるいは取り扱い容易な形状に成形する。
さらに不活性ガスを充填した気体不透過性容器にて、これを封止し、断熱体への適用時まで保管することが望ましい。断熱体への適用時には、気体不透過性容器を開封し、速やかに使用する。このように取り扱うことにより、気体吸着材中の本発明の銅イオン交換型ゼオライトは、窒素を効果的に吸着除去できるものである。
次に、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトの窒素吸着に関する理論的裏付けについて述べる。
一般にイオン交換前のゼオライト骨格は、ケイ素(Si)とアルミニウム(Al)が酸素(O)を介して結合した構造をしており、骨格構造中では、アルミニウム(+3価)とケイ素(+4価)が酸素(−2価)を互いに共有するため、ケイ素の周りは電気的に中性となり、アルミニウムの周りは−1価となっている。
この負電荷を補償するために、骨格中に陽イオンが必要となり、本発明におけるゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトにおいては、銅がまずCu2+としてイオン交換される。次いで、低圧下にて適切な熱処理を行うことにより、Cu2+はCu+へ還元され、窒素吸着活性を発揮するものである。
よって、ゼオライトのシリカ対アルミナ比に関しては、シリカ対アルミナ比(Si/Al)が低い場合、すなわち−1価のアルミニウムが多数存在する場合、銅はCu2+の方が安定となり、熱処理によってCu+へ還元されるサイトが低減するため、窒素吸着活性もまた低減する。
一方、シリカ対アルミナ比(Si/Al)が大きい場合、すなわち−1価のアルミニウムが少なすぎ、イオン交換により導入される銅が少なく、よってCu+サイトが少なくなるため、これもまた窒素吸着活性が低減する。
以上のことから、窒素吸着活性を発現するためには、シリカ対アルミナ比が8以上25以下の範囲が適当であると判断する。なお、本発明におけるシリカ対アルミナ比とは、ゼオライト骨格中のSi/Alの数比率のことである。
また、銅イオン交換型ゼオライト中の窒素吸着活性サイトであるCu+は、水分存在下で窒素より優先的に酸素と反応し、Cu−OHを形成し、その結果窒素吸着不活性となることが明らかとなった。
この課題に対し、本発明の気体吸着材は、化学的水分吸着性物質が、銅イオン交換型ゼオライト中のCu+が水分と接触するより優先的に水分を吸着除去するため、Cu+が形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができる。より確実にCu−OH形成を抑制するためには、本発明の銅イオン交換型ゼオライトの周囲を化学的水分吸着性物質にて覆うことが望ましい。
以上のような構成によって、銅イオン交換型ゼオライトが工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着除去可能となり、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、前記銅イオン交換型ゼオライトは、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため、固体熱伝導率が低減できるものである。
また、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトは、窒素吸着活性に加え、水素吸着活性も有しており、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素および経時的に侵入する水素をも吸着除去できるものである。
また、銅イオン交換型ゼオライトは、有害性情報がなく、環境負荷も低いと考えられる。
また、本発明の気体吸着材とは、気体成分を吸着可能な材料を指しており、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含んでいればよく、また、さらに酸素吸着成分を含むことになんら規制を加えるものではない。
また、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトは、水素をも吸着可能であるが、さらに他の水素吸着成分を併用し、断熱体へ適用する気体吸着材として、懸念する気体をすべて吸着除去可能な気体吸着材とすることも可能である。その気体吸着成分の構成比は、使用環境や内部発生ガスの種類により選択できるものである。
また、本発明のゼオライトとは、多孔性結晶性アルミノケイ酸塩およびメタロケイ酸塩のことを指している。
また、本発明の銅イオン交換型ゼオライトは、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトであって、代表的なものはZSM−5骨格を有するものであるが、ZSM−11や、これらと同じトポロジーを持つメタロケイ酸塩も含むものである。メタロケイ酸塩の場合、シリカ対メタル比が8以上25以下であると考える。
また、本発明の化学的水分吸着性物質は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物および水酸化物などの化学吸着剤などが使用できるが、化学的に水分を固定化できるものならば、特に規定するものではない。
請求項2に記載の気体吸着材の発明は、請求項1記載の発明における前記銅イオン交換型ゼオライトが、その周囲を水分吸着性物質に覆われているものであり、本構成により、水分吸着性物質が、窒素吸着サイトであるCu+が水分との接触によりCu−OHを形成し窒素吸着不活性となることを抑制するため、銅イオン交換型ゼオライトが、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができるものである。
また、銅イオン交換型ゼオライトが、その周囲を水分吸着性物質に覆われていることにより、一層Cu+の窒素吸着活性の消失を抑制できるものである。
請求項3に記載の気体吸着材の発明は、請求項1または請求項2記載の発明における前記銅イオン交換型ゼオライトが、ZSM−5型ゼオライトの銅イオン交換体であるものであり、本構成により、窒素吸着量の増大が確認された。その要因について詳細は不明であるが、おそらくはZSM−5の細孔径と窒素の分子径の相対関係に起因する形状選択性、および、その三次元構造の特異性によるものと考える。すなわち、ZSM−5の空隙間距離は5Å×7Åであり、窒素の分子径よりやや大きく分子の固定化に適したサイズであること、また、ZSM−5は特に窒素吸着活性の高いと考えられる酸素3配位のCu+がより多く形成される骨格を有していることなどから、窒素吸着に対する活性が高く、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を効率よく吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、ZSM−5は気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため、固体熱伝導率が低減できるものである。
請求項4に記載の気体吸着材の発明は、請求項3記載の発明における前記銅イオン交換型ゼオライトが、カルボキシラトを含むCu2+溶液を用いて調整されたものであり、本構成により、窒素吸着量の増大が確認された。その要因の詳細は明らかではないが、おそらくは溶液中の対イオンの影響により、Cu2+のサイト選択的イオン交換が生じ、窒素吸着活性の高いと考えられる酸素3配位のCu+が形成が促進されるため、窒素吸着に対する活性が高く、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を効率よく吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができるものと考える。
請求項5に記載の気体吸着材の発明は、請求項3記載の発明における前記銅イオン交換型ゼオライトが、硝酸銅(II)溶液を用いて調整されたものであり、請求項4記載の発明と同じく、本構成により、窒素吸着量の増大が確認された。その要因の詳細は明らかではないが、おそらくは溶液中の対イオンの影響により、Cu2+のサイト選択的イオン交換が生じ、窒素吸着活性の高いと考えられる酸素3配位のCu+が形成が促進されるため、窒素吸着に対する活性が高く、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を効率よく吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができるものと考える。
請求項6に記載の断熱体の発明は、少なくとも、芯材と、請求項1から請求項5のいずれか一項記載の気体吸着材とを、ガスバリア性を有する外被材で覆い、前記外被材の内部を減圧したものであり、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトが、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銅イオン交換型ゼオライトは気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
また、本発明で用いる芯材としては、ポリスチレンやポリウレタンなどのポリマー材料の連通気泡体や、無機材料の連通気泡体、無機および有機の粉末、無機および有機の繊維材料などが利用できる。またそれらの混合物であっても良い。
また、本発明で用いる外被材は、ガスバリア性を有するものが利用でき、金属容器やガラス容器、樹脂と金属の積層されたガスバリア容器、さらには表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムなど、気体侵入を阻害可能な種々の材料および複合材料が利用できる。
また、本発明の断熱体は、工業的真空排気手段および/または請求項1から請求項5のいずれか一項記載の気体吸着材の作用により、ガスバリア性を有する外被材の内空間が減圧となっているものである。
請求項7に記載の断熱体の発明は、請求項6記載の発明において、前記気体吸着材のFT−IRスペクトルに、Cu+種に吸着した窒素分子の3重結合伸縮振動に帰属する2295cm-1付近のピークが現れるものであり、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトが、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を分子状で吸着固定化したことを、FT−IRスペクトルにて確認できるものであり、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銅イオン交換型ゼオライトは、気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
請求項8に記載の断熱体の発明は、請求項6または請求項7記載の発明において、前記芯材が、メソ多孔構造を有するものであり、芯材の空隙径が2〜50nmの範囲であるために、平均自由行程よりも空隙が小さく、その結果、気体吸着材によっても除去しきれなかった残存気体の気体熱伝導をより低減可能とするものである。
本発明におけるメソ多孔構造の芯材は、空隙径が2〜50nmの範囲の材料が利用でき、例えば、乾式で作製したシリカ粉体を主成分とした混合粉体を圧縮成形したものや、シリカエアロゲルなどが利用できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含む気体吸着材の一部拡大断面図を示すものである。
気体吸着材1は、窒素吸着活性であるゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2と、化学的水分吸着性物質3と、酸素吸着材4と、水素吸着材5とを含み、これらの材料をアルゴンなどの不活性気体中で混合し、ペレット化を施したものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を、化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
また、酸素吸着材4と、水素吸着材5が、それぞれ酸素及び水素を吸着除去し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銅イオン交換型ゼオライト2は空隙間距離が、気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材11による熱伝導率の増大を、従来の合金系材料より抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含む気体吸着材の断面図を示すものである。
気体吸着材1は、球状に成形された、窒素吸着活性であるゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2と、酸素吸着材4と、水素吸着材5とが、化学的水分吸着性物質3中に分散され覆われた構造で、これらを不活性ガス雰囲気中でペレット化を施したものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を、化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
また、酸素吸着材4と、水素吸着材5が、それぞれ酸素及び水素を吸着除去し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銅イオン交換型ゼオライト2は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材11による熱伝導率の増大を、従来の合金系材料より抑制することができ、また合金より固体密度が低いため、固体熱伝導率が低減できるものである。
また、窒素吸着活性であるゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、化学的水分吸着性物質3に周囲を覆われているため、水分による窒素吸着活性サイトの低減がより一層抑制される。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含む気体吸着材の断面図を示すものである。
気体吸着材1は、窒素吸着活性であるゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2を中心に、その周囲を酸素吸着材4と、水素吸着材5と、化学的水分吸着性物質3とが覆うような構造で、不活性ガス雰囲気中でペレット化を施したものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を、化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
また、酸素吸着材4と、水素吸着材5が、それぞれ酸素及び水素を吸着除去し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銅イオン交換型ゼオライト2は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材11による熱伝導率の増大を、従来の合金系材料より抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
また、窒素吸着活性であるゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、化学的水分吸着性物質3に周囲を覆われているため、水分による窒素吸着活性サイトの低減がより一層抑制される。
窒素吸着活性を有するゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2の種類およびイオン交換溶液を変えて、気体吸着材1を評価した結果を、実施例1から実施例4に示す。
実施例1から実施例4においては、化学的水分吸着性物質3には酸化カルシウムを、酸素吸着材4には金属酸化物を、水素吸着材5には、水素吸着活性でもあるシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2を用いた。評価は、それぞれの0.1torr以下で気体吸着材のみを減圧封止したパネルの熱伝導率にて行い、比較例1を比較対象とした。
(実施例1)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2を10wt%と、酸素吸着材を15%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。銅イオン交換型ゼオライトは、ZSM−11をアンミン酸銅水溶液にて調整したものを用いた。
熱伝導率は、0.082W/mKであり、比較例1に対し37%の改善が見られた。また、銅イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例2)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2を10wt%と、酸素吸着材を15%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。銅イオン交換型ゼオライトは、ZSM−5をアンミン酸銅水溶液にて調整したものを用いた。
熱伝導率は、0.080W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。また、銅イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例3)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2を15wt%と、酸素吸着材を10%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。銅イオン交換型ゼオライトは、ZSM−5をプロピオン酸銅水溶液にて調整したものを用いた。
熱伝導率は、0.080W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。また、銅イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例4)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2を15wt%と、酸素吸着材を10%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。銅イオン交換型ゼオライトは、ZSM−5を硝酸銅水溶液にて調整したものを用いた。
熱伝導率は、0.080W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。また、銅イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4における、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含む気体吸着材を適用した断熱体の断面図を示すものである。
断熱体6は、芯材7と、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2と化学的水分吸着性物質3とを含む気体吸着材1とを、ガスバリア性を有する外被材8で覆い、外被材8の内部を減圧したものであり、芯材7として無機繊維集合体を、外被材8として、表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを、気体吸着材1として実施の形態3の気体吸着材1を用いたものである。
以上のように構成された気体吸着材1は、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を、化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体6の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また合金より固体密度が低いため、固体熱伝導率が低減できるものである。
実施例1から実施例4の気体吸着材1を適用した断熱体における窒素吸着の評価結果を、実施例5から実施例8に示す。評価は、いずれも初期の内圧を0.1torrとし、その後の経時的な内圧増大を、比較例1の気体吸着材を適用した比較例2の断熱体と比較して行った。
(実施例5)
実施例1の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.11torrであり、経時的な劣化は比較例2とほぼ同等であり、外部より侵入した気体および内部発生ガスを、気体吸着材が吸着除去していると考える。
(実施例6)
実施例2の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.09torrであり、経時的な劣化は比較例2とほぼ同等であり、外部より侵入した気体および内部発生ガスを、気体吸着材が吸着除去していると考える。
また、実施例5に比較して、内圧が0.02torr低下している。これは、ゼオライト骨格をZSM−5としたことにより、窒素吸着能力が向上したためと考える。
(実施例7)
実施例3の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.07torrであり、経時的な劣化は比較例2とほぼ同等であるが若干の改善が見られ、外部より侵入した気体および内部発生ガスを、気体吸着材が吸着除去していると考える。
また、実施例5に比較して、内圧が0.04torr低下している。これは、ゼオライト骨格をZSM−5とし、さらに、イオン交換プロセスにおいて、プロピオン酸銅水溶液を用いたために、窒素吸着能力が向上したためと考える。
(実施例8)
実施例4の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.07torrであり、経時的な劣化は比較例2とほぼ同等であるが若干の改善が見られ、外部より侵入した気体および内部発生ガスを気体吸着材が吸着除去していると考える。
また、実施例5に比較して、内圧が0.04torr低下している。これは、ゼオライト骨格をZSM−5とし、さらに、イオン交換プロセスにおいて、硝酸銅水溶液を用いたために窒素吸着能力が向上したためと考える。
(実施の形態5)
図5は、本発明の実施の形態5における、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含む気体吸着材を適用した断熱体の断面図を示すものである。
断熱体9は、メソ多孔構造を有する芯材10と、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2と化学的水分吸着性物質3とを含む気体吸着材1とを、ガスバリア性を有する外被材8で覆い、外被材8の内部を減圧したものであり、芯材10として、気相法により製造されたシリカ粉体と無機繊維材料の混合物を圧縮成形したメソ多孔体を、外被材8として、表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを、気体吸着材1として実施の形態3の気体吸着材1を用いたものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を、化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体6の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
また、芯材10の空隙径が2〜50nmの範囲であるために、平均自由行程よりも空隙が小さく、その結果、気体吸着材によっても除去しきれなかった残存気体の衝突による気体熱伝導を抑制することが可能であるため、優れた断熱性能を有する断熱体が提供できるものである。
(実施の形態6)
図6は、本発明の実施の形態6における、少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含む気体吸着材を適用した断熱体の断面図を示すものである。
断熱体11は、芯材10と、気体を吸着する気体吸着材1とを、ガスバリア性を有する外被材12で覆い、外被材12の内部を減圧したものであり、芯材10として、気相法により製造されたシリカ粉体と無機繊維材料の混合物を圧縮成形したメソ多孔体を、外被材12として、ステンレス鋼からなる容器を、気体吸着材1として、実施の形態3の気体吸着材1を用いたものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を、化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライト2が、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体6の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また合金より固体密度が低いため、固体熱伝導率が低減できるものである。
以上のように本発明の気体吸着材は、少なくとも、窒素吸着材としてゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと、前記銅イオン交換型ゼオライトの窒素吸着活性を制御するための化学的水分吸着性物質とを含むことにより、化学的水分吸着性物質が、銅イオン交換型ゼオライト中のCu+が水分接触によりCu−OHを形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができるため、前記銅イオン交換型ゼオライトが、効果的に工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、固体熱伝導率が低減できるものである。
その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
次に本発明の気体吸着材および断熱体に対する比較例を示す。評価方法は実施例に準じるものとする。
(比較例1)
有効吸着性分のうち、酸化カルシウムを75wt%と、Ba−Li合金を5wt%と、コバルト酸化物を20wt%とを含むペレットを作製し、その熱伝導率を測定したところ、0.130W/mkであった。また、Ba−Li合金は、PRTR指定物質であり、作業環境が規制されている物質である。
(比較例2)
比較例1の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.11torrであった。
本発明にかかる気体吸着材および断熱体は、気体吸着材が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素およびその他気体を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができるため、優れた断熱性能を発現可能なものであり、冷凍冷蔵庫および冷凍機器をはじめとした温冷熱を効率的に利用することにより省エネルギーに貢献できるあらゆる機器や、熱や寒さから保護したい物象などのあらゆる断熱用途に適用できる。
本発明の実施の形態1による気体吸着材の一部拡大断面図 本発明の実施の形態2による気体吸着材の断面図 本発明の実施の形態3による気体吸着材の断面図 本発明の実施の形態4による断熱体の断面図 本発明の実施の形態5による断熱体の断面図 本発明の実施の形態6による断熱体の断面図
符号の説明
1 気体吸着材
2 銅イオン交換型ゼオライト
3 化学的水分吸着性物質
4 酸素吸着材
5 水素吸着材
6 断熱体
7 芯材
8 外被材
9 断熱体
10 メソ多孔構造を有する芯材
11 断熱体
12 外被材

Claims (8)

  1. 少なくとも、ゼオライト骨格中のシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銅イオン交換型ゼオライトと、化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材。
  2. 前記銅イオン交換型ゼオライトが、その周囲を水分吸着性物質に覆われていることを特徴とする請求項1記載の気体吸着材。
  3. 前記銅イオン交換型ゼオライトが、ZSM−5型ゼオライトの銅イオン交換体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の気体吸着材。
  4. 前記銅イオン交換型ゼオライトが、カルボキシラトを含むCu2+溶液を用いて調整されたことを特徴とする請求項3記載の気体吸着材。
  5. 前記銅イオン交換型ゼオライトが、硝酸銅(II)溶液を用いて調整されたことを特徴とする請求項3記載の気体吸着材。
  6. 少なくとも、芯材と、請求項1から請求項5のいずれか一項記載の気体吸着材とを、ガスバリア性を有する外被材で覆い、前記外被材の内部を減圧したことを特徴とする断熱体。
  7. 前記気体吸着材のFT−IRスペクトルに、Cu+種に吸着した窒素分子の3重結合伸縮振動に帰属する2295cm-1付近のピークが現れることを特徴とする請求項6記載の断熱体。
  8. 前記芯材が、メソ多孔構造を有することを特徴とする請求項6または請求項7記載の断熱体。
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