JP2006043603A - 気体吸着材および断熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低熱伝導率の気体吸着材に加え、芯材の空隙径を低減することにより、さらに優れた断熱性能を有する高性能な真空断熱体を提供する。
【解決手段】断熱体19は、メソ多孔構造を有する芯材20と、カーボンナノ構造体を含む気体吸着材11とを、ガスバリア性の外被材18で覆い、外被材18の内部を減圧してなるものであり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を、カーボンナノ構造体が吸着除去し、断熱体19の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材11による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
【選択図】図7

Description

本発明は、気体吸着材および気体吸着材を含む断熱体に関するものである。
近年、地球環境問題である温暖化を防止することの重要性から、省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギーの推進が行われている。特に冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する断熱材が求められている。
このような課題を解決する一手段として、空間を保持する芯材と、空間と外気を遮断する外被材によって構成される真空断熱体がある。その芯材として、一般に、粉体材料、繊維材料、連通化した発泡体などが用いられているが、近年では、真空断熱体への要求が多岐にわたってきており、一層高性能な真空断熱体が求められている。
空気が介在して熱伝導が行われる場合、断熱性能に影響を及ぼす物性として、気体の平均自由行程がある。気体の平均自由行程とは、空気を構成する分子の一つが別の分子と衝突するまでに進む距離のことであり、平均自由行程よりも形成されている空隙が大きい場合は、空隙内において分子同士が衝突し、気体による熱伝導が生じるため、熱伝導率は大きくなる。
真空断熱体の断熱原理は、熱を伝える空気をできる限り排除し、気体による熱伝導を低減することである。一方、平均自由行程よりも空隙が小さい場合は、熱伝導率は小さくなる。これは空気の衝突による熱伝導がほとんどなくなるためである。
従って、真空断熱体の性能を長期間維持するためには、より初期の内部圧力を低圧とする必要がある。しかしながら、工業的レベルで高真空にすることは困難であり、実用的に達成可能な真空度は0.1torr程度までである。
また、真空断熱体内部から発生するガスや、外部から真空断熱体へ透過侵入してくるガスが、真空断熱体の経時的な断熱性能の劣化を招く要因となる。特に空気中に微量含まれる水素は、いかなる外被材をも透過し、真空断熱体へ侵入することが可能であり、また低分子量であることから、気体熱伝導率が高いため、微量ではあるが、その存在は断熱性能の悪化要因となるものである。
このような課題を解決する手段として、特許文献1には、酸化コバルト、酸化銅または、それらの混合物から選択される遷移金属酸化物と金属パラジウムとの混合物を、水素吸着材として含むゲッターが開示されている。
また、特許文献2には、金属パラジウムおよび酸化パラジウム、銀を含むコーティングを、ゲッター材料表面に施した複合材料により、水素を吸着する手法が開示されている。
また、特許文献3には、C60やC70などの球状カーボン材料を含む気体吸着材により、酸素、窒素などに加え、水素をも吸着できることが開示されている。
特開平9−47652公報 特表2003−501556号公報 特表2003−514653号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2の構成では、気体吸着材が金属酸化物および金属との混合物であるため、気体吸着材自身の熱伝導率が高く、気体吸着材を適用することにより断熱性能の悪化する部位が生じることとなる。
また、構成材料として用いられている酸化コバルトは、PRTR指定物質であると共に、急性毒性や慢性毒性を引き起こす有毒性物質であることから、例えば冷凍冷蔵庫への継続的な使用には懸念を持つものである。
また特許文献3の構成では、気体吸着材がC60やC70などの球状カーボン材料であるため、炭素−炭素結合により形成される5員環および6員環が組み合わされ閉じられた球状構造では、多量の水素の吸着は困難である。
本発明の目的は、真空断熱体の内部圧力を低減し、かつ、その圧力を維持する気体吸着材であって、断熱体に適用するに際し、気体吸着剤自身の熱伝導による断熱性能の悪化を抑制した気体吸着材を提供することである。
また、有毒性を持たない気体吸着材を提供することである。さらに、低熱伝導率の気体吸着材に加え、芯材の空隙径を低減することによりさらに優れた断熱性能を有する高性能な真空断熱体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、真空断熱材用の気体吸着材として、少なくともカーボンナノ構造体を含む気体吸着材を用いるのである。
これにより、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減でき、その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
本発明の気体吸着材は、水素吸着材としてカーボンナノ構造体を含むことにより、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
請求項1に記載の気体吸着材の発明は、芯材と気体吸着材とを外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体に適用する気体吸着材であって、前記気体吸着材は少なくともカーボンナノ構造体を含むことを特徴とする。
これにより、カーボンナノ構造体が工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
また、カーボンナノ構造体は、有毒性情報がなく、環境負荷も低いと考えられる。また、本発明におけるカーボンナノ構造体は、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、黒鉛層間化合物など、ナノオーダー以下の空隙を有する炭素を基材とした構造体全般を指すものである。
また、本発明における外被材は、ガスバリア性を有するものが利用でき、金属容器やガラス容器、樹脂と金属の積層されたガスバリア容器、さらには表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムなど、気体侵入を阻害可能な種々の材料および複合材料が利用できる。
また、本発明における気体吸着材とは、気体成分を吸着する材料を指しており、気体吸着材は、本発明におけるカーボンナノ構造体に加え、適宜水分吸着材や酸素吸着材、窒素吸着材、二酸化炭素吸着材とのハイブリッド化が可能である。その構成比は、使用環境や内部発生ガスの種類により選択できるものである。
また、本発明における芯材としては、ポリスチレンやポリウレタンなどのポリマー材料の連通気泡体や、無機材料の連通気泡体、無機および有機の粉末、無機および有機の繊維材料などが利用できる。またそれらの混合物であっても良い。
請求項2に記載の気体吸着材の発明は、請求項1記載の発明における前記カーボンナノ構造体が、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された単層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
これにより、キャップを除去された単層カーボンナノチューブが、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
図1に先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された単層カーボンナノチューブの水素吸着サイトの概念図を示す。単層カーボンナノチューブ1は、1枚のグラファイトのシートが円筒状に丸まった中空部分2を有する構造体であり、通常先端は6個の5員環が導入されたキャップにより閉じているが、酸化処理などにより開管構造となった場合に、中空部分2において、多量の水素3吸着が可能となるものである。
請求項3に記載の気体吸着材の発明は、請求項1記載の発明における前記カーボンナノ構造体が、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された多層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
これにより、キャップを除去された多層カーボンナノチューブが、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
また、多層カーボンナノチューブでは、単層カーボンナノチュ−ブと比較して水素吸着量が増大した。
図2に先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された多層カーボンナノチューブの水素吸着サイトの概念図を示しながら、その要因について説明すると、単層ナノチューブがチューブの管内で水素を吸着する構造であるのに対して、多層カーボンナノチューブ4は、中空部分2および多層の層間5においても、水素3吸着が可能であるため、単位体積当たりの水素吸着量が多くなったものと考える。また、多層ナノチューブの方が原子密度が低いため、断熱性能的にも優位である。
請求項4に記載の気体吸着材の発明は、請求項1記載の発明における前記カーボンナノ構造体が、カーボンナノファイバーであることを特徴とするものであり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は空隙間距離が、気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
また、カーボンナノチューブと比較して、カーボンナノファイバーでは、水素吸着量が増大した。図3に一例としてヘリングボーン型カーボンナノファイバーの水素吸着サイトの概念図を示しながら、その要因について説明すると、カーボンナノチューブが、チューブの末端の中空部分2および多層の層間5から、水素を吸着する構造であるのに対して、カーボンナノファイバー6では、水素3吸着サイトとなる端面7が、表面に多数露出しているためであると考えられる。
また、カーボンナノファイバーは、プレートレット型、ヘリングボ−ン型、リボン型などの構造があるが、特に指定するものではない。
請求項5に記載の気体吸着材の発明は、請求項1または請求項2記載の発明における前記カーボンナノ構造体が、黒鉛層間化合物であることを特徴とするものであり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
また、カーボンナノチューブと比較して、黒鉛層間化合物では、水素吸着量が増大した。図4に一例として第1ステージ黒鉛層間化合物の水素吸着サイトの概念図を示しながら、その要因について説明すると、カーボンナノチューブが、チューブの末端の中空部分2および多層の層間4から、水素を吸着する構造であるのに対して、黒鉛層間化合物8では、水素3吸着サイトとなる端面9が、表面に多数露出していることと、層間に存在する金属イオン10などが、水素3吸着に適した層間距離を形成すると共に、水素吸着に対する触媒的な役割を果たすためであると考える。また、黒鉛層間化合物には種々のステージ構造が存在するが、特に指定するものではない。
請求項6に記載の気体吸着材の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項記載の発明における前記カーボンナノ構造体が、金属原子または金属イオンを含むことを特徴とするものであり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
また、カーボンナノ構造体の管内や層間などに含まれる金属原子または金属イオンが、水素吸着に対する触媒的な役割を果たすため、水素吸着量の増大が見られるものである。
請求項7に記載の断熱体の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項記載の気体吸着材と芯材とを外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を、カーボンナノ構造体が吸着除去し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体の空隙間距離が、気体の平均自由行程以下であるため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
請求項8に記載の断熱体の発明は、請求項7記載の発明における前記芯材が、メソ多孔構造を有することを特徴とするものであり、芯材の空隙径が、2〜50nmの範囲であるために、平均自由行程よりも空隙が小さく、その結果、気体吸着材によっても除去しきれなかった残存気体の気体熱伝導を、より低減可能とするものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図5は、本発明の実施の形態1におけるカーボンナノ構造体を含む気体吸着材の断面図を示すものである。
気体吸着材11は、水素吸着材であるカーボンナノ構造体12と、水分吸着材13と、酸素吸着材14と、窒素吸着材15とを含むものである。
以上のように構成された気体吸着材11では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を、カーボンナノ構造体12が吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体12は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材11による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
カーボンナノ構造体12の種類を変えて、気体吸着材11を評価した結果を実施例1から実施例4に示す。実施例1から実施例4においては、水分吸着材には酸化カルシウムを、酸素および窒素吸着材にはBa−Li合金を用いた。評価は、それぞれの0.1torr以下で気体吸着材のみを減圧封止したパネルの熱伝導率にて行い、比較例1を比較対象とした。
(実施例1)
有効吸着成分のうち、酸化カルシウムを75wt%と、Ba−Li合金を5wt%と、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された単層カーボンナノチューブを20wt%とを含むペレットを作製し、その熱伝導率を測定したところ、0.080W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。また、単層カーボンナノチューブは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例2)
有効吸着成分のうち、酸化カルシウムを77wt%と、Ba−Li合金を5wt%と、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された多層カーボンナノチューブを18wt%とを含むペレットを作製し、その熱伝導率を測定したところ、0.078W/mKであり、比較例1に対し40%の改善が見られた。また、多層カーボンナノチューブは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例3)
有効吸着成分のうち、酸化カルシウムを78wt%と、Ba−Li合金を5wt%と、カーボンナノファイバーを17wt%とを含むペレットを作製し、その熱伝導率を測定したところ、0.077W/mKであり、比較例1に対し41%の改善が見られた。また、カーボンナノファイバーは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例4)
有効吸着成分のうち、酸化カルシウムを78wt%と、Ba−Li合金を5wt%と、第1ステージ構造のC8K黒鉛層間化合物を17wt%とを含むペレットを作製し、その熱伝導率を測定したところ、0.078W/mKであり、比較例1に対し44%の改善が見られた。また、黒鉛層間化合物は、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における、カーボンナノ構造体を含む気体吸着材11を適用した断熱体16の断面図を示すものである。
断熱体16は、芯材17と、カーボンナノ構造体を含む気体吸着材11とを、ガスバリア性の外被材18で覆い、外被材18の内部を減圧してなるものであり、芯材17として無機繊維集合体を、外被材18として、表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを、気体吸着材11として、実施の形態1の気体吸着材11が用いられており、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を、カーボンナノ構造体が吸着除去し、その結果、断熱体16の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材11による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
カーボンナノ構造体の種類を変えた実施例1から実施例4の気体吸着材を適用した断熱体における気体吸着の評価結果を、実施例5から実施例8に示す。評価は、いずれも初期の内圧を0.1torrとし、その後の経時的な内圧増大を、比較例1の気体吸着材を適用した比較例2の断熱体と比較して行った。
(実施例5)
実施例1の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.11torrであり、経時的な劣化は、比較例2とほぼ同等であると判断する。
(実施例6)
実施例2の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.09torrであり、経時的な劣化は、比較例2とほぼ同等であると判断する。また、カーボンナノ構造体の添加量が、実施例5より2wt%低減しているにもかかわらず、同等の水素吸着能力が得られていると考える。
これにより、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された単層カーボンナノチューブより、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された多層カーボンナノチューブの水素吸着量が多いことが推測された。
(実施例7)
実施例3の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.10torrであり、経時的な劣化は、比較例2とほぼ同等であると判断する。また、カーボンナノ構造体の添加量が、実施例5より3wt%低減しているにもかかわらず、同等の水素吸着能力が得られていると考える。これにより、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された単層カーボンナノチューブより、カーボンナノファイバーの水素吸着量が多いことが推測された。
(実施例8)
実施例4の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.11torrであり、経時的な劣化は、比較例2とほぼ同等であると判断する。また、カーボンナノ構造体の添加量が、実施例5より3wt%低減しているにもかかわらず、同等の水素吸着能力が得られていると考える。これにより、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された単層カーボンナノチューブより、黒鉛層間化合物の水素吸着量が多いことが推測された。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における、カーボンナノ構造体を含む気体吸着材11を適用した断熱体19の断面図を示すものである。
断熱体19は、メソ多孔構造を有する芯材20と、カーボンナノ構造体を含む気体吸着材11とを、ガスバリア性の外被材18で覆い、外被材18の内部を減圧してなるものであり、芯材20として、気相法により製造されたシリカ粉体を圧縮成形したメソ多孔体を、外被材18として、表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを、気体吸着材11として、実施の形態1の気体吸着材11が用いられており、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を、カーボンナノ構造体が吸着除去し、その結果、断熱体19の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材11による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
また、芯材20の空隙径が2〜50nmの範囲であるために、平均自由行程よりも空隙が小さく、その結果、気体吸着材によっても除去しきれなかった残存気体の衝突による気体熱伝導を抑制することが可能であるため、優れた断熱性能を有する断熱体が提供できるものである。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4における、カーボンナノ構造体を含む気体吸着材を適用した断熱体21の断面図を示すものである。
断熱体21は、芯材17と、気体を吸着する気体吸着材11とを、ガスバリア性の外被材18で覆い、外被材18の内部を減圧してなるものであり、芯材17として、無機繊維集合体を、外被材22として、ステンレス鋼からなる容器を、気体吸着材11として、実施の形態1の気体吸着材11を用いており、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を、カーボンナノ構造体が吸着除去し、その結果、断熱体21の断熱性能の向上を図ることができる一方で、カーボンナノ構造体は、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材11による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため、気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるものである。
以上のように本発明における気体吸着材は、水素吸着材として、空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有するカーボンナノ構造体を含むことにより、気体熱伝導率の増大を抑制し、また固体密度が低いため気体吸着剤自身の固体熱伝導率を低減できるため、気体吸着材自身の熱伝導が断熱材に及ぼす悪影響を低減し、かつ、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水素を、従来同等レベルまで吸着できるものである。その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
次に本発明における気体吸着材および断熱体に対する比較例を示す。評価方法は実施例に準じるものとする。
(比較例1)
有効吸着性分のうち、酸化カルシウムを75wt%と、Ba−Li合金を5wt%と、コバルト酸化物を20wt%とを含むペレットを作製し、その熱伝導率を測定したところ、0.130W/mKであった。また、コバルト酸化物は、PRTR指定物質であり、毒性なども指摘されている物質である。
(比較例2)
比較例1の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は0.11torrであった。
本発明にかかる気体吸着材および断熱体は、優れた断熱性能を発現可能なものであり、冷凍冷蔵庫および冷凍機器をはじめとした温冷熱を効率的に利用することにより、省エネルギーに貢献できるあらゆる機器や、熱や寒さから保護したい物象などのあらゆる断熱用途に適用できる。
先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された単層カーボンナノチューブの水素吸着サイトの概念図 先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された多層カーボンナノチューブの水素吸着サイトの概念図 カーボンナノファイバーの水素吸着サイトの概念図 黒鉛層間化合物の水素吸着サイトの概念図 本発明の実施の形態1における気体吸着材の断面図 本発明の実施の形態2における気体吸着材を適用した断熱体の断面図 本発明の実施の形態3における気体吸着材を適用した断熱体の断面図 本発明の実施の形態4における気体吸着材を適用した断熱体の断面図
符号の説明
1 単層カーボンナノチューブ
2 中空部分
3 水素
4 多層カーボンナノチューブ
5 多層の層間
6 カーボンナノファイバー
7 端面
8 黒鉛層間化合物
9 端面
10 金属イオンなど
11 気体吸着材
12 カーボンナノ構造体
13 水分吸着材
14 酸素吸着材
15 窒素吸着材
16 断熱体
17 芯材
18 外被材
19 断熱体
20 メソ多孔構造を有する芯材
21 断熱体
22 外被材

Claims (8)

  1. 芯材と気体吸着材とを外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体に適用する気体吸着材であって、前記気体吸着材は少なくともカーボンナノ構造体を含むことを特徴とする気体吸着材。
  2. 前記カーボンナノ構造体が、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の気体吸着材。
  3. 前記カーボンナノ構造体が、先端の5員環または6員環構造のキャップを除去された多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の気体吸着材。
  4. 前記カーボンナノ構造体が、カーボンナノファイバーであることを特徴とする請求項1記載の気体吸着材。
  5. 前記カーボンナノ構造体が、黒鉛層間化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の気体吸着材。
  6. 前記カーボンナノ構造体が、金属原子または金属イオンを含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項記載の気体吸着材。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項記載の気体吸着材と芯材とを外被材で覆い前記外被材の内部を減圧してなる断熱体。
  8. 前記芯材が、メソ多孔構造を有することを特徴とする請求項7記載の断熱体。
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