JP4872211B2 - 気体吸着材および断熱体 - Google Patents

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本発明は、気体吸着材および気体吸着材を含む断熱体に関するものである。
近年、地球環境問題である温暖化を防止することの重要性から、省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギーの推進が行われている。特に冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する断熱材が求められている。
このような課題を解決する一手段として、空間を保持する芯材と、空間と外気を遮断する外被材によって構成される真空断熱体がある。その芯材として、一般に、粉体材料、繊維材料、連通化した発泡体などが用いられているが、近年では、真空断熱体への要求が多岐にわたってきており、一層高性能な真空断熱体が求められている。
真空断熱体の断熱原理は、熱を伝える空気を可能な限り排除し、気体による熱伝導を低減することである。空気を介在して熱伝導が行われる場合、断熱性能に影響を及ぼす因子として気体の平均自由行程がある。
平均自由行程とは、空気を構成する分子の一つが別の分子と衝突するまでに進む距離のことであり、平均自由行程よりも芯材が形成する空隙が大きい場合は空隙内において分子同士が衝突し、気体による熱伝導が生じるため、熱伝導率は大きくなる。逆に平均自由行程よりも空隙が小さい場合は、分子の衝突による熱伝導がほとんどなくなるため熱伝導率は小さくなる。
従って、真空断熱体の断熱性能を向上するためには、初期の内部圧力を低圧とすることにより、分子の衝突による気体熱伝導を抑制する必要がある。しかしながら、工業的レベルで高真空にすることは困難であり、実用的に達成可能な真空度は10Pa程度までである。
また、真空断熱体内部から発生するガスや、外部から経時的に真空断熱体へ透過侵入してくるガスも真空断熱体の経時的な断熱性能の劣化を招く要因となる。よって、これらの気体、すなわち空気中の窒素および酸素、水分、微量含まれる水素を吸着除去することにより、初期断熱性能や経時的な断熱性能を維持することが可能となる。
また、これらの気体の吸着は、非可逆であることが要求されるため、物理吸着は不適であり、より強固な結合を形成する化学吸着が望ましい。しかしながら、空気の80%をしめる窒素は、その安定な三重結合のため、化学吸着が非常に困難である。
このような課題を解決する手段として、水分吸着物質と酸素の吸収に水分を必要としない酸素吸収剤との組み合わせによる真空用ゲッターが提案されている(特許文献1参照)。
また、真空用ゲッターとして、非蒸発型バリウムゲッターであるBaLi合金を用いた窒素吸着材が提案されている(特許文献2参照)。
また、さらに水分も同時に吸着可能とした、BaLi合金と乾燥剤とを含むゲッター物質をアルミニウム容器へ封入した真空用ゲッターが提案されている(特許文献3参照)。
また、精製対象ガスから窒素などの不純物ガスを除去する方法として、銀イオン交換したゼオライトAからなる吸着材が提案されている(特許文献4)。
特開平9−267873号公報 特開平5−131134号公報 特表平9−512088号公報 特開2003−275582号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、水分および酸素は吸着可能であるが、特に吸着困難な窒素吸着に関しては具体的に述べられていない。
また、特許文献2および特許文献3の構成では、BaLi合金で窒素を化学的に吸着することが可能であるが、合金材料であるためにゲッター自身の熱伝導率が高く、ゲッターを適用することにより断熱性能の悪化する部位が生じることとなる。
また、特許文献3の構成では、アルミニウム容器へ封入されており、さらに熱伝導性の高い構成となっている。また、構成材料として用いられているBaはPRTR指定物質であり、作業環境に規制が設けられている。
一方、特許文献4の構成では、ガス精製などの限られた絶乾条件では窒素吸着が可能であるが、我々の求める断熱体中の窒素吸着に用いるには問題がある。すなわち、断熱体中には必ず水分が共存しており、窒素活性サイトである銀イオンは窒素よりも水分との反応活性が高いため、水分により酸化されその結果銀水酸化物および銀酸化物を形成し、窒素に対して不活性となるのである。
本発明の目的は、真空断熱体の内部圧力を低減し、かつ、その圧力を維持する気体吸着材であって、特に吸着困難な窒素に関して、常温低圧下で窒素吸着活性を発揮できる吸着材を提供することである。
また、断熱性能を損なわない気体吸着材を提供することである。また、有害性を持たない気体吸着材を提供することである。さらに、芯材の空隙径を低減することにより残存気体の影響による気体熱伝導の増大を抑制する優れた断熱性能を有する高性能な真空断熱体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の気体吸着材は、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含み、真空断熱体の内部圧力を低減し、かつ、その圧力を維持するために用いられる気体吸着材であって、前記化学的水分吸着性物質は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、またはアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物からなり、前記化学的水分吸着性物質が、前記銀イオン交換型ゼオライト中の窒素吸着活性サイトである銀イオンが水分との接触により窒素より優先的に酸素と反応して酸化銀を形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができるように構成したことを特徴とするものである。
本発明の気体吸着材は、化学的水分吸着性物質が、銀イオン交換型ゼオライト中の窒素吸着活性サイトである銀イオンが水分との接触により窒素より優先的に酸素と反応して酸化銀を形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができるように構成したことにより、化学的水分吸着性物質が工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現する銀イオン交換型ゼオライトが工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、前記ゼオライトは空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
本発明の気体吸着材は、化学的水分吸着性物質が、銀イオン交換型ゼオライト中の窒素吸着活性サイトである銀イオンが水分との接触により窒素より優先的に酸素と反応して酸化銀を形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができるように構成したことにより、化学的水分吸着性物質が工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現する銀イオン交換型ゼオライトが工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、前記ゼオライトは空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
請求項1に記載の気体吸着材は、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含み、真空断熱体の内部圧力を低減し、かつ、その圧力を維持するために用いられる気体吸着材であって、前記化学的水分吸着性物質は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、またはアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物からなり、前記化学的水分吸着性物質が、前記銀イオン交換型ゼオライト中の窒素吸着活性サイトである銀イオンが水分との接触により窒素より優先的に酸素と反応して酸化銀を形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができるように構成したことを特徴とするものである。
まず、銀イオン交換型ゼオライトの調整方法について述べる。
各種ゼオライトへの銀イオン交換は、従来から行われている既知の方法にて行うことができ、硝酸銀水溶液や酢酸銀水溶液など銀の可溶性塩の水溶液に浸漬する方法が一般的である。また、銀イオン交換率は、イオン交換可能な量の少なくとも15%以上であることが望ましく、50%以上であることがより望ましい。これは、銀イオン交換型ゼオライト中の銀サイトが窒素吸着活性サイトであるため、銀イオン交換率が高いほど、窒素吸着能が高まるためである。
イオン交換後は、十分に水洗し、乾燥後、低圧下にて適切な熱処理を行うことにより、窒素吸着能が発現するものである。熱処理時の圧力は、水分による銀水酸化物形成を抑制するため、10mPa以下、好ましくは1mPa以下であり、温度は100℃以上、好ましくは400℃程度である。
次いで、気体吸着材の作製方法について述べる。熱処理され窒素吸着活性となった銀イオン交換型ゼオライトは、窒素や水、酸素に触れることなく、不活性ガス雰囲気下で化学的水分吸着性物質と混合あるいは化学的水分吸着性物質により周囲を覆うなどして、ペレット化、あるいは取り扱い容易な形状に成形する。
さらに不活性ガスを充填した気体不透過性容器にてこれを封止し、断熱体への適用時まで保管することが望ましい。断熱体への適用時には、気体不透過性容器を開封し、速やかに使用する。このように取り扱うことにより、気体吸着材中の本発明の銀イオン交換型ゼオライトは、窒素を効果的に吸着除去できるものである。
また、銀イオン交換型ゼオライト中の窒素吸着活性サイトである銀イオンは、水分存在下で窒素より優先的に酸素と反応し、酸化銀を形成し、その結果窒素吸着不活性となることが明らかとなった。この課題に対し、本発明の気体吸着材は、化学的水分吸着性物質を含むことにより、化学的水分吸着性物質が、銀イオン交換型ゼオライト中の銀イオンが水分接触により酸化銀を形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができる。より確実に酸化銀形成を抑制するためには、本発明の銀イオン交換型ゼオライトの周囲を化学的水分吸着性物質にて覆うことが望ましい。
以上のような構成によって、銀イオン交換型ゼオライトが工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着除去可能となり、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、前記銀イオン交換型ゼオライトは空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
また、銀イオン交換型ゼオライトは有害性情報がなく、環境負荷は低いと考えられる。
また、本発明の気体吸着材とは、気体成分を吸着可能な材料を指しており、少なくとも銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含み、化学的水分吸着材は水による銀イオン交換型ゼオライトの窒素吸着能の低下を予め抑制し、かつ、断熱体中の水分を吸着除去することができ、銀イオン交換型ゼオライトは断熱体中の工業的排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着除去できる。
また、さらに酸素吸着成分、水素吸着成分を併用し、断熱体へ適用する気体吸着材として、懸念する気体をすべて吸着除去可能な気体吸着材とすることも可能である。その気体吸着成分の構成比は、使用環境や内部発生ガスの種類により選択できるものである。
また、本発明のゼオライトとは、多孔性結晶性アルミノケイ酸塩を指している。
また、本発明の銀イオン交換型ゼオライトは、特にA型が好ましいが、X型など他のゼオライトも適用可能である。
また、本発明の化学的水分吸着性物質は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物および水酸化物などの化学吸着剤などが使用できるが、化学的に水分を固定化できるものならば、特に規定するものではない。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明における銀イオン交換型ゼオライトが、その周囲を水分吸着性物質に覆われていることを特徴とするものであり、本構成により、水分吸着性物質が、窒素吸着サイトである銀イオンが水分との接触により酸化銀を形成し窒素吸着不活性となることを抑制するため、銀イオン交換型ゼオライトが工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができるものである。
銀イオン交換型ゼオライトが、その周囲を水分吸着性物質に覆われていることにより、より一層窒素吸着活性を発現し、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を効率よく吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、ゼオライトは気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明における銀イオン交換型ゼオライトの銀イオン交換率が15%以上であることを特徴とするものであり、本構成により窒素吸着量の増大が確認された。この要因は、銀イオン交換率が15%以上の領域から、窒素吸着サイトである銀イオンと気体窒素が十分接触するためであると考える。
その結果、銀イオンが工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を効率よく吸着し、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、ゼオライトは気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3記載の発明における銀イオン交換型ゼオライトが、銀イオン交換後に100℃以上で熱処理されたことを特徴とするものであり、本構成によって、窒素吸着量の増大が確認された。この要因は、おそらく熱処理によって、ゼオライト中の結晶水が脱離し、比表面積が増大する一方で、窒素吸着サイトである銀イオンの総量には変化がなく、銀イオンと窒素との接触が容易となるためであると考える。
その結果、銀イオンが工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を効率よく吸着し、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、ゼオライトは気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
熱処理温度は100℃以上が好ましいが、より好ましくは、300℃から400℃である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4記載の発明における銀イオン交換型ゼオライトが、A型構造であることを特徴とするものであり、本構成によって、窒素吸着量の増大が確認された。その要因について詳細は不明であるが、おそらくはA型ゼオライトの細孔径と窒素の分子径の相対関係に起因する形状選択性、および、その三次元構造の特異性によるものと考える。
銀イオン交換A型ゼオライトは窒素吸着に対する活性が高く、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を効率よく吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、ゼオライトは気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
請求項6に記載の断熱体は、少なくとも、芯材と、ガスバリア性を有する外被材と、請求項1から請求項5のいずれか一項記載の気体吸着材とを備え、前記外被材の内部を減圧してなることを特徴とするものであり、銀イオン交換型ゼオライトが工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銀イオン交換型ゼオライトは気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が合金に比べ低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
また、本発明の芯材としては、ポリスチレンやポリウレタンなどのポリマー材料の連通気泡体や、無機材料の連通気泡体、無機および有機の粉末、無機および有機の繊維材料などが利用できる。またそれらの混合物であっても良い。
また、本発明の外被材は、ガスバリア性を有するものが利用でき、金属容器やガラス容器、樹脂と金属の積層されたガスバリア容器、さらには表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムなど、気体侵入を阻害可能な種々の材料および複合材料が利用できる。
また、本発明の断熱体は、少なくとも、芯材と、ガスバリア性を有する外被材と、請求項1から請求項5のいずれか一項記載の気体吸着材を備えるものであり、工業的真空排気手段および/または請求項1から請求項5のいずれか一項記載の気体吸着材の作用により、ガスバリア性を有する外被材の内空間が減圧となっているものである。
請求項7に記載の断熱体は、請求項6に記載の発明における断熱体の芯材がメソ多孔構造を有することを特徴とするものであり、芯材の空隙径が2〜50nmの範囲であるために、平均自由行程よりも空隙が小さく、その結果、気体吸着材によっても除去しきれなかった残存気体の気体熱伝導をより低減可能とするものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材の断面図および拡大図を示すものである。
気体吸着材1は、窒素吸着活性である銀イオン交換型ゼオライト2と、化学的水分吸着性物質3と、酸素吸着材4と、水素吸着材5とを含み、これらの材料をアルゴンなどの不活性気体中で混合し、ペレット化を施した。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現する銀イオン交換型ゼオライト2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
また、酸素吸着材4と、水素吸着材5がそれぞれ酸素及び水素を吸着除去し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銀イオン交換型ゼオライト2は空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材1による熱伝導率の増大を従来の合金系材料より抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材の断面図を示すものである。
気体吸着材1は、球状に成形された、窒素吸着活性である銀イオン交換型ゼオライト2と、酸素吸着材4と、水素吸着材5とが、化学的水分吸着性物質3中に分散され覆われた構造で、これらを不活性ガス雰囲気中でペレット化を施したものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現する銀イオン交換型ゼオライト2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
また、酸素吸着材4と、水素吸着材5がそれぞれ酸素及び水素を吸着除去し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銀イオン交換型ゼオライト2は空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材1による熱伝導率の増大を従来の合金系材料より抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
また、窒素吸着活性である銀イオン交換型ゼオライト2が化学的水分吸着性物質3に周囲を覆われているため、水分による窒素吸着活性サイトの低減がより一層抑制される。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材の断面図を示すものである。
気体吸着材1は、窒素吸着活性である銀イオン交換型ゼオライト2を中心に、その周囲を酸素吸着材4と、水素吸着材5と、化学的水分吸着性物質3とが覆うような構造で、不活性ガス雰囲気中でペレット化を施したものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現する銀イオン交換型ゼオライト2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
また、酸素吸着材4と、水素吸着材5がそれぞれ酸素及び水素を吸着除去し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、銀イオン交換型ゼオライト2は空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材1による熱伝導率の増大を従来の合金系材料より抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
また、窒素吸着活性である銀イオン交換型ゼオライト2が化学的水分吸着性物質3に周囲を覆われているため、水分による窒素吸着活性サイトの低減がより一層抑制される。
窒素吸着活性を有する銀イオン交換型ゼオライト2のイオン交換率及び熱処理温度、ゼオライトの型を変えて、気体吸着材1を評価した結果を実施例1から実施例7に示す。
実施例1から実施例7においては、化学的水分吸着性物質3には酸化カルシウムを、酸素吸着材4には金属酸化物を用いた。評価は、それぞれの10Pa以下で気体吸着材を減圧封止したパネルの熱伝導率にて行い、比較例1を比較対象とした。
(実施例1)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、銀イオン交換型ゼオライト2を10wt%と、酸素吸着材を15%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。
銀イオン交換型ゼオライトは、硝酸銀水溶液にてイオン交換を実施したA型ゼオライトであり、イオン交換後真空乾燥し、400℃にて熱処理を加えた。イオン交換率は10%であった。
熱伝導率は、0.080W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。
また、銀イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例2)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、銀イオン交換型ゼオライト2を10wt%と、酸素吸着材を15%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。
銀イオン交換型ゼオライトは、硝酸銀水溶液にてイオン交換を実施したA型ゼオライトであり、イオン交換後真空乾燥し、400℃にて熱処理を加えた。イオン交換率は15%であった。
熱伝導率は、0.080W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。
また、銀イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例3)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、銀イオン交換型ゼオライト2を15wt%と、酸素吸着材を10%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。銀イオン交換型ゼオライトは、硝酸銀水溶液にてイオン交換を実施したA型ゼオライトであり、イオン交換後真空乾燥し、400℃にて熱処理を加えた。イオン交換率は40%であった。
熱伝導率は、0.080W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。
また、銀イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例4)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、銀イオン交換型ゼオライト2を15wt%と、酸素吸着材を10%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。
銀イオン交換型ゼオライトは、硝酸銀水溶液にてイオン交換を実施したA型ゼオライトであり、イオン交換後真空乾燥し、400℃にて熱処理を加えた。イオン交換率は70%であった。
熱伝導率は、0.080W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。
また、銀イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例5)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、銀イオン交換型ゼオライト2を15wt%と、酸素吸着材を10%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。
銀イオン交換型ゼオライトは、硝酸銀水溶液にてイオン交換を実施したA型ゼオライトであり、イオン交換後真空乾燥し、80℃にて熱処理を加えた。イオン交換率は70%であった。
熱伝導率は、0.082W/mKであり、比較例1に対し37%の改善が見られた。
また、銀イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例6)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、銀イオン交換型ゼオライト2を15wt%と、酸素吸着材を10%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。
銀イオン交換型ゼオライトは、硝酸銀水溶液にてイオン交換を実施したA型ゼオライトであり、イオン交換後真空乾燥し、100℃にて熱処理を加えた。イオン交換率は70%であった。
熱伝導率は、0.082W/mKであり、比較例1に対し37%の改善が見られた。
また、銀イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施例7)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質3を75wt%と、銀イオン交換型ゼオライト2を15wt%と、酸素吸着材を10%とを含む、気体吸着材1ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。
銀イオン交換型ゼオライトは、硝酸銀水溶液にてイオン交換を実施したX型ゼオライトであり、イオン交換後真空乾燥し、400℃にて熱処理を加えた。イオン交換率は70%であった。
熱伝導率は、0.081W/mKであり、比較例1に対し38%の改善が見られた。
また、銀イオン交換型ゼオライトは、PRTR指定物質ではなく、毒性などの指摘がない物質である。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4における、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材を適用した断熱体の断面図を示すものである。
断熱体6は、芯材7と、ガスバリア性を有する外被材8と、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライト2と化学的水分吸着性物質3とを含むことを特徴とする気体吸着材1とを備え、外被材8の内部を減圧してなるものであり、芯材7として無機繊維集合体を、外被材8として表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを、気体吸着材1として実施の形態3の気体吸着材1が用いられたことを特徴とするものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現するシリカ対アルミナ比が8以上25以下である銀イオン交換型ゼオライト2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体6の断熱性能の向上を図ることができる一方で、前記ゼオライトは空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
実施例1から実施例7の気体吸着材1を適用した断熱体における窒素吸着の評価結果を実施例8から実施例14に示す。評価は、いずれも初期の内圧を10Paとし、その後の経時的な内圧増大を比較例3および比較例4の断熱体と比較して行った。
(実施例8)
実施例1の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は23.7Paであった。経時的な劣化は、比較例3より若干大きいが、銀交換されていないゼオライトを用いた比較例4よりは小さく、外部より侵入した気体および内部発生ガスを気体吸着材が吸着除去していると判断できる。
(実施例9)
実施例2の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は11.8Paであり、経時的な劣化は比較例3とほぼ同等であり、外部より侵入した気体および内部発生ガスを気体吸着材が吸着除去していると考える。
また、実施例5に比較して、内圧が11.8Pa低下している。これは、イオン交換率が15%以上であるために、窒素吸着能力が向上したためと考える。
(実施例10)
実施例3の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は9.2Paであり、経時的な劣化は比較例3とほぼ同等であるが若干の改善が見られ、外部より侵入した気体および内部発生ガスを気体吸着材が吸着除去していると考える。
また、実施例5に比較して、内圧が14.5Pa低下している。これは、イオン交換率が15%以上の条件を満たした、40%交換体であるために、窒素吸着能力が向上したためと考える。
(実施例11)
実施例4の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は9.2Paであり、経時的な劣化は比較例3とほぼ同等であるが若干の改善が見られ、外部より侵入した気体および内部発生ガスを気体吸着材が吸着除去していると考える。
また、実施例5に比較して、内圧が15.8Pa低下している。これは、イオン交換率が15%以上の条件を満たした、70%交換体であるために、窒素吸着能力が向上したためと考える。
(実施例12)
実施例5の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は21.1Paであった。経時的な劣化は、比較例3より若干大きいが、銀交換されていないゼオライトを用いた比較例4よりは小さく、外部より侵入した気体および内部発生ガスを気体吸着材が吸着除去していると判断できる。これは、熱処理温度が100℃未満の80℃であるため、窒素吸着活性が比較的小さいためであると考える。
(実施例13)
実施例6の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は14.5Paであった。経時的な劣化は、比較例3とほぼ同等であり、銀交換されていないゼオライトを用いた比較例4よりは小さく、外部より侵入した気体および内部発生ガスを気体吸着材が吸着除去していると判断できる。熱処理温度が100℃以上であり、窒素吸着活性が十分発揮されているためであると考える。
(実施例14)
実施例7の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は17.1Paであった。経時的な劣化は、比較例3より若干大きく、銀交換されていないゼオライトを用いた比較例4よりは小さかった。同等条件でA型ゼオライトを適用した実施例11と比較すると若干内圧は大きいが、外部より侵入した気体および内部発生ガスを気体吸着材が吸着除去していると判断できる。
(実施の形態5)
図5は、本発明の実施の形態5における、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材を適用した断熱体の断面図を示すものである。
断熱体9は、メソ多孔構造を有する芯材10と、ガスバリア性を有する外被材8と、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライト2と化学的水分吸着性物質3とを含むことを特徴とする気体吸着材1とを備え、外被材8の内部を減圧してなるものである。
芯材10として気相法により製造されたシリカ粉体と無機繊維材料の混合物を圧縮成形したメソ多孔体を、外被材8として表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを、気体吸着材1として実施の形態3の気体吸着材1が用いられたことを特徴とするものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現する銀イオン交換型ゼオライト2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体6の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
また、芯材10の空隙径が2〜50nmの範囲であるために、平均自由行程よりも空隙が小さく、その結果、気体吸着材によっても除去しきれなかった残存気体の衝突による気体熱伝導を抑制することが可能であるため、優れた断熱性能を有する断熱体が提供できるものである。
(実施の形態6)
図6は、本発明の実施の形態6における、少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含むことを特徴とする気体吸着材を適用した断熱体の断面図を示すものである。
断熱体11は、芯材10と、ガスバリア性を有する外被材12と、気体を吸着する気体吸着材1を備え、前記外被材12の内部を減圧してなるものであり、芯材10として気相法により製造されたシリカ粉体と無機繊維材料の混合物を圧縮成形したメソ多孔体を、外被材12としてステンレス鋼からなる容器を、気体吸着材1として実施の形態3の気体吸着材1を用いたことを特徴とするものである。
以上のように構成された気体吸着材1では、工業的真空排気プロセスで除去しきれない水分及び内部発生水分を化学的水分吸着性物質3が吸着除去し、水分が吸着除去されたことにより、窒素吸着活性を発現する銀イオン交換型ゼオライト2が工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に侵入する窒素を吸着固定化する。
その結果、断熱体6の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また合金より固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
以上のように本発明の気体吸着材は、少なくとも、窒素吸着材として銀イオン交換型ゼオライトと、銀イオン交換型ゼオライトの窒素吸着活性を制御するための化学的水分吸着性物質とを含むことにより、化学的水分吸着性物質が、銀イオン交換型ゼオライト中の銀イオンが水分接触により酸化銀を形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができるため、銀イオン交換型ゼオライトが効果的に工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、上記ゼオライトは空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができ、また固体密度が低いため固体熱伝導率が低減できるものである。
その結果、優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができるものである。
次に本発明の気体吸着材および断熱体に対する比較例を比較例1から比較例4に示す。評価方法は実施例に準じるものとする。
(比較例1)
有効吸着性分のうち、酸化カルシウムを75wt%と、Ba−Li合金を5wt%と、コバルト酸化物を20wt%とを含むペレットを作製し、その熱伝導率を測定したところ、0.130W/mkであった。また、Ba−Li合金は、PRTR指定物質であり、作業環境が規制されている物質である。
(比較例2)
有効吸着成分のうち、化学的水分吸着性物質を75wt%と、銀イオン交換をしていないA型ゼオライトを10wt%と、酸素吸着材を15%とを含む、気体吸着材ペレットを作製し、その熱伝導率を測定した。銀イオン交換をしていないA型ゼオライトは、100℃にて熱処理を加えたものである。熱伝導率は、0.082W/mKであった。
(比較例3)
比較例1の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は14.5Paであった。
(比較例4)
比較例2の気体吸着材を適用した断熱体にて、経時1ヶ月後の内圧は23.7Paであった。
以上のように、本発明にかかる気体吸着材および断熱体は、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素およびその他気体を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、ゼオライト構造体は空隙間距離が気体の平均自由行程以下の多孔体構造を有しているため、気体吸着材による熱伝導率の増大を抑制することができるため、優れた断熱性能を発現可能なものであり、冷凍冷蔵庫および冷凍機器をはじめとした温冷熱を効率的に利用することにより省エネルギーに貢献できるあらゆる機器や、熱や寒さから保護したい物象などのあらゆる断熱用途に適用できる。
本発明の実施の形態1の気体吸着材の断面図 本発明の実施の形態2の気体吸着材の断面図 本発明の実施の形態3の気体吸着材の断面図 本発明の実施の形態4の断熱体の断面図 本発明の実施の形態5の断熱体の断面図 本発明の実施の形態6の断熱体の断面図
符号の説明
1 気体吸着材
2 銀イオン交換型ゼオライト
3 化学的水分吸着性物質
4 酸素吸着材
5 水素吸着材
6 断熱体
7 芯材
8 外被材
9 断熱体
10 メソ多孔構造を有する芯材
11 断熱体
12 外被材

Claims (7)

  1. 少なくとも、銀イオン交換型ゼオライトと化学的水分吸着性物質とを含み、真空断熱体の内部圧力を低減し、かつ、その圧力を維持するために用いられる気体吸着材であって、前記化学的水分吸着性物質は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、またはアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物からなり、前記化学的水分吸着性物質が、前記銀イオン交換型ゼオライト中の窒素吸着活性サイトである銀イオンが水分との接触により窒素より優先的に酸素と反応して酸化銀を形成し窒素吸着不活性となることを抑制することができるように構成したことを特徴とする気体吸着材。
  2. 前記銀イオン交換型ゼオライトが、その周囲を水分吸着性物質に覆われていることを特徴とする請求項1記載の気体吸着材。
  3. 前記銀イオン交換型ゼオライトが、銀イオン交換率が15%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の気体吸着材。
  4. 前記銀イオン交換型ゼオライトが、銀イオン交換後に100℃以上で熱処理されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の気体吸着材。
  5. 前記銀イオン交換型ゼオライトが、A型構造であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の気体吸着材。
  6. 少なくとも、芯材と、ガスバリア性を有する外被材と、請求項1から請求項5のいずれか一項記載の気体吸着材とを備え、前記外被材の内部を減圧してなることを特徴とする断熱体。
  7. 前記芯材がメソ多孔構造を有することを特徴とする請求項6記載の断熱体。
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