JPH09262463A - 真空用ゲッタ及びその製造法 - Google Patents

真空用ゲッタ及びその製造法

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JPH09262463A
JPH09262463A JP16016696A JP16016696A JPH09262463A JP H09262463 A JPH09262463 A JP H09262463A JP 16016696 A JP16016696 A JP 16016696A JP 16016696 A JP16016696 A JP 16016696A JP H09262463 A JPH09262463 A JP H09262463A
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JP
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water
oxygen
getter
vacuum
moisture
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Application number
JP16016696A
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English (en)
Inventor
Tatsuo Iwai
辰雄 岩井
Tomoharu Himejima
智晴 姫嶋
Tetsushi Watanabe
哲志 渡辺
Chiharu Nishizawa
千春 西沢
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリヤー性の密閉容器に乾燥状態で収納
され、使用直前に高温の加熱乾燥処理の必要がない、水
分及び酸素の吸収を目的とした真空用ゲッタを提供す
る。 【解決手段】 物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物
質よりなる水分吸収剤と酸素吸収に水分を必要としない
酸素吸収剤が、ガスバリヤー性の密閉容器の同一閉鎖空
間内に減圧下に収納されること、ないしは、収納されて
更に加熱されることにより乾燥状態とされた真空用ゲッ
タを得る事を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空下で使用され
るゲッタに関する。例えば、真空断熱材、真空デシケー
ター等で使用される真空用ゲッタに関する。
【0002】
【従来の技術】真空断熱材等の長期間真空を維持する必
要のある物品には、系内に発生するガスや、外部から侵
入してくるガスを除去するために、ゲッタと呼ばれるガ
ス吸収剤が用いられている。水分吸収のためのゲッタと
しては、特開昭59ー225275、特開昭63ー18
9772、特開平7ー63469に開示されているよう
に、ゼオライト、シリカゲル、金属塩化物、金属硫化
物、金属酸化物、五酸化二リン等の物質が知られている
が、現状ではその中でも真空下で水分を吸収する速度が
速く、真空空間内の微量な水分を除去する能力も高いゼ
オライトが一般的に使用されている。しかし、ゼオライ
トを真空下で使用する際、使用前にゼオライト中の水分
を十分に除去していなければ、真空下で逆に水分を放出
し、真空度が悪くなる問題があり、通常、使用に際して
300℃以上の温度で乾燥処理を行う必要があった。上
記は、ゼオライトについて記しているが、ゼオライト以
外のゲッタにも同様な問題点があった。酸素吸収のため
のゲッタとしては、特公昭63−105392にある鉄
粉による酸素吸収剤が知られているが、この酸素吸収剤
の酸素吸収反応には、水分が必須であるが、水分を存在
させれば、上記ゼオライトの場合と同様に水分の蒸発の
ために高真空を作り出せないという問題があり、従って
このような酸素吸収剤は有効に使用することはできなか
った。
【0003】
【解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術にお
けるように、真空下で使用する前に行っている真空用ゲ
ッタから水分を除去するための高温での加熱処理をなく
し、真空用ゲッタが気密容器に密閉された状態で簡便に
水分を除去でき、かつ真空下で水分を放出しない水分吸
収剤、並びに真空下でも放出ガスが少なく十分な酸素吸
収能力を有する酸素吸収剤から構成される新規な真空用
ゲッタを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、物理的水分吸
着物質と化学的水分吸収物質よりなる水分吸収剤並びに
酸素の吸収に水分を必要としない酸素吸収剤が、ガスバ
リヤー性の密閉容器の同一閉鎖空間内に収納されてなる
ことを特徴とする真空用ゲッタである。すなわち、本発
明は、物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物質よりな
る水分吸収剤並びに酸素の吸収に水分を必要としない酸
素吸収剤を、ガスバリヤー性の密閉容器の同一閉鎖空間
内に収納することにより、物理的水分吸着物質および/
または酸素吸収剤が持っている真空下で脱着する水分
を、化学的水分吸収物質に移行させて化学的に固定し
て、真空下で脱着しない状態にした真空用ゲッタを提供
するものである。物理的水分吸着物質と化学的水分吸収
物質よりなる水分吸収剤、並びに酸素の吸収に水分を必
要としない酸素吸収剤は、ガスバリヤー性の密閉容器の
同一閉鎖空間内に収納された後、加熱されることにより
乾燥状態とされることが好ましく、その加熱温度は40
℃〜150℃であることが好ましい。更に物理的水分吸
着物質と化学的水分吸収物質よりなる水分吸収剤、並び
に酸素の吸収に水分を必要としない酸素吸収剤をガスバ
リヤー性の密閉容器の同一閉鎖空間内に収納されるとき
の圧力が100〜0.001Torrであることが好まし
い。物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物質の組成比
は、物理的水分吸着物質100重量部に対して、化学的
水分吸収物質が1〜1, 000重量部の範囲が好まし
く、物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物質よりなる
水分吸収剤100重量部に対して、酸素吸収剤が0.1
〜1,000重量部の範囲が好ましい。また、物理的水
分吸着物質は、ゼオライト、酸化アルミニウムまたはシ
リカゲルが、化学的水分吸収物質は、酸化カルシウム、
塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、
硫酸マグネシウムまたは五酸化二リンが好ましい。酸素
の吸収に水分を必要としない酸素吸収剤は、不飽和脂肪
酸化合物および/または不飽和基を有する鎖状炭化水素
重合物を主剤とし、酸素吸収促進物質を含む酸素吸収剤
であることが好ましい。さらに、ガスバリヤー性の密閉
容器は、金属容器または金属箔ラミネートプラスチック
フィルム袋であることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の物理的水分吸着物質と
は、主にファンデルワールス力により水分を吸着する
が、その水分吸着力が弱く、可逆的な吸着のため、真空
下では、その圧力での平衡吸着量以上の吸着水分を脱着
する物質のことである。よって真空下で使用する前は吸
着水分を十分に除く必要がある。また一般的に化学的水
分吸収物質に比べて水分吸着速度は大きいが、水分吸着
容量は小さい。本発明の物理的水分吸着物質としては、
シリカゲル、酸化アルミニウム、モレキュラーシーブス
に代表される合成ゼオライト、モルデナイトやエリオナ
イト等の天然ゼオライト、パーライト、酸性白土や活性
白土等の粘土鉱物、多孔質ガラス、珪酸マグネウム、珪
酸アルミニウム、高分子吸着剤、活性炭、活性炭素繊
維、モレキュラーシービングカーボン、骨炭等が例示さ
れるが、好ましくはゼオライト(天然ゼオライト、合成
ゼオライト)、シリカゲルまたは酸化アルミニウムであ
り、さらに好ましくはゼオライトである。
【0006】本発明の化学的水分吸収物質とは、水分と
化学反応を起こしてその化学構造中に水分を取り込む物
質のことであり、水分吸収反応後の吸収物質が分解しな
ければ、真空下でも再び水分を放出することはない。ま
た一般的に常圧では物理的水分吸着物質と比べて水分吸
収速度は小さいが、水分吸収容量は大きい。しかし真空
下では常圧に比べて水分吸収速度が極端に小さくなるの
で、実用的な水分吸収容量も小さくなる。本発明の化学
的水分吸収物質としては、酸化カルシウム、酸化バリウ
ム、塩化カルシウム、臭化バリウム、臭化カルシウム、
臭化亜鉛、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、酸化マ
グネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫
酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩化亜
鉛、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸バリウム、過塩素
酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例
示されるが、その中でも比較的乾燥能力が高い、酸化カ
ルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カ
ルシウムまたは五酸化二リンが好ましい。
【0007】物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物質
の量比は、実際に真空下で使用して水分が放出されない
様に選択する必要があるが、化学的水分吸収物質の量が
少ない場合は、物理的水分吸着物質中の除去すべき水分
を吸収しきれず、また化学的水分吸収物質の量が多い場
合は、物理的水分吸着物質中の除去すべき水分は吸収さ
れるが経済的に不利になるので、一般的には、物理的水
分吸着物質100重量部に対して、化学的水分吸収物質
の量は1〜1,000重量部、好ましくは5〜500重
量部、さらに好ましくは10〜300重量部の範囲であ
る。また、酸素吸収剤に真空下で脱着する水分が含まれ
ている場合は、化学的水分吸収物質の量は適宜それに見
合って増量される。
【0008】本発明における酸素吸収剤は、酸素の吸収
に水分を必要としないものであれば特に制限を受けるも
のではないが、不飽和脂肪酸化合物や不飽和基を有する
鎖状炭化水素重合物等の不飽和有機化合物、ポリアミド
やポリオレフィン等の熱可塑性重合物を主剤とし、遷移
金属塩等の酸素吸収促進物質を含む酸素吸収剤が例示さ
れるが、不飽和脂肪酸化合物および/または不飽和基を
有する鎖状炭化水素重合物を主剤とし、酸素吸収促進物
質を含む酸素吸収剤が好ましい。
【0009】本発明で用いられる不飽和脂肪酸化合物
は、炭素数が10以上で炭素間に二重結合を持った不飽
和脂肪酸、または、該不飽和脂肪酸の塩もしくはエステ
ルである。炭素数が10以下の場合は、低圧にした場
合、その蒸気圧が無視できなくなり十分に圧力が低下せ
ずに不都合である。該不飽和脂肪酸およびその脂肪酸の
塩もしくはエステルには、置換基、例えば水酸基、アミ
ノ基、ホルミル基、カルボキシル基等を有していても良
い。また、不飽和脂肪酸化合物は必ずしも純物質である
必要はない。 不飽和脂肪酸化合物の例として、オレイ
ン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、パリナ
リン酸、ダイマー酸、またはリシノール酸等の不飽和脂
肪酸、およびこれらのエステルを含有する油脂、エステ
ル類、金属塩が挙げられる。また、不飽和脂肪酸として
植物油、動物油から得られる脂肪酸、すなわち、アマニ
油脂肪酸、大豆油脂肪酸、桐油脂肪酸、糠油脂肪酸、胡
麻油脂肪酸、綿実油脂肪酸、菜種油脂肪酸、トール油脂
肪酸等も用いられる。これらの不飽和脂肪酸化合物は、
単独で用いてもよいし2種類以上を混合して用いてもよ
い。
【0010】また、不飽和基を有する鎖状炭化水素重合
物とは、炭素数10以上で炭素原子間に二重結合を1つ
以上を有した重合物およびその誘導体である。炭素数が
10以下の場合は、不飽和脂肪酸化合物の場合と同様に
低圧にした場合、その蒸気圧が無視できなくなり十分に
圧力が低下せずに不都合である。該誘導体は、置換基と
して、例えば水酸基、アミノ基、ホルミル基、カルボキ
シル基等が存在しても良い。不飽和基を有する鎖状炭化
水素重合物を例示すれば、ブタジエン、イソプレン、
1,3ペンタジエン等のオリゴマーや重合体あるいは共
重合体が挙げられる。これらの不飽和基を有する鎖状炭
化水素重合物は、単独で用いてもよいし2種類以上を混
合して用いてもよい。
【0011】酸素吸収促進物質としては、有機化合物の
酸化を促進する金属塩やラジカル開始剤を例示すること
ができる。金属塩としては、Cu、Fe、Co、Ni、
Cr、Mn等の遷移金属塩が好ましく、遷移金属塩とし
て、例えば不飽和脂肪酸金属塩が好適に用いられる。
【0012】酸素吸収剤の主剤が液状物質の場合、担体
に含浸して用いることが取り扱いも容易で好適である。
担体物質としては、天然パルプ、合成パルプからなる紙
や合成紙、不織布、多孔フィルム、シリカゲル、アルミ
ナ、活性炭、モレキュラーシーブス等の合成ゼオライ
ト、モルデナイト、エリオナイト等の天然ゼオライト、
パーライト、活性白土等の粘土鉱物等が例示される。ま
た、担体物質として、水分吸収剤に選定されているもの
を選び、担体に水分吸収機能を持たせることも実用的な
使用方法である。
【0013】酸素吸収剤における各成分の割合は、用い
る物質の種類により適宜選ばれるが、主剤100重量部
に対し、酸素吸収促進物質は、0.01〜40重量部、
担体物質は、100〜5,000重量部の範囲が好まし
い。
【0014】本発明の真空用ゲッタの水分吸収剤と酸素
吸収剤の割合は、使用した吸収剤の吸収能力並びに真空
容器の材質や真空系内で共存する物質、使用雰囲気等に
より適宜選ばれるが、水分吸収剤100重量部に対し、
酸素吸収剤は0.1〜1,000重量部、好ましくは、
1〜100重量部の範囲である。
【0015】本発明の真空用ゲッタにおける物理的水分
吸着物質と化学的水分吸収物質、及び酸素吸収剤は、混
合して用いても良いし、別々の状態で分けて用いても良
い。これらは適宜、粉状、粒状、錠剤状、シート状等の
形態で用いられる。また、これらは包装材料で包まずに
使用しても差し支えないが、取扱いを容易にするため、
通常は、通気性の包装材料で包装された包装体として用
いられる。包装体の形態は特に限定されるものではない
が、目的に応じて、小袋状、シート状、ブリスター包装
した形態が選ばれる。包装材料の透気度が小さいと包装
体内部にある気体が、包装材料を通過して外部に抜け難
く、真空ポンプで排気する時間が長くかかるため、包装
材料の透気度は中身のゲッタが暴露の影響を受けない範
囲で大きい方がよく、JISのP8117によるガーレ
ー式デンソメーターによる測定時間が60秒以下である
ことが好ましい。
【0016】本発明では真空用ゲッタは、物理的水分吸
着物質と化学的水分吸収物質よりなる水分吸収剤、並び
に酸素の吸収に水分を必要としない酸素吸収剤をガスバ
リヤー性の密閉容器の同一閉鎖空間内に収納することに
より製造される。密閉容器は大気を遮断するガスバリヤ
ー性の容器であれば特に限定されないが、目的に応じて
金属容器、ガラス容器またはプラスチック容器等のガス
バリヤー性の材料からなる密閉容器が選択される。ガス
バリヤー性の密閉容器はガスバリヤー性、取り扱い性、
経済性等を考慮すると、金属容器またはプラスチックラ
ミネートフィルム袋が好ましい。プラスチックラミネー
トフィルムとしてはアルミニウム等の金属箔ラミネート
プラスチックフィルム、アルミニウム蒸着プラスチック
ラミネートフィルム、酸化ケイ素蒸着プラスチックラミ
ネートフィルム等が例示されるが、中でもガスバリヤー
性能が高い金属箔ラミネートプラスチックフィルムが好
ましい。
【0017】本発明では物理的水分吸着物質と化学的水
分吸収物質よりなる水分吸収剤、並びに酸素の吸収に水
分を必要としない酸素吸収剤からなる真空用ゲッタを、
ガスバリヤー性の密閉容器の同一閉鎖空間内に収納し、
物理的水分吸着物質および/または酸素吸収剤から化学
的水分吸収物質に水分を移行させるが、低温では水分の
移行は遅く、高温では速いので、生産性を考慮すると常
温以上の温度に加熱した方が好ましい。加熱温度は、物
理的水分吸着物質、化学的水分吸収物質並びに酸素吸収
剤の種類や量、除去したい水分量、密閉したときの圧
力、さらには使用するガスバリヤー性の密閉容器の耐熱
温度等を考慮して設定されるが、300℃以上の温度で
加熱しなければならない従来法よりは格段に低い温度で
良く、一般的には40℃〜150℃、好ましくは50℃
〜120℃である。
【0018】本発明では物理的水分吸着物質と化学的水
分吸収物質よりなる水分吸収剤、並びに酸素の吸収に水
分を必要としない酸素吸収剤からなる真空用ゲッタを、
ガスバリヤー性の密閉容器の同一閉鎖空間内に収納し、
物理的水分吸着物質および/または酸素吸収剤から化学
的水分吸収物質に水分を移行させるが、この際にガスバ
リヤー性の密閉容器内の圧力が低いほど水分の移行効果
が大きく、また酸素吸収剤、水分吸収剤に含まれる揮発
性物質と気体も併せて除去されることになり、低圧下で
用いた時の放出ガス量を著しく低減することができる。
本発明の真空用ゲッタを、ガスバリヤー性の密閉容器内
に密封するときの圧力は、低ければ低いほど水分移行効
果および揮発性物質と気体の除去効果は大きく好ましい
が、生産性、製造装置を考えると100〜0.001To
rr、好ましくは50Torr〜0.01Torr、より好ましく
は10Torr〜0.1Torrである。
【0019】本発明の真空用ゲッタは、真空断熱材等に
使用される直前まで本発明で使用したガスバリヤー性の
密閉容器内に、そのまま乾燥状態で保管することが可能
なので、従来使用に際して行われている300℃以上の
加熱乾燥処理を行うことなく、密閉容器から取り出して
そのまま真空断熱材等に配置または添加含有することが
可能である。本発明の真空用ゲッタは、使用される真空
度に特に限定はないが、通常、真空断熱材等に採用され
る10Torr程度以下で好適に使用される。
【0020】本発明の真空用ゲッタは、真空系内で共存
する物質、用途、使用雰囲気等に応じて炭酸ガスあるい
は有機ガス等のガス吸収剤と併用しても良い。炭酸ガス
吸収剤としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ
土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、有機
アミン類、アスカライト、活性炭、モレキュラーシーブ
ス等の合成ゼオライト、モルデナイトやエリオナイト等
の天然ゼオライト等が例示される。また、有機ガス吸収
剤としては、活性炭、モレキュラーシーブス等の合成ゼ
オライト、モルデナイトやエリオナイト等の天然ゼオラ
イト等が例示される。
【0021】
【実施例】以下に本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定
されるものではない。なお熱伝導率の測定は英弘精機
(株)製HC−070型熱伝導率計を用いて、10℃と
40℃との温度差における熱伝導率を測定した。 実施例1 酸素の吸収に水分を必要としない酸素吸収剤の主剤とし
て大豆油3重量部、酸素吸収促進物質としてナフテン酸
コバルト0.06重量部の混合物にモレキュラーシーブ
ス13X 10重量部を加えブレンダーで混合後25℃
で10分間静置し、流動性のある粉粒体を得た。この酸
素吸収剤粉粒体0.5gに前述のモレキュラーシーブス
13X 2gと酸化カルシウム3gを混合した後、微小
な通気孔を有する包装袋(PET12μm/PE30μ
m、内寸:5cm×5cm、デンソメーター透気度20
秒)に充填して熱溶着し、小袋包装体を得た。なお、使
用したモレキュラーシーブス13Xの強熱減量は7重量
%であった。強熱減量とは300℃、3hr加熱したと
きの重量減少率である。この小袋包装体をアルミニウム
箔ラミネートプラスチックフィルム袋密閉容器(PET
/アルミニウム箔/PE=12μm/5μm/30μ
m、外寸22cm×30cm)に入れ密閉容器内を窒素
置換した後、熱溶着して密閉した。これを4ヶ月間25
℃に保持しアルミニウム箔ラミネートプラスチックフィ
ルム袋密閉容器中に真空包装された真空用ゲッタ包装体
を得た。ついで、アルミニウム箔ラミネートプラスチッ
クフィルム袋密閉容器から真空用ゲッタ包装体を取り出
し、これと乾燥したパーライト粉末(平均粒径3μ)
を、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート/ア
ルミニウム箔/ポリエチレン(12μm /12μm /8
0μm )よりなる真空断熱材用ガスバリヤー容器に入
れ、これをヒートシール装置を具備した真空包装装置内
において0.01Torrの真空度に排気した状態で、真空
断熱材用ガスバリヤー容器の開口部をヒートシールして
密封し、200×200×20mmの真空断熱材を得
た。この真空断熱材を40℃、90%RHの雰囲気に9
0日間放置した後の熱伝導率を測定した結果を表1に示
す。
【0022】実施例2 実施例1と同様に作製した小袋包装体の収納されたアル
ミニウム箔ラミネートプラスチックフィルム袋密閉容器
を、4ヶ月間25℃に保持する代わりに、80℃で24
時間乾燥機で加熱した以外は実施例1と同様にし、熱伝
導率の測定を行った。この結果を表1に示す。
【0023】実施例3、4、5 実施例2の物理的水分吸着物質に用いたモレキュラーシ
ーブス13Xの代わりに実施例3では天然ゼオライト
(モルデナイト)、実施例4ではシリカゲル、実施例5
では酸化アルミニウムをそれぞれ2g使用した以外は実
施例2と同様にし、熱伝導率の測定を行った。なお使用
した天然ゼオライト、シリカゲル、酸化アルミニウムの
強熱減量はそれぞれ7重量%、8重量%、7重量%であ
った。これらの結果を表1に示す。
【0024】実施例6、7、8 実施例1の大豆油3重量部を大豆油2重量部と液状ゴム
〔液状ポリイソプレン「ダイナクリンR113」日本合
成ゴム(株)製〕1重量部を用い、ナフテン酸コバルト
0.06重量部の代わりにナフテン酸マンガンを用いた
以外は実施例1と同様に製造し酸素吸収剤粉粒体を得
た。実施例2の酸化カルシウム3gの代わりに実施例6
では五酸化二リン、実施例7では無水塩化マグネシウ
ム、実施例8では無水塩化カルシウムをそれぞれ3g使
用し、上記の酸素吸収剤粉粒体0.5gを用いた以外は
実施例2と同様にし、熱伝導率の測定を行った。これら
の結果を表1に示す。
【0025】実施例9、10 実施例6の物理的水分吸着物質に用いたモレキュラーシ
ーブス13Xの代わりに、天然ゼオライト(モルデナイ
ト)を2g使用し、実施例6の五酸化二リンの代わりに
実施例9では硫酸カルシウム1/2水和物、実施例10
では硫酸マグネシウム1/2水和物をそれぞれ3g使用
した以外は実施例6と同様にし、熱伝導率の測定を行っ
た。これらの結果を表1に示す。
【0026】実施例11、12、13 実施例1の大豆油3重量部を桐油に、ナフテン酸コバル
ト0.06重量部をステアリン酸コバルトに、担体物質
のモレキュラーシーブス13X 10重量部を粒状活性
炭にした以外は実施例1と同様に作製し酸素吸収剤粉粒
体を得た。実施例2のモレキュラーシーブス13X 2
gを実施例11では0.5g、実施例12では2.5
g、実施例13では4.2gとし、酸化カルシウムの量
を実施例11では4.5g、実施例12では2.5g、
実施例13では0.8gとし、上記の桐油を主剤とした
酸素吸収剤粉粒体0.5gを用い、真空断熱材のコア材
をパーライトから連続気泡からなる発泡ポリウレタン
(200×200×20mm)に代えた以外は、実施例
2と同様に真空用ゲッタの作製と測定を行った。なおモ
レキュラーシーブス13Xの強熱減量は実施例11では
7重量%、実施例12では7重量%、実施例13では4
重量%であった。
【0027】実施例14 実施例2のモレキュラーシーブス13X 2gを4.8
6gに、酸化カルシウム3gを無水塩化カルシウム0.
14gとし、実施例11と同様にして得た桐油を主剤と
した酸素吸収剤粉粒体0.5gを用い、コア材を上記の
発泡ポリウレタンに代えた以外は実施例2と同様にし、
熱伝導率の測定を行った。なおモレキュラーシーブス1
3Xの強熱減量は3重量%であった。これらの結果を表
1に示す。
【0028】実施例15、16、17 実施例1の大豆油3重量部をトール油脂肪酸に、ナフテ
ン酸コバルト0.06重量部をトール油脂肪酸コバルト
に、担体物質に用いたモレキュラーシーブス13X 1
0重量部を天然ゼオライトに代えた以外は実施例1と同
様に製造し酸素吸収剤粉粒体を得た。実施例3の加熱温
度が、実施例15では50℃、実施例16では100
℃、実施例17では120℃とし、上記のトール油脂肪
酸を主剤とした酸素吸収剤粉粒体0.5gを用い、真空
断熱材のコア材をパーライトから連続気泡からなる発泡
ポリウレタン(200×200×20mm)に代えた以
外は実施例3と同様にし、熱伝導率の測定を行った。こ
れらの結果を表1に示す。
【0029】実施例18 実施例2の小袋包装袋を密閉容器に収納する時、チャン
バー式の真空包装機を用い、チャンバー内を0.1Torr
まで排気した後、熱融着して密閉した以外は実施例2と
同様にし、熱伝導率の測定を行った。この結果を表1に
示す。
【0030】実施例19 実施例6の小袋包装袋を密閉容器に収納する時、チャン
バー式の真空包装機を用い、チャンバー内を10Torrま
で排気した後、熱融着して密閉した以外は実施例2と同
様にし、熱伝導率の測定を行った。この結果を表1に示
す。
【0031】実施例20 実施例16の小袋包装袋を密閉容器に収納する時、チャ
ンバー式の真空包装機を用い、チャンバー内を1Torrま
で排気した後、熱融着して密閉した以外は実施例2と同
様にし、熱伝導率の測定を行った。この結果を表1に示
す。
【0032】比較例1 実施例1で酸化カルシウム3gを使用しない以外は、実
施例1と同様にし、小袋包装体を作製し、25℃、4ヶ
月の水分移行処理を行わず、直ちに真空断熱材を製造
し、実施例1と同様の測定を行った。この結果を表1に
示す。
【0033】比較例2 比較例1に使用したモレキュラーシーブス13X 2g
の代わりに、酸化カルシウム3g使用した以外は、比較
例1と同様にし、熱伝導率の測定を行った。この結果を
表1に示す。
【0034】比較例3 実施例2で使用した酸化カルシウム3gを使用しない以
外は、実施例2と同様にし、熱伝導率の測定を行った。
この結果を表1に示す。
【0035】比較例4 比較例3に使用したモレキュラーシーブス13X 2g
の代わりに、酸化カルシウム3gのみ使用した以外は比
較例3と同様にし、熱伝導率の測定を行った。この結果
を表1に示す。
【0036】比較例5 実施例2の酸素吸収剤粉粒体0.5gを使用しない以外
は、実施例2と同様にし、熱伝導率の測定を行った。こ
の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明では、真空下で使用時に真空用ゲ
ッタから放出される水分を予め除去するための加熱が、
従来法よりは格段に低い温度で簡便に行うことができ、
さらに真空用ゲッタは、ガスバリヤー性の密閉容器に収
納されているので、そのままの形態で乾燥状態を維持し
たままで、保管することが可能である。また、本発明の
真空用ゲッタは、真空下でも放出水分が少なく、真空度
を低下させる侵入ガスの主成分である水分と酸素の両者
を効率よく吸収でき、真空断熱材等の長期間低圧維持が
必要な物品を確実に低圧に維持することが可能であり、
その実用的効果は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16L 59/02 F16L 59/02 F25D 23/06 F25D 23/06 V // C23C 14/00 C23C 14/00 B (72)発明者 西沢 千春 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物
    質よりなる水分吸収剤、並びに酸素の吸収に水分を必要
    としない酸素吸収剤が、ガスバリヤー性の密閉容器の同
    一閉鎖空間内に収納されてなることを特徴とする真空用
    ゲッタ。
  2. 【請求項2】 物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物
    質よりなる水分吸収剤、並びに酸素の吸収に水分を必要
    としない酸素吸収剤が、ガスバリヤー性の密閉容器の同
    一閉鎖空間内に収納され、さらに加熱されてなることを
    特徴とする請求項1記載の真空用ゲッタ。
  3. 【請求項3】 加熱温度が40℃〜150℃である請求
    項2記載の真空用ゲッタ。
  4. 【請求項4】 ガスバリヤー性の密閉容器に収納時の圧
    力が100〜0.001Torrである請求項1、2または
    3記載の真空用ゲッタ。
  5. 【請求項5】 物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物
    質の組成比が、物理的水分吸着物質100重量部に対し
    て、化学的水分吸収物質が1〜1,000重量部の範囲
    である請求項 1、2、3または4記載の真空用ゲッ
    タ。
  6. 【請求項6】 物理的水分吸着物質と化学的水分吸収物
    質よりなる水分吸収剤と酸素の吸収に水分を必要としな
    い酸素吸収剤の割合が、水分吸収剤100重量部に対し
    て、酸素吸収剤が0.1〜1,000重量部である請求
    項1、2、3、4または5記載の真空用ゲッタ。
  7. 【請求項7】 物理的水分吸着物質が、ゼオライト、酸
    化アルミニウムまたはシリカゲルより選ばれる1種以上
    のものである請求項1、2、3、4、5または6記載の
    真空用ゲッタ。
  8. 【請求項8】 化学的水分吸収物質が、酸化カルシウ
    ム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウ
    ム、硫酸マグネシウムまたは五酸化二リンより選ばれる
    1種以上のものである請求項1、2、3、4、5、6ま
    たは7記載の真空用ゲッタ。
  9. 【請求項9】 酸素の吸収に水分を必要としない酸素
    吸収剤が不飽和脂肪酸化合物および/または不飽和基を
    有する鎖状炭化水素重合物を主剤とし、酸素吸収促進物
    質を含む酸素吸収剤である請求項1、2、3、4、5、
    6、7または8記載の真空用ゲッタ。
  10. 【請求項10】 ガスバリヤー性の密閉容器が、金属容
    器または金属箔ラミネートプラスチックフィルム袋であ
    る請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載
    の真空用ゲッタ。
  11. 【請求項11】 物理的水分吸着物質と化学的水分吸収
    物質よりなる水分吸収剤、並びに酸素の吸収に水分を必
    要としない酸素吸収剤を、ガスバリヤー性の密閉容器の
    同一閉鎖空間内に収納することを特徴とする真空用ゲッ
    タの製造方法。
  12. 【請求項12】 物理的水分吸着物質と化学的水分吸収
    物質よりなる水分吸収剤、並びに酸素の吸収に水分を必
    要としない酸素吸収剤を、ガスバリヤー性の密閉容器の
    同一閉鎖空間内に収納し、さらに加熱することを特徴と
    する請求項11記載の真空用ゲッタの製造方法。
  13. 【請求項13】 加熱温度が40℃〜150℃である請
    求項12記載の真空用ゲッタの製造方法。
  14. 【請求項14】 ガスバリヤー性の密閉容器に収納する
    時の圧力が100〜0.001Torrである請求項11、
    12または13記載の真空用ゲッタの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11106539A (ja) * 1997-10-03 1999-04-20 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 真空断熱材用ゲッタおよびその製造法
JP2006167572A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 気体吸着材および断熱体
JP2007139184A (ja) * 2005-10-17 2007-06-07 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 真空断熱構造体
JP2013015222A (ja) * 2012-08-28 2013-01-24 Toshiba Home Technology Corp 断熱材の製造方法

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